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2013/12/09

Winter Chess IM 8th and 9th rounds


Winter Chess IM December 参加者とオーガナイザーたち

昨日は休んでしましましたが、マヨルカの大会最後の更新です。7日、8日の2日間で最後の8,9R が行われ、マヨルカ1週間の全日程が終了しました。私は最終的に、3勝2敗4ドローという戦績で3位に終わっています。今回の遠征最後の大会としては、まずまずの結果だったと思います。それではいつも通り、8R が行われた7日の昼の様子から、お届けしようと思います。


マヨルカに到着して1週間、結局、天気が悪かったのは初日ぐらいでした。良く晴れた土曜日、テニスコートはテニスを楽しむ人たちで埋まっています。こちらのテニスコート前のバス停から、いつも通りパルマに向かいます。


パルマ最大の名所であるカテドラル近くには、観光用の馬車を多く見かけます。こちらは1頭ですが、2頭で引いている馬車もあります。料金が高くなるんでしょうかね。


以前、カテドラルに来た際は気づきませんでしたが、この日はいくつかのお土産屋さんが周囲に出店していました。その中で面白いと思ったのはこちら。2ユーロで、好きな名前をカラフルに描いてもらえます。文字に使われるのはマヨルカの動物たちや植物、太陽など。真ん中はMALLORCA と描かれていますね。

この後、今日こそはカテドラルに入ろうと思いましたが、なぜかこの日もお休み! 土曜日の営業時間はチェックしていたはずなのに、おかしいですね... 他にも、なんで開いてないんだろう、と困惑するお客さんと少し話をしながら、仕方なくホテルに戻ることにしました。8R は重要な、IM Ivanov のとゲームが待っています。

Ivanov, J (IM, BUL, 2368) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Winter Chess IM (8)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 g6



正直、こちらは一番指されるのが嫌なムーブオーダーでした。4. d4 Bg4!? を久々に指そうと研究していましたが、この手順ではうまくいきません。(ノビサドでは、このポジションで4... Bg4 と指しましたが、この手はあまり良くありません。) 仕方なく、そろそろ指すのをやめようと思っていた4... g6 のラインに再び頼ることを決めます。

5. d4 Bg7 6. Bd3 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7


今年の1月に最後に指したきりの、dxc4-Nbd7 を再び導入します。7... Bg4 が最も人気がありますが、韓国でGM Barbosa に敗れていますし、あまり好みのポジションになりません。

9. Bb3 Nb6 10. h3 a5!?



ここでイスタンブールのGM Nyback 戦と手を変えます。クイーンサイドでスペースを取りつつ、白のポーンの形を崩せればと考えました。

11. Re1 Nfd5! 12. a3 Be6


試合後に、ここは12... Nxc3 13. bxc3 c5 のほうが良いのではないかと指摘されました。確かにそうしたGrunfeld 型にするのはメインのアイディアでしたが、a2-g8 のダイアゴナルにビショップが残るうえ、黒の白マスビショップを出す良い位置がないことを嫌いました。本譜で私が計算外だったのは、白のbファイルからのプレッシャーがあまりに強力であることです!

13. e4 Nxc3 14. bxc3 Bxb3 15. Qxb3 c5 16. Rb1! Nd7 17. e5!



これは非常に強力な1手でした。白マスビショップが残っていれば、e6 のマスを抑えているうえ、d5 のマスが弱くなるので、白のe4-e5 はさほど気になりません。しかし、ここではe5-e6 のポーンブレイクと、Bc1-Bg5 が強力です。私はこの時点ですでに、ポーンを諦めることを決めました。

17... e6 18. Bg5 Qc8 19. Qxb7 Rb8 20. Qxc8?!


これは私にとって予想外でした。白としては勝つチャンスを多く残すには、クイーンを残しておくべきでしょう。20. Qe4!+- ならば、白はポーンアップに加えて、大きなポジショナルアドバンテージがありそうです。

20... Rfxc8 21. Be7 Bf8! 22. Bxf8 Kxf8 23. Nd2 Rxb1 24. Rxb1 cxd4 25. cxd4 Rc2



私はこれで、黒のカンウタープレーは十分なのではないかと思いました。白はまだポーンが多いですが、aポーン、dポーンがターゲットになるので、黒は十分にこれを取り返すチャンスがありそうです。しかし、Ivavov の手の作り方は非常に実戦的で感心しました。

26. Ne4 Rc4 27. Rb5! Rxd4 28. Nf6! a4


白はポーンを返しますが、f6 にナイトを置くことで、私の頭を悩ませます。検討戦でも、これを取るのはあまり黒にとって良くなさそうだと結論を出しています。28... Nxf6 29. exf6 Ke8 30. Rxa5 Rf4 31. g3!? Rxf6 32. f4! こうしてルークを閉じ込めてしまうと、ルークの働きの差で白のアドバンテージは勝ちに十分なのではないかと思えてきます。

29. Ra5 h5??



私はこのポジションで20分近くの時間を消費し、ベストの手を模索しました。a4 のポーンが落ちるのはもはや仕方ないので、どうすれば最もドローのチャンスがあるルークエンディングに持ち込めるかを考えます。29... Nxf6? 30. exf6 Ke8 31. Ra8+ Kd7 32. Rf8 Rd3 33. Rxf7+ Ke8 34. Rxh7 Rxa3 35. Re7+ Kf8 36. Rxe6 Kf7 37. Ra6+- このように、キングサイドのポーンを崩壊させるのはだめでしょう。ベストは29... Kg7! 30. Nxd7 Rxd7 31. Rxa4 Rd1+ 32. Kh2 g5! と指すことで、白がaポーン1つで勝ちに十分なのかは疑問なところです。私もこの形をイメージしていましたが、キングをg7 に上げるよりも、h5 にポーンを伸ばしている形のほうが良いのではないかと勘違いし、本譜の手を指してしましました。白の次の手は全く頭にありませんでした。

30. Ra8+ 1-0


次にRa8-Rd8 からナイトが落ちるため、ここで試合を諦めました。20分近く考えてブランダーを指し、直後の1手を見てリザインしたのは初めてのことかもしれません。大切にしなければいけないラウンドで、ひどい内容でした。続いて最終戦へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascro March, P (IM, ESP, 2426)
Winter Chess IM (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 c5 5. O-O g6 6. Nc3 Bg7 7. d4 cxd4 8. Qxd4 O-O!?



この変化を初めて研究し、実戦で指したのは5年10か月前、北千住での杉本さんとのゲームです。10月のFS でGM Gordon が指したように、黒はキャスリングを遅らせて白にBc1-Be3 を指させることで、本譜より1テンポ稼ぐのがオーソドックスなアイディアです。しかし、このポジションを改めて考え、その1テンポ得はあまり重要でない気もしてきました。

9. Qh4 d6 10. Rd1 Nbd7 11. Bh6 Rc8 12. b3 Rc5!


e3 にビショップがいなければ、c5 のマスを利用することができるのがポイントです。これに対して私は、大胆なダイレクトアタックで応戦します。

13. Ng5! Bxg2 14. Kxg2 a6 15. a4 Re8



なかなか難しいポジションになりました。白は黒のキング前にピースを集めますが、強固なディフェンスを突破するためには、あともう一歩足りていません。次にBg7-Bh8 を許すのは面倒なので、ここまでキープしてきたビショップ交換は、ここがベストのタイミングでしょう。

16. Bxg7 Kxg7 17. b4 Qa8+!


これは私が過小評価していた手で、c8 に退く前にa8 にクイーンを移動させておけば、d8 に比べてクイーンの働きは格段に向上します。

18. Kg1 Rcc8 19. Nd5 h6 20. Nf3 Nxd5



試合中、c4 のポーンをすぐに狙われたらどうするか悩んでいましたが、シンプルにナイトを退けば問題なさそうです。20... Qc6 21. Ne3= 本譜ではポーンストラクチャーが変わり、d5 にポーンが来たことで、なんとかc6 のマスを使えないかと考えましたが、それは現実的に難しい注文だったようです。

21. cxd5 Nf6 22. Qd4 Qb7 23. Rac1 Rc7 24. Rxc7 Qxc7 25. Qd3! Qb7 26. e4 e6!


これは嫌な反撃でした。この1手さえなければ、白は念願だったNf3-Nd4-Nc6 を実現させますが、eファイルからの突破と、d5 へのアタックがそれを妨害します。

27. dxe6 Rxe6 28. Nd2 Nxe4 29. Nxe4 Qxe4 30. Qxe4 Rxe4 31. Rxd6 Rxb4 32. a5 bxa5 33. Rxa6



まさかの展開ですが、前日のIvanov, J 戦で考えたルークエンディングと、ほぼ同様のポジションになりました。白はルークで黒のパスポーンを抑え、ドローを求めて戦います。

33... a4 34. h4 g5 35. h5!?


ルークエンディングにおいては、なるべくポーンを交換しておいたほうがディフェンス側にとって良いとは言いますが、ここはh6 にターゲットとなるポーンを残すほうが、黒が手を作りにくいのではないかと考えました。

35... g4 36. Kg2 Rc4 37. Kg1 Rc1+ 38. Kg2 Ra1



黒はh6 のポーンをと取られるわけにはいかないため、ひとまずキングがg7 から動けません。そこでaポーンを進めることにいしますが、a1 はルークにとって良いマスとは言えないでしょう。(最終的なa2-a1 を妨害しているため) とは言え、ここしかルークの位置はありません。

39. Kh2 a3 40. Kg2 a2 41. Kh2


ここからは白はひたすら待ちに入ります。黒ができる唯一のプランは、どこかでa2 を捨ててh5 を取るしかありませんが、片側だけに3対2のポーンが残る形のルークエンディングは、理論的にドローのはずです。

41... Kf8 42. Ra7 Ke8 43. Kg2 Kd8 44. Ra3 Kd7 45. Ra6 Kc7 46. Ra8 Kb7 47. Ra3 Kb6 48. Ra8 f6 49. Ra3 Kc5 50. Ra8 f5 51. Rc8+ Kd4 52. Rd8+ Ke5 53. Ra8



白は黒キングがb3 に寄った時点で後ろからチェックを始めても十分です。a2 のポーンによっても無駄な黒は、いよいよh5 を取りに行きます。

53... Kf6 54. Ra6+! Kg5 55. Ra5! Rb1 56. Rxa2 Rb3!


黒がチャンスを残すにはベストの手でしょう。56... Kxh5 57. f3! ならば、ドローは明らかです。私は3対2のルークエンディングで、f2 のポーンが抑え込まれていても問題なくドローに出来るのかを考えましたが、ゲーム中は結論が出ず、とにかくベストのプランを探します。

57. Ra8 Kxh5 58. Rg8!



私の考えたベストのディフェンスプランは、ルークをgファイルに回すことでキングをカットオフしてしまうことです!

58... Rf3 59. Rg7 Rc3 60. Rg8 Rc1 61. Rg7 Rc4 62. Rg8 f4 63. gxf4 Rxf4 64. Rg7 Kh4


私はキングが上がるプランは恐れていませんでした。しかし、64... Rf5 65. Kg3 でもドローになるでしょう。

65. Rg6 h5 66. Rg8 Ra4 67. Rg7 Ra5 68. Rg8 Rg5 69. Rxg5!



g,h ポーン、そしてキングの動かせるマスがない以上、黒がポジションの改善をするならばルーク交換しかありえないように見えますが、このポーンエンディングはドローです。

69... Kxg5 70. f3 Kf4 71. fxg4 hxg4 72. Kf2 g3+ 73. Kg2 Kg4 74. Kg1 Kf3 75. Kf1 g2+ 76. Kg1 Kg3 1/2-1/2


知識と経験のあるプレーヤーにとってはさほどでもないかもしれませんが、私にとってはタフなルークエンディングでした。最後のステールメイトのポジションも、基礎中の基礎ではありながら、実際に指すのはかなり久しぶりでした。8R の負けは悔しいですが、最終戦をこうして強豪IM 相手にしっかり締められたので、良しとしましょう。


12/02 20:30 R1 Cubas Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/03 20:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Sorm, D (FM, CZE, 2303) 1/2-1/2
12/04 10:00 R3 Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/04 20:30 R4 Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 0-1
12/05 20:30 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2326) 1-0
12/06 10:00 R6 Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/06 20:30 R7 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244) 1-0
12/07 20:30 R8 Ivanov, J (IM, BUL, 2368) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/08 10:00 R9 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascaro March, P (IM, ESP, 2426) 1/2-1/2


ルームメイトのPablo は結局後半4試合を全てドローで乗り切り、今大会唯一のIM ノーム獲得者となりました。他の参加者と相部屋のトーナメントというのは初めてでしたが、彼のような気さくな青年(まだ少年というべきか)と一緒だったことは、私にとって幸運だったでしょう。Pablo おめでとう! またどこかのトーナメントで会いましょう。


試合後は、再びパルマへ。スペイン広場前にはスケート場が広がっています。スケート場を見るのは昨年のロンドン以来、実際に滑ったのは、もう何年前のことかも思い出せません。


今朝になってようやく、マヨルカのカテドラル内に入ることができました。これまで見てきたどの聖堂よりも巨大で、ステンドグラスから差し込む光は幻想的です。スペインの天才建築家、ガウディーの偉業はこうして今もスペイン国内で生き続けています。


1週間、お世話になったマヨルカの空と海ともお別れです。次になる目的地であるバルセロナにこれから飛び、金曜の午前中にいよいよ、日本に帰国します! 皆さんと、また日本でお会いできることを楽しみにしています。

2013/12/07

Winter Chess IM 7th round


午前中、ルームメイトのPablo とのゲームをドローで切り上げ、午後のIM Rodriguez Lopez 戦に備えます。パルマに再び出るかと悩みもしましたが、行く手間とバス代、なにかやることはあるかと考えた末、結局ホテル近くのカフェでコーヒーとケーキで研究タイムにしました。2.35 ユーロのケーキセットは結構安いですが、なぜフォークをケーキに刺して持ってくるのでしょうか(笑)

Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244)
Winter Chess IM (7)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Na6!?



7R の対戦相手、Rodriguez Lopez はどこかで見た顔だと思っていましたが、やはりブダペストのFS GM クラスの常連でした。昨年の夏、何回か試合会場で顔を合わせています。現在はレイティングを落としていますが、調子の良い時は2500台のGM からも白星を挙げるので、油断はできない相手です。

7. e3 e6 8. Bxc4 Nb4 9. O-O Be7!? 10. Qe2 h6 11. e4 Bh7 12. Be3!?


ここはあとで考えてみれば、12. Rd1 O-O 13. Bf4 と指すべきでした。h2-b8 のダイアゴナルを抑えておくほうが、ビショップの働きは良いでしょう。

12... O-O 13. Rfd1?!



このアイディアは面白いと思ったのですが、センターポーンのほうが端ポーンよりも価値が高いという、基本的なことを見落としていました。

13... Qa5?!


13... Nxe4! 14. Nxe4 Bxe4 15. Bxh6 Bf5!= ならば、黒は不満のない展開でしょう。e4 のポーンが消えれば、d5 のマスを利用できるようになります。

14. Rac1 Rad8 15. Bb3 Rfe8?!


ここがe4 を取る最後のチャンスでした。私はf7 が弱くなったことを見て、クイーンの位置を切り替えます。

16. Qf3!+/- Rf8!? 17. h3 Nd7 18. Nc4!?



ここは時間を使ってたっぷりと考えましたが、もう1つの変化は十分に良いのか、確信が持てませんでした。18. Nxd7! Rxd7 19. d5! (早いタイミングでポジションを開いてしまいます!) 19... exd5 20. exd5 cxd5 (20... Nd3? 21. Bc2!+- この手が読めず、18. Nxd7 は切り捨てました。まさかのf5 チェックからルーク取りがあるとは...) 21. Nxd5 Nd3 (21... Nxd5 22. Rxd5 Rxd5 23. Qxd5 Qxd5 24. Bxd5+/- このポジションは白の理想通り。a7,b7,f7 にプレッシャーをかけつつ、次にc7 にルークが入れば勝勢でしょう。) 22. Bxh6!


Analysis Diagram

この手で白が良くなると読み切るには、相当な実力が必要だと思います。22... Rxd5! (22... Nxc1?! 23. Qg4! Bg6 24. Qxd7+-) 23. Bxd5 Nxc1 24. Qg4 Ne2+ 25. Qxe2 Bf6 26. Be3+/- これで何事もなく1ポーンアップです。しかし、本譜の18. Nc4 も決して悪くない1手でしょう。

18... Qc7?!


相手がノータイムでこの手を指したのを見て、目を疑いました。黒のクイーンは非常に苦しい位置にいかざるをえません。18... Qa6 19. Bf4+/-

19. Bf4! Qc8 20. Qg3!



この手も時間をかけてベストだと結論付けました。すぐにd6 のマスにナイトを入れても良さそうですが、なかなか決定打が見つかりません。そこで、b8-h2 のダイアゴナルの支配を強めつつ、h6 取りをスレットにしておきます。

20... Kh8


20... Bg6 21. Nd6 Qa8 22. Nxf7! Rxf7 23. Qxg6 Nf8 24. Qg3+- でも白勝勢です。

21. Bc7 1-0



これで白はエクスチェンジアップ確定ですが、すぐリザインするとは予想外でした。21... Re8 22. Nd6! (キングがh8 に寄ったため、Nxf7 がチェックとなるので、c7 のビショップを取れないのがポイントです。) でも、結局黒はルークを諦めざるをえません。単独2位にいたRodriguez Lopez を下し、これで私も2つ勝ち越しとなりました。現在、スペインのFM 2人に次いで、単独3位につけています。


12/02 20:30 R1 Cubas Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/03 20:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Sorm, D (FM, CZE, 2303) 1/2-1/2
12/04 10:00 R3 Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/04 20:30 R4 Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 0-1
12/05 20:30 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2326) 1-0
12/06 10:00 R6 Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/06 20:30 R7 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244) 1-0
12/07 20:30 R8 Ivanov, J (IM, BUL, 2368) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/08 10:00 R9 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascaro March, P (IM, ESP, 2426)

Ranking After 7R

Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) 5.5/7
Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) 5/7
Kojima, S (FM, JPN, 2351) 4.5/7

トップを走るPablo は、7R もイングランドのAlan と短手数ドロー。すでにIM ノームに必要な4つ勝ち越しを達成しているので、そこまで勝負にいかなくても問題ないのでしょう。8R で最下位に沈むインドのDave を下せば、最終戦を待たずにIM ノームが決まります。

意外だったのは、2位につけているベテランFM Cuadras Avellana の活躍です。私との試合では勝ちを逃しましたが、7R はIM Ivanov, J を下し、IM ノーム獲得のチャンスを十分に残しています。46歳の彼がここでIM ノーム獲得となれば、私が直接見た中でも、かなり年長のノーム獲得者となります。(最年長は今年2月のFS, Lyell Mark の51歳)

私は3つのノームをすでに達成していますが、8,9R で当たる2人のIM は調子が悪そうですので、2つとも勝って4つ目のIM ノームとなれば良いですね。まずはブルガリアのIM Ivanov, J と今夜対戦です!

2013/12/06

Winter Chess IM 5th and 6th rounds


1日2試合の3日目が終わり、4日目は再び余裕のあるスケジュールです。午前中からパルマのスペイン広場へ訪れ、屋台を見て回ってきました。以前の記事では季節に関係なくと書きましたが、やはりクリスマスのマーケットが中心のようでした。


この日は前回とは違うルートで、カテドラル方面へと向かうことにします。スペイン広場から続く大きなSant Miquel 通りでは、ノビサドでも見かけたような絵画の路上販売を発見です。


あれ、いつのまに日光東照宮に?(笑) そんなことを思って撮影してみたわけですが、調べてみてたところ「見ざる言わざる聞かざる」は、日本発祥ではないようですね。起源は諸説あるそうです。


通りをそのまま進んでいくと、こちらのマヨール広場に到着しました。ここでは大道芸や似顔絵、そしてクリスマス仕様の屋台が並んでいます。こちらの屋台のうち、日本にも行ったことがあるという、ガラスのアクセサリーを売るおばさんと話することができました。彼女曰く、バルセロナはマヨルカと並んで良い場所で、マドリードよりもベターだそうです(笑)


こちらはクリスマスギフトを売るお店。中身はキャンディーなどのお菓子です。ボールペンやキーホルダー、ちょっとしたアクセサリーなど、色々なおまけがついているところが面白いですね。


時間に余裕があればカテドラルに入っても良かったのですが、この日のMerry Alan 戦は私にとってどうしても勝ちたい一番です。試合の準備も不十分だったため、いくつかのお土産を購入するにとどめ、早めにホテルに戻ってきました。この日は私がマヨルカに到着して一番の陽気で、宿泊してるホテルのカフェテラスには、12月だというのに多くのお客さんが席を取っていました。

Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2326)
Winter Chess IM (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6



1996年生まれのAlan がKing's Indian を指してくることは予想ができましたが、Finchetto 対策が何かはデータベースを探ってもわかりませんでした。しかし、イングランドのプレーヤーの試合を見ていて、6... Nc6 のPanno Variation である気がなんとなくしていたので(根拠はありません! 長くチェスを指している者の勘です。)、試合前はこの変化をいくつかチェックしていました。

7. Nc3 e5!?


1月のBela Perenyi でも指されましたが、多少珍しい変化でしょう。以前のゲームでは格下相手に劣勢になってしまったので、それ以来十分にアイディアを復習してきました。

8. d5 Ne7 9. e4 Nd7 10. Ne1 f5 11. Nd3 h6 12. f4!?



Nf3-Ne1-Nd3 と組み直したナイトと、f2-f4 のポーンブレイクの相性は、一般的に良いとされています。白はナイトでe5 のマスに利いているので、e5 のポーンが崩れた際に、e4-e5 と突くチャンスが生まれます。(黒からのf5-f4 を一時的に止めるという狙いもあります。)

12... exf4 13. Bxf4 g5 14. Bd2 Ne5 15. Nxe5 Bxe5 16. Qh5 Kg7?!


過去の試合では、ここは16... Bg7 と退く試合しか出てきませんでした。e5 のアクティブなビショップを退くのは抵抗がありますが、f7-f5, g7-g5 まで突いている黒は、多少キングのディフェンスにも気を使わなければいけないでしょう。

17. h4!+/=



この白のアタックが有効なのか、確信は持てませんでしたが勝負にいくならばこうでしょう! h6 のポーンへの攻撃があるため、黒からはgxh4 と取りづらいのがポイントです。

17... Ng6!? 18. exf5! Bxf5 19. Be4!


単純にg5 のポーンを取りにいこうとすれば、Be5-Bd4+, Rf8-Rh8 からクイーンとキングが危険にさらされることは間違いないでしょう。そこで私は、白マスビショップを交換して黒のディフェンスをさらに弱めておき、g2 にもキングの上がれるマスを作ることにしました。

19... Qd7 20. Bxf5?



ところが、このビショップ交換が間違いでした。hファイルからのカウンターがどれほどの脅威になるか、正しく評価できずにポーンを取りをためらってしまいます。20. hxg5! hxg5 (20... Bd4+ 21. Kg2 hxg5 22. Bxf5! Rxf5 23. Bxg5+- こうなれば、白はg2 にマスを作った甲斐があります。) 21. Qxg5 Bd4+ 22. Be3!+/- 黒からBe5-Bd4+ が早く来ればg2 にキングを上げ、来ないならばg5 を取ってしまう。こんな簡単な方法で安全にポーンを取れるのは、私にとって予想外でした。

20... Rxf5 21. Ne4?!


ビショップを交換した時点では、21. hxg5 とポーンを取るつもりでしたが、指した後で21... hxg5 22. Rxf5 Qxf5 23. Rf1 Qd3 24. Qxg5 Rh8 でまずいと読みました。しかしこれには、25. Kg2!+/= という返しがあり、実際には白が優勢になります。

21... Raf8?!



彼は私よりも1時間ほど持ち時間でリードしていましたが、20分ほど悩んだ末に、この最も自然に見える手を指しました。そして、これを見て私は思うのです、まだ若いなと(笑)

私は試合後、21... Rh8! という手を彼に指摘しました。こうして一時的にh6 を守っておけば、gxh4 と黒から取るチャンスが生まれますし、なにより白からhxg5 と指しづらくなります。b2 を次にとる余裕もできるので、黒がやや優勢だったでしょう。

22. hxg5 hxg5?


彼は相当悩んだようですが、この間違ったポーンを取りを実行してきました。正しくは、22... Rxf1+! 23. Rxf1 Rxf1+ 24. Kxf1 Qf5+ 25. Nf2 hxg5 26. Qxg5 Qxg5 27. Bxg5 Bxb2 28. Nd3 Bf6 29. Be3+/= と指すべきでしょう。このエンドゲームが果たして勝てるほど白優勢なのかは、確信が持てません。

23. Nxg5!+/- Bd4+ 24. Kg2 Rf2+ 25. Rxf2 Rxf2+ 26. Kh1 Nf8



いかにも白のキングは危なく見えますが、h7 でのクイーンチェック、クイーン取りのスレットがある以上、黒はビショップを取ることはできません。1ポーンアップになった白は、ここから反撃タイムです。

27. Ne4! Rf5 28. Bh6+! Kh8


28... Kg8 29. Qg4+ Kh7 30. Kg2!+- このキングの位置は素晴らしいでしょう。f2 のマスにはナイトが利いているため、Rf5-Rf2+ が有効なディスカバードチェックになりません。最後のピースであるルークは、f1 でもh1 でも次に来られれば満足でしょう。

29. Ng5! Kg8 30. Bxf8!



このようにビショップとナイトを交換してしまうが、最も簡単な白勝ちなアイディアでしょう。e6 のマスにさえ置ければ、白のナイトは完全に黒のピースを抑え込むことになります。

30... Rxf8


30... Kxf8 31. Qg4! (私は31. Qg6 を読んでいましたが、こちらのほうが強力です。) 31... Ke8 32. Qxd4 Rxg5 33. Qh8+ Ke7 34. Rf1!+-

31. Ne6 Rf7 32. Qg6+ Rg7 33. Qd3 Bxb2 34. Rb1+-



32... Rg7 にはちょっと驚きましたが、e6 にナイトキープできていれば白が順当に勝てることは間違いありません。最後はbファイルからルークを使い、黒のキングを追い詰めます。

34... Be5 35. Rxb7 Qc8 36. Qb1 Kf7 37. Rxc7+ Qxc7 38. Nxc7 Rxg3 39. Qf5+ 1-0


途中怪しいポジションもありましたが、g5 を取ってからは順当に勝ち。これで2勝1敗2ドローで、ようやく勝ち越しに入りました。続いて今日の午前のゲームへ。相手はルームメイトのPablo です。

Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Winter Chess IM (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nf3 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. e3 e6 8. Bd3 Bxd3 9. Qxd3 Bd6 10. Bxd6 Qxd6 11. O-O O-O 12. Rfc1 Rfc8 1/2-1/2



Pablo とは何事もなくドロー。お互い、今夜の2戦目に備えます。残りは7-9R の3試合で、今大会も終了です。

Winter Chess IM Tournament Schedule

12/02 20:30 R1 Cubas Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/03 20:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Sorm, D (FM, CZE, 2303) 1/2-1/2
12/04 10:00 R3 Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/04 20:30 R4 Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 0-1
12/05 20:30 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2326) 1-0
12/06 10:00 R6 Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/06 20:30 R7 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244)
12/07 20:30 R8 Ivanov, J (IM, BUL, 2368) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/08 10:00 R9 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascaro March, P (IM, ESP, 2426)


昨夜のメインはチキンのケバブ。これまではサンドが多かったですが、パンに挟まず食べても美味しいものです。

2013/12/05

Winter Chess IM 3rd and 4th rounds


ホテルもこの日からクリスマス仕様になりました。

Winter Chess 3日目は、10時と20時半からの1日2試合スケジュールです。前日、チェコのFM と日付が変わるまで試合をしていた身としては、この午前中からのスケジュールは厳しく感じます。シャワーを浴びて朝食を摂り、不十分な準備のままで会場へと向かいます。

Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Winter Chess IM (3)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nf3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nc3 Nxc3 7. bxc3 g6 8. d4 Bg7 9. Bd3 O-O 10. O-O Nc6 11. Bg5?!



Japan League 以来となるCaro-Kann Pseudo-Panov です。この手は一見するとありそうにも思えますが、e5 のマスを先にコントロールしなければいけませんでした。11. Re1 が最も指される手で、それに対しては本譜のようにb6-Bb7 と組むのがベストだとされています。

11... b6?!


11... Qa5! (狙いはc3 取りと、Bc8-Bg4 からのg5 のビショップ取り。) 12. Bd2 e5!= こうしてe5 さえ突ければ、すでに黒のオープニングの問題は解消できています。

12. Be4 Bb7 13. Re1 Re8 14. Qa4 Qc7 15. Rad1 Rac8 16. c4 Na5 17. Bxb7 Qxb7?



17... Nxb7! 18. Rc1 e6!= 本譜では、c4-c5 と突かせるアイディアを過小評価していました。正しくはこのようにナイトをb7 退き、c4-c5d4-d5 を止めておけば、黒はさほど悪くないでしょう。

18. c5 h6?! 19. Be3?!


e7 へのプレッシャーを緩和するためにビショップを退かせてみましたが、h7-h6 を突いた直後に、ビショップをd2 に退かれるとまずいことに気づきました。19. Bd2! Qc6 20. Qxc6 Nxc6 21. d5+/- 白のパスポーンは強力で、これを捌くのは簡単ではないでしょう。

19... Qd5! 20. Rc1 Red8! 21. Rc2 g5!? 22. h3 Rc7 23. Rec1 Rdc8??



これが衝撃的なブランダーであることに、両者とも全く気付いていませんでした。23... Bf6 24. Bd2 Bxd4 25. Bxa5 bxa5 26. Qxa5 Rdc8 27. Nxd4 Qxd4 28. c6+/= ならば、白にチャンスがありそうですが、まだまだゲームは続くでしょう。

24. Bd2?


24. cxb6 Rxc2 25. Rxc2 Rxc2 26. Qe8+ Kh7 27. bxa7+- Oh... ルークを捨てるとプロモーションが止まりません。

24... e5!?


単にナイトを退いては厳しいと思いましたが、上記と同じアイディアが決まるようになります。24... Nc6 25. cxb6 axb6 26. Qb3!? (26. Qa6 Bxd4 27. Nxd4 Qxd4 28. Be3 Qd5 29. Qxb6+/- これでも黒はcファイルのピンが厳しいでしょう。) 26... Qd8 27. Qxb6+/-

25. Bxa5?



やはり白は、25. cxb6! Rxc2 26. Rxc2 Rxc2 27. Qe8+ Kh7 28. bxa7 と指して勝ちになります。

25... bxa5 26. dxe5 Rxc5 27. Rxc5 Rxc5 28. Rd1 Qe6 29. Qe4 Qc8?!


ここはお互い、一体何を考えていたのか。29... Bxe5! とポーンをかすめ取って何もありません。f7 のポーンの存在を忘れており、30. Re1 とされるとまずいと思っていました。実際はビショップが避ければOK です。

30. g4!? Rc2 31. Nd4 Rc1 32. Rxc1 Qxc1+ 33. Kg2 Qb2?!



この辺り、時間のない中で正確に指すのは難しかったです。33... Qc4! のほうが、e6 のマスを抑えつつ、ナイトもピンにしてa2 を狙えるのでベターでした。

34. a4 Qb4 35. Qa8+?!


検討で私が指摘したのは35. e6! と突く変化で、黒キングの守りを弱めてクイーンとナイトで攻めれば、実戦的には黒が正しくディフェンスするのが難しいように見えます。

35... Kh7 36. Qd5 Qxa4 37. Nc6 Qf4!



f7 を守りつつ、e5 のポーンをアタックするこのディフェンスが好手で、白に決定打を与えないようにします。

38. Qd3+ Kh8 39. Qd5 Kh7 40. Qd3+ Kh8 41. Qd8+ Kh7 42. Qd3+ 1/2-1/2


白が勝負を仕掛けるとすれば、42. Ne7 からg8 のメイトを狙うほかありませんが、これに対しては42... Qe4+ 43. Kf1 Qh1+ 44. Ke2 Qe4+ 45. Kd2 Qb4+ とし、パペチュアルチェックに持ち込むことができます。途中ひどいポジションがありましたが、なんとかこのゲームを拾って午後の4R に備えます。


2時過ぎに試合が終わり、少し余裕ができたので外のカフェでコーヒーブレイクです。次の対戦相手、インドのWIM Dave, D が指すラインを確認しつつ、Caro-Kann Advanced の各ラインを見直していました。飲み物は1.2 ユーロのエスプレッソ。この日パルマに出ていないので、お金を使ったのはこれだけです。

Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Winter Chess IM (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. c3!?



私の予想がどんぴしゃりで、過去に指していたのと同じラインを使ってきました。Caro-Kann の自信を取り戻すため、ここは勝ちに行くラウンドです。

4... e6 5. Be3 Qb6 6. Qb3 Nd7 7. Nd2 f6 8. f4 g5!


Caro-Kann のエキスパート、ハンガリーのGM Lucas, P によれば、このラインは早いポーンブレイクを入れなければ、白のスペースアドバンテージが黒にとって厄介だとのこと。h7-h5, Bf5-Bg4, Ng8-Nh6-Nf5 と指すプランもありそうですが、よりスペースを求めるために、f7-f6, g7-g5 のアイディアで白のポーンを崩しにいきます。

9. fxg5!?



この手は彼女の用意だったようですが、私はほぼノーチェックでした。9. Ngf3 gxf4 10. Bxf4 Bh6! がメインラインです。

9... fxe5 10. Be2!?


ここで相手からまさかのドローオファー。3連敗中の彼女は早くポイントが欲しかったのだと思いますが、多少知らないポジションになったからと言って、簡単に下相手にドローを受けるIM Elect は世界中のどこにもいないと彼女に教えなければいけません!

10... exd4 11. Bxd4 Qxb3 12. axb3 e5



私はこれで、すでにオープニングは満足です。黒の厚いセンターと広いスペースは、黒に十分なチャンスをもたらすでしょう。

13. Bf2


13. Rxa7 Rxa7 14. Bxa7 b6 15. Ngf3 Ne7 16. O-O Nc8 17. Ra1 Bc5+ 18. Kh1 O-O=/+ コンピュータはこのポジションをかなり考えているようですが、人間の感覚で言えば、a7 にビショップが突っ込むのは自殺行為です。(そう言いながら、初戦でa2 にクイーンを突っ込んだプレーヤーがどこかにいたような...)

13... Bd6


ここは多少迷いましたが、13... h6! 14. Ngf3 (14. gxh6 Nxh6=/+) 14... hxg5 15. O-O Nh6 16. Nxg5 Be7=/+ として、黒が少し良いようです。白のダブルポーンを解消させるべきなのか迷いましたが、g5 のポーンは重要なf6 のマスを抑えているため、これを消しておくメリットのほうが相手にパスポーンを作らせるデメリットよりも大きいようです。この辺りの判断は少し難しいですね。

14. Ngf3 Ne7 15. Bg3!? a6 16. b4 O-O-O 17. Nd4 Bc7?!



白の16手目は読み落としでしたが、冷静に考えれば白マスビショップを放棄しても黒はさほど問題がないことに気づけるはずです。私は本譜のようにBd6-Bc7-Bb6 から黒マスビショップを交換し、e3 辺りの黒マスを弱めるプランを採用しましたが、もう少し良い手がありました。17... Rdf8!(f5 に来るナイトを守ることで、Be2-Bg4 に備えつつ、f2 に下がるであろうビショップをアタックします。) 18. Nxf5 Nxf5 19. Bf2 e4!=/+ 本譜では諦めたeポーンを伸ばすプランが、ここでは有効になります。

18. Nxf5 Nxf5 19. Bf2 Rdf8!


上記と同じアイディアで、ナイトに紐をつけつつ、f2 のビショップを攻撃します。

20. g4 Nd6 21. Be3 Bb6!=/+



相手にダブルビショップを持たれている場合、1組のビショップを交換しておくのは基本的に良い戦略です。ここでは黒マスビショップを交換しておくことで、f2,e3 といったマスを弱める狙いもあります。

22. Bxb6 Nxb6 23. Nf3?


この手は私を驚かせました。e5 へのアタックは白の反撃の糸口にはなりえません。私がメインで考えていたのは、23. Rf1 Rxf1+ 24. Kxf1 Rf8+ 25. Kg2 e4 26. b3 Kd7=/+ という変化ですが、これでも黒はポーンストラクチャーの良さで、わずかなチャンスあるでしょう。

23... Nbc4 24. O-O-O Rf4!



すぐにナイトがe3 に飛び込むよりも、h8 のルークをゲームに参加させるほうが強力です!

25. h3


25. Rde1 Re8 Rhf8!!


Analysis Diagram

24... Rf4 を指した際、この手が成立するかどうかを最も慎重に読みました。f3 のナイトが逃げるようであれば、黒はe5 の守りを気にしなくても良くなるため、白が勝負にいくならば、エクスチェンジ取りでしょう。

26. b3 Rxf3! 27. Bxf3 Rxf3 28. bxc4 Rxc3+ 29. Kd2 d4!黒の2コネクテッドパスポーンは非常に強力で、エクスチェンジの代償は十分すぎるでしょう。唯一反撃できそうなのはfファイルからの侵入ですが、パスポーンのレースは圧倒的に黒が有利です。

25... Rhf8 26. Bxc4 Nxc4 27. Nd2 Nxd2! 28. Rxd2 Kd7-+



シンプルにマイナーピースをすべて交換し、黒が勝てるであろうダブルルークエンディングに突入します。ここにきて白は、序盤に崩したポーンストラクチャーが痛手となります。

29. Rg2 Rf1+! 30. Rxf1 Rxf1+ 31. Kd2 Rh1 32. Rg3


fファイルからの反撃も、黒にとっては問題ではありません。32. Rf2 Ke7 33. Rf5 e4-+

32... e4! 33. Ke3 Kd6 34. Kf4



34. g6 hxg6 35. Kf4 Rf1+ 36. Kg5 Rf3 37. Rg1 Rxh3 38. Kxg6 Ke6-+ 白はポーンを捨ててキングをアクティブにしようとしても、逆に黒のセンターポーンを抑えることができなくなるだけでしょう。

34... Rf1+ 35. Ke3 Ke5 36. h4 b6!?


残り時間は10分ほどでどう勝負を決めるか悩みましたが、シンプルにセンターの2コネクテッドパスポーンを押し進めることにしました。キングサイドは3対1 ですが、キングがアタックにもディフェンスにも使える黒は、これを何とでも捌けるでしょう。

37. h5 c5 38. bxc5 bxc5 39. g6



39. Rg2!? d4+ 40. Kd2 Rh1 41. g6 hxg6 42. hxg6 Rh6 43. g7 Rg6 44. Rh2 Rxg4 45. Rh5+ Kd6 (45... Kf4?? 46. Rh4!+- は要注意です。) 46. Rh7 Kd5 47. cxd4 cxd4 48. Ke2 Kc4-+ 最も難しいのはこちらの変化でしょうが、それでも正確に指せば黒が問題なく勝てそうです。

39... hxg6 40. h6 d4+ 41. cxd4+ cxd4+ 42. Kd2 Rh1 43. g5 Rh2+ 44. Kd1 d3 0-1


こうしてなんとかスペインでの初勝利を挙げました。私に敗れたDave はこれで今大会4連敗。2200近いレイティングを持つ彼女も、2300クラスが揃うこのIM トーナメントでは苦戦を強いられます。

Winter Chess IM Tournament Schedule

12/02 20:30 R1 Cubas Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/03 20:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Sorm, D (FM, CZE, 2303) 1/2-1/2
12/04 10:00 R3 Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1/2-1/2
12/04 20:30 R4 Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 0-1
12/05 20:30 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2326)
12/06 10:00 R6 Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2298) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/06 20:30 R7 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244)
12/07 20:30 R8 Ivanov, J (IM, BUL, 2368) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/08 10:00 R9 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascaro March, P (IM, ESP, 2426)

今日はちょうど折り返しとなる5R です。イングランドの若武者相手に勝ち越しとなる白星が取れるか、後半戦に向けて大事な一戦になりそうです。


まだ誰も手を付けていない巨大ティラミス。もちろんデザートとしていただきました。


こちらではおじさんが生ハムをせっせと切り出していました。当たり前ですが、こうして巨大な塊から少しずつ食べる量をはがしていくんですよね。スーパーなどでは、すでにパック詰めされたものばかりを見るので、こうした光景は新鮮です。
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