2013/12/31

2013年通算戦績

いよいよ2013年も最終日ということで、毎年恒例、1年の振り返りを行います。今年は昨年に引き続き、1年の約半分を海外で過ごしていました。Behind the Scene にも書かれた通り、1番印象的だったのは3つ目のノームを獲得できたこと。日本人初のIM-Elect として、今後もしっかりとプレーを続けていこうと思います。

2013年国内公式戦戦績
32勝3敗9ドロー、勝率83%
JCA レイティング変動 2395 → 2415

2013年海外公式戦戦績
59勝27敗46ドロー、勝率62%
FIDE レイティング変動 2340 → 2361


今年の国内戦績は勝率85%を切ってしまいましたね。逆に海外大会での勝率は上がっていますが、これはチェコの10勝が大きいでしょう。全体を通して、まずまずといった具合です。ベストゲームを選ぶのは難しいですが、チェコでの宿敵、カザフスタンのAbdulmalik にリベンジした試合でしょうかね。

Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Abdumalik, Z (WGM, KAZ, 2311)
Pilsen Open (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. g3 d5 4. d4 Bb4+ 5. Bd2 Be7 6. Bg2 c6 7. Qc2 O-O 8. O-O b6 9. Rd1 Nbd7 10. Bf4 Bb7 11. Ne5 Nxe5 12. Bxe5 Rc8 13. Nc3 dxc4 14. e4 Nd7 15. Bf4 b5 16. a4 b4 17. Nb1 Ba6 18. Nd2 c5 19. d5 exd5 20. exd5 Bf6 21. Ne4!


21... Bd4 22. Nd6 Ra8 23. Nf5 Qf6 24. d6 b3 25. Ne7+ Kh8 26. Qe2 Rab8 27. Nd5 Qg6 28. Nc7 Bb7 29. Bxb7 Rxb7 30. Rac1 Qf6 31. Rxc4 g5 32. Be3 Ne5 33. Rxc5 Bxc5 34. Bxc5 Nf3+ 35. Kg2 g4 36. Qe7 Kg7 37. d7 Rbb8 38. Qxf6+ Kxf6 39. Bxf8 1-0


内容以上に、トーナメントの流れの上で勝てたことが大変嬉しく、非常に思い出深いゲームでした。彼女とは互いにIM になって、どこかアジアの大会で再会したいですね。

そしてこちらのブログですが、先日総アクセス数が40万を超えました。後半の遠征中も、12月13日に帰国してからも、「いつもブログ見ています」と声をかけられることが多く、読者の皆さんには大変感謝しています。2014年も、Shinya Kojima をよろしくお願い致します。

2013/12/30

GM Heberla vs. FM Habu - Exchange Sacrifice -

すでにご存じの方も多いかと思いますが、現在ポーランドで行われている大会で、羽生さんが7年ぶりにGM から白星を挙げました。羽生さんは2面同時対局では、2011年にGM Vachier-Lagrave, 2012年にGM Short と、2700クラスのGM たちから連続でドローを取っていますが、やはりFIDE 公式戦での対GM戦勝利は特別なものです。そのため、今日はそちらのゲームを取り上げ、私なりの解説をつけようと思います。この記事を書くにあたり、棋譜を送ってくださったdecomoon さんに、深く感謝致します。

Heberla, B (GM, POL, 2561) - Habu, Y (FM, JPN, 2404)
XXIV International Chess Festival Craco (3)

1. c4 e6 2. Nc3 d5 3. e3 Nf6 4. Nf3 c6 5. b3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bb2 b6 8. cxd5 exd5 9. Nxd5!?



ポーランドの国内ランキング15位、GM Heberla は序盤早々に勝負を仕掛けます。このようなピースサクリファイスからルークを取りに行く形は、羽生さんの名前を世界のチェス界で一躍有名にした、GM Peter Wells とのゲームを彷彿とさせます。

9... cxd5 10. Qc6 Qc7 11. Qxa8 O-O


余談ですが、私がこの辺りのポジションを見て「羽生さんが速攻でエクスチェンジサクリファイスした」とツイートしたことが、将棋ファンの間で話題になったとこのこと。確かにチェス用語を知らない人にとっては、羽生さんがどんな必殺技を出したのかと気になるところでしょう(笑) 長谷川さん、わざわざ教えてくださり、ありがとうございます。

12. Rc1 Nc5 13. b4?!



この重要なポジションで、単純にピースを取ろうとするこの手が緩手であるように思えます。私が観戦していて考えた手順は、13. Bxf6! Nd3+ (13... gxf6 14. Qxd5 Nd3+ 15. Qxd3 Qxc1+ 16. Ke2 Rd8 このポジションは白がエクスチェンジアップですが、キングの位置が危なく、h1 のルークがすぐには使えないので、評価は難しそうです。) 14. Bxd3 Qxc1+ 15. Ke2 Qxh1 16. Qxd5 gxf6 17. Qxd6 Qxg2 18. Qxf6+/=


Analysis Diagram

というものです。こうして逆に白がエクスチェンジサクリファイスをし返す(正確に言えば、2回のエクスチェンジサクリファイスをし返す!) ことで、ポジションは少し落ち着き、白がやや指しやすいのではないかと思います。

13... Bd7 14. Qxf8+ Kxf8 15. Be2 Qb8 16. bxc5 bxc5


黒は結局、ナイトとルークを取らせる代わりにクイーンを取り、マテリアルを2ルーク vs. クイーンとします。この時点では黒のアクティブなクイーンと、センターに並んだポーンの力でやや黒が指しやすそうにも見えますが、まだまだ勝負はここからです。

17. Ba1 c4!?



ここは判断の難しいところ。白マスビショップを抑え込む代わりに、d4 にマスを作らせてしまいます。ここからしばらくは、優劣が大きく傾くことなく大人しくゲームが進んでいきます。

18. O-O Bf5 19. h3 Ba3 20. Rce1 Nd7 21. Nd4 Be4 22. Bg4 Nc5 23. Bf5 g6 24. Bxe4 Nxe4 25. Rb1 Qc8 26. Rfd1 Bc5 27. Nf3 Bb6 28. Bd4 Bxd4 29. Nxd4 Qa6 30. Rb2 Qf6 31. Rb8+ Kg7 32. Nf3?



ビショップを2組交換し、大人しい展開が続いていましたが、ここは白に大きなミスが出ました。この後の展開を見ると、すでに白は時間切迫だったんでしょうかね。代わりに32. f3 Nxd2 33. Rb2! (33. Rxd2? Qe5!-+) 33... c3 34. Rc2 Nc4 35. Rxc3= ならば、ドローが順当な結果でしょう。

32... g5!


d2 とf2 に弱点があり、これをナイトで狙っている黒は、重要なディフェンダーであるf3 のナイトをどかすため、自身のキング前のポーンを進めます!

33. d3 cxd3 34. Rb3 h5! 35. Rf1 g4 36. hxg4 hxg4 37. Nd4 d2



こうして7段目に強力なパスポーンを残した黒は、白の2ルークの動きを縛ります。

38. f3 g3 39. Rd1 Kh7 40. fxe4??


観客からすれば、なぜそんな手を指したのだろう? と首をかしげる1手が、GM のゲームでも飛び出します。ようやく持ち時間が増える40手目、痛恨のブランダーで勝負は幕を閉じました。

40... Qf2+ 0-1



次に41... Qe1+ として、チェックメイトです。序盤のエクスチェンジサクリファイスの派手さに目がいきがちですが、マテリアルを戻してから、崩れずに丁寧にチャンスを待ったことが、この白星の一番の要因でしょう。羽生さん、おめでとうございます!

この後、4R ではウクライナのGM Malaniuk に逆にエクスチェンジサクリファイスをされて負け。しかし、棋譜の途中に疑問な点が多く、本当に正しいのか自信がありません。こちらは確認後、機会があれば公開をしようと思います。

2013/12/29

学生選手権2013 & Yoshiharu Habu in Krakow


学生選手権2013 大会主催者と入賞者たち

今日は2つほど、大会のレポートです。まずは27日、28日の参宮橋のオリンピックセンターで開催された、学生選手権の結果から。今年は例年メインとなっている東大、慶應、上智、東北からだけでなく、チェスサークルのない大学からも多くの参加者が集まり、44名の大盛況となりました。2000オーバーも4人というレベルの高い争いを制したのは、慶應2年の小林くん。5R で篠田くんとドローにした以外、残りの5戦を勝ち切りました。私が麻布の引退を間近に控えた高校2年生の春、チェス部の新入部員として出会った小林くんが、現在は大学生のチャンピオンとは、時の流れの早さを感じます。小林くん、おめでとう!

1st Place 小林厚彦 5.5/6 (D 篠田)
2nd Place 佐藤要 5/6 (L 小林)
3rd Place 中村尚広 5/6 (D 阿部、多賀)


昨年のチャンピオン佐藤要くんは、4連勝後に小林くんに痛い負け。惜しくも3回目となる学生チャンピオンの座を逃しました。まだまだこの辺りの世代は、来年以降も学生選手権で面白い戦いを見せてくれるでしょう。2014年も後輩たちの成長を見守りつつ、彼らとのゲームを楽しみにしておこうと思います。


1年生で争う新人賞は、優勝が岸川くん、2位が平館くん、3位が福谷さんという結果でした。1年生が初参加の学生選手権で、勝ち越しというのは立派な戦績ですね! 来年からは、後輩たちも指導していかなければいけないので大変だとは思いますが、彼らには引き続き頑張ってもらいたいと思います。

続いて、昨晩から注目が集まっている、ポーランドの大会へ。



ポーランドで久々のFIDE 公式戦に参加中の羽生さんは、1,2 R で2100台に勝ち。順当なスタートを切っています。2R のゲームは羽生さんらしい力強いプレーでしたので、簡単にご紹介しておこうと思います。

Habu, Y (FM, JPN, 2404) - Ulanowski, K (POL, 2144)
XXIV International Chess Festival CRACOVIA'2013 (2)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bc4!?



アメリカのRobert James Fischer が愛したSozin Variation は、Najdorf の変化の中でも非常にシャープになるでしょう。近年の研究と統計では、黒が十分だと示されていますが、実際に指してみればやはり難しいラインです。

6... e6 7. Bb3 Be7 8. O-O O-O 9. f4 b5 10. Be3 Qc7 11. Kh1 b4!?


c3 のナイトを追い払えば、e4 のポーンの守りがなくなるので、黒はこれを取れそうに見えます。しかし、展開で勝る白は、f4-f5 から強力なキングサイドアタックを絡めることで、ポーンの代償を取れるでしょう。黒が安全に指すのであれば、11... Bb7 という手はありうるでしょう。

12. Na4 Nxe4 13. f5 d5?!



白マスビショップのダイアゴナルをカットする手として非常にナチュラルに見えますが、ここから白は完全に流れを掴みます。コンピュータでチェックした示した変化で13... e5! 14. Bd5 exd4 15. Bxd4 Bb7 16. Nb6 (16. Bxe4 Nd7=) 16... Nd7! 17. Nxa8 Bxa8 18. Bxe4 Bxe4 19. Qg4 Nf6 20. Bxf6 Bxg2+ 21. Qxg2 Bxf6 ならば、黒は十分に戦えるという評価です。しかし、本譜の13... e5 は白マスビショップのダイアゴナルを開くため、黒としては指しづらい一手でしょう。

14. fxe6 fxe6 15. Rxf8+ Kxf8


15... Bxf8 16. Nxe6! Bxe6 17. Bxd5+- このようなタクティクスは、両者にとって要チェックです。

16. Qg4 Qd6 17. Rf1+ Nf6 18. Qh3+-



白は黒キングのディフェンスを弱めたうえで、非常に攻撃的なピースの配置となっています。1ポーンアップとは言え、クイーンサイドのピースの展開を完全に遅らせてしまった黒が、このポジションを耐えるのはかなり苦しいでしょう。

18... Nc6


18... Kg8 19. Bf4! Qd8 20. Nxe6 Qd7 21. Re1+- これも抑えておくべき変化で、h7 を守ろうとキングを戻しても、別の重要なポーンが落ちるだけです。

19. Nb6 Nxd4 20. Bxd4 Rb8 21. Qxh7 Kf7 22. c4!!



今朝、このゲームを並べ直していて一番気になった手です。じっくりじっくり考えなければ、この手の狙いには気づけないですし、試合中、盤上で思いつくのはかなり難しいでしょう。

22... Rxb6


黒はエクスチェンジを捨てて厄介なナイトを取り除きにいきますが、白はこれで駒得ならば満足な流れでしょう。それでは一番気になるポーン取りではどうでしょうか。22... bxc3 23. Bc2! (c2 にビショップの退くマスを作ることが、22手目の最大の狙いです。) 22... Ke8 24. Qh8+ Bf8 25. Nxc8 Rxc8 26. Ba4+! (b3 のビショップが、c2-g6a4-e8 のダイアゴナルを柔軟に切り替わり、黒キングを攻めたてます。) 26... Kd8 (26... Kf7 27. Bxf6 gxf6 28. Qxf6+ Kg8 29. Qg6+ Kh8 30. Rf7+-) 27. Rxf6! gxf6 28. Bxf6+ Kc7 29. Be5+-


Analysis Diagram

このクイーン取りで勝負ありです。22手目のc2-c4 は、Bb3-Bc2-Bg6 からのキングへのアタックと、本譜に出るc4-c5 のポーンフォーク、そしてcxd5 からのセンターポーンの破壊の3つの狙いがある、非常に深いアイディアですね!

23. c5 Qc6 24. cxb6 Qb5 25. Rf2


エクスチェンジアップしたうえ、相手キングにいまだ強いプレッシャーをかけている白が勝つのは、もはや時間の問題でしょう。

25... Qc6 26. Bc2 Ke8 27. Qxg7 e5 28. Bxe5 Ne4 29. Rf7 Qc5 30. Ba4+ 1-0



下手をすればb3 から何もできなくなってしまうSozin の白マスビショップを、最大限に働かせた素晴らしいゲームでした。ちなみに羽生さんの対戦相手は1997年生まれ、初戦では2400台を破っている、ポーランドでも有望なジュニアプレーヤーです。

今日は1日2試合のスケジュールですが、ライブページがエラーで止まり、羽生さんのゲームがチェックできません。2番ボードでGM Heberla と激突した羽生さんは、早々にエクスチェンジを捨てて勝負に出たようですが、結果はどうなるでしょうか。ライブページの回復と、結果の報告を待とうと思います。

2013/12/27

Lesson ページ追加のお知らせ


2013年も残り1週間を切り、どんな記事を書こうかと悩んでいましたが、今日は簡単にコンテンツを追加したお知らせをしておきます。この記事の更新前に気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、左側のコンテンツ欄に、Lesson のページを追加しておきました。遥か以前に作るべきページでしたが、クリスマスに上杉くんと一緒に、ようやく完成させました(笑) 一応、下にもリンクを貼っておきますね。


これだけではちょっと寂しいので、少しおまけの話をしておきましょう。私が初めて依頼を受け、チェスを教える仕事を始めたのは、ちょうど7年前の12月に、ドーハで開催されたアジア大会が終わった直後です。以来、子供から大人まで様々な生徒さんと関わりながら、どうやってチェスを教えれば良いのか、そしてチェスを楽しいと思ってもらえるのかを考えてきました。いまだに、自分の教え方に絶対の自信があるわけではないですが、私との関わりを喜んでくれる人がそれを私に伝えてくれるたび、こうした活動を続けてきて良かったと思うのです。

年明け以降、2014年の第1の目標はレイテイング2400到達ですが、自身の実力向上だけでなく、チェスの仕事の幅を広げて、多くの人と関わっていきたいと思っています。レッスンの形式、内容については、なるべく柔軟に対応していくつもりですので、興味のある方はお気軽に相談ください。よろしくお願い致します。

2013/12/26

14th Bangkok Chess Club Open Tournament Information


パタヤの夕焼け

3日前にランタ島での大会告知を出したばかりですが、続いてタイの首都、バンコクで4月に開催される大会をお知らせします。

Tournament Name: 14th Bangkok Chess Club Open
Period: 12th April to 19th April 2014
Tournament System: 9R Swiss System
Time Control: 40手90分+30分+初手より30秒/1手
Accommodation: Dusit Thani Bangkok

会場はバンコクの中心地、シーロムに建つ5つ星の高級ホテル、デュシタニバンコクです。私はこの大会に4回参加していますが、近年はヨーロッパから強豪GM (Short, Vallejo Pons, Gustafsson など) を招くことに成功し、それに合わせてホテルのグレードも上げているようです。タイはプレーヤーのレベルがさほど高くない割に、うまく国際トーナメントを運営していると言えるでしょう。

ここ2年は私も参加できていませんが、ここ数年の大会について、簡単に記しておきます。参考にどうぞ。

2008年: バンコクで開催。井上さん、坂井延寿さんと初参加。翌年以降も参加したいと思えるクオリティーでした。
2009年: パタヤで開催。上原くんと参加し、2人とも好成績で、私はFM タイトル獲得へ前進。GM Nigel Short との初遭遇。
2010年: バンコクで開催。反首相デモの真っ最中にもかかわらず、野口さんと参加。日本の皆さんには、ずいぶんと心配されました。
2011年: パタヤで開催。高橋礼二さん、篠田くんと参加。2R で小島-高橋の日本人対決(笑)
2012年: Check Mate Lounge の準備のため、参加を断念。ゲストのGM Nigel Short が優勝。
2013年: ハンガリー遠征からの帰国直後だったため、参加を断念。

私は確定ではないですが、ランタ島とバンコク、両方に参加したいと思っています。現在考えているスケジュールは、ざっとこんな感じです。

3/26 深夜便で、羽田からバンコク経由でクラビへ。
3/27 クラビから船でランタ島へ。15時までにLanta Open 2014 にエントリー。17時から1Rスタート。
3/28-4/02 1日1試合のスケジュールで、合計7R。
4/03 ランタ島からバンコクへ。(Lanta Open のみの参加者は、この日に帰国)
4/04-4/11 バンコクで観光+友人のFM Jirapak が運営するチェススクールを見学。
4/12 正午までに、14th BCCO にエントリー。15時半から1Rスタート。(BCCO のみの参加者と、この日に合流)
4/13-4/19 13日のみ1日2試合、他は1日1試合のスケジュールで、合計9R。
4/20 日本へ帰国。

ちなみにバンコクの滞在費は、宿泊場所によって全く違います。BCCO のHP では、会場となるDusit Thani Bangkok の宿泊費は、1部屋1晩で3400バーツ(11000円程) と記されています。 交渉すれば、多少の追加費用でエキストラベッドを入れ、1人5000円程で、3人1部屋に泊まれるでしょう。

一方で、私が見つけたシーロム地区のホステルは、1人1泊700円程です(笑) ハンガリー遠征に行く前の私ならば、こういった選択肢は頭になかったでしょうね。基本的には、他に同行者がいればDusit Thani に、いなければホステルに滞在しようと思います。3月4月のタイ遠征、興味のある方は早めに私まで声をかけてください。(ちなみに、なるべく滞在費を安く済ませたい人と参加する場合、ホステルもお付き合いします。)


2013/12/25

Last Chess Events 2013 Tournament Reports


仙台へ行ったレポートは書きましたが、その後の2大会の結果については報告がまだでした。今日はそちらを簡単に書くとともに、これから始まる大会の新着情報をお届けしようと思います。

2013/12/22 朝霞チェス大会


仙台から戻った翌日、予定通り、2,3R をBye にしてこちらに参加してきました。結果は年下の大学生を相手に、1勝1敗とすっきりしない感じ。IV League は勝ったものの、これではいけませんね。日本の公式戦復帰となる来年の新年チェス大会では、もう少し気合を入れてゲームをしてこようと思います。

ちなみに上位クラスの優勝は、最終戦で私に勝った小林厚彦くんでした。私の遠征中、大学生を集めてのレクチャーやトレーニングを企画、実行しているようで、そうした活動に積極的なのは素晴らしいことだと思います。あとで触れる学生選手権でも、初の栄冠を狙ってくるでしょう。結果を楽しみにしています。(この大会、写真を完全に取り忘れたのは失敗でした。)

2013/12/23 クリスマスオープン



こちらは前夜に、コーヒーラムという未知の酒を飲まされ続けたので参加を断念(笑) 2R からの観戦コースで、4か月ぶりの蒲田に足を運びました。前日の朝霞と連続で参加するタフな面々も多い中、タイブレークで優勝を手にしたのは、私の生徒の1人である三ツ矢さんです。松戸クラブ選手権の不調でレイティング2000をわずかに割りましたが、小林くんに勝ち、FM Andrew にドローなので、次回の更新ですぐに戻るでしょう。4か月ぶりに会うメンバーも多く、参加せずとも足を運んで良かったと思っています。


UAE のWYCC は、11R中8Rが終了し、25日の今日は休憩日です。日本代表の子供たちはここまでなかなか好調で、U16 Open の真大くんは、2100台との対戦を繰り返しながらもハーフをキープ、イスタンブールでWCM のタイトルを獲得したカレンは、2つ勝ち越しで15番ボードまで上がってきています。彼らには残りは3戦、悔いのないように戦って、今年最後のチェスを締めくくってもらいたいと思います。

2013/12/26-30 North American Open



こちらも2年前の懐かしい写真です。

Tournament System: 7R Swiss System
Time Control: 40手180分+30分+10秒Delay

IV League レギュラーの吉村先輩と唐堂くんは、今日、ラスベガスに発っていきました。スケジュールは私が少し勘違いをしており、オープンクラスは今日から9R、U2300 クラス他は、明日からの7R ということらしいです。それでも多少きついスケジュールではあるので、2人とも休めるときには休んで、1試合1試合、大事に戦ってきてください。結果はChess Results ではなく、大会のHP でチェックすることになりそうです。

2013/12/27-28 学生選手権2013



Tournament System: 6R Swiss System
Time Control: 60分+30秒Fischer

仙台で言われるまで存在を忘れていたのがこちら。今年最後の国内大会は、大学生、大学院生の日本一を決める学生選手権です。公開されているエントリーリストを見ると、事前申込者は40人を超えており、大いに盛り上がることが予想されます。オリンピックセンターの部屋はパンクしないでしょうか(笑)

この大会、私は大学1年の頃に全勝優勝したものの、2年、3年では弘平くんにタイトルを譲り、4年は運営に徹して不完全燃焼でした。チャンスのある学生たちには是非とも参加してもらい、学生同士の交流を楽しんでもらいたいと思います。私は2日目、28日に顔を出す予定です。

2013/12/24

2013 Christmas Eve at 上杉家


一昨年はラスベガス、去年はブダペストで過ごしたクリスマスですが、今年は横浜の上杉家にお邪魔しています。上杉家の皆さん、前夜から急に押しかけてしまってすみません。現在進行形で、すごく楽しいパーティーが継続しています。


私と同じFM タイトルを持つ晋作くんは、数日前にバークレーの大学の試験を終え、日本に帰国しました。そんな彼と、今日チェスをしたのは昼のほんのひとときだけ。私の遠征中のゲームから、気になっていたゲームをピックアップして、アイディアを出し合いました。ポジションを見て、どのゲームかすぐ分かった人は、私のブログの素晴らしい読者ですね!

盤を使ったのはわずかな時間だけですが、他にはアメリカでのチェスのレクチャーのやり方や、コーチ業の話を聞いたり、これから私のブログに追加するレッスンページの相談、作成などを行っていました。(こちらの公開は後日のお楽しみです。) 晋作くんはチェスをもう引退したと言っていますが、チェスを忘れることは当然ありえないですし、今年はHP の立ち上げや電子書籍の販売など、日本のプレーヤーのために活動の幅を広げています。


夕飯後は、ありがたいことにクリスマスケーキまで頂きました。昨年の騒がしかったアンダンテのクリスマスに負けず、今年も楽しませてもらっています。 皆さんも、楽しいクリスマスをお過ごしください。Merry Christmas!

私はこれから、晋作くんと将棋対決の時間です(笑)

2013/12/23

Lanta Open 2014 Tournament Information


Photo by Namba

以前少し話をしていたタイのトーナメントについて、今日は詳しい告知を出しておきます。バンコクから遥か南、マレーシアにかなり近い位置に浮かぶリゾートアイランド、ランター島で来年の春にチェストーナメントが開催されます。私もこちらの大会は初めてですので、まだわからないことも多いですが、これから色々と調べて参加者を募ろうと思います。

Tournament Name: Lanta Open 2014
Period: 27th March to 2nd April 2014
Tournament System: 7R Swiss System
Time Control: 90m+30s Fischer
Accommodation: Lanta Villa Resort

この大会はチェコの都市を1年かけて巡るCzech Tour の一環で、昨年の結果を見る限り、チェコからランター島まで足を伸ばしたチェコのプレーヤーは結構いるようです。(逆に、タイのプレーヤーがほとんど参加していないのが気になりますが...) 今年は第2回の開催ということで、もう少しメンバーも増え、レベルも上がるのではないかと予想しています。

ランター島までは、バンコク経由でプーケットに飛び、そこから船でしょうかね。この辺りの情報は、チェコのトーナメントオーガナイザーにメールをして確認してみることにします。参加にあたってまず重要なのは、3月27日から4月2日までの試合期間(+移動日が前後1日ずつ)、タイに行けるかどうかです。大会のリンクはこちらに貼っておきますので、興味のある方は詳しいスケジュールや費用など、確認してみてください。

おそらく新年度の始まる直前の大学生たちは、一番行くチャンスがあるように思えます。是非一緒に参加しましょう! 私はこの大会後、バンコクに戻って友人のチェススクールを見学させてもらい、続いて4月12日からのThailand Open にも参加しようと考えています。こちらの情報は、また後日の記事で!

2013/12/22

仙台遠征 in December 2013


先日の記事で書いた通り、この連休はいくつかの場所を巡ってチェスをしています。まず初日は宮城県仙台市へ。約3年ぶりのつもりでしたが、よくよく考えてみると東北選手権に参加したのは2010年の頭なので、ほぼ4年ぶりでした。懐かしい2度目の仙台です。


仙台には始発の新幹線で早めに到着し、軽く街をぶらぶらしたり、駅構内のお土産を見ていました。(気が早い!) 一番気に入ったお菓子は、なぜか東京駅限定と書いてあります(笑) 10時頃には、来年のトロムソオリンピアード女子代表に内定している橋本さん、そして東北大学チェスサークルのメンバーたちと合流し、お昼ご飯を食べると決めた本塩釜へと移動を始めます。


お昼は、本塩釜から松島に向かう船の中での牡蠣鍋プランを、事前に橋本さんが見つけてきてくれていました。一人遅刻したサークル代表の島岡くんは、出向時刻ギリギリに滑り込み。到着がもう少しでも遅ければ、彼を置いて4人での牡蠣クルーズになっていたでしょう。


11時半に船は本塩釜を出港し、船内では早速鍋祭りが始まります。火をつけに来た係りの女性に「写真撮らなくて良いのか?」と促され、ぱしゃりと一枚。5人分の牡蠣鍋は非常にボリュームがあるうえ、これに酢牡蠣やカキフライが付きます。クルーズ中は辺りの島の説明のアナウンスが流れるわけですが、ほとんどのお客さんはこれを無視して話に花を咲かせたり、仙台の牡蠣を楽しむのに夢中のようでした。(少なくとも、私たち5人はそうでしたw)


1時間の短いクルーズを終え、到着した松島ですぐ目の前に現れれたのが、こちらの瑞巌寺です。瑞巌寺と言えば、羽海野チカのハチミツとクローバー作中で、主人公、竹本くんが自転車に乗って彷徨いついた場所です。そのことに気づいた私は、仙台駅への戻りを遅らせ、しばし松島観光へとプランを変更したのでした。(ちなみに、他の4人は誰もハチクロを知らなかったので悲しかったです...)


瑞巌寺とセットで見ておかなければいけないのは、こちらの五大堂という小さな橋です。橋の足場となる板の間のスペースが大きいことで知られていますが、実際に目にすると、ハチクロ作中の描写であったような、小学生が落ちてはまるほどの隙間ではないように思えました。それでも、隙間の大きい中央部分を、足元を見ず渡るのは勇気がいるでしょう。


松島近辺を簡単に見た後は、仙台駅に戻ってから東北大学チェスサークルの部室へ、約4年ぶりにお邪魔します。当時とは現役メンバーはずいぶん変わりましたが、懐かしいこちらの部室で、簡単な同時対局やレクチャー、ブリッツをさせていただきました。時間の経過はあっという間で、気づくと4時間半以上、この部室にお邪魔していたのでした。


仙台に来たならば、牡蠣以外にこちらも食べておかなければいけないでしょう。牡蠣と並ぶ仙台名物である牛タンは、いつ口にしても食べ応え十分で満足できます。東北大のOBで、牛タンが好物である父にお土産分を買おうかとも考えていましたが、自分が食べるのに夢中で、こちらはうっかり忘れていました。

仙台最後の食事を済ませた後は、終電の新幹線で東京へと戻っていきました。前回と違い、日帰りの突貫スケジュールでしたが、美味しい食事はできましたし、東北の若いメンバーたちとも交流できたので、仙台まで足を運んだ甲斐がありました。急な日程だったにもかかわらず、歓迎してくれた東北大の皆さんと橋本さん、本当にありがとうございました! 学生選手権で簡単なポーンエンディングを間違えたら、私のお仕置きが待っていますよ(笑)

2013/12/20

Last Chess Events in 2013


2013年も残りわずかですが、まだまだ国内外、チェスのイベントはいくつか残っています。これまで公開していなかった新情報も含め、今日の記事で全て紹介しておこうと思います。

2013/12/21 仙台へ


これは完全に個人的なことですが、明日は日帰りで仙台へ行ってきます。前々から誘いがあり、帰国前から仙台行きを検討をしていましたが、年内に実現するとは私自身驚きです(笑) 2年9か月ぶりの仙台を楽しんでこようと思います。

2013/12/22 朝霞チェス大会


Tournament System: 4R Swiss System
Time Control: 45分

翌日日曜日は、毎年恒例、朝霞チェスクラブが主催する大会があります。3月にも帰国した直後、朝霞の大会には参加してきましたが、この12月の大会は高校生以来かもしれません。恐らく2,3R をBye にして2試合だけの参加となります。参加者の皆さん、よろしくお願い致します。

2013/12/23 クリスマスオープン


Tournament System: 4R Swiss System
Time Control: 45分

さらに翌日、祝日の23日は蒲田で大会です。ジャパンリーグ以来、4か月ぶりに足を運ぶ予定の蒲田ですが、試合に参加するかどうかはまだ決めていません。それでも、遠征先のお土産を配るために顔は必ず出します。朝霞はパスするけど、蒲田には行くという方は、こちらでお会いしましょう。

2013/12/18-28 World Youth Chess Championships 2013




日本代表の子供たち7名と、コーチのGM Stojanovic,M

Tournament System: 11R Swiss System
Time Control: 40手90分+30分+30秒Fischer

海外大会の情報は、すでに試合が始まっているのWorld Youth から。UAE では無事にWYCC がスタートし、Facebook や、ケンジくんのお母さんである、ゆみさんのブログで、その様子が詳細に伝えられています。日本代表たちの結果をまとめて見たい場合、こちらをチェックしてみてください。

Chess Results を見ると、最初の2R が終わり、最年少のメイリン以外はポイントを取っているようですね。結果を見ておっ!と思ったのは、関西から海外大会初挑戦の大多和くんで、FIDE 1700台相手に連続ドローは立派な結果だと言えるでしょう。まだまだ先は長いですので、子供たちには焦らずにじっくりとポイントを重ねていってほしいと思います。メイリンも頑張れ!

2013/12/26-30 North American Open




2年前のラスベガス

Tournament System: 9R Swiss System
Time Control: 40手180分+30分+10秒Delay

一昨年は3人で参加したラスべスガスのビッグトーナメントに、今年はIV League レギュラーメンバーから、吉村先輩、唐堂くんの2人が乗り込みます。2年前と全く同じメンバーで行こうと私も誘われましたが、私は3か月の遠征から戻ったばかりということで今年はパス、2人の活躍を日本から祈ることにします。レポートは勉強のため、唐堂くんに書かせることにしましょうかね。

しかし、一昨年は7R だったのに、5日コースだと2R 増えています... この持ち時間で1日2試合が続くのは、非常にハードなスケジュールです。2人ともぶっ倒れないように気を付けてください。

2013/12/27-01/04 XXIV International Chess Festival CRACOVIA'2013, Gr-A




クラクフのフロリアンスカ通り、Wikipedia より

Tournament System: 9R Swiss System
Time Control: 40手90分+30分+30秒Fischer

昨日の記事で紹介した羽生さんが参加するポーランドの大会は、首都ワルシャワに並ぶ人気の観光都市、クラクフでの開催です。最初の3日間は将棋イベント、後半は年越ししながら9R スイス式のチェストーナメントと聞いています。私もハンガリーにいた際、友人のGajek Radslow から誘われましたが、これを蹴って帰国を選んでしまいました。今から考えると、ちょっともったいなかったかもしれませんね。

こちらはゆったりしたスケジュールで、休憩日もあるそうです。しかし、羽生さんが参加するであろうグループA は、参加者の最低が2100、平均は2259と公開されています。ラスベガスとは別の意味でハードになりそうですが、羽生さんであれば各上のマスターからもポイントを取ってくるでしょう。結果を楽しみにチェックしたいと思います。

他にもこういったイベントがある、といった情報があれば、是非お知らせください。それでも今年の残り2週間弱も、精一杯チェスを楽しんでいきましょう~。

The Highest Level Training In Japan In December 2013


昨日は4か月ぶりに羽生さんとトレーニングをしてきました。本来は南條くんが羽生さんと会う予定でしたが、急に彼の都合が悪くなったので、ピンチヒッターです。トレーニングの内容はラピッド2試合、ブリッツ2試合で、それぞれ1勝1敗でした。いつもこんな感じですね(笑) 軽く棋譜を振り返っておきましょう。

Habu, Y (FM, JPN, 2404) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Training (1)
Position After 37... Rb6

38. Nxc5 Rbc6 39. Nxe6 Rxc1 40. Nxc7 Rxf1+


黒は一時的にポーンを落としましたが、ナイトではなくビショップを取ってチェックすることで、取られたポーンを取り返すチャンスをえます。

41. Ke2 Rc1 42. Na6 Rc2+ 43. Rd2??



検討戦でもこのポジションはさらりと流したため、ブランダーであることにお互い気づきませんでした。今見るとこれはひどい...

43... Rxd2+?


43... Rc6-+ からナイトを取れば、黒の勝勢でした。この後のエンドゲームは棋譜を再現できませんでしたが、a5 のポーンをうっかり取られ、2コネクテッドパスポーンを作られて負け。こうしたワンチャンスを逃しての負けは悔しいものです。


羽生さんとのトレーニングでは、午前中に1試合、お昼を挟んで午後に2試合目というのがいつもの流れです。お肉屋さんが経営する焼肉屋は、肉の質も良いですし、リーズナブルな値段でランチを頂けます。

Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Habu, Y (FM, JPN, 2404)
Training (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 e6 5. Bg5 dxc4 6. e4 b5 7. e5 h6 8. Bh4 g5 9. Nxg5 hxg5 10. Bxg5 Nbd7 11. exf6 Bb7 12. g3 c5 13. d5 Qb6 14. Bg2 O-O-O 15. O-O b4 16. Rb1 Qa6 17. dxe6 Bxg2 18. e7 Ba8!?



Semi-Slav Botvinnik Variation は、かつて私が黒で得意とした武器です。羽生さんのチョイスである本譜の手は、白マスビショップをキープすることでh1-a8 のダイアゴナルを抑え、キングへのプレッシャーを残そうというアイディアです。初めて見るこの手に対し、10分近くの時間を消費して対抗策を考えます。

19. Qg4!?


19. Ne2 のような消極的な手では面白くないだろうと判断し、敢えてc3 のナイトも取らせて2ピースルークで勝負することにします。

19... Qc6 20. f3 bxc3 21. exd8=Q+ Kxd8 22. bxc3 Bd6 23. Bf4 Bxf4 24. Qxf4 Kc8



2ピースルークですが、白には2ポーンがあります。さらに互いにbファイル、h1-a8 にダイアゴナルを抑えて相手キングにプレッシャーをかけているので、形勢判断は難しいところでしょう。

25. Rb2 Re8 26. Rfb1?!


白が黒キングに攻撃を仕掛けるためには、bファイルを利用するのが当然だと考えていました。しかし、これは少しやりすぎで、26. Qxc4!? Ne5 27. Qf4 Nxf3+ 28. Rxf3 Qxf3 29. Qb8+ Kd7 30. Rd2+ Bd5 31. Qb5+ Kd8 32. Qb8+ Kd7 33. Qb5+= ぐらいでドローが関の山のようです。

26... Nb6?



私たちが互いに見落としていたのは、26... Qxf3! とポーンを取った後、白の攻めが続かないということです。エクスチェンジを捨ててb8 でチェックをしても、d7 に逃げたキングに追撃をかけることができません!

27. Rb5!


bファイルをふさがれても、c5 のポーンを攻撃するこの強力なアイディアが残っています。2つのcポーンが消えてしまえば、黒はキングを守りきるのが難しくなるでしょう。

27... Kb7 28. Qxc4 Qxf3 29. Qxf7+ 1-0



29... Ka6 30. Ra5+! Kxa5 31. Qxa7# で白の勝ちです。試合後は少し怪しいながらもすっきり勝ったとも思っていましたが、26手目の応酬にはやはり互いに甘い部分がありましたね。それでも、とても勉強になりました。

昼食時には、羽生さんが年末にポーランド、クラクフの大会に参加するという話を聞きました。Japan Open への参加も、その調整だったようですね。9R のFIDE 公式戦で、強いマスターたちも参加するという話ですので、是非ともノームを獲得してきてほしいと思います。そちらの大会の様子は、開始してからまたチェックしてみたいと思います。

2013/12/17

World Youth Chess Championships 2013 at Dubai


今年も世界中のユースプレーヤーを集めた世界大会がスタートします。2013年の開催地はアラブ首長国連邦のドバイ、ここに1000人を超える少年少女が集結し、明日からゲームが行われることとなります。日本代表は在住する日本、アメリカ、ブラジル、フランスなどから、計7名が参加し、すでに現地に到着している頃でしょう。

その代表の中でも、今年になって日本の国内大会で名前を聞くようになったのが、Open U14 に参加するヒーバートケンジくんです。11月にはJapan Open と松戸の両大会で好成績を収め、次回の更新で国内レイティングが1700に乗ることは間違いありません。まだ13歳の中学1年生であることを考えれば、非常に優秀な数字と言えるでしょう。私も8月から彼とオンラインでのトレーニングを始め、ハンガリーでも彼のゲームに目を通して、その成長を見守ってきました。今回のドバイのWorld Youth は、彼にとって今年最後で最大の大会となるため、満足な戦績を収められるよう期待しています。もちろん、他の日本代表の皆さんも頑張ってきてください! ドバイでの初戦は、明日の日本時間午後8時スタートです。

World Youth Chess Championships 2013

2013/12/16

The 4th IV League Tournament Report

3日ぶりの更新は、一昨日開催されたIVL の結果から。私は帰国翌日でコンディションはイマイチでしたが、馬場さん、南條くんらをうまく退け、4勝1ドローで第1回以来となる優勝を手にすることができました。しかしながら、公開できるような内容の良い棋譜はないので、各ラウンドと最終結果だけ載せておきます。

The 4th IV League 1st round

小島慎也 (FM, 2415) - 中村龍二 (2080) 1-0
井上祥 (2005) - 南條遼介 (CM, 2380) 0-1
馬場雅裕 (CM, 2254) - 唐堂 (1977) 1-0
吉村謙治 (1810) - 佐野富 (2155) 1-0

The 4th IV League 2nd round

馬場雅裕 (CM, 2254) - 小島慎也 (FM, 2415) 0-1
南條遼介 (CM, 2380) - 吉村謙治 (1810) 1-0
佐野富 (2155) - 井上祥 (2005) 0-1
中村龍二 (2080) - 唐堂 (1977) 1-0

The 4th IV League 3rd round

小島慎也 (FM, 2415) - 南條遼介 (CM, 2380) 1-0
井上祥 (2005) - 馬場雅裕 (CM, 2254) 0-1
吉村謙治 (1810) - 中村龍二 (2080) 0-1
唐堂 (1977) - 佐野富 (2155) 0-1

The 4th IV League 4th round

佐野富 (2155) - 小島慎也 (FM, 2415) 0-1
南條遼介 (CM, 2380) - 馬場雅裕 (CM, 2254) 0-1
中村龍二 (2080) - 井上祥 (2005) 1-0
唐堂 (1977) - 吉村謙治 (1810) 1-0

The 4th IV League 5th round

小島慎也 (FM, 2415) - 唐堂 (1977) 1/2-1/2
馬場雅裕 (CM, 2254) - 中村龍二 (2080) 1/2-1/2
佐野富 (2155) - 南條遼介 (CM, 2380) 0-1
井上祥 (2005) - 吉村謙治 (1810) 0-1

Final Standings

1st Place 小島慎也 (FM, 2415) 4.5/5
2nd Place 馬場雅裕 (CM, 2254) 3.5/5
3rd Place 中村龍二 (2080) 3.5/5

参加された皆さん、お疲れ様でした! 私はなんとか日本の復帰戦で崩れることなく指せたので、一安心しているところです。私が日本にいる間は、なるべく月1回の開催を目指したいところですね。次回の開催も、よろしくお願い致します。


打ち上げの主役はこの人、来年1月からロンドンに転勤となる佐野さんです。佐野さんとは麻布での合宿、高2の全日本など思い出深いゲームが多くあります。麻布学園CC 時代からお世話になった先輩が、遠い地に行ってしまうことは寂しいですが、これからは年末のLondon Chess Classic で会うことになるでしょう。ロンドンでは、ドレスデンオリンピアードでGM Vajda を破ったような、力強いプレーを期待しています!

2013/12/13

帰国報告 2013 Winter


約100日ぶりとなる、日本への帰国です。今回はハンガリー、セルビア、イタリア、チェコ、オーストリア、スペインと過去最多の6か国に足を運びました。(オーストリアは経由しただけですが) 新しいプレーヤーやオーガナイザーとの繋がりもでき、収穫の多い遠征だったと思います。

そして当たり前ですが、帰ってくると日本もすっかり冬ですね。久々に帰国すると、季節の移り変わりと時間の流れの早さに驚きます。明日はIV League、明後日は新宿で行われるピノーさんのイベントに顔を出すつもりですので、そちらに参加される方とは、再会を楽しみにしています。


成田空港まで迎えに来てくださったゆみさんからは、お祝い(ノームと帰国、両方ですかね) のチェスボード柄ケーキを頂きました。ゆみさん、ありがとうございます! 今回の遠征中、体重が少しまずいことになっていますが、それはこの際、忘れることにします(笑)

2013/12/11

2013年後半の遠征を振り返って

スペインバルセロナから2回目の更新です。無事に家に帰るまでが遠征ですが、一応試合はすべて終了しているので、今回の遠征を通して改めて感じたことや、今後のことについて、いくつか書き出してみようと思います。ちょっと長くなりそうなので、あまり興味のない人は適当に読み飛ばしてください(笑)

(1) 3つ目のIM ノームについて


今回の3か月に渡る遠征の最大の目標は、何といっても2月までの遠征で取り損ねた、3つ目のIMノームの獲得でした。すでにこちらのブログでは経緯を説明していますが、10月のFirst Saturday の最終戦で敗れたことで、一度はこの大会でのノーム獲得は無理だと思われました。しかし、ハンガリーチェス連盟の協力もあり、11月のFIDE Congress で、9R までの戦績でのノームが認められることとなり、私としては大変嬉しかったです。日本人として初めてのIM Elect になれたことは、今回の遠征の最低限のハードルクリアと言えるでしょう。今回の遠征中、たくさんの応援メッセージを送ってくださった皆さん、そしてノーム獲得が決まった11月半ばに、お祝いのメッセージを送ってくださった皆さんには、改めてこの場で感謝の言葉をお送りしたいと思います。

(2) レイティング2400到達について

こちらはノームを3つ揃えることよりも苦労しています。私が今、ノームを取れるような戦績で連続3大会をプレーできれば、レイティングは2400に到達するでしょう。しかし、良い時があれば悪い時もあるのが人間というもので、なかなかそう簡単にはいきません。実際、ノームを揃えてから2400到達までに、数年かかっているプレーヤーもいます。マヨルカの大会を終えても、私のレイティングは2350台でストップしており、残りの50弱を稼ぐにはもう少し時間が必要です。こちらは私にとって、来年クリアすべき次なる目標となるでしょう。こちらも、なるべく早くに達成したいですね。

(3) ノビサドのトーナメントについて

ノビサドの大会は初めてのセミクローズドで、IM セクションと言いながらGM がいたり、IM ノームの最低基準である平均レイティング2230を超えない可能性があったりと、なかなか怪しいシステムでした。それでも、ノビサド自体は良い街だったと思いますし、宿や値段も納得できるレベルでした。オーガナイザーのGM Sinisa も親切で良い人でしたね。今後、日本からわざわざセルビアに飛ぼうとはあまり思いませんが、ハンガリーを拠点にするのであれば、セルビアの大会は気楽に足を伸ばしやすいと思います。

(4) アグリジェントのトーナメントについて


シチリア、アグリジェントの大会は3泊4日で7R という弾丸日程でしたが、ヨーロッパの代表クラスであるGM 2人と対戦できたのは良い経験でした。(結果もついてくれば、なお良かったのですが...) そして、この大会を調べていて気づいたことですが、イタリアは意外と賞金付きのオープン大会が多く、その一部はFIDE の大会HP に掲載されていません。(ここ重要!) イタリアの大会を探すためには、こちらのHP をチェックするのが良いでしょう。

そしてもう1つ、重要なことです。イタリアで開催されている各大会の賞金額は様々ですが、おそらく優勝賞金が500ユーロを超えると、GM が参加するようになります。GM は(基本的には)チェスのプロであるため、賞金を稼ぐためにオープン大会に参加します。GM は一般的に参加費がタダですが、500ユーロ未満の優勝賞金であるならば、割に合わないと考えるGM が多いのではないでしょうか。もちろん、場所による交通費やスケジュールも関係してくるので、厳密には言い切れないですが、割と良い線をついている気がします。この辺りのことは、アメリカの大会事情に詳しい上杉くんにも聞いてみたいですね。とにかく、これから海外大会のレベルを予想する際は、優勝賞金をチェックすることは必須にしようと思っています。

(5) チェコのトーナメントについて


ブルノ、ピルゼンでの15日間、16試合は、私のこれまでの人生において最長のFIDE 公式戦連続記録でした。私の他には、カザフスタンのWIM Abdulmalik、ウクライナのIM Piankov、ロシアのGolcman らも2つのトーナメントに連続で参加しており、これはスケジュールを組んでいるオーガナイザー側の意図通りと言えるでしょう。多くの試合をまとめてこなしたいプレーヤーにとって、こうしたオーガナイザー同士が連携したトーナメントというのは、大変ありがたいものです。

さらに、これらの大会の良い点として次に挙げられるのは、参加費が安いことです。私はホテルではなくホステルに泊まったため、1大会の参加費と宿泊費は75ユーロずつほどでした。私がこれまで参加してきた大会の中でもダントツの最安値ですし、なかなかこれを下回るオープン大会を探すのは難しいと思います。ちなみにIM タイトルを獲得すれば、参加費はタダになるので、さらに安くなります。

その代り、優勝賞金はイタリアより下がり、9R のブルノで40000円程となります。シチリアのアグリジェントよりも、列車やバスが利用できるブルノ、ピルゼンのほうが交通の便は良いはずなのに、GM が参加しなかった理由がこれでしょう。GM との試合を求めるならば、こうした優勝賞金の低い大会は避け、チェコでももっと大規模な、プラハオープンなどに目をつけると良いかと思います。

(6) マヨルカのトーナメントについて


マヨルカは再びIM ノームを目指すクローズドトーナメントでしたが、ノームを目指さなくても良いということで、のびのび指すことができたような気がします。これまで公開していませんでしたが、この大会の参加費は6泊7日、朝食と夕食が付いて合計350ユーロです。私はさらにノームを達成していると理由で、50ユーロ値切り、300ユーロにしてもらいました。(ブリッツから参加したため、エキストラの2泊分をさらに払っていますが) この値段が安いか高いかの判断は人それぞれだと思いますが、マヨルカのビーチに面した四つ星ホテルが、宿泊場所+試合会場であることを考えれば、十分に安いと私は思います。おそらく、夏の観光シーズンを外しているために、実現可能な値段なのでしょう。観光客の多い真夏にこの値段であれば、完全に赤字である気がします... 値段と内容を考えれば、今後IM トーナメントを探す人には、是非お勧めしたい大会です。

そしてこの大会中、WIM Dave の母親から、現在私がいるバルセロナの夏のオープン大会は良いと勧められました。振り返れば、昨年の春に浜松の大会に参加した際も、対戦した秋山ヒメナさんから、スペインの大会は良いと言われていたのでした。スペインのオープン大会についてはまだしっかりと調べていませんが、イタリア、チェコと同様に、今後の長期遠征を考えて良い国であることは確信しています。

(7) ハンガリーを離れた理由について

ここは今日の記事でも一番大切なだと思うところです。私は3つ目のノームを達成したことで、ハンガリーのノームトーナメントにこだわる必要がなくなり、近隣の国の大会に足を運ぶようになりました。結果的にレイティングは大きく稼げませんでしたが、これは正解だったと思っています。

私がハンガリーの外に出た一番の理由は様々ですが、一番は私以外のプレーヤーも参加しやすい大会を発掘することにあります。(ノビサドとスペインはさておき) イタリア、チェコの大会はどちらも良いもので、今後、日本から団体での参加を検討する価値は十分にあるでしょう。私が経験してきた団体での海外オープン大会参加は、フランスのカペル、タイのバンコク(もしくはパタヤ)、マレーシアのクアラルンプールなどですが、ヨーロッパ方面で、もう少し数を増やしていくべきだと思っています。なんといっても、チェスはヨーロッパが本場ですからね! 私も昔は井上さん、馬場さんらに案内されて海外大会についていくだけの小僧でしたが、最近は後輩を引き連れて、こうした大会を周らなければいけない立場です。後輩たちに、勝手にここに行けというのは酷な話ですからね。そのためにも、どこのどういった大会が参加しやすいかを、自らチェックする必要があります。

最近は大学生たちの交流が盛んな割には、彼らだけで海外の大会にチャレンジしようという流れは、今のところあまり見えてないように思えます。(去年のマレーシアぐらいですかね) 私も情報の提供や、可能であれば自身の参加という形でサポートをしていくので、私よりも若い世代には、もっと積極的には海外のオープン大会に参加してほしいと思います。過去にカペルやマレーシアに参加した先輩方にも、どんどん話を聞いてみてください。チェスのレベルに関係なく、海外の大会に参加するということは、特別な経験になるはずです。

(8) 私の今後について

なんで12月中に帰ってくるの? といまだに聞かれることがありますが、これはブログにすでに書いた通り、ヨーロッパには180日中90日しか滞在してはいけないという、シェンゲン協定のためです。もう説明するのが面倒なので覚えてください(笑) これを厳密に守るならば、私は3月の半ば頃まで、ヨーロッパに戻ることはできません。南條くんからは、すぐアメリカにでも行けば? と言われましたが、いまのところそうする予定はありません。

13日の帰国後は、しばらくは日本でレッスンやレクチャーの日々に戻りつつ(依頼はいつでもどうぞ!)、次は3月末、チェコツアーの一環である、タイのLanta Open への参加を考えています。こちらはまた後日の記事で詳しく扱いますが、先に情報を知りたい方は、大会名から飛べるリンク先をチェックしてみてください。そして(7)と繋がりますが、やる気のある大学生たちと参加できれば面白いかなと考えています。もちろん社会人も歓迎ですよ!

ちょっと長くなりすぎましたが、ひとまず書きたいことは書き切りました。それでは皆さん、また12月13日以降、再び日本でよろしくお願い致します。ブログに書けない内容の裏話などは、また飲み会の席のお楽しみにということで(笑)

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