ラベル First Saturday 2012 October の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル First Saturday 2012 October の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012/10/17

The First Step to International Master


すでにTwitter とFacebook では報告をしましたが、最終ラウンドを無事にドローで終え、自身初のIM ノーム獲得となりました。IM になるためにはノームを3つ獲得する必要があるので、まずはその第一段階をクリアといったところです。日本のプレーヤーがIM ノームを獲得するのは、羽生さんがアメリカで取って以来、6年ぶりのことでしょう。本当はIM タイトルを獲得してからにすべきなのかもしれませんが、この時点でここまでの道のりを振り返っておきます。

今回のノーム獲得まで、ずいぶんと長い時間がかかりました。私がFM になったのは、2009年、大学3年の春です。その時は、これからも順調にレイティングが伸び、単発の海外大会参加を繰り返すうちに、どこかでIM ノームも取れるだろうと楽観視していました。その年のOB会では、大学在学中にIM も取りたいと大言壮語をはいたことをよく覚えています。

しかし、現実は私にとって厳しく、レイティングは伸びないどころか、昨年の夏には2300 を割る始末です。このままではダメだと思い、ブダペストに長期滞在してノームチャレンジをすると決めたのは、昨年末の事でした。ハンガリーは私の憧れであった、Leko、Polgar、Almasi らが育った国であり、そこで自分もプロへの道を切り開ければと考えたのです。

こちらに来た当初は、予定していた5月~8月のトーナメントでも、一つぐらいはノームを取れるだろうと考えていました。ところが、そうならなかったことは、皆さんもご存じの通りです。中国のXu Yi、ハンガリーのFeher Adam といった私より若いプレーヤーが、同じトーナメント内でIM ノームを獲得するのを横目に見ながら、悔しい思いを何度となく繰り返してきました。南條くんがイスタンブールオリンピアードで、ノーム達成まであと一歩に迫ったことも、私にとっては衝撃的な出来事でした。

9月に一時的に日本に帰国しましたが、諦めずにこのブダペストに戻ってきたのは、日本で応援してくれている皆さんと、こちらの生活をサポートしてくれたアンダンテの皆さんに、このままでは顔向けできないと思ったからです。そういった気持ちがうまくプレーに作用したのか、戻ってきた直後のFirst Saturday で、いきなりノームを獲得できたことは、私にとって大きな喜びです。この場を借りて、私を支えて下さった皆さんに、心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました!

今後も私のIM ノームチャレンジは続きます。次は3日後の20日から、ケチケメートのCAISSA に参加する予定です。2つ目もすぐに...とは簡単にいかないと思いますが、もちろんノームを取るつもりでいってきますので、これからも温かい目で見守っていただけると嬉しいです!

2012/10/16

FS 2012 October 9th round - Golden Victory -

10月のFirst Saturday もいよいよ大詰めです。IM ノーム獲得のために重要な一戦となる9Rは、伸び盛りのポーランドの少年、Gajek Rodoslaw との対戦です。相手の序盤のミスをとがめ、完璧な指し回しができたと自負しています。

Gajek, R (POL, 2208) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
First Saturday IM October (9)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4 Nxe4



彼が私の5R のゲームをチェックしていたかは分かりませんが、ここで前回と手を変えます。クイーンを盤上に残す展開は、多少の負けのリスクもはらむと思ったからです。

14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Qd5 16. Kb1 O-O 17. g4?!


クイーン交換が起こりうるこのようなポジションでは、g4-g5 のアイディアはうまく働きません。白は黒キングへのアタックではなく、すでにエンドゲームを見越してプランを立てるべきでした。17. Ne5 Qe4 18. Qxe4 Nxe4 19. Be3 Rfd8 20. g4 c5! Xu Yuhua - Kojima, S / 1/2-1/2 / Malaysian Open 2010

17... Qe4! 18. Qxe4 Nxe4 19. Be3 f5!=/+



ここまで来て黒の優勢を確信し、この試合を勝ちにいくことを決めました。黒はe6 に弱点を残しますが、fファイルをこじ開けることでf3,f2 をアタックします。f5-f4 からビショップを攻撃されるのも白にとって大問題で、これらの狙いに対応できる応手が白にはありません。また、g4 のポーンを崩すことで、h5 の進み過ぎたポーンが弱まるのも、黒としては大きなメリットです。

20. gxf5 Rxf5 21. Ne5 Nxf2 22. Bxf2 Rxf2 23. c4?!


白は1ポーンダウンを受け入れなければいけませんが、続くこの手が良くありません。アイディアは早めにバックランクメイトを外しておくことですが、7段目とd4 のポーンを弱めてしまいます。

23... Rd8 24. Rhe1 Bb4!?



黒マスビショップのベストスクエアは明らかにf6ですが (d4 とb2 にプレッシャーをかける)、すぐに指すとNe5-Ng4 を食らうため、一旦位置を改善します。

25. Re4 Rf5 26. Nd3 Be7!


一見、eファイルに逃げるのは、e6,e7 とターゲットが並ぶために良くないように思えます。しかし、先述の通り、ビショップのベストスクエアはf6 であり、そこにいくことができれば、e7 の位置に戻ることも問題ありません。

27. Nf4 e5-+



ナイトが侵入して来ても問題ないことを確認し、eポーンを進めます。これで致命的な2ポーン目が落ちます。

28. Ne6 Rd6 29. d5 Rxh5 30. Rg1 Bf6 31. Reg4 g5 32. Nc5 cxd5 33. cxd5 Rxd5


e6 に侵入したナイトは何の仕事も果たさず、自陣へと戻っていきます。3ポーンダウンになったこのポジションは、すでに白にとって絶望的です。

34. Ne4 Bg7 35. Rc1 Rh2 36. a3 Rd4 37. Re1 Kh7 38. Rgg1 Kg6



黒は焦る必要がないため、ゆっくりとポジションを改善していきます。

39. Re3 Rh4 40. Nc5 e4 41. Ne6 Rd6 42. Nxg7 Kxg7 43. Rc1 Rf4 44. Rc7+ Rf7 45. Rxf7+ Kxf7 46. Rxe4 h5


後はクイーンサイドの2コネクテッドパスポーンを進めていけば、何の問題もなくゲームオーバーです。

47. Kc2 h4 48. Re5 Kf6 49. Rb5 Rd7 50. Rb4 h3 51. Re4 h2 52. Re1 g4 53. Rh1 g3 0-1



この貴重な勝利で、ここまで4勝5ドローとなり、目標の4つ勝ち越しをついに達成しました!あとは今日の最終戦で、Lengyel Bela を相手にドローを取れば、私にとって初のIM ノーム獲得となります。得意相手に白ですが、最後の最後まで気を抜くことなく、良い報告ができるよう頑張ってきます!


昨晩は管理人の岡本君とタイ料理へ。久々に散財しました。

2012/10/15

FS 2012 October 8th round - Rest Round -


昨日は早々にドローにするつもりで試合に臨みました。IM ノーム獲得のために、これが吉と出るか凶と出るかは、あと2試合が終わってから分かるでしょう。


Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Nguyen Huynh Minh, H (IM, VIE, 2438)
First Saturday IM October (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Nbd7 5. Bf4 dxc4 6. e3 Nb6 7. Bxc4 Nxc4 8. Qa4+ Bd7 9. Qxc4 Bd6 10. Bg5 1/2-1/2


そして昨日は試合前、久々にブダペストに帰還したポーカープレーヤーの友人に誘われ、Four Seasons Hotel のランチビュッフェに出かけることに。世界に名だたる五つ星ホテルはすごい場所でした...


入った瞬間、他とは違った空気に触れます


レストラン前には薪で火を焚く暖炉が


メインのローストビーフはマスタードで頂きました


デザートの種類も豊富で、コンプリートするのはほぼ不可能です!

このビュッフェは日本円で3000円弱とのこと。日本で考えれば高すぎるということはないですが、1日300円生活中の身には少々きつい出費です(笑)そのため、この日はお言葉に甘えて、ご馳走になってしまいました。

10月のFirst Saturday もいよいよ残りは2試合です。最後はポーランドのGajek Radoslaw に黒、Lengyel Bela に白が待っています。Gajek は昨日、Szeberenyi に勝って、勝ち越しグループに加入してきたましたが、つけ込む隙はいくらでもありそうです。とりあえずは試合中に様子を見つつ、勝負にいくかどうかを決めるつもりです。

2012/10/14

FS 2012 October 7th round - Escape to Draw -

IM ノームのために負けが許されない7R は、相性の良いSzeberenyi との試合でしたが、序盤のちょっとしたミスからポジションが崩壊。20手を向かえず終わったかと思いましたが、私のツキと彼の不調が重なり、意外な結果となりました。

Szeberenyi, A (IM, HUN, 2365) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
First Saturday IM October (7)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Bd3 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7 9. h3 c5 10. Qe2 cxd4 11. Nxd4!?



ここはポーンで取り返してIQP ポジションにするのが自然に見えますが、ナイトももちろんあり得る選択肢です。11. exd4 Nb6 12. Bb3 Nbd5 13. Re1 b6 14. Bg5 Bb7= Kretchetov, A - Kojima, S / 1/2-1/2

11... a6 12. Rd1 Qc7?!


白が12手目を考えている間に、こちらも黒のセットアップを決めていましたが、これが大きな間違いでした。黒はクイーンサイドを組むのが遅く、a8 のルークがまだ使えないので、cファイルはクイーンにとって危険な位置です。12... e5! (私はa2-g8 のダイアゴナルとd5 のアウトポストを弱めるのが嫌でこの手を避けましたが、それは気にしすぎだったようです。) 13. Nf3 e4 14. Nd4 b5 15. Bd5 Nxd5 16. Nxd5 Bb7=/+ 確かにこうしてセンターポーンを伸ばしておけば、スペースも得られて黒は満足なポジションでした。

13. e4! Re8?



さらにおかしな手が続きます。Bc1-Bg5Nc3-d5 を気にしてe7 を守ったつもりでしたが、真に警戒すべきはcファイルからの攻撃でした。13... b5! 14. Bd5 Bb7 15. Bxb7 Qxb7 16. e5 (この手を気にしすぎましたが、実際はさほど怖くありません。) 16... Nd5 17. Nxd5 Qxd5 18. f4 Rfd8=

14. Be3+/- b5 15. Bd5 Bb7 16. Rac1


ここにきてようやく自分の間違いに気付きました。Nc3-Nd5-Nc7 からのナイトフォークがあり、e8 にルークを回したことが完全にミスになっています。

16... Nxd5 17. Nxd5 Qe5 18. Bf4



正直ここでリザインすることも考えました。もちろん白はすぐにエクスチェンジを取りにいってもOKです。18. Nc7 Qxe4 19. f3 Qe5 20. Nxa8 Bxa8 21. Nxb5 axb5 22. Rxd7 Qe6 23. Rd2+-

18... Qh5 19. Nf3?


Szeberenyi は一昨日、Nguyen Huynh Minh 相手に、純粋なエクスチェンジアップを勝てず、大変悔しい思いをしました。それが影響したのか、ここでもエクスチェンジ以上を狙ってきます。しかしここは疑うまでもなく、エクスチェンジを取って勝勢です。(Nguyen Huynh Minh Good Job!)19. Qxh5 gxh5 20. Nc7 Bxe4 (d7 のナイトが浮いているため、e7-e5 がポーンフォークにならないのが、黒としては悲しいところ。ひょっとするとSzeberenyi はそれを見落としていたのかも。) 21. Nxa8 Rxa8 22. Nc6 Bxc6 23. Rxc6+-

19... Rac8 20. Qf1?



さらに彼の不調が分かる手です。g2-g4 からクイーントラップを狙いますが、黒には十分に対処する余裕があります。代わりにcファイルを取る単純なプランで、白勝勢でした。20. Rxc8! Bxc8 21. Qc2+- (狙いは22.Nxe7+ で、黒にはこれを防ぐうまい方法がありません。)

20... Rxc1 21. Rxc1 f5


21... g5! 22. Nxg5 h6 23. Nf3 Bxd5 24. exd5 Qxd5= のほうが安全です。

22. Ne3 Nf6 1/2-1/2



受けてくれてもOK、時間を使って考えたうえ、勝負に来てくれてもOK だと思い、ここでドローオファー。相手は4分を切るまで考え、握手してきました。ここで1/2 ポイント取れたのは、純粋にラッキーだと思います。ちなみに最後のポジションの形勢がどうなのか、皆さんで考えてみてください。かなり難しいと思います。

8R は現在グループのリーダーである、ベトナムのIM Nguyen Huynh Minh と試合です。強敵相手に負けられない試合が続きますが、あと3戦集中して、なんとかトーナメントを乗り切れるよう頑張ります!

2012/10/13

FS 2012 October 6th round - Long Rook Ending -


今日はいきなり結果から書きます。Hou Qiang とのゲームは途中怪しい局面もありましたが、なんと勝ってしまいました!これで3つ勝ち越しとなり、残りは4試合です。そして遅くなりましたが、Chess Results のリンクも張っておきますので、結果詳細についてはこちらもチェックしてみてください。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Hou, Q (FM, CHN, 2339)
First Saturday IM October (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. O-O d6 6. d4 Nc6 7. Nc3 a6 8. Bf4!?



この数年で急速に人気の高まっているPonno Variation 対策で、実戦投入は初めてです。アイディアはシンプルに... e5 を止め、素早くピースを展開することにあります。

8... Rb8 9. Rc1 Bd7 10. Qd2 b5 11. Nd5 bxc4 12. Nxf6+ Bxf6 13. Rxc4 e5!?



ここまではほぼ準備どおりでしたが、この手を見てかなりの長考に入ります。白はセンターを開くべきか閉じるべきか、どちらが良いのか判断が難しいポジションです。

14. Bh6


14. dxe5 Nxe5 15. Nxe5 dxe5 16. Bh6 Be6!= このビショップでルークをアタックする手に気づき、先にビショップをh6 に入れることを決めました。

14... Re8 15. dxe5 Nxe5 16. Nxe5 Bxe5 17. b3



13手目のポジションで40分考え、このポジションはやや白が指しやすいだろうと結論付けました。b2 へのプレッシャーをかわした白は、d、c のセミオープンファイルを掴むことでチャンスを得ようとします。

17... c5 18. Rd1 Qb6 19. Bf4!


黒マスビショップの交換は、黒のいくつかのポーンやマス(d6、c5、d5 等)を弱め、白にわずかなアドバンテージを与えます。

20... Bb5 20. Re4?!



しかし、この手が間違いでした。散々悩んで諦めたビショップ交換が正解です。20. Bxe5! Rxe5 (20... Bxc4 21. Bc3 Bxe2 22. Qh6 Re5 23. Re1+/=) 21. Re4 Rxe4 22. Bxe4+/= ポーンストラクチャーの良さから、白がわずかに優勢だと判断できます。

20... Bc6 21. Rc4 Bxg2 22. Kxg2 d5!


これで黒はポーンストラクチャーの悪さを改善できました。次に23... Rcd8 があるため、白はこのポーンを取ることができません。これで黒はイコアライズできています。

23. Rc2 Rbd8 24. Rdc1 Bxf4 25. Qxf4 d4 26. Rxc5!? Rxe2



黒にセンターパスポーンを持たせるのは危険だと承知のうえ、勝負を仕掛けにいきます。しかし時間切迫で次の手を間違えてしまいました。

27. Rc7?


f7 へのアタックは有効ではありません!白はリスクを冒さず、ドローで満足すべきでした。27. Rc6 Qb7 28. Qf3 Re7 29. R6c2=

27... Qe6 28. R1c6 Qd5+ 29. Qf3 d3!


27手目の時点でこの手も受けがあると思っていましたが、全くの勘違いでした。残り時間10秒まで考え、最も粘れる手を探します。

30. Rc8 Re5??



Hou Qiang もかなり時間切迫でしたが、それにしてもこの間違いはひどい!私は白の30手目を指す以前に、黒のベストの筋に気づいていました。30... Kg7! 31. Rxd8 (31. Rc3 Qxf3+ 32. Kxf3 Rxc8 33. Rxc8 Rxa2 34. Rd8 d2 35. Ke3 Ra3 36. Rxd2 Rxb3+ 37. Kd4-/+ このエンドゲームのほうが、あるいは白にチャンスがあるか。) 31... Qxd8 32. Rc5 Re6 33. Rc1 d2 34. Rd1 f6-/+ 黒のパスポーンは落ちず、強力な武器として盤上に残ります。

31. Qxd5 Rexd5 32. Rxd8+ Rxd8 33. Rc1+/-



クイーンとルークを交換すると、全く状況が変わってしまいました。黒のパスポーンは進み過ぎで、すぐに取られる運命にあります。ここから長い長いルークエンディングが始まります。

33... Kg7 34. Rd1 Kf6 35. Kf3 Kg5 36. h3 f5 37. Ke3 Re8+ 38. Kxd3 f4


まずは無事にdポーンを回収し、時間の増加する40手目を目指します。

39. Rc1 Rd8+ 40. Ke2 fxg3 41. fxg3 Rd5 42. b4 Rd6 43. Ke3



白のプランとしては、どこかのタイミングでクイーンサイドにパスポーンを作り、それをキングでサポートできればベストです。まずはキングをなるべく前に上げていきます。

43... Kf5 44. Rc5+ Ke6 45. Ke4 Rb6 46. a3 Kd7 47. g4!



キングを十分に進めた後は、クイーンサイドからキングサイドへ注意を移します。g4-g5 までポーンを進めることができれば、h7 のポーンが固定され、黒の弱点となります。

46... Re6+ 48. Re5 Rc6 49. Kd4


49. Rd5+! Ke7 (黒はルーク交換を避けなければいけないため、cファイルにキングを逃がすことができないのがポイント) 50. Rc5+- これでルーク交換と7段目のチェックがダブルスレットとなり、簡単に勝ちでした。

49... h6 50. h4 Rf6 51. g5 hxg5 52. hxg5 Rc6



白はg5 までポーンを進め、g6 を弱点として固定しました。hポーンの交換を挟んでも、これはこれで十分に作戦成功です。黒は6段目に弱点が2つとなり、いよいよルークが6段目から離れられなくなります。白はここまで準備したうえで、クイーンサイドから仕掛けにいきます。

53. a4! Rb6 54. Kc4 Rc6+ 55. Rc5 Re6 56. b5 Re4+ 57. Kb3 axb5 58. axb5+-



白はすでにcファイルで黒キングをカットオフしているため、キングとbポーンを進めるシンプルなプランに、g6 取りを絡めて、決着をつけます。

58... Re8 59. Kb4 Re6 60. Ka5 Re8 61. b6 Kd6 62. Kb5 Re1 63. Rc6+ Kd7 64. Rxg6 Rb1+ 65. Ka6 Ra1+ 66. Kb7 Re1 67. Rg8 Re7 68. g6 Kd6+ 69. Ka8!



bポーンとキングだけでも勝つ方法はありますが、せっかくなので最後はgポーンに活躍してもらいます。

69... Kc6 70. b7 Rxb7 71. Rc8+ Kb6 72. Rb8 1-0


ルーク交換後は、gポーンをクイーンに変えるだけです。自分で言うのもなんですが、ルークエンディングをほぼミスなく、実に丁寧に指せました!おそらく森内さんからお借りした、Capablanca's Best Chess Endings と、馬場さんの勧めであったGrandmaster Chess Strategy を読んだ成果が出ているのではないかと思います。

Hou Qiang は先月IM ノームを取りましたが、今月のFS は四連敗の泥沼です。2200-2400 が揃うIM トーナメントでは、誰が沈み、誰が浮かぶかわからないのが恐ろしいところです!

そして今日は、前半戦で勝ったIM Szeberenyi と黒で対戦です。彼も一昨日、Nguyen Huynh Minh にエクスチェンジアップから勝てず、昨日はLengyel に敗れ、調子はかなり悪いようです。早めに4つ勝ち越し状態に持っていきたいところですが、あまり焦りすぎず、じっくりとしたチェスを指せればと思います。


6R も互いに勝ち、ここまでNguyen Huynh Minh と壮絶なトップ争いを繰り広げています。


昼はオムライスをいただき、今日の試合も頑張ってきます!

2012/10/12

FS 2012 October 5th round - Expert on The Caro-Kann -


前半の最終戦は、ハンガリーのベテランIM Lengyel Bela との対戦です。10試合で4つ勝ち越しがIM ノームの基準である今回、ここで勝って2つ勝ち越しにできるか、それとも1つ勝ち越しのままで前半を終えるかは、後半の戦いに大きな影響を与えます。

Lengyel, B (IM, HUN, 2252) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
First Saturday IM October (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4 O-O!?



13... Nxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Qd5 16. c4 Qe4 と指すのがメインラインですが、クイーンを盤上に残す指し方のほうが好みであるため、サブのラインをチョイスします。

14. Kb1 c5 15. c4 Qb6!?


私の好きなクイーンの位置です!b2 とd4 にプレッシャーをかけており、白がKb1 と指した後は、特に効果的だと考えています。

16. Bc3 Rad8 17. d5?!



この悪手を誘う直前の手でした。(この手が働かないことを読み切ったうえでの16...Rad8 です)白のセンターポーンは武器にはならず、単純なターゲットとなります。

17... exd5 18. cxd5 Nxe4 19. Qxe4 Bf6!


白の最も強力なピースである、黒マスビショップを交換しにいきます!

20. Bxf6 Nxf6 21. Qc4 Rfe8!-/+



黒はシンプルにオープンファイルを得ました。加えてお互いにピース交換が進めば、白のキングサイドアタックはほぼなくなり、h5、d5 が負担となる白が苦しい展開です。(かと言って、単純にg4-g5 ばかりを狙ってもうまくいかないのが、このCaro-Kann Classical の難しいところです。)

22. Rd2


22. Rhe1 Rxe1 23. Nxe1 Nxh5-/+

22... Re4! 23. Qc2 Rxd5?!


d5 のポーンはブロックしているとは言え、油断していると白の武器になる可能性があると考え、ここで早めに取りましたが、コンピュータはこの手をお気に召さない様子。確かに白の25手目を見落としており、もう少しゆっくり指すべきだったと直後に感じました。23... c4! 24. Rhd1 Qc5 25. d6 b5-/+

24. Rxd5 Nxd5 25. Rc1!



c3 でのナイトフォークがあるため、ルークを取ることはできませんが、代わりにこの強力な手がありました。c3 を守ることでルーク取りをスレットにしつつ、c5 のポーンもアタックしています。ここで20分以上を費やし、自信はないものの勝負にいく手を指します!

25... Rb4!? 26. Ne5 Qb5 27. Nd3?


これこそ期待していた悪手です。c5 をナイトでアタックすることにこだわらず、ポーンを進めておけば白はイコールに持ち込めます。27. a3! Rh4 28. Qxc5 Qxc5 29. Rxc5 Nf6 30. Rc8+ Kh7 31. Nxf7 Rxh5=

27... Re4!



c5 を取り返せてもe2 へのルークの侵入を許しては、白は再び苦しい展開となります!やはりルークはセンターで使うべきピースですね。

28. f3?


あっさり試合の終わるブランダー。Lengyel は非常に経験のあるプレーヤーですが、劣勢のポジションでの粘りが、どうもうまくありません。28. Nxc5 Re2 29. a4 Rxc2 30. axb5 Rxf2 31. Nxb7=/+

28... Re3! 29. Nxc5 Nc3+! 30. Ka1 Qxc5 31. bxc3 Qxh5 0-1



少しリザインが早い気もしますが、確かに白としては続ける気にならないのも理解できます。なにはともあれ、これで2つ勝ち越しになり、前半戦を終えました。IM ノームを真剣に考えるのは、あと3試合を終えた辺りからでも良いでしょう。勝って兜の緒を締め、今日からの後半戦も頑張ります!


試合後はビールで乾杯させていただきました。皆さん、ありがとうございます!

2012/10/11

FS 2012 October 4th round - The Latest Study of The g3 English -

ブダペストに戻ってから早一週間が経ちました。なるべく早寝早起きを心掛け、毎朝歩いているからか、体調もすこぶる良いようです。今日は棋譜紹介の前に、いくつかブダペストの写真をアップしておきます。





ブダペストの国会議事堂には、以前の4カ月で一度も足を運んでいないことに気が付きました(笑)この一週間でペスト側は大体回ったので、明日からはブダ側にも足を伸ばしてみようと思います。それでは昨日の試合へ。


4ラウンドの相手は、ポーランドから単身乗り込んできた14歳の少年、Gajek Radslaw、ポーランドのユースチーム代表の一員です。研究していた手順で優勢になったはずでしたが、肝心なところで丁寧に指すことができなかったのが残念です。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Gajek, R (POL, 2208)
First Saturday IM October (4)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Qb6 5. Nb3 e6 6. Nc3 Nf6 7. g3 Ne5 8. e4 Bb4 9. Qe2 d6



このラインはもう指すことはないだろうと思いつつ、前日の晩にKarpov の本で軽くチェックしていました。前回指したWang, Doudou とのゲームでは、最後に衝撃的なブランダーが出て敗れています。

10. f4 Nc6 11. Be3 Bxc3+ 12. bxc3 Qc7 13. Bg2 O-O 14. O-O b6 15. Nd4!? Bb7?!



事前に見ていたコンピュータのゲームでも、この手はあまり黒にとって良くないと感じました。黒はd6 を弱点として残さず、より安全に指すべきだと思います。15... Nxd4! 16. cxd4 Ba6 17. e5 Bxc4 (17... Nd5!?) 18. Rfc1 Bxe2 19. Rxc7 Nd5 20. Bxd5 exd5 21. exd6= こう進めば、間違いなくドローでしょう。

16. Nb5 Qe7 17. Rad1 Rfd8 18. Bc1!



この手の存在を知って、再びg3 のラインを試す気になりました。もちろんアイディアは、Bc1-Ba3 と組み直し、d6 のポーンを狙うことです。これに対してGajek は長考の末、次の手を指してきました。

18... a6?!


私が見てきた試合は、ほぼ18... Ne8 の一択だったため、この手は何かがダメなのだろうと考えます。最初は単純にd6 を取れば良いと思っていましたが、先まで読むとそう簡単でもないことが分かります。

19. Nxd6! Rxd6 20. Rxd6!



20. Ba3!? Rd2! 21. Qxd2 Qxa3 22. e5 Ne8 (22... Qc5+ 23. Qf2 Qxf2+ 24. Rxf2 Ng4 25. Rb2+/-) 23. Qf2! Na5 24. Bxb7 Nxb7 25. Qxb6 Qc5+ 26. Qxc5 Nxc5 27. Rd4+/= 途中の23.Qf2! が見えずに本譜をチョイスしましたが、こちらも試してみる価値のあるラインです。

20... Qxd6 21. e5 Qe7 22. exf6 Qxf6 23. Qb2!+/-


彼にとって誤算だったのは、d6 を取らせた後に、b6 が受からなくなってしまった(これが18... a6 の欠点)ことでしょう。白はcファイルにダブルポーンがあるため、そう簡単ではありませんが、ポーンアップはポーンアップです。

23... Qd8 24. Be3 Na5 25. Bxb7 Nxb7 26. Bxb6 Qd7 27. c5?



ここまでうまく指してきたはずでしたが、全てのアドバンテージを放棄してしまう手が出ます。cファイルのポーンはもう少し慎重に扱うべきでした。27. Bd4! Rc8 (27... Nd6 28. c5 Nb5 29. Bf2 Qd3 30. Rc1+/-) 28. Qe2 Nc5 29. Re1+/- すぐにパスポーンを生かすプランは見えませんが、少なくともポーンがあっさり落ちる本譜より、白に勝ちのチャンスがあることは明らかです。どうしてこう指さなかったのか、振り返ってみてもよく分かりません。

27... Rc8 28. Qf2 Qe7


27.c5 と突いた際には、f4-f5 から何かがないかを期待したのですが、クイーンをe7 に置かれては、f7 へのアタックもないのでお手上げです。

29. Rd1 Nxc5 30. Bxc5 1/2-1/2



ここで私からドローオファーをしました。以下、30... Rxc5 31. Rd8+ Qxd8 32. Qxc5 g6 とクイーンエンディングになり、ドローに落ち着くでしょう。 ここは勝ちたいラウンドでしたが、こうなってしまっては仕方がありません。また次のラウンドで勝ちを目指します。

今日は前半戦最後(ダブルラウンドロビンなので、5人と2試合ずつする)の5ラウンドです。IM Lengyel Bela は、ここまで3勝1ドローと非常に相性の良い相手なので、なんとかここで勝ちたいところ。前回はSveshnikov でドローだったので、今日はCaro-Kann を試すつもりです。
Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.