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2012/08/15

FS 2012 August final round - Too Quick End -


8月のFirst Saturday もとうとう最終日を迎えました。最終戦の相手はレイティングもほぼ同じ、IM To Nhat Minh です。開始前はタフなゲームになるかと予想していましたが、意外とあっけない結末を迎えました。

To, N (IM, HUN, 2287) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
First Saturday 2012 August IM (10)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. Bf4 Nc6 6. e3 Bf5 7. Qb3!?



To Nhat Minh は初手から何でも指すプレーヤーで、プリパレーションはほぼ当たりません。それでも、Slav Exchange はなんとなく指される予感がし、試合前に見直したラインの一つでした。

7... Na5 8. Bb5+ Bd7 9. Qa4 e6 10. Bxd7+ Nxd7 11. Nb5?


To Nhat Minh はこの悪手を、ほぼノータイムで指してきました。この手が働かないことを読んだうえで9... e6 を指したつもりだったので、それを確認しつつ、次の一手を指します。

11... Rc8=/+



ナイトフォークを防ぐために、当然の一手です。そしてこの手はディフェンスだけでなく、Rc8-Rc4 からのカウンタープレーにも役立ちます。

12. Nf3


b5 に侵入したナイトを活用するうまい手が、白にはありません。12. Nxa7 Rc4 13. Qb5 Rb4 14. Qd3 Rxb2-/+
12. Nd6+ Bxd6 13. Bxd6 Nc4! 14. Ba3 Qg5-/+


12... Rc4 13. Qd1 Qb6!



跳び込んできたナイトと、その奥にあるb2 のポーンをターゲットにすることで、黒は駒得を狙います。

14. b3?


これはあまりにお粗末な手です。c3、a3 を弱めては、ナイトがどこにも退けなくなってしまいます。14. Na3 Rc6! Rb1 Bxa3 16. bxa3 Qa6=/+ が私の読み筋で、ベターなポーンストラクチャーでc4 のコントロールを得ている黒が、楽に試合を進められそうです。

14... Rc6 15. Qd3 a6-+



これで黒は駒得確定です。白は試合を続けるためには、2ピースルークにするしかありません。

16. Nc7+ Rxc7 17. Bxc7 Qxc7 18. O-O Bd6 19. Rac1 Nc6 0-1


リザインは少し早い気もしますが、なかなか続ける気力がわかないのも理解できます。To Nhat Minh は今大会全体を通じ、あまり気迫溢れるプレーが見られなかったように思えます。

そして、これで8月のFirst Saturday も全ラウンドが終了しました。最終結果は、こちらのリンクから確認ができます。今月はIM Szeberenyi がとにかく強く、6勝4ドローの8pポイントという断トツの優勝でした。

私はと言えば、IM ノームの基準である5つ勝ち越しには届きませんでしたが、5月以来の3つ勝ち越し、そしてレイティング+18 の大幅アップです。ようやく、オリンピアード直前にこういった好成績を収めることができ、一安心と言ったところですね。3日後から始まるもう一つのIM トーナメントも勝ち越せるよう、願わくばIM ノームが取れるよう、精一杯プレーしてこようと思います。


最後にオマケ。試合がはじまってしばらくすると、数年前に来日したこともある、GM Pal Benko 氏が会場を訪れました。かなり長く私の試合を見ていたようで、結構緊張しました(笑)

2012/08/14

FS 2012 August 9th round - Immature Play -

昨日は試合前に、ブダペストの街を4時間半ほどぶらぶらと。お土産屋の並ぶバーチ通りを中心に、まだ覗いていなかった店を数多く見て回りました。


正直、この人形はちょっと・・・という感じでしたが、同行者はかなり気に入ったようです。


こちらは珍しい、石を削り出して作った(ポーンはまんま石ですね)チェス盤です。


昼時には多くのレストラン、カフェが客の呼び込みをしています。それにしても、この量はすごい。


これまであまり気付いていませんでしたが、このようなキモカワイイグッズを売る店は意外と多いようです。

目当ての物を購入し、3時半にアンダンテに戻りました。足が棒状態のまま、私にしては珍しく、ほぼノープリパレーションで試合に臨みます。


Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Teng, J (CHN, 2122)
First Saturday 2012 August IM (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c6 3. d4 d5 4. Nc3 Bf5?!



対戦相手のTeng Jiarong は先月、ハンガリーでFIDEレイティングを付けたばかりの少年です。FM クラスを2つ優勝してIM クラスに殴り込みをかけてきましたが、ここまでの戦績は1勝5敗2ドローで、流石にこのレベルに挑むのは早かったように思えます。実際、試合経験の少なさから、早い段階でミスが出ます。

5. cxd5 cxd5


5... Nxd5 がベターです。本譜のラインでは、黒がなぜ4...dxc4 と取るのが一般的なのかが、よく理解できると思います。

6. Qb3! b6


黒はb7 を守るうまい方法がありません。b7-b6 は一見シンプルな解決方法に見えますが、c6 の白マスを弱めることは黒にとって大きな痛手となります。

7. Bf4 Nc6 8. e4!



8. e3 がデータベースでは多い手でしたが、私は本譜がベストだと信じます。白はポーンを捨てることで展開を早め、黒が弱めた白マスを利用して手を作ります。以前、汐口くんとのChess.com のゲームでも、同じポジションを持った記憶があります。

8... Na5


8... dxe4 9. Bb5 exf3 (9...Bd7? 10.Ng5! e6 11.Bxc6 Bxc6 12.Nxe6!+-) 10. Bxc6+ Bd7 11. Bxf3! Rc8 12. Bb7+- これでエクスチェンジが落ち、白の勝勢です。

9. Bb5+?!


自然に見えるこの手が緩手でした。ここではすでに白は、勝負を決めることができます。9. exf5!! Nxb3 10. Bb5+ Nd7 11. axb3 a6 (私はこの時点で2ピースクイーンではダメだろうと、読みをストップさせてしまいました。)


Analysis Diagram

12. Nxd5! Ra7 13. Rxa6 Rxa6 14. Bxa6+- 白はさらにc7 でのチェックのスレットが残っており、黒は厳しい状況が続きます。

9... Bd7 10. Qa4 dxe4 11. Ne5 a6 12. Bxd7+ Nxd7 13. b4!



e4 のポーンを回収することは、このポジションではさほど重要ではありません。それよりも、c6、c7 といった弱いマスにピースを入れ、黒キングとクイーンにプレッシャーを掛け続けることのほうが大切です。

13... Nb7 14. Nc6! Qc8 15. Nd5 e5


もう一つの候補手である15... Nd6 16. Rc1 Qb7 17. Bxd6 exd6 18. O-O Rc8 19. Rfe1 f5 20. b5 axb5 21. Qxb5+- も白の勝勢です。黒は依然1ポーンアップでありながら、圧倒的な展開の遅れにより窮地に立たされています。

16. Bxe5?



9手目のタクティクスを見逃した以外、ここまでうまく指してきたはずでした。しかし、ここでポーンを取り返す駒を間違え、おかしな方向へと向かい始めます。

16. dxe5? Nbc5! 17. bxc5 Nxc5 18. Nxb6 Nxa4 19. Nxc8 Rxc8 20. Nd4 Nc5=/+ はなんと黒が優勢になります。
16. Nxe5! b5 17. Qb3 Nxe5 18. dxe5+- 正解はシンプルにc6 のナイトをどかす手で、これならば次にRa1-Rc1 が指せるため、白のアタックはさらに厚みを増すことになります。

16... b5 17. Qc2 Nxe5 18. dxe5 Nd8!



このシンプルな手を見落としていました。16手目の時点で私がメインで読んでいたのは、18... Nc5!? 19. bxc5 Qxc6 20. Qxe4 Rc8 21. O-O Bxc5 22. Rac1 で、センターのナイトの力により、これでもやや白が指しやすいと思います。

19. Rc1 Nxc6?


正直、これでまた勝勢になったと一安心しました。19... Qxc6! 20. Nc7+ Kd7 21. Nxa8 Qxa8 22. Qd2+ Ke6 23. Rd1 ならば、形勢はアンクリアーです。白はc6 のナイトを取り返す以外ないと考えたことが、彼の勘違いであり、敗因です。

20. Qxe4!+-



白は重要な1ポーンを取り、さらにはRxc6-Nf6+ のスレットを作っています。黒にはc6 のナイトを守る方法がありません!

20... Qb7 21. Rxc6 Ra7?


粘るならば、21... Rc8 22. Rxc8+ Qxc8 23. O-O+- でしょう。これでも黒には1ポーンの代償が全くなく、白は問題なく勝てそうです。

22. Nc7+ Qxc7 23. Rxc7 Rxc7 24. O-O Be7 25. Qa8+ Bd8 26. Rd1 Ke7



26... O-O 27. Qxd8!+- も絶望的です。

27. Qxa6 f6 28. Qd6+ Kf7 29. e6+ Kg6 30. g4 Kh6 31. h4 g6 32. g5+ fxg5 33. hxg5+ Kh5 34. Qh2+ Kg4 35. Rd5 Rc1+ 36. Kg2 Rc3 37. Rd4+ Kf5 38. Qf4+ 1-0


最後はキングを誘いだし、メイトに。途中、アドバンテージを失ったかと思い冷やりとしましたが、なんとか無事に勝てて良かったです。

今日はいよいよ最終戦です!相手はIM To Nhat Minh、ここまでの通算成績は私の2勝1敗と勝ち越しており、今日勝つことができれば、完全に得意な相手となるでしょう。何を指してくるか全く読めな相手なので、オープニングの用意よりも別の事に時間を割こうと思います。

そして日本ではジャパンリーグが終わったようですね。結果の情報も入ってきていますが、一応公式発表を待ってから、こちらでも記事として扱おうと思います。とりあえずは参加者の皆さん、お疲れさまでした!

2012/08/13

FS 2012 August 8th round - Dead Draw -


Mahmud, S (FM, INA, 2289) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
First Saturday 2012 August IM (8)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6


すっかりハンガリーでは、このQGD Ragozin がお馴染みになりました。黒番でここまで4試合指して、1勝3ドローです。

7. e3 O-O 8. Bd3!?



ありえない手ではありませんが、先月、Szabo Bence が指した8.Rc1 に比べれば、白はポーンを取り返すのに1テンポロスしており、黒としてはすぐに不満のない展開になると考えられます。

8... dxc4 9. Bxc4 c5 10. Rc1 cxd4


データベースではこの手一拓でしたが、クイーン交換を避けるため、10... Rd8!? もありえる手だったと思います。

11. Qxd4 Qxd4



ここでクイーンを交換するべきかは、結構悩みました。11... Qe7 12. O-O Nc6 13. Qe4 Bd7 14. Rfd1 Rad8= ならば、わずかながら白にイニシアチブがあると思います。

12. Nxd4 Bd7 13. Ke2 Nc6 14. Rhd1 Nxd4+ 15. Rxd4 Bc6 16. f3 Rfd8 17. a3 Bxc3!?



黒が勝つためには、ダブルビショップを残すのが普通でしょう。しかし、私は将来的なd4-d5 のチャンスと、白のピースのアクティビティーも十分であり、どちらにせよイコールなのではないかと思います。17... Rxd4 18. exd4 Bd6=

18. Rxd8+ Rxd8 19. Rxc3 Kf8= 20. b4 Ke7 21. Bd3 Rc8 22. Kd2 Bd7 23. Rxc8 Bxc8



ルークを交換した同色ビショップは、お互いがとんでもないミスをしない限りドローです。

24. Kc3 b6 25. f4 Kd6 26. g3 e5 27. Bc4 f6 28. Bf7 Ba6 29. Bb3 Bf1 30. Bf7 Ba6 31. Bb3 Bf1 32. Bg8 Bb5 33. Bf7 Ba6 1/2-1/2


ここまで2勝1敗5ドローで、1つ勝ち越し状態が続いています。今日はブービーに沈んでいる中国の少年が相手なので、今日こそ勝ちたいところです。



2012/08/12

FS 2012 August 7th round - Bit Better Endgame -


休み明けの7R は、5月に敗れた地元の少年、Tesik が相手です。彼も真剣にIM ノームを目指す参加者の一人だと思いますが、今月はGalyas に粉砕され、その夢を断たれています。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Tesik, C (FM, HUN, 2347)
First Saturday 2012 August IM (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 Nc6 4. g3 d5 5. d4 e6 6. cxd5 exd5



オープニングはEnglish からQGD Tarrasch へ。ここ数年で、何度かの実戦経験があります。

7. Bg2 Be6 8. O-O Be7 9. Bg5 Ne4! 10. Bxe7 Qxe7 11. Rc1 Nxc3 12. Rxc3 c4 13. b3! cxb3?!


私がメインで読んでいたのは、13... b5 14. bxc4 bxc4 15. Ne5 Nxe5 16. dxe5= という変化です。黒はプロテクテッドパスポーンを持ちますが、その代わりにd5 のポーンが弱点として残ります。

14. Qxb3 O-O 15. Rfc1+/= Rac8 16. e3 Qd7 17. Qb5 Rfd8 18. Ne1 Ne7 19. Qxd7



19. Rxc8 Rxc8 20. Rxc8+ Qxc8 21. Nd3+/= クイーンを残して戦うプランもあったでしょう。いずれにせよ、黒はd5 の孤立ポーンが長期的な弱点となるため、白はやや優勢で戦うことができます。

19... Bxd7 20. Rc7 Kf8 21. Nd3 Bc6 22. Rxc8 Rxc8 23. Nb4! Rd8 24. Nxc6 bxc6 25. Rb1



クイーンを交換した後、ポジションの特徴を変えます。白はd5 のポーンを攻められなくなりましたが、その代わりにbファイルのコントロールと、強力なビショップでアドバンテージを得ます。

25... Ke8 26. Bh3! f5 27. Bf1?!


私のアイディアは黒にf5 を突かせ、ポーンを白マスに固定させることでしたが、より効果的なプランがありました。27. g4! g6 28. Kg2+/- 白マスビショップの利きを強引にこじ開け、さらにキングが上がっていけば、白のアドバンテージは非常に大きいと判断できます。

27... Rd7 28. Ba6 Rc7 29. Rb8+ Kf7 30. a4 Ke6 31. Kg2 Kd6 32. h4 Ke6 33. Kf3 Kf6 34. Rf8+ Ke6 35. Rb8 Kf6 36. Rf8+ Ke6 37. h5!?



お互いに時間がない中、ポジション改善の方法を模索します。h4-h5 はNe7-Ng6 を防ぎますが、将来的に弱点となる可能性もあり、一長一短でしょう。しかし黒に待たれた場合、他にどこから手を作るのか、よく分かりませんでした。

37... c5!? 38. dxc5 Rxc5 39. Bb5 Rc3 40. Rd8 Rc2 41. Ra8 Rc7 42. Kf4 Rc2 43. Kf3 Rc7 1/2-1/2



間違いなく白が少し良いのですが、最後は改善の方法が分からず、ドローを受けました。

今日の相手はインドネシアのFM Mahmud Syarif (2289) です。彼の試合を調べていて、どこかで見たことのある顔だと思っていましたが、2010年のマレーシアで尚広くんに敗れた相手でした。レイティングも、ここまでの戦績も私とほぼ五分五分なので、最終順位とレイティングを賭け、面白い試合をしてこようと思います。


昨夜の夕飯は手巻き寿司のはずでしたが、私だけ海鮮丼のようにしていただきました。ハンガリーではサーモン、その他諸々の海鮮は高価ですが、かなりサービスしてもらいました。ありがとうございます。

2012/08/10

FS 2012 August 6th round - Two Knights vs. Rook -


昨日は四連敗中のスペイン人との対戦です。彼は今回のクラスの中でも、そこまで負けるほど弱いプレーヤーではありません。誰でもこうなりうるのが、(私も6月は四連敗スタートでした。)このトーナメントの恐ろしいところです。

Laliena Solanes, L (ESP, 2199) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
First Saturday 2012 August IM (6)

1. d4 d5 2. Bf4 Nf6 3. e3 c5 4. Nf3 Nc6



事前に相手がLondon System を指すことが分かっていたので、こういった手順で入ります。

5. Nbd2?!


この手は黒の次の手を過小評価しています。クイーンを出す準備をする5.c3 が自然です。

5... Qb6!


d4 とb2 がダブルアタックになっており、黒にはこれらを両方守るうまい手がありません。

6. dxc5 Qxb2 7. Rb1 Qc3 8. Bb5 e6 9. O-O Qxc5!?



9... Bxc5 10. Nb3 Be7 11. Be5 Qb4 でも、白のポーンの代償はわずかでしょう。

10. c4! dxc4?!


d5 のマスを空ければ十分と判断して、このポーンを取りましたが、展開が遅れている黒にとって、相手のピースを前進させるのはあまりに危険でした。10... Be7!= から安全にキャスリングを目指すべきでした。

11. Nxc4 Nd5 12. Be5 Bd7 13. Bd4!


このパワフルな手を過小評価していました。白はクイーンをアタックしつつ、g7 のポーンを狙うことで黒のピースの展開を邪魔します。

13... Qe7



黒は仕方なく、このマスにクイーンを逃がします。13... Nxd4? 14. Bxd7+ Kxd7 15. Nce5+ Ke8 16. exd4+-はゲームセットです。

14. e4 Nc7 15. Bxc6 Bxc6 16. Qe2 Nb5 17. Be5 Rd8 18. Na5!


18.Rfd118.a4 を最も警戒していた私にとって、この手はかなり意外でした。しかし、指されてみると嫌な手で、黒は次の19.Rxb5 の対処に困ります。

18... f6 19. Rxb5?!



彼はすでに相当時間切迫でした。一見すると2ピースとルークの交換は白に良いように思えますが、駒を捌くことは展開の遅れている黒の手助けになってしまいます。ここは一旦、19. Ba1!+/- とビショップを退くことで、白は強力なプレッシャーを残すことができます。

19... Bxb5 20. Qxb5+ Qd7 21. Qxd7+?!


ここはクイーンを交換すしかないようにも見えますが、これでは白はアドバンテージを完全に失ってしまいます。21. Qb3! b6 (21... fxe5 22. Nxe5 Qc7 23. Qb5+ Ke7 24. Nxb7+/-) 22. Nc4 Bc5 23. Bc3+/= 黒にとって、ビショップを取ってナイトを招き寄せることは大変危険です。

21... Rxd7 22. Bd4(=)



ここで相手からドローオファー。局面としては受けても良いのですが、相手の残り時間が少ないことと、盛り返している勢いを考え、試合を続けることにします。

22... Bb4 23. Nb3 Kf7 24. Be3 Rc8 25. Rb1?!


白の安全策は、お互いのaポーンを交換しておくことでしょう。25. Bxa7 Ra8= は、ほぼイコールだと思います。

25... a5 26. Nbd4?!


これも手痛いミスです。白はバックランクのスレットを早めに消しておくべきでした。26. Kf1!

26... e5 27. Nb5 Rc2 28. a3 Be7?!



ここはc5 に退いてビショップ交換をするべきかどうか迷いましたが、もっとダイレクトな好手がありました。28... Bxa3! 29. Nxa3 Rc3 30. Nb5 Rb3-+ 白はバックランクメイトがあるため、b5 のナイトを諦めるしかありません。このような、ちょっとしたタクティクスが見えなかったのは残念です。

29. g4 Bc5!?


白がバックランクを外したところで、ビショップ交換を行います。次の狙いはe4 のポーンです。

30. Bxc5 Rxc5 31. Ne1 Rc4 32. f3 Rd2!



これで少し勝てるチャンスが出てきたと思いました。白のキングはルークにカットオフされ、一段目から出ることができません。一般的に2ピースはルークよりも強いですが、ピースの配置によってはそれが逆転します。

33. Ng2 Rcc2 34. Ne3 Ra2 35. Nc3 Rab2!


ここでルークを交換しておきます。35...Rxa3?? 36.Nc4 はもちろんダメです。

36. Rxb2 Rxb2=/+



さてルークを交換したところで、改めてプランを考えます。黒は引き続き、相手キングをカットオフしているのが大きなプラスなので、それをキープしたまま、次のようなことを考えます。

① クイーンサイドでパスポーンを作る。(一般的にエンドゲームでパスポーンを作り、それをルークでサポートした場合、2ピースよりもルークが働きやすいと言われます。)

② キングサイドからキングの侵入を図る。(駒数は2ピースルークですが、白のキングは働けないので、2ナイトvsルーク+キングという構図にすれば、勝ちのチャンスは拡大します。)

③ ルークで相手のポーンを狙う。(もちろんこれには、相手の2ナイトによる反撃、そして相手キングをアクティブに指せてしまうというリスクが伴います。)

37. a4 Kg6 38. h4 h5



①のプランが止められたので、②を実行します。白はクイーンサイドでポーンの交換ができないので(黒キングの侵入を許してしまうため)、正しい指し手を見つけるのが難しくなってきます。

39. Kh1 Kh7 40. Kg1 Kg6


この辺りは勝ちのプランがはっきり分からなかったので、とりあえず持ち時間を増やします。ここで互いに30分追加です。

41. Kh1 Rf2


最初、この手でfポーンがすぐに落ち、楽に勝てるのではないかと思いました。しかし、白にも粘る手があります。

42. Ncd5! Rb2!?


42...Rxf3? 43.gxh5+ Kxh5 44.Kg2 はルークが落ちるので、黒の負けです。もう一つの候補手としては、42... Ra2!? 43. Nb6 (43. Nc3 Rd2 ならば本譜と同じ) 43... Ra3 44. Nec4 Rxf3 45. Nxa5 hxg4 46. Nxb7 Rb3 47. a5 Kh5 が挙げられ、aポーンを捨ててもこれならば勝てそうです。

43. Nc3


白はb7-b5 を止めるためにナイトを同じマスに退きます。43. Nc4 Rb1+ 44. Kg2 hxg4 45. fxg4 b5 46. axb5 Rxb5-/+ ならば、黒はパスポーンを作ることに成功し、こちらもなんとか勝てそうです。

43... Rd2!



何度か同じポジションを繰り返し、ようやく勝ちが見えてきました。正解はこのようにルークをdファイルに置き、Rd2-Rd3 を狙うことです。2つのナイトとf3、a4 をターゲットにし、白の負担を増加させます。

44. Ned5?!


最も抵抗になるのは、44.Ned1 hxg4 45.fxg4 Kf7 46.Kg1 Ke6 だと思いますが、ナイトが下がったのを見てキングがクイーンサイドに向かえば、黒はやはり大きな勝ちのチャンスがあると思われます。

44... Rf2!-+


先程とはd5 にいるナイトが逆なので、今度こそf3 のポーンを取ることができます。

45. f4?


45. Ne7+ Kf7 46. Ned5 Rxf3 47. gxh5 Rh3+ 48. Kg2 Rxh4 49. Ne3 Rxh5 50. Nc4 Rh8 51. Nxa5 Rb8-+

45... hxg4 46. fxe5 fxe5 47. Nb6 Kh5 48. Nd7 Kxh4 49. Nxe5 Kg3 50. Kg1 Rc2 0-1



最後はメイトとナイト取りのダブルスレットで勝利。途中かなり劣勢でしたが、前日は勝勢のポジションから負けたので、それの逆です。やはりチェスの勝敗は途中の形勢がどうあれ、最後まで分からないものです。

今月のIM クラスは11人のラウンドロビンなので、毎日誰かが休みになります。今日は私が休みなので、いくつかたまった仕事を片しつつ、あとで会場の様子を見に行こうと思います。休み明けの残り4試合も頑張ります!

2012/08/09

FS 2012 August 5th round Blunders In An Endgame -


5R の相手は、アメリカのU14 ランキング7位のユースプレーヤー、Wu Christpher です。怪しい序盤をきりぬけてチャンスを掴んだと思いましたが、最後には互いのブランダーが飛び交うエンドゲームになりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Wu, C (USA, 2195)
First Saturday 2012 August IM (5)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 e5 6. Nb5 Bb4+ 7. N1c3 d6!?


昨年、Grischuk がKramnik に指したラインです。この時点では黒のアイディアに気付かず、黒マスビショップをも貰えるのはありがたいと楽観視していました。

8. a3 Bxc3+ 9. Nxc3 Be6!



黒はc4 をアタックしつつ、次にd6-d5 から素早くアウトポストを消すことで、自らの弱点を解消します。そうなっては白に面白みはないので、私はここでポーンを捨てる決断をします。

10. Bg2!? Bxc4 11. Qa4 d5 12. Bg5


これで黒のセンターポーンを落ちそうですが、形を崩しても別のポーンを取ることで、黒はマテリアルのリードを保とうとします。

12... Qb6 13. Bxf6 Qxb2 14. O-O Qxc3 15. Bxg7 Rg8 16. Bh6 Rg6 17. Rfc1!? Qb3 18. Qxb3 Bxb3 19. Be3



迷った末にクイーンを交換しました。ダブルビショップが黒のポーンに圧力をかけ続けるので、うまく指し続ければ、ここから形勢はどうなるか分からないと試合中は判断しました。

19... a5?!


オープニングは満足だった黒ですが、ここでミスが出ます。この手はa5-a4 からb3 のマスを抑えることが狙いなのだと思いますが、b7、b6、a5、c5 などが弱くなり、白の反撃を許してしまいます。

20. Rc5! O-O-O 21. Bh3+ Kc7 22. Rb5 Bc4?!


ポーンを返しても、22...d4 がベターだったでしょう。黒マスビショップを失った黒は、白の黒マスの支配に苦しむことになります。

23. Bb6+ Kb8 24. Rc5!



白のダブルビショップは絶好の位置を得ました。黒はまだ1ポーンアップですが、d5、a5 などが負担となり、とても優勢とは言えません。

24... Rf8 25. e4?!


恥ずかしながら、この一手で白が優勢になったと勘違いしていました。一見するとa5、d5 が崩壊するので、白に大きなチャンスがあるように見えますが、黒のベストディフェンスが被害を最小限に食い止めます。

正解は25. Bg2! (f3 を守ることで、Nd4-Nf3+ を防ぐのも本譜との違い。) 25...Bxe2 26. Bxd5+/= で白優勢。やはり1ポーンダウンながら、白のダブルビショップは完全に盤上を支配しています。

25... Nd4! 26. Bc7+ Ka7 27. Rxa5+ Ra6



なぜか25.e4 の時点では、ルークを挟む手を読み落としていました。こうなるとd5 のポーンは取ることができず、形勢判断は非常に難しいところです。

28. Rxa6+


ここでエクスチェンジを捨てて勝負を仕掛ける28. Rxd5 Bxd5 29. exd5 f5 30. Bf1 も考えましたが、安全策を採用しました。

28... Kxa6 29. Bg2 dxe4 30. Bxe4 f5 31. Bg2 e4 32. Rd1 Bd3 33. Bf1 Nf3+ 34. Kg2 Bxf1+ 35. Rxf1 Rc8 36. Bf4 Rc3 37. Rd1!=



駒を交換し、ルークとマイナーピースのエンドゲームに突入します。ここではaポーンを守るパッシヴな手よりも、hポーンを取りにいって勝負すべきです。

37... Rxa3 38. Rd6+ Ka5 39. Rd7 Rb3 40. Rxh7 b5 41. Rf7!?


私はこういったポーンレースのスピード計算が苦手ですが、ここは直感的にf5 のポーンを取りにいく余裕があると判断しました。

41... Rd3 42. Rxf5 Ka4 43. Rf8 b4 44. Ra8+ Kb3 45. h4



黒はキングの前進によりプロモーションのサポートをしますが、黒はルークの後ろからの反撃によってそれを妨害します。そして白のhポーンもさほど遅くなく、順当に進み続ければ、プロモーションは同時であることを読みました。

45... Kc2 46. h5 b3 47. Rc8+ Kd1?


ここでルークを挟めば、白がプロモーションした際にチェックになります。(これがチェックでなければ、両者がプロモーションした後、Qg1+-Qh2+ で黒のクイーンが落ちます。)白は黒キングをパスポーンから遠ざけましたが、時間切迫でここからどう指せば良いのか、正確に読めませんでした。

48. h6?!



48. Rc1+! Ke2 49. Rb1! (このようにパスポーンを早々に前からアタックするのがポイントで、黒はルークの位置を切り替えることができません。) 49... Ne1+ 50. Kh3 Kxf2 51. h6 Rd7 52. Rb2+ Kf3 53. Rxb3+/-

48... Rd7 49. Rc1+! Ke2 50. Rb1?!


すぐにルークでポーンをアタックに行く理由はなく、50.g4! から2コネクテッドパスポーンで勝勢でした。なかなかこういったシンプルなプランを採用する決断ができず、安全策(に見えるもの)に走ってしまいます。

50... Ne1+ 51. Kh3 Rb7??



私も当然の一手だと思っていましたが、これがひどいブランダーでした。51... Nd3 52. Rxb3 Nxf4+ 53. gxf4 Kxf2= このルークエンディングはドローでしょう。

52. Rb2+?


試合後に彼に指摘されましたが、黒の大切なパスポーンはタダ落ちです。52. Rxb3 Rxb3 53. h7+-

52... Nc2 53. Be5?


言うまでもなく、ポーンを取るチャンスは残っています。なぜ試合中、このアイディアが出なかったのか不思議です。

53... Kxf2 54. Bd4+??



残り8秒で指したこの手が、全てを壊しました。次に黒がパスポーンを進める当然の一手が、なぜか見えていなかったのです。54. g4 e3 55. Bg3+ Kf3 56. Rxb3 +- ならば、まだ白勝ちです。

54... e3 55. g4 Kf3 56. g5 Nxd4 57. g6 Ne6 58. Kh4 Rb4+ 59. Kh5 Rb5+ 60. Kh4 Nf4 61. g7 Rh5# 0-1


昨日はこの敗戦のショックが大きかったですが、今日になってようやくこの棋譜を見直すことができました。気を取り直して今日のスペイン人との試合に備えようと思います。彼はここまで四連敗中で、今度こそしっかりと勝ちたいところです。


久々にアンダンテの昼食を公開。アボカドと牛肉がふんだんに使われており、味付けは醤油とワサビです。料理を作ってくれる護さんには、いつもお世話になっています。

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