2017/08/30

Saturday Lecture on 9th September 2017


Tarrasch, S - Allies
Naples 1914
White to move

【日時】 2017年9月9日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Silent Moves
【テーマ詳細】

派手なサクリファイスやメイティングアタックによって決着がつく試合は、見ていて面白く、印象に残りやすいと思います。ここ2回のレクチャーではそうしたゲームを扱ってきましたが、9月のレクチャーではそうした派手さのない、おとなしい手がもたらす決着というものをお見せしたいと思います。ピースが何の変哲もない場所に動く、ポーンが1つ前進する。そうした手が決定打になるゲームの面白さを感じてみましょう。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2017/08/27

国内レイティング S114

2か月ぶりに国内のレイティングが更新されました。今回はサマーオープン、ジュニア、小学生、シニア、女子選手権、そしてジャパンリーグと、東京での公式戦の数が多く、試合をこなしたプレーヤーも多かったと思います。変動のあったプレーヤーのうち、上位勢は以下の通りです。(ジャパンリーグで仮レイティングの付いた、Xu Yinglun とXu Yi は除いています。)

Tran Thanh Tu 2505 +2 b
小島慎也 2496 +3 b
南條遼介 2437 -10
青嶋未来 2403 +6
馬場雅裕 2396 +33 b
Alexander Averbukh 2330 -8
山田弘平 2287 +14 b


今回はベストレイティングを更新したプレーヤーが多かったですね。ジャパンリーグで優勝した馬場さんは、FIDE と同じくらいレイティング上げ、2400が目前となっています。私も2500まであと一歩、今年中に乗せることを目標に頑張ります! リストにないプレーヤーは、いつものように松戸チェスクラブのHP でレイティングが確認できますので、こちらもチェックしてみてください。

私は9月10月、クラブ選手権と東京オープンには参加しないため、名古屋で2大会のみとなりそうです。そちらの大会に参加されるプレーヤーの皆さんは、よろしくお願い致します。

2017/08/21

国際親善チェス大会 in 新潟 2017 Tournament Report


昨日、新潟市の天寿園で開催された国際親善チェス大会 in 新潟 2017 に参加してきました。この大会は新潟チェスクラブが主催するもので、今年で13回目を迎えます。一般の参加者は80名ほどで、A~Dの各クラス上位5名の入賞者が呼ばれる表彰式は壮観です。Aクラス優勝のAlex を始め、各クラスの入賞者の皆さん、おめでとうございます!

私はAクラスのさらに上、Sクラスと呼ばれる日本選抜4名のチームに入り、中国からのゲスト4名との45分指し切り対抗戦に参加してきました。今夜の記事では、私が参加したこちらの対抗戦の様子を中心にお届けしようと思います。今年の日本選抜のメンバーと、中国からのゲストは以下の通りです。

羽生善治 (FM, JPN, 2399)
小島慎也 (IM, JPN, 2401)
南條遼介 (IM, JPN, 2338)
青嶋未来 (JPN, 2257)

Yu Shaoteng (GM, CHN, 2469)
Xiu Deshun (GM, CHN, 2532)
Chen Qi (CHN, 2345)
Yu Kaifeng (FM, CHN, 2389)


日本のメンバーはIM の私と南條くん、将棋棋士の羽生さんと青嶋くんの4名です。去年のメンバーから馬場さんが抜け、代わりに私が入る構成になっています。一方で中国のメンバーは経験豊富なGM 2人、そして注目の若手2人という構成です。14歳のYu Kaifeng は、中国でU12 からU14 まで3連覇中の天才少年で、今後の成長が大きく期待されています。


オリンピアード同様、このように4つの席を並べて試合を行います。初戦は日本チームが全員白を持ちますが、残念ながら全員が負け... 厳しいスタートとなります。昼食後にスタートした2R は日本側が全員黒でしたが、南條くんが見せてくれました。

Yu Kaifeng (FM, CHN, 2389) - Nanjo, R (IM, JPN, 2338)
Niigata (2)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Nd7 4. d4 cxd4 5. Qxd4 a6 6. Bxd7+ Bxd7 7. Nc3 e5 8. Qd3 h6 9. O-O Nf6 10. a4 Rc8 11. Rd1 Be7 12. Nd2 Bg4 13. Re1 O-O 14. Nc4 Be6 15. Ne3 Qd7 16. a5 Bd8 17. Rd1 Rc6 18. Ncd5 Qc8 19. c4 Ng4 20. b3 Nxe3 21. Bxe3 f5 22. Nb4 Rc7 23. exf5 Bxf5 24. Qxd6 Be7 25. Qd2 Bxb4 26. Qxb4 Be4!



Yu Kaifeng の棋譜を見ると1. d4 が中心だと思っていましたが、今回は1. e4 できました。序盤、巧みな指しまわしで黒のポーンを奪いますが、ここから南條くんは反撃に出ます。

27. h3 Qf5 28. Kh2 Qg6 29. f3?


やや不自然ではあっても、ここは29. Rg1 と指しておけばまだ白が優勢でした。私は隣のボードでこの試合を見ており、このタイミングがチャンスだと感じていました。

29... Bxf31 30. gxf3 Rxf3 31. Rg1 Qh5 32. Rg3 Rxg3 33. Kxg3 Rf7!-+



f3 でビショップを捨て、ルークを最大限に活用すれば黒のアタックは決まります。白はキングを守り切ることができません。

34. Bf4 Qe2 35. Bxh6 Rf3+ 36. Kh4 Qe4+ 0-1


こうして南條くんが一矢報い、2R 連続での全敗は免れました。それでも、中国側は強いです! 羽生さん、私、青嶋くんは連敗で、次に日本チームが白が持つ3R に望みを託します。私は南條くんに負けたばかりのYu Kaifeng との対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Yu Kaifeng (FM, CHN, 2389)
Niigata 2017 (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O a6 7. Nc3 c6 8. e4 Nfd7 9. Be3 b5 10. cxb5 axb5 11. a3 Nb6 12. Nd2 N8d7 13. Qc2 e5 14. dxe5 Nxe5 15. Rfd1 Ng4 16. Nf1 Nxe3 17. Nxe3 Qe7 18. Qd2 Rd8 19. Rac1 Be6 20. Ne2 Bb3 21. Re1 c5 22. Nc3 Qe5 23. Nxb5 Qxb2 24. Qxb2 Bxb2 25. Rb1 Na4 26. Nd1 Rab8 27. Nxb2 Nxb2 28. Rxb2 Rxb5



序盤はしっくりきませんでしたが、こうして駒を捌いてみると白はさほど悪くないように思えます。黒のパスポーンをうまくブロックし、反撃のチャンスを伺いします。

29. Bf1 c4 30. Rc1 Ra8 31. Rd2 Rxa3 32. Rxd6 Rc5 33. Rc3!


a3 のポーンのほうが弱く見えていましたが、これを取るためにはルークを1つ回さなければいけないため、白は無事にd6 と交換することができます。そしてここまで進んでみると、黒のcポーンはパスポーンとしての強みよりも、孤立ポーンとしての弱みのほうが目立ってきます。

33... Kg7 34. Rd4 h5?!



34手目の私の手を見て、c4 のポーンを守れないと気付いたYu Kaifeng は明らかにがっかりとした表情をしました。34... Ra4? 35. Rxb3! を見通していたのかもしれません。ここからは黒がドローを目指すエンドゲームですが、その手順が正確ではありません。34... Ra1! 35. Kg2 Kf6 36. f4 Ra2+ 37. Kg1 Rca5 38. Bxc4 Bxc4 39. Rcxc4 Kg7 一度ルークが潜り込む手は意味があるのか私も疑問でしたが、こうしてf2-f4 を白に突かせてしまえば、7段目を抑えてドローにできそうです。

35. Bxc4 Ra1+ 36. Kg2 Bxc4 37. Rcxc4 Rxc4 38. Rxc4


こうして白は何事もなくc4 のポーンを取ってしまいました。この同じサイドにポーンが4対3のルークエンディングは、正確に指せばドローだと思いますが、私は実戦的に勝つ方法を勉強したことがあったため、残り少ない持ち時間でそれを試してみることにします。ちなみに私はすでに5分を切って棋譜を取っていなかったため、棋譜が正確でない可能性があります。

38... Ra3 39. Rc6 Ra2 40. Kf3 Rb2 41. e5!



白が勝つとすれば、e4-e5 までポーンを進め、f7 のポーンを固定する必要があります。この弱点を解消できなければ、黒は長くパッシブなプレーを強いられます。

41... Rb5 42. Ke4 Rb2 43. Rf6!


e5 までポーンを進めたメリットとして、この手でf2 を守れることが挙げられます。これで黒の反撃を一時的に抑え込み、白はさらなるポジションの改善を考えます。

43... Rb4+ 44. Ke3 Ra4 45. Rd6! Ra5 46. f4!



ルークをdファイルに戻したうえで、fポーンを伸ばしてe5 を守れば、白が理想とした形にだいぶ近づいてきました。黒の反撃をルークを挟んで防ぎ、キングをhファイルに戻しにいきます。

46... Ra3+ 47. Rd3 Ra2 48. Rd2 Ra4 49. Kf3 Rb4 50. Rd7 Kf8 51. Kg2 Ke8 52. Ra7 Kf8 53. Kh3 Rb2 54. Rc7 Kg8 55. Ra7 Kf8 56. Kh4!


自信がなかったため、一度ルークの動きを挟みましたが、勝負をするのであればh2 を捨ててキングを前進させるほかありません!

56... Rxh2+ 57. Kg5 Rb2 58. e6! Rb5+ 59. Kh6!+-



59. Kf6?? Rf5# は大変なことになりますが、逆側に潜り込んでg6 のポーンを取れば一安心です。

59... fxe6 60. Kxg6 Rf5 61. Rh7 Ra5 62. Rxh5 Ra3 63. Kf6 Ke8


63... Rxg3 64. Rh8+ Rg8 65. Rxg8+ Kxg8 66. Kxe6 Kf8 67. f5 Ke8 68. f6 Kf8 69. f7+- ルークを交換したポーンエンディングは、もちろん白の勝ちです。

64. Kxe6?!



しかし、最後にやや詰めが甘かったです。本譜でも正確に指せば勝ちになりますが、少し難しくなってしまいます。64. g4! Ra4 65. Kxe6 Rxf4 66. Rh8+ Rf8 67. Rxf8+ Kxf8 68. Kf6+- なら間違いなく勝ちです。g3-g4 から4段目にポーンが並ぶと、取られやすくなってしまうのではと思い込んでしまいましたが、ポーンエンディングに持ち込めば問題ないことを見落としていました。

64... Kf8?


試合中、ポーンを取られたら勝てるのか自信がなくなってきました。試合後に振り返ると、64... Re3+ 65. Kf6 Rxg3 66. Rh8+ Kd7 67. f5 Rf3 68. Rf8! Rf1 69. Kg7 Rh1 70. f6 Rg1+ 71. Kf7 Rf1 72. Ra8+- これで勝ちであることが分かりました。時間は2分を切っていたため、この変化になっていた場合、落ち着いて68手目の手を見つけられたかは疑問です。

65. Kf6 Ra6+ 66. Kg5 Kg7 67. Rh1 Rb6 68. Ra1 Rb7 69. g4 Rb6 70. Ra7+ Kg8 71. f5 Rb4 72. Kh5 Rf4 73. Kg5 Rb4 74. f6 Rc4 75. Kh5 Rb4 76. g5 Rb8 77. Kg6 Rf8 1-0



2コネクテッドパスポーンができれば、残り時間が1分台でもさほど問題はありません。最後、ステールメイトに気をつけつつ、フィニッシュを何にするか悩んでいたところで相手がリザイン。3R にしてようやく貴重な1勝を挙げることができました。


4R のXiu Deshun - 南條戦


4R のChen Qi - 青嶋戦と、Yu Kaifeng - 羽生戦

3R の残り試合は残念ながら3人とも負け。4R も青嶋くんがChen Qi からなんとかドローを取るに留まり、全試合を終えました。今年の日中対抗戦は、日本側の2勝13敗1ドローと厳しい結果でした。レイティングを考えれば、もう少しポイントが取れても良かったですが、全体の試合運びから、とっさの判断まで、まだまだ彼らとの差を感じました。また東京で鍛えなおして、来年以降もっとポイントが取れるように頑張りたいと思います! こうした中国のマスターたちとの試合の機会を与えてくださった新潟チェスクラブと、今大会の運営に協力された皆さんに深く感謝致します。

今回の日中対抗戦の棋譜や各クラスの結果、大会の様子の写真などは、今後新潟チェスクラブのHP に掲載されることになると思います。私もそこで全棋譜をあらためてチェックしてみようと思いますので、皆さんも公開を楽しみに待っていてください。それではまた次のイベントでもよろしくお願い致します。


Sクラスの参加賞として、クイーンをモデルにしたチャームを頂きました。


今回食べ物で印象的だったのは、ヤスダヨーグルトのフローズンヨーグルト。新潟駅に併設されたCoCoLo 南館で購入できます。

2017/08/18

中部快速オープン2017 Tournament Information


昨年の中部快速オープン

明日は新潟での試合ですが、その前に違うイベントの告知です。5月の東海オープンに際に耳にしていましたが、今年は例年秋の中部快速オープンが、名古屋オープンより早く開催されます。すでに名古屋チェスクラブのHP では中部快速オープンの詳細が発表され、参加者も募集しています。私もこれからエントリーするつもりです。

日程: 9/3 (日)
会場: 名古屋市芸術センター
大会形式: 6R スイス式
タイムコントロール: 25分+1手10秒
参加費: 8000円 (18歳未満6000円)
賞金: 優勝40000円、2位25000円、3位15000円、A優勝15000円 (レイティング1700未満)

日時以外は昨年と全て同じです。クラブ選手権前に大会を探している人は、ぜひ名古屋に足を運んでみることを検討してみてください。

Saturday Lecture on 26th August 2017


Rossolimo, N - Romanenko, I
Salzburg 1948
White to move

【日時】 2017年8月26日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Mating Attack
【テーマ詳細】

チェスには様々な勝ち方がありますが、相手キングをメイトにするのは最もシンプルで分かりやすい勝ち方です。どのピースを捨てようとも、メイトになれば勝ちであるならば、思わぬアタックも時には生まれます。どのような手でメイトのチャンスを作り、どのように正確に読むか、8月のレクチャーではメイトのアタックにスポットを当て、ゲームをご紹介しようと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

ジャパンリーグがあったため、レクチャーの告知が遅くなりました。8月は26日(土)の開催です。皆様のご参加をお待ちしております。

2017/08/16

Japan League 2017 Day4 Tournament Report


今年のジャパンリーグ入賞者たち

昨日、ジャパンリーグの最終戦が行われ、7R の全試合が終了しました。最終戦、トップボードでは0.5P リードしていた馬場さんが、勢いそのまま、GM Xu Yinglun からドローを取り、6/7 での単独優勝を決めました。馬場さんはこの結果により、9月のFIDE レイティング更新で2300 を超えることが確定し、FM タイトルを獲得することになりました。優勝と併せ、おめでとうございます!

1st Place Baba Masahiro (CM, JPN, 2262) 6/7
2nd Place Xu Yi (IM, CHN, 2446) 5.5/7
3rd Place Xu Yinglun (GM, CHN, 2542) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2401) 5.5/7

Japan League 2017 Final Standings


入賞を巡る最終戦、4.5P だった私とXu Yi は、それぞれ青嶋くん、中村くんと白をもって対戦し、揃って勝利しました。ジャパンリーグでは3年連続の対戦となる青嶋くんには、公式戦での初勝利です。優勝こそ逃したものの、大事なこのラウンドを、きっちり白星で飾れたのはとても嬉しいです。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Aoshima, M (JPN, 2257)
Japan Laegue 2017 (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2!?



このAnti-Nimzo Indian はこれまで、大事なラウンドで指してはみるものの満足な結果が出せず、やきもきしていたオープニングの1つです。それでもきちんと指せば白が良いはずだと信じ、最近復活させることにしました。Nimzo-Indian Classical に手順前後することもありますが、d2-d4 は遅らせ、少し様子を見ることにします。

4... O-O 5. a3 Bxc3 6. Qxc3 d5?!


この手は意外なチョイスで、青嶋くんは試合後にこれを悔やんでいました。確かにフィアンケットを組む白マスビショップとの相性を考えれば、d7-d6 で止めておき、将来的にc7-c5 か、e6-e5 のどちらかのポーンを伸ばす(もしくはどちらも)ほうが自然だと思います。

7. e3 b6 8. b4 Bb7 9. Bb2 dxc4



白がビショップとクイーンをa1-h8 のダイアゴナルで重ねると、黒は失ったビショップの黒マスに気を付けなくてはいけなくなります。自然な展開に見える9... Nbd7 10. c5! は黒が押し込まれ、苦しい展開でしょう。a8-h1 のダイアゴナルを開く本譜は自然にも思えますが、白のビショップの展開を助けてしまうとも取れます。

10. Bxc4 Nbd7 11. d4!


一時的に黒マスのダイアゴナルを閉じてしまいますが、c7-c5e6-e5 のブレイクを警戒し、ポーンを伸ばしておきます。どちらも仕掛けられないとなれば、黒は長期的にc7 のポーンがターゲットになるでしょう。

11... Qe7 12. O-O Rac8 13. Be2 c5



ここは難しい決断です。本譜のようにポーンを捌くのは、白にとって分が良いと私は考えていますが、13... Ne4 14. Qc2+/= のような流れでも、e4 に入ったナイトは負担にしかならないと青嶋くんは判断したようです。

14. dxc5 bxc5 15. b5! Nb6 16. a4


13手目でビショップを退いたのは、b6 にきたナイトからあらかじめ避けておき、心置きなくaポーンを伸ばせるようにするためでした。黒はすでにcファイルにパスポーンを作っていますが、この不安定な孤立のパスポーンよりも、白のクイーンサイドポーンマジョリティのほうが強力でしょう。

16... Rfd8 17. a5 Nbd5 18. Qe5 Nb4



ここも黒はどのように抵抗するか難しいところです。g7 のメイトがあり、f6 のナイトはすぐに動かすことができません。他の候補手はcポーンを伸ばすくらいですが、ターゲットになる可能性が高いため、少し動かしづらいと思います。18... c4 19. Ba3 Qe8!? 20. Rfc1 Qxb5 21. Qd4+/=

19. Rfd1 Be4 20. Ne1! Qb7?


丁寧にd3 のマスを守り、反撃に出ようとしたところで意外すぎる手がきて戸惑いました。白はg2 もきっちりと守っているため、クイーンが動く手はc5 をタダで落とすだけです。

21. Qxc5!?



ここは先にルーク交換をしておくほうが正確でした。少し不安に感じていたルークの侵入は、逆にルークをトラップできまし、そうでなくともピースを多くとることができます。21. Rxd8+! Rxd8 22. Qxc5 Rd2 23. a6! (23. Qxb4 Rxe2 24. Bxf6 gxf6 25. Kf1!+-) 23... Qb8 24. Qxb4 Rxe2 25. Bxf6 gxf6 26. Qxe4+-

21... Nd3!


21... Nbd5 しか読んでいなかったため、これは驚きました。しかし、白は駒を返すことなく上手く捌くことができます。

22. Nxd3! Bxd3


22... Rxc5 23. Nxc5 Qa8 24. b6+- 白はクイーンを取らせてしまっても、ダブルビショップ+ルークを持ち、クイーンサイドでパスポーンを作って勝ちとなります。

23. Qg5!?



私はf6, g7 への攻撃を利用してクイーンを逃がすのが自然だと感じましたが、ここでもクイーンを捨てる変化がありました。23. Rxd3! Rxd3 24. Qxc8+! Qxc8 25. Bxd3+- このパターンは完全に読み落としです。

23... Rd5 24. Bf3


ここでは黒マスビショップの力を強めるか、エクスチェンジアップに切り替えるか、白はどちらもありえます。24. Qg3!? Bxe2 25. Bxf6 g6 26. Rxd5 Qxd5 27. Qf4 Qc5 28. f3 Bxb5 29. Bd4+/- これは異色ビショップでも、黒はキングが危険なために白が大きく有利です。

24... Qxb5 25. Bxd5 Qxb2 26. Bf3



26. Bb7! h6 27. Qg3 Qxb7 28. Rxd3+/- こうしておけば、黒の本譜の反撃はなく、白は駒得をいかしやすいポジションでした。

26... h6 27. Qh4 e5!


この手はエクスチェンジアップする前から読んではいましたが、いざ指されてみるとクイーンの行き場が抑え込まれてしまい、どのようにポジションを改善するか少し難しくなります。e5-e4 まで押し込まれてしまうのは嫌なので、ポーンを捨てるつもりでこれを防ぐことにします。

28. e4 Rc4 29. Qh3! Qc2?



ここは29... Rc7 としてじっと耐えるしかありません。e4 を取りにいけば、白はクイーンやルークがアクティブになり、すぐに勝つことができます。

30. Qf5 Nxe4 31. Bxe4 Rxe4 32. Qd7+-


これでa7 とd3 を当て、勝負ありです。上手く指せばもう少し白クイーンの働きを封じ込められるはずでしたが、青嶋くんは残り時間がほとんどなく、間違えてしまいました。

32... Bc4 33. Qxa7 Qe2 34. h3 1-0



バックランクさえ気を付けておけば、後は白はaポーンを進めるだけです。黒には反撃のプランがなく、青嶋くんはここで潔くリザインしました。

私はこの最終戦の結果で、FIDE レイティングを+3 とし、ベストレイティングの2404 になって来月のマン島のトーナメントに臨むことになります。5R 終了時点のライブレイティングはもっと高く、さらに上にいくことを狙っていたのですが、今回は馬場さんが強すぎたため、仕方がないですね。それでもジャパンリーグは3年連続でIM として安定した戦績を残しており、ひとまずは満足しています。来年こそ、GM や他の日本のプレーヤーを抑えて優勝できるように頑張ります!


表彰式後はGM Xu Yinglun による同時対局が行われました。13面指して日本側は2勝1ドローという結果です。Xu Yinglun は毎日試合後にレクチャー、そして最終日の同時対局と、大会中大忙しだったと思います。またどこかの大会で再会できることを楽しみにしています。

最後になりますが、海外のアービターともやり取りをしながら、ジャパンリーグの運営に尽力してくださったゆみさん、そして他のナショナルアービターの皆さん、大会前から長い間、お疲れ様でした! 今後とも日本の大会を、よろしくお願い致します。

2017/08/13

Japan League 2017 Day3 Tournament Report


ジャパンリーグ3日目、いよいよ今大会も大詰めです。この日は指してみて、調べてみて、ショックなエンドゲームが続きました。


Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Sano, T (JPN, 2087)
Japan League 2017(5)
Position After 38... Kf7

39. Kh2?!


試合中、勝ちにいくプランはcポーンを後ろから止めつつ、キングを上げるしかないと思っていました。しかし、これには黒のディフェンスがあるため、他の手を選ばなければいけません。39. Ra6! c4 40. Kh2 Rd3 41. Kg3 Ke7 42. Rc6 (42. Rxg6 Kd7 43. h5 c3 44. Rg7+ Kd6 45. Rg8 Kc7 46. h6 Rd7 47. Rg7 c2 48. Rxd7+ Kxd7 49. h7 c1=Q 50. h8=Q Qf4+ 51. Kh3 Qf7 52. Qxe5 Qxa2 これは2ポーンアップでも、黒のパスポーンが早く、白は勝てなさそうです。) 42... Rd2 43. Rxc4 Kd6 44. Rc8 Rxa2 45. Rc3 Kd7 46. Kh3 Kd6 47. g3 Ra1 48. Kg4 a2 49. Rc2 Ke7+/- これであれば、次に示す変化と違い、白がルークの横利きで黒のパスポーンをアタックしているため、チャンスがありそうです。

39... Rc2 40. Kh3 c4 41. g3 c3??



a2 を取る変化は私も読んでいたつもりでしたが、黒の重要なアイディアが抜けていました。41... Rxa2! 42. Rxc4 Rd2 43. Ra4 a2 44. Kg4 Rg2! この手がポイントで、白はこれ以上キングを上げることができません。45. Ra6 Kg7 46. f4 exf4 47. Kxf4 Rb2 48. g4 Kf7 49. Kg5 Rh2 50. Ra7+ Ke6 51. Kxg6 Rxh4 52. g5 Rh2 53. Kg7 Ke5 54. Ra4 Ke6 55. g6 Rg2 56. Kh7 Rb2 57. g7 Rh2+ 58. Kg8 Rf2 この変化はおそらくドローでしょう。

42. Kg4!+-


こうしてパスポーンを後ろからルークでアタックしたまま、白キングが上がっていければ白の勝ちです。黒はgポーンを守ることができません。

42... Rc1 43. Kg5 c2 44. g4 Kg7 45. Rxg6+ Kf7 46. Rc6 Ke7 47. h5 Kd7 48. Rc3 1-0



この白星で馬場さんと並び、4.5/5 となりました。ドローだった2人のXu に0.5P 差をつけ、馬場さんとの直接対決を迎えます。


Baba, M (CM, JPN, 2262) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan League 2017 (6)
Position After 39. Kf2

ずっと押されていたこのゲーム、時間が増える直前でようやくイコアライズのチャンスがきました。しかし時間切迫により、それを見落としてしまいます。

39... Bd3?!


39... g6! 40. hxg6 hxg6 41. f6 Rb7 42. Ke1 (42. Re7 Rxe7 43. Bxe7 Qh7=) 42... a3! 43. bxa3 Rb1+ 44. Kd2 Rb2+ 45. Ke1 Rb1+ 46. Kf2 Rb2+ 47. Ke3 Rb3+= 白キングはgファイルに逃げることはできないため、ルークのチェックを切ることができずにドローです。

40. Ke3 Be4 41. Kf4 Bc2?


残り数秒だった39手目と違い、この時点では30分が追加されています。なぜ10分、20分使っても、g7-g6 のアイディアをもっと考えなかったのか、とても悔やんでいます。41... g6 42. hxg6 hxg6 43. Qxg6+ Qxg6 44. fxg6 Bxg6 45. Kg5 Bd3+/= 白はキングの位置が良いですが、これならば黒は何とかなりそうです。

42. Re6!+-



パッシブなディフェンスをしすぎたため、これで完全に押し込まれて負けです。次にh5-h6, Re6-Rf6 のアイディアを止めることができません。

42... Bd1 43. h6 Bh5 44. hxg7 Qxg7 45. Be5 Qxg5+ 46. Kxg5 Be2 47. Rxc6 Kf7 48. Rh6 Ke8 49. c6 Re7 50. Bd6 Rg7+ 51. Kf6 Rf7+ 52. Ke5 Bc4 53. Re6+ Kd8 54. c7+ Kd7 55. Re8 1-0


この悔しい負けで一歩後退。3位グループで明日の最終戦を迎えます。最終戦のペアリングは以下のようになっています。

GM Xu Yinglun - CM 馬場
IM 小島 - 青嶋
IM Xu Yi - 中村


4/6 グループ以下のペアリングは、こちらから確認できます。それでは皆さん、最終日もよろしくお願い致します!


負け棋士の晩餐...

2017/08/12

Japan League 2017 Day2 Tournament Report


ジャパンリーグ2日目の3R は中村くんに黒をもっての勝負です。Slav かEnglish かという予想でしたが、そのミックスになりました。

Nakamura, N (JPN, 2098) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan League 2017 (3)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. b3 Bg4 6. h3 Bxf3 7. Qxf3 e6 8. g4!?



こうしたポジションではときどき見られる、アグレッシブなアイディアです。私はSemi-Slav でg2-g4 と突くラインを応用して、ビショップナイト交換から、e4 のマスにナイトを跳び込ませる構想で勝負することにします。

8... Bb4 9. Bb2 O-O 10. O-O-O?!


この手は判断が早く、黒に狙いを定めさせてしまうのではないかと思いました。黒はクイーンサイドを開いてチャンスを作ります。

10... b5 11. cxd5 cxd5 12. Kb1 Nc6 13. g5 Bxc3 14. dxc3



試合中はポーンで取る手を変だと感じましたが、14. Bxc3? Ne4 15. Bb2 Qa5! 16. Qe2 Rfc8-/+ といった変化があり、これでも黒が大きく優勢です。

14... Ne4 15. Bd3?


中村くんは長考の末、この悪手を選んでしまいました。g5 を捨てるのは仕方がありませんが、ダブルビショップも諦めてしまえば、白には面白いところが完全になくなってしまいます。15. Qg2!? Qxg5 16. Qxg5 Nxg5-/+

15... Ne5! 16. Qg2 Nxd3 17. Rxd3 Qxg5 18. Qxg5 Nxg5



これでクイーンも交換し、黒は危ないところなく1ポーンアップになりました。あとはこのエンドゲームを丁寧に指して勝ちを目指します。

19. Rg1 Nf3


ここは19... f6 と指し、g5 にナイトをキープしたほうが良かったかもしれません。f2-f4-f5 を気にしましたが、e4 のマスを弱めてまでやるべきアイディアではありませんでした。

20. Rg3 Ne5 21. c4!



この手はできないだろうと思っての20... Ne5 でしたが、実際はできます。黒はルークを取りたくなりますが、取ればパペチュアルチェックでドローです。

21... f6


21... Nxd3? 22. Rxg7+ Kh8 23. Bf6! h5 24. Rxf7+ Kg8 25. Rg7+=

22. Bxe5 fxe5


本譜でも悪くなりませんが、ここは先にポーンを交換しておく手もありました。22... bxc4!? 23. bxc4 fxe5 24. cxd5 exd5 25. Rd2 Rf5-/+

23. cxd5 exd5 24. Rxd5 Rxf2-/+



これでようやく形勢が分かりやすくなりました。黒はe5 のポーンまで落としても、先に7段目を抑えている分、大きなチャンスがあります。本譜では、7、8段目を抑えるメイトと、ルークの7段目ダブルを利用して黒は勝ちを狙います。

25. Rg5 Raf8 26. Rd7 g6 27. Rxe5 Rh2 28. Rd1 Rff2 29. Re7 Rb2+ 30. Ka1 Rxa2+ 31. Kb1 Rab2+ 32. Ka1 Rbd2!


a2 のポーンをかすめ取った後、ルークを1つ交換すれば勝ちのルークエンディングです。

33. Rxd2 Rxd2 34. Re6 Re2



ここは34... Rh2 から2コネクテッドパスポーンを早めに作ったほうが、黒にとっては分かりやすいルークエンディングだったかもしれません。

35. h4 Kf7 36. Rxa6 Rxe3 37. h5 Rxb3 38. Ra7+ Kg8 39. h6 Rh3 40. Ra8+ Kf7 41. Ra7+ Kf6 42. Rxh7 Kg5-+


これであとはgポーンを進めるだけです。ルセナポジションになるのは時間の問題です。

43. Rb7 Kxh6 44. Rxb5 Rc3 45. Rb1 g5 46. Kb2 Rc5 47. Rh1+ Kg6 48. Rg1 Kf5 49. Rf1+ Ke4 50. Rg1 Kf3 0-1



ルークを5段目に退いてc5 を守っておけば、フロンタルアタックに対してすぐにキングを上げることができます。白キングは遠くでカットオフされていますし、いずれルセナポジションになることは明らかなので、白はここでリザインしました。


昼休みは駅まで戻り、初めて蒲田の東急屋上、かまたえんに足を運んでみました。夜はビアガーデンになるようですが、昼間はもっぱら子供たち向けのアトラクションや、ショーが中心です。この日は発泡スチロールから即興で絵を切り出す芸人、ハッポゥくんのショーが行われていました。私は知りませんでしたが、テレビにも出演する芸人さんのようです。写真は子供のリクエストに応じて、花火を切り出したところです。

Xu, Yinglun (GM, CHN, 2542) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan League 2017 (4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bf5 5. Nc3 a6!?



午後のラウンドはGM Xu, Yinglun との対戦になりました。中村くんとの試合用に用意したSlav の新ラインを試してみます。5... a6 のアイディアは1手待つことで、よくあるNf3-Nh4 からのビショップナイト交換を避けることです。

6. Bd2 e6 7. Nh4 Bg4 8. Qb3 b5 9. cxd5 exd5!


これが調べてきたアイディアで、e6 のマスを空けることで白マスビショップを退けるようにします。c6 のポーンはターゲットとして残りそうですが、チャンスを見てc6-c5 と突くことで解消します。

10. Qc2 g6 11. h3 Be6 12. Bd3 Nbd7 13. Nf3 c5!



最初は黒マスビショップをg7 かd6 に展開するつもりでしたが、このタイミングで捌くほうがシンプルだと思いなおしました。d4 をアウトポストに、d5 を孤立ポーンにしてしまいますが、ピースのアクティビティーで十分にバランスはとれています。

14. dxc5 Nxc5 15. a3 Rc8 16. Nd4 Bg7 17. O-O 1/2-1/2


この試合は早めにオファーされてドロー。私としては、黒2回連続のこの日、負けずに乗り切れたので満足です。明日は白2回がくることを願っています!

他のトップ勢はXu Yinglun が青嶋くんに勝ち、私にドローで3.5、Xu Yi がAlex 勝ち、馬場さんドローで3.5、馬場さんがFarfurnik 勝ち、Xu Yi ドローで3.5、佐野さんが南條くん勝ち、山田くんドローで3.5 となっています。3.5/4 が依然として5人並ぶ膠着状態から、誰が一歩抜け出すか、明日の2試合はさらに重要になってきます。

IM Xu Yi - GM Xu Yinglun
IM 小島 - 佐野
IM 南條 - CM 馬場


明日の上位ボードはこのような当たりです。他のペアリングは、こちらから確認ができます。南條くん、青嶋くんらも3/4 で後を追ってきていますので、3.5P グループもまだまだ安泰ではありません。

2017/08/11

Japan League 2017 Day1 Tournament Report

今日から4日間、夏のビッグトーナメント、ジャパンリーグが開催されています。2年前から中国のGM が参加するようになったジャパンリーグですが、今年もGM 1人、IM 1人が招かれています。2600台のGM が2人参加した昨年と比べれば、今年は日本勢にもチャンスはあるでしょう。

Fukuda, T (JPN, 1842) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan League 2017 (1)

1. e4 c6 2. d3 d5 3. Nd2 e5 4. Ngf3 Bd6 5. g3 Nf6 6. Bg2 O-O 7. O-O Re8 8. Re1 Bg4!?



5年前の全日本選手権では、8... Nbd7 と指しましたが、ハンガリーのGM Prohaszka のゲームを見ていて、ビショップを先に出しても良いのではないかと考えました。

9. h3 Bh5 10. g4 Bg6 11. exd5 cxd5 12. Nh4 Nc6


白はg3-g4 を仕掛けてビショップナイトの交換を仕掛けますが、将来的にはf4 のマスが弱くなり、黒がそこを利用しやすくなります。

13. Nxg6 hxg6 14. Nf1 Rc8 15. c3 Rc7 16. Bg5 Be7! 17. a3 Nh7 18. Bd2 Bg5!



この一連の流れは私の得意なプランです。黒マスビショップを交換しておけば、黒はf4 のマスを活用しやすくなりますし、ダブルビショップを持たせたことも気になりません。

19. Qb3 Bxd2 20. Nxd2 Rd7 21. Nf3 g5 22. Rad1 Nf8 23. c4 d4


Benoni Defence のポーンストラクチャーになりましたが、f4 にナイトが跳び込めれば黒は白キングを脅かすことができ、有利に試合を運ぶことができます。白はe4 のマスをクイーンサイドのポーンマジョリティだけでは、キングサイドの弱さを十分には補えないでしょう。

24. Nd2 Ng6 25. Be4 Nf4 26. Kh2 Qf6 27. Nf3 g6 28. Kg3 Kg7



f5 のマスを抑えつつ、ゆっくりとhファイルを抑えてh3 のポーンをアタックします。この後、b7 のポーンを捨てても良いのかは自信がなかったため、これを取られないようにしつつ、hファイルでの決め手を探ります。

29. Qc2 Nd8 30. Rh1 Rh8 31. b4 Nde6 32. Rde1 Rh7 33. Rh2 b6 34. Reh1 Rd8 35. h4


こうして白からポーンを突けば、弱点を解消してなんとかなりそうにも見えます。しかし、まだまだf4 に刺さったナイトは強力で、キングへのアタックチャンスを作り出します。

35... gxh4+ 36. Rxh4 Rxh4 37. Rxh4 Ng5!



f3 のナイトを消し、h4 のルークを浮かせるのがポイントです。この先、少し見えづらいスレットが隠されています。

38. Nxg5 Qxg5 39. c5


39. f3 Qxh4+! 40. Kxh4 Rh8+ 41. Kg3 Rh3+ 42. Kf2 Rh2+-+ は、メイトを回避してもクイーンが落ちてしまいます。39. Rh1 f5! もg4 のポーンを取り、黒が勝てそうです。

39... Qxh4+! 40. Kxh4 Rh8+ 0-1



最後はクイーンを捨ててメイトです。2R は少しオープニングで間違えましたが、エンドゲームをしっかりと指して勝ち。初日を終えて連勝グループにいます。46人の参加者中、連勝は10名まで絞られています。明日からは上位勢で星の奪い合いですね。

青嶋 - GM Xu Yinglun
IM Xu Yi - CM Averbukh
中村 - IM 小島
IM 南條 - 佐野
Arkenette - 馬場


明日の3R のペアリングは以上のように発表されています。下位ボードまでのペアリングは、こちらから確認できます。それでは皆さん、2日目もよろしくお願い致します。


試合後にレクチャーを行うGM Xu Yinglun。2試合をこなしてからレクチャーをするスケジュールは、かなりタフに思えます。

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