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2014/12/16

FS 2014 December GM 9th round


クリスマスマーケットの屋台にも、チェスセットが並びます。

12月のFS は、昨日最終戦を終え、今日からは南の町、ケチケメートへと戦いの舞台を移します。ブダペストの最終戦は、3連勝スタートを切り、7R まではGM ノームのチャンスがあったIM Torma Robert との対戦です。

Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (9)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bg4 5. Nc3 e6 6. Qb3 Qb6 7. Nh4 Bh5 8. h3 Na6!?



Slav 4. e3 対策を、かつて愛用していた4... Bg4 に戻してから初めて、この懐かしいラインを指します。イスラエルのGM Averbukh Boris が、自身の本の中でおススメとして紹介し、一世を風靡したこの変化も、私は前日に散々ゲームを並べて、新しいアイディアを投入しました。かつて私は、8... Be7 9. g4 Bg6 10. Nxg6 hxg6 11. Bg2 g5 12. Bd2 Na6!? という変化を指していましたが、本譜のほうがa6 にナイトを出す狙いが分かりやすいでしょう。

9. g4 Qxb3 10. axb3 Nb4 11. Ke2 g5!?


11... Bg6 も指せますが、私はどうせ白マスビショップを諦めるのであれば、マテリアルを取って勝負することにします。

12. gxh5 gxh4 13. Ra4 Rg8!



このルークはすぐに侵入するマスはありませんが、ひとまずオープンファイルを抑えて、白からのRh1-Rg1 を防いでおきます。

14. Kf3 a5!?


将来的にターゲットにもなりうるので、評価の難しい手です。f1-a6 のダイアゴナルが開いた以上、ナイトをa6 に退くことはありえないので、b4 のナイトを安定させておきます。

15. e4 dxe4+ 16. Nxe4 Nxh5 17. Bd2 Be7 18. c5 Kd7 19. Bc4 Nf6



19... f5 20. Nc3 が最初に考えたアイディアでしたが、自らe6 とe5 を弱めることを嫌いました。マテリアルは返してしまうかもしれませんが、盤の端にいる使いづらいナイトと、相手のセンターにいるナイトを交換すること自体は、悪いはずないでしょう。

20. Nxf6+ Bxf6 21. Bc3 Ke7


21... Kc7 も考えていましたが、ナイトが跳んだ際、a5 を取られてチェックでは困ります。

22. Re1 Rad8 23. Re4 Rg1!?



ここはチャンスを求めて、ルークが大胆に侵入しておきます。23... Rd7 も考えていましたが、これは本譜のようにRa5-Ra7 を確認してからで、遅くはありません。

24. Rxa5 Nc2 25. Ra7 Rd7 26. b4 Nxd4+ 27. Bxd4 Bxd4 28. Rxh4 Rb1!


d4 を取った黒は、異色ビショップですが、残ったポーンの狙いやすさにより、わずかに良いと判断できます。b2 のポーンは、次のf2 のことも考え、当然ルークで取りにいきます。

29. b3 Rb2 30. Rxh7 Rxf2+ 31. Ke4?



31. Kg3! Rf5! 32. Ra2 であれば、まだ苦しいながらも、白はすぐに負けることはなかったでしょう。私はd, f ファイルをルークで抑えている以上、e ファイルに逃げた白キングは間違いなく危ないと思い、残り少ない持ち時間で必死に手を考えます。

31... Rf5?


上記のラインにもある手で、コンセプト自体は悪くありません。c5 をアタックしてb4-b5 を防いでおきながら、e5 のマスもカバーしています。残り時間2分を残してこれを指した直後、黒が完全に勝ちになるスレットを見つけ、この手で間違いなかったと確信しましたが、お互いに見逃した好手がありました。実際には、31... e5! 32. Ra5 Rf4+ 33. Kd3 e4+ 34. Ke2 Rf2+ 35. Ke1 e3-+ と指せば、白はマテリアルを諦めざるをえないため、黒の勝ちとなります。

32. Ra2??



おそらくTorma も、次の黒のスレットに気づいたと思いますが、残り時間ぎりぎりまで考えても、正解が見えませんでした。正しくは、32. Ba6! bxa6 33. Rxd7+ Kxd7 34. Kxd4 e5+ 35. Kd3 Ke6=/+ と指すべきで、白はまだ少し劣勢ではあっても、キングの決定的な危機は乗り切っています。

32... Bg1! 0-1


これで次に、33... Rd4# のメイトスレットが、どうしようもありません。この思いがけない最終戦の勝利で、今回のGM Section はレイティング+2.6 の微増で、フィニッシュすることができました! 非常に嬉しい誤算です。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382) 1/2-1/2
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1

+3 Medvegy, Z (-1.6)
+2 Flumbort, A (+1.8), Torma, R (+8)
+1 Golubov, S (-4.6), Fang, X (+38.6)
0 Benkovic, P (+1.0)
-1 Kojima, S (+2.6), Golubov, S (-4.6)
-3 Dragnev, V (-19.6)
-4 Arngrimsson, D (-17.8)

最終戦では、独走だったMedvegy が、下位に沈んでいたDragnev に負けるという事件があり、まさかの優勝者がレイティングマイナスです。レイティングの増減だけで見れば、最も低いレイティングでありながら、1つ勝ち越しの戦績を収め、レイティング40近く稼いだFang の一人勝ちと言える大会でした。私と同様にレイティング2400 を目指す彼は、明日、私たちと一緒にケチケ―メートに向かいます。

私にとっては、これまで参加したGM Section の中でも、最も厳しい戦いを強いられてきましたが、最後の勝利で良い流れを引き寄せられたように思います。今日から始まるケチケメートのGM Section では、2ケタ単位でレイティングを稼ぎたいですね。引き続き、応援をよろしくお願い致します。


最終戦後は、久々にアンダンテのオーナーたちとゆっくり外食に出かけました。こちらはハンガリーの食べられる国宝、マンガリッツァ豚のスペアリブです。2年半前からマンガリッツァ豚のことは知っていましたが、おそらく食べたのはこの日が初めてでした。

2014/12/14

FS 2014 December GM 8th round


今月のFirst Saturday もいよいよ大詰め。8R の相手はロシアの14歳、Golubov が相手です。南條くんも参加した、今年のChigorin Memorial で大暴れしたロシアの少年も、今大会はここまでGM に2敗し、苦戦中。お互いに大会終盤で、これ以上負けたくない一戦となります。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
First Saturday Dec 2014 GM (8)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 Nbd7 7. c5 c6 8. h3 b6 9. b4 a5 10. a3 Ba6 11. Bxa6 Rxa6 12. b5!?



先月記事を書いた、Anand - Carlsen と同じアイディアを使います。これこそ、私がQGD 5. Bf4 Variation を研究し始めてから、どこかで使ってみたいと思っていた変化でした。ちなみに、今大会のFang - Golubov では、12. 0-0 と白は指しており、こちらもありえる変化です。

12... cxb5 13. c6 Qc8 14. c7 b4 15. Nb5 Ne4!? 16. Rc1 a4 17. Nd2 Nc3!


こうしてポーンを返すアイディアが、黒としては安全で、17... Ndf6 18. f3 Ra5 19. Nxe4! Nxe4 20. fxe4 Rxb5 21. Qxa4 は、白が良くなると考えられています。

18. Nxc3 bxc3 19. Rxc3 Qb7 20. O-O b5 21. Qc2 Rc8 22. Rb1 Rb6 23. Qd3 b4!



ここまでが私の研究手順で、ここから本格的に考え始めます。白はc7 に武器となるパスポーンを刺しているため、黒はなんとかして、自分のa,b ポーンと、白のa,c ポーンを交換しようとします。

24. axb4 Bxb4 25. Rcc1 f6 26. Nf3 a3 27. Qc2 Qa6!


この手は白のQc2-Qa4 を止めるだけでなく、もう1つの大きな狙いがありました。しかし、それに気づいたとしても、ここでの白のベストムーブが何かは、いまだによく分かっていません。

28. Bg3 Bd6!



h2-b8 のダイアゴナルを抑える最も白の強力なピースを消してしまえば、c7 のポーンを守り続けることは難しくなり、白はaポーンとの取り合いを、受け入れざるをえないでしょう。私の勘違いは、29. Rxb6 Qxb6 30.Qa4 が指せると思っていたことですが、これはもちろん、c7 を取られて何もありません。

29. Rxb6 Qxb6 30. Bxd6 Qxd6 31. Nd2


すぐに31. Qc6 では、すぐにポーンの交換をしなければならなくなるため、もう少し何かないか模索してみます。

31... h6 32. Qc6 Qxc6 33. Rxc6 a2 34. Nb3 Kf7 35. Kf1 Ke7 36. Ke2 Nf8 37. Kd3 Kd7 38. Ra6 Rxc7 39. Nc5+ Ke7 40. Rxa2 Nd7 41. Nxd7 1/2-1/2



黒の注文通り、ここまで捌けばドローでしょう。この変化で、もう少し白がアドバンテージを保ち続けられるのかは、もう少しじっくり考えてみないと分かりませんが、それでも十分に指せるということが確認できたのは収穫です。c7 に早いパスポーンが刺さっている分、気を使ってプレーしなければいけないのは黒ですしね。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382) 1/2-1/2
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+4 Medvegy, Z
+3 Torma, R
+2 Flumbort, A
+1 Fang, X, Benkovic, P
0 Fominyh, A
-1 Golubov, S
-2 Kojima, S
-4 Dragnev, V, Arngrimsson, D

この日はFominyh がArngrimsson に負け、互いに初黒星、初白星となりました。さらに私にとってありがたいことに、Torma がドローだったために、彼のGM ノームのチャンスは無くなりました。最終戦で、ノーム掛けの相手と試合をするプレッシャーは、何度経験しても嫌なものです(笑) それでもレストデイ明けの最終戦は、ファイティングになることを覚悟し、しっかり戦ってこようと思います。


試合前に友人に案内され、ブダペストに何店舗かある、Sugar というケーキ屋さんへ。試合開始ぎりぎりまで研究をするより、こうしてリラックスする時間を作ることが大切だと、最近は常々思います。

2014/12/13

FS 2014 December GM 7th round


7R の相手は最後のGM、ロシアのFominyh です。今回、彼にだけはあっさり負けるわけにはいかないと思っていました。なぜなら、16日から始まるケチケメートのGM トーナメントにも彼も出場するので、今月さらに2試合指すことになるためです。「こいつ大したことないな」と思われるような負け方をすれば、ケチケメートでの試合にも支障をきたすでしょう。前日の負けを忘れるためにも、気合を入れてゲームに向かいます。

Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (7)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. e3 Bg4 5. h3 Bh5 6. Nbd2 e6 7. g4 Bg6 8. Ne5 Nbd7 9. Nxg6 hxg6 10. Bg2 g5 11. O-O?!



オリンピアードのオーストリア戦、Shengelia David のゲームの流れと同じスタートでしたが、Fominyh はここでキャスリングをします。キングサイドへ逃がしたキングは、多少や危うくも見えますが...

11... Be7 12. Re1 Qc7 13. a3 O-O-O 14. b4 Ne4?!


私のアイディアは、次にf7-f5 とポーンを伸ばして白キングの守りを薄くすることでしたが、ここは少し勇み足で、白のクイーンサイドアタックを軽視していました。ここからFominyh は、非常に美しいアイディアを見せてくれます。代わりに14... dxc4! 15. Nxc4 Nb6 16. Qd3 Nxc4 17. Qxc4 Nd5=/+ と指していれば、黒のピースは攻守バランス良く使えました。

15. b5! cxb5?



ここは15... Ndf6 16. bxc6 Qxc6 と指すほうが良かったようです。白はどのようにポーンを取り返してくるのか、はっきりと分からなかったため、取って勝負を選択します。

16. cxd5! exd5 17. Nxe4! dxe4 18. Bd2!


白は慌てず、ますはcファイルを使えるようにします。黒はキングを避けるしかないでしょう。

18... Kb8 19. Qb1



私はQd1-Qb3 ばかりを考えていましたが、白はこの手でb5 とe4 をダブルアタックし、どちらかを取り返せば満足なポジションになるでしょう。

19... f5


この手は成立していない可能性が高いことは分かっていましたが、大人しくb5 を取らせる展開は、ゆっくり白がアドバンテージを拡大していけるだろうと考えていました。19... Nf6 20. Qxb5 Rd5 21. Qb3+/= このコンピュータの指摘する手筋に比べて、私はよりポジションを複雑にすることを望みます。

20. Qxb5 fxg4 21. Rec1 Qd6?!



ここも私は、クイーンを交換してしまえば勝負にならないだろうと判断しました。しかし、実際には読み落としがあり、21... Qb6 22. Qxb6 Nxb6 23. hxg4+/- この展開で我慢するしかありません。

22. Rab1?


ここは白ははっきりと、勝ちのラインを逃しています。22. Bxe4! Nb6 23. Bb4+- この手順であれば、白はe4 のポーンを掠め取りながら、b7 へのメイトスレットを作っており、本譜よりずっと良かったでしょう。

22... Nb6 23. Bb4 Qe6 24. Bxe7 Qxe7 25. hxg4



Fominyh は、これで十分に白が良いと読んだのでしょう。じっくりと時間を使い、このポジションへと導きました。私はここから、白キングへの攻撃のチャンスが残っていないか考えますが、黒マスビショップまで交換してしまっては、有効な攻撃は残っていないでしょう。それならば、e4 とg5 を守るように、丁寧に指すほかありません。

25... Rd5 26. Rc5 Rhd8 27. a4?


これは私にとって、天の助けだと思いました。27. Rxd5! Rxd5 28. Qb4! Rd7 29. Qxe7 Rxe7 30. Rb5+/- という流れであれば、黒はバラバラのポーンを支えきることはできず、負けは避けられなかったでしょう。

27... Rxc5 28. dxc5 Rd5!



私が25手目でイメージしたポジションです。黒はc5 のポーンに反撃をすることで、ひとまずは危機を脱しています。ここから、難解なエンドゲームへ突入していきます。

29. Qb4 Rxc5 30. Qxe4!?


30. Bxe4!? Rc1+ 31. Kg2 Qxb4 32. Rxb4 Rc4 33. Rxc4 Nxc4= ならば、黒にとって不満のあるエンドゲームではないでしょう。私はこのクイーン交換は、すぐにa4 が落ちるので黒が良くなるのではないかと最初は考えていましたが、もちろん、そんなに簡単であるはずがありません。

30... Qxe4 31. Bxe4 Kc7!?



31... Rc4 32. f3 (32. Bf3!?) 32... Rxa4 33. Rb5! (これが白の軸となるカウンタープレーです。) 33... Rc4 34. Rxg5 Rc7 35. Kf2 Na4= コンピュータの評価はイコールですが、私は多少このポジションは危ないと考え、なるべく反撃のないように、a4 を取る手段を考えていました。

32. Kg2 a6 33. Kf3 Ra5 34. Rh1!


白が使えるオープンファイルは、c、dファイルのみだと思っていたので、この手を見てかなり焦りました。34. Rc1+ Kb8 35. Rb1 Kc7= これでドローになるのであれば、黒としては願ったりかなったりです。

34... Nc4!



時間のほとんど無い中、この手に運命を託すことにします。g5 とg7 を単に取られるだけでは分が悪いので、まずはNc4-Nd2+ のスレットを作りつつ、bポーンを進める準備をしておきます。

35. Bf5 Kd6!


キングを7段目にとどめておけば、次のRh1-Rh7 が困ります。エンドゲームでは、キングをなるべく前進させるものだと、先月、Kasparov も教えてくれました。

36. Rh7 g6!



g7 のポーンはルークではなく、ビショップで取らせることで、次のg5 へのアタックを1手遅らせます。

37. Bxg6 Rxa4!


ここで黒もaポーンを取り、コネクテッドパスポーンを作ります。37... Ne5+ 38. Kg3 Rxa4 (ビショップを取る手は、Rh7-Rh6 があるため、うまくありません。) 39. Bf5 b5 40. Rg7 b4 41. Rxg5 b3 42. Rg8 Nc6= でも問題ないというのがコンピュータの評価ですが、ナイトはc4 に残しておくことで、b2 までポーンが進んだ際に、それをサポートしておくほうが分かりやすいと考えました。

38. Bf5 b5 39. Rh5 b4 40. Rxg5 b3



こうなれば、黒はg5 のポーンを捨て、ポーンレースで勝負するしかないでしょう。g7-g6 の絶妙なポーン捨てにより得たテンポで、黒はかなり先までポーンを伸ばすことに成功しました。さらにここで追加の30分を得て、余裕を持つことができました。

41. Rg6+ Kc5 42. Rg8 b2


ここは相当考えて、ポーンを7段目まで進めます。ルークがbポーンの後ろに回る手も考えましたが、結局、Ra4-Ra1 の可能性も残しておくことにしました。

43. Rc8+



試合中、この手で負けの可能性は少なくとも無くなったと思いました。それは、白キングでgポーンwのブロックしに行けるためです。43. Rb8!? Ra1 44. g5 Rg1 45. g6 a5 46. Ke2 a4 の場合、実際は黒にわずかなチャンスがあるようですが、試合中はそこまで正確に判断ができません。

43... Kd6 44. Rd8+ Ke5 45. Re8+ Kf6 46. Rf8+ Ke7 47. Rb8


ルークで追い回された黒キングは、最終的にe7 に落ち着きました。自分のポーンのサポートはできませんが、代わりに白のパスポーンを止めにいける位置です。

47... a5 48. g5 Rb4



最後はかなりぎりぎりまで考え、安全策を取ることにしました。実際悩んでいたもう1つの候補手は全然だめで、白の勝ちでした。48... Ra1?? 49. Rb7+! Kd6 50. Kg2+-

49. Rxb4 axb4 50. Ke2 Na3 51. f4 1/2-1/2


最後はビショップを貰っても、残った1つのポーンを捨てるしかありません。ここでFominyh のオファーを受け、長くタフなゲームをドローで終わらせました。30手目後半は、我ながらエンドゲームでうまく指せたと思っています。中盤はぐだぐだでしたが、ここだけは成長の証がちょっぴり見えている気がします。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+4 Medvegy, Z
+3 Torma, R
+2 Flumbort, A
+1 Fominyh, A, Fang, X
0 Benkovic, P
-1 Golubov, S
-2 Kojima, S
-3 Dragnev, V
-5 Arngrimsson, D

さぁ残すところ、今月のFS もあと2試合です。この日はTorma が好調だったFang を、Flumbort がGolubov を破りました。私としては、8R の相手が直前で白を持って敗れるのはありがたいことです。しかし、Dragnev 戦のこともありますので、白とは言え、しっかり指してポイントを取れるようにしてきたいですね。


前日のDragnev 戦では、かなりがっつりオープニングの準備をしていたにもかかわらず、初手から外されるという事態だったので、この日は準備はあっさり目に。その代わりに空いた時間は、気になっていたカフェで、ティラミスを買ってきて食べました。去年のイタリアの記事でもさんざん登場したティラミスは、「私を元気にして」という意味があり、前日に落ち込む黒星のあった私にぴったりのお菓子です。

2014/12/12

FS 2014 December GM 6th round


12月のFS も、この日から後半戦に突入します。相手はオーストリアのジュニアで、最近1回の更新でレイティングを170伸ばし、FM になったDragnev。ここまで4敗1ドローで最下位に沈んでいたので、なんとか勝ちたい相手でしたが...

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
First Saturday Dec 2014 GM (6)

1. Nf3 c5!?



完全にQGD だと思っていたので、かなり面喰います。しかし、何度も指しているオープニングですので、とにかく指すしかありません。

2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e6 6. a3


以前はハンガリーで6. g3 も試しましたが、うまい感触はつかめませんでした。他の変化も研究していましたが、結局はオーソドックスなこの手が勝ちにいくにはベストだと判断します。

6... d5 7. cxd5 exd5 8. Bg5 Be7 9. e3 O-O 10. Be2 Be6 11. O-O Qd7 12. Rc1 Rac8 13. Qa4



このIQP ポジションであれば、白は満足でしょう。ここからゆっくりd5 にプレッシャーをかけていけば、優位に試合を進められるはずです。コンピュータはここで、13. h3+/= を勧めますが、もちろん本譜でも問題はありません。ただ結果としては、バックランクに最後の最後まで泣いたのですが...

13... h6 14. Bf4 Nxd4 15. Qxd4 Bc5 16. Qe5 a6?!


ここは黒は多少方向性を見失っていると言えます。16... Be7 17. Rfd1+/= と指すほかありませんが、それではBe7-Bc5 と出た意味がなく、白の優勢は疑いようがありません。

17. Rfd1?!



試合後に、Dragnev からは、なぜポーンを取らなかったのかと指摘されました。17. Bxh6! Bd6 18. Qd4!(恥ずかしながら私は、18. Qg5?! しか読んでおらず、h6 取りは成立しないと思っていました。) 18... Bc5 19. Qh4+/- ならば、白は何事もなくポーンアップです。

17... Be7 18. e4!


私はこれでd5 のポーンが落ち、完全に勝ちモードに入ったつもりでした。しかし、Dragnev が本領を発揮したのはここからです。

18... Rfe8! 19. exd5 Bg4!



ここまで進み、私は思ったよりポジションが単純ではないことを悟りました。マテリアルは白のポーンアップですが、黒のカウンタープレーは十分で、どのように指せば白の優勢が明らかになるのか、正しいプランを見つけるのが簡単ではありません。

20. Bxg4


試合後はこの手が悪かったとのだと思いました。コンピュータは、20. d6 Bxe2 21. Qxe2 Bxd6 22. Qf3 Rc6= この変化を示しましたが、当然イコールです。もう1つ、私が読んでいた変化がありませんでしたが、それは読み落としがあり、全然だめでした。 20. Qd4? Bc5! 21. Qd3 Bxf2+! 22. Kxf2 Rxc3!=/+ 試合直後、20. Qd4 と指すべきだったという私の読みは、完全に間違いでした。本譜は勝負にいくための唯一の正しい手ですが、その先がまずかったです。

20... Nxg4 21. Qh5 g6 22. Qh3 Bc5 23. Bg3?



クイーンをh3 に孤立させる形がおかしいことは分かっていましたが、他にどうするのかが分かりませんでした。正しくは、23. Rf1! f5 24. Qd3 と指すべきで、これならば白はクイーンをセンターに戻すことができます。しかし、ピースのポジションをゆっくり改善していくポジショナルプレーを基調とする私にとって、センターのルークを(一番武器となりそうなパスポーンを、後ろからサポートする最高のルークを!) ディフェンスのために、fファイルに戻す手は不自然で、指すのに大きな躊躇いがありました。しかし、本譜の流れを見れば、f2 のディフェンスをきちんとしなければ、自然な手も何もありません。常識的な手に囚われて、肝心の読みが不正確になってしまうことは、私の弱点だと思います。

23... Qf5! 24. d6 Rcd8


ここはすでに黒が勝負を決めることができました。24... Bxf2+! 25. Bxf2 Qxf2+ 26. Kh1 Rc4!(お互いに読み落とした手) 27. Qd3 Qb6!-+ これでf2 のナイトフォークが避けられないようでは、白はどうしようもありません。

25. Rd2?



私がd5-d6 と突くことを決めた時点では、d5 にマスを作り、Nc3-Nd5 から、Nd5-Ne7+ のフォークや、Qh3-Qxg4 とピースを取るのがメインの狙いでした。しかし、残り時間ぎりぎりまで考え、25. Nd5? Bxf2+ Bxf2 Qxf2+ 27. Kh1 Rxd6 28. Qxg4 Rxd5!-+ とナイトが落ちて負けであることに気づき、愕然とします。バックランクの弱さを突くことは、いつでも単純ですが効果的な作戦です。そこで、ルークでひとまずf2 を守り、その後でタイミングを見てNc3-Nd5 を考え直そうとしましたが、これは完全に失敗でした。

25... Bxd6!-+


なんとルークが1つバックランクを離れたために、f2 をクイーンで取られた後で即メイトです。さらにポーンが落ちただけでなく、d2 のルークが浮いていて勝負になりません。

26. Rxd6 Rxd6 27. f3 Qc5+ 0-1



最後までバックランクの弱さが響き、なんとも悲しい最後です。このトーナメント、もっとも大事だと思った白番のゲームを落としてしまい、かなりがっくり。それでも、試合後にロンドンにいる生徒とレッスンをする中で、少しずつ元気を取り戻してきました。残り3戦も強い相手が続きますが、しっかりと戦い抜くしかないですね。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364) 0-1
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+4 Medvegy, Z
+2 Fang, X, Torma, R
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S, Benkovic, P
-2 Kojima, S
-3 Dragnev, V
-5 Arngrimsson, D

Medvegy はこの日、GM ノームのチャンスが十分にあったTorma を捻り、単独トップに立っています。後輩のノームチャンスも、躊躇なく潰すんですね。その強さ、鬼神のごとしです。そしてArngrimsson...


このお昼ご飯が多すぎたのか、それとも買ったばかりの。Santoro Gorjuss のペンで棋譜を取ったのが悪かったのか、それとも単に実力不足なのか... 気を取り直して、最後のGM 戦に挑んできます。

2014/12/11

FS 2014 December GM 5th round


Arngrimsson から初勝利を挙げた翌日、午前中から買い物のためにブダペスト西駅のショッピングモール、WEST END へとやってきました。残念ながら目当ての品が見つかりませんでしたが、ハンガリーに到着して約1週間、初めて青空を見ることができたのが収穫でした。

この日の対戦相手は、セルビアのIM Benkovic です。去年、セルビア遠征で大苦戦した苦い思い出を払拭すべく、負けられない一戦に臨みます。

Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday Dec 2014 GM (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. cxd5 cxd5 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. Qb3!?



このタイミングでクイーンが上がる手は初めて見ましたが、これまで何度も指してきた、Bc1-Bf4, e2-e3 の形で、Qd1-Qb3 と指す形と同じになります。

7... Na5 8. Qa4+ Bd7 9. Qc2 e6 10. e3 Rc8 11. Bd3 Bb4 12. O-O O-O 13. Ne5 Be8


このビショップ退きは、ナイトビショップの交換を避けるというよりも、d7 のマスにナイトを退けるようにするのがメインの狙いです。ルークの連携が取れなくなることを気にするのであれば、13... h6 から、Qd8-Qe7, Rf8-Rd8, Bd7-Be8 という手順で指すのもありでしょう。

14. a3?!



これは小さな白のミスではないかというのが、私たちの見解です。黒はタイミングによっては、Bb4-Be7 と退き直し、b3 のマスを弱めたことで満足しますが、ここ場合であれば、c3 にターゲットとなる弱いポーン、c4 にアウトポストを作って勝負です。

14... Bxc3 15. bxc3 h6!


この手は、f6 のナイトをフリーにするために必要な1手です。ナイトを1組交換してしまえば、白はc4 のマスのコントロールを失うため、そこにナイトを運んで黒が満足に戦えると私は考えました。

16. h3 Nd7 17. g4?!



以下にも怪しげなこの1手は、私も想像していませんでした。17. Nxd7 Bxd7 18. Rfb1 Bc6 19. Rb4+/= と指していれば、ポーンストラクチャーは変わらずとも、c4 を早めにカバーし、本譜よりもチャンスを作れたでしょう。

17... Nxe5 18. Bxe5 Nc4 19. Bg3 Bb5!?


ここは実に迷うところです。19... Qa5 20. a4= であれば、黒はa4 とc3 にプレッシャーをかけられますが、白マスビショップがパッシブなままです。 19... b5!? も考えましたが、このようにビショップを完全に閉じ込めて良いものなのか、よく分かりませんでした。そこで本譜のようなアイディアで、白マスビショップをアクティブに使い、あわよくば相手のビショップと交換してしまおうと考えました。

20. Rfb1 Qd7 21. a4 1/2-1/2



ここで相手からのドローオファーがあり、しばらく考えてから受けることを決めました。黒の強力なナイトは、ダブルビショップに十分対抗できるものですが、ポジションを改善するのは容易ではないと考えたためです。私とBenkovic は、いくつか検討戦でアイディアを出し合いましたが、実際ドローになりそうでした。このクラスでは、白で勝ち、黒でドローならば、十分にレイティングは上がります。ここはドローで満足し、次の白番に備えます。6R は、4敗1ドローのDragnev に白ですので、ここが勝負所だと思ってプレーしてきます!

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+3 Torma, R, Medvegy, Z
+2 Fang, X
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S
-1 Benkovic, P, Kojima, S
-4 Dragnev, V, Arngrimsson, D


ロシアのGM Fominyh と中国のFang は熱戦の末にドロー。Fang は私との初戦では危ないプレーがありましたが、それ以降は2つの白星を挙げ、順調な前半戦となっています。試合後、彼の母親と話をしましたが、彼も3つのIM ノームをすでに揃え、あとはレイティングを上げるだけだそうなので、立場は私と同じですね。


Medvegy はこの日も、黒番でArngrimsson を破り、3連勝です。彼にとって、2300台を負かすことなど大したことではないのでしょうか... そう思えるほど、彼のテクニックは素晴らしいですし、勉強になります。


こちらは夜のブダペストの西駅です。16日の午前中には、現在ロンドンでプレー中の酒井創くんと、西駅からケチケメートへ向かいます。

2014/12/10

FS 2014 December GM 4th round


2敗1ドローの崖っぷちで迎える4戦目、相手は全く同じ戦績のArngrimsson です。アイスランドから来ている彼は、このGM Section の常連ですが、私は今回が初対戦となります。(今回の参加者、全員そうですが) アイスランドのマスターとの対戦は、北京以来6年ぶり。知識も経験も豊富な相手ですが、もうこれ以上ポイントは落としたくありません。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386)
First Saturday Dec 2014 GM (4)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. Bg5 g6!?



私が満を持して指したのは、Flumbort と同じチョイスである、9. Bg5 です。色々とラインをチェックし、なるべく負けにくいラインで勝負することにしました。これに対してArngrimsson が選んだのは、私と違う9... g6 でした。これは事前の研究通りですし、今年頭のトレーニングで原下さんとも指しています。

10. f3 Nfd7!?


これは新しいアイディアで、試合前にたまたま、幸運なことにチェックしていました。黒はe2-e4 から、ビショップを退く1テンポを損しないようにします。

11. Nxd7 Bxd7 12. e3!



これが私の用意していた手です。f2-f3 を突いたのに、センターを主張しないのは不自然にも見えますが、12. e4?! Bg7 13. Be3 Be6!=/+ と進めば、白はd4 のポーンとc4 のマスへの侵入が問題となります。本譜では白はe4 のマスを空けておき、ゆっくりとした展開で勝負します。

12... Bg7 13. Bd3 O-O 14. O-O Rc8 15. Ne4 Nd5 16. Qd2 Bf5 17. Kh1


ここはいくつかの手で迷いますが、Nd5-Nxe3, Bg7-Bxd4 のスレットを防いでおかなければいけません。

17... Nb4 18. Bc4 c5 19. d5



ここは白が良くなるのか確信が持てないながらも、dxc5 と取るわけにも、cxd4 と取らせるわけにもいかないので、突きこす1手です。この後、c4 の白マスビショップが生きてくるかが勝負のカギとなります。

19... h6?!


正直、この手は不要だと感じました。白はビショップのダイアゴナルを切り替えることができます。19... Bxe4 20. fxe4 Qd6 21. Bf4 Be5 22. Rf3+/= このe5 のアウトポストを利用される形の評価は難しいですが、黒はb4 に跳びこんだナイトがなかなか主戦場に戻れず、白がやや優位にゲームを進めることができるでしょう。

20. Bf4! Bxe4 21. fxe4 e5?!



Grunfeld などで見られるブロックエードのアイディアですが、ここはゆっくりとポジションを改善していけば、白が良くなるだろうと考えていました。私がメインの変化として恐れていたのは、21... Nc6!? 22. Rac1 Ne5 23. b3+/- という流れで、白がダブルビショップの良さ(もしくは、白マスビショップを返した場合のパスポーンの利) を生かせるかは、よく分かりませんでした。

22. Bg3 Qd6 23. Be1 Kh8 24. Qe2 Rc7(=) 25. Bc3!


互いにここまで不調でしたが、私は黒からのドローオファーを蹴って勝負を続ける決断を下します。黒がd5 のパスポーンをブロックし、ポジションを固めたままでドロー局面になるとしても、白からこの時点でゲームを切り上げる必要は全くないためです。さらに言えば、黒はb4 のナイトをの位置を切り替えられないことも、このポジションでのポイントになっているでしょう。

25... f5?



試合後に、私はArngrimsson に対して、この手が変だったのではないかと指摘しました。ダブルビショップを持たせている黒は、ポジションを自分から開くのは不自然ですし、なによりダブルポーンを解消させることは、白の手助けにしかなりません。代わりに黒は、何もせずにじっと耐えるのが良く、25... Re7 26. Rf3+/- と指すべきだったでしょう。しかし、不利な側がじっと耐えて、ポジションを崩さないようにし続ける難しさは、私自身が直前の試合で経験しています。

26. exf5 gxf5 27. Rad1+/- Rcf7 28. Rf2 b6 29. Kg1


f5 のポーンは将来的にターゲットにできそうですが、私は焦ってそれを狙うことなく、いったんキングのポジションを改善し、バックランクメイトなどに備えておくことにします。

29... Kh7 30. Qh5 e4 31. Rdf1!



ようやく白から仕掛けるタイミングです。黒マスビショップはc3 で交換して一向に構わないので、ここではf5 へのアタックを急ぎます。

31... Qg6 32. Qxg6+ Kxg6 33. d6!


これが満足なフィニッシュになることを読み切り、クイーン交換に踏み切りました。1つ読み違いがあり、結構時間がかかったのは反省点ですが、それでもこの時点で残り時間は15分残っていたので、続きも焦る必要はありません。

33... Rd7 34. Be6 Rxd6 35. Bxf5++- Rxf5



黒はエクスチェンジを捨てるしかありません。35... Kf7? 36. Bh7+ と進めば、g7 のビショップを次にとることができます。私の読み違いとは、最初はここで、36... Bf6 と黒が守れると勘違いしていたことです。単純に数が足りていませんね(笑)

36. Rxf5 Bxc3 37. bxc3 Nc2 38. h4!


この手でキングの上がるマスを作り、白キングにポーンでもプレッシャーをかければ勝負は決まりです。あとはナイトフォークを食らうようなチョンボや、パスポーンを止められなくなること(ありえないことではありますが...) にさえ気をつければ、問題ないでしょう。

38... Rd7 39. Rf6+ Kg7 40. h5 Nxe3 41. Rg6+ Kh7 42. Rff6 Rg7 43. Rxh6+ Kg8 44. Rhg6 Nd5 45. Rxg7+ Kxg7 46. Rg6+ Kh7 47. c4 Ne3 48. Rxb6 Nxc4 49. Rb5 1-0



ようやく念願の初白星をゲットし、感無量です! ドローを蹴られて敗れたArngrimsson には気の毒ですが、勝負の世界では仕方のないことですし、彼に同情するほど私もまだ余裕がありません。明日は折り返しの5戦目、セルビアのBenkovic を相手に気を引き締め直して勝負してこようと思います。

First Saturday GM Dec 2014

12/06 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fang, X (CHN, 2295) 1/2-1/2
12/07 Flumbort, A (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/08 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Medvegy, Z (GM, HUN, 2527) 0-1
12/09 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Arngrimsson, D (IM, ISL, 2386) 1-0
12/10 Benkovic, P (IM, SRB, 2395) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/11 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Dragnev, V (FM, AUT, 2364)
12/12 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/13 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Golubov, S (RUS, 2382)
12/14 Free Day
12/15 Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)

+3 Torma, R
+2 Medvegy, Z, Fang, X,
+1 Fominyh, A, Flumbort, A
0 Golubov, S
-1 Benkovic, P, Kojima, S
-3 Arngrimsson, D
-4 Dragnev, V

1ポーンアップで、ようやく初ポイントかと思われたDragnev がFang に負け... やはり勢いというものはあるようです。異色ビショップを勝ち切った、Medvegy のエンドゲームテクニックも、棋譜が公開され次第、チェックしておこうと思います。


この日、お昼は近くでピザを食べました。インフレが進み、地下鉄の運賃や温泉の入浴料が値上がりしても、1/8 カットのピザが200フォリント(100円)であることは、2年半前から変わりません。ブダペストではピザが、最も安くお手軽なファーストフードなのです。世界で一番宅配ピザが高いと言われる日本では、考えられないことですね。


ライトアップされたアンドラッシー通り。北に向かえばセーチェニ温泉のある市民公園に、南に向かえばクリスマスマーケットが開かれているヴルシュマルティ広場に到着します。

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