ラベル Cappelle la Grande 2014 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Cappelle la Grande 2014 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2014/03/05

Cappelle la Grande 2014 5th round - Nanjo. R vs. Lalic. B -


昨日の予告通り、5R の南條 - Lalic戦の棋譜を公開しておきます。昨日の記事の最後に追記しようかとも思っていましたが、せっかくなので今夜の記事のメインで扱います。南條くんは白を持ち、クロアチアのベテランGM Lalic Bogdan に挑みます。

Nanjo, R (CM, JPN, 2307) - Lalic, B (GM, CRO, 2491)
Cappelle la Grande 2014 (5)

1. e4 e5 2. Nf3 Nf6!?



Petrov Defence は黒が1. e4 に対して、丁寧にイコアライズを目指すオープニングとして、トップGM たちにも好まれます。もし、このオープニングでドローを確保することができるのであれば、黒は1. e4 をあまり恐れなくても良いでしょう。しかし、格下相手に勝ちにいこうとした場合、適切なチョイスであるかはやや疑問です。

3. Nxe5 d6 4. Nf3 Nxe4 5. Nc3


私も1. e4 を指していた時代、Petrov に対してどうアドバンテージを取りにいくかには、多少頭を悩ませました。5. d4 d5 5. Bd3 Be7 と進むメインラインは、ポーンが対称形であるために、白がアドバンテージを築くには多少の工夫が必要です。そこで近年は、この5. Nc3 からナイトを交換しにいき、ダブルポーンを作ってもポーンストラクチャーを非対称にする変化が、白で勝ちにいくには良いチョイスだと考えられています。(もちろん、メインラインはメインラインで勉強になることが多いため、1. e4 プレーヤーは一度は調べてみるべきだと思います。)

5... Nxc3 6. dxc3 Be7 7. Be3 O-O 8. Bd3



南條くんの中にはPetrov 対策のレパートリーもあると思いますので、この手も研究済みなのでしょう。私であれば、8. Qd2 からまずはキャスリングを済ませておき、黒の駒組みを見て白マスビショップの位置を決めたいところです。

8... Nd7 9. Qe2 Nc5 10. Bxc5 dxc5 11. O-O-O Bd6 12. Rhe1 g6


黒は白マスビショップを展開したいところですが、Qe2-Qe4 が、b7 取りとh7 メイトのダブルスレットになるため、先にそれを防いでおきます。

13. Kb1 Bg4 14. h3 Bxf3 15. Qxf3 Rb8



この辺りで、私はLalic の考えが大体わかりました。彼はすでにドローで満足するつもりなのでしょう。Petrov というオープニングチョイス、そしてダブルビショップを消しても、異色ビショップを残すという判断で、すでにドロー狙いであることが分かります。早々にオファーをしないのは、カペルでは20手未満の合意ドローが禁止されているためです。(今年もそうですよね?)

16. h4?


南條くんは勝つためにシャープなポジションを求めるプレーヤーですので、このポーンサクリファイスをするのも理解できます。しかし、このポジションではやや焦りすぎで、センターに先にルークをまわしていること、白のビショップのほうが相手キングを狙いやすいことを利用して、丁寧にゲームを進めるべきでしょう。16. Bc4 Kg7 17. Re3+/= ぐらいで、まだ白にわずかなアドバンテージがあると考えられます。

16... Qxh4! 17. Re4 Qg5 18. Rh1 h5 19. Reh4 f5!=/+



g2-g4 からhファイルをこじ開けるアイディアさえ防げば、オープンになったhファイルからの攻撃はさほど怖くありません。単純ですが、Lalic の冷静な判断です。

20. a3 c6 21. Be2 Kg7 22. Qd3 Rbd8 23. g3 Be7 24. Qc4 Qd2 25. R4h2 b5 26. Qe6 Qd6 27. Qe3 Bf6 28. Bf3 Rfe8


10手少し前までは、ルークによってセンターのオープンファイルを支配していたのは白でしたが、今は完全に立場が逆転しています。白はルークをhファイルから戻すしかなく、1ポーン分の不足を補って戦うのは難しい状況です。

29. Qc1 b4 30. axb4 cxb4 31. Rd1 Qc5 32. cxb4 Qxb4 33. c3 Rxd1!?



Lalic はクイーンを交換したエンドゲームに持ち込めば、すでに勝ちだと踏んだのでしょう。確かに白はルークの位置が悪く、粘るのは難しそうに見えます。

34. cxb4 Rxc1+ 35. Kxc1 Rb8 36. Kc2


ここは、36. Bxc6 Rxb4 37. f3 (この2段目を開くアイディアで、黒の37... Rc4+ をうまく防いでいるように見えますが...) 37... Be5! 38. f4 Rc4+ 39. Rc2 Rxc2+ 40. Kxc2 Bd4! (狙いはBd4-Bf2 からg3, f4 のポーンを取ってしまうこと) と進めても、黒勝ちでしょう。

36... Rxb4 37. b3 c5 38. Bd5 a5-+



ルークが消えていればまだしも、この2ポーンダウンのエンドゲームは白にとって絶望的です。

39. Rh1 f4 40. gxf4 Rxf4 41. f3 Rd4 42. Be4 c4 43. Rb1 c3 44. Bd3 Rh4 45. Be4 Rh2+ 46. Kd3 h4 47. Ra1 Rd2+ 48. Ke3 h3 49. Rxa5 Bd4+ 50. Kf4 h2 51. Ra1 c2 0-1


GM たちを相手にドローを続けていた南條くんですが、4戦目で力尽きました。それでも不正確なポーンサクリファイスは、強気に勝負にいった結果であることを考えれば、さほど悪くはないかもしれませんね。南條くんは次になぜか1600台との試合ですので、ここをさっくり勝って、また上を相手に奮闘してほしいと思います。今夜の試合が終われば、カペルも2/3 を消化したことになります!

ちなみに昨日、日本勢の全敗をなんとか食い止めたのは小林くんです。フランスのIM に白で勝ち、上に連勝となりました! その小林くんが、南條先輩の敵を討つべく、今日はLalic に挑みます(笑) なぜ日本人と連続で当たるのかと首をかしげているであろうLalic から、ポイントを取ってきてほしいですね。

そしてこの大会中、Lalic のFacebook 投稿で知ったのが、Chess Microbase というサイトです。このサイトではアカウントを作れば、pgn を入力して棋譜のビュアーを表示することができます。無料アカウントは100ゲームまでしか入力できないようですが、それでも十分でしょう。私も今後、こちらのブログで公開した棋譜を、Chess Microbase でも見られるようにしておこうかと思います。今日解説を書いた南條 - Lalic 戦は、以下のリンクから見ることができます。


2014/03/04

Cappelle la Grande 2014 - The First Half -


選手が滞在する町、ダンケルクの中央広場, Photo by Shinoda

3/1 からスタートしたカペルの国際大会も、すでに前半4試合が終了し、日本のプレーヤーたちはここまで健闘しています。各試合の結果は、公式サイト小林くんのブログでチェックできますので、私は4試合までのレイティングパフォーマンスと、ここまでの戦いぶりをお伝えしようと思います。

Miyazaki Motoi (1499) 3/4 1992
Sakai So (1859) 2/4 2116
Shinoda Taro (1909) 3/4 2044
Kobayashi Atsuhiko (2033) 2.5/4 2140
Nakamura Naohiro (2075) 2.5/4 2039
Noguchi Koji (2086) 2.5/4 2340
Nanjo Ryosuke (2307) 2.5/4 2492


パリに留学中で、ずっとカペルへの参加を希望していた宮崎くんは、現地で合流し無事に試合をスタートさせています。1-4R までは1600台と4連続でペアリングが組まれ、2勝2ドローとここまでは順当な滑り出し。ハンデが緩くなる後半戦、当たりも少しずつ厳しくなるでしょう。5R は初の2000台とヒットしましたので、このレベルを相手にポイントが取れるかどうか、楽しみに見せてもらおうと思います。

昨年辺りから内容の良いチェスを見せている酒井くんは、2000台、2100台を相手に日本人唯一の連勝スタート。3R でおそらく自身初の2400台との試合となり、良い勉強になったのではないでしょうか。日本では優勢にしても時間切迫で苦しむ姿をよく見かけますので、持ち時間の長い国際試合のほうが、彼の実力がよく発揮されると思います。

最近チェスに時間を割けていなかった篠田くんですが、初戦負けの後に3連勝! 特に4R では、2011年のカペルで優勢のエンドゲームを勝ち損ねた、ベルギーのVan Vliet Dennis (2093, かつて私もカペルで試合をしました。) を相手に、今度はきっちりと勝ったようです。こうして2100近い相手に勝ち星を重ね、下に極力ポイントを落とさないようであれば、篠田くんもFIDE 2000 に到達するでしょう。


閑話休題。試合会場は毎年変わらず、こんな感じです。


3R でルーマニアのIM Dumitrache Dragos-Nicolae と試合をする酒井くん, Photo by Kobayashi

年末に学生チャンピオンを獲得した小林くんは、4R でフランスの18歳、 Aubry Yannis(2231) に勝って、下にドローにした分のレイティングを取り戻しています。1800台へのドローで不満そうな様子が目に浮かびますが(笑)、カペルで実際のレイティングより100高いパフォーマンスを残すのは、立派な戦績です。次は再び2300台のマスターと対戦ですので、日本ではあまりできない勉強をしてきてください。

上智大学の部室に、「今年度はFM に3人勝つ」という目標を掲げた尚広くんは、ポーランドのFM Bartel Michal に勝って2人目を達成です。次もベルギーの若いFM が相手ですので、ここで目標を達成して、初戦で負けた分のレイティングを取り戻してきてください。チャンスはいつもあるわけではないですよ!

アジアの大会ではあまり調子が上がりませんが、ヨーロッパではマスターを相手に素晴らしいプレーを見せるのが、唯一の社会人枠、野口さんです。2R でベルギーのIM Milchev Nikolay (2469) を相手にドロー。3R は負けたものの、4R でスコットランドのFM Tate Alan(2342) に勝ちですので、ここまで見事な戦績と言えるでしょう。次はカペルの常連中の常連、フランスのIM Shirazi を相手に、白でポイントを取れるように願っています。


食堂で小さなチェスセットを広げる野口さんと南條くん

そしてここまで皆を引っ張るのは、やはり日本チームレイティングトップの南條くんです。1R でロシアのGM Kharitonov Alexandr (2554, かつて私はカペルで敗れました。)、 2R でウクライナのベテランGM Eingorn, Vereslav (2556、かつて紹介したこちらの本の著者です。)、4R でフランスのGM Lagarde, Maxime (2514、一昨年来日した、GM Vachier-Lagrave Maxime とは別人です。) とドローで、2500近いパフォーマンスを残しています。

南條くんは次に、4年前のカペルで私が対戦し、ハンガリーでもお世話になったクロアチアのGM Lalic Bogdan とペアリングが組まれており、なかなかハードな当たりが続きます。Lalic はここまでFacebook でカペルの棋譜を全て公開していますので、南條くんとの試合もすぐに出るでしょう。更新後、追加で棋譜を貼らせてもらおうと思います。カペルでは下を相手にのらりくらりとしたチェスを指し、黒ならばドローも厭わないLalic を相手に、南條くんがどのようなプレーを見せるか、楽しみにしておきましょう。


最後にカペルの食堂ごはん。こちらに飽きたら、たまには町での食事も楽しんでください。

2014/02/27

Cappelle la Grande 2014


毎年恒例、フランスのカペルで開催される国際大会が、今年もいよいよスタートします。招待枠が例年の4つから6つに増えた今年、日本からの参加者たちは今夜、フランスへと向かいます。私はシェンゲン協定の関係で参加を見送りましたので、6名の日本人プレーヤーたちには、私の分までカペルでのプレーを楽しんできてもらいたいですね。今年のメンバーは以下の通りです。

Nanjo Ryosuke (2307)
Noguchi Koji (2086)
Nakamura Naohiro (2075)
Kobayashi Atsuhiko (2033)
Shinoda Taro (1909)
Sakai So (1859)


今年は珍しく、カペル初参加者がおらず、全員が経験者です。一昨年、この大会で好調をアピールした南條くんや野口さんが、今年はどのようなプレーを見せてレイティングを上げるか、そしてやはり2年ぶりの尚広くんが、今年は一体何人の女子プレーヤーを引き当てるのか、といったことに注目したいと思います。ちなみにInvited Players の中には三ツ矢さんの名前もありますが、これは運営側のミスであると確認済みです。

さらに他国のプレーヤーをチェックすると、大体いつも通りの上位陣ですが、リスト1は中国のGM Ding Liren でしたね。かつて先輩のWang Yue が制したこの大会、中国からの優勝者を久々に出そうと乗り込んでくるのでしょう。他にも中国勢の名前はいくつか見つけることができます。他にも私がかつて対戦したマスターたちもちらほらと見かけますし、ハンガリーからは若き3人のGM Erdos, Banusz, Fodor が参加するようなので、彼らの結果もチェックしたいですね。

今年のカペルは8日間の日程で、初戦は日本時間、3/2(日)の午前0時にスタートします。それでは、日本から参加する皆さん、悔いのないプレーをしてきてください!

Cappelle la Grande 2014 Official HP


2014/01/05

Cappelle la Grande 2014 Invitation


今年のカペルは尚広くんが統括を行います。私はシェンゲン協定の問題で今年はパス。強引に参加しようとすれば、ノルウェーに行けなくなる危険性があります。参加する皆さんは、私の分までフランスでのトーナメントを楽しんできてください。

招待枠での参加希望者を募る期限は、今日から1週間程度と短めの設定です。興味ある方は尚広くんへの連絡を、早めにお願いします。以下、尚広くんからです。

***

Cappelle la Grande 2014の招待状が届きました。

今年は日本から6名が招待されます。
条件は例年通り、期間中の宿泊費(ホテルボレル・ツインルームx3)、大会参加費、会場での食事、パリorブリュッセルからのバスを、主催者が負担してくれます。

大会期間は3月1日~8日です。詳細な情報についてはCappelle Chessをチェックしてください。

招待選手として参加を希望される方は、1月13日までに中村尚広(rye_nao@hotmail.com @を半角に変えてください)までその旨をお知らせください。相談や大会の様子についての質問でも構いません。

参加希望者が6名を超えた場合は、基本的にはFIDEレイティングの上位者を優先しますが、最近の大会での成績や将来性なども加味して判断したい と思います。

以上、よろしくお願い致します。

中村尚広

***

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.