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2012/09/11

エジプト戦のチーム編成について


本日2本目の更新です。ここではオリンピアードでのエジプト戦を振り返るとともに、次回のオリンピアード以降、チームとしてどう戦うかということを考えてみます。エジプト戦で何があったかご存じない方のために一からご説明しますと、オリンピアードの7R でエジプトとの対戦が決まった後、私たち日本チームは大将の私を抜け番にすること決めました。これに対して、Twitter 上で多少の批判があったという話です。

まず批判が来た理由としては、私が抜ける理由が、「単に疲れたから」という個人的なものであると、誤解されるような内容のツイートをしたためです。私も最初は良く分かっていませんでしたが、先輩から丁寧なメールをいただき、改めて自分のツイートを見直しました。確かに私のツイートは皆さんに誤解を与えるようなものであり、このことは純粋な私のミスで、皆さんには大変申し訳ないと思っています。

実際のところ、私がエジプト戦で抜けることを決めたのは、様々な理由が絡みます。色々悩んだ末に自分から休むことを宣言したわけですが、そこに至った経緯というものをきちんとご説明しなければいけないでしょう。

まずオリンピアードの抜け番を決める主な要因としては、選手のレベル、相手チームのレベル、プレーの調子、体調、カラーバランス、公平性などが挙げられます。これらを考えたうえで、今回のオリンピアードは、私が参加した今まで4回のオリンピアードで最も、男子の抜け番を決めるのに頭を悩ませました。

最初に参加した6年前のトリノのオリンピアードでは、男子メンバーは6人で、実際にプレーするのは4人でした。6人の実力差は大してなかったので、特にトラブルもなく適度に休ませながら、なるべく公平に試合ができるよう交代で抜け番を決めていきました。大会終盤では、6番の中郡さんが調子が良いということで、多めに試合に出すことを決め、無事にFM タイトル獲得となりました。

男子代表が5名に減らされたドレスデンオリンピアードは、不思議なほどにどの選手もプレー内容が良く(もちろん事前にしっかりトレーニングをしていたおかげですが)、多くのラウンドで誰かしらが、格上からポイントを取るアップセットがあり、チーム内もお祭り状態でした。(最後ラウンド前までw)こういった状況であれば、やはり不思議と抜け番決めもスムーズに行われていたように記憶しています。(もちろん私がそう考えているだけで、代わりに誰かが頭を悩ませていたかもしれません)今、当時の抜け番をチェックしてみると、5番の野口さんが5回休みとやや偏りが多く、他の4選手はほぼ均等です。私が抜けたのは、私抜きでも問題なく勝てると判断された、10R のホンジュラス戦のみです。

2年前のハンティマンシスクは逆に、選手の調子はかなり悪かったと言えるでしょう。総合的に勝てると思われた国に負けたことで、私や南條くんが抜けても、問題なく勝てそうなチームに何度も当たりました。これはチームとして喜ぶべきことでは全くありませんが、抜け番を決めるという観点からすれば、楽になります。

そして、ようやく話を今年のイスタンブールオリンピアードに戻します。昨日も書いたとおり、今年のオリンピアードでは試合を重ねても(負けたラウンドの後でも)以前のオリンピアードのように、なかなか対戦相手のレベルが下がりませんでした。そうすると、私と南條くん、暁さんのFM 3人を、どこで休ませれば良いのかという問題が出てきます。別に休ませなくても良いのでは?という意見もあるでしょうが、そうすると下2人の休みが多くなりすぎるので、不満が生じるでしょう。


もしチームとして1p でも多く稼ぐことを目標としているのであれば、上の選手を極力試合に出すべきです。例えば今大会では、アジア勢の中でも劇的な活躍を見せたフィリピンは、5番のIM Oliver Dimakiling を最初の4試合にのみ出場させ、残りの7試合は上4人で戦うという何とも極端な戦い方に出ました。結果を見ればこの作戦は大成功だったと思いますが、もちろんDimakiling の事前の了承と、チームとしてこうして戦おうという意思が必要でしょう。日本チームではこういった極端な作戦を取ったことは、私が知る限りはありません。 同じ選手が2連続で休むことすら、今まではほとんどなかったはずです。

今回のエジプト戦の直前には、Alex が休んでおり、岩崎さんも少し前に3連休があったので、彼らをまた休ませることは公平性に欠きます。南條くんはポイントを重ね続けていたので、チーム内で彼は出し続けるという了解があり、そうなると私と暁さんのどちらかが休むということになります。私は暁さんと話をして、自分が休むのが最もチームが丸くいくと判断しました。もちろんMisha とも話をして、最終的な決定をしています。

相手が強豪エジプト相手だったので、なるべく上を出すのが礼儀だという意見もあるでしょうが、そうすると次にややランクが落ちた相手に、上3人の誰かが抜けて戦うことになり、これもまたリスクが高くなります。後で振り返ってみて、ここで誰を休ませるべきだった、そうすべきでなかったと言うのは簡単ですが、次にどこと当たるか、選手の状態がどう変化するか読めない状況では、その時にベストだと思われる選択をし続けるしかありません。

さて、話が長くなりすぎているうえに、全くまとまっていないですが、エジプト戦で私が休んだのは、個人的な理由からではなく、他の選手とのバランスなども考慮したうえであったことだけでも、ご理解いただければと思います。あとは私が日本に帰国した後に、皆さんの意見も聞いてまた考えてみようと思います。

そして次回以降どう戦うかという話ですが、フィリピンのような大胆な作戦に出るのも、もちろんありですし、そこまで極端でなくても、なるべくチームとしてポイントを稼ぐ(例えば今回の最終戦モナコ戦であれば、南條くんのIM ノームより、チームとしての勝率アップを目指して私が出る等)ことを目指しても良いでしょう。ただどうするにせよ、事前にチームで話し合う必要があります。他の競技に当てはめれば当たり前のことですが、現地に着く前からチームとして活動を始める。まずはそこからスタートすべきでしょう。

2012/09/10

Istanbul Chess Olympiad 11th round and Final Result


アルメニアを優勝に導き、国旗を掲げるエースのAronian(中央)

長かったイスタンブールオリンピアードも、終わってみればあっという間だったような気がします。昨日、最終ラウンドと閉会式を迎え、11試合の戦いに幕が下りました。優勝は4年ぶりの王座を奪回したアルメニアで、ここ4大会で3回優勝という、とてつもない記録です。今年も大将を務めたアロニアンは、クラムニクにこそ黒で敗れたものの、白で勝ち星を積み重ね、チームの優勝に大きく貢献しました。

2位はリストトップのロシア。カスパロフが抜けてから毎回優勝を逃しており、今年も悲願達成とはいきませんでした。選手層の厚さでは間違いなく世界一の大国も、オリンピアードでは苦戦を強いられています。

3位に続いたのは、前回優勝国のウクライナ。大将のイヴァンチュクは前大会ほどではないにしろ、十分すぎる働きをしたでしょう。最終戦ではトップを走る中国を3-1 で沈めての逆転入賞となりました。

私たち日本チームは、エジプト、ボリビア、マレーシアに次いで、最後のモナコ戦も2.5-1.5 で敗れ、123位に終わりました。これは私たちとしても、日本で結果をチェックしていたチェスファンとしても、とても満足できる結果ではないでしょう。過去最高レイティングのチームでありながら、どうしてこうなったかの分析は難しいと思いますが、それを考える前に、先に男女の最終試合の結果を載せておきましょう。

Monaco - Japan 2½:1½


54.1 GM Efimov, Igor 2416 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 1 - 0
54.2 Villegas, Pierre 2249 - FM Watanabe, Akira 2278 ½ - ½
54.3 FM Van Hoolandt, Patrick 2171 - Averbukh, Alexander 2211 0 - 1
54.4 Nelis, Jean-Francoise 2207 - CM Iwasaki, Yudai 2137 1 - 0

先日の記事で書いたとおり、南條くんのIM ノーム獲得チャンスを残すため、あえて私が試合を抜け、彼を1番ボードで戦わせました。結果は残念でしたが、私はこの決断自体は間違いではなかったと思っています。

Botswana - Japan 0 : 4


52.1 WIM Modongo, Boikhutso 1862 - Ishizuka, Mirai 1839 0 - 1
52.2 WFM Lopang, Tshepiso 1838 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 0 - 1
52.3 WCM Sabure, Ontiretse 1682 - Hasegawa, Emi 0 0 - 1
52.4 Leso, Gorata Brandy 1631 - Kikuchi, Arisa 0 0 - 1

女子はボツワナに全勝で、最後は美しく締めたと思います。ライブで見ていた私は石塚さんがMate in two に追い込まれたり、中川さんがシーソーのように傾くエンドゲームをしているのを見て、実にハラハラしました(笑)下2人は全く問題なく、きっちり勝ったと言える内容でした。


試合後にゲームを振り返る日本チーム。暁さんからは愛の鞭

今大会のオリンピアードは、かつてなく厳しい当たりだったと私は考えています。明日の記事でも触れようと思っていますが、日本が確実に勝てる国というのは、2R のブルンジしかなかったと言えるでしょう。さらには私は2350以下のプレーヤーと対戦する機会がなく、大将として参加した3回のオリンピアードの中で、対戦相手の平均レイティングも飛び抜けて高かったです。

相手が強かったから順位が低かったのだと、これだけを言ってしまうと、まるで言い訳のようです。しかし、格上から連日ポイントを取って、大いに盛り上がった4年前のドレスデンオリンピアードも、アフガニスタンやホンジュラス、ボツワナといった、順当に日本が勝てるであろう国とも対戦していることが、最終的な順位アップに繋がっていることは間違いありません。単純な最終順位だけを比較して、今回はダメだというのは、何かがおかしいはずです。

それでも私としては、このチームならばもう少し上を目指したかったと思います。最後の4戦とも相手は強かったですが、16試合で1勝しかできない相手ではなかったはずです。ドレスデンの前のように、個々のトレーニングだけでなく、チームとして集まって研究をしたりトレーニングをしたりすべきだったというのは、私が思う反省点です。もちろん、私が一人ハンガリーにいたので、そう簡単ではないのですが...

そしてチームとしてどうするかとは別に、私が決して忘れないようにしていることは、個人として負けるのは実力が足りないから、ということです。私がMok-Tze Meng とのポーンエンディングを間違えたのも、南條くんがEfimov にピースを取られたのも、はっきり言ってしまえば、私たちがまだまだ弱いからです。私たち2人がこれから、日本のトップとしてIM を目指す以上、2300後半から2400台のプレーヤーを、いつまでも格上とは言っていられません。今後も上を目指す以上、実力をつけて、彼らに勝つしかないのです。


最後のボツワナ戦に臨む日本女子チーム

ただ、今年のオリンピアードチームでは、明るい材料もいくつかありました。女子チームは最初の2戦で8敗し、どうなることかと思いましたが、最終的には全員が2.5P以上を獲得し、長谷川さんとカレンちゃんの2人が勝率5割を達成しました。私の記憶違いかもしれませんが、この戦績によって2人にはレイティング2000と、WCM のタイトルが与えられるはずです。2人とも、おめでとうございます!

さらに今年は男女チームの仲が非常に良く、チームとしてよくまとまっていたことも挙げておきましょう。私はオリンピアード前には、暁さんのスパルタが炸裂して、女子が泣きだすのではないかと心配していましたが(笑)、そんなことは決してなく、下の子供たち2人にも懇切丁寧にチェスの指導をしていました。(+南條くんも)最初から最後まで、負けが込んでいる時でも、日本チーム全体の雰囲気はとても良かったと思っています。

私の記事が自分のゲーム解説中心になっており、こういったチーム状況をお伝えするのが最後の最後になってしまったことは、大変申し訳なく思います。次回のノルウェーでのオリンピアードでは、今度こそエースとして、プレー内容で日本の男子チームを率いるとともに、再び一丸となって戦えるチーム作りというものを目指していきたいと思っています。今大会はふがいない戦績でしたが、また次回以降も応援を続けていただければ幸いです。

明日はエジプト戦のチーム編成について振り返るとともに、チームとして何を1番に目指すべきなのかということを考えてみようと思います。

2012/09/08

Istanbul Chess Olympiad 8-10th rounds


色々と思うところがあり、すっかり更新をさぼり気味でした。まとめて3日分の結果とゲームです。

R8 Japan - Egypt 0 : 4


30.1 CM Nanjo, Ryosuke 2316 - GM Amin, Bassem 2643 0 - 1
30.2 FM Watanabe, Akira 2278 - GM Adly, Ahmed 2602 0 - 1
30.3 Averbukh, Alexander 2211 - IM Ezat, Mohamed 2453 0 - 1
30.4 CM Iwasaki, Yudai 2137 - IM Abdel Razik, Khaled 2448 0 - 1

R9 Bolivia - Japan 3½: ½


36.1 GM Zambrana, Osvaldo R 2471 - FM Kojima, Shinya 2282 1 - 0
36.2 FM Gemy, Jose Daniel 2345 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 ½ - ½
36.3 IM Cueto, Jonny 2282 - FM Watanabe, Akira 2278 1 - 0
36.4 CM Ferrufino, Boris 2171 - CM Iwasaki, Yudai 2137 1 - 0

R10 Japan - Malaysia 1 : 3


47.1 FM Kojima, Shinya 2282 - IM Mok, Tze-Meng 2354 0 - 1
47.2 CM Nanjo, Ryosuke 2316 - IM Lim, Yee Weng 2287 ½ - ½
47.3 FM Watanabe, Akira 2278 - Yeoh, Li Tian 2258 ½ - ½
47.4 Averbukh, Alexander 2211 - IM Liew, Chee-Meng 2297 0 - 1

男子はエジプト、ボリビア、マレーシア相手にたったの3ドローで、チームも3連敗という非常に悪い結果です。特にアジアのライバルと見ていたマレーシアに3-1 とは...私もチームに貢献することができず、残念です。

R8 Japan - Thailand 1 : 3


46.1 Ishizuka, Mirai 1839 - Vongvatthana, Chananchida 0 1 - 0
46.2 Hasegawa, Emi 0 - Srijomtong, Isawan 0 0 - 1
46.3 Kikuchi, Arisa 0 - Atthaworadej, Worasuda 1638 0 - 1
46.4 Hoshino, Karen 1640 - Pratuengsukpong, Chitaporn 0 0 - 1

R9 Pakistan - Japan 1½:2½


54.1 Wasif, Zenubia 0 - Ishizuka, Mirai 1839 ½ - ½
54.2 Siddiqui, Nida Mishraz 1670 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 1 - 0
54.3 Khuaja, Ghazala Shabbir 0 - Hasegawa, Emi 0 0 - 1
54.4 Mehak, Gul 0 - Hoshino, Karen 1640 0 - 1

R10 Japan - FYROM Elo 0 : 4


45.1 Ishizuka, Mirai 1839 - WIM Koskoska, Gabriela 2094 0 - 1
45.2 WCM Nakagawa, Emiko 1798 - Bejatovic, Bojana 1978 0 - 1
45.3 Kikuchi, Arisa 0 - Stojkovska, Monika 1939 0 - 1
45.4 Hoshino, Karen 1640 - Nikolovska, Dragana 1828 0 - 1

女子はタイとマケドニアに負け、パキスタンに勝ちという結果です。タイ戦でようやく大将の石塚さんが勝利を上げ、続くパキスタン戦でもポイントを上げました。マケドニアとの結果は苦しいものでしたが、棋譜を見る限りプレーの内容も良くなってきています。男子と合わせ、最終ラウンドの結果に期待します。

Nanjo, R - (FM, JPN, 2316) - Amin, B (GM, EGY, 2643)
40th Chess Olympiad (8)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 d6 9. c3 Nb8 10. d4 Nbd7 11. Nbd2 Bb7 12. Bc2 Re8 13. Nf1 Bf8 14. Ng3 g6 15. a4 c5 16. d5 c4 17. Bg5 h6 18. Be3 Nc5 19. Qd2 h5 20. Bg5 Be7 21. Ra3 Nh7 22. Be3 Qc7 23. Rea1 Reb8 24. Ne2 bxa4 25. Bxc5 Qxc5 26. Bxa4 Nf6 27. Ng3 h4 28. Nxh4 Nxe4



29. Nxe4 Qxd5 30. Nxg6 fxg6 31. Re1 Qxd2 32. Nxd2 Bd5 33. b3 cxb3 34. Nxb3 Rc8 35. Nd2 Kg7 36. Bc2 Bf7 37. Bd3 a5 38. Rea1 d5 39. Rxa5 Rxa5 40. Rxa5 Rxc3 41. Ba6 Bc5 42. Nf1 e4 43. Bb7 Rc1 44. g4 Kf6 45. Ra2 d4 46. Ra6+ Ke5 47. Ra5 Kf4 48. Kg2 e3 49. Ng3 Rc2 50. Ne4 e2 51. Rxc5 Rxc5 52. Nxc5 Bc4 0-1


Zambrana, O (GM, BOL, 2471) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (9)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 c5 4. Ngf3 cxd4 5. exd5 Qxd5 6. Bc4 Qd6 7. O-O Nf6 8. Nb3 Nc6 9. Nbxd4 Nxd4 10. Nxd4 a6 11. Bb3 Bd7 12. c3 Qc7 13. Qf3 Bd6 14. h3 O-O-O 15. Bg5 Bh2+ 16. Kh1 Be5 17. Rfe1 h6 18. Bh4 Bf4 19. Bxf6 gxf6 20. Qh5 Be8 21. Bd1 Rd5 22. Qf3 Rg8 23. Qd3 Kb8 24. Bf3 Rd8 25. Qh7 Rg6 26. Rad1 f5 27. h4 Qe7 28. g3 Bxg3?



29. Nxf5 Qf6 30. Rxd8+ Qxd8 31. Nxg3 Qxh4+ 32. Kg2 Qf6 33. Rd1 Ka7 34. Rd4 e5 35. Rc4 Kb8 36. Be4 Rg5 37. a4 Bd7 38. Rb4 Bc8 39. Bd5 Rg7 1-0


Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Mok T (IM, MAS, 2354)
40th Chess Olympiad (10)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. Bc4 Nf6 5. Qe2 O-O 6. e5 Nfd7 7. e6 Nb6 8. exf7+ Kh8 9. Bb3 d5 10. c3 Nc6 11. Nbd2 Rxf7 12. h4 h6 13. Nf1 Qd6 14. Bc2 Bf5 15. Bxf5 Rxf5 16. Ne3 Rf4 17. Nf1 Re4 18. Be3 Nc4 19. N1d2 Nxe3 20. fxe3 Qg3+ 21. Kd1 Rg4 22. Rh2 Rf8 23. Kc2 Qd6 24. Rah1 e5 25. Nxe5 Nxe5 26. dxe5 Qe6 27. Nf3 Re4 28. Rh3 Bxe5 29. Nxe5 Rxe5 30. Rf1 Ref5 31. Rhf3 Qe4+ 32. Qd3 Kg7 33. Qxe4 dxe4 34. Rf4 h5 35. Kd2 Rxf4 36. Rxf4 Rxf4 37. exf4 Kf6 38. Ke2??



38... Kf5 39. Ke3 b5 40. b3 c5 41. a3 c4 42. bxc4 bxc4 43. a4 a5 44. g3 Kg4 45. Kxe4 Kxg3 46. Kd4 Kxh4 0-1


Mok Tze-Meng とのポーンエンディングは、また時間があるときに詳しく扱おうと思います。実に悔しい負けでした。

そして明日のレストデイが明けると、いよいよ最終ラウンドです。ペアリングは男子がモナコ、女子がボツワナと発表されました。モナコの1番ボードはGM Efimovで、負けたのに対戦相手のレイティングが上がるのかと驚きました。今大会はGM を擁するチームでも、それだけ苦戦を強いられているということでしょう。私はここまでGM4人、IM4人と対戦しており、対戦相手のレベルは過去3回のオリンピアードを遥かに上回ります。

ところが、ぺアリング発表後に重大な事実に気が付きました。ボリビア戦、マレーシア戦でIM ノームを掛けて戦い、連続ドローだった南條くんが、最終戦でEfimov と試合をして勝てば、IM ノーム達成であることが判明しました。私の計算したところ、2番以下の相手では平均レイティングが足りず(しかも足りないのはわずかに2...)、勝ってもIM ノーム獲得とはいきません。もう一度正確にレイティングの計算をし直す必要がありますが、南條くんがEfimov と試合をする必要があるのであれば、私が最終戦で抜けることを、すでにチーム内で話し合っています。

モナコはもちろん弱いチームではありません。私が抜ければ、勝てる可能性は確実に下がるでしょう。(この2R の内容では、あまり偉そうなことは言えませんが...)それでも私たちはチームでの勝ちの可能性よりも、南條くんのIM ノームチャレンジを選択するつもりです。これが吉と出るか凶と出るかは、試合が終わってみないと分かりませんが、私は南條くんの勝利に賭けてみようと思います。

ちなみに私の計算間違いである可能性もあるので、私が休むことは正式決定じゃないですよ(笑)チーム編成を出すのは、試合当日の午前中ですので、変更ももちろんありえます。

2012/09/06

Istanbul Chess Olympiad 7th round - Japan vs. Algeria -


後半戦2日目の昨日は、アフリカのアルジェリアとの対戦です。1番のみ2400台のIMですが、2番以降のレイティングが低いため、リストは日本よりも下です。私がポイントを削れば勝利は堅いと思っていましたが、意外なほど接戦になりました。

Algeria - Japan 1½:2½


40.1 IM Haddouche, Mohamed 2429 - FM Kojima, Shinya 2282 ½ - ½
40.2 CM Oussedik, Mahfoud 2242 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 ½ - ½
40.3 IM Dekar, Lies 2155 - FM Watanabe, Akira 2278 ½ - ½
40.4 Medjkouh, Said 2081 - CM Iwasaki, Yudai 2137 0 - 1

ライブでゲームを見ていた人は私の勝利を信じていたと思いますが、あれがドローになるとは私も驚きです。申し訳ない...好調の南條くんも連勝は3でストップ、相手が強かったですね。チームの勝ちを決めたのは満を持して登場した岩崎さんで、不戦勝を除けば個人として初勝利です。この勝利のおかげでアルジェリアとの接戦を制し、チームは1つ勝ち越しになりました。

Iraq - Japan 1 : 3


53.1 WIM Al-Rufaye, Iman 2171 - Ishizuka, Mirai 1839 1 - 0
53.2 Al-Fayyadh, Zainab Asif Abdulah 1635 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 0 - 1
53.3 Al-Khalidi, Aisha Ali Ahmed 1597 - Hasegawa, Emi 0 0 - 1
53.4 WFM Abdulzahra, Sali 1638 - Hoshino, Karen 1640 0 - 1

女子もイランを撃破。3番ボードの長谷川さんのゲームは、私たちがチェスを学ぶうちに忘れてしまった何かを思い出させるような、熱いロマンにあふれる一戦でした。この3試合でポイントを重ねている長谷川さんには、次も期待しようと思います。

Haddouche, M (IM, ALG, 2429) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (7)

1. e4 e6 2. d3 d5 3. Nd2 Nf6 4. Ngf3 b6 5. g3 dxe4 6. dxe4 Bb7 7. Qe2 Ba6!?



7月のCAISSA では、7...Nc6 を試しましたが、ここではもう一つのラインで勝負です。試合前日に発見し、みっちりアイディアを学びました。

8. c4 Nc6 9. e5


白は黒のe6-e5 (d4 のアウトポスト抑える重要なアイディア) を防ぐためにポーンを伸ばしますが、代わりにナイトのマヌーバリングを許してしまいます。

9... Nd7 10. Bg2 Nc5 11. O-O Bb7 12. Rd1 Qd3!



d3、d4 は黒の支配下にあるマスです。これを活用することで黒は敵陣にピースを送り込み、展開の遅さをカバーします。

13. Qxd3 Nxd3 14. Nb3?


14. Ne4 Rd8 15. Nd6+!? がオリジナルのゲームである、Zhang Zhong の指したラインです。

14... O-O-O-/+



これで単純に白はe5 が負担となり、黒良しの流れです。

15. Ng5 Ncxe5 16. Bxb7+ Kxb7 17. f4 h6 18. fxe5 hxg5 19. Bxg5


白は一時的にポーンを取り返しましたが、e5 が再び弱点となっています!

19... Rd7 20. Bf4 a5!



白にa2-a4 を突かせることで、b3 のナイトとb4 のマスを弱めさせます。

21. a4 Be7 22. Rd2 Bb4 23. Rdd1 Rhd8 24. Bg5 Rg8!?


ここはリードしていた時間を大量消費して、すぐに勝負を仕掛けるか悩みましたが、結局安全策を選択しました。

25. Kg2 Nxe5 26. Rxd7 Nxd7 27. Rd1 Kc8 28. h4 Nc5!?



局面を単純化しようとナイトの交換を計りましたが、Misha は自分であればb3 のナイトを働けないよう工夫すると、試合後にコメントをくれました。確かにb3 にいるナイトはさほど位置が良くないため、交換するのはもったいなかったかもしれません。

29. Nxc5 Bxc5 30. h5 f6 31. Bc1 Rd8 32. Rf1 Rd4!


白からのh5-h6 が見えていながらも、果敢にポーンの取り合いに挑みます。

33. h6 gxh6 34. Rxf6 Rxc4 35. Bxh6 Rc2+ 36. Kh3 Rxb2 37. g4 Rb3+ 38. Kg2 Rb4 39. g5



黒は白のクイーンサイドのポーンをパキパキと取って、駒得を広げますが、白はその間に唯一のパスポーンを進めました。あと2手で時間が増えるというこの局面で、黒の方針が狂い始めます。

39... Be7?!


39... Rxa4! 40. g6 Be7! 41. Rxe6 Kd7-+ 黒はa4 のポーンを取ってから、ビショップを退く余裕が十分ありました。

40. Rg6 Bxg5?



40... Rxa4! (再びこの手で勝利です。クイーンを作らせても、このマテリアルならば黒は余裕があります。) 41. Rg8+ Kd7! 42. g6 Rh4 43. g7 Rxh6 44. Rd8+ Kxd8 45. g8=Q+ Kd7-+

41. Bxg5 Rxa4


マテリアルは4ポーン+ルーク対ビショップ+ルークになりました。e6 のポーンはすぐに落ちるので、黒の武器は3コネクテッドパスポーンです。40手目前にこのポジションを考えた際は、黒はもう少し余裕を持ってポーンを伸ばせると楽観視していましたが、私はビショップの機動力を侮っていたようです。

42. Kf3 Rd4 43. Rxe6 Kb7 44. Ke3 Rd1


44... c5!? でも、白が最善を尽くせばドローだと思いますが、実戦的にはこちらのほうが白にとって難しそうです。

45. Ke2 Rd5 46. Bf4 b5 47. Re7!



良いディフェンスだと思います。c7 をアタックすることで、黒の負担を増やします。

47... Rc5 48. Kd3 a4 49. Bd2 Rc4 50. Ba5 Rc6 51. Rf7 Rc4 52. Re7 Rc6


この時点で勝利が露と消えたのを悟りました。黒のパスポーンは進めてもブロックされるだけで、落ちる危険性すらあります。
その代わり、この形でポーンを止めておけば、白からも局面を進展させるようなプランはありません。

53. Rg7 Rc4 54. Rf7 Rc6 55. Rg7 Rc4 56. Rf7 Rc6 1/2-1/2


これでチームが勝てなければ責任重大だなと思いつつ、2番ボード3番ボードもドローで、なんとか一安心です。しかし、課題の残るチェスでした。

さて、今日の8R はエジプト戦ですが、私が抜けることになりました。Behind では好き勝手に言われているようですが、相手のチームのレベルの関わらず、8R で私が抜けて残りの3戦に集中することは、レストデイ前から提案されていたことです。結局はチームとして決めたことなので、特に私たちの間では問題として扱っていません。私に期待して下さるのはありがたいことですが、イスタンブールにいないメンバーと議論しても仕方がないので、この件についてはこれぐらいにしておきます。


今日は試合前に会場で、オリンピアード後すぐに来日するMaxime Vacher-Lagrave に挨拶に行きました。彼とは初めて話をしましたが、印象通りの好青年でした。日本でのイベントも成功するよう願っています。

2012/09/04

Istanbul Chess Olympiad 6th round - Japan vs. Wales -


レストデイ明けの6R は、日本とリストが近いウェールズとの対戦です。ウェールズと言えば、2003-2005年頃まで、元代表のPeter Varley が日本に滞在し、積極的にプレーしていたことを思い出します。彼は帰国した後もチェスを続け、昨年、FM のタイトルを獲得しました。今年のウェールズ代表チームで、副将を務めてもおかしくない程の実力があります。

ウェールズという国自体は、日本よりもチェスのレベルが高いと思いますが、今大会の代表は大将のみIM で、他はノンタイトルです。私さえ崩れなければ、十分に勝ちのチャンスはあると考えていました。それではさっくりと結果から。

Japan - Wales 3 : 1


46.1 FM Kojima, Shinya 2282 - IM Jones, Richard 2393 ½ - ½
46.2 CM Nanjo, Ryosuke 2316 - Kett, Tim 2237 1 - 0
46.3 FM Watanabe, Akira 2278 - Dineley, Richard 2259 ½ - ½
46.4 Averbukh, Alexander 2211 - Brown, Thomas 2104 1 - 0

私はさっくりドローにして、残りボードの結果待ちでしたが、黒を持った2人がしっかり勝って、2R 以来、待望のチームとしての勝利です。このラウンドでAlex は初勝利、南條くんが3連勝です。それにしても南條くんは強いですね。普通にここまではIM ノームを余裕でクリアするペースです。

Japan - Mozambique 1 : 3


51.1 Ishizuka, Mirai 1839 - Vilhete, Vania Fausta 1816 0 - 1
51.2 WCM Nakagawa, Emiko 1798 - Castro, Neusa Aridas De 0 0 - 1
51.3 Hasegawa, Emi 0 - Malenda, Ana 0 ½ - ½
51.4 Kikuchi, Arisa 0 - Da Silva, Jesse Mitchel 1512 ½ - ½

女子は上2人が崩れて、モザンビークに敗れました。石塚さんは開幕5連敗で、まだ脱出口が見えません。ここを堪えて、何かしら浮上のきっかけを掴んでほしいと思います。それでは私の試合解説へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Jones, R (IM, WLS, 2393)
40th Chess Olympiad (6)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Bg6!?



ハンガリーでも何度か実戦経験のある、Slav Classical ですが、 9...Nbd79...Bg4 に続く、第3のライン登場です。黒で指そうと研究したこともあります。

10. Ne5 Nbd7 11. Nxg6 hxg6 12. Rd1


ここは慌ててe3-e4 を突かず、d4 のポーンを守るのが鉄則です。

12... Qa5 13. e4! e5



黒がc3 のポーンを取った場合、白はダブルビショップとb7へのプレッシャーで戦うことができます。13... Nb6 14. Bb3 Bxc3 15. bxc3 Qxc3 16. Rb1 Qb4 17. Rd3 Rfd8 18. Bd2 Qe7 19. a5 Nc8 20. Bg5 e5 21. dxe5 Rxd3 22. Qxd3 Qxe5 23. Bxf7+ Kxf7 24. Qb3+ Ke8 25. Bxf6 gxf6 26. Qxb7 Rb8 27. Qxb8 Qxb8 28. Rxb8 Kd8 29. Rb7 a6 30. h4 1-0 / Zoler,D - Benitah, Y / Neum 2000

14. d5 Nb6 15. dxc6 bxc6 16. Bd3


この辺りまでが私の研究です。白はなるべくa2-g8 のダイアゴナルをキープしておきたいですが、b3 にビショップを退くと、それ自体が浮いてしまい、c3 を取られた際のことを心配しました。

16... Rfd8 17. Be3 Nbd7



このような変化でドローになったゲームもあるようです。17... Bc5 18. Bd2 Bb4 19. Be3 Bc5 20. Bd2 Bb4 1/2-1/2 / Bacrot, E - Almasi, Z / Szeged 2000

18. Bc4


次に黒がNd7-Nc5 を画策していることは明らかなので、e4 とc3 を気にしつつ、手を作るのにはどうしたら良いか考えました。色々悩んだ末に選んだのは、ビショップをベストのダイアゴナルに戻すことです。黒がf8 のルークをすでに動かしているので、f7 へのアタックから手を作れるのがポイントです。(例えば、黒がc3 を取った場合、Qe2-Qa2 としてf7 を攻撃する。)

18... Nb6



予想の範囲内ではありましたが、黒はナイトを戻してビショップをアタックします。b3 に退く変化も考えましたが、やはりビショップ自体が浮くのを気にし、ドローで落ち着くことにしました。

19. Bd3 Nbd7 20. Bc4 Nb6 21. Bd3 1/2-1/2


30手以内のドローオファーが禁止されている今大会ですが、3回同一局面はもちろんドローです。1時間と少しでのフィニッシュとなりました。

この日、ウェールズに勝ったことで、日本の男子チームは戦績を2勝2敗2ドローのタイに戻しました。現在順位は74位で、スタート順位の92位から大幅に上げています。南條くんの活躍が大きいことは、言うまでもないでしょう。

そして今日は男子がアルジェリア、女子がイラクとの対戦です。両チームとも大将のレイティングが跳び抜けて高いチーム(アルジャリアの大将は2400台のIM、イラクの女子大将は2100台のWIM です。)なので、私と石塚さんは非常に苦労しそうですが、なるべく良い報告ができるよう頑張ります! ちなみにアルジェリアの女子チームはとても親日的なので、試合前に何らかのアクションがあると予想します。ポルトガル戦の前にも、一緒に記念撮影をしました。


この日の最注目は男子のトップボード、ロシア対アルメニア!ドラフト1位、Movsesian の活躍で2-2 の引き分けです。


女子も中国対ロシアのトップ対決です。こちらも引き分け。


試合前のひととき。

2012/09/03

Istanbul Chess Olympiad 5th round - Japan vs. Portugal -


イスタンブールでの5日目は、ふたたびヨーロッパの強豪、ポルトガルとの対戦です。隣国スペインには劣りますが、それでもGM が2人チームにおり、日本にとっては遥かに格上の相手です。それでは棋譜の前に結果から。

Portugal - Japan 2½:1½


37.1 GM Galego, Luis 2495 - FM Kojima, Shinya 2282 1 - 0
37.2 GM Fernandes, Antonio 2395 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 0 - 1
37.3 IM Pereira, Ruben 2417 - FM Watanabe, Akira 2278 ½ - ½
37.4 FM Padeiro, Jose 2354 - Averbukh, Alexander 2211 1 - 0

このラウンド、南條くんがGM に初勝利、暁さんもIM にドローで、1.5P を奪うことができました。それでも自分の負けによってチームが負けが決まると、かなり悔しいものです。

Japan - Zambia 2 : 2


54.1 Ishizuka, Mirai 1839 - WCM Tembo, Epah 1927 0 - 1
54.2 Hasegawa, Emi 0 - Mtine, Joy Jottie 2050 1 - 0
54.3 Kikuchi, Arisa 0 - Mwango, Makumba Lorita 1806 0 - 1
54.4 Hoshino, Karen 1640 - Hamoonga, Banti Linda 0 1 - 0

女子は長谷川さんが今大会初勝利!カレンちゃんも勝って、厳しいと思われたザンビア戦をドローで乗り切りました。あとは石塚さんの初勝利が待たれるのみです。


この日最後まで残ったのは、ありさのゲーム。最後にドローチャンスがあったようです。

誰でも負けるのは悔しいものです!それでは惜しかった私のゲームをどうぞ。

Galego, L (GM, POR, 2495) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (5)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. b3 Bg4 5. Bb2 e6 6. h3 Bh5 7. Be2 Nbd7 8. O-O Bd6 9. d3 O-O 10. Nbd2 Qe7 11. a3 a5 12. Re1 Rfd8 13. Qc2 e5 14. e4 dxe4!



用意とは違いましたが、多少の経験があるオープニングになりました。通常のKIA 同様、黒はd4 のアウトポストを活用することで手を作ろうとします。

15. dxe4 Bg6?!


ここでしばらく時間を使ったのですが、本譜の手と15...Nc5、15...Nf8 のどれがベストなのかよく分かりませんでした。しかし改めて考え直してみると、まずはd4 のマスを抑える15... Bc5! ぐらいで良さそうです。

16. Nh4!


当然の一手ですが、ビショップを取る手ばかりを考え、f5 への侵入を軽視していました。

16... Nf8 17. Bf1 Bc5 18. Ndf3 N6d7 19. Nf5! Bxf5 20. exf5+/=



f5 のナイトはとても強く、取らざるをえないと感じました。しかしこの交換により、e6 のマスが抑えられてしまい、Nf8-Ne6-Nd4 の構想を諦めなくてはならなくなります。完全にプランの練り直しです。

20... f6 21. Re4 Nb6 22. h4?!


この辺りの手をGalego は試合後に悔やんでいました。確かに本譜の流れを見れば、このポーン突きはアタックになっておらず、弱点を増やしているだけです。

22... Nc8 23. Ree1 Nd6 24. Bc3 e4!



ようやくカウンタープレーの兆しが見えてきました。f5 の邪魔なポーンを取り除けば、もう一つのナイトも復帰できそうです。

25. Nd4 Bxd4 26. Bxd4 Nxf5 27. Bb6 Re8 28. f3 Ng3 29. Bf2 Qc7 30. Bxg3 Qxg3 31. Rxe4



白はポーンを回収しましたが、黒マスを弱めたことが痛手になることは間違いありません。h4 のポーンも単なるターゲットです。

31... Rxe4 32. Qxe4 Ng6


ここはルークをセンターに回す手と迷いましたが、f4 にナイトを置けば何かしらあるだろうと思い、本譜をチョイスしました。

33. Qe6+ Kh8 34. h5 Nf4 35. Qd7



白がh3 のマスを抑えなければ、黒は容易にパペチュアルチェックに持ち込めますし、それ以上を狙っても良さそうです。しかし、いかんせん私の持ち時間が少なく、ここからどう進めて良いか分かりませんでした。

35... Qg5


試合後にこの手がミスだと思いましたが、これ自体はOK でした。35... Nxh5!? 36. Qxb7 Rg8 37. Qxc6 Nf4 (37... Qe5 38. Rd1 Qe3+ 39. Kh2 Qf4+ 40. Kg1 Qe3+=) 38. Qd7 h5 39. Rd1 Rf8 40. Qf5 g6 41. Qd7 Rf7 42. Qc8+ Kg7= ぐらいでも黒は問題なく、f6-f5 を狙ってクイーンの利き筋を消せば、黒はドローに持ち込めそうです。

36. Rd1 h6 37. Rd4 Qe5?!



白のルークの動きに混乱し、無駄な手を指してしまいました。37... Nxh5=/+ と大人しくポーンを取れば、黒良しのポジションです。

38. Re4 Qc5+?


クイーン交換は白がかなり良いエンドゲームになります。38... Qg5! と戻るべきでした。

39. Qd4 Ne6 40. Qf2?! Qxf2+?



時間が増える40手目、致命的なミスを犯しました。クイーンを交換した後にh5 のポーンが取れるかどうかばかりに目が行き、クイーン交換を避けるという単純なアイディアに気づいていませんでした...40... Qd6!=

41. Kxf2 Nc5 42. Re7 Nxb3


ルークをパッシブに使っても仕方ないかと思いましたが、本譜ではどうしようもないので、少しでもポーンを交換しておくべきでしょう。42... Rb8 43. b4 axb4 44. axb4 Na6 45. b5 Nc5 46. bxc6 bxc6 47. Rc7 Rb6 48. Rc8+ Kh7 49. Kg3+/-

43. Rxb7 a4 44. Rc7 c5 45. Bd3 Kg8 46. Be4 1-0



キングとルークのポジションがどうしようもないので、ここでリザイン。久々にGM 相手にポイントを取れるポジションを築き、チームの勝ちもチャンスがあっただけに、この負けは少し堪えました。


レストデイの今日は気を取り直して、南條くんと2人でイスタンブールの旧市街を見て回りました。彼とも12年の長い付き合いで、海外大会も多く共にしていますが、2人だけで観光に行くのは大変珍しいことです。


まずはシャトルバスで空港まで。そしてメトロへ。南條くん、下りのエスカレーターでは前を向きましょう。


メトロもトラム、この3リラのチケットのようです。ブダペストと違い、改札をくぐります。


本場のケバブは、後日のお楽しみにしておきます。確か値切れるという噂ですね。


こちらのお菓子の山には、ホテルのデザートコーナーも脱帽です。


イスタンブールのトラムはオシャレで、ブダペストよりも格好良いと思います。


一つ買って、もふもふすべきでした。


こちらは水たばこですかね。イスタンブールで吸ったという体験談は聞いています。

1日休みを挟んだ今日は、男子がウェールズ、女子がモザンビークとの対戦です。特に男子はかなりリストが近い所に当たったので、(しかし私は100上のIM!)ここは勝って、後半戦を気分よく始めたいところです。


2012/09/01

Istanbul Chess Olympiad 4th round - Japan vs. IBCA -


3日目を終え、次のペアリングを確認しようとすると、なかなか日本が見つかりません。どんどんスクロールしていくと、かなり下のほうにありました。4日目の対戦相手はIBCA (視覚障害を持つプレーヤーのチーム) です。視覚障害というと、全員がブラインドチェスをやるようにも聞こえますが、完全に盲目の人から弱視の人まで、様々なプレーヤーがいます。

そして何より、オリンピアード代表になるプレーヤー達は、皆強いです!2002年のBled Olympiad、2004年のCalvia Olympiad では、日本チームはIBCA に敗れ去っています。しかし今年は日本も過去最強クラスのチームなので、そう簡単に敗れるわけにはいきません。IM 2人を擁する今年のIBCA にも一歩も引きませんでした。

Japan - IBCA 2 : 2


77.1 FM Kojima, Shinya 2282 - IM Meshkov, Yuri A. 2390 1 - 0
77.2 CM Nanjo, Ryosuke 2316 - IM Dukaczewski, Pjotr 2228 1 - 0
77.3 FM Watanabe, Akira 2278 - FM Mueller, Oliver Christian 2265 0 - 1
77.4 CM Iwasaki, Yudai 2137 - Ross, Christopher 2231 0 - 1

私と南條君で2人のIM をノックアウト!暁さんは劣勢ながらも、ドローに持ち込めるルークエンディングでしたが、最後の最後で受けを間違えて負け。私も一人で考えていてドローの形が分からない、難しい形でした。それでもフィンランド戦同様、平均レイティングが上のIBCA にドローは、悪い結果ではないでしょう。

El Salvador - Japan 4 : 0


47.1 WIM Zepeda Cortes, Lorena Marisela 2139 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 1 - 0
47.2 WCM Sanchez Oliva, Ingrid Lizeth 1992 - Hasegawa, Emi 0 1 - 0
47.3 WFM Avelar Bonilla, Gabriela Maria 1939 - Kikuchi, Arisa 0 1 - 0
47.4 Garcia Mendez, Alcira Guadalupe 1782 - Hoshino, Karen 1640 1 - 0

体調不良気味の石塚さんを休ませた女子チームは、エルサルバドルに完敗。カレンちゃんは途中優勢だったようで、自身に相当ご立腹の様子でした。それはで、私のゲーム解説に移ります。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Meshkov, Y (IM, IBCA (RUS), 2390)
40th Chess Olympiad (4)

1. Nf3 c5 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. e4 Nc6 5. d5 Nd4 6. Nc3 Nxf3+ 7. Qxf3 d6 8. Be2 Nf6 9. O-O O-O 10. Qd3 a6 11. a4



なんだかよく分からないオープニングでしたが、とりあえずは満足な形です。このストラクチャーであれば白は、将来的なe4-e5 を狙います。

11... Ne8 12. Bg5!?


黒のナイトはNf6-Nd7-Ne5 と来ると思いましたが、それはfポーンを突いて単純に撃退できます。そこで黒はf5-f5 とポーンを突く作戦に出ます。これによりeファイルが開くと予想した私は、e7 に予めプレッシャーをかけておくことを決めます。

12... h6 13. Bh4 Bd4!



これはうまいと思いました。ナイトがf6 に戻る前に、ビショップをアクティブにしておきます。

14. Kh1 f5 15. f4 Nf6 16. Bf3 e5?!


しかし、これが軽率な一手でした。白マスのポーンを取り除くことで白マスビショップをアクティブにし、d5 にアウトポストを作るのは、白が歓迎する展開です。

17. dxe6 Bxe6 18. e5!?



1ポーンを捨てて、白マスビショップのダイアゴナルを開きます。

18... dxe5 19. fxe5 g5?


黒は完全に受けを間違えています。当然私も19...g5 は候補手ですが、これが白良しになることを判断してのeポーンを突きでした。黒は素直に一時的なポーンサクリファイスを受け入れるしかありません。19... Bxe5 20. Qe3 Qd4 21. Qxh6 Bf7

20. exf6 gxh4 21. Bxb7



21. Rae1! (本譜を指した直後に、この手の存在に気が付きました。狙いとは当然、e6 のサクリファイスです。) 21... Bxc3 22. Qxc3 Rxf6 23. Bxb7 Ra7 24. Rxe6 Rxe6 25. Bd5 Qd6 26. Qh3+/-

21... Bxc3


21... Rb8 22. Bd5 Qxf6 23. Rae1! Rbe8 24. Rxe6 Rxe6 25. Ne2! Be5 26. Qxf5 Qxf5 27. Rxf5 Rxf5 28. Bxe6+ Rf7 29. b3+/- この1ポーンアップのエンドゲームは、白が勝てそうです。

22. Qxc3 Ra7 23. Rae1!



f6 のポーンを死守する重要な一手です。ビショップが逃げるのではなく、相手ビショップを狙うことでで、黒にf6 を取る暇を与えません。

23... Qd4?!


23... Rxf6 24. Rxe6 Rxe6 25. Bd5 Qd6 26. Rxf5+/-

24. Rxe6 Qxc3 25. bxc3 Rxb7 26. h3!?



ここでどう指すかは、かなり迷いました。a6 を取るのが素直そうですが、バックランクを先に外し、f5 取りのスレットを作ることにしました。26. Rxa6 Rb3 27. a5 Rxc3 28. Kg1 Kf7 29. Rxf5 Rxc4 30. Rc6+-

26... Kf7 27. Rxa6 Kg6 28. Rc6 Rxf6 29. Rxc5 Rb3 30. Ra1 f4 31. Rf1!


黒にf4-f3 と突かれてはカウンターのチャンスを与えてしまうため、それを止める重要な一手です。残り数秒で正確に指せたことは、大きな自信になりました。

31... Rxc3 32. Rf3 Rc1+ 33. Kh2 Ra1 34. a5 Ra2 35. Kg1! h5 36. Rb3+-



ここまで来れば、あとはオープンファイルからもう一つのルークを参戦させるだけです。まずは37.Rb6 を狙います。

36... f3 37. Rxf3 Re6 38. Rb3


黒のメイトスレットより先に、白がメイトスレットを作れること(厳密には、黒がメイトを止めるためにルークを退かなければいけないこと)を確認し、ゲームセットです。

38... Re1+ 39. Kh2 Ra4 40. Rb6+ Kf7 41. Rxh5 Rxc4 42. Rh7+ Kg8 43. Rd7 Kf8 44. a6 1-0



黒がaポーンを止めるために、ルークを捨てざるをえなくなるのも、時間の問題です。

イスタンブールに来て、ようやく大将としての仕事を果たしました。次の対戦はポルトガルで、再びGM 戦となります。4試合でGM3戦、IM1戦という、もうなんだか訳のわからない厳しい当たりですが、めげずにポイントを取りにいきたいと思います。


お昼のデザートに惹かれながらも、勝つまで食べないことを決断。しかし、夜は気にいったデザートがありませんでした(泣)


4日目のトップボード、インド対アメリカは2-2 のドローでした。


ロシア対中国は3-1 でロシアの勝ち。オリンピアードで毎回やらかすロシアも、ここまでチームは全勝です。


会場の外でも、モニターで一部の試合の様子を見ることができます。こちらはLi Chao - Jakovenko


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