2011/05/31

Challenging the tournaments in USA

すでにスケジュールページにある通り、来月、アメリカのフィラデルフィアで開催されるPhiladelphia International と World Open への参加を決めました。チェスでの渡米は6年ぶり、3回目となります。大会のスケジュールは以下の通りです。

6/22(水) 現地到着&チェックイン
6/23(木) Free Day(おそらく惇多君と観光か、トレーニングをします。多分・・・)
6/24(金) Philadelphia International R1 11:00 a.m~ R2 6:00 p.m~
6/25(土) R3 11:00 a.m~ R4 6:00 p.m~
6/26(日) R5 11:00 a.m~ R6 6:00 p.m~
6/27(月) R7 11:00 a.m~ R8 6:00 p.m~
6/28(火) R9 11:00 a.m~ World Open R1 7:00 p.m~
6/29(水) R2 7:00 p.m~
6/30(木) R3 7:00 p.m~
7/01(金) R4 6:00 p.m~
7/02(土) R5 6:00 p.m~
7/03(日) R6 11:00 a.m~ R7 6:00 p.m~
7/04(月) R8 10:00 a.m~ R9 5:00 p.m~
7/05(火) チェックアウト&現地発
7/06(水) 日本着

こうやって書くと長いですね・・・今回のフィラデルフィアの話は、上杉君のお母さんからもたらされました。オーストラリアで活躍する19歳のFMコンビ、Ly, Moulthun君(FIDE 2375)と池田惇多君(FIDE 2315)がこれらの大会に臨むに当たり、ホテルチェックイン時の保護者代理が必要とのことでした。アメリカには、21歳未満は保護者付きでないとチェックインできないホテルがあり、今回の試合会場となるホテルもそうらしいのです。そのため私は今回、2人の保護者代理兼プレーヤーとして、アメリカに赴くことになります。

アメリカはマレーシア、フランスに比べれば訪れた回数は少ないものの、私のチェス人生において、思い出深い国です。最初の渡米は中学3年生の夏休み、14歳の頃でした。中学の同級生が親の都合でアリゾナに移り住むこととなり、私は長期休みを利用して遊びに行くことになりました。初めて一人で飛行機に乗り、サンフランシスコ経由でアリゾナに向かうのは、ちょっとした冒険でした。(今では海外の空港のトランジットよりも、新宿駅や東京駅での乗り換えの方が複雑だと考えています。)

初のアメリカでは、2週連続で週末に州のチェスセンターに連れて行ってもらい、アメリカのチェス協会(USCF)に入会して計8戦をこなしました。また別の日には、どこか忘れてしまいましたが、大学のチェスサークルの活動に参加させてもらい、地元の大学生たちと多くのブリッツを楽しみました。これらが私にとって初の海外でのチェス経験であり、中学からチェスを始めて本当に良かったと感じた思い出です。

2回目の渡米は2005年、初の全日本優勝の直後でした。ミネアポリスで行われたHB Global Chess Challenge という大会に誘われ、日本から私を含め、5人のプレーヤーが参加しました。私にとっては初の海外トーナメントであり、参加者何百人というその規模は、日本国内の大会しか知らなかった私にとって、大きなサプライズでした。人生で初のFM,IMとの公式戦があり、試合を寝過ごすトラブルがあり、一緒に行ったプレーヤーの方々にも、日本で応援して下さった方々にも色々とご迷惑をおかけしました。懐かしいHB Global のレポートは、以下のサイトで読めるので、よろしければどうぞ。

http://uscfosaka.web.fc2.com/msc/note_6.html

私にとって3回目のアメリカ挑戦は、何かの初体験になるでしょうか。もちろん一番に狙うべきは、初のIMノーム獲得です。オーストラリアからの若きFM2人も、当然それを狙っているでしょう。保護者代理と言う立場ではありますが、次回のレイティング更新では3人のうち一番レイティングが下になるため、胸を借りるつもりでトーナメントに臨もうと思います。日本のチェスプレーヤーの皆さん、応援よろしくお願い致します。

2011/05/30

松戸スプリングトーナメント

今日は松戸チェスクラブ主催のスプリングトーナメントに参加してきました。松戸のの大会に参加するのは、実に3年ぶりのことです。上位陣は少しさびしい面子でしたが、全体として26名の参加者があり、十分盛り上がったと思います。

R1 小島慎也(2365)-阿部真大(1845)
1-0/ 16手/ Four Knights


中学2年生の真大君とは、今年の1月にも同じ色で対戦しています。今回はPetrofを避けてFour Knightsにしてみたところ、黒が早々に間違え、あっという間に勝勢になりました。真大君も昨年から1800台で苦しんでいますが、ちょっとしたきっかけを掴めばすぐ1900,2000に乗るでしょう。

R2 星野栄造(1872)-小島慎也(2365)
0-1/ 35手/ Caro-Kann Classical without 8.h5


星野さんとは3年ぶりの対戦です。Caro-Kannに何を指してくるかは知りませんでしたが、メインのh5を指さないラインでした。白がショートキャスリングをしてきたので、h4をターゲットにしてキングサイドを攻め、ポーンをいくつかもらったところでディフェンスに回り、勝ち切りました。少しひやりとするところもありましたが、時間切迫でも冷静にさせたと思います。

R3 小島慎也(2365)-南條遼介(2337)
1/2-1/2/ 51手/ Sicilian Alapin 2...d6


今日は南條君ともファイティングです。彼もAlapin対策は色々と考えているようで、前回の2...e6から2...d6へと変えてきました。お互いにチャンスのある局面はありましたが、時間切迫により最善手を逃し合い、最終的にはドローに落ち着きました。色々と考えることが多く、指していて楽しい試合でした。

R4 小笠誠一(1828)-小島慎也(2365)
0-1/ 27手/ Caro-Kann Classical

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6!?

14. c4?!

私はこのようなポジションでは、白はc4を突くべきではないと思っています。将来的なターゲットなる可能性があるためです。

14...O-O 15. Bc3?!

黒は黒マスビショップを交換する準備ができているため、この手はあまり働きません。

15...Rfd8

Rfe8-Rad8-c5とセンターを崩しに行っても、黒は十分イコアライズできますが、私はRfd8を好みます。a8のルークを、aファイルから使う可能性を残すためです。

16. Qe2 Bb4 17. Qe1?! a5!=/+
あとは...c5からセンターを崩し、ナイトをc5,e5で使えるようにします。白はc4とf2が負担となり、苦しい展開が続きます。

18. Kc2 c5! 19. a3 cxd4 20. Nxd4 Bxc3 21. Kxc3 (21. Qxc3 Qc5) 21... Nc5 22. Nb5 Rxd1 23. Qxd1 Nce4+ 24. Kb3 Rd8 25. Qe2 Rd2 26. Qe3 Qxe3+ 27. fxe3 Nxg3 0-1

結局、白はg3のナイトとh1のルークが使えずに終わりました。Caro-Kannのメインラインは、私も手順だけはチェスを始めて数カ月で覚えましたが、お互いの正しい指し方を理解するのは難しいものです。Caro-Kannには、これからも私のメインウエポンとして仕事をしてもらうつもりです。

2011/05/28

Philadelphia への誘い

来月、アメリカのフィラデルフィアで、Philadelphia International とWorld Openの二大会が開催されます。この二大会はSheraton Philadelphia City Center Hotel という同じ会場で開催され、日程は前者が6/22-28,後者が6/28-7/4となっています。6/28は、どうやら前者の最終戦と、後者の初戦が両方行われるようです。驚くべき運営スタイルですね。

先日、突然の誘いがあり、私もこの二大会に参加してみようという気になっています。スケジュールの都合と航空券の確保が出来次第、もう少し詳しい話を書こうと思います。参加するとなれば、実に高校2年生以来、6年ぶりの渡米&アメリカでのチェスとなるので、とても楽しみです。

2011/05/26

Gelfand won the important match !!!

すでに多くの人がご存じだと思いますが、昨夜のWch Candidate Match Gelfand-Grischuk のGame6で、イスラエルのGelfandが勝利し、Anandへの挑戦権を得ました。Gelfandファンとしては喜ばしい限りです。最終戦は難解なファイティングゲームでしたが、私なりに試合を振り返ってみようと思います。

Gelfand,B(2733)-Grischuk,A(2747)
Wch Candidate Match Final (6)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5


最終戦、黒のチョイスはGrunfeldでした。黒で勝ちに行くオープニングとして、大変人気があります。しかし、センターを取らせての戦いは難しく、センスと経験がものを言うオープニングだと個人的には考えています。

5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 Nb6 7. Nc3 Nc6 8. e3 O-O 9. O-O Re8 10. Re1

Khanty-Mansisk Olympiad でもg3 Grunfeldの試合解説はいくつか見ましたが、私もさほど詳しくないため、問題の局面まで流します。

10...a5 11. Qe2 Bg4 12. h3 Be6 13. b3 a4 14. Rb1 axb3 15. axb3 Qc8 16. Kh2 Ra5 17. Rd1 Rh5 18. Nh4 Bf6 19. f4 Rd8
ここはポーンを取ったらどうなっていたのか、非常に気になるところです。おそらく
19... Bxh4 20. gxh4 Rxh4 21. Kg3 Rxh3+ 22. Bxh3 Bxh3 とエクスチェンジを捨てるのではないでしょうか。

20. Qf2 Bxh4

ここは難しい判断です。黒はナイトを取って白のポーンストラクチャーを崩しますが、代わりに自身の黒マスを弱めます。

21. gxh4 Nd5 22. Nxd5 Rhxd5 23. Bb2

白はa1-h8のダイアゴナルを狙いに行きます。これが綺麗に開けば、白にチャンスが訪れます。

23...Rb5 24. Qe2 Rh5 25. e4!
ここで白はセンターの厚みを活かして黒にプレッシャーをかけます。コンピュータの評価はさておき、黒にとってどう指すか難しいポジションだと私は考えます。

25...Bxb3 26. Rdc1 Na5 27. d5 b6 28. Be5 c5 29. dxc6
これで白には強力なパスポーンができました。白マスビショップとルークが、これを支える絶好の位置にいることもポイントです。

29...f6 30. Ba1 Rc5 31. Rxc5 bxc5 32. Qb5!
私はライブを見ていて、32.e5から黒マスビショップのダイアゴナルを開く手もありかと思いましたが、本譜のほうが自然かつ、強烈です。

32...Qc7 33. Rxb3 Nxc6 34. e5 Nd4 35. Qc4+ 1-0

最後は時間切迫もあり、Grischuk があっというまに崩れてしまいました。Grischuk にとっては、前半で優勢な試合を勝ち切れなかったことが悔やまれるマッチだったでしょう。なにはともあれ、

Congratulations! Boris Gelfand!


2011/05/25

第7回国際親善チェス大会 in 新潟

今年も新潟でのチェス大会の日程が近づいてきました。これは新潟チェスクラブが年に一回、開催する大会で、今年の開催日は7/9(土)です。詳細は公式HPをご覧ください。

https://sites.google.com/site/kokusaishinzenchesutaikai/

私は一昨年、2009年に参加して、大変楽しませてもらいました。昨年は都合が合わず参加を見送りましたが、今年は参加します。すでに主催者側に参加の意思を伝え、新幹線と宿泊の予約も済ませてあります。ちなみにセットで20000円程でした。

一昨年は全日本チャンピオン経験者が四人参加し、上位ボードで激しい優勝争いをしました。(写真はAクラス3R,1B,Collins-上杉、2B,小島-Pineau の様子です。)また、賞品は新潟の名産品や地酒等、とても豪華でした。優勝したCollinsは折り畳み式自転車までゲットしています。
今年はまだ、関東圏から参加するという声は聞いていませんが、これから増えてくることを期待しています。特に最近活動が活発な学生たちには、積極的に参加してほしいと思います。一月半後を楽しみにしています。

2011/05/22

Fighting with the Ruy Lopez (1)

昨日、吉祥寺チェスクラブで行われた、私の自戦記レクチャーにご参加くださった皆さん、ありがとうございました。取り扱った試合がなかなか難しかったため、始める前はどうなるかと思いましたが、結果としては色々アイディアが飛び交い、楽しいレクチャーだったと思っています。来月のレクチャーは、オープニングを絞った試合解説にしようかと考えてており、今のところ、Ruy Lopezの予定です。

Ruy Lopezは1.e4 e5では王道中の王道であり、e4プレーヤーならば一度は必ず学ぶべきオープニングだと考えています。私自身1...e5に対しては、Bishop Opening, Vienna, Giuoco Piano, Scotchと色々試してきましたが、今はRuy Lopezに落ち着いています。Ruy Lopezの多彩なアイディアは、他のラインにも応用することができるので、他のオープニングをチョイスする人にも、Ruy Lopezを多少なりともかじってほしいと思います。

しかし、Ruy Lopezは実際に指してみると、初心者のうちは白の何が良いのか分からないことが多いでしょう。私も昨年、1.e4メインに戻して指しているうちに、ようやくRuy Lopezの本質が飲み込めてきたように思えます。そこで来月のレクチャーで扱う前に何回かに分けて、Ruy Lopezの試合を解説しようと思います。来月のレクチャーと合わせ、日本のチェスプレーヤーの皆さんが、Ruy Lopezを理解するための一助となれば幸いです。

Kojima,S-Sato,K
2nd Closed Training
2010.05.21

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 d6 9. c3 Na5 10. Bc2 c5 11. d4 exd4 12. cxd4 Nd7 13. Nbd2 Nc6 14. d5 Nce5
多少の手順前後はありましたが、Ruy Lopez Chigorin Variationの一変化になりました。

15. a4!

Ruy Lopezではポピュラーな手です。aファイルを開き、キングサイドとセンターだけでなく、クイーンサイドでもプレーできるようにします。

15...Rb8 16. axb5 axb5 17. Nxe5 Nxe5 18. f4 Ng6 19. Nf3 Bh4 20. Rf1 Bg3 21. f5 Ne5 22. Ng5!
黒はe5のマスをうまく抑えていますが、白はここでナイト交換を避け、黒キングへアタックを仕掛けます。少し気づきにくいですが、Ra3からビショップを狙うアイディアも隠れています。次は慎重に受けなければいけないところですが、要君は間違えてしまいました。

22...c4?

22...h6? 23. f6! hxg5 24. Bxg5 g6 25. Ra3!+/-
22...Bh4 23. Qh5 Bxg5 24. Bxg5+/= Anand-Bruzon/2006

私が黒のベストだと考えているのは、22...Nd7!?と指して、e5を抑えるピースをナイトからビショップに切り替えるプランです。本譜は白のキングサイドアタックを軽視しており、勝負は一気に決まります。

23. Qh5! h6 24. f6!
上記のラインと同じアイディアです。Bg5とRa3の両方があるので、黒はg5のナイトを取っても厳しい展開となります。

24...gxf6 25. Nf3!

落ち着いて一度ナイトを退けば、白は安全に攻撃を続けることができます。

25...Ng6 26. e5! f5 27. e6!+- Nf4 28. Bxf4 Bxf4 29. Qxf5 Be3+ 30. Kh1 Kg7 31. Ng5 1-0
要君としては不本意な試合だったと思いますが、白のアタックがきれいに決まったので使わせてもらいました。次回はまた別の変化の試合を扱います。

2011/05/21

Gelfand's Rook Ending

Candidates Matches Final 初戦のGrischuk-Gelfandで、興味深いルークエンディングが現れました。私は白のGrischukが勝つかと思いましたが、結果はドローでした。Chessbaseの解説を読む限り、Gelfandは正確に指して、1ポーンダウンながら危なげなくドローだったようです。私はこれをすぐには理解できなかったため、今日ここで取り上げようと思います。

Grischuk,A(2747)-Gelfand,B(2733)
Candidates Matches Final(1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. Rc1 c5 7. dxc5 Bxc5 8. e3 Nc6 9. a3 d4 10. exd4 Nxd4 11. b4 Nxf3+ 12. Qxf3 Bd4 13. Nb5 e5 14. Bg5 Re8 15. Bxf6 e4 16. Bxd8 exf3+ 17. Kd2 Rxd8 18. Nxd4 Rxd4+ 19. Kc3 fxg2 20. Bxg2 Rg4 21. Rhd1 Be6 22. Bxb7 Rxc4+ 23. Kb2 Rxc1 24. Rxc1 Rd8 25. Kc3 Kf8 26. b5 Ke7 27. a4 Rd6 28. a5 Kd8 29. b6 Bc8!
30. Bxc8 Kxc8 31. Kb4+ Kb8 32. bxa7+ Ka8 33. Rc8+ Kxa7 34. Rc7+ Ka6 35. Rxf7 Rg6 36. h3 Rg2 37. f4 Rg3 38. f5 h5 39. h4 Rg4+ 40. Kc5

私はこの辺りで、真剣にこのルークエンディングがどのような結末を迎えるのかを考え始めました。同時にコンピュータにもこの局面をかけ、形勢を確認します。すると42手目がポイントで、白が勝つとコンピュータは評価しました。しかし、それは幻だったようです・・・

40...Rxh4 41. Rxg7 Rf4 42. Rg6+

私はこの手がミスで、Grischukが勝ちを逃したのだと思いました。ところがそれは間違いで、白はa5を取らせないようにしても、勝つことはできません。私が考えていたのは、42.Rg6の代わりに42.Rg5です。

42. Rg5 h4 43. Rh5 h3 44. Kd6 h2 45. Ke6 Rf2 46. f6 Re2+ 47. Kf7 Rf2 48. Kg7 Rg2+ 49. Kh7 Rf2
このような形にすれば、本譜とほとんど同じで黒はドローに持ち込めます。

42...Kxa5 43. Rg5 h4 44. Rh5 h3 45. Kd6 h2 46. f6+ Kb6 47. Ke6 Rf2 48. f7 Re2+ 49. Kf6 1/2-1/2
最後は、黒が後ろからルークでのチェックをかけ続け、キングが離れれば...Rf2でポーンを狙ってドローになります。h2にポーンがあるために、ルークをぶつけるルセナポジションのアイディアが使えないことがポイントです。

Grischuk-Gelfandのマッチは、Game2もドローのルークエンディングとなり、Game3は短手数ドローでした。Game4からの後半戦に注目しましょう。

2011/05/19

Candidates Matches Final - Boris Gelfand -

現在、タタールスタン共和国の首都、カザンでCandidates Matches 2011が開催されています。これは現世界チャンピオンのViswanathan Anandへの挑戦者を決めるもので、8人いた選手は2人まで減り、決勝戦が行われている最中です。決勝の組み合わせはロシアのAlexander GrischukとイスラエルのBoris Gelfandです。

世界ランキング1位のCarlsenが参加を辞退したため、今回の本命はアルメニアのAronianとブルガリアのTopalovだと言われていました。しかし蓋を開けてみれば、その2人は初戦で姿を消し、先述の2人が決勝まで残りました。これを意外だという声は多いですが、私はGelfandが残ったことは、そう不思議でもないと考えています。今日はそんなGelfandにスポットを当て、彼がどういった人物がご紹介します。

Gelfand はイスラエルのトップGMであり、10年以上2700台をキープし続ける、世界でもトップクラスのチェスプレーヤーの一人です。20代、10代の台頭が激しいチェス界で、彼らに一歩も退かず第一線で戦い続けるベテランプレーヤーです。白ではCatalanを中心とした1.d4系、黒ではSlavやPetrofを好み、そのスタイルは、Avrukh,Postny,Roiz,Rodsteinといった、他のイスラエル代表にも大きな影響を与えています。
彼の最近の大きな活躍としては、2009年のFIDE World Cupでの優勝が挙げられるでしょう。Karjakin, Polgar, Ponomariovを破っての価値ある勝利でした。黒ではPetrofを使って徹底したドロー狙いを貫き、白で勝ちに行くことでマッチを勝ち抜いていきました。イマイチGelfandのチェスは地味で、魅力が分からないという人は是非一度、以下の試合を並べてみてください。

Karjakin,S(2723)-Gelfand,B(2758)
FIDE World Cup 2009

1. e4 e5 2. Bc4

Petrofを嫌っての判断です。しかし、これこそGelfandの思うつぼです。

2...Nf6 3. d3 Nc6 4. Nf3 Be7 5. O-O O-O 6. Bb3 d5 7. exd5 Nxd5 8. h3 a5 9. a4 Nd4 10. Nxd4 exd4 11. Re1 Ra6!!
非常に力強いルークのマヌーバリングです!これ以降も白キングを直接攻める力強いプレーが続きます。

12. Qh5 Nb4 13. Na3 Rg6 14. Bf4 b6 15. Qf3 Be6 16. Bxe6 fxe6 17. Qe4 Bd6 18. Bxd6 cxd6 19. Qxd4 Qg5 20. g3 Qf5 21. g4 h5 22. Re4 d5 23. Kh2 Qf3 24. Ree1 hxg4 25. Qe3 gxh3 26. Qxf3 Rxf3 27. Rg1 Rxf2+ 28. Kxh3 Rxg1 29. Rxg1 Nxc2 30. Nb5 Rf3+ 31. Kg4 Rxd3 32. Nd6 Ne3+ 33. Kf4 Nc4 0-1
今回のGrischukが1.d4ばかりを採用しているため、Petrofの出番はなさそうですが、その代わりにQueen's gambitでの熱い試合が続きそうです。是非皆さんも、Gelfandの活躍をチェックしてみてください。決勝の試合は、以下のサイトからチェックできます。

http://kazan2011.fide.com/live-games.html

2011/05/18

全日本選手権10R解説

昨日、Behind the Sceneで馬場さんが、Exchange Sacrifice をテーマに、全日本の3試合を取り上げていました。その中には10Rの、Amgalanbaatar君と私との試合もありました。この試合は解析をしてみると、終盤の複雑な変化が一番の見どころだと私は考えていますが、Behind the Sceneでは、その辺りはパスされています。

http://chessplayer.jugem.jp/?eid=623

この試合の解説は、こちらのブログで詳細に書こうと思っていたのですが、全日本終了直後に依頼があったため、チェス通信ですでに記事を書かせていただきました。とは言え、楽しみに待っている方もいらっしゃると思いますので、次号のチェス通信発行後に、こちらでも扱おうと思います。

2011/05/17

全日本の棋譜公開に関して

慶應義塾大学チェスクラブのブログから、今年の全日本の棋譜がダウンロードできるようになっています。編集と公開を手掛けてくれた桑田君、中村君には大いに感謝しています。上位10ボード×11ラウンドの計110局が、pgn形式になっているので、ChessBase やWinboard で開いてください。棋譜だけを見るならば、メモ帳でも可能です。

http://keiochess.blog130.fc2.com/blog-entry-77.html

さて、ここで全日本の棋譜公開について、もう少し話をしておきましょう。かつて日本チェス協会では、全日本の棋譜をチェスセンターなどで販売していました。私も中学2年生の頃に全日本の棋譜を購入し、一つ一つ並べて勉強した思い出があります。余談ではありますが、その年の優勝者であるSimon Bibby氏のオープニングレパートリーには、当時大きな影響を受けました。

しかし考えてみれば、海外のトーナメントでは棋譜が無料で公開されるのが一般的であり、棋譜を有料で手に入れるという話はあまり聞きません。日本でも無料で公開すべきだという声は、昔からありました。

流れが変わったのは、2009年の全日本からでした。全日本後に優勝者のSam Collins氏から、棋譜をネット上のチェス新聞であるChess Todayで扱いたいので自分に送ってほしい、との要望があり、私から彼に全日本の棋譜を渡すこととなりました。Chess Todayで全日本の棋譜が解説付きで紹介されたことを受け、日本チェス協会でも棋譜の販売を諦めたのでしょう。その年から日本チェス協会のHPでも、無料で棋譜が公開されるようになりました。

現在、世界中で行われている試合の棋譜は、Chess Base,Chess Games,The Week In Chessなどから閲覧、ダウンロードできます。私も知らない、その他のサイトを活用しているプレーヤーも大勢いるでしょう。棋譜が無料ですぐに手に入ることは、間違いなくプレーヤーの成長を促進させます。今回の棋譜公開が日本のチェスプレーヤーの棋力や、やる気の向上に繋がれば、私としても嬉しい限りです。

2011/05/16

Almost Perfect Winning

昨日吉祥寺チェスクラブで開催された新緑チーム戦で、私たちのチームは無事に優勝することができました。チームとしては全勝、全体でも私の一敗だけというほぼ完璧な勝利でした。各メンバーとラウンドごとのペアリング、結果、そしてベストゲームは以下の通りです。


- Individual Pairings and Results -

小島慎也 2200(2365) 4/5
R1 B 勝原亘 0-1
R2 W 南條遼介 0-1
R3 B 中村尚広 0-1
R4 W 古谷昌弘 1-0
R5 B 東芝輝臣 0-1

野口恒治 2139 5/5
R1 W 大竹栄 1-0
R2 B 阿部真大 0-1
R3 W 吉村謙治 1-0
R4 B 酒井創 0-1
R5 W 浜根謙一 1-0

大山尚輝 1407 3/5
R1 B 原下誠 1/2-1/2
R2 W 渡辺敬介 1/2-1/2
R3 B 篠田太郎 1/2-1/2
R4 W 小林秀彦 1-0
R5 B 結城治 1/2-1/2

針谷和音 1400(UR) 5/5
R1 W 川口宏 1-0
R2 B 三井崚也 0-1
R3 W 前田春乃 1-0
R4 B 平松佑介 0-1
R5 W 中川笑子 1-0


- Team Pairings and Results -

R1
W 勝原亘 1885 0-1 B 小島慎也 2200
B 大竹栄 1749 0-1 W 野口恒治 2139
W 原下誠 1400 1/2-1/2 B 大山尚輝 1407
B 川口宏 1400 0-1 W 針谷和音 1400

R2
W 小島慎也 2200 0-1 B 南條遼介 2200
B 野口恒治 2139 1-0 W 阿部真大 1845
W 大山尚輝 1407 1/2-1/2 B 渡辺敬介 1650
B 針谷和音 1400 1-0 W 三井崚也 1400

R3
W 中村 尚広 2014 0-1 B 小島慎也 2200
B 吉村 謙治 1932 0-1 W 野口恒治 2139
W 篠田 太郎 1748 1/2-1/2 B 大山尚輝 1407
B 前田 春乃 1400 0-1 W 針谷和音 1400

R4
W 小島慎也 2200 1-0 B 古谷昌洋 1953
B 野口恒治 2139 1-0 W 酒井創 1753
W 大山尚輝 1407 1-0 B 小林秀彦 1710
B 針谷和音 1400 1-0 W 平松佑介 1452

R5
W 東芝輝臣 2027 0-1 B 小島慎也 2200
B 浜根謙一 1814 0-1 W 野口恒治 2139
W 結城治  1748 1/2-1/2 B 大山尚輝 1407
B 中川笑子 1600 0-1 W 針谷和音 1400


- Best Games -

Nakamura,N-(2014)Kojima,S(2200)
Kichijoji Team(3)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 a6 5. Qc2 g6 6. Bd3 Bg7 7. b3 O-O 8. Bb2 c5 9. O-O Nc6 10. a3 cxd4 11. Nxd4 Nxd4 12. exd4 Nh5 13. cxd5 Qxd5 14. Be4 Qd6 15. Nd2 Bxd4 16. Nc4 Qf6 17. Bxd4 Qxd4 18. Rfd1 Qf6 19. Na5 Rb8 20. Qc7 Bg4
21. Bxb7 Bxd1 22. Rxd1 Rbd8 23. Qxd8 Rxd8 24. Rxd8+ Kg7 25. Rd1 Qc3 26. Nc4 Qxb3 27. Rc1 Qxb7 0-1

Noguchi,K(2139)-Yoshimura,K(1932)
Kichijoji Team(3)

1. c4 b6 2. Nc3 e6 3. e4 Bb7 4. d3 c5 5. g3 Nf6 6. Bg2 Be7 7. Nge2 O-O 8. O-O d6 9. e5
9...Bxg2 10. exf6 Bxf1 11. fxe7 Qxe7 12. Qxf1 Nd7 13. Be3 Nf6 14. Qg2 Rfd8 15. Nf4 a6 16. g4 Rab8 17. g5 Nd7 18. Ne4 b5 19. b3 a5 20. Nh5 bxc4 21. dxc4 a4 22. bxa4 Rb4 23. Kh1 Rdb8 24. Rg1 Rxc4 25. Nhf6+ Kh8 26. Qh3 Nf8 27. g6 fxg6 28. Nxh7 Kg8 29. Nxf8 Rxe4 30. Nxg6 Qb7 31. Qf3 1-0

Oyama,N(1407)-Watanabe,K(1650)
Kichijoji Team(2)

1. d4 Nf6 2. Nf3 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. O-O d5 6. c4 c5 7. dxc5 Nbd7 8. Nc3 Nxc5 9. cxd5 Qa5 10. Nd4 Ne8 11. Bf4 Qb4 12. e3 Qxb2 13. Rc1
13...e5 14. dxe6 Nxe6 15. Nxe6 Bxe6 16. Qc2 Qxc2 17. Rxc2 Rc8 18. Rfc1 b6 19. Nb5 Rxc2 20. Rxc2 a6 21. Nc7 Nxc7 22. Rxc7 Rc8 23. Bb7 Rxc7 24. Bxc7 1/2-1/2

Hiramatsu,Y(1452)-Harigaya,K(1400)
Kichijoji Team(4)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. c3 Qb6 5. Nf3 Nc6 6. Bd3 Bd7 7. Bc2 cxd4 8. cxd4 Bb4+ 9. Nc3 Nge7 10. O-O Ng6 11. Be3 O-O 12. Bxg6 fxg6 13. Bg5 Rf5 14. Ne2 Raf8 15. a3 Be7 16. Bxe7 Nxe7 17. b3 Bb5 18. a4 Bxe2 19. Qxe2 Rxf3
20. gxf3 Qxd4 21. Rfd1 Qf4 22. Rd3 Nc6 23. Re1 Rf5 24. Qe3 Qh4 25. f4 Rxf4 26. Qh3 Qxf2+ 27. Kh1 Qxe1+ 0-1

2011/05/14

九州大学チェスクラブ始動

九州大学にチェスクラブが誕生したようです。まだ未公認団体でメンバーも募集中とのことですが、今後の発展に期待しています。興味のある方はコンタクトを取ってみては如何でしょうか。

http://qdaichess.blogspot.com/

クラブの設立者は当大学の3年生である山崎君で、今年の全日本で私も初めて会い、話をすることができました。全日本では後半戦で沈んでしまいましたが、優勝者の馬場さんから勝ち星を奪うなどの活躍もあり、彼個人の成長にも期待しています。是非、九州のトッププレーヤーとして、九州のチェス界を引っ張っていってほしいと思います。

2011/05/11

自戦記解説レクチャー at 吉祥寺

二日続けて吉祥寺チェスクラブの話題です。今月21日に吉祥寺チェスクラブで、私の自戦記解説レクチャーを行わせていただきます。残念ながら今年は全日本のタイトルを落としてしまいましたが、予定通り全日本から試合をピックアップして、解説を行おうと思います。

参加のご連絡は私か、吉祥寺チェスクラブまで願いします。当日の参加申し込みでも問題ありませんが、なるべく事前のご連絡をよろしくお願い致します。多数のご参加をお待ちしております。

[名称] 日本王者【小島慎也】自戦記解説
[日時] 2011年5月21日(土) PM13:00~15:00
[会場] 吉祥寺チェスクラブ
[参加費] 席料込   3000円/2000円(一般/大学生以下)
レクチャーのみ 2000円/1000円(一般/大学生以下)
[テーマ] How to gain and lose an advantage

今年の全日本選手権では優勢に試合を運びながら、肝心なところで間違えて、勝ちを逃してしまう展開が続きました。そこで今回は、チェスの試合で一方がどのように優勢になり、またどのようなミスでその優勢を失うのか、私の試合を2試合取り上げ、考えてみたいと思います。

[解説内容]
塩見-小島/ Caro-Kann Pseudo-Panov/ 2011/ 0.5-0.5
小島-桑田/ Semi-Slav Anti-Meran/ 2011/ 0.5-0.5

2011/05/10

吉祥寺新緑チーム戦

今週末に吉祥寺チェスクラブで行われる、四人一組のチーム戦をご紹介します。
吉祥寺チェスクラブのHPでも、詳細を確認することができます。


[名称] 吉祥寺新緑チーム戦
[日時] 2011年5月15日(日)
[会場] 吉祥寺チェスクラブ(吉祥寺駅徒歩1分)
[形式] 5R完全スイス式
[持ち時間] 25分10秒/1手(フィッシャーモード)
[参加資格] 特になし
[参加費] 1チーム当たり12000円
[特別規定チームメンバーの合計レイティングが7200以下

申し込み締め切りは5/8となっていますが、エントリーの上限である10チームにまだ達していないため、興味のある方は連絡を取ってみてはどうでしょうか。

私たちのチームも先程、出場が決まりました。メンバーは以下の通りです。

小島慎也 2200 (2365)
野口恒治 2139
大山尚輝 1407
針谷和音 1400 (UR)

吉祥寺チーム戦は、規定により全員のレイティング合計が7200以下でなくてはなりません。そのため、これまで私はチームを組むのに苦労してきましたが、今回は幸運にもメンバーに恵まれ、初出場を決めることができました。私と野口さんのベテラン(?)勢に、立教大学の若い二人を加えたカルテットで優勝を狙います!特に私と野口さんは全日本の鬱憤をここで晴らしたいと思います。

2011/05/07

祭りのあと

今夜の話題は主に二つです。今日の昼間、一人でぼんやりと昨日の試合を考え直していたところ、終盤でドローチャンスがあったのではないかと思い至りました。それは以下のポジションです。

FM Kojima,S(2329)-Iwasaki,Y(2101)
Japan Chess Championship(11)

1. e4 c5 2. c3 d5 3. exd5 Qxd5 4. d4 Nf6 5. Nf3 Bg4 6. Nbd2 cxd4 7. Bc4 Qh5 8. Qb3 Nbd7 9. Qxb7 Rb8 10. Qxa7 e5 11. cxd4 exd4 12. Qxd4 Bc5 13. Qf4 O-O 14. O-O Rfe8 15. b3 Rb6 16. h3 Bxf3 17. Qxf3 Qe5 18. Rb1 Bd6 19. g3 Qa5 20. a4 Bb4 21. Rd1 Ne5 22. Qf4 Rd6 23. Kg2 Qa8+ 24. Kh2 Bxd2 25. Bxd2 Rxd2 26. Rxd2 Nf3+ 27. Qxf3 Qxf3 28. a5 h5 29. a6 h4 30. a7 hxg3+ 31. fxg3 Ne4 32. Rg2 Ng5 33. h4 Qf5 34. hxg5 Qh7+ 35. Kg1 Qxb1+ 36. Kh2 Qa1?

この手は試合中、ベストではないと感じました。g6をつければ白のチャンスが復活します。

37. g6! Rf8 38. gxf7+?

このミスで負けになりましたが、別の手なら結果はどうだったでしょうか。

38. Rf2!
a7はすでに救えないので、さらにf7へ圧力をかけます。もちろん試合中も考えましたが、時間が足りなかったため、39手目以降の流れが読み切れませんでした。

38...Qxa7 39. Bxf7+!

ここがポイントです。40. Rf4-Rh4 のルーク振りがあるため、黒はここでルークを返さざるを得ません。

39...Rxf7 40.gf7+ Kf8
こうなると果たして黒は勝てるのでしょうか?b3はもちろん落ちますが、クイーンとgポーンだけを動かして、白のルークをfファイルから離すか、g3のポーンを落とすことは難しいように思えます。この局面については、今度仲間内で集まった際にでも話し合ってみたいと思います。

さて、もう一つの話題は今月15日の吉祥寺のチーム戦についてです。先程、吉祥寺チェスクラブのブログでエントリーリストが発表されていることを確認しました。現在、エントリーは6チームのようです。私は参加のメールを出していませんが、全日本の会場で浜根さんに参加の意思を伝えたことがエントリーになったのでしょう。浜根さん、ありがとうございます。

私たちのチームは

小島慎也 2200 (2364)
野口恒治 2139
大山尚輝 1407
針谷和音 1400 (UR)

となっています。しかし、野口さんの痛めた足の具合がまだあまり良くないとのことなので、参加をどうするか協議中です。参加が確定し次第、再びこの話題を取り上げようと思います。

2011/05/05

全日本選手権閉幕

今年の全日本選手権も今日で終了しました。私は最終戦で勝勢の局面からブランダーを連発し、逆転負け。最終順位は8位に沈むという苦い日でした。昨年の全日本では、いくつも劣勢の局面から勝ちをもぎ取りましたが、今年はなかなか優勢を勝ちにつなげることができませんでした。こういったトーナメントもあるものだと割り切り、一から出直します。

FM Kojima,S(2329)-Iwasaki,Y(2101)
Japan Chess Championship(11)

1. e4 c5 2. c3 d5 3. exd5 Qxd5 4. d4 Nf6 5. Nf3 Bg4 6. Nbd2 cxd4 7. Bc4 Qh5 8. Qb3 Nbd7 9. Qxb7 Rb8 10. Qxa7 e5 11. cxd4 exd4 12. Qxd4 Bc5 13. Qf4 O-O 14. O-O +-
14...Rfe8 15. b3 Rb6 16. h3 Bxf3 17. Qxf3?!(17.Nxf3) 17...Qe5 18. Rb1 Bd6 19. g3 Qa5 20. a4 Bb4 21. Rd1? Ne5 22. Qf4? Rd6 23. Kg2? Qa8+ 24. Kh2 Bxd2 25. Bxd2 Rxd2 26. Rxd2 Nf3+ 27. Qxf3 Qxf3 28. a5 h5 29. a6 h4 30. a7 hxg3+ 31. fxg3 Ne4 32. Rg2 Ng5 33. h4 Qf5 34. hxg5 Qh7+ 35. Kg1 Qxb1+ 36. Kh2 Qa1 37. g6 Rf8 38. gxf7+ Kh7 39. Rf2 g6 40. Kg2 Kg7 41. Rf4 Qxa7 42. Rf2 Qb7+ 0-1

優勝は後半戦でずっとリーダーだった中村龍二さんでした。初戦は落としましたが、その後六連勝、四連続ドローで逃げ切り、初の栄冠です。龍二さん、おめでとうございます!

その他の参加者の皆さんも六日間の試合、お疲れさまでした。初めて会ったメンバーとも話ができ、楽しかったです。また来年の全日本もよろしくお願いします。

2011/05/04

全日本五日目-a fight for the first and second places-

昨晩はしっかり休息を取ったつもりでしたが、9Rは馬場さんにあっさり負け。情けない結果でした。しかし、10RはAmgalanbaatar君との複雑な試合を制し、準優勝争いには残りました。こちらの試合は解析をしてみたところ、クレイジーな変化が多すぎたため、後日詳しく解説を書こうと思います。馬場さんとの試合はすでにBehind the Sceneに公開されていますので、そちらをご覧ください。

http://chessplayer.jugem.jp/

さて、Behindでは優勝争いがメインの話題となっていますが、私たちに関係があるのは準優勝争いです。こちらは現在6.5Pを獲得している5人全員にチャンスがあり、皆、虎視眈々と狙っているはずです。その5人の今日の流れは以下の通りです。

南條君は塩見さんに勝ちましたが、野口さんに負け。
私は馬場さんに負けましたが、Amgalanbaatar君に勝ち。
桑田君は龍二さんとドローでしたが、暁さんに負け。
塩見さんは南條君に負けましたが、Averbukhさんに勝ち。
野口さんは真鍋さんと南條君に連勝。

全員元オリンピアードメンバー(一人違いますが)の意地を見せます。そして明日のペアリングは以下のようになっています。

2B 野口(6.5)-馬場(7)
3B 小島(6.5)-岩崎(6)
4B 中村(尚)(6)-塩見
5B 山田(6)-南條(6.5)
6B 三阪(6)-桑田(6.5)

私は南條君にはタイブレークで勝てないことが分かっているため、ようやく浮上してきた山田君に期待しています。しかしここまで書いてなんですが、あまり周りのボードの結果ばかりを気にしても仕方ないため、自分の試合に集中することにします。白も引けましたし、思い切り勝ちに行きます!

2011/05/03

全日本四日目

今日も連続ドローでした。7Rは勝勢まで行ったのに勝てず、苦しい展開です。まるで勝つ方法を忘れてしまったかのようです。今は試合の準備より休息が必要に感じるので、今日は早めに休むことにします。8Rの棋譜だけ公開しておきます。

Nakamura,R(2169)-FM Kojima,S(2329)
Japan Chess Championship(8)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Qb3 dxc4 5. Qxc4 Bg4 6. Nbd2 Nbd7 7. g3 e6 8. Bg2 Be7 9. O-O O-O 10. Ne5 Bh5 11. Nxd7 Nxd7 12. Nb3 a5 13. a4 e5 14. Qc2 Bg6 15. e4 exd4 16. Nxd4 Nf6 17. Rd1 Qb6 18. Be3 Qb4 19. f3 Rad8 20. Qc3 Nd7 21. Qxb4 Bxb4 22. Kf2 Nc5 23. Bf1 f6 24. Nc2 Nb3 25. Rxd8 Rxd8 26. Bc4+ Bf7 27. Bxb3 Bxb3 28. Nxb4 axb4 29. a5 Rd1 30. Rxd1 Bxd1 31. Bc5 b3 32. Ke3 Kf7 33. f4 Ke6 34. Kd4 g6 35. Ba3 Bf3 36. Bc5 1/2-1/2

明日のペアリングは以下の通りです。(会場で見ただけなので、間違っていたらすみません。)

1B 中村(龍)-桑田
2B 小島-馬場
3B 南條-塩見

2011/05/02

全日本三日目 -Changing the leader-

三日目からは上同士の潰し合いです。私は塩見さんとAverbukhさんとドローでした。塩見さんとの試合は複雑なので細かい解説は省きますが、ポイントとなった局面を示しておきます。

Shiomi,R(2110)-FM Kojima,S(2329)
Japan Chess Championship(5)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. cxd5 cxd5 4. exd5 Nf6 5. Nf3 Nxd5 6. Nc3 Nc6 7. Bb5 e6 8.O-O Be7 9. d4 O-O 10. Re1 Nf6 11. a3 Bd7 12. Bf4 Rc8 13. Qe2 a6 14. Ba4 Qa5 15.Rad1 Rfd8 16. d5?!
16...Nxd5 17. Rxd5 exd5 18.Bxc6 Bxc6 19. Qxe7 d4 20. Ne4 Re8 21. Qc5 Qxc5 22. Nxc5 Bxf3 23. Rxe8+ Rxe8 24. gxf3 Re1+ 25. Kg2 Rd1?!
(25... f6! 26. Nb3 d3 27. Bd2 Re5)

26. Nb3 f6 27. Bd2 Rb1 28.Nxd4 Rxb2 29. Bb4 b6 30. f4 a5 31. Bc3 Ra2 32. Nb5 Kf7 33. Bd4 Kg6 34. Kf3 a4 35. Bc3 Kh5 36.Kg3 Rc2 37. Bb4 Rb2 38. Nc3 Rxb4!?
39. axb4 a3 40. b5 f5 41. Kh3

(41. Kf3 Kh4 42.Ke3 Kh3 43. Kd4 Kxh2 44. Kd5 h5 45. Kc6 h4 46. Kxb6 h3 47. Kc5 Kg2 48. b6 h2 49. b7 h1=Q 50. b8=Q∞)
(41. f3 Kg6 42. Kf2 Kh5 43. Ke2 Kh4 44. Kd2 Kh3 45.Kc2 Kxh2 46. Nd5 h5 47. Nxb6 h4 48. Nc4 h3 49. b6 Kg2 50. b7 h2 51. b8=Q h1=Q∞)

41... Kg6 42. Kh4 Kh6 43. Kg3 Kh5 44. Na2 Kh6 45. Nb4 Kh5 46. Kh3 Kg6 47. Kg3 Kh5 48. Kh3 Kg6 49. Kh4 Kh6 1/2-1/2

私と南條君が連続ドローで星を伸ばせなかった今日、中村龍二さんが五連勝で単独トップに立ちました。それを0.5P差で南條君、私、Averbukhさん、桑田君が追います。今日の後半は再び手抜きのドローでしたが、明日はトップを取り返すつもりで勝ちに行きます。7Rのペアリングは

1B Averbukh-中村(龍)
2B 小島-桑田
3B 渡辺-南條


となっています。

2011/05/01

全日本二日目

今日は88年生まれの同期二人、山田君、南條君との対戦でした。まずはR3の山田君との試合から。

FM Kojima,S(2329)-Yamada,K(2091)
Japan Chess Championship(3)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 Be7 4. c3 c5 5. dxc5 Bxc5 6. Bd3 Nf6 7. Qe2 Nc6 8. Ngf3 a5 9. a4 O-O 10. O-O Re8 11. e5 Nd7 12. Nb3 Be7 13. Nbd4 Nc5 14. Bc2 f6 15. Nxc6
(15. exf6 Bxf6 16. Be3 White stands better.) 15... bxc6 16. exf6 Bxf6 17. Ne5 Bxe5 ( My opponent missed a draw chance. 17...Ba6 18. Qh5 g6 19. Bxg6 hxg6 20. Qxg6+ Bg7 21. Qf7+ Kh8 22. Qh5+ Kg8 23. Qf7+=

18. Qxe5 Ba6 (18... Nd7 19. Qd6 Ra6 20. Rd1) 19. Rd1 Qf6 20. Qd6 Qe7 21. Qxc6    Rec8 22. Qb6 Be2 23. Be3 Ra6?! (23...Bxd1 24. Rxd1 White has a sufficient compensation.)
24. Bxc5 Rxb6 25. Bxe7 Bxd1 26. Bxd1 Rxb2 27. Bg4 Kf7 28. Bd6 Rc6 29. Be5 (White has a clear material advantage.) 
29...Rcb6 30. Re1 Rb1 31. Kf1 Rxe1+ 32. Kxe1 Rb2 33. Bc7 Rb7 34. Be5 Rb2 35. Be2 g5 36. Bb5 h5 37. Bc7 Kf6 38. Bxa5 e5 39. Be2 Ra2 40. Bd8+ Kf5 41. a5 g4 42. Bb6 d4 43. cxd4 Ra1+ 44. Kd2 Ra2+ 45. Kd1 Ra1+ 46. Kc2 Ra2+ 47. Kb3! Rxe2 48. d5!
48...Re1 49. Kc4 Ra1 50. Kb5 e4 51. a6 Ke5 52. a7 Kxd5 53. Ba5 1-0

中盤クイーンが危ない位置に行きましたが、最終的には相手の判断ミスに助けられて勝ち。同期対決を制しました。南條君もR3はモンゴルの元ジュニアチャンピオンAmgalanbaatar 君に、途中怪しくしながらもなんとか勝って三連勝です。

しかし、R4の南條-小島は短手数のドローで妥協し、明日からの7試合に勝負を託すことにしました。今日は早めに帰宅したので、R4の結果とR5のペアリングはまだ分かりませんが、もう少し時間がたてば情報も入るでしょう。長丁場の全日本はまだまだ続きます。
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