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2025/05/03

Japan Chess Championship 2025 Day2

今大会は大会名入りペンが配布され、棋譜を書くのに使用しています。

全日本チェス選手権2日目です。今日は2つともドロー模様のクイーンエンディングでした。3Rは古谷くんに黒を持ったゲームです。
Furuya, M (JPN, 1991) - Kojima, S (IM, JPN, 2315)
Japan Chess Championship 2025 (3)
Position after 41...Qd4

先にルークを潜り込ませてアタックし、h5の進みすぎたポーンも狙えれば少し黒にチャンスがあると試合中は考えていましたが、そう簡単ではありませんでした。

42. Qf3 Rd8 43. Re3 Ra2 44. Rce1 Ra1 45. Qe2 Rxe1+ 46. Qxe1 Qxc4 47. Re8+!


47. Qxa5 Rd1+ 48. Re1 Rxe1+ 49. Qxe1 Qxa4-/+ これならばと少し期待しましたが、ルークを交換してクイーンエンディングに持ち込むのが正解です。

47... Rxe8 48. Qxe8+ Qg8 49. Qb5!

この位置がポーンを取り返す好位置です。黒はパペチュアルチェックを避けながら、白のポーンを狙う手段がありません。

49... Qd5 50. Qe8+ Qg8 51. Qb5 c4


51... Qd8 52. Qxc5 Qd1+ 53. Kh2 Qxa4 54. Qc8+ Kh7 55. Qf5+= これはすぐにパペチュアルチェックです。

52. Qxa5 Qb8 53. Qc5 Qb1+ 54. Kh2 Qd3 55. a5 c3 56. a6 Qxa6 57. Qxc3 Qe2 58. Qc8+ Kh7 59. Qf5+ Kg8 60. Qc8+ Kh7 1/2-1/2

続く4Rは北神さんに白を持ちました。序盤の優位を駒得に繋げ、以下の局面にたどり着きました。
Kojima, S (IM, JPN, 2315) - Kitagami, S (JPN, 1904)
Japan Chess Championship 2025 (4)
Position after 37...Kg7

38. Qxb7 Rxe2 39. Qxe7+ Kh6 40. Qg5+ Kg7 41. Qe7+ Kh6 42. Bxe2 Qxe2


2ピースvs.ルークのマテリアルから、2ピースを返して2ポーンアップにします。白には強力なパスポーンがありますが、黒クイーンのパペチュアルチェックがあります。

43. Qh4+ Kg7 44. Qe7+ Kh6 45. Qh4+ Kg7 46. g4

h4-e1ダイアゴナルを開き、クイーンをディフェンスに使えるようにします。

46... fxg4 47. Qe7+ Kh6 48. Qg5+ Kg7 49. Qe7+ Kh6 50. Qh4+ Kg7 51. Qe7+ Kh6 52. Qa7


この直前の51... Kh6で3回目でしたが、黒は手を指してから指摘をしようとしたため、私は気にせず自分の手を指しました。アービタ―が呼ばれましたが、指して相手番になってからの3回同一局面の指摘は警告の対象で、私の持ち時間に2分が追加されます。黒は正しくは、51... Kh6を指す前に棋譜に手を書き、時計を止めてアービタ―を呼んで3回同一局面を指摘する必要があります。

52... Qd1+ 53. Kf2 Qd2+ 54. Kg3 1-0

ここで黒はキングに触り、タッチ&ムーブを指摘した時点でリザインしました。54... Kh5?? 55. Qxh7# のヘルプメイトです。最後の局面もドローなので、0.5Pを拾う形となりました。2日目もすっきりしない内容ですが、中継ボードに上がれるよう明日も頑張ります。

Japan Chess Championship 2025 R5 Pairings


2024/11/01

Japan Open 2024 Day1

今日から4日間、名古屋国際会議場でジャパンオープンが開催されます。毎年1つはビッグトーナメントを東京以外で開催する計画で、昨年神戸のジャパンチェスクラシックスに続き、今年のジャパンオープンは名古屋が選ばれています。半数は海外籍のプレーヤーで150名近くが集まり、初日からしのぎを削り合いました。少し遅い時間になってしまったため、2試合目のエンドゲームを簡単にご紹介します。
Kojima, S (IM, JPN, 2320) - Tokuni, S (JPN, 1847)
Japan Open 2024 (2)

互角の中盤から1ポーンアップの終盤に抜け出しました。e,fファイルに2コネクテッドパスポーンがあるため、楽に勝てるかと思っていましたが、実際に進めてみると悩むポイントが多かったです。

44. Kf3 Ra2 45. Kg3


黒にも2コネクテッドパスポーンを作るチャンスがあるため、ここは慎重を期そうと思いましたが、c4とh5の交換に早々に踏み切っても良かったようです。45. Re5 Rc2 46. Rxh5 Rxc4 47. Rh7+ Kg6 48. Rb7 Rb4 49. Rc7+-

45... Ra4 46. Kf3 Ra2 47. Rf4+ Ke6 48. Ke4 Ra4 49. Kd3 Ra3+ 50. Kc2 Ra2+ 51. Kb3 Re2 52. Rf8 Ke5 53. Kc3?!


ここはキングをキングサイドに戻すのが自然だと考えましたが、黒キングにe4のマスを渡さぬよう先にチェックを入れるほうが正確でした。53. Re8+! Kf5 54. Kc3+-

53... Ke4 54. Rf6 Ra2 55. Rf4+ Ke5 56. f3 Ra3+ 57. Kd2 Ra2+ 58. Kd3 Ra3+ 59. Ke2 Ra2+ 60. Ke1 Ra1+ 61. Kf2 Ra2+ 62. Kg3 Rc2 63. Re4+ Kf5 64. Re7

白キングがg3までいけば何か進展があると思いましたが、c4を見捨てなければポーンを進めることもできないことに気づき、少し困りました。単にc4を落とすだけなのであれば、45手目付近でh5との交換をしておくべきであったことは明らかです。それでもキングのポジションでチャンスがあると考え、ポーンを返して勝負します。

64... Rxc4 65. e4+ Kf6 66. Rb7 Rb4 67. Kf4 c4 68. Rc7 b5


この手でも互角ですが、少し手順が難しくなります。68... Ke6!と指しておけば白ルークは簡単にcファイルに来られず面白いポジションでした。

69. Rc6+ Ke7 70. Ke5 Kd7 71. Rc5 Rb3 72. f4 Rh3?

私も試合中分かっていませんでしたが、素直にポーンを突き合ってドローでした。72... c3! 73. f5 b4 74. f6 Rb1 75. Rd5+ Kc6 76. Rd6+ Kb5 77. f7 Rf1 78. Rf6 Rxf6 79. Kxf6 c2 80. f8=Q c1=Q=

73. Rxb5 Kc6 74. Rb8 Rxh4 75. f5 Rh1 76. Rc8+ Kb5 77. f6


2コネクテッドパスポーンに対して、c,hファイルのバラバラパスポーンでは対抗できません。

77... Rf1 78. Ke6 c3 79. Rxc3 1-0

最後は焦ってcポーンを落としてしまいましたが、hポーンを突いていっても白のfポーンが早いために白勝ちです。

加速スイスではありましたが、中継のトップボードにいる4人は全員連勝で2日目を迎えます。5B以下ではかなりアップセットもあったようで、上に勝って上がってきているプレーヤーも見かけます。参加者の皆さん、2日目もよろしくお願いいたします。

Japan Open 2024 R3 Pairings

会場近くの市場でまぐろ専門店を見つけ、お昼をいただきました。初めて来る会場ですので、近辺を散策するのも楽しいです。

2024/09/30

Japan Team Chess Champiosnhip 2024 Day2

1日遅れですが、チーム選手権2日目の記事です。2日目はR5でリストトップのL’espoirとの直接対決がありましたが、私と黒星により3-1でマッチに負けたため、私たち麻布OBチームは準優勝で終わりました。2年連続の優勝とはなりませんでしたが、ハンガリー遠征から続くハードなスケジュールの中で十分な内容のプレーはできたと思います。各クラス、入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place L’espoir 12/12
2nd Place Azabu Chess Club OB 10/12
3rd Place Todai Chess Circle A 10/12
4th Place Chiba Chess Club A 9/12
5th Place 8x8 Blunders 9/12

Japan Team Chess Championship 2024 Final Standings


今夜はR6のエンドゲームをご紹介します。Keio OBとは昨年も最終戦で対戦しました。昨年は1Bで古谷くんとの対戦でしたが、今年は2Bで松本くんとの対戦です。持ち時間の短いゲームでは正確に指すのが難しいポジションになりました。
Matsumoto,Y - Kojima,S
Japan Team Chess Champiosnhip 2024 (6)
Position after 36... Rxd6

黒はなんとかポーンアップしましたが、ポーンの形が悪く、d5のパスポーンも止めていなければいけないため、勝つのは簡単ではありません。

37. Kh2 Kf7 38. Kg3 Kf6 39. Kf4 h5! 40. g4?


g2-g4からのブレイクは最も警戒していましたが、黒にも2コネクテッドパスポーンができるため、実際にはさほど有効ではなかったようです。40. g3! b5 41. Rd2=と進んだ場合、互いに局面を進展させるのは難しそうです。黒はc5-c4から仕掛けたいところですが、ポーンを取り合った際にf6のキングにルークで揺さぶりをかけられ、f5を取られると危険です。

40... hxg4 41. hxg4 fxg4 42. Kxe4 Kg5?

白キングがe5に侵入することを許してでも、逆にf4のマスを抑えてg,hファイルの2コネクテッドパスポーンで勝負すべきだと読み、時間の無い中ほとんどノータイムでこの手を指しました。しかしこれが誤った判断で、実際にはルークでポーンのサポート、キングで相手ポーンのブロックに切り替えることで黒勝勢でした。42... h5! 43. Kf4 Ke7! 44. e4 Rg6! 45. e5 g3-+

43. Ke5! Rd8 44. d6 h5 45. Ke6?


42手目を指した段階では、私も白はこうしてキングで黒ルークを追いかけてくると読んでいましたが、実際にこの局面まで進んでみると後々白キングがeポーン前進の邪魔をしてしまい、ポーンを進め合うレースで白が不利になることが分かりました。白の正しい作戦はキングをd5に寄せ、eポーンの進路を開けることです。45. Kd5! h4 46. e4 g3 47. e5 g2 48. e6 Kf6! 49. e7 Rh8 50. Re1 Rh5+! 51. Kc4 Re5!!
Analysis Diagram

52. Rxe5 g1=Q 53. Re6+! Kxe6 54. e8=Q+ Kxd6 55. Qf8+ Kc6 56. Qf6+ こうしてクイーンを作り合えば、白はポーンが足りずともパペチュアルチェックでドローでした。この変化はどちらにも指さなければ負けというオンリームーブが多く、どちらかが間違えて決着がついてもおかしくなかったでしょう。

45... g3 46. Ke7 Rh8 47. Rd5+ Kg4 48. d7 g2


ここまでくれば黒のプロモーションのほうが早く、黒勝ちであることが分かりやすかったです。白はeポーンを使おうとしなかったのが裏目に出ましたね。

49. Rd6 Rh7+ 50. Ke8 Rh8+ 51. Ke7 h4 52. Rg6+ Kf3 53. Rf6+ Kxe3 54. Rf8 Rh7+ 55. Rf7 Rh8 56. Rf8 Rxf8 57. Kxf8 g1=Q 58. d8=Q Qf2+ 59. Kg7 Ke2 60. Qe7+ Kf1 0-1

最後は先にクイーンを作り、キングを安全な位置まで潜り込ませれば黒勝ちです。マッチは3-1で勝ちましたが、優勝には1歩届かずに残念です。来年のチーム構成は未定ですが、参加するのであれば優勝を目指したいですね。参加者の皆さんもですが、250名近い参加者の対応をされた運営の皆さん、いつもありがとうございます。また次の大会でもよろしくお願いいたします。

2024/08/30

Practical Pawn Endings

Laszlo, C (AFM, HUN, 2063) - Kojima, S (IM, JPN, 2294)
Welcome Olympiad! U2400 (2)
Position after 43. Kxh3


先日の大会の試合で少し面白いポーンエンディングが登場したので、今夜はこちらをご紹介します。黒はポーンアップで最後のピースを交換しました。当然勝ちだと思ってこの局面にしたのですが、進めてみると予想よりも難しいことが分かりました。

43... Kh5!


白キングにg4に上がられるわけにはいかないため、最初はこの1手です。私は当初、これでdポーンをどんどん進めてそれを取らせている間に、h,fポーンを両方落として勝ちだと思っていました。

44. a4 d5 45. Kg3 f5!

しかし、ここでテンポを数えてみるともう少し工夫が必要であることが分かりました。白キングがdポーンを取ってからbポーンに向かった場合、クイーンができるのは同時でドローです。45... d4?? 46. Kf3 Kxh4 47. Ke4 Kg4 48. Kxd4 Kf3 49. Kc4 Kxf2 50. Kb5 f5 51. Kxb6 f4 52. Kxb7 f3 53. a5 Ke3 54. a6 f2 55. a7 f1=Q 56. a8=Q= そこで黒はfポーンも早めに前進させ、いくらかテンポを稼がなくてはいけません。白の最後に残るのがaポーンであることを考えれば、クイーンを先に作ってもa7まで進めらてしまえばドローなので、その点も注意が必要です。

46. Kf3


白はすぐにhポーンを諦めますが、ここでの変化で、面白いポーンエンディングの形があります。46. Kh3 d4! 47. Kg3 d3 48. Kf3 f4!-+と進んだ場合、白キングは2列離れたd,fポーンにマスを抑えられ、身動きが取れなくなります。このポーンとキングの位置関係は以下のようなポーンエンディングを思い起こさせます。
Reference Diagram

この局面は黒の2ポーンアップですが、手番側がツークツワンクで負けになっています。白番であればキングが動いて黒にプロモーションを許すか、hポーンを動かしてg7のマスを明け渡してしまいます。黒番であればキングが動いて白にプロモーションを許すか、a,cポーンのいずれかを動かして取られてしまいます。面白いのはf7のポーンが邪魔で、黒のキングの動けるマスが制限されていることです。私の試合の変化でも、白のf2のポーンがこれを同じ邪魔な駒になっています。

46... Kxh4

後はテンポを数えてみれば、白にドローを許さないぎりぎりの黒勝ちであることが分かります。上記のクイーンを作り合う変化に比べ、黒は2手分のテンポを稼ぐことに成功しています。

47. Ke3 Kg4 48. Kd4 Kf3 49. Kxd5 Kxf2 50. Kc4


50. Kd6からポーンを取りにくるルートを想定していたので、一瞬数え間違えたかと焦りましたが、テンポは同じです。

50... Ke3 51. Kb5 f4 52. Kxb6 f3 53. Kxb7 f2 54. a5 f1=Q 55. a6 Qb5+ 56. Ka7 Kd4 0-1

aポーンはa6までしか進めないため、これを落として黒の勝ちとなります。もっと余裕があると思っていたので、1手差を勝てて胸をなでおろしました。

2023/10/22

Nagoya Open 2023 Endgame Analysis


名古屋オープンのゲームは、大会の結果報告とともに紹介した初日2日目の2ゲーム、そして後日、序盤にスポットを当てた2ゲームの計4つをご紹介してきました。最後はエンドゲームにスポットを当てて、1ゲームをご紹介しようと思います。2Rで対戦した牧野さんは将棋のプロ棋士で、2年ほど前からチェスもかなり本格的にプレーしている印象があります。私とは今回が初対戦でした。
Kojima, S - Makino, M
Nagoya Open 2023 (2)
Position after 50... h5

中盤で少し間違いがあり、ドロー模様のエンドゲームになりました。少し前から勝つのは難しいだろう判断していましたが、ここで黒がh7-h5と指してきたことを見て、よもやと思います。このポーンをぶつける手自体は大きなミスではないですが、キングサイドのポーンを捌ききってしまえば黒のビショップは白ポーンを狙えないのに対し、白のナイトだけが黒ポーンを狙うことができます。

45. h4 gxh4+ 46. Kxh4 hxg4 47. Kxg4 Bd3 48. Kf4 Be4


ここもまだ決定的な問題が起きているわけではないのですが、牧野さんが白キングの侵入に対して警戒が薄いことが伝わってきました。48... Ke6!=としてe5のマスを先に抑え、白キングにこれ以上の侵入を許さなければドローは確実です。

49. Ke5! Bf3 50. Kf6! Be4 51. Nb6+ Kc7 52. Ke7! Bg2?


これは白に決定的なピースの位置改善のチャンスを与えてしまう悪手です。白キングにe7まで入られても、ナイトの協力からさらに黒キングを押し込まれなければ黒はドローに持ち込めます。白にナイトを使わせないためにはd7のマスを抑えることが必須です。52... Bf5! 53. Na4 Be4 54. Nc3 Bf3! (e2,d1のマスを抑えます) 55. Nb1 Be4 56. Nd2 Bg2!= (f3,f1のマスを抑えます) これで白はナイトの位置改善がこれ以上できずに勝つことができません。

53. Nd7!+-

ここでナイトをプレーに戻せれば白勝勢です。とは言え、知識はありながらも初体験のエンドゲームですので、慎重に指していきます。かつて日本の国内大会では、こうしたグッドナイトvs. バッドビショップのエンドゲームを、篠田くんが現アイルランド女子代表のTrisha Kanyamarala 相手に指しているのを見たことがあります。南條くんもこうしたエンドゲームが得意な印象がありますね。

53... Bh3 54. Nf8 Bf1


54... Bg4 55. Ne6++- ここまでキングが侵入すればポーンエンディングにしても白勝ちですので、ナイトビショップ交換を受け入れても問題ありません。

55. Ne6+ Kc8 56. Kd6 Bb5 57. Ng5 Ba4 58. Nf7 Bb5 59. Ne5 Kb7 60. Kd7

48... Ke6!と止めておけば白キングはf4止まりでしたが、とうとうd7まで侵入してc6を攻撃できるようになりました。後はナイトでもc6を攻撃し、このポーンを落とします。

60... Ba4 61. Nf7 Ka6 62. Nd8 Kb5 63. Nxc6 Kc4 64. Kd6 Bb5


64... Bxc6 65. Kxc6 Kxd4 66. Kb6 Ke3 67. c6 d4 68. c7 d3 69. c8=Q d2 70. Qg4+- ポーンレースは黒ポーンがdファイルであることは関係なく、プロモーションのマスを抑えてしまえば白勝ちです。

65. Na7!

ナイトの守りがd4から外れても、ビショップを攻撃できていれば問題ありません。これでテンポを稼ぎ、Kd6-Ke5でd4を守ってしまいます。

65... Ba6 66. Ke5 Bb7 67. c6 Ba6 68. c7 Bb7 69. c8=Q+ Bxc8 70. Nxc8 Kb5 71. Kxd5 1-0


相手に助けられたところもありましたが、こうしたエンドゲームの経験が積めたのは良かったです。年内の試合の予定も残り少ないですが、まだまだ指したことのないポジションを試してみたいですね。

2023/09/17

Japan Team Chess Championship 2023 Day1

今日明日の2日間は、大井町で開催されているチーム選手権に参加しています。今年のチーム選手権は過去最多の48チーム、200人を超えるプレーヤーが集まっています。私は大阪クラブAのプレーヤー1として参加し、初日の今日は個人、チームも慶応B、川崎、東北OB相手に3連勝でした。プレーの内容は素直に喜べない部分もあったので、2試合目のエンドゲームを今夜は振り返ります。
Tamura, H - Kojima, S
Japan Team Chess Championship 2023 (2)

47. d5 exd5 48. Rxd5 Rc3+ 49. Kf4 Ra3


dポーンは捌かれましたが、aポーンがターゲットとして残っています。このポーンが落ちて黒に2コネクテッドパスポーンができると勝負にならないため、白は消極的でもルークを退いてaポーンを守るしかありません。

50. Rd2 Rh3 51. Rd5 Ra3 52. Rd2 Kf6?

しかし、ここからプランが分かりませんでした。a,bポーンを進めてそれだけで勝てれば楽ですが、そんなことはないだろうと思ったのがひどい勘違い。ここはaファイルにパスポーンを作れば黒は勝てます。52... a4! 53. Rd4 Rxa2 54. Rxb4 a3 55. Ra4 Ra1 56. Kg3 a2 57. Kg2 f5!-+ 黒は2つ目のパスポーンがfファイルにできるため、これを進めていけば勝ちです。f5-f4-f3+となった際、白キングはf2に逃げるしかなく、黒のルークはa1からh1に脱出できます。こんなルークエンディングは生徒たちにも教えているはずなのに、この試合では自分がfファイルにパスポーンを作れることを完全に失念していました。

53. Rd6+ Ke7 54. Rd2 Kf6 55. Rd6+ Ke7 56. Rd2 Rh3?


56... f6! は7段目を開いてキングが不安定になりますが、白ルークは2段目から離れられないため、さほど気にしなくても良いでしょう。それよりもg5のマスをカバーし、白キングの侵入を止めるほうが重要です。

57. Rd5 Rxh4 58. Rxa5?

慌ててポーンを取り返したくなる気持ちは分かりますが、g4まで落としては厳しくなります。本譜のf7-f5を食らわないためには、キングを上げる手を挟む必要があります。58. Kg5! Ke6 59. Rxa5 Rh2 60. Rb5=

58... f5! 59. Ke5 Rxg4 60. Ra7+ Kd8


これは2コネクテッドができて黒に勝つチャンスがでてきましたが、黒キングが8段目に閉じ込められていることが気がかりです。メイトスレットやポーン取りのチェックをかわしつつ、上手くポーンを進めていきたいところです。

61. Rg7 f4 62. Kd6 Ke8 63. Ke6 Kf8 64. Rb7 g5?

b4を捨てて勝てると思いましたが、これは誤りでした。意外なことに黒が勝つためには、一番武器になりそうに見えるfポーンを捨てるしかないというのがコンピュータの判断です! 64... f3! 65. Rf7+ Kg8 66. Rxf3 Kg7!-+ やはりキングを使わないといけないということですね。fポーンを取らせる間にキングを8段目から脱出させて黒は勝てそうです。

65. Rxb4 Rg2 66. Kf6?

ここが最後のミスで白はドローチャンスを逃しました。66. Rb7! Kg8 67. Kf5! f3 68. Kg6! Kf8 69. Rf7+= こうして8段目に閉じ込めた黒キングにメイトスレットをかけつつ、チェックからポーン取りに踏み切ればドローでした。

66... Ke8 67. Kf5 f3 68. Rb1 f2 69. Rf1 g4 70. Kf4 g3 71. Kf3 Rg1 72. Ke2 Rxf1 73. Kxf1 Kd7 0-1

最後はルークを捌いてポーンエンディングにしてしまえば黒勝ちです。自分ではうまく指したつもりでしたが、白のドローチャンスは一部試合中に見えていないものもあり、とても勉強になりました。

チームで3連勝したのは私たち大阪A、東大A、そして大東文化大学OBです。東大Aと当たるとばかり思っていたので、2R、3Rアップセットで上がってきた大東文化との対戦は意外でした。明日の2日目も星を伸ばし、優勝できるように頑張ります。

Japan Team Chess Championship 2023 R4 Team Pairing

2021/12/15

First Saturday GM December 2021 R9


12月のFirst Saturday 最終戦はタフなロングゲームでした。最終盤だけ簡単にご紹介しようと思います。
Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)
First Saturday GM December 2021 (9)
Position after 79. Qxh5

紆余曲折を経てこのようなポジションにたどりつきました。ラッキーなことにh5 にあったポーンが取れ、白は2ポーンアップになりました。79... Qxa4? 80. Qg4+! は簡単な白勝ちポーンエンディングになるため、黒はa4 を取ることができません。これは勝てるだろうと思いましたが、パペチュアルチェックを避けながら考えるクイーンエンディングはなかなか難しいものです。

79... Qa1 80. Qf3 Qe1 81. Kh2 Qa1 82. Qb3 Qe1 83. Qa2 Qa5 84. Qc2 Kf7 85. Kh3 Qe1 86. h5 Qh1+ 87. Kg4 Ke7 88. a5 Qd5 89. Qe2+


時間がほとんどない中、e2 のマスであればどちらもポーンも守れると考えました。代わりに89. Qh7+! Kd6 90. Qf5! Qd1+ 91. Qf3 f5+ 92. Kf4 Qd2+ 93. Kxf5 Qxa5+ 94. Kg6+- は明らかな勝ちだったようです。

89... Kf7 90. a6 Qd4+ 91. Kh3 Qa1 92. Kh2 Qa5 93. g4 Qc7+ 94. Kh3 Qc3+ 95. Kh4 Qa5 96. Qf1 Qg5+ 97. Kg3 Qe5+ 98. Qf4 Qe1+ 99. Qf2 Qe5+ 100. Kh3 Kg7 101. a7 Qa1 102. Kg2

ポーンもa7 まで進め、勝ちが近くなっているように見えます。本譜はとりあえずチェックをかけられない位置にキングを移動しましたが、102. Qe3! Qh1+ 103. Kg3 Kf7 104. h6!+- というアイディアがありました。白クイーンがe3、白キングがg3 だとチェックがかからないんですね。

102... Qa4 103. Qf5!?


ここも再度103. Qe3! のチャンスでしたが、気づきませんでした。aポーンを取らせても、fポーンを落とせば勝てるだろうと思って本譜を選びます。

103... Qa2+ 104. Kh3 Qxa7 105. Qg6+ Kh8 106. Qxf6+ Kg8 107. Kh4 Qg1 108. Kg5

108. h6 Qh1+ 109. Kg5 Qd5+ 110. Kg6 Qe4+ 111. Kh5 Qh1+ 112. Qh4! Qb7 113. Qg5+ Kf8 114. Qg7+ Qxg7 115. hxg7+ Kxg7 116. Kg5+- どこかでポーンを返してもクイーンを交換し、オポジションを取れば勝ちのポーンエンディングです。

108... Qe3+ 109. Kg6 Qe4+ 110. Kh6?


5時間を超えるゲームで集中力も切れつつありました。110. Qf5 Qc6+ 111. Kg5 Qb7 112. Qe5 Qc6 113. h6 Qb7 114. Kh5 Qf7+ 115. Kh4 Qf2+ 116. Kg5 Qf7 117. h7+! Kxh7 (117... Qxh7 118. Qe8+ Kg7 119. Qe7+ Kg8 120. Qxh7+ Kxh7 121. Kf6+-) 118. Qf5+ Qxf5+ 119. Kxf5 Kg7 120. Kg5+- で上記と同様の白勝ちポーンエンディングです。本譜はひどいとしても、このアイディアを短時間で見つけられたか自信がありません。

110... Qxg4=

ポーンを取る手を相手が指すまで、全く考えもしませんでした。ぴったりメイトのアイディアも、白勝ちポーンエンディングに持ち込めるクイーン交換もなく、形勢互角になってしまいました。

111. Qd8+ Kf7 112. Qc7+ Kf8 113. Qd6+ Kg8


相手は一瞬キングをf7 に置こうとし、考え直してg8 に戻しました。113... Kf7?? 114. Qg6+ Qxg6+ 115. hxg6++-

114. Qd5+ Kf8 115. Qc5+ Kg8 116. Qd5+ Kf8 117. Qd6+ Kg8 118. Qf6 Qd7 119. Qg6+ Kh8 120. Qf6+ 1/2-1/2

5時間45分を超える試合でした。クイーンエンディング、勉強しなおそうと思います。

12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373) 1/2-1/2
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 0-1
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527) 0-1
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2

First Saturday GM December 2021 Standings

+4 Nagy
+3 Girinath
+2 Avinash
+1 Berczes
+-0 Nitish
-1 Souhardo、Pap
-2 Seres、Kojima
-4 Pasztor

星に移動はなく、全試合を終了しています。私は2敗7ドローで、20年を超えるチェス人生で初めてとなる勝ち星のないトーナメントでした。3つ以上負け越したGMトーナメントもありますし、内容自体はさほど悪くはないので、気落ちせずにまた次の試合に向かおうと思います。

2021/11/22

Japan Open 2021 Day3 Tournament Report

今日はTuさんとの直接対決を制しました。

ジャパンオープン3日目のレポートです。今日は5R で2B に落ちましたが、Samuelくんにドロー模様のゲームを勝ち。続く6R でもTuさんにドロー模様のエンドゲームを勝って単独トップに立ちました。明日の準備のため、解説は5R のエンドゲームを簡単にお届けします。
Asaka, S (AUS, 2254) - Kojima, S (IM, JPN, 2389)
Japan Open 2021 (6)
Position after 41... Ke7


42. Ne5! Nxb2 43. Kd2!?


ちょっと意外な手でしたが、c4 のマスを抑え続けるのはなるほどと思いました。代わりに43. Nc6+ Kd6 44. Nxa5= でも形勢は互角です。

43... Na4 44. Nc6+?


しかし、キングを動かす手を入れてからだとa5ポーンを取りにいくのは間違ったプランになります。44. Nxg4!= として逆側のポーンを取り、クイーンサイドは寄ったキングで守るのが正解でした。

44... Kd6! 45. Nxa5 Nc5!

これでa5 のナイトが一時的に動けなります。これをキングで取りにいけば勝ちかとほとんどない残り時間で考えましたが、もう少し悩むべきポイントが残っていました。

46. Ke3 Kc7?


この手を焦ったのはミスでした。正しくは46... f6! 47. Kd4 e5+ 48. fxe5+ fxe5+ 49. Ke3 Kc7-+ を入れておくべきで、こうしていれば問題なく黒勝ちでした。

47. Kd4 Kb6 48. f5?


Samuelくんは最後に突くポーンを間違えました。48. e5! Ne4 49. Nc4+ bxc4 50. Kxe4 Kc5 51. Ke3 Kd5 52. Kd2 Kd4 53. a4 Kd5 54. Kc2 Kc6 55. Kc3 Kc5 56. a5 Kb5 57. a6 Kxa6 58. Kxc4 Kb6= これはドローのポーンエンディングです。ナイトをe4 の位置で取らせば勝つチャンスがあると私も勘違いしていました。

48... Nxe4!-+

ナイトの取り合いでも、e4 のポーンを先にとってしまえば黒はポーンが得になります。1ポーン差のポーンエンディングは絶望的なため、白はナイトを残す本譜を選びますが、それならばそれで黒は2つ目のポーンもいただいてしまいます。

49. fxe6 fxe6 50. Nb3 Nxg3


これで後はキングを前進させてナイト交換やa3 へのアタックを狙えば黒の勝ちです。

51. Ke3 Nf5+ 52. Kf4 g3 53. Kf3 Kc6 54. Kg2 Kd5 55. Kf3 Nd4+ 0-1

続くTuさんとの試合は互いにドローオファーを蹴りあいながら、最後は難しい異色ビショップを勝ち切りました。棋譜とゲームの様子はYouTube からご覧ください。今日はSimonがきてくれてコメント欄も盛り上がったようです。

6R で5連勝中だったTuさんを破ったことで、上位は混戦になってきました。5/6も4人並んでおり、0.5Pリードしている私も最後まで気が抜けません。皆さん、明日の最終戦もよろしくお願い致します。最終戦の中継も、よろしければご覧ください。

Japan Open 2021 R7 Pairings
【国際チェス連盟(FIDE)公式戦】ジャパンオープン2021 第7ラウンド | 2021.11.23

2021/02/18

Instructive Endgames in Blitz Games Vol.2

imsk (2446) - Modijihainna (2427)
Lichess 2021.02.17
Position after 28... f5


昨晩のブリッツのゲームで判断の難しいエンドゲームが現れました。

29. Ne5!? Nxe5 30. Qe2


白はさほどチャンスがないため、ここではナイトを交換して無難に進めることにします。

30... Qc4 31. Qxe5 Qc1+ 32. Kh2 Qf4+??

32... Qxa3 33. Qc5+ Ka8 36. Qc5+ からパペチュアルチェックでドローになると思っていたので、このチェックは意外でした。当然、クイーン交換をしたポーンエンディングがどうなるのかを読みます。

33. Kg1?


結論から言えば、f4 でのクイーン交換は黒にとって大失敗。白勝ちのポーンエンディングになります。33. Qxf4! gxf4 34. g4! fxg3+ (34... fxg4 35. hxg4 Kb6 36. Kh3 Kb5 37. Kh4 Ka4 38. Kh5 Kxa3 39. Kxh6 Kxb4 40. g5 a5 41. g6 a4 42. g7 a3 43. g8=Q+-) 35. Kxg3 Kb6 36. Kf4 Kb5 37. Kxf5 Ka4 38. Ke6 Kxa3 39. f4 Kxb4 40. f5 a5 41. f6 a4 42. f7 a3 43. f8=Q++-

上記のfポーン、hポーンどちらをプロモーションする変化も白が早くプロモーションします。考え方としては、35手目の黒からカウントし、黒は10手でプロモーション(Kb6, Kb5, Ka4, Kxa3, Kxb4, a5, a4, a3, a2, a1=Q)するのに対し、白は8手でプロモーション(Kh3, Kh4, Kh5, Kxh6, g5, g6, g7, g8=Q, もしくは、Kf4, Kxf5, Ke6, f4, f5, f6, f7, f8=Q)であるため、黒からスタートでも白だけクイーンができます。g2-g4 は当然考えたアイディアでしたが、残り時間がほとんどなく、2つの変化の正確なテンポ計算ができませんでした。

33... Qe4!?


33... Qc1+ 34. Kh2 Qxc1 ならば上記と同じドローです。

34. Qxe4 fxe4

試合中は分かっていませんでしたが、1つ決定的なチャンスを逃してこのポーンエンディングを迎えました。自分としてはこれは白が勝つのではないかと読んでe4 でのクイーン交換を実行しましたが、この読みには1つ間違いがありました。

35. Kf1 Kb6 36. Ke2 Kb5??


これ以降は読み通りに白勝ちになりますが、この手がブランダーであることは解析するまで全く気づいていませんでした。36... a5! 37. Ke3 axb4 38. axb4 Kb5 39. Kxe4 Kxb4 40. g3 Kc4 41. f4 b5 42. f5 b4 43. f6 b3 44. f7 b2 45. f8=Q b1=Q= こうすると本譜と違って黒キングがb4 から1マスずれているため、白クイーンのプロモーションがチェックにならず、白黒互いにクイーンができてドローです。

黒がa6-a5 を入れることでドローにできるというのは、完全に予想外でした。余計なポーン付きを1手入れる分、黒のプロモーションは遅くなると直感的に思いそうですが、b4 でポーン交換をすることで、黒は本譜のようにa3 までポーンを取りに行く手間が省け、テンポアップできるという理屈です。クラシカルで時間が豊富に残っていれば、a6-a5 を入れる手もきちんとテンポを計算しますが、残り時間が少なければこの手には意味が無いと切り捨て、本譜のキングが上がっていく手を中心に考えてしまうでしょう。

37. Ke3 Ka4 38. Kxe4 Kxa3 39. g3 Kxb4 40. f4 c5


f8 で先にできるクイーンが、ぴったりb4 のキングにチェックをかけることに気づいても後の祭りです!

41. f5 1-0

黒がcポーンを突いている分、白が早くプロモーションするので白勝ちとなります。a6-a5 は試合中に分からなかったので、重要なアイディアとして覚えておこうと思います。

2020/01/21

Ju Wenjun takes a lead again! Vol.2 


なんとか今夜も女性世界選手権の記事をお届けできそうです。第9試合での逆転白星で戦績をタイに戻したJu Wenjun は、続く黒の第10試合で手堅いオープニングをチョイスして勝負に臨みます。

Goryachkina, A (GM, RUS, 2578) - Ju, W (GM, CHN, 2584)
Ju - Goryachkina Women's World Champion (10)

1. c4 e6 2. Nc3 d5 3. d4 Nf6 4. cxd5 exd5 5. Bg5 c6 6. e3 Bf5 7. Qf3 Bg6 8. Bxf6 Qxf6 9. Qxf6 gxf6 10. Nf3 Nd7 11. Nh4 Be7 12. Ne2 f5 13. g3 Bxh4 14. gxh4 Nf6 15. Nf4 Nh5 16. Kd2 Nxf4 17. exf4 Ke7 18. Be2 h5



この変化はSam Collins が初めて優勝した2009年の全日本選手権で登場し、その際に私は初めて知りました。黒はg6 の一時的にout of play になったビショップをどうゲームに戻すか、という課題を抱えますが、白がこのエンドゲームを勝つのはさほど簡単ではないでしょう。グッドビショップvs バッドビショップだけでは、勝つためにあと一歩足りないように見えます。そして面白いことに、同じオープニング、そしてほぼ同じポジションが、前日のTata Steel Challenger クラスのGanguly - L'Ami でも登場しています。

19. Rae1 Kd6 20. Bd3 Rae8 21. Re3 Rxe3 22. fxe3 a5 23. a3 b6 24. b4?!


黒としては、白のb2-b4-b5 などのクイーンサイドのアクションを牽制しておくためのa7-a5 だっただけに、早い白からのb2-b4 は意外なようにも思えます。Rh1-Rg1-Rg5 もスレットにはなっていませんが、局面を開くのは少し待ち、黒のルークを牽制しておくべきだったのではないでしょうか。

24... axb4 25. axb4 Ra8 26. b5 c5



オープンファイルをルークで抑えて反撃できるようにし、互いにパスポーンができる難しいポジションへと黒は誘導します。

27. dxc5+ bxc5 28. Rb1 Kc7 29. b6+ Kb7 30. Rb5 Rc8 31. Be2 f6 32. Ra5 Rc6 33. Ra7+!?


白が安全に指すならば、33. Rb5 と戻るべきでしょう。b,c ポーンの交換は、弱いdポーンを抱える黒に取って面白くないため、33... Rc8 などと戻って膠着状態からのドローになりそうです。Goryachkina が下した、黒のcポーンを残しても、キングサイドを狙って勝負という判断は面白いですが、リスクがあるのは間違いありません。

33... Kxb6 34. Rd7 Re6 35. Rxd5 Kc6 36. Bf3 Rd6 37. Rd3+ Kc7 38. Bd5 Be8 39. Kc3 Bb5 40. Rd2 Ra6 41. Bb3 Bd7 42. Rg2 Be6 43. Bxe6 Rxe6



ビショップを交換してルークエンディングに突入しましたが、依然として局面評価は難しいです。正確に指せばドローかもしれませんが、cポーンを牽制しなければいけない白のほうが正確に指すのが難しく、実戦的には黒にチャンスがありそうです。

44. Kd3?


キングを前進させてe3 を守る手は自然に見えますが、黒キングにも前進のチャンスを与えてしまいます。ここは代わりに44. Rg6!? Kc6 (44... Rxe3+ 45. Kc4) 45. Kc4 Re4+ 46. Kd3 と指していれば、本譜のように押し込まれる状況を避けられました。

44... Kd6! 45. Rg8 Kd5 46. Rd8+ Rd6!



このルークのディフェンスをGoryachkina は見落としたでしょうか。ポーンエンディングはパスポーンを持つ黒勝ちですので、黒は遠慮なくルークをぶつけ、黒キングを好位置のd5 に残すことができます。

47. Rc8 Rd7 48. Rh8 c4+ 49. Kc3 Re7 50. Kd2 Ra7!


h5 はずっと弱点ではありましたが、今はこれを取られても白のパスポーンはさほど怖くありません。パスポーンと侵入したルークの横利き、そしてキングの前進と三拍子そろった黒のプレッシャーのほうが、白の反撃よりも脅威です。

51. Rxh5 Ra2+ 52. Kc3 Ra3+ 53. Kb4?



bファイルでキングがカットオフされ、パスポーンをブロックする役割ができなくなってしまうのは直感的にも厳しそうです。苦しいながらも、53. Kb2 と指すべきでした。

53... Rb3+ 54. Ka4 Ke4-+


こうしてキングがさらに前進し、パスポーンをサポートできるようになれば黒の勝ちです。

55. Rh8 Rb7 56. Rc8 Kd3 57. h5 c3 58. h6 c2 59. Ka3 Kd2 60. Rd8+ Kxe3 61. Rc8 Kd2 62. Rd8+ Kc1 0-1



白キングをaファイルに閉じ込めながら、白のパスポーンも抑えている黒ルークの位置が見事です。まだ2試合残っていて結末はまだ分かりませんが、チャンピオン防衛を目指すJu Wenjun にとっては大きな一歩です!

今日は女性世界選手権が休憩日で、再開は明日からです。残り2試合でどういったゲームが見られるかも楽しみにしています。それでは今夜は、Tata Steel 観戦に行ってきます!

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