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2012/07/18

FS 2012 July final round - Fight For A Victory -

Xu Yi のIM ノームがかかった最終ラウンドは、意外な幕切れを迎えました。

Xu, Y (CM, CHN, 2165) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (10)

1. e4 e6 2. d3 d5 3. Nd2 Nf6 4. Ngf3 Nc6!?



ハンガリーで5試合目のFrench は、King's Indian Attack でした。早速、Misha から教わった新ラインを試します。

5. g3 dxe4 6. dxe4 e5 7. Bg2 Bc5 8. O-O O-O


これがポイントとなるセットアップです。黒はe6-e5 とポーンを突き直しますが、その代わりに2つのビショップをアクティブに使えるようにします。

9. Qe2 b6!?


クイーンが上がったのを見て、白マスビショップはa6-f1 のダイアゴナルへ!

10. Nb3 Bd6 11. c3 a5 12. Rd1 a4 13. Nbd2 Ba6 14. c4



ここは彼にとって、苦渋の決断だったでしょう。d4 をアウトポストにするのは、もちろん白にとって好ましくないですが、ナイトをピンにするのも嫌ですし、14.Qe3? Bc5!、14.Qe1? Bd3! も黒優勢です。

14... Nd7!?


d4 に出来たアウトポストをどう利用するか悩みましたが、オーソドックなNd7--Nc5-Ne6-Nd4 というマヌーバリングを実行します。

15. Nf1 Bc5 16. Be3 Qe7 17. Bxc5 Nxc5 18. Ne3 Ne6


ここは両者とも、ナイトのマヌーバリング合戦です。どちらが決定的な強いナイトをえるか、難しいタイミングです。

19. Nf5 Qb4!



まずナイトが飛び込んできたのは白ですが、ここはクイーンをかわしてcポーンをアタックし、テンポをえます。

20. Rac1 Rfd8!


クイーンをf8に退けるようにするため、こちらのルークをぶつけます。ただし、g2-a8 のダイアゴナルが残る点が気になり、結果的にはそこが勝負の分かれ目となってしまいます。

21. Rd5 g6 22. Nh6+ Kg7 23. a3 Qe7 24. Qe3 Ned4


ナイトを何とか追い返し、いよいよ黒の反撃の時間!と思ったのがですが、ここから相手も嫌な手を返してきます。コンピュータの評価は、すぐにナイトを入れず、24... f6!=/+でやや黒良し。

25. Nxd4 Nxd4 26. Ng4 f6 27. f4!



アウトポストのナイトの安定性を崩す、嫌な一手です。黒にはあまり選択肢がなく、自らは行いたくないルーク交換を実行せざるをえなくなります。

27... Rxd5 28. exd5 Qc5 29. Kh1


29...Ne2+ のナイトをフォークを外す一手です。

29... Nb3 30. Qxc5 bxc5 31. Re1



クイーンを交換し、当面の危機は去ったと思いました。そして後はe5 をうまく捌き、c4 のポーンを隙を見て取れば、黒にチャンスありと考えていました。その油断が、次の軽率な一手を生んだのかもしれません。

31... h5? 32. Nxf6!


このタクティクスは十分に気を付けているつもりでしたが、読みが甘かったです。白のd、eポーンは、プロモーションを目指して貪欲に前進します。

32... Kxf6 33. fxe5+ Kg7 34. d6 Rb8 35. e6!



ルークの後ろからのサポートと、Bg2-Bc6! があるため、eポーン1つで十分強力なことを見落としていました。

35... cxd6 36. e7 Re8 37. Bc6 Bb7 38. Bxb7 Kf6


試合後の検討では、38... Nd4 39.Bxc8! という手が指摘され、やはりa4 のポーンが落ちて白勝勢であると結論付けられました。

39. Bc6 Rxe7 40. Rf1+?



なぜここで彼が、ルーク交換を避けたのかは分かりません。当然、40. Rxe7 Kxe7 41. Bxa4+- ならば、白の勝つチャンスは十分でしょう。ところが、これに対する応手で事件が起こりました。

1-0


なんと、私の持ち時間が落ちたのです。理由は明白で、棋譜が一手ずれていたことにより、私はすでに40手に到達していたと勘違いしていたのです。すでに30分増えたものと考え、40...Kg540...Kg7 のどちらが良いか、ゆっくりと考えてしまいました。

これはGM の試合でもごく稀にある出来事らしいですが、まさか自分の身に起こるとは思いませんでした。ちなみに、40. Rf1+? Kg7 41. Bxa4 Nd2 42. Rc1 Re4 43. b3 Re3= と進めば、ドローが濃厚です。単純な私のミスと言えばそれまでなのですが、何としても勝たなければいけない彼と、そうでなかった私の差が出たのかもしれないとも考えています。もうこのようなことは二度とするまいと心に誓い、また次のトーナメントに備えます。

それはそうと、Xu Yi は最初のIM Norm おめでとう!ライバルの健闘は称え、次こそは自分こそと励みにするものです!彼とはまた、3日後にケチケメートで会うことになりそうです。そこではもちろん、リベンジマッチです!

2012/07/17

FS 2012 July 9th round - Simple Plan -


二連勝、二連敗で迎えた9R は、ハンガリーのおじいちゃんIM Bele Lengyel に初めて白を引いての対戦です。一昨年はSveshnikov、5月はNimzo-Indian で勝っており、通算三回目の対戦です。

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Langyel, B (IM, HUN, 2270)
First Saturday 2012 July IM (9)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6


Queen's Gambit Bf4 Variation のデビュー試合になるかと思ったのですが、まさかのSlav! 5月同様、こちらの用意をとことん外してくれます。しばらくは先月の、To Nhat Minh との試合と同じように進みます。

4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O Nbd7 9. Qe2 Bg4 10. h3 Bh5 11. Rd1 Bxf3?!



Lengyel はしばらく考え込んだ後、ナイトを取ってきました。10手目でビショップを退いているにもかかわらず、このタイミングで取りなおすのは明らかな手損です。11... O-O 12. e4 Qe7 13. e5 Nd5 14. Ne4 f5 15. exf6 N7xf6 16. Ng3 Bxf3 17. Qxf3 が最も厄介だと個人的に考えているラインで、黒で指そうと思い研究したことがあります。

12. Qxf3 Qe7 13. e4 e5 14. d5 O-O


私がメインで考えていたのは、14... Nb6 15. Bb3 cxd5 16. Nxd5 Nbxd5 17. Bxd5 Nxd5 18. Rxd5 O-O 19. Be3+/= という変化です。白はビショップを返してしまいますが、dファイルのコントロールにより、やや優勢だと判断できます。

15. dxc6 bxc6 16. Ne2!+/=



白はここまでの序盤、大満足と言えるでしょう。特に困ることもなくダブルビショップを手に入れ、ポーンストラクチャーも黒よりベターです。加えて白マスビショップを手放してしまった黒は、白マスが弱点となります。ここではRuy Lopes のように、白はナイトをf5 に運ぶマヌーバリングが有効です。

16... Rfd8 17. Ng3 Nb6 18. Rxd8+ Rxd8 19. Bb3?!


ややぬるい手でした。白はナイトの侵入を躊躇う理由がありません。19. Nf5! Qc7 20. Bb3 Bd2 21. Bxd2 Rxd2 22. Nh6+!+-

19... Bd2?


これは私も読み筋にありましたが、ベストではありません。ここは黒マスを弱めても、f5 のマスを守っておくべきです。19... g6 20. Be3+/= (20. Bg5 Rd6! このディフェンスを、ゲーム中読み落としていました。)

20. a5 Nc8 21. Bxd2!



ここは熱くなりすぎず、冷静に対処できたと思っています。ついf5 のマスにナイトを入れたくなるところですが、Qe7-Qb4 により、e4 のポーンが危うくなります。そこで、シンプルにピースを交換し、黒の乱れたポーンストラクチャーを攻めるのが、このポジションでは正解です。

21... Rxd2 22. Qc3!+/-


黒はc6、e5 のポーンがターゲットとなり、これらを全て守る満足な手段がありません。

22... Qd8 23. Qxe5 Ne7 24. Qc3 Ng6?


Lengyel は私の仕掛けたトラップに気付きませんでした。ここは劣勢を覚悟で、クイーンを交換したエンドゲームに持ち込む他ありません。24... Qd4 25. Qxd4 Rxd4 26. Ra4 Rxa4 27. Bxa4+/-

25. Bd5!+-



ほとんどの場合、7段目はルークにとってベストの位置だと言えます。しかし単独で侵入したことにより、自陣に帰れなくなる危険性も考慮しなくてはいけません!

25... Rxd5 26. exd5 Qxd5 27. Rc1 Ne7


エクスチェンジアップした白は、黒のカウンタープレーに気をつけつつ、丁寧に指すことを心がけます。

28. Qc5 Qd7 29. Ne2 h6 30. b4 Nfd5 31. Nd4 Nf4 32. Re1 Neg6 33. Nxc6!



ナイトフォークを恐れず、ポーンを取りにいきます。35手目が見えてなければ、指せない一手でしょう。

33... Nd3 34. Ne7+ Kh7 35. Nxg6!


Ng6-Nf8+ のナイトをフォーク返しがあるため、黒はクイーンを取ることができません。

35... fxg6 36. Qe7 Qf5 37. Re2 Nf4 38. Re5 Qc2 39. Qf7!



黒のクイーンがf1 まで潜り込めば、一発逆転のチャンスが訪れます。そこで、後ろからナイトをアタックしつつ、g7 へのメイティングアタックの準備をして、試合を締めます。

39... Ne2+ 40. Kh2 a6 41. Re7 1-0


Lengyel にはこれで三連勝!決して弱いプレーヤーではありませんが、私にとっては恐れる相手ではありません。これで一つ勝ち越しの状態で、最終戦を迎えます。

そして最後は、かつてない大一番です。対戦相手は中国の14歳、Xu Yi(2165) で、ここまで5勝4ドローの好成績でトップを走っています。最終ラウンドで私に勝てばIM ノーム獲得なので、本人は大変気合を入れてくることでしょう。私としても、5月から苦労しては取り逃がしているIM ノームを、今月から参戦のジュニアに簡単に渡すわけにはいきません。責任の重いラウンドになりますが、しっかり指してポイントを取ってこようと思います。

2012/07/16

FS 2012 July 8th round - Meeting A New Chinese -

7、8R と連敗してしまいました・・・相手は中国からの新メンバーで、18歳のZhu Yansen です。ここまでの順位はさほど良くなく、実際に黒でもうまく指すことができました。しかし、相手の指すスピードが異様に早く、大切な局面で冷静に対応することができませんでした。

Zhu, Y (CHN, 2176) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (8)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. exd5 exd5 4. c4



French Defence を採用するようになってから、毎回異なるバリエーションで試合をしています。Exchange で白がc2-c4 を突く形は、あまり勉強したことがありませんでしたが、オープニングは特に黒に問題なく進みます。

4... Nf6 5. Nc3 Bb4 6. Bd3 O-O 7. a3?! dxc4 8. Bxc4 Bd6


このビショップはなるべくキープするつもりでb4 に出しましたが、ここは8... Bxc3+ 9. bxc3 dxc4 10. Bxc4 Qe8+ 11. Nge2 Qc6!=/+ という変化があったようです。

9. Bg5 Nc6 10. Nge2 h6 11. Bh4 Bf5



ここまで満足に指せたつもりです。白のピースのセットアップはベストではなく(ナイトがf3 にいるほうが好ましい)、d4 の孤立ポーンは将来的なターゲットになります。加えて、黒にと特に不満な点がありません。

12. h3 g5 13. Bg3 Bxg3 14. fxg3 Qe7


開いたfファイルはさほど怖いものだと感じません。それよりも白は乱れたポーンストラクチャーが問題となります。

15. O-O Bg6 16. Kh2 Rad8 17. Qd2 a6!



この手は時間を使って考えました。ナチュラルにルークをセンターの回す17...Rfe8、f6 の浮いたナイトを守る17... Kg7 も候補でしたが、まずは白のNc3-Nb5や、Bc4-Bb5 を止めるこの手からです。

18. Rae1 Qd6 19. Bb3 Rfe8 20. d5


白はdポーンを進めてd4 にマスを作りますが、dポーン自体の弱さはさほど変わっておらず、根本的な問題の解決になっていません。しかし、ここから私の指し方も正確性を失い始めます。

20... Ne7?!


最もアグレッシヴな20... Ne5 (狙いはNe5-Ng4+ からのダイレクトアタックだが、メイトまでは届かない。)とどちらを指すべきかでひたすら悩み、すぐにナイトが逃げなくても良いことを気付いていませんでした。20... b5!-/+

21. Nd4! Nexd5?!



ここも読みが不正確です。単純に1ポーンアップになると考えたのは誤りで、黒はf5 のマスをしばらく抑えておくべきでした。21... Kg7!?

22. Nxd5 Nxd5 23. Rxe8+?


ここは相手のミスによりチャンスが訪れましたが、全く気付いていませんでした。白は23. Nf5 Bxf5 24. Rxe8+ Rxe8 25. Rxf5= と指すべきで、これで本譜通りです。

23... Rxe8 24. Nf5 Bxf5?


24... Ne3!(クイーンを逃がさず、ルーク取りからのナイトフォークを狙えば黒勝勢でした。)25. Qxe3 Rxe3 26. Nxd6 Rxb3 27. Nc4 Bd3 28. Rc1 f6-+

25. Rxf5 c6 26. Bxd5 cxd5 27. Rxd5



ナイトの守りの数が足りていると思っていたことが、21手目の時点での勘違いでした。1ポーンを取り返されて流れは白にありそうですが、正確に指せばドローにできます。しかし、ここで私の残り時間は10分ほど、相手は1時間以上残っており、この持ち時間の差が、直接的な敗因となったさらなる間違いを呼び込みます。

27... Qf6 28. Rd6 Re6 29. Rd8+ Kg7 30. Rb8 Rb6


私のこの局面での間違いは、クイーンまでバックランクに入られては即負けだと思っていたことです。30... b5 31. Qd7 Qxb2 32. Qd8 Kg6!= このキングが先に上がっておくディフェンスの手が思い浮かばず、試合はおかしな方向へと向かいます。

31. b4 Rd6 32. Qc2 Qa1?



残り4分まで考え、黒もバックランクを攻めるしかないと決断しましたが、もちろんそんなことはありません。32... b5 33. Qc8 Kg6=

33. Qc8 Rd1 34. Qh8+ Kg6 35. Rg8+ Kf5 36. Qh7+ Ke5 37. Re8+ Kd4?


ルークを交換されたうえで、ポーンを取られる形は敗勢だと思い、キングをこの位置に動かしました。しかし、実際には本譜のほうが簡単にキングがつかまり、試合終了となります。37... Kd6 38. Rd8+ Kc7 39. Rxd1 Qxd1 40. Qxh6+-

38. Qe4+ Kc3 39. Rc8+ Kb3 40. Qc2+ Kxa3 41. Rc3+ Kxb4 42. Rb3+ Ka5 43. Qc7+ 1-0



時間が増える40手目以降まで、このメイトの形は見えていませんでした。問題のない局面で、慌てて自滅してしまったのは久しぶりです。反省します。

いよいよFS も2戦を残すのみです。今日の相手はベテランIM Bela Lengyel、ここまで黒で2戦2勝の相性の良さを見せられるか、勝負のラウンドです。


管理人の護さんには毎食お世話になっています。明日の試合が終われば、私もそろそろ何か作ろうと思います。(多分)

2012/07/15

FS 2012 July 7th round - Catastrophe -


FS 後半戦7R の相手は、先月1勝1ドローだった、IM Szeberenyi です。この日も白で良いポジションを築きましたが、まさかの見落としが待っていました・・・

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Szeberenyi, A (IM, HUN, 2325)
First Saturday 2012 July IM (7)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 g6!?



先月の対戦では5...e6 でしたが、ここで相手から手を変えてきました。このラインも準備していましたが、実戦で指すのは初めてです。

6. Bg2 Bg7 7. Nc3 O-O 8. O-O Ng4


8... Nxd4 9.Qxd4 d6 10.Qd3 がよりポピュラーな変化でしょう。

9. e3 Nh6!?


これは少し珍しい手です。黒のアイディアはd4 を交換した後で、ナイトをNh6-Nf5 とマヌーバリングすることですが、先にナイトを退くようであれば、白はナイト交換を避けることができます。

10. Nde2! Nf5 11. e4!



f5 のナイトは特に行く先もないので、ここに置いたままでも良かったのですが、展開の早さとスペースを重視して指すことにしました。

11... Nfd4 12. Nxd4 Nxd4 13. Be3


未知のオープニングでしたが、ここまでは白は満足です。全てのピースを展開し、センターの支配権を持ちます。

13... e5


13... Nc6 14. Rc1 d6 15. Qe2+/= 黒がナイトを退くようであれば、その分ピースの展開は遅れます。

14. Nb5!



このアイディアは、8年ほど前にMoroczy Bind の研究から学びました。おそらくTal のゲームだったと記憶しています。白はd5 のアウトポストに目が行きがちですが、黒の強力なナイトを消すことのほうが重要です。

14... Nxb5 15. cxb5 d6 16. Qd3+/=


白はナイトを二組交換したことで、a7、d6 を狙って優位に試合を勧めることができます。

16... Be6 17. Rfd1 Qa5 18. a4!


18. Bd2 Qb6 19.Be3 Qa5 20.Bd2= でドローにするアイディアも頭をよぎりましたが、白の優勢を信じてゲームを続けます。

18... Qb4 19. Qd2! Qxd2 20. Rxd2 Rfd8 21. Rc1



クイーンを交換しても、白のプレッシャーは続きます。d6 のバックワードポーンを攻撃しつつ、cファイルからの侵入を試みます。

21... a6 22. bxa6


ここはあえてダブルポーンを捌かない、22. b6!?+/- もあったでしょう。c7 のマスを支配し、ルークが跳び込む拠点とします。本譜では白はシンプルにダブルポーンを消して、クイーンサイドポーンマジョリティで勝負します。

22... Rxa6 23. a5!


おそらくSzeberenyi は、このポーン突きを見ていなかったのでしょう。23...Rxa5?? 24.Bb6! があるため、黒はこのポーンを取ることができません。

23... Raa8 24. b4 Bf8


黒はd6 をビショップで守ることにより、ルークをフリーにします。そして、ビショップを退いたもう一つの狙いに気付けなかったことが、次のブランダーを指す要因となってしまいました。

25. b5??



25. Rc7!(時間をかけたにもかかわらず、最も素直なこの手が、うまくいかないと読んでしました。) 25... d5? (25... Rdc8 26. Rdc2+/-) 26. exd5 Bxb4 27. dxe6! Bxd2 28. Bxd2 Rxd2 29. Bxb7 Rxa5 30. e7+- なぜか分りませんが、f7 を取る変化ばかりを考えて、25... d5 以下がうまくいかないと結論付けてしまいました。 実際には白は何の問題もなく勝つことができます。

25... Rxa5!


この手を指された時点では恥ずかしながら、ここでパスポーンを止めるためにエクスチェンジ捨てるのだと思っていました。

26. Bb6 Rc8!



アンビリーバブルなダブルアタックのかわし方です。バックランクメイトがあるため、白はどちらのルークも取ることができません。f8 にビショップを退いた狙いの一つは、ルーク交換の際にチェックを防いでおくことでした。

27. Rb1 Rxb5 0-1


せめてb5 だけは守らなければと思いましたが、全くの無意味でした。もちろん、27. Rxc8 Ra1+ 28. Bf1 Bh3! でも黒勝ちです。

クイーンサイドのパスポーンを進めることを、急ぎ過ぎたために起きた悲劇でした。6R までの良い流れを続けることができずに残念ですが、こういったこともあると割り切って、残りの3戦を戦います。


昨晩の夕食は焼肉でした。もちろん楽しかったですが、勝って食べたかったです・・・

2012/07/14

FS 2012 July 6th round - Play Like Capablanca -


7月のFirst Saturday も、そろそろ佳境に入ります。6R の相手は先月、私と1勝1敗だったIM To Nhat Minh、(おそらく)ベトナム系のハンガリー人です。すさまじいスピードで実力を伸ばし、19歳頃にIM を獲得したようですが、現在はレイティングを100程落としています。白でも黒でも様々なオープニングを使いますが、今月は1.e4 で来そうなので、French の準備をしっかりとして試合に臨みました。

To, N (IM, HUN, 2305) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (6)

1. e4 e6 2. f4!?


Tarrasch Variation をメインに用意していましたが、まさかこういうサイドラインとは・・・典型的なFrench Structure になるので、さほどセットアップには困りません。

2... d5 3. e5 c5 4. Nf3 Nc6 5. c3 Nh6 6. Na3 Bd7!?



ここで私は、変形の(白がf4を突いている)Advanced Variation だと思って指すことにしました。クイーンサイドのポーンを伸ばすプラン(a6-b5 or Rb8!?-b5)を捨て、Qd8-Qb6 からd4 とb2 を狙うことにしました。

7. Nc2 Rc8 8. d4 Qb6 9. Bd3 cxd4 10. cxd4 Nb4


これが私の目指した形です。ピースの交換を進め、スペースの狭さの問題を解消します。最も重要なことは、白マスビショップを交換することです。

11. Nxb4 Bxb4+ 12. Bd2 Bxd2+ 13. Qxd2 Bb5!



French Defence では、白マスビショップは最も黒の問題となるピースです。それを消し、f5 のマスの支配を弱めれば、黒には不満はないでしょう。

14. Bxb5+ Qxb5 15. Kf2 Ng4+ 16. Kg3 Nh6 17. Rhc1 O-O


キングをどこに置くか迷いましたが、ここはセンターにこだわりすぎず、安全にキャスリングしておきます。

18. h3 Nf5+ 19. Kf2 g6



急いでアクションを起こさず、まずはバックランクメイトを消します。

20. g4 Ne7 21. Kg3 Qb6


このクイーンはここから、試合終了まで黒マスのみを動き、白の陣にプレッシャーを掛け続けます。

22. b3 Kg7 23. Ng1 Rxc1 24. Rxc1 Rc8 25. Rxc8 Nxc8


ルークをキープされたうえで、f4-f5、h3-h4-h5 を一番恐れていたので、ルークを交換したことで、まずは一安心です。

26. Ne2 Ne7 27. Kf3 h6 28. Ke3 Nc6



キングへのアタックさえ抑えれば、ここからは黒の作戦スタートです。黒には特に目立つ弱点はありませんが、白はh3、d4、a2 のポーンを狙われる危険性があります。この時点では勝てるかどうか、もちろんまだ分かりませんが、黒にチャンスがあることは理解していました。白の対応が難しくなるよう、ゆっくりと各所にプレッシャーを掛けていきます。

29. Qc3 Qd8!


まずはクイーンサイドからキングサイドへ。

30. Kd2 Qh4 31. Qf3 Qe7!


白がクイーンをキングサイドに振ったところで、黒は再びクイーンを逆サイドに戻します。

32. Kc2?



キングがa2 を守りにいく自然な手は、黒に決定的なアドバンテージを与えます。32. f5!? gxf5 33. gxf5 Qg5+ 34. Kc3 exf5!=/+ がベターでした。

32... Qa3! 33. Kb1 Qa5!


クイーンが5手連続で黒マスを移動し、勝負は決まりました。白にはd4 のポーンをうまく守りながら、e1、d2 への黒クイーンの侵入を防ぐ方法がありません。

34. f5


34. Qd3 Qxa2+ (34... Qe1+ 35. Kb2 Nb4 36. Qe3 Qd1-+ でもOK。) 35. Kxa2 Nb4+-+ このクイーンサクリファイスからの1ポーンアップがあるので、クイーンをb4 ではなく、a5 に置きました。

34... Qe1+ 35. Kb2 Qd2+ 0-1



えっ、これで終わり?と思われたでしょう。私も実際、ここでのリザインには驚きましたが、白はf5 とd4 のポーンを両方失うので、勝負を諦めるのが早すぎるということはありません。35... Qd2+ 36. Ka3 gxf5! 37. gxf5 exf5-+

先月は黒で手も足も出ずに敗れた(最後に少し挽回のチャンスがありましたが)To Nhat Minh 相手に、実に良い勝ち方ができました。ルークを急いで交換しにいかず、キングの位置を改善したことや、クイーンをうまくマヌーバリングできたことは、かつての私ができなかった指し方であり、Misha との勉強の成果だと自負しています。今日はIM Szeberenyi 相手に、先月逃した勝ちを掴み、三連勝といきたいところです!


2012/07/13

FS 2012 July 5th round - King In The Center -

昨日はドイツのBub Volker さんと。ここまでだいぶ負けが込んでおり、私もポイントを取らなければいけないところです。King's Indian をメインで用意していましたが、ゲームは意外な展開になりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Bub, V (GER, 2153)
First Saturday 2012 July IM (5)

1. Nf3 g6 2. c4 Bg7 3. e4 d6 4. d4 Nd7 5. Nc3 e6!?



Hippopotamus! 河から顔を出したカバのように見えることから(本当か?)、名付けられたオープニングです。彼のメインレパートリーであることは知っていましたが、白がc4 が突いている形でも、指してくるとは思いませんでした。実戦で相手にするのは初めてです。

6. Bd3 Ne7 7. O-O a6 8. Be3 h6 9. Qd2 b6 10. Rad1 Bb7 11. Rfe1


白はナチュラルにルークをセンターに回し、いつ局面が開いても良いように準備します。これに対する黒の一手は、不用意だったと思います。

11... f5?!


キングがセンターに残っているポジションで、白にセンターを開くチャンスを与えるのは自殺行為です。私が黒であれば、11... g5 からg6 のマスにナイトを運ぶか、思い切って11... Kf8!? からキングをh7 まで持っていくでしょう。

12. c5!



完全に読み切っていたわけではありませんが、センターを開くことが白にとって悪いはずはありません!c4 のマスをビショップのために空け、弱くなったe6 のポーンを攻撃する狙いもあります。

12... Nf6


12... bxc5 13. dxc5 dxc5 14. Bc4 fxe4 15. Bxe6 Nf8 16. Qc2 Qb8 17. Bc4 exf3 18. Bxc5+/-

13. e5 Ne4


ここはナイトをどう捌くか迷うところですが、黒にはさほど良い選択肢がありません。

13... dxe5 14. dxe5 Ng4 15. Nd4+/- d4 のマスが空けば、白にとってはe6 を狙う絶好の機会です。
13... Nfd5 14. Nxd5 Nxd5 15. exd6 cxd6 16. Bf4+/- eファイルが開いても同様です。

14. Bxe4 fxe4 15. exd6 cxd6 16. cxd6 Qxd6?


彼はこの一手を悔やんでいました。確かにもう一つの候補手がベターであることは間違いありませんが、それでも白は十分に優勢な局面を築くことが可能です。16... exf3 17. dxe7 Qxe7 18. d5 e5 19. Qd3+/-

17. Bf4!



こうして見れば当然の一手です。eファイルを開かれ、e4 のポーンを取られては、黒はかなり苦しくなります。

17... Qb4 18. a3 Qa5 19. Ne5!?


e4 のポーンは後でも取れるので、クイーン交換を避けつつ、eファイルをこじ開ける方法を探します。

19... Bd5 20. b4!


完全なクイーントラップにはなりませんが、クイーン交換を避けたうえで、捨てたポーン以上のマテリアルを取り返すことができます。

20... Qxa3 21. Ra1 e3


これは予想外の一手でした。21... Qxb4 22. Reb1 Qd6 23. Nxg6+- これが私の読みで、言うまでもなく白勝勢です。

22. Qxe3!?



22. fxe3! Qxb4 23. Reb1 Qd6 24. Nxg6+- 上記のラインとほぼ同様に指しておけばよかったと、指した直後に少し後悔しました。eファイルにヘビーピースを重ねたことで何かスレットが作れると期待しましたが、実際には特に強力な狙いはありません。

22... Qb3 23. Qd2 Rc8 24. Nxd5 Qxd5 25. Rxa6


とりあえずは、これで1ポーンアップし満足することにしました。黒はまだ、不安定なキングという最大の問題を抱えています。

25... g5 26. Bg3 Nf5?


黒はd4 のポーンをすぐ取りにいくことに固執してしまいました。より考えなければいけないのは、キングの安全性と、h8 のルークの活用です。26... O-O 27. Rxb6 Nf5 がベターでしょう。

27. Ng6!+-



白は弱点であるd4 のポーンを何とかするよりも、黒キングを逃がさないことを優先します!

27... Nxd4 28. Qd1!


28... Nf3+ のクイーン取りスレットを外しつつ、Qd1-Qh5 を狙います。

28... Qb5 29. Ra7 Rg8 30. Rxe6+! 1-0



最後はクイーンサクリファイスからのメイトも考えましたが、連続チェックによる最短メイトを選びました。このような綺麗なフィニッシュは久しぶりです。やはりチェスにはキャスリングが必要ですね!

今日は、先月1勝1敗のIM To Nhat Minh と試合です。昨日は中国のジュニアに負けで、あまり調子は良くなさそうなので、私も勝たせてもらいたいところです。遅くなりましたが、今月のFS のリンクを貼っておくので、こちらで全体の進行状況もチェックしてみてください。

First Saturday 2012 July


ハンガリーに来てから2kg程体重が増えたので、加糖のCappy を断念し、他のオレンジジュースとミネラルウォーターに切り替えました。しかし、メインの問題は食事の量と内容でしょうか・・・

2012/07/12

FS 2012 July 4th round - Only Mistake -


7月のFirst Saturday は早くも中盤に差し掛かっています。4R の相手はハンガリーの青年、Szabo, Bence、今回リストトップのナイスガイです。私とのレイティング差は50弱なので、黒とは言え、負けるわけにはいきません。

Szabo, B (HUN, 2336) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Bb4 5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 O-O 8. Rc1


Queen's Gambit Ragozin のメインラインの一つです。しばらくお互いの研究通りに進みます。

8... dxc4 9. Bxc4 c5 10. O-O cxd4 11. exd4 Nc6 12. Ne4 Qe7 13. Qe2 Rd8 14. Rfd1 Bd7 15. a3 Ba5 16. Ng3!?



私がチェックしてきたのは、Ne4-Nc5 と跳ぶゲームばかりで、g3 に退く手はあまり見たことがありません。しかし、3月に羽生さんと代官山で指した際も、このアイディアが登場し、Szabo 自身も用意していたと試合後に教えてくれました。黒はe4 のマスが空いたことと、Ng3-Nf5、Ng3-Nh5 などの手に気を付ける必要があります。

16... Be8 17. Qe4 Bb6


私のプランはシンプルに、d4 へのプレッシャーを増すことです。白がd4 を守るために駒を使わざるをえないのであれば、それだけ黒キングへのアタックは弱まります。

18. h4 Rd7!?



dファイルにルークを重ねるために、どちらのマスにルークを上げるか迷いましたが、d4-d5 + Ng3-Nf5 のアイディアを警戒し、クイーンを守る7段目をチョイスします。

19. Rd2 Rad8 20. Rcd1 Rd6


ルークを重ねたところで、改めてルークの位置を改善します。個人的に、このような必要なマヌーバリングは、手損とは考えません。

21. Ba2 Kh8 22. Bb1?!


この試合のミスは、まず白から。ダイレクトにキングを狙いますが、黒は簡単にディフェンスでき、カウンターチャンスを与えてしまいます。ここは白にアドバンテージがないことを認め、22.d5 exd5 23.Bxd5 Qxe4 24.Nxe4 R6d7= と、センターポーンを解消するのがベストだったと思います。

22... f5!


e6 のポーンを弱めますが、そこを狙われる前にd4 を奪えれば全く問題ありません。

23. Qf4 Rd5!



ルークでブロックすることで白のd4-d5 を止め、f5 のポーンを守ります。

24. Qe3(=)


ここで白からドローオファー。迷いましたが、黒が悪い道理はないので、ここは蹴って試合を続けます。

24... Qf6 25. Re1 R5d6 26. Qb3 Nxd4


ようやくd4 を取ることができました。代わりにb7 を返しますが、白はさらにポーンが落ちるうえ、黒のダブルビショップが強力で、黒の優勢は疑いようがありません。

27. Nxd4 Bxd4 28. Qxb7 Bc6 29. Qb3 Qxh4-+



前日に続き、これは勝っただろうと思いました。しかも相手は残り数秒、時間の増加までは10手以上あります。

30. Rxe6


このポーンを取れないと読んだうえでの、26...Nxd4 でしたが、ここで予定していたラインに重要な読みぬけがあることに気が付きました。二つ見える良さそうな筋のうち、どちらをチョイスするか時間を使って吟味します。

30... Bd5


試合後、もう一つが正解だったのではないかと彼と話し合いました。しかしコンピュータでチェックしてみたところ、私たちは両者とも、2つのラインを正確に読み切っていませんでした!

30... Rxe6 31. Qxe6 Bxf2+! (31... Qxg3 32. Qxc6 Bxf2+ 33. Kf1!=(この33手目に2人とも気付いていませんでした。間違えてルークで取ってしまうと、下記と同じ変化になります。))


32. Rxf2 Qxg3 33. Qxc6 Rd1+ 34. Rf1 Qe3+ 35. Kh2 Qe5+ 36. Kg1 Qd4+ 37. Kh2 Rxf1 38. Qc8+ Kh7 39. Bxf5+ g6 40. Qc7+ Qg7 41. Bxg6+ Kh8 42. Qd8+ Qf8-+ このエクスチェンジアップは、問題なく黒が勝てそうです。

31. Rxd6 Bxb3 32. Nxf5


このナイトでポーンを取る手が見えておらず、つい焦ってしまいました。次の黒唯一の悪手で、勝利が手からこぼれてしまいます。

32... Qg5?


32... Bxf2+! 33. Rxf2 Qg5 34. Rxd8+ Qxd8-+ 本譜と比べれば一目瞭然ですが、f2 のポーンがあるとないとでは大違いです!

33. Rxd8+ Qxd8 34. Rxd4 Qc7 35. Bd3 Bf7



たった一つのミスで、白に生き延びるチャンスを与えてしまいました。このマテリアルと駒の配置であれば、順当にいってドローになりそうです。

36. Ne3 g6 37. Bc4 Bxc4 38. Rxc4 Qb7 39. Rb4 Qc7 40. Rc4 Qb7 41. b4 Qa6 42. Rc3 h5 43. Nc2 Qd6 44. Ne3 1/2-1/2


勝勢と勝ちは似て非なるもの。またもや勝ちを逃がしました。今日は最下位に沈んでいるドイツ人が相手なので、3日ぶりの勝利を是が非でも手にしたいところです。



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