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2024/04/05

麻布学園チェス部春合宿2024

今週の火曜から水曜にかけ、会津若松で行われていた麻布学園チェス部の春合宿に、指導者として顔を出してきました。コロナ禍で合宿を開催できなかった期間も長かったですが、昨年の春から私も再度合宿に呼ばれるようになっています。ちなみに、現役時代から現在にかけてチェス部の合宿には数えきれないほど参加してきましたが、福島県の会津若松は最も合宿地として遠い場所でした。
後輩たちは月曜日から会津若松に来ていたため、1日遅れで合流した私は早速初日のプログラムを始めます。今回考えてきたのは試合形式で15手目まで指し、それを観察して何かしらの意見、質問を出してもらうというものです。このプログラムの狙いは部員たちのレベルを把握すること、スムーズにコミュニケーションを取れるようになること、自分の知らないチェスのアイディアを学んでもらうことなどです。例えば1局目は私が白を持ち、以下のようなゲームの進行になりました。

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Be2 e5 7. Nf3 Be7 8. O-O O-O 9. Bg5 h6 10. Bxf6 Bxf6 11. Nd5 Be6 12. Bc4 Nc6 13. a4 Rc8 14. Qe2 Bxd5 15. Bxd5 Qb6

次に16.c3と指すつもりの局面で15手目を迎え、ここでストップです。これを初手から並べなおしながら、意見と質問を募集しました。部員たちからの質問は例えば以下のようなものです。

・13. a4と指したのはなぜか?
・14. Qe2と指したのはなぜか
・Bf1-Be2-Bc4と指し直すくらいなら、最初からBf1-Bc4と指せば良かったのではなかったか。

どれも良いですが中学1年生からでた最後の意見は、部員間での議論を盛り上げるという点で素晴らしかったですね。オープニングやチェスの理論をしっかり学ぶと、逆にこうした意見が出にくくなってしまいます。チェスを始めたばかりの後輩がこのような意見を持ち、それを素直に場に出せることはとても良いことです。こうした意見や質問には部員に先に考え、回答してもらいつつ、ポーンの特性やマスのコントロールについての説明をしました。さらにこの後、3人グループを3つ作り、2人で対局、残った1人が意見と質問をして、3人で考察という形式にしました。
初日の夕飯後は恒例の同時対局です。今回の合宿の現役部員参加数は9名だったため、以前よりも少なく比較的多面指しも楽でした。とは言え、簡単に土俵を割る部員もおらず、多少苦戦するゲームもありました。
翌朝は前日の同時対局の内容を踏まえ、ポイントになった局面や考え方を説明しました。単に最初にポーンを伸ばすだけではない、ピースも含めたセンターのコントロールの重要性というのものは、何人かの部員に欠けている意識だったので、そこを最も強調しました。最後に余った時間でブリッツを2局ほど指しましたが、前夜の同時対局よりも指し方、考え方の改善が見られる部員が多く、少し安心しました。後はもっとたくさん試合経験を積んで、学んだことを定着させるのが大切ですね。
今回の合宿では初日、2日目ともにいつもよりも指導に割ける時間が少なく、伝えられることも限られていました。それでも後輩たちにとって良い学び、良い刺激になったのであれば幸いです。宿泊先であるホテルを離れた後は、新選組所縁の地や鶴ヶ城(会津若松城) を見てから郡山に移動。そちらでもう1泊してから東京への帰路につきました。また次の合宿で指導できる機会を楽しみにしています。

2023/04/04

麻布学園チェス部春合宿2023

報告が遅くなりましたが、先月末に母校、麻布学園のチェス部春合宿にコーチとして参加してきました。2020年からの新型コロナ流行により、春合宿の開催は4年ぶりのこと。当然ながら私の参加も4年ぶりとなります。懐かしい気持ちで、2018年の夏合宿と同じ、山梨県の河口湖駅に降り立ちました。帰りはバスですが、行きは京王線、JR、富士急行線などを乗り継いで昼前に到着しました。
合宿所で前日から来ていたチェス部の現役部員たちと合流し、昼食後からチェスを始めます。初めて合宿に参加するメンバーもいる中で、久々の合宿メニューをどうするか悩みましたが、最初は「チェスは○○ゲーム」 というテーマで、○○に入るものを自由に考えてもらいました。(相手キングを追い詰める、だけは一番出やすそうなので無しにします) チェスがどんなゲームかまずは皆でイメージし、様々なアイディアを出しあうことで、その後の講座を進めやすくする狙いでしたが、「チェスは戦略立てるゲーム」 「チェスは違う特性の駒を使うゲーム」 「チェスは駒の連携が大事なゲーム」など様々な意見を出してくれて、私自身このミニゲームを楽しめました。

その後、Nimzowitsch の試合を解説し、途中途中でどう指すか質問しながら、チェスの局面の考え方、手の作り方などを説明していきました。時間が少し余ったときには、有名なスタディを2人1組で解いてもらいます。先輩、後輩が力を合わせながら、ああでもない、こうでもないとアイディアを出し合うのは、過去の合宿でもOBたちが繰り返してきたことです。夕飯前には私の講座を中断し、12人の部員同士で試合をする時間設けます。私は全6試合を見回りましたが、ちょっとした面白いポジションが現れました。
Position after 7. Bg5

白がf2-f3 と突いたのがすでに変ですが、それとBc1-Bg5 の悪さを咎めるアイディアが分かるでしょうか?

7... Nxe4! 8. Bxd8??


8. fxe4 Qxg5 9. Nf3 Qd8-+ と進めてもポーンを失った白は敗勢ですが、粘るならばメイトされる本譜ではなく、こちらを選ばなくてはいけません。

8... Bf2+ 0-1


以下、9. Ke2 Nd4# がぴったりチェックメイトになっています。色が逆ですが、Legal's Mate と呼ばれる200年以上前からあるメイトの1つです。実戦で目の当たりにするとは思いませんでした。黒もよく見逃しませんでしたね。
初日の夜はもう1つNimzowitsch の試合を見てからメニューは終了。2日目を迎えます。いつもはのんびり起きて朝食から合流していましたが、この日は集合時間を確認しておらず、早めに外に出て部員たちを探すと、ちょうどチェス部合宿伝統のゲーム、灯台守をやっているところでした。このゲームを簡単に説明すると、鬼を中心において円形で行う、だるまさんがころんだです。鬼は動いた人の名前を呼ばなければいけないため、部員同士、先輩後輩同士が顔と名前を一致させるのにもってこいのゲームとして、私が現役当初からありました。
また到着初日は曇り空で気づきませんでしたが、合宿所のすぐ裏には富士山が顔を覗かせていました。凄い迫力!

その後、2日目の午前中は恒例の同時対局を行いました。私にとってもかなり久々の対面での多面指しでしたが、なんとか12面全てを勝ち切って、コーチといての面目を保ちました。今回はそこまで部員数が多くなかったことも要因だと思います。過去の合宿では、歴代部長に結構ポイントを落としており、この合宿での同時対局は私にとってハードなメニューです。2日間で教えた内容をすぐに実戦に活かすのは難しいですが、「説明されたのはこういうことだったのか」 と腑に落ちるようなゲームがあったならば幸いです。

次はまたスケジュールが合えば、8月の夏合宿にお邪魔させていただきたいと思います。新年度を迎え、新入部員を増やして賑やかなチェス部になっていくことを願っています。また大会でも後輩たちが活躍するのを楽しみにしています!

2019/08/31

麻布学園チェス部夏合宿2019


今年も母校麻布学園のチェス部夏合宿に、コーチとしてお邪魔させていただきました。今回の合宿地は茨城県の潮来(いたこ) です。合宿の開催地として連絡を貰うまで、読み方も知りませんでした。都内からの移動は高速バスと電車がありますが、便の本数と所要時間からバスのほうが便利だと言えます。東京駅の八重洲口から高速バスに乗り、28日朝に潮来へと向かいました。

潮来で有名な場所と言えば、JR 潮来駅すぐ近くのあやめ園でしょう。5-6月のあやめまつりシーズンには、園内にあやめの花が咲き誇り、多くの観光客を楽しませるそうです。あいにく観光シーズンは外れていましたが、合宿所のホテルに到着前にあやめ園を少し散策することができました。あやめ園の脇を流れる川には時期によって遊覧船が出ますし、少し足を延ばせば、日本第二の大きさを誇る湖、霞ケ浦もあるので、水辺が好きな人にとっては色々と楽しめる場所だと思います。


今年の夏合宿は新入部員の中1が9人参加と、ここ数年でも比較的多く、全体でも久々に30人を超える大所帯でした。そこでいつもと違い、最初は中1を中心とした低学年向けの基礎レクチャーを行い、後で上級生を合流させて合同のレクチャーを行いました。基礎の内容は、ポーンストラクチャーから考えるポーンや他のピースの働き、手の作り方などです。


Chess Composition by Pal Benko
White to move and Mate in three

上級生を入れてからのレクチャーはゲームを並べたり、エンドゲームをやったりと色々ですが、最初のウォームアップはこちら。合宿2日前に残念ながら亡くなったPal Benko の有名な作品です。白番で3手メイト、ご存じない方は是非チャレンジしてみてください。当てずっぽうだと時間をかけてもなかなか解けないので、しっかりと最終図を推測すること、そこに至る方針を絞ることが大切です。白マス黒マス両方のコントロールが綺麗な問題ですね。


Botvinnik, M - Donner, J
Amsterdam 1963
White to move

並べたゲームのうちの1つはこちら。有名なゲームではありませんが、各所にBotvinnik の素晴らしいアイディアが登場します。ゲームのテーマは一応マスのコントロールのつもりでしたが、序盤から細かく説明していくと1局終わるので1時間以上かかりますね。初日は昼食と夕食の間、そして夕食後併せて6時間半くらいレクチャーを行いました。


夜のレクチャー後、自主的にブリッツ大会を始める中学生たち。本当にタフです。


一夜明けた翌日は恒例の同時対局です。合宿によっては初日の夜にやることもありますが、それだと私がばて気味なので2日目のほうが私としてはありがたいです(笑) 今回は30面だと多すぎて午前中に終わるかわからないため、低学年はミスの出にくいようにペアを組んでもらい、22面まで減らしました。松山くん、小柴くん、牛山くんには少し無理なプレーをして敗れましたが、他の19面は勝ち、19勝3敗でした。この夏合宿で部長の松山くんを含め、高2は引退して高1が最高学年になりますが、高1以下の部員たちも皆、力をつけてきていると思います。9月のチーム選手権は私も参加しますので、こちらの大会でも後輩がどういったプレーをするか、楽しみにしています。

2019/04/03

麻布学園チェス部春合宿2019


今週は月曜、火曜の2日間、1泊2日で麻布学園チェス部の合宿にコーチとして参加してきました。今回の初合宿の場所は、千葉県の白子町です。東京駅から高速バスで2時間弱、終点の白子中里から合宿地の宿はすぐでした。前回の河口湖もそうでしたが、新宿や東京からバス一本で行ける場所はありがたいですね。

合宿の参加人数は、中1から高1までの4学年で15人でした。(私が去る火曜の午後に2人合流して増えました。) 13時から途中15分の休憩を挟み、19時まではレクチャーです。最近の短手数のゲームから、タクティクス、ポジショナルプレーをテーマにしたゲーム、エンドゲームのスタディまで、幅広くポジションやゲームを紹介しました。これもいつも合宿の記事では書いていることですが、私のレクチャーが初体験の子にとっては、長時間の集中的なチェスへの取り込みは新鮮で、また大変でもあると思います。様々なポジションや考え方を見る中で、今の自分必要なものを吸収していってもらえればと思います。


夕飯後の午後20時半からは、90分+1手30秒の持ち時間あり15面指しがスタートします。前回の夏合宿では同時対局を2日目に持ってきましたが、今回はうっかり初日のレクチャー後、そして持ち時間ありでOKを出してしまいました。これがけっこう条件が厳しく、結果は11勝4敗(2つ時間落ち)という過去の同時対局でも最もポイントを落とすことになりました。その中でも、先日の東京チェス選手権で好成績を残した仲佐くんは、一瞬のスキを突いて良いプレーをしました。


Kojima, S - Nakasa, Y
Black to move

直前で指した22. Qd2? がひどい手で、黒はエクスチェンジダウンながら一気にアタックを決めます。

22... Ng4! 23. g3 d4!?


ここは23... Qh5! 24. h4 Rxe3!!-+ という手も美しい決め手になります。

24. exd4 Bxd4 25. Rce1


夜布団に入ってから、エクスチェンジを返すつもりでもう1つのルークを回し、f1 のマスを空けておくべきだったかと思いましたが、それにも黒には妙手があって勝ちとなります。25. Rfe1 Nxh2!!


Analysis Diagram

26. Rxe5 Nf3+ 27. Kg2 Nxd2+-+ Qe5-Qh5 がメイトになるため、26手目でナイトを取ることはできません。黒のダブルビショップは警戒しているつもりでしたが、d5-d4 からどちらのラインも開かれ、それを活用された形となります。

25... Bxf2+ 0-1



エクスチェンジを返すしかなく、h2 も取られて厳しくなるため、ここでリザインしました。予想外だったのは、25. Qxf2 Nxf2 26. Rxe5 Nh3# がぴったりメイトになることです。ちなみに同じメイトのアイディアをいかし、25... Nxf2! 26. Qxf2 Bxf2+ 27. Rxf2 (27. Kxf2 Qc5+ 28. Re3 Qxe3#) 27... Qxe1+-+ がさらに正確でしたが、いずれにしろ白は苦しい駒損です。夕飯前にMacShane のゲームで、黒のNf6-Ng4 が上手くアタックにいきる例を紹介しましたが、それをしっかり覚えていましたね。同時対局でも負けは悔しいですが、その反面後輩の成長は嬉しいものです。

翌日も午前中3時間ほどレクチャーをして、この合宿での指導を全て終えました。子供たちの指摘する手の中には私が気付いていなかったものもあり、毎回自分自身が勉強させてもらうことが多々あります。また夏の合宿にもお邪魔させてもらい、この麻布チェス部でのコーチングは続けていきたいですね。私は火曜の午後で白子を後にしましたが、現役部員たちは明日まで合宿を続ける予定です。最後まで気を抜かず、頑張ってください。


2018/08/31

麻布学園チェス部夏合宿 2018


3月の春合宿に続き、麻布学園チェス部の夏合宿で、コーチとして指導をしてきました。今回の合宿地は山梨県の河口湖。中学高校の部活動の合宿や、大学のサークル合宿でも人気の地です。私が河口湖を訪れるのは、数年前の暁星の夏合宿以来で、とても懐かしい気持ちになりました。


河口湖は東側の温泉街が人気エリアですが、今回の宿は西側にあるホテルです。近年の合宿としてはかなり多い、22人の参加者がありました。(春は13人) 中学1年生も複数入部し、初の合宿にも参加しており、OB としては嬉しい限りです。

初日はレクチャーがメインとなり、昼食後から夕飯までみっちりと6時間ほどチェスに取り組みます。前半では発想力を試す課題やチェスの知識を問う質問に答えさせ、その後で実際のゲームを見せて、どのような考え方、ピースの働きが登場するかを確認します。最近見つけて面白かったポジションは、以下のものでしょうか。


Debray, C - Kvashyna, T
Syre Memorial Open 2013 (3)
Black to move

ピースを捨てた直のこの局面、黒が正しい手を指せば勝ちですが、それを見つけられなければピースアップで白勝ちになります。実際のゲームでは、黒は正解を見つけられずに負け... 自分がこうなったらと思うと悔しいですね。


手を考えてもらっている間、22人11ボードを回って生徒の意見に耳を傾けます。「これでどうか」「それに対して、こうならどうするか」「そうかー」とみんな真剣です。上級生と下級生では当然レベルに差はありますが、完全に下に合わせてしまうと上の子たちは退屈です。上手く課題のレベルを調整しながら、難しくとも面白いと感じてもらえる局面、ゲームはどんなものか、私も毎回の悩みですね。

夕飯後は恒例の同時対局を翌日に回し、ブリッツにしました。私と指したい人はどうぞ、と声をかけたところ、次々と挑戦者が現れ1時間半はブリッツタイムが続きました。いつものこの時間は同時対局をしていることを考えれば、私の負担は多少軽いですが、河口湖までの移動もあって終わる頃にはへとへとです。


2日目は私にとっても人生最多となる22面同時対局です。午前中の3時間ほどしか時間がないため、事前に相談して通常の同時対局ではなく、22個の対局時計を使ったクロックサイマルにすることにしました。私が回ってきたら1手指すスタイルの同時対局では、おそらく22面で3時間半~4時間ほどかかりますが、60分+1手30秒の持ち時間であれば、おそらく3時間以内に全て決着はつくと判断しました。しかし、普通はこれほど多い同時対局で時計を使うことはありえないですね(笑)


Kojima, S - Nagataki, K
Azabu Summer 2018 Clock Simul
Position After 33. Qxh6

長瀧くんとのゲームはクイーンを取って勝勢になったはずが、ちょっとした緩手で黒に反撃を許してしまい、形勢をおかしくしてしまいました。

33... Rb8!


ルークがクイーンサイドにまわる手を完全に見落としていて、ここからかなり焦ります。ルークのバックランクの侵入を許すことになれば、g2 のポーンが突如として脅威になって黒勝ちになるでしょう。

34. Bd1 Rb1 35. Qd2 Nd5! 36. f3??



ここが一番難しい局面で、他のゲームも回らなければいけない状況では正解を見つけることができませんでした。36. Qg5+! Ke6 37. Kh2!! Nxc3 (37... Rxd1?? 38. Qg4++-) 38. Bg4+ f5 39 Bxf5+! Bxf5 40. Kxg2= こうしてビショップを捨ててもg2 のポーンを消せば、白はドローに持ち込めるというのがコンピュータ評価です。

36... Bxf3 37. Qg5+ f6??


しかし、ここで黒に痛恨のミスが出てゲームは終わりました。37... Kf8 38. Qd8+ Kg7 39. Qg5+= ならばドロー。しかし、37... Ke6!-+ ならば白クイーンに有効なチェックは無く、Nd5-Nxc3 があるため、白はビショップを守ることができません。

38. Qg7+ Kd8 39. Qh8+ 1-0



長瀧くんはh7 でのチェックから、ルークが取られてしまうことを見落としていました。ビショップがe4 にいる時点ではルークは守られていたため、そのままだと勘違いしてしまったのでしょう。完全に拾わせてもらったゲームでした。

同時対局は21勝1敗で、新部長の松山くんにだけ敗れました。このゲームは30分私が持ち時間を残していましたが、簡単なタクティクスの見落としでどうしようもない駒損となり、リザインです。クロックサイマルの難しい点として気付いたことですが、通常の試合であれば30分残り時間があれば10分でも、15分でもベストの手を考えられますが、この形式ではそうしてると他のゲームの持ち時間も考えた分だけ減り、どこも時間切迫となってしまいます。どのボードのどこで時間を使い考えるか、もしくは指さずに考えたままで他のボードに移るか、なかなか判断が難しいことを実感しました。それでも良い経験でしたので、また機会があればやってみたいですね。


2日目の昼食後、私は後輩たちに別れを告げて宿を後にしました。移動先は駅ではなく、河口湖の北側に位置する大石公園です。ここでは季節の草花と、目の前の雄大な河口湖を楽しむことができます。この日も海外からの多くの観光客でにぎわっていました。


ちなみに私の目的は大石公園に隣接するハナテラスという場所です。ここには河口湖のお土産を売るショップや、山梨の特産品をメインとしたカフェが集まっています。山梨にせっかく来たので桃か葡萄を食べたいと思い、葡萄屋 Kofu の葡萄ソフトクリームをいただいたのでした。見た目の色の通りの味の濃さで、足を運んだ甲斐がありました!


大石公園を後にしてからは、猫のダヤン作品が展示されている木の花美術館までバスで移動し、そこからオルゴール美術館、河口湖美術館と湖畔に沿って歩き、河口湖大橋も渡って駅まで戻りました。このルートは数年前の合宿でも歩いており、そこを久々に歩きたかったことも、この帰り道を選んだ理由でした。どこかでも書いたかもしれませんが、私は海や川、湖などの水辺でゆっくりするのが好きなようです。

後輩たちの合宿は金曜日が最終日でしょうかね。これが最初、もしくは現役最後の合宿になるメンバーもいることでしょう。皆さん、最後まで楽しんだくださいね。また来年の春合宿でもよろしくお願いします。

2018/03/26

ACC Spring Camp 2018


3月23-24日の2日間、麻布学園チェス部の合宿に顔を出してチェスの指導をしてきました。私の出身クラブでもある麻布のチェス部は私が現役時代から、春と夏の年2回、関東近郊で合宿を行っています。ここ数年は合宿内での試合数を減らし、2日間は私の行うレクチャーに時間を割くようにしています。今回の合宿地は埼玉県の秩父で、私は初めて足を運ぶ地でした。


池袋から特急レッドアローと市バスを乗り継ぎ、初日の昼前に合宿地である秩父の宿に到着しました。私が着く前日から合宿をスタートさせた後輩たちは、中1から高1まで4学年14人、私が初めて見る顔が半数近くでした。早速、初日の前半はちょっとしたタクティクスの問題と、ゲーム全体の流れを見るためにゲームの紹介をします。例えば以下の局面で白番、子供たちはああでもない、こうでもないと知恵を振り絞って答えを探します。


Ljubojevic, L - Durao, J
Orense 1974
White to move

22. Nd6+! Bxd6 23. Qa6+! Kc7 24. Qxa7+ Kc8 25. Bb5!! 1-0


f1 のマスを守りつつ、Bb5-Ba6 のメイトスレットを作る最後の手が難しいですね。25... cxb5 26. Qa6+ Kc7 27. Bxd6# でもぴったりメイトなのが美しいと思います。


夜は麻布の合宿で恒例となっている同時対局です。ここでの合宿は、私がここ数年で行っている同時対局の中でも、かなりポイントを落とす可能性が高くなっています(笑) 今回こそ全勝を目指しましたが、中学生2人にひどいミスが出て2敗し、12勝2敗にとどまりました。1つ紹介するとすれば、高1の澤部くんとのゲームは面白かったです。

Kojima, S - Sawabe, I
ACC Spring Camp 2018 Simulteneous

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 d6 6. c3 b5 7. Bc2 Bb7 8. O-O Nb8 9. Re1 c5 10. Nbd2 Nbd7 11. Nf1 Qb6 12. Ng3 g6 13. d4 Bg7 14. a4 O-O 15. h3 Rfe8 16. d5 c4 17. Be3 Qc7 18. Qd2



白黒互いにいくつかのテンポロスがありながら、Ruy Lopez Breyer のメインラインとほぼ同じ局面になりました。

18... Reb8 19. Ra2


指した直後にaファイルから手を作るのであれば、b3 のマスもカバーしておく19. Ra3 のほうが良かったと後悔しました。黒は当然ナイトをc5 に運び、b3 のマスへの跳び込みを見せておきます。

19... Nc5 20. Nh2 Nfd7 21. Rf1!?



最近見たHou Yifan のゲームで、f2-f4 からキングサイドで上手くアタックが決まる好例がありました。aファイルでいかないとなれば、白はキングサイドからのアタックを準備します。

21... Nb6 22. f4!? Ncxa4?


私は思い切ってa4 を捨て、キングサイドアタックのスピードに期待します。22. axb5 axb5 23. Rxa8 Rxa8 24. f4 も安全策としてありそうですが、黒のaファイルからの反撃は早そうですし、いざというときに2つ目のルークが無ければ、キングサイドアタックのパワーが落ちると考えました。

それに対する黒の手が失敗で、22... exf4 23. Bxf4 Nbxa4 24. Ng4 としてビショップをf6,h6 のマスのカバーに残しておくか、22... Nbxa4 23. fxe5 Bxe5 24. Ng4!? Bxg3 25. Bd4 Be5 26. Qg5 として、a4 のポーンを違うナイトで取るほうが良かったでしょう。

23. fxe5! Bxe5 24. Ng4!



私はある程度読んで、g3 のナイトを捨ててもOKだと判断しました。黒キング前の黒マスの弱さをついて白はアタックを仕掛けます。

23... Bxg3 25. Nh6+ Kh8


25... Kg7 26. Rxf7+ Qxf7 27. Nxf7 Kxf7 28. Bxb6 Nxb6 29. Qe3!+- この局面でb6 のナイトとg3 のビショップがダブルアタックになるのがポイントです。22手目でもう1つのナイトでa4 を取るべきだったのは、白のこのタクティクスを防ぐためでした。

26. Rxf7! Qxf7


クイーンを逃す手には多少迷いますが、白は黒キングへの攻撃が豊富にあり、その中から分かりやすいものを選ぶだけです。26... Qc8 27. Bd4+ Be5 28. Bxe5+ dxe5 29. Qg5 Nd7 30. Nf5!+- (30. Qe7? Qc5+!)

27. Nxf7+ Kg8 28. Ng5+-



クイーンを取り、黒キングもまだ危険な状態にあるため、これで白の勝勢です。ここから数手でブランダーがあり、黒のピースがさらに落ちて白勝ちとなりました。


2日目も朝食後、昼まで3時間ほどレクチャーです。前日に続いて、Botvinnik やSpielmann のゲームを紹介し、白が築く序盤の優位や、それに黒がどう対抗するかなどを解説しました。昼過ぎののゲームの途中で私は宿を後にし、後輩たちよりも早く東京に戻ります。2日間で学んだことを活かせたかは気になるところですが、今後の大会でそれは見せてもらおうと思います。今年も麻布のチェス部での合宿は非常に楽しく、私にとっても勉強になる場でした。


バスで西武秩父駅前に戻り、帰りの電車の時間まで少し近場を散策してみることにします。羊山公園は西武秩父駅からすぐの小高い丘にあり、ここに向かうのはちょっとした運動にぴったりです。秩父の桜は少し遅れ気味でしたが、それでもなんとか咲いているのを発見。今週末には見ごろなのではないかと思います。


西武秩父線は羊山公園を横切るように通っています。時間が合えば、貴重な特急列車、レッドアローと遭遇することもあるでしょう。

2016/03/29

ACC Spring Training 2016


先週末の金曜から日曜日の3日間、日光で行われた麻布学園チェス部の合宿に、コーチとして参加してきました。私の出身クラブでもあるACC には、昨年の夏合宿からお邪魔させてもらっています。春合宿への参加は、卒業直後の2007年以来、実に9年ぶりのことです。

金曜夜、都内での仕事を終え、東武日光駅に到着したのは午後7時過ぎでした。この時期の日光は実に寒い! そして7時を過ぎれば辺りは真っ暗。店も閉まり、出歩く人もほとんど見当たりません(笑) 駅の近くで夕飯を済ませた私は宿へと向かい、終わったばかりの試合の検討戦に軽く参加して、この日を終えました。

私の仕事メインは土曜日です。この日は試合をなしにし、丸一日私のために時間を空けてくれた後輩たちのために、少し張り切りました。午前はエンドゲームから考えられる各ピースの使い方や、タクティクスをメインにレクチャーを行い、午後はこちらから与えたテーマで、各々に簡単なプレゼンテーションを行ってもらいました。


夕飯後は8名の部員+1名の顧問の先生を相手に9面指しを行います。3時間半指して、結果は7勝1敗1ドローでした。顧問強し(笑) 中2の矢野くんも、非常に手堅く指してよくドローをゲットしたと思います。昨年は何か所かで同時対局を行いましたが、今年はこれが初で、ポイントを落とすのも久々です。こうして自分でもやってみると、先月、1敗もしないで30面を指し切ったGM Naiditch の偉大さがよく分かります。


10時間以上、チェスを教えた土曜日を終え、翌日曜日は午前の試合を簡単に見てから、宿を後にしました。中1の松山くんは、最終戦をおそらく勝ったでしょう。ジュニアチャンピオンの小柴くんに並び、5/6 でのフィニッシュは、中1にしては上出来な内容だと思います。私も14年前の春合宿で先輩相手に貴重な白星を挙げ、とても嬉しかったことを思い出しました。普段は小学生の指導することが多い私ですが、こうして中高生の後輩たちが成長する姿を間近で見るのも、とても楽しいですね。


こちらは麻布チェス部の部員であったメンバーには懐かしいチェスセットでしょう。ボードは変わっても、このピースは20年以上、ACC に受け継がれています。合宿のラウンドが、私が現役時のスタンダードだった9R から減ったり、私がコーチとして参加するようになったりと、世代によって部活動のスタイルが変わっていくこともありますが、中高生がチェスに傾ける情熱や、チェス部に在籍しながら過ごす青春など、変わらないものもあると思っています。

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