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2025/07/21

Japan Chess Classic 2025 Day4

札幌で開催されたジャパンチェスクラシックは、無事に最終戦を終えて全日程を終了しました。6連勝で最終日を迎えた私は、弘平くんとドローで6.5/7となり、単独での優勝を決めています。ジャパンチェスクラシックは2回目の優勝だと思っていましたが、前身の大会である2018年のジャパンリーグで優勝したことと勘違いをしていました。ジャパンチェスクラシックは初優勝で、日本の3大大会の1つを取れたことをとても嬉しく思います。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Kojima Shinya 6.5/7
2nd Place Tran Thanh Tu 6/7
3rd Place Kuroda Yunosuke 6/7
4th Place Moritani Sho 5.5/7
5th Place Yamada Kohei 5.5/7
6th Place Furuya Masahiro 5.5/7
7th Place Gishi Takeshi 5/7
8th Place Averbukh Alex 5/7
9th Place Matsunaga Toma 5/7
10th Place Noguchi Koji 5/7

Japan Chess Classic 2025 Final Standings


最終戦の弘平くんとの試合をご紹介します。ずっと上位ボードで試合をしていてタイブレーク有利かと思いきや、負けると直接対決の結果で2位に陥落することもありえたので、緊張感がありました。

Yamada, K (FM, JPN, 2189) - Kojima, S (IM, JPN, 2307)
Japan Chess Classic 2025 (7)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. Be2 e6 6. O-O Nbd7 7. d4 Bd6 8. b3 O-O 9. Bb2 Re8 10. Qc2 e5!?

序盤はSemi-Slavとなりました。私も白でこの変化を指したことがあるため、どのような作戦でいくか悩みましたが、黒が早めにa7-a6を入れているため、オーソドックスなb7-b6からフィアンケットではなく、e6-e5からのビショップの利き筋を開くことにします。黒はIQPを持ちますが、直前にc2に移動した白クイーンがターゲットになりうるため、黒は十分に指せる局面でしょう。

11. dxe5 Nxe5 12. cxd5 cxd5 13. Rad1


ここは13. Rfd1 Be6 14. Rac1のほうが自然だと考えていましたが、f1のルークはしばらくf2を守り続けることで、黒からのキングサイドへのアタックを警戒する作戦だったようです。

13... Be6 14. h3 Rc8 15. Qb1 Qe7 16. Na4 Ned7 17. Bd3 b5 18. Nc3 Nc5

黒のナイトはd7-e5-d7-c5と組み替え、最終的にはe4のマスを抑えることを目標とします。

19. Ne2 Nfe4 20. Nf4 Qc7!? 21. Nxe6 fxe6


黒は白マスビショップを諦めますが、d5が孤立ポーンでなくなった分、バランスは取れているでしょう。

22. Nd2 Nxd3 23. Qxd3 Nxd2 24. Rxd2 Bh2+ 25. Kh1 Be5

この辺りでピースを総清算し、ドローを目指すことにします。6R終了時点で2位と1P差だったため、ドローでも単独優勝が確定です。

26. e4!? Bxb2 27. Rxb2 Qe5 28. Re2 Rc3!


28... d4!? 29. f4 Qc5 30. e5 と進むことも可能ですが、d4のポーンはブロックされており、パスポーンとしての強さはあまり発揮できないでしょう。ドローで満足であれば、本譜のようにクイーンを交換してしまうのが得策です。

29. exd5 Rxd3 30. Rxe5 Rxd5=

ポーンの形は黒が少し乱れていますが、ルークエンディングにおいては小さな問題です。以下、ドロー交換を目指して手堅く指します。

31. Re2 Kf7 32. Rc1 Red8 33. Rc6 R8d6 34. Rc7+ Rd7 35. Rc6 R7d6 36. Rc7+ Rd7 37. Rcc2 Kf6 38. g3 Re5 39. Rxe5 Kxe5 1/2-1/2


今大会は結果だけでなく、内容が安定して大きく崩れることが無かったのが良かったですね。地方開催は運営の苦労も多いと思いますが、今回も盛況で何よりでした。参加した全ての参加者と10名の大会運営人に感謝いたします。また次の大会でもよろしくお願いいたします。

2025/01/12

Tokai Open 2025 Day1


一昨日、ハノイから中部国際空港への便で帰国し、今日から2025年最初の国内大会、東海オープンに参加しています。一昨年は3勝1ドロー、昨年は4勝1ドローで優勝した大会で、今年は3連覇がかかっています。初日は3連勝と良い流れが作れたので、初戦のゲームをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2316) - Shakuya, K (JPN, 1764)
Tokai Open 2025 (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 e6 5. Nf3 Nbd7 6. Qc2 Be7 7. b3 dxc4 8. bxc4 c5 9. Bd3

ここは9. d5と押し込むのが良いと思いましたが、スタンダードなハンギングポーンもやってみたく、突きこさずに待つことにします。

9... b6 10. O-O Bb7


10... cxd4 11. exd4 Bb7 12. Qe2はありえる流れだと思っていました。本譜の流れを嫌うのであれば、d4でポーン交換をする最後のチャンスです。

11. d5!?

以前、黒番で研究していたSemi-Slavの局面と同じだと気づき、このポーンサクリファイスを実行します。白は早い展開と開いたセンターからの攻撃チャンスで、ポーンの代償を得ます。

11... exd5 12. cxd5 Nxd5 13. Nxd5 Bxd5 14. Rd1 Bc6


自分が指そうと研究していたのは、14... Be6で、こちらであればビショップが浮いていない位置でd7のナイトを守れます。その際は15. Bb2 Bf6 16. Be4 Rc8 17. Ne5を予想していました。

15. Bb2 Qc7 16. Bf5 Nf6 17. e4!

17. Ng5, 17. Ne5のどちらも考えましたが、先まで読んでもぱっとしませんでした。残り時間10分まで考え、eポーンを単純に押し進めてf6のナイトをどかしにいくのが良いと気づきました。

17... O-O?


h7を捨てるのは白にとって楽な流れになりすぎてしまいます。17... Qb7!と指してe4-e5を誘い、e4にビショップを跳びこむのがベストでした。覚えていませんでしたが、ここまでは手順前後で、以前見たNarayanan-Wang Haoと同じ流れです。

18. e5 Nd5 19. Bxh7+ Kh8 20. Bf5 Rad8 21. Qe4 Nc3 22. Qg4 Bxf3 23. Qh3+ 1-0

最後は薄くなった相手キングを攻めてメイトです。自信はなかったですが、思い切ってポーンを捨ててみて良かったです。2R、3Rも良い内容で勝てたので、この勢いで2日目も頑張ろうと思います。 明日は全勝同士、弘平くんとの試合です。

Tokai Open 2025 R4 Pairings

今夜は会場近くのインドネシア料理に行きました。帰国後の私の夕飯は、インド料理、タイ料理、インドネシア料理です笑。

2024/11/30

Kyoto Gion Open 3 Day2

夜の知恩院は昼と一風変わり、厳かな雰囲気に包まれます。

京都祇園オープン3の2日目です。この日も各ボードで熱戦が繰り広げられました。今夜は午前のラウンドで指した試合をお届けします。京大チェスサークルの柳井くんとは、昨年私が鴨川を散策していたところを捕獲されてからの付き合いで、公式戦では初対戦となります。

Kojima, S (IM, JPN, 2320) - Yanai, Y (JPN, 1879)
Kyoto Gion Open 3 (4)

1. d4 c6 2. c4 d5 3. Nc3 Nf6 4. e3 e6 5. Nf3 Nbd7 6. Qc2 b6 7. b3 Bd6!?

黒が早くクイーンサイドフィアンケットを決める変化では、7... Bb7 8. Bb2 Be7と低く構えるのが一般的です。黒からe6-e5の早いブレイクが無いことを利用し、私もBf1-Bd3の高くビショップを組む形を決めます。

8. Bd3 Bb7 9. O-O O-O 10. Bb2 Re8 11. Rad1 c5 12. cxd5 exd5 13. Qb1


将来的にc8にくるであろうルークを気にし、早めにクイーンを下げておくことにしましたが、13. Bf5!のほうが良かったと思います。g7-g6を気にしましたが、それならばa1-h8ダイアゴナルを弱くなり、本譜のようにナイトをg3に運ぶ必要が無くなります。

13... a6 14. Ne2 Rc8 15. Rc1 Ne4 16. Ng3 g6

Ng3-Nf5を止めますが、このナイトの跳びこみがどこまで効果的だったかは自信がありません。ポーンの形を決めずに16... Ndf6とする手もありました。

17. dxc5 Ndxc5 18. Be2?!


IQPになった時点で白マスビショップを早めに諦める手もありました。18. b4! Na4 (18... Nxd3 19. Qxd3+/-) 19. Bd4 Nac3 20. Qb3と進んだ場合、黒は孤立のd5とa1-h8ダイアゴナルの弱さが気になります。

18... Qe7 19. Bd4 b5 20. Rc2 Ne6 21. Ba1 f6

ここはa1-h8を気にしてくれたのがありがたかったです。直前にルークをc2に上げた手は緩手で、ここで21... Rxc2 22. Qxc2 Rc8 23. Qd3くらいで黒はcファイルを抑えることに切り替え、十分な局面に思えます。

22. Rxc8 Rxc8 23. Rc1 Rxc1+ 24. Qxc1 N4g5 25. Nxg5 Nxg5 26. Bd3


g3のナイトを組み直すためにe2のマスを空けますが、全く違う方向性もありえました。26. h4 Ne4 27. Nxe4 dxe4 28. a4! こうしてb5を崩し、c4のマスを奪ってa2-g8ダイアゴナルを利用するアイディアも有力です。

26... Be5 27. Ne2 Ne6 28. h3 Kg7 29. a3?!

b4まで白からポーンを伸ばして待つつもりでしたが、甘い手でした。少し気は進まないですが、29. Nd4 Nxd4 30. Bxd4 Bxd4 31. exd4+/=として白マスビショップの働きの差で満足すべきです。

29... Bxa1?!


黒からのビショップ交換はd4のアウトポストを抑えづづけられるためにありがたいです。29... Qc5!としてクイーン交換を迫れば、白はa1の浮きビショップが困っています。

30. Qxa1 Nc5 31. Bc2 Qc7 32. Nf4 Qd6 33. Qd4!+-

ずっとおとなしかったクイーンをようやく好位置に運ぶことができました。

33... Bc6??


最後のタクティクスの見落としは時間切迫で仕方がありませんが、33... Ne6 34. Qa7 Nd8 35. b4+-でもNf4-Nc5が厳しい状況です。

34. Qxc5 1-0

午後は松村くんとの大事な全勝対決でしたが、ひどい勘違いであっさり負けてしまい、この日は1勝1敗で一歩後退です。気を取り直して明日の最終日も頑張ります。

Kyoto Gion Open 3 R5 Pairings


2024/07/15

Japan Chess Classic 2024 Day3 Tournament Report


ジャパンチェスクラシック3日目です。4連勝で迎えたこの日、午前中にTuさんとドローまでは良かったのですが、午後で台湾代表のLiuさん相手にひどい勘違いでゲームを崩してしまいました。今夜はこちらをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2296) - Liu, Y Y (TPE, 1965)
Japan Chess Classic 2024 (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 e6 5. Nf3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3

全日本選手権で指した7.b3から、もともと指していた7.Bd3に今回は戻しました。Karpovスタイルで戦います。

7... O-O 8. O-O h6 9. h3 dxc4 10. Bxc4 e5 11. Bb3 exd4 12. exd4 Nb6 13. Re1?!


以前オンラインでこの局面を持ち、h6を切って攻め勝ったのですが、このサクリファイスが成立しているのかどうか思い出すのに時間がかかりました。実際はこれは試す価値があり、13.Bxh6! gxh6 14.Qg6+ Kh8 15.Qxh6+ Nh7 16.Ne4! Be7 17.Nf6! Bf5 18.Ng5!と続けて白が攻勢のようです。

13... Nbd5 14. Bd2 Be6 15. a3 Re8 16. Na4

黒はd5のマスをがっちり抑えて満足そうですが、こちらはc5,e5の2マスにナイトを入れる構想で対応します。

16...Qc8 17. Ne5 Bf5 18. Qd1 Qc7 19. f4


キング周りやe4のマスを弱めるので指したくはなかったのですが、ここでe5のナイトを退いているようでは面白くありません。

19...Re7 20. Rc1 Rae8 21. Qf3 Nb6 22. Ba5

ナイトを退いてくる手は少し意外で、黒マスビショップがようやく活躍の機会を得ます。

22... Be6 23. Bc2 Bd5 24. Qd3 Qd8 25. Nc5


b6のナイトに当て続けるか、念願であったc5に侵入するか、ここはナイトを使い道をどうするか悩みました。c5の位置はe4,e6のマスを抑えつつ、b7にプレッシャーをかける狙いがあります。

25...Qc8 26. Bb4 g6 27. Nxg6??

しかしここは攻め急ぎました。明らかに誘われていると思いつつ、先までしっかり読んだつもりでしたが、ひどい勘違いがありました。27.Re2くらいでg2を守りつつ、eファイルにルークを重ねるくらいでじっと待つべきでした。

27...fxg6 28. Qxg6+ Rg7 29. Qxh6


当然、g6でナイトを切ったときはすぐにf6のナイトを取り返すつもりでしたが、1つ決定的な読み抜けがありました。29.Qxf6 Rxg2+ 30.Kf1 Rf8! (ルーク交換しか見ておらず、このルーク避けがg6を切ってから初めて見えました。) 31.Qxd6 Qxh3-+ これでh1のメイトの受けがなく、黒の勝ちです。

29...Bxf4 30. Qxf6 Bxc1 31. Ne4 Qxh3??

しかし、ここで相手からブランダー返しがあり、ルークを取り返しました。ところがいかんせん時間がほぼ無く、最後のエンドゲームを間違えました。

32. Qxg7+! Kxg7 33. gxh3 Bxb2 34. Bc5?


試合が終わってから見返しても、ベストの手がすぐは分かりませんでした。d4のポーンはどうしようもないため、これを諦めて反撃に切り返すべきです。34.Nd6!が良い手で、d4を捨ててでも早めにピンを解消し、b7への反撃を作ればドローチャンスがあります。

34...Nc4 35. Re2 b6 36. Bb4 Bxd4+ 37. Kh2 Ne3 38. Bc3 Nxc2 39. Rg2+ Kh8 0-1

ここまで良いチェスを続けてきただけに、悔しい負けでした。トップは南條くんと青嶋くん、Liuさんが5.5/6で並んでいます。私も中継ボードに残り、入賞のチャンスは残っていますので、気を取り直して最終戦も頑張ります。

Japan Chess Classic 2024 R7 Pairings

2023/10/18

Nagoya Open 2023 Opening Analysis Vol.2


名古屋オープンのゲームから、オープニングを見直すシリーズ第2弾です。2つ目は最終戦の青嶋くんとの試合を取り上げようと思います。全日本選手権ではClassical Slavを指しましたが、ここでは勝ちにいくために少し違う工夫をしてみました。

Aoshima, M - Kojima, S
Nagoya Open 2023 (6)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 e6!?

Semi-SlavはClassical Slavよりも早い段階で私のレパートリーに入り、そろそろ20年になります。白からの変化にもよりますが、手堅くもシャープにも黒からのチョイスで変わる面白さがあり、黒で勝ちにいくにはClassical Slavよりも使いやすいでしょう。

5. Qb3!?


どこの大会のゲームで見たかは忘れてしまいましたが、青嶋くんがSemi-Slav対策として以前のMeran Variation(5. Bd3 dxc4 6. Bxc4 b5 7. Bd3)から、こちらに変えたことは気づいていました。アイディアはビショップではなくクイーンでc4を取り返せるようにし、黒マスビショップはポーンストラクチャーの外側で使えるようにすることです。試合前にしっかり変化を調べ直す時間が無かったので、ここでどう指すか少し時間を使って考えます。

5... Nbd7!?


あまり人気のある変化ではないですが、メインのQGDに近く、手堅いポジションを目指せると考えました。メインラインは5... dxc4 6. Qxc4 b5 7. Qd3 a6!?などですが、あまり細かいアイディアを覚えている自信が無かったこと、青嶋くんがしっかり調べているであろうことを考慮して、少しサイドラインにすることを決めました。

6. Bf4 Be7 7. e3 O-O 8. Be2 dxc4!

この辺りも悩みましたが、分からないなりに良い手が選べたと思っています。互いのセットアップを見ると私も白番で指すQGD Bf4ラインのようですが、黒のc7-c6は少しパッシブで、c7-c5とすぐd4に反撃する変化に比べて白マスビショップの活用に工夫が必要です。一方で私が白であればクイーンはb3ではなくc2に配置し、Ra1-Rd1、a2-a3、h2-h3などで様子を見るQGD Rubinstein Variationのアイディアを使います。それと比べた際に白のb3のクイーンの位置が良いとは思えませんでした。

9. Qxc4 Nd5 10. O-O


8月のジャパンチェスクラシックスでは白黒逆で青嶋くんと対戦しており、この試合でも白の私がf4のビショップをナイトに取らせるアイディアを使いました。(1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Nbd7 5. Bf4 dxc4 6. e3 Nd5 7. Bxc4 Nxf4 8. exf4 Nb6) Nf6-Nd5、Nf6-Nh5に対してビショップを逃がさずf4で交換するアイディアはQGD、Catalanなどの一部ラインで見ることができ、白はビショップペアを諦める代わりに開いたeファイルとe5のコントロールを得ます。しかし本譜では白はクイーンを動かしすぎていることが気になり、黒は無駄なテンポロス無しで、白マスビショップを活用するアイディアを練ることができます。

10... Nxf4 11. exf4 Nb6 12. Qb3 Nd5 13. g3 Qb6!

ナイトに続きクイーンをb6に繰り出し、クイーン交換を目指します。b7-b6、Bc8-Bb7のセットアップも考えましたが、少し遅いためにc6-c5のブレイクを抑え込まれ、c6がターゲットになってしまうと結論付けました。

14. Qc2 Rd8! 15. Rfd1 Bd7


白はクイーン交換を避けなければアドバンテージがないため、c2へ退くことを余儀なくされますが、黒はそこで得たテンポでルークをセンターにまわします。b7で使うことを諦めた白マスビショップはd7で我慢しつつ、e8に退いて様子を見るか、c6-c5、Bd7-Bc6の機を伺います。

16. a3?!


ここは黒からのc6-c5ブレイクの準備が十分に整っているので、それを防ぐのが最優先です。本譜の代わりに16. Na4 Qc7 17. Ne5 Be8 といった展開を予想していました。白はビショップペアを諦めた代わりにc5のマスを抑え、黒の白マスビショップの働きを抑えてバランスを取ります。このような戦い方はQGD Cambridge Springsで学びました。例えば以下のようなゲームがありました。1. d4 Nf6 2. c4 c6 3. Nf3 d5 4. Nc3 e6 5. Bg5 Nbd7 6. e3 Qa5 7. Nd2 dxc4 8. Bxf6 Nxf6 9. Nxc4 Qc7 10. Bd3 Be7 11. O-O O-O 12. Rc1 Rd8 13. Qe2 Bd7 14. Ne5 Be8= Alekhine, A - Kashdan, I / Bled 1931

16... Nxc3! 17. Qxc3 c5=

こうしてc6-c5のブレイクが成功すれば黒の白マスビショップが活性化し、黒は楽に戦うことができます。以下、はっきり良いポジションが長かったですが、最終的にはドローに落ち着きました。後半の指し方の甘さは反省点ですが、これまで学んだいくつかのオープニングの知識を組み合わせ、初めての形を上手く指せたことには満足しています。

2023/08/13

First Saturday August 2023 GM R7

1か月近い今回の遠征もようやく終わりが見えてきました。First Saturday 7RはウクライナのGM Neverovです。50歳を超えてレイティングは落としていますが、20年近く前には2500後半の実力を持っていたプレーヤーで、現在もGMトーナメントでコンスタントな戦績を残しています。オープニングはd4系かと思いきや、今大会では1. b3も試しており、準備に苦労しながら試合に臨みました。

Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
First Saturday August 2023 GM (7)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 e6 5. b3 Bd6 6. Bb2 O-O 7. d4 Nbd7 8. Be2 b6 9. O-O Bb7

メインはClassical Slavを用意していましたが、このd2-d4を遅らせる手順からであれば、Semi-Slavにもなりうると思っていました。この変化は前回のハンガリー遠征でも、GM Nagyと指しています。

10. Rc1!? Rc8 11. Re1 Re8 12. Bf1 h6 13. g3 c5


白のルークの位置にあわせてルークの位置を決め、h7-h6のような得になるであろう手も入れておいてから、重要なセンターブレイクに踏み切ります。13... Bb4!? 14. a3 Bxc3 15. Bxc3 c5 も面白いアイディアで、黒マスビショップをを諦めてもc3のナイトを消し、d5へのプレッシャー、e4のコントロールを弱めてからセンターブレイクを仕掛けます。

14. cxd5 Nxd5 15. e4

ナイト交換からe3-e4だと思っていましたが、d5での交換の際にはポーンで取り返すのが正解です。15. Nxd5 exd5! (15... Bxd5? 16. e4 Bb7 17. dxc5 Bxc5 18. Bb5+-) 16. dxc5 bxc5 17. Bh3 Rc7!= h3のビショップは厄介ですが、ナイトを交換してNc3-Nb5のアイディアを消したことで、単純にルークを避けることができます。

15... Nxc3 16. Rxc3 Bf8 17. Rd3 Qc7 18. d5 exd5 19. exd5


この数手の進め方で黒が問題無いことを確認するのに数十分を要しました。前日のSetyaki戦と似ており、白がdファイルにパスポーン、黒がクイーンサイドにポーンマジョリティを持つ展開となります。

19... Rxe1 20. Nxe1 Ba6

私はビショップを交換しておいたほうが白キングがやや不安定で、Bf1-Bh3のような揺さぶりも無いので安心だと考えました。代わりに20... b5 と単にポーンを伸ばす手もありえ、どちらが良いかの比較は難しいと思います。この辺りでNeverovも長考に入り、おそらく自身が思っていてよりも白にアドバンテージが無いことに気づいたのだと察しました。

21. Rd2 Bxf1 22. Kxf1 b5 23. Ng2 c4 24. Ne3 Nb6


24... c3? 25. Bxc3 Qxc3 26. Rc2+- は上手くいかないため、c4-c3の押し込みはもう少しチャンスを待ちます。

25. bxc4 bxc4

私は単純なピース交換は互いにポーンブロックし合い、膠着状態になってつまらないと考えました。しかし、コンピュータの評価は黒からナイト交換を仕掛けることで、25... Nxc4! 26. Nxc4 Qxc4+ 27. Kg2 Bd6 でほんのわずかに黒にチャンスがあるとのことです。白はパスポーンが早くできていますが、ポーンがバラバラだということなのでしょう。

26. Bc3 Qd7 27. Kg2 Na4 28. Qc2 Bc5!?


勝負のために揺さぶりをかけますが、c4を取られた際にどうするのか、もう少し具体的に読んでから指すべきでした。28... Nxc3 29. Qxc3 g6 30. Nxc4 Qb5 31. Nd6 Qxd5+ 32. Rxd5 Rxc3 33. Ne4= は本譜と似ており、おそらくドローでしょう。

29. Nxc4! Bb6?

c4を取るのはc4,c3,c2に一直線にピースが並ぶ白が危ないと思っていたのですが、具体的に何を返すのがベストか、残り2分まで考えても分かりませんでした。b6にビショップを退いたのは、d4のマスを抑え続けることでRd2-Rd4を防ぐことですが、お互いに正しく評価できていない部分がありました。29... Bf8! 30. Ne5 Qe8 31. Nc6 (31. d6 Rxc3 32. Qf5 Nb6 33. d7 Nxd7 34. Rxd7 Rc5 35. Qxf7+ Qxf7 36. Nxf7 Rc2 37. Ne5 Bc5= これでf2に反撃して十分というのも、難しい変化です) 31... Nb6! このc6でブロックされた際、ナイトをb6に戻してd5を落とすアイディアは気づきませんでした。 32. Qd3 Nxd5 33. Qxd5 Qxc6= これは間違いなくドローです。

30. Qd3?


全く読んでいない手だったので非常に焦りましたが、ぎりぎりまで考えてポーンを取り返す方法を見つけました。検討でNeverovが指摘した手の中に、白勝ちになる手が隠れていました。30. Ne5! Qb5 (30... Qe8 31. Nc6! Rxc6 32. Qxa4!+- この手をNeverovは見落としたようで、ナイトの跳びこみを諦めたそうです) 31. Nxf7!!
Analysis Diagram

検討では十分黒が守り切れると思っていましたが、その先がありました。31... Rxc3 32. Qg6 Qd7 33. Nxh6+ Kf8 34. Qh7!+- このクイーンの潜り込みからg7まで落とせば、黒のキングは丸裸で白の勝勢でした。

30... Nxc3 31. Qxc3 Qb5!


d5に当て続けつつ、ナイトを攻撃するこの手でポーンを取り返せると確信し、一安心しました。

32. Nd6 Qxd5+ 33. Rxd5 Rxc3 34. Rd2 h5 1/2-1/2

続けても良い局面ですが、ここで私からドローオファーして試合を終わらせました。手数としては短めですが、精神的にはかなりタフなゲームでした。試合後に最終戦の相手であるDudin Glebから、休憩日の13日に試合をしないかと誘われましたが、13日連続で試合をしている私は休みが欲しく、これを丁重にお断りました。久々の試合のない日を満喫したら、最後の2500台との連戦も頑張ってきます。

08/06 15:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2417) 0-1
08/07 15:00 R3 Munkhdalai, A (FM, MGL, 2437) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/08 15:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470) 0-1
08/09 15:00 R5 Arhan, C A (FM, IND, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/10 15:00 R1 Levine, J (FM, USA, 2371) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/11 15:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401) 0-1
08/12 15:00 R7 Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1/2-1/2
08/13 Rest Day
08/14 15:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Samunenkov (IM, UKR, 2515)
08/15 15:00 R9 Dudin, G (IM, HUN, 2537) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)

First Saturday August 2023 GM Standings
10年以上前にはまったマグナムアイスは日本で見かけない高級ブランドです。これ1つで缶ビール3本分くらいの値段がします。

2022/04/30

Japan Chess Championship 2022 Day1

一昨年は縮小で秋に延期、昨年は中止となった全日本選手権が、今年は例年と同じ時期、同じ9試合のスケジュールでスタートしました。多くのプレーヤーが長く心待ちにしていた、9試合での全日本選手権です。今年の全日本選手権は昨年の中止を受け、権利獲得者の枠を広げて63名の参加者が集まっています。私は12年ぶりに、青木さんに黒を持っての全日本選手権スタートとなりました。

Aoki, Y (JPN, 1756) - Kojima, S (IM, JPN, 2356)
Japan Chess Championship 2022 (1)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 e6 5. d4 Nbd7 6. Bd3 dxc4 7. Bxc4 b5 8. Bd3 Bd6 9. O-O O-O 10. e4 e5 11. d5?!

昨年、GM Seres との試合では11. Bg5 と指されました。このポーンの押し込みはb5 を弱める効果が薄く、白が自分のセンターポーンを弱めるだけの結果になってしまうと思います。

1... cxd5 12. exd5 b4! 13. Ne4 Nxe4 14. Bxe4 Nc5!


すぐにf7-f5 と突くか、Nd7-Nf6 とするか迷いましたが、本譜のナイトの位置は白からb2-b4 と脅かされることなく、良い位置であることに気づきました。黒は上手くe4 のビショップを攻め立てれば、将来的にd5 を落としやすくなります。

15. Nd2 f5! 16. Bc2 Ba6 17. Re1 e4-/+

白はすでに2つのビショップが抑え込まれており、d5 も弱くて困っています。ここから順当にd5 を落として駒得しますが、意外と白の反撃に気を付けながら、局面を進展させるのに手間がかかりました。

18. Qh5 g6 19. Qh6 Be5 20. Nb3 Nd3! 21. Bxd3 Bxd3 22. Nc5 Qxd5 23. Nxd3 exd3


これでポーンを落としたうえ、ビショップを返す際に強力なパスポーンを得ました。それでも黒キングの守りに多少気を使うため、そこまで簡単ではありません。

24. Bd2 a5

24... Bxb2 25. Re7 Rf7 26. Rae1 Bg7-+ と2つ目のポーンを取ることも考えましたが、b2 はいずれにしても弱点として長く残りそうなので、慎重を期すことにしました。

25. Rab1 Rfe8 26. h4 Qxa2 27. h5 Qf7 28. Re3 Bg7 29. hxg6 hxg6 30. Qh3 Rxe3 31. Qxe3 Qd7


a2 も落として2ポーンアップになりました。後は多少開いた白マスのダイアゴナルからの白の反撃に気をつけつつ、多いポーンを活用してプロモーションの脅しを作りにいきます。

32. Qg3 Kf7 33. Rc1 Ra7 34. b3 a4!

ポーンを1つ返しても、bポーンをパスポーンにしてプロモーションを目指します。簡単にプロモーションできずとも、ルークをb1 のマスに縛り付けることができれば十分です。

35. bxa4 b3 36. a5 b2 37. Rb1 Qd5 38. Qb8 Rb7 39. Qa8 Rd7 40. Qc8 Re7 41. Qa6 Qb3!


黒クイーンはa2-g8 のダイアゴナルを守りつつ、c2,a2 への決定的な飛び込みのチャンスを伺います。

42. Qd6 Be5 0-1

途中ふらふらでしたが、内容だけ見ればしっかり勝ち切りました。明日から1日2試合ずつのスケジュールが4日間続き、少しずつ上位勢同士の対戦が多くなってきます。皆さん、全日本選手権2日目もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2022 R2 Pairings
【日本最強決定戦】全日本チェス選手権2022 第2ラウンド | 2022.05.01

YouTube では各ラウンドの解説付き中継も毎日あるようですので、こちらもぜひチェックしてみてください。明日も頑張ってきます!

2021/12/24

Vezerkepzo GM December 2021 R8 & R9

数日後、またこの戦いの場に戻ってきます。

Vezerkepzo最終戦は午前中からだったため、ブログを書く余裕がなく、最後の2試合はまとめてお届けします。最後はGM Mirzoev とGM Nagy との連戦でした。

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
Vezerkepzo GM December 2021 (8)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Be7 4. Nc3 Nf6 5. Bf4 O-O 6. e3 Nbd7 7. a3 dxc4!?

ほとんど7... c5 一択だと思っていたので、この珍しい手のチョイスは驚きました。似た形を指されたことはあるので、その経験を活かしたセットアップを考えます。

8. Bxc4 Nb6 9. Bd3 Nbd5 10. O-O!?


10. Be5 のようにビショップを躱す手もありえますが、f4 のビショップは取られてもe5 のマスが強化されるうえ、eファイルが使いやすくなることから問題無い交換とも考えられます。

10... Nxf4 11. exf4 b6 12. Qe2 Bb7 13. Rfd1!?

これは新しい手だったようですが、私としてc、d、eファイルの3つのファイルにヘビーピースを1つずつ配置するのが良い形に思えたので、ルークはc1、d1 に決めます。

13... Bd6 14. Ne5! Nd5 15. Nxd5 Bxd5 16. g3 g6 17. Rac1


白が黒マスビショップを失ったもしっかり戦えると考えるポイントは、黒のc7ポーン、およびc6 のマスの弱さにあります。本譜は当然それを利用する手ですが、17. Be4 と早めに白マスビショップ交換を迫るほうが分かりやすかったかもしれません。

17... Bxe5 18. dxe5!?

ここで黒はビショップを返してきますが、これを何で取り返すか非常に迷いました。単純に考えればダブルポーンを消すfポーンで取り返すべきなのかもしれませんが、d4 のバックワードポーンが残ることと、f4-f5 ブレイクのチャンスが消えることを気にして本譜を選びました。

18... Qe7 19. Be4 c6 20. h4 h5 21. f5!?


これは私が期待していたブレイクだったのですが、思ったよりも効果的ではなく、e5 を弱めてしまうなどのデメリットもありました。

21... exf5 22. Bxd5 cxd5 23. Rxd5 Rad8 24. Rcd1 Rxd5 25. Rxd5 f4!

私の仕掛けをそっくりそのまま逆でやったきたような感じで、意外と困ります。白はどこかが孤立ポーンになりそうなので、一番問題無い形が何かを考えます。

26. g4?!


26. Kg2 fxg3 27. Kxg3!= とキングを積極的に前進させ、h4 ポーンの守りに使うアイディアは気づきませんでした。

26... Qe6! 27. Rd4 hxg4 28. Rxf4 f5! 29. Rc4 Rf7 30. Rc3 Re7 31. Re3 Kg7 32. Qc2 Rd7 33. Re1 a5 34. Qc1!

26手目付近の黒のアイディアはなるほどと唸るもので、e5 はパスポーンながら少し守りづらい弱い存在になってしまいました。それでも持ち時間ギリギリの中で上手くe5 を支え、c1-h6 のダイアゴナルを抑えて反撃を作れそうな形にしました。しかし、ここから時間の増える40手目までに問題がありました。

34... Rf7 35. Qg5 Qe7 36. Qxe7?!


クイーン交換自体は問題無いと言えば無いのですが、より正確なプレーが求められるために疑問をつけておきます。36. Qf4! Qxh4 37. e6 Re7 38. Qd4+ Qf6 39. Qxb6= とクイーン交換を避けるほうが簡単で、h4 を落としても別のポーンが取り返せて白は問題ありませんでした。h4 のポーンのためにクイーン交換がマストだと思い込んだのは1つの反省点です。

36... Rxe7 37. Kg2 Kf7 38. Kg3?!

R2 同様の難しいルークエンディングでミスが出ました。この自然に見えるキングの前進は失敗で、代わりにポーンを交換しておくのが好手でした。38. f3! gxf3+ 39. Kxf3 Re8 (39... Ke6 40. Rg1 Kxe5 41. Rxg6 Rh7 42. Rxb6 Rxh4 43. Rb5+ Kd4 44. Rxa5 Rh3+ 45. Kf4 Rb3=) 40. Kf4 Rh8 41. e6+ Kf6 42. h5! gxh5 43. e7 Re8 44. Re5 Rxe7 45. Rxf5+ Kg6 46. Rb5 Re6 47. Kg3= 少し難しいですが、これで互角でした。本譜を見ると分かるのですが、黒のfファイルのダブルポーンよりも、白のf2 のバックワードポーンのほうが狙われやすく、しかも落ちると黒に2コネクテッドパスポーンを作られてしまう大きな負担の駒でした。これを捌くのが良いアイディアだと言われればもちろん納得しますが、時間の少ない中ではキングが上がるほうを先に考えてしまいます。

38... Ke6 39. Kf4?


39. f3! gxf3 40. Kxf3 Rh7 41. Rg1 Rh6 42. Kg3 Kxe5 43. Rc1 Kd5 44. Rc8 上記のように1手早くf2-f3 を実行すべきですが、それでもドローのための最後のポーン付きのチャンスがここでした。

39... Rd7 40. Re2 Rd3-+

時間こそ増えましたが、白はe5、f2、h4 とバラバラの負担になるポーンが多く、すでに厳しい状況です。クイーンを交換した時点では黒キングにe6 をブロックさせ、Kg2-Kg3-Kf4-Kg5-Kxg6 などとキングでポーンを狙って2つ目のパスポーンを作る狙いがあれば十分くらいに思っていたのが、スピードが足りずに甘かったです。

41. Kg5 Rh3 42. Kxg6


42. Rc2 a4!-+ (42... Kxe5? 43. Re2+! Kd4 44. Kxg6=) 持ち時間も増え、余裕ができたMirzoev は間違えないでしょうが、まだこちらに期待するほうが実戦的にはチャンスがあったかもしれません。

42... Rxh4 43. Kg5 Rh2 44. Kf4 Rh3 45. Kg5 Rf3 46. Kh4 Rd3 47. Kg5 Rd5 48. Kf4 Rc5 49. Re3 Rc2 50. f3 Rf2 51. Kg3 Rxf3+ 52. Rxf3 gxf3 53. Kxf3 Kxe5 54. Ke3 a4 0-1

Mirzoev は最終戦もこれを勝つのかという互角のエンドゲームを勝ち切り、連勝で3つ勝ち越しになりました。レイティングは落としてはいても、経験豊富なGM のテクニックを見せてもらいました。続いて最終戦へ。

Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
Vezerkepzo GM December 2021 (9)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. Nc3 e6 5. d4 Nbd7 6. Be2!?

ちょっと指されると嫌な手がきました。Shankland がChessable のコースで勧めているSemi-Slav 対策で、今年GMタイトルを獲得したMishra もこれをブダペストで使っていました。

6... Bd6


6... dxc4 7. a4! Bd6 8. Nd2! 0-0 9. Nxc4 Bc7 10. b3! というアイディアがあるため、c4 を取る手は保留しておきます。

7. b3 O-O 8. O-O b6 9. Bb2 Bb7 10. Bd3

こうしてビショップを1手かけてd3 に組みなおしてもOK というのが、近年流行している面白いアイディアです。私は10. Qc2 も白で調べていますが、クイーンの位置を決めずに黒のルークの配置によってアイディアを細かく変えていくのが、この変化のさらなるポイントです。

10... Re8 11. Rc1 Qe7 12. Qe2


Nagy はここでクイーンをe2 に決めてきましたが、これはShankland が勧める後のNc3-Ne2-Ng3 ができなくなるため、多少ありがたいと思いました。

12... Rad8 13. Rfd1 c5 14. cxd5 exd5 15. Bf5 Ne4!

f5 かb5 かどちらかにビショップは跳び込んでくると思いましたが、f5 であればこの手で十分です。センターポーンを弱めないようにしつつ、多少ピースを捌きます。

16. dxc5 Nxc3 17. Bxc3 bxc5 18. Ba5 1/2-1/2


18手目は黒からのd5-d4 を躱しておく手ですが、Nagy はこれと同時にドローオファーしてきました。ルークを一度躱してからd5-d4 を武器に勝負することも考えましたが、白はいくつかそれを防ぐアイディアがあり、局面は互角だと思ったためにこれを受けて試合を終わらせました。大会を通せば4つ負け越しとこれまでのGMトーナメントでワーストなのですが、一番厳しいと思っていた最終戦を負けずに済んだのでひとまず胸をなでおろしました。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387) 1-0
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420) 0-1
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+3 Nagy、Mirzoev
+2 Avinash、Pasti(2人ともIMノームを獲得)
+1 Varga、
+-0 Nitish、
-1 Aditya
-3 Ajay、Girinath
-4 Kojima

レイティングを稼いだのは2人のGMと(Nagy は+3 でもマイナス)10代のプレーヤーたちでした。6試合終了時点で残り3連勝がIMノーム獲得に必要だったPasti Aron は、見事にその難しい条件を達成しました。私も若いプレーヤーたちの勢いのある指し回しを見習って、次の大会はまた切り替えて頑張ろうと思います。
今回の大会中、Chess Evolution の本を安価に手に入れることができました。これらも試合の合間に読み進めていこうと思います。
こちらはハンガリーでポピュラーな、石鹸と柑橘類を合わせた飾りです。基本的には吊るして香りを楽しむものだと思います。多くの店が閉まるクリスマス当日には、またクリスマスマーケットに足を運ぶことになるでしょう。日本の皆さんも楽しいクリスマスをお過ごしください。Merry Christmas!
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