ラベル Ruy Lopez の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Ruy Lopez の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023/05/28

Tokai Open 2023 Tournament Report

今日は朝から名古屋に移動し、東海オープンに参加してきました。結果は3勝1ドローでの優勝でした。3連勝後、米満くんとの試合は勝ちにいくべきと判断した局面も完全に互角で、最後は少し危なくしてしまったのを反省です。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Kojima Shinya 3.5/4
2nd Place Yonemitsu Kohei 3.5/4
3rd Place Okabe Yuma 3/4

Tokai Open 2023 Final Standings


どのゲームも少し冴えない判断がありましたが、3試合目の岡部くんとの試合は新しいことにもチャレンジでき、終始楽しく指すことができました。今夜はこちらの試合をご紹介します。

Kojima, S - Okabe, Y
Tokai Open 2023 (3)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. d3!?

この数年、Ruy Lopezは黒番でのみ指していましたが、この日は白番で指してみました。岡部くんとは先日の全日本選手権でも指しており、その時のKing's Indianのゲーム展開から少し変えることが目的でしたが、南條くんの全日本での素晴らしい指し回しに感化されたことも要因です。8. d3のAnti-Marshall は独特の変化も調べていましたが、8. h3に後に手順前後します。

8... Bb7 9. Nc3 h6 10. a3 Bc5 11. h3 Re8 12. Nd5 Nd4


このあたりで8. h3のゲームと合流し、GMの実戦例もいくつか見つけられるようになりました。黒がd7-d6を保留し、d7-d5と一気に突きたいことは予想できていたので、それをどう封じて優位を保つかを考えます。

13. Nxd4 Bxd4 14. c3 Ba7 15. Nxf6+!

15. Ne3と退き、Ne3-Nf5も考えましたが、黒もd7-d5から早めの反撃ができるためにさほど有効とは思えませんでした。ここは単純にナイト、黒マスビショップとマイナーピースの交換を狙い、白マスビショップの働きの差で十分戦えると判断します。

15... Qxf6 16. Be3 c5


e3のマスでビショップ交換に応じた場合、Re1-Re3-Rf3の攻撃が早いのが気になり、かと言ってa7での交換もルークの位置が一時的に悪くなって躊躇われます。c7-c5と突くのは予想の範囲内で、このポーンを将来的に弱点にできないかと考えました。

17. a4 Bb6 18. Bd5!?

客観的には18. Qg4のほうが良いのかもしれませんが、私はa3-a4を仕掛けた以上、Qd1-Qb3からb5を狙うのが有効だと考えました。d5でのビショップ交換の評価は以前であればできなかったですが、意外とd5にできるダブルポーンは攻撃されづらく、e4のマスを開く効果があることも今では理解できます。

18... Bxd5 19. exd5 Qg6 20. Qg4!


直前のg6にクイーンが移動する手を考えておらず、どうしたものかと思いましたが、g4でのクイーン交換はd3の負担が消え、d5が全くアタックされなくなるというメリットもあることに気づきます。

20... Qxg4?!


20... Qd6! 21. Qe4と進めるほうがおそらく黒にとっては良く、d5のポーンをどうするか、白はもう少し神経を使います。c3-c4と突いて守るのは簡単ですが、b5-b4と突きこされた際にポーンの形をこれ以上変えることが難しくなり、柔軟性がなくなることを気にしていました。

21. hxg4 e4?

時間切迫で勿体ない見落としでした。21... Reb8としておけば、黒はb5,c5,e5と気になるポーンはまだ複数あるものの、すぐに何かが落ちるということはありません。劣勢でもこうしてタフにディフェンスすべきです。

22. dxe4 Rxe4 23. axb5 a5


e4にルークが上がってしまったため、a8のルークが浮き、ここでポーンを取り返せないのが黒の痛い見落としでした。b5に刺さったポーンは勝負を決める大きなポイントになります。

24. g5 Re5 25. gxh6 Rxd5 26. Rad1 Rxd1 27. Rxd1 a4 28. Rxd7 a3 29. bxa3 Rxa3 30. Rb7 Ba5 31. Ra7

c3を見捨ててもルークを交換し、勝ちが分かりやすい同色ビショップエンディングを目指します。

31... Ra1+ 32. Kh2 Bxc3 33. Rxa1 Bxa1 34. b6 Be5+ 35. g3 c4 36. b7 c3 37. Bf4


プロモーションを止めようとするビショップを強制的に交換するアイディアは、2018年のオリンピアードのUAE戦や、Giriとの同時対局で体験しています。

37... c2 38. Bxe5 c1=Q 39. b8=Q+

クイーンを先に作らせましたが、こちらはビショップをいただいたうえ、プロモーションと同時にチェックで手番を取れています。少し時間はかかりますが、パペチュアルチェックに気を付ければすでに白勝ちです。

39... Kh7 40. Bf4 Qc5 41. Qb1+ g6 42. Qb2 Qh5+ 43. Kg2 Qd5+ 44. f3 f6 45. Qxf6 Qa2+ 46. Kh3 Qa7 47. Be5 Qd7+ 48. g4 Kg8 49. Qh8+


最後は49. Qxg6+ Kf8 50. Bg7+ Qxg7 51. Qxg7+ Ke8 52. h7 Kd8 53. h8=Q# が早いメイトですが、クイーンを交換して新たにクイーンを作り直すのも分かりやすいアイディアです。

49... Kf7 50. Qg7+ Ke6 51. Qxd7+ 1-0

久々の白番Ruy Lopezでしたが、予想よりずっと上手く指せて満足です。オープニングもまだまだ色々なものにトライしていきたいですね。参加者、および運営の皆さん、お疲れ様でした。
優勝賞品として、有名なRamesh本ともう1冊をいただきました。これから中身をチェックするのが楽しみです。

2022/08/08

Chennai Olympiad R9 Japan - UAE

対戦相手から貰ったお土産たち。この日は86年ドバイチェスオリンピアードの記念コインをいただきました。

チェンナイオリンピアードもいよいよ大詰めです。R9 でオープンチームは、前回も対戦したアラブ首長国連邦とのマッチになりました。バツミでは私が個人で負けを食らったチームです。前日に続き、1B のTuさんを体調不良で欠く厳しい条件でゲームが始まります。

Al Hosani O (IM, UAE, 2215) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Chennai Olympiad (9)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 Bc5 6. O-O d6 7. c3 Ba7 8. Re1 O-O 9. Nbd2 Ne7 10. Nf1 Ng6 11. Bb3!?

Japan Chess Classic の最終戦では11. Ng3 d5!? と進みました。この試合ではもう少し準備をしてからd6-d5 の突きなおしをすることになります。

11... c6 12. Ng3 h6 13. h3 d5 14. exd5 Nxd5 15. d4 exd4 16. Nxd4


この局面は想定していたつもりでしたが、実際ここにきて何を指せば良いのか分からなくなりました。アクティブに指す手はいくつかあるのですが、d5 を取られた際にポーンで取り返して孤立ポーンを作る展開はなるべく避けたいと考えていました。

16... Ndf4

試合後にMisha と話をして16... Re8 17. Rxe8+ Qxe8 18. Bxd5 cxd5 19. Be3 Bb8!? はバランスを崩し、勝負できる局面なのではないかと考えています。本譜の跳びこみは少し早く、リスクもあるのですが思い切って試してみました。

17. Qf3 Qf6 18. Ne4 Qe5!


最初はh4 にクイーンを置くつもりでしたが、Ne4-Nd6 が厄介であるため、e1 のルークを恐れずe5 のマスを選びます。実際、そこまで危ないディスカバードアタックはありません。

19. Bxf4 Nxf4 20. Ng3 Qg5?!

しかし、ここは長く時間を使って考えながら正解が分かりませんでした。20... Qf6 21. Ndf5 Bxf5 22. Qxf4 Bg6 23. Qxf6 gxf6 24. Re7+/= は黒で受け入れるべきエンドゲームです。もちろん、白は本譜同様にNe4-Ng3 の往復でドローにする気だった可能性も大いにあります。

21. Ne4?!


21. Re4 Ng6 22. Rae1+/- はテンポ良く白がルークをeファイルに重ね、優勢を築けているでしょう。

21... Qe5 22. Ng3 Qg5 23. Ne4 Qe5 1/2-1/2

1B が不戦勝ですでに勝っている以上、2B は無理せずドローで構わないという判断だと思います。私からも繰り返しを避けて勝負する方法がなく、ドローは致し方ありません。

Open R9 Japan - UAE 0.5-3.5

Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) - Othman A. Moussa (FM, UAE, 2229) 0-1
Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) - Al Hosani Omran (IM, UAE, 2215) 1/2-1/2
Averbukh, Alex (CM, JPN, 2155) - Sultan Ibrahim (IM, UAE, 2108) 0-1
Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) - Abdulrahman Mohammad Al Taher (UAE, 2029) 0-1

Women R9 Paraguay - Japan 4-0

Vargas Gabriela (WIM, PAR, 2140) - Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) 1-0
Oviedo Acosta Paula (PAR, 1855) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) 1-0
Montiel Caceres Helen (PAR, 1763) - Misawa, Yuki (JPN, 1587) 1-0
Mayeregger Gonzalez Renata (PAR, 1479) - Mitsuyama, Rikka (JPN, 1157) 1-0


オープンチームは私が一番早く終わり、残り2人にマッチの行方を託しましたが、残念ながら敗れてしまいました。女子もパラグアイにストレート負けを喫し、両チームとも一歩後退です。今日こそはどちらのチームともポイントを挙げていきたいですね。


今日はオープンが14年ぶりの対戦となるカタール、女子がホンジュラスとの対戦です。長かったチェンナイオリンピアードも残りは2試合。ラストスパートです!

会場の一部にチェスショップのスペースが出ていたことは、後半戦に入るまで気づきませんでした。

2022/07/19

Japan Chess Classic 2022 Day4 Tournament Report

今年のジャパンチェスクラシック入賞者たち

4日間のジャパンチェスクラシックは昨日、無事に閉幕しました。3日目で私と青嶋くんを破ったTuさんは、その勢いのまま大塚さん、弘平くんも退けて7戦全勝での優勝を決めました。ジャパンチェスクラシックのような国内のビッグトーナメントで、全勝優勝者が出るのは久々だと思います。Tuさん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2375) 7/7
2nd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2347) 5.5/7
3rd Place Noguchi Koji (JPN, 1975) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2346) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN, 2162) 5/7

Japan Chess Classic 2022 Final Standings


私は連敗を喫した後の最終日、岡山くん、若森さんに勝ってなんとか滑り込み入賞となりました。今回は3日目連敗の時点で、入賞無しも覚悟していただけにラッキーでした。最終戦で対戦した若森さんは昨年2回の対戦をし、ついこの前も名古屋で試合をしています。6Rでは弘平くんに負けたものの途中で勝ちのチャンスもあったので、数字以上の力をつけてきていると強く感じます。

Wakamori, T (JPN, 1884) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Japan Chess Classic 2022 (7)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 Bc5!?

5. d3 と指すAnderssen Variation に対しては、3年前は5... d6 からキングサイドフィアンケットを採用していました。こちらの変化も感触が良く、中国でのAsian Continental ではある程度の結果を出したのですが、最近は違う変化を試しています。5... Bc5 のセットアップはItalian とかなり似た形になり、作戦が気に入ると使いやすいです。

6. c3 d6 7. Nbd2 O-O 8. O-O Ba7 9. Re1 Ne7


白のd2-d4 を警戒してビショップを退いた後は、ナイトをキングサイドに組み替えます。

10. Nf1 Ng6 11. Ng3 d5!?

名古屋で先日対戦した際は1... c6 12. d4 Bg4 と進みました。黒からの早いd6-d5 は面白い仕掛けで、c7-c6 を挟んでからが一般的ですが、私は今回このタイミングを準備してきました。

12. Bg5?!


この手はチェックしていましたが、少し白にとってリスキーなのではないかと思います。12. exd5 Nxd5 13. d4 とし、お互いにナイトをd4,d5 に置きあうのが安全でしょう。

12... h6 13. Bxf6 Qxf6 14. exd5 Bg4=/+

このポジションがスペインのGM Davit Anton の解説で見ていたもので、黒は1ポーン捨てていても黒マスを使ったプレーと、白のキング前を崩すことでバランスを取ります。

15. Ne4


15. h3 Bxf3 16. Qxf3 Qxf3 17. gxf3 Nf4=/+ こうすると黒は簡単にポーンを取り返すことができ、分かりやすく優勢の局面です。

15... Qb6 16. d4 f5!? 17. Ng3 e4?!

しかし、勢いよくキングサイドのポーンを伸ばしたのはやりすぎで、単にポーンを取り返すほうがベターでした。17... Qxb2 18. Qd2 Qxd2 19. Nxd2 exd4=/+

18. h3?


ここはお互いに見落としがありました。攻められているf3 のナイトは典型的なh2-h3 で助けるしかないように見えますが、よくよく考えれば白はナイトを取られても、Re1-Re6 の反撃があります。それを利用した変化が、18. Qc2! Qf6 (18... exf3 19. Re6 fxg2 20. Rxb6 Bxb6) 19. Nd2 Rad8 というものでした。黒はポーンを捨てた分、まだ多少の代償がありますが明確ではなくなっています。

18... Bxf3 19. gxf3 Nh4 20. fxe4 fxe4 21. Rxe4 Nf3+ 22. Kg2 Qxb2

本譜はf3 にナイトが刺さり、クイーンサイドからも仕掛けてポーンを1つ落としています。fファイルを開いたことでとにかくキングサイドを攻めたくなりますが、どちらのサイドからも手を作ることで相手にディフェンスのポイントを絞らせないほうが良い攻め方となります。

23. Ne2 Qa3! 24. Rb1 Qd6 25. Ng3 Kh8?!


クイーンをb2 に残すか少し悩みましたが、将来的にターゲットになる可能性があるため、2段目の横利きにこだわらずd6 に退くことにします。これでh2 を狙うと同時にf4 のマスを抑え、Ne2-Nf4-Ng6 のチャンスを消したことで、キングが寄るタイミングだと考えました。しかし、ここではb7 を捨てるのは勿体なく、1手遅れても25... b5! 26. Bb3 Kh8 で良かったようです。

26. Bb3?

こうしてbファイルをふさいでしまうと、前の手でb1 にルークが寄った手が無駄になってしまいます。26. Rxb7! Bb6 (26... Qxd5 27. Rxc7 Nh4+ 28. Kh1 Rxf2 29. Qg4! こうしてf2 を捨てても平気だというのはコンピュータの判断で、人間には指しづらいでしょう。) 27. Bc6 Rad8 こうしてb7 にルークを閉じ込めたポジションはかなり評価が難しいですが、本譜がストレートに黒良しになるのであれば、こちらを試しておくべきでした。

26... c5!


これが白のディフェンスを破る好手となります。どうポーンを捌いても、黒はa8-h1 のダイアゴナルかa7-g1 のダイアゴナルを利用して白キングに攻撃を仕掛けることができるようになります。

27. dxc6 Qxc6 28. Bc2 Ng5

f3 に刺さったナイトは強力で、もうしばらくこのままでも良いのですが、e4 のルークがピンになっていることを利用しつつ、fファイルを開けることで白がd4-d5 としづらくなれば十分だと判断しました。

29. Qd3 Rf3 30. Qe2 Raf8 31. Rb3 Qf6


こうしてエクスチェンジを取ることを諦めてもf2 へ集中砲火すれば、白はキングを守り切ることができません。

32. Nh1 Nxh3 33. Bd1 Nf4+ 34. Rxf4 Rxf4 35. Rb2 Bb8 36. Rd2 Qg5+ 37. Kf1 Rh4 0-1

途中、読みを多少疎かにし、感覚で指してしまうところは反省します。オリンピアードでは、もう少し正確に指していきたいですね。

4日間に渡り大会運営スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。次回はもうオリンピアードですね。NCSチャンネルでは実況解説付きの放送があると思いますので、そちらを楽しみにしています!

2022/06/05

Ruy Lopez Open Variation


6月は公式戦の予定が今のところないため、オンラインで指したゲームをまた少しずつ紹介していこうと思います。今夜は色々と試している中で最近手ごたえのある、Ruy Lopez の一変化です。

Puntano (2575) - imsk (2550)
lichess Blitz

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Nxe4!?

オリンピアードに向けた準備として、Ruy Lopez Open Variaiton を少しずつ今年の頭から試しています。1995年のKasparov - Anand などで白が勝った鮮烈なゲームのイメージからか、日本のトップクラスにはさほど人気のない変化ですが、非対称なポーンストラクチャーとダイナミックなプレーのチャンスは、黒で大いにチャレンジする価値があると思っています。

6. d4 b5 7. Bb3 d5 8. dxe5 Be6 9. c3 Be7 10. Nbd2 O-O 11. Bc2 f5 12. Nb3 Qd7 13. a4!?


Ruy Lopez においては典型的な手ですが、このタイミングでは少し珍しいでしょう。13. Nfd4 とすぐ跳んでナイト交換を目指すのが一般的です。

13... b4 14. Nbd4 Nxd4 15. cxd4 f4!?

f4 まで伸びたポーンはターゲットにもなりうるものですが、c1 ビショップの利きを止めつつ、f4-f3 とさらなる押し込みからキングサイドアタックも作り出すチャンスがあります。

16. a5 Rad8 17. Ba4 Qc8 18. Nd2 c5!


白はf3 にナイトを残したままだとBe6-Bg4 が多少気がかりですが、d4 のマスから利きを離せばこのカウンタープレーを食らいます。黒はdポーンを孤立にしようと、a7-g1 ダイアゴナルを抑えて白キングへのアタックチャンスを作りにいきます。

19. dxc5 Bxc5 20. Bb3 Kh8 21. Nf3 Bg4 22. Bxd5 Ng5 23. Qb3 Rxd5!

これは白にとっては手痛い一発で、どちらのピースを取っても嫌な展開が待ち構えています。

24. Nxg5


白はルークではなく、本譜のようにナイトを取るしかありません。24. Qxd5 Bxf3 25. gxf3 Qh3!-+ から白はディフェンスがないというのが、私のメインの読みでした。

24... Qd7 25. e6 Bxe6 26. Nxe6 Qxe6-/+

白はポーンを返しても黒のダブルビショップを消しにいきますが、局面が落ち着けば互いの黒マスビショップの働きの差は明らかです。

27. Qf3 h6


一度バックランクメイトを防ぐように端ポーンを突いておきましたが、27... Qd7 のような手からb2-b3 を牽制しておいても良かったでしょう。

28. b3 Qf5 29. Bb2 Rd3 30. Qc6 Kh7 31. Rac1 Ba7?

これは少し弱気な手でした。d3 にルークを入れて3段目をコントロールしたのであれば、31... f3! とポーンを強気に押し込むべきです。

32. Qb7 Rf7 33. Rc7 Rdd7 34. Rxd7 Rxd7 35. Qc6 Rd2 36. Bc1 Re2?


ここもルークを逃がすのであれば、36... Rc2! がクイーンに当たるテンポを得て良いマスでした。この辺りはブリッツの荒さが出ています。

37. Qf3 Qc2 38. Bxf4??

ここは期待していた一発ブランダーで決着がついてしまいました。38. h4! Rxf2 39. Rxf2 Qxc1+ 40. Kh2 Bxf2 41. Qxf2 と進んだ場合、黒は1ポーンアップながらキングの守りが薄く、パペチュアルチェックを防ぎながらパスポーンを作って局面を進展させることは、なかなか難しそうです。

38... Rxf2! 39. Qxf2 Bxf2+ 40. Rxf2 Qxb3-+


クイーンを取ってしまえばあとは時間の問題です。

41. g3 Qd1+ 42. Kg2 b3 43. h4 Qd5+ 44. Kh2 Qxa5 45. Be3 Qb4 0-1

最後は白の時間が落ちましたが、局面も厳しいでしょう。自分がRuy Lopez Open Variaiton を指すとは以前は想像もしていませんでしたが、こうして実際に試してみると今まで分からなかった変化の面白さが見えてくるものです。もう少しオンラインで指しながら、細かなラインの感触を確かめていこうと思います。

2021/12/22

Vezerkepzo GM December 2021 R7

会場近くにはハンガリーの果実蒸留酒、パーリンカのお店がありましたが、新型コロナの影響で休業中でした。もう少しブダペスト中心でお土産用に少し見てみようと思います。ちなみに東京の神楽坂にはBar Pálinka という、パーリンカを飲めるとても珍しいお店がありますので、興味のあるかたはぜひ足を運んでみてください。

さて、R7 はハンガリーの若者、Pasti Aron との試合です。この遠征で1. e4 e5 はここまで上手くいっているので、この日もこれを使って真っ向勝負にするつもりでした。

Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
Vezerkepzo GM December 2021 (7)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. c3 a6 5. Ba4 Bg7 6. d4 exd4 7. cxd4 b5 8. Bb3 d6!?

First Saturday の2試合とはまた違うモーブオーダーを試してみます。とは言え、手順前後でオーソドックスな変化になりましたが。

9. O-O Nge7 10. h3 O-O 11. d5?!


First Saturday のSouhardo戦に比べると、h2-h3、0-0 が白黒それぞれに入っており、これは黒にとって得だと思います。

11... Na5 12. Bd2 Nxb3 13. Qxb3 c5 14. Bc3 f6!

Souhardo戦では自信のなかったビショップ交換避けですが、ここでは間違いなく良いアイディアです。黒マスビショップの交換からキング周りを弱体化できないとなると、白はなんのために白マスビショップを諦め、Bc1-Bd2-Bc3 を指したのかが疑問です。

15. Re1 g5!?


これはスタンダードなアイディアですが、白がa2-a3 を指さなかったのであれば、bポーンを伸ばしてもOKでした。15... b4! 16. Bd2 a5 17. a3 Bb7-/+ 私はa2-a3 を気にしたこと、白マスビショップはb7 に置きたくなかったことから、b5-b4 を切り捨てたのですが、こうしてみると次のf6-f5 が白の伸びたセンターポーンを破壊する絶好のアイディアとなり、黒の優勢は明らかです。

16. a3 Ng6 17. Nbd2 Nf4 18. Nf1 Ra7! 19. Ng3 f5!

ここに至るまで時計が止まって交換したりとトラブルもあったのですが、局面自体は満足なものを迎えました。白マスビショップを返してもf5 のマスをつぶし、fファイルから反撃すれば非常に黒が指しやすい局面になるという私に判断は正しかったです。しかし、この先が良くありませんでした。

20. Bd2 g4?


f4 のナイトが当てられていない状況であれば、このgポーン押し込みも十分に強力でした。しかし、ここではシンプルにオープンファイルを作るほうが強力です。20... fxe4 21. Nxe4 (21. Rxe4 c4! 22. Qd1 Bxb2-+) 21... h6!-/+ こうしてg5 を守り、fファイルからの攻撃に期待できる局面にしておけば黒は満足です。もしくは20... c4! 21. Qd1 Nd3! 22. Bxg5 Bf6 23. Bxf6 Qxf6 24. Re2 fxe4 25. Rxe4 Rg7!-+ とするのもありえるアイディアで、2試合前でも実現した強力なd3 のナイトは黒に大きなアドバンテージをもたらす武器となります。g5 を一時的に捨てるアイディアはもう少し掘り下げて読むべきでした。

21. Bxf4 gxf3 22. e5?


22. Qxf3! fxe4 23. Rxe4 Bxb2 24. Ra2 Bd4 25. Nh5+/- が白の有利な局面であるとg5-g4 の時点で気づけなかったのは反省です。本譜は白が時間切迫で不必要に難しくしてしまいます。

22... dxe5 23. Rxe5 Bxe5 24. Bxe5 f4?

エクスチェンジを相手が捨てた後の対応がさらにまずかったです。白がエクスチェンジを捨てない場合は23. Bxe5 f4! 24. Nh5 Qg5!-+ として黒の決定的な駒得が決まるのですが、本譜ではこのfポーン押し込みが働きません。代わりに24... Re8! 25. Bf4 fxg2-/+ くらいで十分に黒が有利でした。

25. Qxf3!?


gファイルでのチェックが危険なことを見通し、このポーンを落としてしまいました。ここでも冷静に25... Re7 くらいで黒は大丈夫でしたが、次が決定的に劣勢になってしまう手でした。

25... Qg5? 26. Bd6! Rff7 27. Ne4 Qg6 28. Bxc5 Rac7

数手で落ちるはずのなかったポーンがぱらぱらと落ち、怪しい状況になってしまいました。まだ難しいかと思っていましたが、Pasti は時間のほぼない中、正確に嫌な手を指してきます。

29. Re1 Bf5 30. d6! Rc8


30... Bxe4 31. dxc7 Bxf3 32. c8=Q+ Kg7 33. Bd4+ Kh6 34. Re6+- は6段目でクイーンがつかまり、g2 のメイトは不発に終わります。

31. Bd4 Rc4 32. Nf6+!

これもしっかり踏み込んでくるのは凄いと思います。私が白ならば、読みきるにはかなり時間を欲しがるでしょう。

32... Rxf6 33. Bxf6 Qxf6 34. Qd5+! Kg7


34... Qf7 35. Re8+ Kg7 36. Re7+- 今度は7段目でクイーンがつかまります。

35. d7 Rd4 36. Re7+! Kh6 37. d8=Q Rxd5 38. Rxh7+!

38. Qxd5 Qxe7 39. Qxf5 Qe1+ 40. Kh2 Qxf2 ならばまだ粘れるかと思いましたが、最後もしっかりしています。

38... Kg5 39. h4+ 1-0


19手目まで素晴らしい構想ができただけに、その後の指し方がお粗末だったのが反省すべき点です。気を取り直して、今日は最後の白で思い切ってプレーしてきたいと思います。

12/15 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464) 1/2-1/2
12/16 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) 0-1
12/17 Ajay, K (IND, 2401) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/18 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 1/2-1/2
12/19 Aditya, V P (IND, 2281) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/20 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Varga, Z (GM, HUN, 2387) 1-0
12/21 Pasti, A (FM, HUN, 2377) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/22 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2420)
12/23 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)

Vezerkepzo GM December 2021 Standings

+3 Nagy
+1 Avinash、Varga、Mirzoev
+-0 Nitish、Pasti、Aditya
-1 Girinath
-2 Ajay
-3 Kojima

2021/12/11

First Saturday GM December 2021 R6

トラムにはにっこり笑う口か、立派なおひげのどちらかがついています。

1回目の休憩日空け、後半戦の初戦である6試合目はインドの14歳、Souhardo との対戦です。彼もまたハンガリー、セルビアに長期遠征に来ているプレーヤーの一人で、最年少でGMタイトルを今年獲得したMishra とも、このブダペストで何回も対戦しています。

Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
First Saturday GM December 2021 (6)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. c3 a6 5. Ba4 Bg7 6. d4 exd4 7. cxd4 b5 8. Bb3 Na5!?

GM Tang Andrew の試合を見返していて、初戦とは違ったムーブオーダーを試してみることにしました。初日に指すのを遅らせて後悔したナイト跳びを早めに入れておきます。Souhardo の過去の実戦からどの変化になるかは予想がつきやすかったです。

9. O-O Ne7 10. d5!? d6 11. Bd2 Nxb3 12. Qxb3 c5 13. dxc6!


13. Bc3?! f6 14. a4 b4 15. Bd2 g5!=/+ は今大会のPasztor - Berczes のゲームで登場し、黒が勝っているポジションです。Souhardo も過去にPap にこの変化で負けており、改良を加えてくると思っていました。

13... Be6 14. Qc2

私が試合前に調べていたのは14. Qe3 Nxc6 15. Bc3 Ne5= と進む変化で、ここから時間を使って考え始めます。c6 をまず回収するのが自然ですが、ポイントはBd2-Bc3 とされた際の対応です。

14... Rc8 15. Bc3 f6!?


15... O-O 16. Bxg7 Kxg7 17. Nd4 Nxc6! 18. Nxc6 Qb6 19. Rc1 Bd7= これはシンプルにイコールになる変化でした。本譜はビショップをキープして白のナイトがc3 に出られないようしに、局面を難しい状態で保とうとします。これに対するSouhardo の作戦は、シンプルかつ効果的だったと思います。

16. Nd4 Bf7 17. Qd2! Nxc6 18. Nxc6 Rxc6 19. Ba5 Qe7 20. Nc3

一度ビショップをa5 のマスに入れておき、Nb1-Nc3-Nd5、Ba5-Bc3 と組み替えるのが白のセットアップのポイントです。こうなると黒はd5 へと侵入してくるナイトをどう捌くかがポイントになります。

20... O-O 21. Rfe1 Qb7!?


Sicillian Najdorf などでも見られるアイディアですが、クイーンをd5 に利かせて白のナイト跳び込みに対応しようとします。21... Qe6 もありえたアイディアのようですが、私はビショップの利きが通ったままの形のほうが好きです。

22. Nd5 Rc4 23. b3 Rcc8 24. Rad1 Rfe8 25. Bc3 Bxd5 26. exd5 Rxe1+ 27. Rxe1 Rc5?!

ナイトを捌いた後がやや不正確で、少し危なくしてしまったことはこの試合の反省点です。R5 の試合でもそうでしたが、シンプルにピースを捌き続けるのが黒にとっての安全策です。27... f5! 28. Bxg7 Qxg7 29. g3 Qc3 30. Re8+ Kf7 31. Qxc3 Rxc3 32. Ra8 Kf6 33. Rxa6 Ke5! こうしてキングをアクティブに使い、d5 を狙いにいけば黒は戦えるルークエンディングだったようです。

28. Rd1 Qc7 29. Ba5 Qc8 30. Bb4 Rc2 31. Qf4 Rxa2 32. Qxd6 Bf8!


相手は20分ほど残っていたのに対し、私はこの時点でほぼ持ち時間がありませんでした。ルークエンディングはキングが間に合うので大丈夫と判断し、ピースを捌きにいきます。

33. Qf4

33. Qc6?? Qg4!-+ はルークとビショップにフォークがかかり、完全に黒勝ちです。

33... Qc2?!


33... Bxb4 34. Qxb4 Re2! 35. h3 Qc2 36. Rf1 Rd2 37. Re1 Rd1= クイーンがc2 と跳び込む前に、Qb4-Qe1 を止めるRa2-Re2! が良いアイディアだとは気づきませんでした。

34. Rc1 Qb2 35. Bxf8


最後は少し楽な選択をしてもらいました。35. Bc3! Bd6! (35... Qxb3? 36. Qxf6 Qxd5 37. Re1!+-) 36. Qe3 Qe2 37. Qxe2 Rxe2 38. Kf1 Ra2 39. Bxf6 Rd2 40. Rc6 Rxd5 41. Rxa6 Kf7+/= は1ポーンダウンでも黒が頑張れるエンドゲームですが、時間のない中で正確にここまで指せた自信はありません。

35... g5!


最初考えていた35... Ra1? には 36. Bh6!+- があり、白の勝ちです。私も試合中にこれに気づいて愕然としましたが、本譜のg6-g5! がビショップをh6 に逃がさない工夫として残っていました。読んでここまで指したわけではなく、完全にラッキーです。

36. Qe3 1/2-1/2

少し意外なタイミングのドローオファーでしたが、36... Ra1 として黒は大丈夫だと読んでいたので、ありがたく受けることにしました。時間のない中、諦めずにgポーン突きに気づけたのは良かったです。

12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373) 1/2-1/2
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391) 0-1
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527)
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)

First Saturday GM December 2021 Standings

+3 Nagy
+2 Avinash、Girinath
+1 Berczes
+-0 Nitish
-1 Seres、Kojima、Souhard
-2 Pap
-3 Pasztor

この日は初日以来の全ボードドローで、星は動いていません。Girinath はいつの間にかR8 のPap との試合をドローにしていたようで、GMノーム獲得チャンスが残っているのはAvinash ただ一人となっています。そして今日は大会をリードするGM Nagy にチャレンジです!
この日は試合後に、大好きなa table! に寄ってオペラを買ってきました。日本の皆さんはクリスマスケーキ、すでに決まっていますか?

2021/12/05

First Saturday GM December 2021 R1

3年ぶりにブダペストのFirst Saturday トーナメントが参加しています。以前使っていたHotel Berlin ではなく、現在はHotel Budapest で試合が行われています。Hotel Budapest へは、まずブダペストの主要トラムである4、6番トラムの終点駅、Szell Kalman へ。数本のトラムと地下鉄2番線が交わる駅で、かつて日本人学校へチェスを教えに行っていた際も、ここを使っていました。
試合会場のHotel Budapest は3つ星の立派なホテルです。試合はこのホテルのレストランフロアの脇にある部屋を借り、GM、IM、FM、Naddessy の4クラス一斉に試合が行われます。初戦の前に行われたくじ引きで私はラッキー7の7番を引き、インドのIM Girinath との試合が決まりました。

Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
First Saturday GM December 2021 (1)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. d4 exd4 5. c3 Bg7 6. cxd4 a6 7. Ba4 b5 8. Bb3 Nge7 9. Nc3 d6

ここまでは実戦経験のある形だと思っていましたが、本譜のNc3-Nd5 のアイディアを過小評価していました。ナイトの跳び込みを警戒するのであれば、9... Na5!? 10. Bc2 d6 とするのはありで、これならばメインラインに合流します。

10. a4! b4 11. Nd5 O-O?


Bc1-Bg5 は問題無いと読んでのキャスリングでしたが、大問題でした。ここは11... h6 と指してg5 をカバーしなければいけませんでしたが、私の好みではないために避けてしまいました。

12. Bg5! h6 13. Bf6?

ここは相手のミスに助けられました。13. Nf6+! Kh8 14. h4!! Ng8 (14... h5 15. a5!+- は駒損こそないものの、キングサイドを弱めてしまい厳しい形です。) 15. Nh7 Qe8 16. Nxf8 Qxe4+ 17. Be3 Bxf8 18. Bxf7+- このエクスチェンジダウンは続けるのが厳しいレベルです。Nd5-Nf6 のアイディアをもう少し読まなければいけませんでした。

13... Bxf6 14. Nxf6+ Kg7 15. Nd5 Rb8?!


b4 を確実に守ってからNc6-Na5 のチャンスを伺おうと思いましたが、これも緩手でした。15... Na5! 16. Nf4 c5= くらいで黒は不満がありません。9手目もそうでしたが、どこかでBc8-Bg4 を指し、d4 を崩すアイディアを狙いたかったため、Nc6-Na5 はぎりぎりまで取っておこうと思ってしまいました。

16. Ne3! Na5 17. d5!?

17. Bc2 c5 18. d5 f5! はこの変化で見られるポーンブレイクが上手いタイミングで決まり、黒は面白いポジションです。本譜では白はビショップを諦めますが、代わりにd4 のマスの活用やc7 ポーンの固定を狙います。

17... c5! 18. dxc6 Nexc6


こちらのナイトでポーンを取るのは良いアイデアなのですが、先にビショップを消しておくべきでした。18... Nxb3 19. Qxb3 Nxc6 20. Rd1 Be6 21. Qd3 Qa5 くらいで互角の形勢です。

19. Bd5! Qf6 20. Rc1 Bd7 21. b3 Rfc8 22. O-O Ne5 23. Nxe5?!

ここでd6 の弱点を移動させてくれるのは黒の助けになります。23. Nd4! Rxc1 24. Qxc1 Rc8 25. Qd2 Nec6 26. Ne2+/- ならば、黒はまだポーンストラクチャーの問題が残ります。

23... dxe5 24. Qd3 Qd6 25. Rfd1 Rxc1 26. Rxc1 Rc8


ここはルーク交換を急がず、26... h5= くらいでも大丈夫でした。

27. Rxc8 Bxc8 28. Nc4 Nxc4 29. Qxc4 Be6 30. a5!?

あまり考えていない手なので驚きました。30. Bxe6 fxe6 31. h3 a5= と進んだクイーンエンディングはドローでしょう。

30... Bd7! 31. h4 Bb5 32. Qc8 h5?


この辺りは互いに時間が少なく、最後のミスが出ます。32... Qf6 33. Qc5 Qf4 34. g3 Qd2= と侵入するのが安全なドロー確保のアイディアでした。

33. g3?

33. Qb7! Qd7 (33... Qf6 34. g3 Kg8 35. Qb6 Kg7 36. Qxf6+ Kxf6 37. f4! exf4 38. gxf4 Ke7 39. Kf2 f6 40. Ke3+-) 34. Qxd7 Bxd7 35. Bc4 Bc8 36. Kf1+- 試合中、f7 を狙われてもクイーンを交換しても、そう簡単に負けないだろうと考えていましたが、それは勘違いのようでした。f7-h5 まで白マスで固定されたポーンチェーンは黒にとって都合が悪く、e4、b3 への反撃も期待できない形です。

33... Qe7 34. Kg2 Be2 35. Qc2 Bb5 36. Qc8 Be2 37. Qc2 Bb5 38. Qc8 1/2-1/2


自分ではさほど悪いところはなかっただろうと思っていただけに、試合後の解析の結果を見て愕然としました。この試合を落とさなかったのは、ラッキー7のおかげかもしれません。今日からは気を一層引き締めて、GM3連戦に臨みたいと思います。
9試合のスケジュールは初戦開始直後に会場に張り出されます。私の日程だけ下記のようにまとめておきます。

12/4 Girinath, P.D.S (IM, IND, 2335) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/5 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Pap, M (GM, SRB, 2373)
12/6 Seres, L (GM, HUN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/7 Berczes, D (GM, HUN, 2453) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/8 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
12/9 Rest Day
12/10 Souhardo, B (IM, IND, 2354) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/11 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nagy, G (GM, HUN, 2527)
12/12 Rest Day
12/13 Pasztor, B (FM, HUN, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
12/14 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Nitish, B (FM, IND, 2464)

First Saturday GM December 2021 Standings

5試合指して1日休み、2試合指して1日休み、最後に2試合というバランスの悪いスケジュールですが、2日休みが入るのはありがたいです。初戦は全部ドローで、まだ様子見といったところでしょうか。早めに勝ち越せると気持ちにも余裕が出ますので、白を引けたこのラウンドで勝利を目指して頑張ってきます!
Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.