2016/08/30

Baku Chess Olympiad Tournament Information


Baku の中心街, Wikipedia より

今年一番のビッグイベント、チェスオリンピアードがいよいよ間近に迫りました。二年に一度のチェスオリンピアードは今年、カスピ海に面したアゼルバイジャンの首都、バクーで9月1日から開催されます。今夜の記事では、あらためて開催直前のオリンピアード情報をお送りしようと思います。

まずは日本代表のメンバーについてです。今日発表されたJapan League のFIDE レイティング計算を受け、日本代表メンバーは以下のようなレイティングとボード順で、オリンピアードに臨むことになります。

Open

Kojima Shinya (IM, JPN, 2398)
Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2340)
Averbukh Alex (JPN, 2223)
Yamada Kohei (CM, JPN, 2100)
Tang Tang (JPN, 2108)

Women

Ishizuka Mirai (JPN, 1778)
Hoshino Karen (WCM, JPN, 1802)
Sakai Azumi (JPN, 1703)
Shibata Misaki (JPN, 1638)
Fukuya Natsumi (JPN, 1636)


主に男子で構成されるオープンチームは180、女子チームは141の国と地域がエントリーをしています。公式サイトで公開されているリストは、9月のFIDE レイティング更新前のものですので、これから修正されて、正しいリストが公開されるでしょう。直前でキャンセルがあるかもしれませんが、オープンで180、女子で140を超えるチームが参加するとなれば、チェスオリンピアード史上、最多のチーム数となります。

次に大会のスケジュールについてです。今回のオリンピアードでは、休憩日は5R 翌日の1日のみで、他は1日1試合ずつ進行していきます。9月1日に到着してオープニングセレモニーに出席し、翌日から試合スタートです。

9/1 18:30 Opening Ceremony
9/2 15:00 R1
9/3 15:00 R2
9/4 15:00 R3
9/5 15:00 R4
9/6 15:00 R5
9/7 Day Off
9/8 15:00 R6
9/9 15:00 R7
9/10 15:00 R8
9/11 15:00 R9
9/12 15:00 R10
9/13 11:00 R11


最終日のみ11時、それ以外は15時スタートという非常にわかりやすいスケジュールです。気になるアゼルバイジャンと日本の時差は5時間ですので、日本で試合の中継が見られるのは、最終日以外、日本時間で20時からとなります。(今年からアゼルバイジャンでは、サマータイムが廃止されたそうです。) 長びいた試合は最後まで見るのが大変そうですが、観戦はしやすい時間帯ですね。オリンピアードの試合中継は、Chess24 や、オリンピアード公式サイトで見ることができるでしょう。

今回は私と南條くんがIM タイトルを取ってから参加する、初めてのオリンピアードとなります。私にとっては、2大会ぶりとなるオリンピアードでの1B で、しっかりとその務めを果たしてきたいですね。大将としてのの役割を果たして、少しでも上の順位を狙いつつ、ベストレイティングの2403 を更新することも、一つの目標にしたいと思います。皆さん、オープン、女子チームともに、応援をよろしくお願い致します!

2016/08/29

Nagoya Open 2016 Day2 Tournament Report


1日遅れましたが、名古屋オープン2日目のレポートです。初日、3連勝は3人出ましたが、Simon が4,5RでPhanさん、北神さんに連勝し、私とのドローで優勝を決めました。終始安定したプレーで、今大会、とても強かったです。久々の優勝、おめでとうございます!

1st Place Bibby Simon (FM, JPN, 2243) 5.5/6
2nd Place Phan Mai Chi (WCM, VIE, 2270) 5/6
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2461) 4.5/6
4th Place Irie Yuki (JPN, 2172) 4.5/6


私は2日目、Yanagiharaさんと藤沢さんに勝ったものの、Simon には有利なポジションの決めきれず、最後は逆転で負けのポジションになってしまいました。ドローで単独優勝確定だったSimon からドローオファーがあったのは、完全にラッキーでした。

Bibby, S (FM, JPN, 2243) - Kojima, S (IM, JPN, 2461)
Nagoya Open 2016 (6)

1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. Nf3 a6!?



Japan League の青嶋戦に続き、Caro-Kann はTwo Knights Variation になります。勝ちを欲する私は、指しなれた3... Nf6 ではなく、久々に3... a6 を試してみることにします。

4. d3!? Bg4 5. h3 Bh5 6. g4 Bg6 7. Ne5 dxe4 8. Nxg6 hxg6 9. Nxe4 Nd7 10. Qe2 e6 11. Bg2 Ngf6


少し変わった手順ですが、Caro-Kann らしいポジションになりました。黒は白マスビショップを失っていますが、c8 で使えないままくすぶっているより良いでしょう。gファイルのダブルポーンはさほど気にならず、開いたhファイルも武器になる可能性があります。

12. Bd2 Nxe4 13. Qxe4 Nf6 14. Qc4 Qb6 15. a4?!



私はこの手に驚きました。キングサイドキャスリングが多少危ない白が、クイーンサイドキャスリングをするのは当然だと思っていたためです。15. 0-0-0 0-0-0 と進めば、白にはダブルビショップがありますが、黒は固いポーンストラクチャーで十分に対抗できる形です。本譜はポーンを捨ててでも、クイーンサイドを攻めようというアイディアですが、実際には黒は簡単にキングを守れるうえ、白キングへの反撃も満足に作れます。

15... O-O-O 16. Be3 Qxb2!


ここは強気にポーンを取りにいきます。白がbファイルからカウンタープレーを作るのは、さほど早くありません。

17. O-O Qb4 18. Qa2 Bd6



この手でh2 を狙い、黒は有利なポジションだと思いました。しかし本譜の流れを見る限り、18... Nd5! と先に飛んでしまい、c3 のマスを狙ったほうが良かったでしょう。19. Rfb1 Nc3! がすぐでき、黒がクイーンを交換してはっきり有利になることを見落としていました。

19. c4 Bb8


19... Nxg4! 20. Rfb1 Bh2+ 21. Kh1 Qc3 22. hxg4 Rxd3-/+ これで黒が有利だというのが、コンピュータの判断です。確かにh2 に刺さったビショップは白にとって嫌なものですが、決定打が分からないと黒はナイトのサクリファイスに踏み出しにくいのではないかと思います。

20. d4 Qd6 21. f4



白がこのようにh2 を守るのは分かっていましたが、クイーンサイドの反撃はさほどなく、1ポーンアップでゆっくりやれば黒が勝てるだろうと楽観視していました。しかし、実際にはうまく白の守りを突破するアイディアが素直に浮かんできません。

21... g5 22. Rad1 Rhe8 23. Qc2 Qc7 24. Qc3 Nd7


このナイトがg6 に向かい、f4 を攻撃するのが私の頭にあった構想ですが、それは後のBb8-Ba7 から、c4-c5 を突かせ、d5 にアウトポストを作るアイディアとかみ合いませんでした。

25. Rde1 Nf8 26. Be4 Re7 27. Qb2 Ba7 28. c5 gxf4 29. Bxf4 Qd7?



どう仕掛けて良いのかわからなくなった私は、準備の不十分な状態でf4 を取りますが、そのあとのクイーンの避け場所が完全に間違っていました。29... Qa5 ならば、まだ勝負はどうなるかわからないでしょう。

30. Bd6! Ree8 31. Qh2!


これでa7 のビショップが完全にアウトオブプレーになってしまい、頭を抱えることになります。この後白は、ルークをbに重ね、b7 を攻撃するアイディアが分かりやすく、黒は手を作れません。

31... f6 32. Kh1 Qf7 33. Rb1 1/2-1/2



a7 のビショップがプレーに戻せない黒は、bファイルからのプレッシャーや、c6 へのサクリファイスの危機に対処できず、つぶされるのを待つだけだったため、Simon のドローオファーには驚きました。もちろん、d6 のビショップを、エクスチェンジサクリファイスで取り除くアイディアなども熟考し、上手くいかないと判断したうえで、ありがたくオファーを受けることにしました。ポーンアップで有利なポジションを決めきれなかっただけでなく、こうして逆転を許してしまったのは、オリンピアード前の反省として、きちんと受け止めようと思います。

去年は名古屋オープン、中部快速と名古屋で連続優勝を果たしていただけに、今年の名古屋オープンを取れなかったのは残念です。今年の中部快速は、11月3日の祝日開催と伺ったので、都合がつけば参加したいと思います。名古屋の皆さん、今回の遠征でもお世話になりました!


中学生の頃から名古屋に通い、初めて鰻を食すことができました!

2016/08/27

Nagoya Open 2016 Day1 Tournament Report


今年も名古屋に来る季節がやってきました。この週末、私は名古屋で開催されている名古屋オープンに参加しています。今年はぎりぎりで参加者が増え、26名でのスタートとなりました。上位勢は私、一昨年のチャンピオンであるベトナムのPhan さん、大阪からきているSimon、北神さんといったメンバーです。私は去年に続いて連続での優勝を狙っていますが、初日の3R で躓いてしまいました。

Kitagami, S (USA, 2186) - Kojima, S (IM, JPN, 2461)
Nagoya Open 2016 (3)

1. d4 Nf6 2. g3 d5 3. Bg2 c6 4. c4 e6



このような手順で来られると、どう指したものか少し悩みます。4... Bf5 5. Qb3 Qb6 6. cxd5 Qxb3 7. axb3 cxd5 8. Nc3 Nc6! この手を見落としていて、黒が十分であることが分からず、より固い本譜の4... e6 を選びました。

5. Nc3 Nbd7 6. Nf3 dxc4 7. a4 Bb4!?


前回の対戦では、7... Be7 と指して満足なポジションになりました。最近はSemi-Slav にg2-g3 を指す形は白でも研究しており、その中でビショップがb4 に出る変化があったことを覚えていたので、今日はこのように指してみることにしました。

8. Nd2!? Nb6 9. a5 Nbd5 10. Qc2 Bxa5 11. Nxc4 Bc7 12. O-O O-O



北神さんは遠慮なくポーンを捨て、センターを主張することでポーンの代償を得ようとします。私もこういったポジションをいくつかチェックしていましたが、少しずつ白がポーンの代償を求めるのが難しくなるのではないかと考え、誘いに乗ってみることにします。

13. Rd1 a5 14. e4 Nb4 15. Qb3 b6


このようにb4 でナイトを安定させてから、白マスビショップをa6 で使う形は、黒が満足のはずです。d4-d5 をメインで警戒していましたが、白の狙いは別のところから飛んできました。

16. Ne5 Bb7?!



16... Ba6 17. Na2 Nxa2 18. Rxa2 Be2! 19. Rd2 Bb5=/+ このように進めば、黒はゆっくりとポーン1つの駒得を生かせるポジションを目指せるでしょう。

17. Bg5!


このようなシンプルなアイディアを見落としていました。f6 はクイーンで取り返すつもりが、Ne5-Nd7 がナイトフォークになることに気付いていなかったのです! 放っておけば、Ne5-Ng4, e4-e5 が厄介なので、黒はポーンの形を崩してでも、ピンを早めに解消するしかありません。

17... h6 18. Bxf6 gxf6 19. Ng4 Kg7



ここはf6 にナイトが侵入してくることを、過小評価しいていました。19... h5 20. Ne3 Qe7 も考えましたが、hポーンが進みすぎるのは、少し気になり、本譜を選択しました。

20. e5! f5 21. Nf6 Qe7?!


このあたりでの緩手が、この後の白の強力なアタックを許してしまう結果となってしまいました。Nc3-Ne2-Nf4 というマヌーバリングは気付いていたのに、どうして21... Ba6 で先に防いでおかなかったのか、振り返ってみて疑問です。

22. Ne2 Rfd8 23. Nf4 Rac8 24. g4!+-



このアイディアはどこかであるだろうと思っていましたが、まだなんとかディフェンスできると楽観視していました。実際には、すでに黒は助かりません。

24... fxg4 25. Qg3 Kh8 26. Qh4! Qf8 27. Nxg4


このようになってしまっては、私は自分の失敗を認めざるをえません。g、hポーンを剥がされた黒キングに、ディフェンスのチャンスは残されていません。

27... Qg7 28. Nxh6 c5 29. Nxf7+ Kg8 30. Nh6+ Kh8 31. Ra3 Bxg2 32. Rg3 1-0



この試合、振り返れば私のミスも目立ちますが、それでも白の手の作り方が上手かったと思います。気を取り直して、明日の後半戦の臨んできます。私に勝った北神さんと、Simon が3P であることまでは確認しましたが、ほかの結果は未確認です。私の4R の相手は、同じ2P 獲得の誰かでしょう。


矢場とんで名古屋名物の味噌カツを食べてきたので、明日はきっちり勝ちたいですね!

暁星夏合宿 2016


今週の月曜日と火曜日、予定していた暁星学園チェス部の夏合宿に、コーチとして参加してきました。場所は昨年と同じ、山梨県の三つ峠です。三つ峠という地名は聞きなれないかもしれませんが、富士急行線で富士山や河口湖に向かう途中にある、登山で有名な場所です。昨年も足を運んでいて勝手は分かっていますし、移動も予定通りにいくだろう... と思ったのは大間違いでした!

月曜日は台風が関東を直撃し、都内でも大変な目にあった人が多かったと思います。私もそんな例にもれず、三つ峠に向かう途中の高尾駅で、10時過ぎに運休となり、全く身動きが取れなくなってしまいました。後で聞いたところ、中央本線の高尾-大月間は、大雨などの影響でストップすることが多いそうです。何本か前の電車で高尾を通過し、大月で富士急行線にも乗り換えができた暁星の子供たちは、無事に三つ峠に向かっていると連絡がありました。なぜ私のところでストップするのか... と首をかしげますが、それでも、三つ峠に向かうためには、運休が解けるのを待つしかありません。


高尾駅では一度改札を降り、どこか時間をつぶせる場所がないかを探します。そこで見つけたのは、北口を降りて目の前にあるベーカリー&カフェ、一言堂です。台風の中を飛び出して、どこか店を探す気にはなれなかったので、近場で構わないだろうと思ったのですが、この店は当たりでした! パン屋さんとしてパンを売るスペースの奥には、各種の土産物を売るコーナーと、いくつかのテーブル席が用意されており、そこで頼んだ薬膳角煮カレーは絶品でした。高尾駅にまた寄ることがあれば、再び顔を出してみたいお店です。

カレーを食べたり本を読んだり、雨の様子を見ながら近場のコンビニに足を運んだりしながら時間をつぶしますが、待てど暮らせど、電車は動く気配を見せません。高尾駅周辺で雨がやんでも、山梨県内では雨が弱まらなかったそうです。チェス部顧問の先生とも連絡を取りながら、18時過ぎでも電車が動かないようであれば、合宿への参加は諦め、帰宅するという話になりました。夕飯まで高尾で済ませ、電車が動くというアナウンスがあったのは、タイムリミットぎりぎりの、18時を少し過ぎる頃でした。日本国内の駅で8時間も過ごしたのは人生初です(笑)

本来であれば、13時から子供たちとチェスをする予定でしたが、台風の影響で予定は遅れに遅れ、三つ峠への到着は20時過ぎとなりました。合宿場所である三つ峠グリーンセンター到着後は、1時間半ほど子供たち指し、簡単にアドバイスをして、この日は解散です。


翌朝は台風一過ということで、綺麗に晴れてくれました。前日の遅れを取り戻すべく、三つ峠滞在を夕方まで伸ばし、この日は1日チェスをすることに決めます。


昨年は、こちらの川のもう少し上流にいったところで、足をつけて涼んだ記憶があります。しかし、台風明けのこの日は水量が多く、入るのを断念しました。


さて、ようやくメインのチェスです。合宿に参加した子供たちは、2日目の昼から合流する高校生を含め、5人でした。今回の合宿では、なるべく自然なゲームの流れを理解し、学んだアイディアを自分のプレーにも生かせるようにする、ということをテーマにしました。過去のゲームから、参考になりそうなものを紹介しつつ、ある程度長い持ち時間のゲームを指して、検討をします。子供たちの形勢判断や手を選ぶ感覚はそれぞれ違うため、ゲームを見せて解説するだけでなく、実際に指させて試合を振り返るのが、やはり良い勉強方法だと感じました。

私は2面指しを1回、1対1を1回指しました。私と長い持ち時間で直接指せた子にも、今回は指せなかった子にも、自分のプレーを見直すアイディアは伝えられたと思います。もちろん、いくらでも教えたいことはありますが、時間の制約がありますので、続きはまたコーチとして暁星に呼ばれたとき、そして試合会場で彼らのプレーを見たときにしようと思います。2日目は、18時過ぎには三つ峠を離れ、行きの1/4 程の時間で帰宅しました。

行きが12時間以上かかり、人生でこれほど大変だった合宿は初めてでしたが、子供たちにチェスを教えていると、やはり家に戻らずに高尾駅で運休が解けるのを待っていて良かったと思えます。彼らとは、またオリンピアード後のクラブ選手権で会えることを楽しみにしています!

2016/08/25

新国内レイティング S108

暁星の合宿についての記事は明日に回し、今夜は公開されたばかりの新しい国内レイティングの話題です。Japan League の結果などを反映した、新しい国内レイティング、S108 が本日公開されました。レイティングの確定しているメンバーで、試合をこなした上位は以下の通りです。

Tran Thanh Tu 2475 -1
小島慎也 2461 +-0
馬場雅裕 2351 +4
Alexander Averbukh 2337 +2
青嶋未来 2327 +3


トップ勢は試合をこなしながらも、ほとんど変動無しですね。私に至っては、15試合指して全く変動無しです(笑) 負けは国内レイティングの無いGM 2人だけでしたが、それがどのように計算されているかは、よくわかりません。サマーオープンやJapan League へは参加しなかったTuさんは、千葉チェスクラブの例会での変動ですかね。

今回の更新では(でも?)、Japan League の7試合しかしていないはずのZhou Jianchao たちが、試合数11で計算されていたり、女子選手権が計算されていなかったりと、不思議な点も多いです。自分や周囲のレイティングが気になる方は、松戸チェスクラブのHP で確認をしたうえ、協会に問い合わせてみてください。

私にとって、次の国内公式戦は週末の名古屋オープン、そしてオリンピアード後のクラブ選手権となります。どちらも、普段試合をしないメンバーとのペアリングがあり得ると思いますので、どちらの大会でもよろしくお願い致します。



2016/08/16

Japan League 2016 Day4 Tournament Report


優勝したGM Lu Shanglei (中央)と、入賞者たち Photo by Hasegawa

4日間のJapan League は、今日最終日を迎え、無事に閉会となりました。GM同士のドロー以外、6戦全てを勝った中国のGM Lu Shanglei が、6.5/7 で堂々の優勝です。2年前に新潟で試合をした時も思いましたが、とても手が早く、そして強い! World Blitz では、Carlsen を破るなど、世界のトップクラスとも張り合うGM の実力は伊達ではありません。Lu Shanglei を含め、入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Lu Shanglei (GM, CHN, 2607) 6.5/7
2nd Place Zhou Jianchao (GM, CHN, 2616) 6/7
3rd Place Aoshima Mirai (JPN, 2207) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2394) 5.5/7
5th Place Shinoda Taro (JPN, 1955) 5.5/7


最終順位を決める大事な最終戦、青嶋くんは馬場さんに、私は松尾さんに、篠田くんはWang Jue に勝って5.5P を決めました。唯一よろけたのはGM Zhou Jinahcao で、入江さんが2B で苦しい中盤から粘りに粘り、最後はルークエンディングでドローをもぎ取りました。2600台のGM から公式戦でポイントを取った日本人は、これまで数えるほどだと思います。入賞こそ逃しましたが、入江さんもおめでとうございます。

今年の参加メンバーを考えれば、去年に続いての連覇は難しかったですね。それでも、5勝1敗1ドローで、他の入賞者にしかポイントを落としていないというのは、十分な戦績だと思います。レイティングは+4 で、試合の内容もまずまずでしょう。最後の松尾さんとの試合では、非常に面白いタクティクスが決まったので、そちらをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2394) - Matsuo, T (JPN, 2245)
Japan League 2016 (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 g6 4. d4 cxd4 5. Nxd4 Bg7 6. e4 Nc6 7. Be3 Ng4!?



この変化は10年ぶりくらいに指されました。当時は何も知らずに指していましたが、今回は松尾さんが指すような予感がして、前夜にある程度調べてきました。

8. Qxg4 Nxd4 9. Qd1 Ne6 10. Qd2 O-O


私が調べた変化では、10... Qa5 11. Rc1 b6 12. Be2 Bb7 13. f3 g5!? と指すのが面白いようです。黒はキャスリングをあきらめ、f4 のマスを抑えつつ、キングサイドから攻撃を仕掛けます。

11. Be2 b6 12. O-O Bb7 13. f3 d6 14. Rfd1 Rc8 15. Rac1 Kh8



このような展開は7... 0-0 の一般的なMaroczy Bind の変化で指しなれています。ここからは、黒のf7-f5 を警戒しつつ、プレッシャーをかけられるポイントを探します。

16. Bf1 Qe8 17. Nb5!?


黒のb7-b6 の弱点は、a7-a6 をついていないために、b5 のマスへの白ピースの侵入を許してしまうことです。それを防ごうとa7-a6 を突けば、今度はb6 のポーンが弱くなります。白はa7 のポーンを一時的にでも攻撃しておくことで、黒のピースを守りに縛らせます。

17... Ra8 18. b3 Rg8 19. g3!



ここは迷いましたが、Bf1-Bh3 とビショップを組み直し、e6 のナイトを狙うことにします。それを防ぐためには、黒はf7-f5 をここで指すしかありませんが、そうなればe6 のナイトが浮くことになるため、白にとってのチャンスとなります。

19... f5 20. Bh3! Qf7 21. Rf1! fxe4?


私はe4 のポーンを取られないよう、あらかじめfファイルにルークを回しておきました。それに対して松尾さんは、fファイルを開く危険を過小評価し、白の狙いに乗ってしまいます。21... Rgf8 と指していれば、黒はやや劣勢ながらも試合を続けられたでしょう。

22. fxe4 Bf6 23. Rxf6!!



他にも候補手はありますが、少し考えてエクスチェンジを捨てることにしました。最初に考えたのは、e4-e5 を押し込んでからクイーンを突入させるアイディアで、そちらも白が有利になります。23. e5!? dxe5 24. Qd7 Nd8 (24... Bc8 25. Qd5 Ng5 26. Qxf7 Nxf7 27. Bg2 Rb8 28. Nxa7+/-) 25. Nd6 exd6 26. Qxf7 Nxf7 27. Rxf6+/-

23... Qxf6


23... exf6 24. Nxd6 Qd7 25. Nxb7+- ならば、白はすぐに駒得で分かりやすく勝勢です。

24. Rf1 Qe5 25. Bxe6 Qxe6 26. Bd4+ Rg7 27. Qh6 Qg8



エクスチェンジを取りかえせることを確定させた白は、間髪入れずに黒キングを追い詰めにいきます。27... Rag8 28. Rf8!+- (28. Rf4! もOK) ならば、黒はメイトを防ぐためにクイーンを捨てるしかありません。

28. e5!


この手まで読んで勝ちを確信しました。もう一つ、g7 のルークを攻撃できれば白の勝ちですが、28. Nc7? e5! は失敗です。黒のe7-e5 を防ぎ、g7 のルークへの攻撃を続いけるためには、先にe4-e5 と白からポーンを押し込む必要があります。

28... Rf8


28... dxe5 29. Bxe5+- と進めば、黒はここから何もできず、Nb5-Nc7-Ne6 を待つだけとなります。黒ルークが8段目から離れれば、クイーンでg7 のルークを取り、Rf1-Rf8 でメイトです。 本譜ではルーク交換には成功しますが、白勝ちのエンドゲームへと一直線に進みます。

29. Rxf8 Qxf8 30. exd6 exd6 31. Nxd6 Bc6 32. Nc8! Kg8 33. Qxg7+ Qxg7 34. Bxg7 Kxg7 35. Nxa7 Bd7 36. b4 1-0



ナイトで2つのポーンをかすめ取り、最後はcポーンを進めていけば勝負ありです。今年のゲームの中では、全日本の馬場さんとの試合に次いで、お気に入りとなりました。

今年は過去最高の59名の参加者が集まり、Japan League も他と同じような、様々なレベルのプレーヤーが参加するオープントーナメントになりつつあることを感じます。来年以降も、中国のマスターたちとの交流を続けることを願っています。それでは参加者の皆さん、4日間お疲れ様でした!


表彰式後は、Zhou Jianchao とLu Shanglei の2人による同時対局が行われました。私は最後まで残らなかったため、詳しい結果は後日伺おうと思います。

2016/08/15

Japan League 2016 Day3 Tournament Report

写真は撮り損ねてしまいましたが、3日目のレポートです。今日は4連勝同士で、GM Zhou Jianchao と対戦して負け。続いて、同じくGM に負けた青嶋くんと当たり、ドローという結果でした。青嶋くんとのゲームは、少し嫌な序盤を乗り切り、相手のミスで有利なエンドゲームに持ち込めたにもかかわらず、ドローを許してしまって残念です。

Aoshima, M (JPN, 2207) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (6)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Ne4 5. Nxe4 dxe4 6. Ng5 Qd5 7. d4 exd3 8. Bxd3 Qxe5+ 9. Be3 h6 10. Nh7 Bf5 11. Nxf8 Rxf8 12. O-O Nd7 13. Re1 Bxd3 14. Qxd3 Qc7 15. Rad1 O-O-O 16. Qa3 a6 17. Qxe7 Nf6



今日もエンドゲームからの解説です。黒は序盤でもらったポーンを返し、クイーンを交換してエンドゲームに持ち込もうとします。

18. Qxc7+ Kxc7 19. c4


試合後、私はビショップでナイトを取りに行くのが良いのではないかと指摘しました。19. Bd4! Rfe8 20. Bxf6 gxf6+/= ならば、白が良いでしょう。ポーンのある列が全て同じで、ルークも交換してしまえば、ビショップナイトの差はあまり出ないと思います。ならば、ビショップはポーンストラクチャーを乱すために消して勝負するのが良いでしょう。

19... Rfe8 20. Kf1 Kc8!?



ここは20... b5 と悩みましたが、まずは黒キングを退いてビショップチェックを外し、様子を見ることにします。

21. a4?! Rxd1 22. Rxd1 Ng4!


これはありがたいと思いました。Re8-Re4 があるため、Be3-Bf4 とは避けることができません。次もビショップをあきらめ、23. Ke2 のほうが良いですが、青嶋くんはさらに痛いミスをしてしまいます。

23. Bd4? Nxh2+! 24. Kg1 Rd8!



彼が見落としていたのはこの手で、黒はナイトを捨ててもピンを利用してビショップを取りかえすことができます。これは黒勝ちのエンドゲームになったかと思いましたが、ここから私も判断ミスが出ます。

25. Kxh2 c5 26. Kg3 cxd4?!


単純なポーンエンディングのルールは基本的に理解しているつもりですが、ここでルークを交換したポーンエンディングが黒勝ちであるとは読めませんでした。26... Rxd4! 27. Rxd4 cxd4 28. a5 (28. Kf3 Kc7 29. Ke4 Kb6 30. Kxd4 Ka5 31. Kc5 Kxa4 32. Kb6 Kb4 33. Kxb7 Kxc4 34. Kxa6 h5-+ これは分かりやすく黒勝ちですが、試合中はKc7-Kb6-Ka5 と上がるルートが見えていませんでした。) 28... g5! 29. Kf3 f5 30. Ke2 h5 31. Kd3 h4 32. Kxd4 g4 33. Ke3 h3 34. gxh3 gxh3 35. Kf3 f4!-+


この形は覚えておくべきですが、ここまで読み切るのは相当大変です。白はツークツワンクになっており、黒の勝ちがはっきりとわかります。36. b4 Kd7 37. b5 Kd6-+

27. Kf4 Rd6



検討では、b2-b4 を防いで黒勝ちなのではないかと意見が出ましたが、27... a5 28. Ke4 Kc7 29. Kd3! (29. Rxd4 Rxd4+ 30. Kxd4 Kc6-+ このポーンエンディングはhファイルにパスポーンを作るチャンスのある黒が勝つでしょう。) 白はこのように本譜と同じように、ポーンをキングでブロックすれば粘れそうです。

28. b4 Kc7


私はa7-a5 をどこかでやりたかったのですが、ここは1つ良いタイミングでした。28... a5! 29. bxa5 Rf6+ 30. Kg3 Ra6 31. Rxd4 Rxa5 32. Rf4 f6-/+ と進めば、次にcポーンを取って、再び黒のポーンアップです。

29. Ke4 Re6+?!



このチェックは完全に余計でした。d3 にキングをよらせてから、なにか手が作れるかと思っていましたが、実際にはあまり有効なアイディアはありません。

30. Kd3 Rf6 31. Rd2 Rf4 32. g3 Rf3+ 33. Kxd4 Rb3 34. b5 Ra3 35. Kc5!


時間切迫で、まさかの負けもあるかと思いましたが、キングの位置が良いだけでは、白はポーンダウンを跳ね返して勝つところまではいけません。

35... Rxa4 36. b6+ Kc8 37. Re2 1/2-1/2



最後はルークがe,d ファイルを往復してドローです。

この日もZhou Jianchao とLu Shanglei が止まらず、直接対決での短手数ドローのみで、2人が5.5/6 でリードしています。続く5/6 で3位につけているのは、青嶋くんに敗れたものの、唐堂くん、古谷くん、馬場さんに勝ったNi Shiqun です。私たち4.5/6 を含め、最終戦のペアリングは以下のようになっています。

Lu Shangeil(5.5) - Ni Shiqun(5)
入江(4.5) - Zhou Jianchao(5.5)
小島(4.5) - 松尾(4.5)
篠田(4.5) - Wang Jue(4.5)
馬場(4) - 青嶋(4.5)


それでは皆さん、最後まで悔いの残らないように頑張りましょう。私も入賞圏内に入れるよう、最終戦頑張ってきます!

2016/08/14

Japan League 2016 Day2 Tournament Report


1Bでプレーを続けるGM Zhou Jianchao

Japan League は2日目から、上位同士のぶつかり合いが多くなります。私は初日に続き、なんとか連勝を果たし、GM 2人と同じ4連勝となっています。簡単にですが、4R のゲームをご紹介したいと思います。

Yamada, K (CM, JPN, 2082) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. cxd5 exd5 6. Bg5 h6 7. Bh4 c5 8. dxc5 Nbd7 9. e3 Qa5 10. Qd4 O-O 11. a3 Bxc3+ 12. Qxc3 Qxc3+ 13. bxc3 Ne4 14. c4 dxc4 15. Bxc4 Ndxc5 16. O-O g5 17. Bg3 Nxg3 18. hxg3 Be6 19. Rac1 Rac8 20. Nd4 Bxc4 21. Rxc4 Nd3 22. Ra4 a6 23. Nf5 Kh7 24. Rb1 Rc6 25. Rd4 Nc5 26. g4 Re8 27. f3 Ree6 28. Rd5 Rc7 29. Rc1 Rec6 30. Nd4 Nb3 31. Rxc6 bxc6 32. Re5 Nxd4 33. exd4 Rd7 34. Rc5?!



苦しい中盤を乗り切った黒は、なんとか駒を捌いてドローに持ち込めそうな状況までもってくることができました。そんな中での白の緩手は、私を少し勝負する気にさせます。試合後に山田くんに指摘したのは、34. Ra5 からaポーンとdポーンを交換し、確実にドローにするアイディアです。

34... Rxd4 35. Rxc6 a5 36. Rc5 Ra4 37. Rc3


このルークエンディングもドローですが、白はa3 のポーンの守りにルークを使わなければいけない分、駒の働きが制限されています。ここからはキングを上げて、ポジションの改善を図ります。

37... Kg7 38. Kf2 Kf6 39. Ke3 Ke5 40. Kd3?



時間が増える40手目で、白は負けになるブランダーを指してしまいました。私も最初はオポジションを取り続けるつもりでしたが、よく見れば黒キングはキングサイドに侵入し、g2 のポーンを狙うチャンスになっています。代わりに40. g3 であれば、黒も勝つことはできなかったでしょう。

40... Kf4! 41. Kc2 Kg3 42. Kb3 Rf4 43. Rc2 Rd4 44. Re2 Rf4 45. Rd2 f5!


ルークが1段目からg1 に回り、g2 をアタックするようであれば、白もポーンを守るのをあきらめ、f7 への反撃でドローチャンスを作るでしょう。黒が確実に勝つためには、fポーンをついて、hポーンを伸ばせるようにする必要があります。

46. gxf5 Rxf5 47. a4 h5 48. Kc4 h4 49. Re2 h3 50. gxh3 Kxh3 51. Rb2 Rxf3 52. Rb5 Rf4+!-+



この手が勝つために、とても重要なアイディアです。お互いにパスポーンを進めあうルークエンディングとなりますが、白がルークを捨ててgポーンを取りに来た場合でも、勝てるかどうかを黒は考えなければいけません。白のaポーンを黒がルーク1つで取りに行けるようにするためには、4段目でのカットオフが必要です。

53. Kb3 g4 54. Rh5+ Kg2 55. Rxa5 g3 56. Rg5


56. Rc5 Kh3 57. Rh5+ Rh4 58. Rg5 g2 でも、黒はルークをもらってから、1ポーンを取りに行って勝ちとなります。

56... Kf2 57. a5 g2 58. a6 g1=Q 59. Rxg1 Kxg1



このような状況になった際に、黒のルークが4段目でカットオフをしているため、白はキングを上げられないのがポイントです。もし、白キングと黒キングがもう1段進んでいる形であれば、白キングは1ポーンの守りに間に合うため、ドローになります。

60. a7 Rf8 0-1


このゲームを勝ったのは大きく、4連勝でGM Zhou Jinachao, GM Lu Shanglei に食らいついてトップを保っています。明日はいよいよ、私と青嶋くんが1,2B に上がり、GM 戦に臨みます!

小島(4) - Zhou Jianchao(4)
Lu Shanglei(4) - 青嶋(4)
古谷(3) - Ni Shiqun(3)
小林(3) - Wang Jue(3)
馬場(3) - 大山(3)
Alex(3) - 山田(3)


この5R が私と青嶋くんにとっての正念場になると思います。久々の2600台との対戦ですので、しっかりと勉強させてもらおうと思います。皆さん、3日目もよろしくお願い致します!


3R では青嶋くんがWGM Ni Shiqun を破り、初めて中国勢に土を付けました。


お昼ご飯は奮発して、こんな大盛の刺し身定食にしたのが良かったかもしれません(笑)

2016/08/13

Japan League 2016 Day1 Tournament Report


今日から4日間、夏の祭典、ジャパンリーグが蒲田で開催されています。中国からGM2人、WGM2人がゲストとして参加しており、昨年を上回る59名の参加者が集まっています。私は初日の今日、初対戦となる東北の本田くんと、麻布の先輩である坂井さんに勝ち。13人いる連勝グループに入っています。

Sakai, E (JPN, 2019) - Kojima, S (IM, JPN, 2394)
Japan League 2016 (2)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 c6!?



サマーオープンに続いて指された、Nimzo-Indian Rubinstein 5. Nge2 には、新しい変化を試してみようと思っていました。現在進行中のWorld Junior では、アメリカのXiong, Jeffery がこの変化で黒勝ちとなっています。アイディアは、メインラインのようにBb4-Be7 と退くのではなく、Bb4-Ba5-Bc7 と退いて、ビショップをゲームに戻すことです。

6. a3 Ba5 7. Qc2 d5 8. Ng3 Nbd7 9. b4 Bc7 10. Bd3 dxc4 11. Bxc4 e5=


私はすでにこのポジションで満足しています。形はSemi-Slav Anti-Meran に似ていますが、2手かけて到達したg3 のマスが、f3 よりもナイトにとって良いのかはやや疑問です。

12. O-O exd4 13. exd4 Nb6 14. Bd3 Re8!?



私はここではd4 を取らず、あえて弱点として残してプレーします。14... Qxd4 15. Bg5 h6 16. Rad1 Qe5 17. Be3 と進めば、白はピースの展開の早さと黒キングへの攻撃のチャンスで、ポーンの代償があるでしょう。

15. Bb2 Be6 16. Nce4 Nxe4 17. Bxe4 Qh4


IQP を持たせている黒にとって、マイナーピースの交換は望むところです。d5 のコントロールは多少気にしつつも、h2 への攻撃を見せて、g3 のナイトをの動きを制限します。

18. Bd3 Nd5 19. b5?!



b2-b4 と伸ばした以上、こうして仕掛けたくなる気持ちはわかりますが、開いたcファイルを使いやすいのは黒です。19. Rae1 のような手のほうが良かったでしょう。

19... cxb5 20. Bxb5 Rec8 21. Qd2 Bf4 22. Qd3 Nf6!?


最初の作戦は、22... Bd6 と退き、cファイルを開いておいてからNd5-Nf4 とするつもりでした。しかし、少し気が変わってダイレクトにNd5-Nf6-Ng4 を狙ってみることに。気になるh2 へのアタックをどのように受けるべきか、白はしっかりと読まなくてはいけません。

23. d5?!



ポーンを捨ててb2 のビショップの利きを開くよりも、23. Rfe1 で堅実に守るほうがよかったでしょう。23. Rfe1 Ng4?! 24. h3 Nxf2 25. Kxf2 ならば白は大丈夫です。Rc8-Rc2 に対して、eファイルでルークを挟むディフェンスをできるのが、23手目のポイントです。

23... Nxd5 24. Rad1 Nf6 25. Bxf6?! Qxf6 26. Nh5 Bxh2+!


これでさらに駒得を拡大し、勝負ありです。初めて指すこの変化は、Semi-Slav に似ていて、自分にはとても指しやすそうだという感触をつかむことができました。

27. Kxh2 Qh4+ 28. Kg1 Qxh5 29. Ba4? Bc4 0-1



まだまだJapan League は始まったばかり。明日は中国のマスターたちに、日本の2200台たちが挑む注目の2日目です! 3R のペアリングは、以下のように発表されています。

Alex - Zhou Jianchao
Lu Shanglei - 松尾
青嶋 - Ni Shiqun
小島 - 大山
阿部 - Wang Jue
馬場 - Gary
山田 - 塩見


私は明日、イングランドのU17チャンピオン、大山彰人くんとの対戦です。出会った4年前よりも、はるかに実力は上がっているでしょう。初めての公式戦での対戦、とても楽しみにしています。

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