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2014/12/25

Chess in Kecskemet 2014 December GM 10th round


先に結果を書いてしまいますと、GM Fominyh との最終戦は、互いの内容が悪いながらもドローになりました。これを受けて私の最終結果は4勝1敗5ドローとなり、5回目のGM トーナメント参加にして、初優勝を収めています! それでは試合解説へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (10)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. d4 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 a6 8. h3 Bd7 9. e4 e5 10. dxe5 dxe5 11. Be3 Be6



Grunfeld への対策はすべて無駄になり、まさかのKing's Indian でした。この変化はオリンピアードでも指しており、白のプランはしっかり理解しています。

12. Qa4 Qc8 13. Kh2 Re8 14. Rfd1 Nd7 15. Nd5!


ここはナイトが跳びこむことを遠慮する理由はないでしょう。次にRa1-Rc1 とまわし、白はひとまず満足なピースのポジションになります。

15... Ncb8?!



いかにも不自然なこの手は、やはり疑問手です。次にRa1-Rc1 がある以上、c7-c6 はナイトを追い返すスレットになりません。

16. Rac1 h6 17. Qa5! b6 18. Qd2 Kh7 19. Nh4!?


黒のポジションは明らかに崩れており、白は押せ押せです。19. b4 からクイーンサイドを押していくプランもありえますが、私は直接的にキングを攻撃しにいくことを決断します。

19... Nc6 20. f4 exf4 21. gxf4 Qd8 22. Qf2 Ne7?



黒はディフェンスが難しいところですが、これはひどいブランダーでした。ところが...

23. Kh1?


23. Nxe7! Qxe7 24. f5 gxf5 25. exf5+- 単純にピースが落ちています。私の勘違いは、e3 のビショップが浮いているので、eファイルを開ければこれが取られてしまうと思ったことです。実は黒のd7 のナイトも取れるので、やはり白のピースアップですね... こうしたシンプルな手が見えなかったのは、最終戦で少し集中に欠いていたからでしょう。

23... Ng8 24. e5 Kh8 25. Be4 Qc8 26. Bxg6?!



22手目の勝は逃したものの(試合中は気づいていませんが)、白は完全に局面を支配し、勝利は間違いないと思っていました。後は、19. Nh4 からの構想のフィニッシュとして、黒キングを追い詰めるだけでしたが、ここで細かいミスが出ます。残り時間は十分にありましたが、このクリティカルポジションで勝負を決めれば、ブダペストのクリスマスパーティー開始に間に合うと考え、攻めを焦ったことが、この試合の最大の間違いでした。26. Qg2 でh3 を守りつつ、g6 でのサクリファイスを強化しておくのがベターだったでしょう。

26... Nxe5!


26... fxg6?? 27. Nxg6+ Kh7 28. Qc2+- は間違いなく白勝ちですが、ビショップを捨ててから、この手の可能性に気づき、愕然とします。ナイトが動いて、クイーンをh3 に当てるアイディアは、26... Nf8 しか考えておらず、これに対しては普通にビショップを退けば勝勢です。

27. fxe5 Bxd5+ 28. cxd5?



私は試合中、このビショップを取るのは当然だと考え、ポーンとルーク、どちらで取るべきかなのに読みの焦点を絞りました。ところが、正解はキングを動かす手です。ナイトを取られ、チェックしてきたビショップを、取り返さずにキングが逃げるというのは、信じられない1手でしょう! 28. Kh2!! Bxe5+ 29. Bf4 Bxf4+ 30. Qxf4 Re2+ 31. Kg1 fxg6 32. cxd5 Qxh3 33. Rxc7+-


Analysis Diagram 1

こうして整理してみれば、白のキングは危なく見えても問題なく、逆にどうしようもないのは、黒側だということが理解できます。しかし、これを読み切るのは無理でした。

28... Qxh3+ 29. Qh2! Qxh2+?


イコアライズのチャンスを貰ったFominyh ですが、さらにミスを重ねます。29... Qxe3! 30. Re1 Bxe5! 31. Rxe3 Bxh2 32. Rxe8 Rxe8 33. Kxh2 Re2+ 34. Kh3 fxg6 35. Rxc7= ならば、黒はドローに持ち込めるでしょう。おそらく、30... Bxe5! を見落としていたのではないかと思います。

30. Kxh2 Bxe5+ 1/2-1/2



ここでこの試合、Fominyh から最後のトリックがありました。それは、ドローオファーです! 攻撃を捌かれ、e5 まで落ちたことで、私は黒が優勢に転じたと考えました。そのため、ここでの黒からのドローオファーはありがたいと考え、受けることを決めます。ちなみに、私の残り時間は5分ほどでした。

ところが、コンピュータでチェックしたところ、最終局面は白良しでした。そのような読み違いが自分にも起こりうることに驚き、また勉強させてもらいました。31. Kh3! Bf6 (31... fxg6 32. Nxg6+ Kh7 33. Nxe5 Rxe5 34. Rxc7+ Kg6 35. Rg1++/- この変化が白良しであることは理解できます。) (31... Bxb2 32. Bd2! Bxc1 33. Bc3+!(この切り返しのチェックは実に見えづらいです。) 33... f6 34. Bxe8 Rxe8 35. Rxc1+- ピースアップの白は、問題なく勝てるでしょう。) 32. Bd4! Bxd4 (32... fxg6? 33. Rxc7+-) 33. Rxd4 fxg6 34. Rxc7+/-


Analysis Diagram 2

やはり、上記の変化と似たこのポジションになります。白は次にg6 を取れるので、パスポーンを持っている分、勝ちのチャンスがあるでしょう。Fominyh としては、敗勢のポジションで何とか粘りに粘り、最後にドローオファーをして誤魔化したゲームでした。最後の局面は、彼にとっても、評価の難しいポジションだったと思います。私としては、完全に勝勢だったゲームを落としたのは痛いですが、これも勉強ですね。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 1/2-1/2

+3 Kojima
+2 Fominyh
0 Varga, Santarius, Ilincic
-5 Betaneli

最後は負け、ドローと失速したものの、レイティング平均が2386 のGM トーナメントで、4勝1敗5ドローの優勝というのは、自己最高の記録です。レイティングも38稼いで、次の更新では、自己ベストのレイティングは2396 になります。なにより、Ilincic に負ける前まで、ライブレイティングが2400 を超えていたことで、IM タイトルの獲得も決まりました! 9R の負けは、初のGM ノームを目指して果敢に挑んだ結果ですので、あまり気にせず、今回の結果に満足しようと思います。皆さん、今大会中は多くの応援、そしてお祝いのメッセージをありがとうございました! 今回の結果を受け、1月半ばには日本に帰国することを決めています。


IM クラスは、中国のFang が圧倒的な強さで優勝しましたが、モンゴルの少女、Nomin-Erdene もFang を超える7勝を挙げ、レイティングを大幅に稼いでいます。ハンガリーで馴染みだったIM To Nhat Minh も7/10 でしたので、完全にこの3人に星を取り合ったトーナメントでした。Fang もこの調子でいけば、年末年始のIM クラスで、レイティング2400を超えるでしょう。


ハンガリーの大会初挑戦の酒井くんも、無事にFM クラスで優勝を収めています。レイティングは+14 ですので、ロンドンに比べれば上げ幅は少ないですが、それでも満足な数字でしょう。彼は26日の午前中までかけて、2つ目のFM クラスの大会での試合を終え、ブダペストに戻ってきます。残り3試合の結果次第では、レイティングが2000 に乗る可能性も十分にあるでしょう。


Fominyh との試合を終わらせた私は、駆け足でブダペストへと戻ってきて、日本食レストラン、小町で開催されたクリスマスパーティーに跳びこみました。かつてこのブログにも登場した、奥山さんのお寿司も、私の分が確保されていて一安心。IM タイトル獲得のことも、ブダペストの友人たちに祝ってもらいました。


クリスマスケーキは、チョコレートでデコレーションされたフルーツケーキでした。2年ぶり、2回目のブダペストのクリスマスの夜は、とても楽しかったです。やはり、ケチケメートにとどまらず、こちらに戻ってきて良かったと心から思います。次のケチケメートのGM トーナメントは27日の午後に始まるので、2日後にはまたハンガリーの田舎町にとんぼ返りです。

2014/12/24

Chess in Kecskemet 2014 December GM 9th round


日本はもうイブの夜時間ですね。日本のチェス界の皆さんは、どうお過ごしでしょうか。こちら、ケチケメートのショッピングモールもクリスマスモードですが、私はもちろん、試合です!(笑)

23日は最終戦の前日、Ilincic との第2戦です。ユーゴスラビアの元代表、GM Ilincic とはここまで2勝1ドローで、私が最も得意としているGM です。この日もわずかなGM ノームのチャンスをかけ、勝負を仕掛けていきます。

Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (9)

1. d4 d5 2. g3 Nf6 3. Bg2 c6 4. Nf3 Bg4 5. Ne5 Bh5 6. c4 e6 7. Nc3 Nbd7 8. f4 Be7 9. Qb3 Qb6 10. e3 Nxe5 11. fxe5 Nd7 12. c5 Qc7



予想外のオープニングではありましたが、ここまでは黒が満足です。ここから、b7-b6 のブレイクのタイミングを探ります。

13. e4 O-O 14. Bf4 g5!?


私はすぐにb7-b6 ができないと読み、怪しいながらもこの手を入れたのですが、Ilincic からはどうしてすぐ突かなかったのかと、試合後に指摘されました。14... b6! 15. O-O! (15. exd5 cxd5 16. Nxd5? exd5 17. e6 Nxc5! 18. dxc5 Qxc5 19. Bxd5 Rad8 20. exf7+ Kh8-+ このように、私の読んでいたナイトサクリファイスは、展開の遅い白にとって非常に危険な選択肢でした。) 15... bxc5 16. exd5 cxd5 17. Nxd5! exd5 18. e6 Qd8 19. exd7 Qxd7 20. Rae1 こうなると、形勢は不明です。

15. Be3 b6 16. cxb6 Nxb6 17. Qc2 Nc4 18. Bf2 Rfd8



18手目も相当悩みました。私の予定通り、c5 のポーンを取り除いたうえで、Nd7-Nb6-Nc4 を実現したわけですが、ここからどう手を作っていくか、意外と見えてきませんでした。

19. O-O Rab8 20. b3 Na3 21. Qc1 Qa5


cxd5 から、Nc3-Nxd5 がスレットとなっているため、ここでクイーンを避けておきます。c3 のナイトをアタックしておくことで、g5 のポーンを取りづらくしておくのもポイントです。

22. Be3 Bg6! 23. Rf2 c5?



途中時間を使いすぎたため、私はこの時点で残り時間が20分を切っていました。ここで勝負だと、センターを開くような勝負手を放ちますが、これが完全に不発に終わりました。23... Bb4! 24. Ne2 h6 25. h4 dxe4 26. hxg5 hxg5 27. Bxg5= これでイコールというのがコンピュータの評価ですが、人間には判断が難しいでしょう。h7-h6 はg5 のポーンが安全になるように見えて、逆に白からh2-h4 のチャンスを与えると思い、アイディアとして外しておきました。そこでd5 を弱めても、cファイルを開けて、c1 のクイーンを負担にしようとしたのですが...

24. Bd2!+/-


Qa5-Qb6 と退けば、d4 のアタックになるため、直前までこの手は有効ではありませんでした。ところが、私がc6-c5 と仕掛けたことで、d4 のポーンをクイーンでアタックできなくなっています! これが私の痛い読み落としでした。

24... Qa6 25. Bxg5 Bxg5 26. Qxg5 cxd4 27. Ne2!?



ここは27. Na4 も指せそうですが、本譜のナイトのマヌーバリングは非常に素直です。このナイトがf4 に向かい、h2-h4-h5 と仕掛ければ、黒の不安定なビショップとキングは、脅威にさらされることとなります。

27... Nc2 28. Rd1 Ne3 29. Rxd4 Nxg2 30. Kxg2 Qc6?


ここは他の手でもダメなのですが、この手はひどすぎました。まだ30... Qb6 のほうが、白の対応が難しかったでしょう。

31. Nf4 Qb6 32. Rfd2 Kf8 33. exd5 exd5 34. e6 1-0



不調だったIlincic も、後半戦はSantarius と私を連続で下し、星をイーブンまで戻しています。一番大事なポジションでは、私のミスで崩れてしまいましたが、久々に要所要所でGM の底力を見せてもらったようなゲームでした。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+3 Kojima
+2 Fominyh
0 Varga, Santarius, Ilincic
-5 Betaneli

最終戦はトップを走る、私とFominyh の直接対決です。GM ノームのチャンスは消えてしまいましたが、最後に勉強させてもらってくるつもりです。


ケチケメートの広場にこの時期だけ出現する移動式簡易遊園地では、大人も子供関係なく、皆ゴーカートではしゃいでいます。


ヨーロッパでは、フクロウとハリネズミをモデルにした置物やおもちゃが多いですが、そうと知らなければ、これがハリネズミだとは分かりませんね(笑)

2014/12/23

Chess in Kecskemet 2014 December GM 8th round


最新のチェス書籍を、オーガナイザーのTamas が仕入れて販売しているため、それを会場でチェックできるのが、ケチケメートのトーナメントの魅力の1つです。Grandmaster Repertoire シリーズの、Negi が書いたPirc Caro-Kann などの白番での対策はチェックしておこうと思います。

この日はVarga に黒番という、一番負ける可能性の高そうなゲームです。ここを乗り切れば、負けなしでの優勝も見えてくる、今大会の大一番に臨みます。

Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (8)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Nc5 e5 6. Nxb7 Qb6 7. Nc5 exd4 8. Nb3 Bb4+ 9. Bd2 Nf6 10. Bxb4!?



この変化は、一昨年のGM トーナメント、GM Sax と指されて以来、ちょうど2年ぶりに実戦で登場しました。白からクイーンを交換する変化は、黒が一時的に1ポーンダウンになりながら、代償が十分あることは覚えていました。

10... Qxb4+ 11. Qd2 Qxd2+ 12. Kxd2 Ne4+ 13. Ke1 c5 14. f3 Nd6 15. Nxc5 O-O!


c2 をすぐ取り返そうとすると、Ra1-Rc1 から白がアドバンテージを得るので、黒は先にキャスリングをして、ルークを使えるようにしておきます。

16. Bd3 Rc8 17. Ne4 Nxe4 18. fxe4 Bxe4 19. Bxe4 Re8



慎重に読みながら、これ以外は黒がはっきり悪くなると思い、ポーンを取り返しておきます。この変化でd4 がどれぐらい負担になるかは、この時点ではお互いに正確に評価できていませんでした。

20. Kd2 Rxe4 21. Nf3 Nc6 22. Rhe1 f5!


単純にルークを交換してしまっては、d4 に弱点を抱え、キングもセンターから遠い黒に分が悪いのは明らかです。そこで、ポーンでe4 のマスを抑え、ルークをe4 でキープすることにします。d4 のポーンが孤立でなくなる以上、白からこのルークは取りづらいでしょう。

23. Re2



私は検討戦で、この手が明らかに悪かったのではないかと指摘しました。実際には別の手でも、さほど白に大きなチャンスは無いのですが、本譜よりも黒の対応が難しくなるので、実戦的にはそちらをチョイスしておくべきだったかもしれません。23. a3 h6 24. b4 a6 25. Rab1 Rb8 26. Kd3 Rbe8! 27. Kd2 Rb8= これは私とVarga, そしてFang の3人で検討をしながら見つけた変化です。

23... Rae8 24. Rae1 h6! 25. a3=


ここでVarga からドローオファーをされたので、それを受けて試合を終わらせました。g5 のマスをカバーし、キングを上げられるようになれば、d4 は黒にとって負担にならないでしょう。長かった今大会も、残りはいよいよ、GM との2試合のみです。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+1 Fominyh, Santarius
0 Varga,
-1 Ilincic
-5 Betaneli

この日、Santarius は白番でIlincic 相手に果敢に勝負を挑みましたが、ベテランGM がこれを退け、お互いに初黒星、初白星となりました。Fominyh も何事もなくBetaneli を破り、勝ち越し状態に戻ってきています。今日の9R の結果次第で、私のGM トーナメント初優勝が決まります。


トルティーヤ屋さんでは、大きなハンバーガーも販売されています。酒井くんは、トルティーヤよりも、こちらが気に入ったようですね。去年は、写真で見るとあまり美味しそうではないと意見を貰いましたが、本当に美味しいんですよ!

2014/12/22

Chess in Kecskemet 2014 December GM 7th round


前夜の雷雨が嘘のように朝は晴れ、21日は良い天気で1日を迎えることができました。日差しは強いですが、それでも空気は冬の冷たさを感じます。ここケチケメートのGM トーナメントも、そろそろ開始から1週間が過ぎ、終盤に差し掛かっています。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (7)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Nbd7 5. Bf4 c6 6. e3 Nh5!?



この手は見たことがありませんでしたが、調べてみるとCarlsen やKramnik たちにも最近指されていました。黒は早めのピース交換から、ポジションの単純化を図ります。それでも私は、黒のc8 のビショップさえ抑えておけば、白のアドバンテージは十分だと考え、黒マスビショップの交換を受け入れることにします。

7. Bg5 Be7 8. Bxe7 Qxe7 9. Qc2 Nhf6 10. a3 O-O 11. Rd1


QGD Rubinstein Variation と同じアイディアで、白はQd1-Qc2, a2-a3, Ra1-Rd1 などで手を待ち、黒からポーンを交換をさせて、c4 を取り返す1テンポをロスしないようにします。

11... dxc4 12. Bxc4 c5 13. O-O Nb6 14. Be2?!



私の構想は、このビショップをBe2-Bf3 と組み直すことでしたが、これはイマイチでした。素直にBc4-Ba2 と退いておくべきだったでしょう。

14... cxd4 15. Nxd4 Bd7 16. Bf3 Rac8!


これは私にとって予想外で、Be2-Bf3 が失敗だったことを十分に予感させる手です。黒は素早くBd7-Ba4 のスレットを作ることで、通常はあまり良くないはずの、b6 のナイトとd7 のビショップの位置の組み合わせを、問題無いようにします。

17. Qb1 Nc4!



この手に対しても警戒が弱かったことは、この試合の反省ポイントです。黒は完全にb7 を無視し、主導権を握っています。

18. e4 Qc5 19. Rfe1 Nxa3!?


この手は私の予想よりも早く、このタイミングであれば、何とか持ちこたえられるのではないかと考えました。とは言え、先に駒を失った白は、慎重に正解を見つけていく必要があります。

20. bxa3 Qxc3 21. e5 Nd5 22. Bxd5 exd5 23. Qxb7 Ba4 24. Ne2



白はこの絶対手により、なんとか駒数イコールのままゲームを進めることができます。

24... Qxe5 25. Qxd5 Qxd5 26. Rxd5 Rfe8 27. Kf1


ビショップナイトの勝負であり、さらには先にピンを作った黒にチャンスがありそうにも見えますが、このキング寄りでぎりぎりディフェンスできるのではないかというのが、私の計算でした。もちろん、これでもダメならば諦めるしかないのですが...

27... Bc6


検討戦でのIlincic の指摘は、27... Bb3 でしたが、これには28. Rd4 と指してルークがビショップに張り付くことで、もう1つの黒のルークが、e2 のナイトをアタックする暇をえ与えないディフェンスのアイディアが有効なのではないかと思います。

28. Ra5 Rb8 29. f3 Bb5 30. Kf2 Bc4 31. Rc5 Ba6 32. Rc6



ここはうっかり、32. Ra5? と指そうものならば、32... Rb6! からの、Rb6-Rbe6 で負けとなります。白のポイントは、ルークでビショップを攻撃し続けることで、黒のルークの侵入を防ぎ、きちんとナイトを逃がしてやることにあります。

32... Bb5 33. Rc7 Rbd8 34. Rc2


一瞬、ルークをビショップから離したのはミスだったかと思いましたが、きちんとルークが退けば問題ありません。

34... Ba4 35. Rc4 Bb5 36. Rc2 Kf8 37. Nc3



長かったピンからようやく解き放たれたナイトは、黒のビショップに対抗すべく、前進を開始します。

37... Rc8 38. Rxe8+ Bxe8 39. Ke3


黒は再び、ナイトをピンにしましたが、今度はキングを自由に動かせる白に、大きな問題はありません。むしろ、黒がピースを動かしている間に、キングを前進させるチャンスを得ました。

38... Rb8 40. Nd5 Bd7 41. Rc7 Be6 42. Nf4!?



一時的に1ポーンダウンにはなりますが、ルークとキングの位置が最高の白は、ドローには十分でしょう。ここでビショップを消して、ポジションをシンプルにしてしまいます。

42... Rb3+ 43. Kd4 Rxa3 44. Nxe6+ fxe6 45. Ke5 Re3+ 46. Kd6


白はルークとキングでそれぞれ別のポーンをアタックし続け、どちらかを取れる状態にします。こうなれば、ドローはすでに目の前です。

46... Re2 47. Rxa7 Rxg2 48. Kxe6 Re2+ 49. Kf5 Rg2 50. h4 1/2-1/2



オープニングに失敗し、多少苦しい展開にはなりましたが、丁寧に指すことでポイントを確保しました。この日はGM クラスは全ドローで、順位に変動はありません。残りは明日からのGM3連戦で、最終日の24日夜にはブダペストに帰還し、アンダンテのクリスマスパーティーに参加する予定です。

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319) 1/2-1/2
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+2 Santarius
0 Varga, Fominyh
-2 Ilincic
-4 Betaneli


7R 終了時点での星取表です。トップシードのVarga は本調子ではありませんが、最も警戒すべき相手でしょう。アメリカのSantarius も、このままの調子であれば、2つ勝ち越しが条件のIM ノームが取れそうですね。


この日はケチケメートに留学している友人と1年ぶりに会い、酒井くんと3人で食事をしてきました。私が頼んだXLのピザは、直径が45cm あり、左にある酒井くんのピザと比較しても、その巨大さが分かります(笑) 久しぶりに本気を出しましたが、3/4 でギブアップし、残りはお持ち帰りとなりました。1人で食べるサイズじゃないですしね...


もう1つ、ちょっとしたお守りのエピソードを紹介しておきます。上の写真は仙台の大崎八幡宮の勝守です。実はこちら、昨年のヨーロッパ遠征中、友人たちが私の必勝祈願のため、仙台からブダペストに送ってくれたのですが、不幸なことに荷物はロストしてしまい、私の手元に届かずじまいでした。それを残念に思った私は、スペインからの帰国直後、仙台の大崎八幡宮に足を運んで、これを手に入れたのです。それからずっと、この勝守は私の財布に入っていました。

昨晩、少し気になって調べてみたところ、仙台を訪れたのは2013年の12/21 だったので、ぴったり1年前のことでした。そして一般的に、お守りの有効期間は1年間と言われていますので、IM タイトルを確定させた一昨日の12/20 は、ちょうどこの勝守の効果が切れる日だったのです。ただの偶然と言えばそれまでですが、私には、仙台でこれを手に入れたことに、大きな意味があったように思えます。

2014/12/21

Chess in Kecskemet 2014 December GM 5th and 6th rounds


私にとって昨日の日付、12月20日は、今後も決して忘れられない日になるでしょう。この日はGM クラスは唯一の1日2試合で、しかも私が2試合とも黒番の厳しい戦いとなります。朝、チェス盤とにらめっこばかりしていても仕方がないと、寝ぼけ眼をこすりながら、酒井くんと2人でケチケメートのマーケットへ顔を出してきました。この時期はクリスマスのツリーやリース、オーナメントの販売が多かったですね。

この日の試合、午前はロシアのGM Fominyh に黒を持ちます。先週のFirst Saturday のゲームでは、中盤から終盤にかけて苦しい展開をなんとか粘り、最終的にはドローとなりました。彼は1日2試合でも俄然試合をやる気だったので、こちらも長期戦覚悟のソリッドな変化で勝負です。

Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 g6



Santarius 戦では4... e6 を使いましたが、この日はなんとなく去年までのパートナー、g6 Slav を採用します。同じ大会内で、オープニングを使い分けるのは私としては珍しいことです。

5. Nf3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. Qb3 e6 9. Rd1 Nbd7 10. a4 a5 11. Qc2 Re8!


ここまではかつて研究した手順です。黒は白マスビショップを使う方法として、e6-e5b7-b6 があり、その両方のチャンスを柔軟に作っておきます。

12. b3



12. e4 Nxe4 13. Nxe4 dxe4 14. Qxe4 e5 15. dxe5 Qc7 16. Bf4 Nxe5 17. Nxe5 Bf5= と進んで簡単にイコアライズすることを期待していましたが、Fominyh は時間を使ってじっくりセットアップを決めてきました。e3-e4 を突かないのであれば、局面は閉じたままでゲームは進んでいくことになります。

12... b6 13. Ba3 Bb7 14. Rac1 Rc8 15. Qb1 c5


b5 のマスを弱めることは気がかりですが、b7 のビショップのダイアゴナルは開かなければ話にならないですし、他に手を作るところもありません。すぐに、d5,c5 が負担にならないことを確認して、ポーンを進めます。

16. Nb5 Bf8 17. Bb2 Ne4! 18. Ba1 Bg7 19. Ne1 Qe7



この辺りは膠着状態のまま、互いに細かなピースの改善が続きます。Qd8-Qh4 と大胆に跳びこむ手も考えましたが、g2-g3 を突かせることが黒のプラスになるのかは分からなかったので、ひとまずd6 のマスを安全に守っておくことにします。

20. Bb2 Bh6!


クイーンがdファイルから外れたことで、ポジションをそろそろ黒から開いても良いのですが、先にこの手を入れ、白からcxd4 と取り返せないようにしておきます。

21. Nf3 Red8 22. Nc3 cxd4 23. Nxd4?


これは3試合連続のGM戦で、三度チャンスが巡ってきたことを確信しました。23. Rxd4 Bg7 24. Rdd1 Ndc5-/+ と進んだ場合、黒はb3 を攻めて優勢でしょう。互いのポーンストラクチャーは同じですが、弱いマス(b4,b5)を抑えるよりも、弱いポーン(b3,b6)を攻撃することのほうがプラスは大きく、その点で黒にチャンスが出てきたことを理解していました。

23... Nxf2!



ナイトが動いてh4 のマスの守りが外れたことで、この典型的なタクティクスが成功します! Fominyh ほどのベテランが、この手を見落としたことは意外でした。

24. Kxf2 Qh4+ 25. Kg1 Bxe3+ 26. Kh1 Bxd4 27. Rxd4 Qxd4


黒には次に、Bd4-Be5 からのメイトスレットがあるため、白は2ポーンに加え、さらにエクスチェンジを捨てざるをえません。完全に勝勢のマテリアルとなり、後は黒マスの弱さにだけ気を配って丁寧に指すのみです。

28. Bf3 Qh4 29. Nb5 Nc5 30. Be5 dxc4 31. Rxc4 Qf2 32. Rc2 Qe3 0-1



こうしてソリッドなゲーム展開から、ワンチャンスをものにして、自身初となるGM戦連勝です! これでライブレイティングを2392 まで上げ、いよいよIM タイトルのかかった午後の試合に向かいます。


お昼ご飯はクリスマスマーケットの屋台で。セルフサービスで、100g 520フォリントだよと言われた肉料理を、200g ぐらいかなーと思って盛ったところ、500g を超えてしまいました(笑) タフな試合スケジュールをこなすためには、これぐらいはペロッと食べられないといけないかもしれませんね!


午後の6R からは、1R からの対戦相手と色を逆にして試合をするのが、ダブルラウンドロビンのシステムです。相手は初戦で怪しいエンドゲームを勝ち切った、アメリカのFM Betaneli、彼に勝つとレイティングはプラス7.6なので、ライブレイティングがちょうど2400 に乗る計算になります。自身初となる、IM タイトルをかけた重要な一戦のスタートです。

Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2014 December GM (6)

1. Nf3 d5 2. g3 Nf6 3. Bg2 c6 4. O-O Bg4 5. d3 Nbd7 6. h3 Bh5 7. Qe1 e5 8. e4 dxe4 9. dxe4 Be7 10. Nbd2 O-O 11. Nc4 Qc7!?



オープニングは、Caro-Kann かEnglish を用意していましたが、まさかのKing's Indian Attack でした。このセットアップはFirst Saturday のBenkovic 戦の準備で見直していたばかりだったので、ラッキーと言えばラッキーです。オリンピアードで敗れた、スウェーデンのGM Tiger 戦の11... Bxf3 とは手を変え、ピースを盤上にキープしておくことにします。

12. a4 Rfe8 13. Nh4 Bf8 14. Bd2?!


試合後の検討では、ここは14. Bg5 と指すべきだったと、Betaneli 自身が指摘しています。確かに、f6 のナイトをアタックしておけば、黒は理想的なNd7-Nc5-Ne6-Nd4 というマヌーバリングがやりづらくなるでしょう。

14... Nc5! 15. b3 Ne6 16. Ba5 b6 17. Bc3 Nd7 18. Nf5 f6 19. Kh1 Rad8



私はこの時点で、すでに何も黒に不満がないことを確信しています。このナイトをd4 に運ぶ準備をしつつ、2つのビショップをg8-a2, f8-a3 のダイアゴナルに置くセットアップは、かつてKramnik のゲームから学びました。

20. f3 Bf7 21. Qc1?


この手はどう見ても不自然ですし、何かアイディアがあるとしても捻りすぎです。21. Rd1 と指すのが自然で、それならば黒は満足ながらも、優位に試合を進めるには、もう一工夫必要になるでしょう。

21... Ndc5 22. Qe3 Nd4!



時間を使い、この手を思い切って指せたのは、私の成長の証だと思います。d4 とc6 でポーンを一時的に取らせても、白のg3 のポーンを掠め取ったうえで黒マスを支配すれば、1ポーンの代償は十分すぎるでしょう。

23. Qf2 Nce6!?


試合中悩んだのは、23... Bxc4 24. bxc4 Nxf5 25. exf5 e4-/+ とピースを捌いて仕掛ける変化で、これでも黒の優位は確実でした。本譜では、白がf3-f4 と仕掛けてくることを見越し、白マスビショップは別のダイアゴナルで使い直そうと考えましたが、白のクイーンサイドのポーンストラクチャーを乱せるのであれば、ビショップナイトの交換は躊躇わなくても良かったでしょう。

24. Nfe3 a5!



すでにd4 に強力なナイトを指している黒は、次にビショップを使い直すことを考えます。黒マスビショップのベストの位置は、明らかにc5 ですので、白からb3-b4 を突かれぬよう、まずはb4 のマスをポーンで抑えておきます。

25. f4 exf4 26. gxf4 Bc5 27. Rae1 Bh5!


続いて白マスビショップも、ダイアゴナルを切り替えてアクティブに使えるようにします。f3, e2 辺りは、白としては抑えられると嫌なマスでしょう。Nd4-Ne2 と黒のナイトが跳びこんでくる筋は、常に頭に置いておかなければいけません。

28. Nb2 b5! 29. Nd3 Bb6!



ポジションの改善が難しくなってきた白に対して、黒はゆっくりと盤全体でプラスを広げていきます。黒マスビショップをキープし、a7-g1 のダイアゴナルを抑えている限り、c6 のポーンが消えても、Ne3-Nd5 は怖くありません。

30. f5?! Ng5


最初、f4-f5 を見た際は、次のNd3-Nf4 を警戒しましたが、それが全く問題ないことに気づき、冷静さを取り戻してこの手を指します。

31. Qh4? Ngf3!



彼の見落とした、決定的なタクティクスです。黒のナイトは、クイーンとルークを狙うだけでなく、h2 でのメイティングスレットを作る、トリプルフォークになっています! これで完全に黒の勝勢ですが、もちろん相手がリザインするまでは気を緩めることはできません。

32. Qf4 Nxe1 33. Bxe1 Nxc2 34. Nxc2!


エクスチェンジに留まらず、さらにマテリアルを確保して勝ちを引き寄せます。

34... Rxd3 35. Qh4 Bf7 36. b4 Ba7 37. e5 Qxe5 0-1



彼がリザインした瞬間、これまでハンガリーで過ごしてきた日々のことを思い返しました。2264というレイティングでハンガリーを訪れたのは、今から2年半以上前の、2012年5月のことでした。それから何度となく、ブダペストとケチケメートのIM トーナメント、GM トーナメントで戦いを続けてきて、ようやくこの日、3つのノームとレイティング2400を達成しました。リガの最終戦で見事な勝利をおさめ、IM タイトルの条件を揃えた南條くんから遅れること4か月、私もこれでIM となります! 長い間、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございます!

12/16 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Betaneli, A (FM, USA, 2268) 1-0
12/17 15:00 Santarius, E (USA, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/18 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Varga, Z (GM, HUN, 2473) 1/2-1/2
12/19 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) 1-0
12/20 09:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/20 16:00 Betaneli, A (FM, USA, 2268) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 0-1
12/21 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Santarius, E (USA, 2319)
12/22 15:00 Varga, Z (GM, HUN, 2473) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/23 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2432) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
12/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438)

+4 Kojima
+2 Santarius
0 Varga, Fominyh
-2 Ilincic
-4 Betaneli

一夜明けて、多くの方からお祝いのメッセージを頂き、あらためて喜びがふつふつと湧き上がってきました。しかし、こうして書くと、すでにトーナメントが終わったようにも思えてしまいますが、実際には全くそんなことはありません(笑) まだ後半戦は始まったばかりで、今日から24日まで、残り4試合を戦います。アメリカのSantarius は、Varga を見事に黒で下し、2つ勝ち越し状態で私を追っています。私もここまで来た以上、初のGM トーナメント優勝と、GM ノーム、そして羽生さんの持つ日本籍プレーヤーのベストレイティング、2415 を超えることを目標に、残り試合をしっかりプレーしてこようと思います! 6つ勝ち越しの8P ならば、初のGM ノーム獲得、5つ勝ち越しの7.5P ならば、私のレイティングは2416になる計算です。

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