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2020/07/27

Japan Chess Classic 2020 Day4


ジャパンチェスクラシック入賞者たち photo by Yamada, A

昨日まで4日間開催されたジャパンチェスクラシックも無事に閉幕しました。優勝はAsaka Samuel くんで、最後こそTu さんに敗れましたが、脅威の開幕6連勝により、最終戦を残して優勝を決めました。オーストラリア籍ながら、ここ数年は日本に住み、ずっとプレーを続けてきた若き有望株の初ビッグタイトルです。Samuel くん、おめでとうございます!

1st Place Asaka Samuel (AUS, 2182) 6/7
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2338) 5.5/7
3rd Place Aoshima Mirai (IM, JPN, 2350) 5/7

Japan Chess Classic 2020 Final Standings


私は最終日、塩見さんに勝ち、青嶋くんにドローで5/7 となりながら、タイブレークで青嶋くん、大多和くんに敗れて5位止まりでした。やはり早いラウンドで黒星がついたのが痛かったです。それでも後半はなんとか立て直し、ゲーム内容も良くなってきたので、その点は満足しています。今夜は6R の塩見さんとのゲームをご紹介します。

Shiomi, R (JPN, 2046) - Kojima, S (IM, JPN, 2397)
Japan Chess Classic 2020 (6)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. d4 exd4 4. Nxd4 Bc5 5. Nb3 Bb4+!?



1970年代にウクライナのGM Oleg Romanishin が研究し、指し続けた変化です。f2 を狙う自然な5... Bb6 に比べると古く、指されれる頻度は減っていますが、私は現代でも使えるラインだと考え、自分のScotch 対策として取り入れました。

6. Bd2 a5!


6. c3 Be7 ならば大人しく退き直し、c3 に白がナイトを展開できないことで満足します。

7. a4?!


この手では私もすでに知らないポジションになりました。調べていたのは、7. a3 Be7 8. Bc3!? Nf6! 9. e5 Ne4 10. Qg4 Ng5 という変化で、実戦例もあります。本譜の手はシンプルにa5-a4 の押し込みを止めていますが、その代わりにb4 のマスが長期的に弱くなってしまいます。

7... Nf6 8. Bd3 O-O 9. O-O Re8 10. Re1 d5!?



ここでdポーンをぶつけるかどうかは、プレーヤーの好みが分かれるところだと思います。白のセンターポーンがd5 のマスを抑え、白の一番のポイントになる主張だと考えるのであれば、それを消しにいく黒のアクションは自然です。一方でe4 のポーンを簡単にさばいてしまうと、e4 のポーンにピースを集めて反撃するというプランを黒は失うことになります。加えてe4 ポーンを消すことで、開いてしまうd3-h7 のダイアゴナルも少し気になります。私はそれを承知でも、d5 のマスを奪い返し、ピースをアクティブにして戦うことを決めました。

11. exd5 Rxe1+ 12. Qxe1 Nxd5


ルークを黒から交換するかどうかも難しいポイントで、白は将来的にQe1-Qe4 のような手でビショップをクイーンを協力させ、黒のキングサイドを狙うチャンスを作ることができます。黒の主張は一時的にでも白クイーンをa5-e1 のラインにずらしておくことで、Nd5-Nf4 といったピンを利用したナイト跳び込みのチャンスを作ることや、将来的にRa8-Re8 とルークが回った際、クイーンをターゲットにできるようにすることです。

13. Nc3 Be6 14. Rd1 Qd7!



先述のルークをe8 にまわす準備ですが、先にd1 にきた白ルークの存在も当然気にしなくてはいけません。15. Nxd5?! Bxd5 16. c4? Bxg2! 17. Kxg2 (17. Bxb4 Qg4!) 17... Qxd3 18. Bxb4 Qg6+ ならば、黒はポーンをかすめ取り、クイーンも生還させることができます。16. Bxb4 Nxb4 17. c4 Qxa4! も大事な変化で、ビショップが取られてもナイトを取りかえすことができるため、黒は問題ありません。ぎりぎりではありますが、白がdファイルから攻撃を作るためにはもう1歩準備が足りないと読み、14... Qd7 を指すことができました。

15. Qe4 g6 16. Be2 Re8


16... Rd8 17. Bg5 Nxc3 18. Rxd7 Nxe4 19. Rxd8+ Nxd8 20. Bxd8 はイコールにしかならず、もう少しチャンスを求めて最初の狙い通りにルークはeファイルに動かいsます。

17. Bf3 Nxc3! 18. Bxc3 Bxc3!



この手を見つけることができて一安心しました。少し変化はありますが、いずれも黒が十分優勢なエンドゲームへと突入します。

19. Rxd7


19. bxc3 Qxd1+ 20. Bxd1 Bd7 21. Qe2 Rxe2 22. Bxe2 b6 23. Bb5 Nb8-/+ 白からクイーンを取ってこなかった場合も、黒から強引にクイーンルークの交換をしてしまい、バックランクメイトを利用してクイーンを取りかえすことができます。

19... Bxd7 20. Nc5 Rxe4



コンピュータが示した変化は驚くもので、20... Nd4!? 21. Nxd7 Nxf3+ 22. gxf3 Rxe4 23. fxe4 Bxb2-+ として1ポーンアップで黒が勝勢とのことです。しかし、本譜でも十分黒のプランが分かりやすい勝勢ですので、どちらが良いかは一概には言い切れないでしょう。

21. Bxe4 Nb8!


このナイトを退く手がポイントで、ビショップを守りつつ、b7-b6 の際にa6 のマスにナイトに跳びこまれないようにします。勝ちを目指す黒は、白が望む異色ビショップの展開は避けるようにします。

22. bxc3 b6 23. Nxd7 Nxd7-+



これで多少霧が晴れ、どのような局面か明らかになってきました。マテリアルこそイコールですが、ターゲットが無く、a4 の弱点をサポートしなければいけない負担を抱えたビショップよりも、黒のナイトのほうが強い状況です。

24. Bd5 Nc5 25. Bb3 Ne4 26. c4


ここは25... b5!? 16. axb5 a4 とパスポーンを早めに作ってしまうのもありですが、急がなくてもビショップナイトの働きの差で黒の優位は揺るぎません。私はもう1つの作戦であるc3 ポーンを狙い、全ての白ポーンを白マスに移動させることにします。白はビショップが完全に閉じ込められ、悲しい状況です...

27... Kf8 27. f3 Nc5 28. Kf2 Ke7 29. Ke3 Kd6 30. g4 Nxb3!



白の30手目を見て、ポーンエンディングでも黒勝ちを確信しました。基礎的なポーンエンディングをきちんと勉強しておくと、こうしてピースを捌く判断が正確にでき、確実な勝ちを手繰り寄せることができるようになります。、

31. cxb3 Kc5 32. Kd3 Kb4 33. Kc2 g5!


この手以外はおそらく勝てないでしょう。g4-g5 として黒のポーンを固定するプランを防ぎ、逆に白のg,fポーンを固定してしまいます。黒には進めることができるポーンが3つ (しかもcポーンは2回に分けて動くこともできます。) あるため、テンポ調整も容易で簡単に白をツークツワンクに追い込むことができます。

34. Kb2 h6 35. Kc2 Ka3 36. Kc3 c5 37. h3 f6 38. Kc2 Ka2-+



こうしてオポジションを取り、b1 から潜り込んでb3 を落とせば黒の勝ちです。手番が逆であればドローになるのが、エンドゲームの難しくも面白いポイントですね。

39. Kc3 Kb1 40. Kd3 Kb2 41. Ke4 Kxb3 42. Kf5 Kxc4 43. Kxf6 Kd5 44. Kg6 c4 45. Kxh6 c3 46. Kxg5 c2 0-1


白の反撃は遅く、先にクイーンを作ることのできた黒の勝ちです。最初から最後まで、満足のいくゲーム内容でした。最終戦の青嶋くんとの試合も手堅く指せ、危ないところは無かったのでそれも良かったです。

Fukuda, T (JPN, 1740) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 0-1
Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Scott, T (JPN 2190) 1-0
Otawa, Y (JPN, 2122) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Yesbolatova, A (KAZ, 1814) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Tran, T T (CM, JPN, 2338) 1/2-1/2
Shiomi, R (JPN, 2046) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 0-1
Aoshima, M (FM, 2350) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2

今大会中、8月開催予定だった女子選手権、ユース選手権、カデッツ選手権の3大会は中止が発表されました。次の大会の見通しは立っていませんが、また試合会場で皆さんとお会いできることを楽しみにしています。次の大会でもよろしくお願い致します。

2019/07/18

2019 CTCA International Chess Open R1


オープニングセレモニーのマジックショーで、アシスタントとして壇上に呼ばれるTiviakov

今日から台湾の高雄での大会が始まりました。試合初日の今日は、午前中のオープニングセレモニーからプログラムが始まります。太鼓の演奏、子供たちのダンス、マジックショー、ゲストたちの挨拶と続き、私たち夫婦はTiviakov, L'Ami らと一緒に壇上に上がって、大盤の前でマスターとして紹介を受けました。その際の写真もどこかにアップされると思いますので、楽しみに待っていようと思います。

午後からは早速初戦がスタートします。私は1300台が相手で、レイティング差を考えれば色に関係なく勝たなければいけない試合でしたが、蓋を開けてみれば危ないところもある難しいゲームでした。

Hwang, C (TPE, 1398) - Kojima, S (IM, JPN, 2391)
2019 CTCA International Chess Open (1)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. d4 exd4 4. Bc4 Nf6 5. e5 d5 6. Bb5 Ne4 7. Nxd4 Bc5 8. Nxc6?!



Scotch Gambit のこの変化は初めて指しますが、事前の研究で早めのナイト交換はリスクが高いと知っていました。しかし、ラインを思い出しながら実際に指してみると一苦労です。

8... Bxf2+ 9. Kf1 bxc6 10. Bxc6+ Kf8 11. Qd3!?


11. c4 Ba6 12. b3 dxc4 13. Ba3+ Kg8 14. Qxd8+ Rxd8 15. Bxe4 Bd4 16. Nc3 cxb3+ 17. Ne2 Bxa1-+ このラインはAnderssen によって1800年代の後半に指されています。本譜のクイーンが上がってf1-a6 のダイアゴナルをカバーするアイディアは、Bc8-Bf5 からクイーンがターゲットになること、黒が上手いタイミングでBc8-Ba6 ができればクイーンとキングが危険な一直線上に並んでいること、Ne4-Nc5 が当たることなどが気になります。

11... Qh4



11... Bf5! 12. Qf3 (12. Qxd5 Qh4! 13. Bxa8 Bb6 14. g3 Qh3+ 15. Ke1 Bf2+ 16. Ke2 Qh5+ 17. Kd3 Nf6+-+) 12... Bd7! 13. e6 (13. Bxa8? Bb5+-+) (13. Bxd7 Qxd7=/+) 13... Bxe6 14. Bxa8 Qxa8 こうしてエクスチェンジを捨てて代償が十分という変化は読めませんでした。分岐にあるQd3-Qxd5 ができなくなったタイミングで、Bf5-Bd7 と下げるのは面白いアイディアですね。

12. Bxd5! Bb6 13. Be3 Ba6?


ここはかなり悩んで指したつもりでしたが、ひどい手でした。13... Ng3+ 14. hxg3 Qxh1+ 15. Kf2 Rb8 ならば、上記と違って白が駒を捨てて満足なポジションです。私はこのエクスチェンジを取りにいくアイディアでは白キングが安全になってしまい、つまらないと判断しました。しかし、実際には本譜の手が成立していないので、この変化しか黒には選択肢がありません。

14. c4?


互いに読み落としていたのは、14. Qxa6! Bxe3 15. g3! これで黒クイーンの良い行き場がなく、白が勝勢ということです。15... Qh3+ 16. Ke2+- 黒は複数のピースがアタックされており、助けることができません。

14... Rd8!-+



これでルークが素早くプレーに参加できるため、黒がはっきり良くなったと思いました。

15. Bxb6 axb6 16. g3


16. Qxe4 Qxe4 17. Bxe4 Rd1+ 18. Kf2 Rxh1-+ このエクスチェンジアップは問題なく黒が勝てるでしょう。

16... Nxg3+ 17. Qxg3 Qxg3


ここはクイーン交換したエンドゲームが十分勝ちだと思っており、もう1つの変化をしっかり読みませんでした。17... Bxc4+! 18. Bxc4 Qxc4+ 19. Kg2 Rd3!-+ 本譜に自信が無ければ、このルークが跳びこむところまで読んでいたでしょう。

18. hxg3 Rxd5 19. Na3 Rxe5-+



これではっきり黒が駒得し、ビショップ vs. ナイトのアドバンテージもあります。後は丁寧に指すだけです。

20. Rd1 Ke7 21. Kf2 Re8!? 22. Rxh7 Kf6 23. Rf1 Kg6 24. Rh2 Re2+ 25. Kg1 Rxh2 26. Kxh2 Re2+ 27. Kg1 Rxb2


h7 を取らせて一時的にポーンを返しても、b2 を取りかえせば相変わらず黒勝勢です。

28. Rf2 Rb4 29. Rc2 c5 30. Rc3 Kg5 31. Rc2 Kg4



c4, a2 をターゲットにして白の駒を動けなくし、その間に黒キングを前進させます。

32. Kg2 f5 33. Kf2 g5 34. Kg2 Bb7+ 35. Kf2 Be4 36. Rd2 Ra4 37. Nc2 Bxc2


ここは37... f4 からナイトの跳ぶマスを抑えても勝ちですが、ルークエンディングも明快です。

38. Rxc2 Ra3 39. Rb2 Rxg3 40. Rxb6 Rc3 41. a4 f4 42. a5 Rc2+ 43. Kf1 Kg3 44. Rb3+ f3 45. Rb1 Rh2 0-1



試合後の解析で自分のブランダーを知って愕然としました。相手がどういったレベルであれ、油断していればいつ負けてもおかしくありません。気を引き締め直して2R に臨もうと思います。

2019 CTCA International Chess Open R2 Pairings

明日は午前午後、ダブルラウンドの1日です。私は1600が相手ですので、ここも勝ってTiviakov らと全勝状態で当たれるように頑張ります!


朝食のみ1階のレストラン、昼食、夕食は20階の宴会場(上の写真) でいただきます。本来の宿泊についている朝食に比べ、追加された昼食、夕食は少し寂しいことも分かりましたので、今は明日の朝食が楽しみです(笑)

2019/05/05

Japan Chess Championship 2019 Day 5 Tournament Report


Photo by Yamada, A

今年もGWに開催されていたチェスの全日本選手権は、昨日無事に全日程を終了して閉会しました。優勝して新チャンピオンとなったのは、スタートから一度も落ちることなくトップを走り続けた青嶋くんです。最終戦績は驚きの9勝1ドローで、私とのドロー以外全て勝ちました。青嶋くん、初の日本チャンピオンタイトル獲得おめでとう!

1st Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2313) 9.5/10
2nd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2395) 8.5/10
3rd Place Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2324) 7/10
4th Place Asaka Samuel (AUS, 2169) 6.5/10

Japan Chess Championship 2019 Final Standings


私は4日目、5日目で1勝1ドローずつだったため、青嶋くんと1P離され、今年も2位に終わりました。7勝3ドローという戦績ははたから見れば上出来ですが、これで優勝できないのは厳しいですね。それでもレイティングは+5で、2400ジャストに再び戻ります。戻るたびにもう2400を割りたくないと思っていますが、こんどこそ叶うでしょうか(笑) また今年はFIDE戦が多くなりそうですので、引き続き頑張ります。

2014年の全日本で10勝1ドローという、今回の青嶋くんばりの戦績で優勝した南條くんは、今回の戦績にとても満足できないでしょうが、最終戦でテクニックを見せて東野さんを破り、3位に滑り込んだのは流石でした。オーストラリアから数年前に日本に来たサミュエルくんは、当時からさらに実力を伸ばし、今回初めて2200到達と全日本入賞を達成しました。入賞者の皆さん、おめでとうございます!


表彰後、優勝コメントをする青嶋くんです。全日本優勝はチェスを初めて4年半前から、FM獲得と並んで目標としてしたいたとのこと。過去3回の全日本では優勝できずに悔しい思いをしたが、4回目で達成できて嬉しいという内容でした。FMタイトルを昨年末の香港で、全日本選手権優勝をこのGWで達成した青嶋くんの、次なる目標はやはりIMタイトルでしょうか。先輩プレーヤーとしては、そんなに簡単じゃないぞと言いたい気持ちもありますが、その反面で素直に応援したいですね。

青嶋くんは昨年秋のクラブ選手権以降、香港の大会、東京チェス選手権、そして全日本選手権と3大会を負けなしで乗り切り、しかも全て優勝しています! 今回の全日本でのFIDE公式戦10試合では、レイティングを46伸ばし、6月の更新で2359になる予定です。これは日本のプレーヤーとしては歴代4位の数字で、この勢いであれば2400にいつ乗ってもおかしくないと感じてしまいます。今年後半のトーナメントでも、どんな活躍を見せてくれるか今から楽しみですね。


そろそろ私の試合解説に移ろうと思います。9Rで松尾さんとドローになり、優勝が相当厳しくなった状況で、最終戦の塩見さんとの試合に臨みます。トップと1P差で最終戦、しかも相手は塩見さんに黒というのは、Sam Collins が優勝した2009年と同じでした。その時も感じましたが、優勝云々とは関係なく、トーナメントは勝って締めくくりたいものです。

Shiomi, R (JPN, 2072) - Kojima, S (IM, JPN, 2395)
Japan Chess Championship 2019 (10)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. d4 exd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nxc6 bxc6 6. Bd3!?



塩見さんとの試合は、Scotch Four Knights になると想定していましたが、このラインはほとんど知りませんでした。d7-d6 では弱気すぎるので、ここはポーンをぶつける1手です。

6... d5 7. e5 Nd7


試合後に塩見さんからは7... Ng4 8. O-O Bc5 とするのが多いと教えてもらいました。g4 にはナイトは跳びづらいかと思いましたが、Qd8-Qh4, h7-h5 も黒にはあるため、白は簡単にh2-h3 がしづらいでしょう。ただし本譜のナイトが退く変化も十分に指せる手です。

8. O-O Be7 9. Qg4?!



e5 にポーンを刺したのであれば、それを活かしてf6 のマスを抑え続けるような状況で戦うのが良いと感じました。本譜の手は典型的でアグレッシブに見えますが、ここではポーンを交換して黒は満足な流れです。9. Re19. f4 で一度e5 を守っておくべきだと思います。

9... Nxe5! 10. Qxg7 Bf6 11. Qg3 Nxd3 12. Qxd3


12. cxd3!? としてキャスリングを妨害したまま、将来的に開いたcファイルからc6 を攻めるのもありえると思います。

12... O-O 13. Nc3 Rb8!



研究していたScotch Four Knights のラインで、似たポーンストラクチャーで開いたb,eファイルから、ルークをダイナミックに使うアイディアを勉強していました。このゲームでもその構想がばっちりはまりました。

14. Rb1 Bg7!? 15. Bf4 Rb4!


黒マスビショップは当然c7 を狙うように展開してくると思ったので、その浮いたピースをアタックしに先程のルークを使います。Rb8-Rb6 からcポーンを突き、6段目でキングサイドに振る構想も頭に少しありましたが、すでに開いている4段目でルークは十分使えました。

16. Qg3 Qf6!



この手は塩見さんにとって予想外だったと思います。私としてはc7 を守ってパッシブに指し続けるよりも、最後のマイナーピースである白マスビショップを展開できるようにし、c2 への反撃を早く作りたいと考えていました。黒マスビショップをg7 に退いたことも、gファイルを閉じてキングを守ることだけでなく、このクイーンの上がるスペースを作るアイディアとつながっています。

17. Bxc7 Rg4 18. Qd6??


この手ではもう試合が決まってしまいます。18. Qd3 Bf5! 19. Qd2 Qg6! 20. f3 Rd4 から黒はc2 を取りかえして優勢ですが、白はその展開を受け入れるしかありませんでした。

18... Qf3! 19. g3 Re4! 20. Nxe4 Bh3 0-1



白のブランダーと白マスの弱さをつき、勝負は早々に決しました。今大会は白番で3ドローと苦戦した代わりに、黒番で5戦5勝でした。Caro-Kann を封印し、新しい武器として研究に取り組んできた1...e5 で、こうして成果が出せたのは嬉しく思います。


全日本選手権と並行で開催されていたゴールデンウィークオープンでは、フランスから来た生徒の心くんが5/6 で優勝しました! 日本のチェスのオープントーナメントで、11歳が優勝したというのは過去最年少の記録ではないでしょうか。小学生選手権ではないですよ。

今年からゴールデンウィークオープン(旧ゴールデンオープン) もFIDE公式戦となり、入賞者のうち3人はFIDE籍が日本ではない、国際色豊かなトーナメントになりましたね。両大会の参加選手の中から、また新たなレイティング保持者も生まれますので、日本でももっとFIDE公式戦が気軽にできることを願っています。大会運営陣の皆さん、そして参加者の皆さん、6日間お疲れ様でした。また次のトーナメントでもよろしくお願い致します。

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