2017/11/30

七盤初心者のためのチェスレッスン


今日は新しい企画の告知です。ボードゲーム界隈では有名で、知る人ぞ知る清澄白河のどうぶつしょうぎ Cafe いっぷくにて、初心者向けのチェス講座を持たせていただくことになりました。チェスのルールを覚えた人が、さらにチェスを楽しんで続けたいと思えるような内容をお届けしたいと思っています。

日程: 12/15(金) 19:00-21:00
会場: どうぶつしょうぎ Cafe いっぷく(最寄り駅、清澄白河駅)
参加費: 2000円

私はいっぷくにはこれまで数回足を運び、囲碁やどうぶつしょうぎ、バイソンといったゲームを楽しませていただきました。普段はチェスの集まりに参加することがほとんどですが、こうしたボードゲームカフェでは他のボードゲームのプレーヤーと交流できることが、大きな魅力だと思っています。普段、いっぷくを訪れながらも、なかなかチェスを教わる機会がない、興味はあるけどやったことはないといったかたに、是非参加していただきたいと思います。またこの機会にチェス界の人たちにも、いっぷくに興味を持ってもらえると嬉しいです。

講座の予約はいっぷくのHP から可能です。当日ふらりといらっしゃるかたも参加OK にしていますが、予約していただくのが確実だと思います。それでは12月15日を楽しみにしております。

七盤初心者のためのチェスレッスン

2017/11/29

Saturday Lecture on 9th December 2017


Fressinet, L - Munoz, M
Barcelona Masters 2017 (7)
White to move

【日時】 2017年12月9日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Typical Combination
【テーマ詳細】

今年最後のレクチャーは、コンビネーションについてです。チェスのアタックというものは、単体の攻撃ではなく、複数のピースの攻撃の組み合わせによって生み出されることが多いでしょう。その組み合わせ方には様々な種類がありますが、過去のゲームから何度も見られる典型的な組み合わせというものが存在します。よく知られているにもかかわらず、強豪プレーヤーでも見落としてしまう、そして何度見ても美しい、そんなコンビネーションをご紹介しましょう。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2017/11/27

Hakodate Chess Tournament 2017 Day2


1日遅くなりましたが、函館チェス大会2日目のレポートです。初日、連勝だった5人は2日目の3R からぶつかり合いを始めます。私は初対戦となる札幌チェスクラブの吉井さんに勝ち、杉本さんはなつみに勝ち、高校生の金城透弥くんはお父さんの康弘さんに負けで、3連勝は私と杉本さんだけになりました。当然4R ではこの2人の対戦です。

Sugimoto, K - Kojima, S
Hakodate Chess Tournament 2017 (4)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. Bg5 Be7 5. Nc3 Nbd7 6. e3 h6 7. Bh4 O-O 8. Rc1 c5!?



久々にQueen's Gambit Declined を試してみます。昨年の夏、Misha に敗れてからお蔵入りしていましたが、今回は早めにc7-c5 を仕掛けるProfessional Variation を見つけ、初めて実戦投入しました。

9. Bd3 b6!?


他のラインと混同していました。9... dxc4 10. Bxc4 cxd4 11. exd4 a6 としてIQP にするのが手持ちの本の勧めですが、もちろん本譜でも大丈夫です。

10. cxd5 Nxd5 11. Bxe7 Nxe7 12. Be4 Rb8 13. d5?! Nf6



ここは素直に13... exd5 14. Nxd5 Nxd5 15. Qxd5 Qe7 16. Bb1 Nf6 と進めていたほうが良かったかもしれません。私はBc8-Ba6 にこだわらず、本譜のようにe6 にビショップを展開しても、黒はピースの展開の早さとクイーンサイドポーンマジョリティで十分なポジションだと考えていました。

14. dxe6 Bxe6 15. Bb1 b5! 16. O-O Qb6!


クイーン交換を避け、ルークをセンターに回す準備をします。

17. b3 Rfd8 18. Qc2 Bf5 19. e4 Bh7 20. Qe2 Re8 21. Rfe1 Nc6



これで面白いポジションになったとゲーム中は考えていました。e3-e4 を突かせたことで、e4 をターゲットにするだけでなく、d4 のアウトポストを活用しにいきます。

22. Qd2 Nd4 23. Qf4 Qe6


試合後にゲームを並べなおしていて、ここはすぐにナイト交換をする選択肢もあったと考えなおしました。黒がe4 をターゲットとして徹底的に狙うのであれば、ナイトを捌いてからルークを2つeファイルに重ねるプランもありです。

24. Nd2!? Rbd8 25. f3 Rd7 26. Nf1!



d4 にナイトを残させてくれるのはありがたいと思っていましたが、ナイトを組み替え、白もd5 のアウトポストにナイトを刺す形を目指すプランを軽視していました。残り時間を使い、これを阻止する方法を探しましたが、良い答えは見つかりませんでした。

26... Nh5 27. Qh4 Qe5 28. Ne3 Nf4 29. Ned5 g5 30. Qg3 Rxd5


この手ではアドバンテージのないエンドゲームになることは分かりつつも、もう一つの候補手にはイマイチ自信が持てませんでした。30... b4!? 31. Nxf4 bxc3 32. Nh5! Qe7 33. Rxc3 Bg6 このように進めば、黒はc3 でポーンを1つ取られてしまいましたが、d4 の強力なナイトは残せるため、まだ難しいポジションだったでしょう。

31. exd5 Nde2+ 32. Nxe2 Nxe2+ 33. Rxe2 Qxe2 34. Bxh7+ Kxh7 35. Qf2



エクスチェンジを取り戻し、駒を捌けばイコールのエンドゲームが待っています。ここから先も続けますが、チャンスは作れませんでした。

35... c4 36. bxc4 bxc4 37. Qxe2 Rxe2 38. Rxc4 Rxa2 39. d6 Rd2 40. Rc7 Kg7 41. Rxa7 Rxd6 42. Kf2 Rd2+ 43. Kg3 Kg6 44. Kh3 Rd3 45. Ra2 h5 46. Kg3 h4+ 47. Kf2 h3 48. gxh3 Kh5 49. Ra5 Kh4 50. Rf5 Rd2+ 51. Ke3 Rxh2 52. Rxf7 Ra2 53. Rh7+ Kg3 54. Rg7 Ra5 55. f4 Ra3+ 56. Ke4 Ra4+


今大会は進行の都合上、開始から2時間経過して終わらないゲームは、両者続行の意思を確認したのち、残り時間に3分を足したうえ、1手の増加を2秒にするという変則ルールでした。増加が2秒になったことを忘れ、残り時間が3秒ほどになった瞬間はかなり焦りました(笑)

57. Ke5 Ra5+ 58. Ke4 Ra4+ 59. Ke3 Ra3+ 60. Ke4 Ra4+ 1/2-1/2



策を弄してみても、勝ちは望めませんでした。このドローで全勝者はいなくなり、決着は最終戦に持ち越されます。

最終戦では私は妻のなつみに、杉本さんは渋谷くんにそれぞれ勝ちで、互いに4.5/5 でフィニッシュとなりました。タイブレークは私が0.5P差で敗れ、杉本さんが優勝となっています。杉本さん、おめでとうございます!

1st Place Sugimoto, K 4.5/5
2nd Place Kojima, S 4.5/5
3rd Place Shibata, M 4/5


今大会、初めてお会いしたり、対戦したりするプレーヤーも複数おり、なじみのメンバーとだけではない交流ができて、有意義な遠征となりました。1月に開催予定の名古屋の同時対局にも参加したいと言ってくれたかたもいて、とても嬉しかったですね。表彰式後は子供たちの持ってくる本やボードにサインを贈り、お世話になったかたに挨拶をして会場を後にします。


空港では夕飯とデザートのソフトクリームをいただき、ぎりぎりまで山田さんとお話をして、2泊3日を過ごした函館を去る... そんな予定でした。ところが、金曜から天気の怪しかった函館は、この日も雪と雨で滑走路のコンディションが悪く、なんと予定していた便が欠航になってしまいました! 私も国内外、多くの遠征をしてきましたが、空港まで着いて飛行機が飛ばないというのは、今回が初めてのことです。仕方がないので1日滞在を伸ばし、函館市内へと戻っていきます。


明けた月曜日の今日は、15時の飛行機までまだ見ぬ函館の観光地を探します。これまで函館に来た際は、必ずと言って良いほど函館駅前の朝市に足を延ばしていましたが、先日弘平くんから地元民が通うという別の市場、自由市場の存在を教えてもらったので、今回はそちらを選びました。喫茶店、マルシェは自由市場内にあり、コーヒーだけではなく市場の新鮮な魚介が楽しめるという一風変わったお店です。こちらで自由海鮮丼を頼み、好きなネタを指定すると、店主がその足で市場を巡ってネタを買い付けてきてくれます。面白いやり方ですが、少し割高だったような気もしますので、次は自分で買ったネタで好みのどんぶりを作ってみましょうかね。

今回の滞在でも、函館の多くの人にお世話になりました。特に山田さんには4日間ほぼ付きっ切りで相手をしていただき、いくら感謝してもし足りません。こうした遠征のたびに、地方の様々なプレーヤーのサポートもあって自分が活動できていると実感しますの、様々な形でこれからも感謝の気持ちを示していけたらと思います。

2017/11/25

Hakodate Chess Tournament 2017 Arrival and Day1


函館空港を泳ぐ戸井のマグロ

この週末は金曜夕方から函館に来ています。到着日の金曜は函館の天気が荒れ模様ということで、目的地が変更になるかもしれないというアナウンスもありましたが、なんとか定刻通りに函館に到着できました。夜には函館チェスサークルの教室にお邪魔して、今年も子供たちを中心としたメンバーとの同時対局です。19時半前には参加希望者が17人も集まり、なかなか大規模な同時対局になりました。


2時間あまりの時間をかけて14面まではメイトになり、残り3面も私が大きな駒得になったことで、山田さんの判断で終わりとしました。1年ぶりの函館での同時対局は、子供たちが力をつけてきたこともあって苦戦するボードもありましたが、なんとか全て勝てて一安心。翌日の大会も楽しみになります。同時対局後、保護者たちからは結婚祝いやお菓子のプレゼントもあり、とても暖かく歓迎していただきました。


この日の夕飯は、函館でも3本の指に入るというお寿司屋さんに連れていっていただきました。握りの形や色つやを一目見るだけで、食べる前から美味しいことが分かります! このほかにも茶碗蒸しや一品料理をいただきつつ、山田さんとは1時近くまでチェスの話で盛り上がっていました。


翌日からは年に一度の函館チェス大会がスタートします。今回が最後になるかもしれないということで、札幌からも複数のプレーヤーが駆け付けてくれました。22名で始まった大会は、初日の2試合を終えて5人が連勝です。


Kinjo, Y - Kojima, S
Hakodate Chess Tournament 2017 (2)

18. Rg4 Qh5+


私は勝負を決めにいく1手はまずクイーンだと思っていましたが、コンピュータは18... Ng3+! 19. Kg2 h5 20. Rh4 g5 21. Rh2 g4-+ を指摘します。ナイトをg3 にいつか刺す構想は頭にありましたが、そのまま退かずに残すアイディアは考えていませんでした。

19. Kg1 Qh3?!


最初にf1 のマスを抑えておき、次にNf5-Ng3 からメイトスレットを作ろうと思いましたが、これはやや不正確でした。19... Ng3! 20. Kg2 Ne4!-+ これがベストで、黒は次にナイトをf6 に退いて、ルークを取ることができます。Nf5-Ng3-Ne4-Nf6 のルートは面白いですね。

20. Rxf4?


もちろんこれではだめです。20. Qf1! Qh6 (20... Qxf3? 21. Bd1 Qe4 22. f3 Ne3 23. fxe4 Nxf1 24. Kxf1 dxe4=/+ 私はBb3-Bd1 のアイディアを見落とし、f3 のポーンは取れるものだと思っていました。) 21. Qg2 Kh8 これでも黒の大きなアドバンテージがありますが、ひとまずメイトの危機は去っています。

20... Bxf4 21. Bxf4 Nh4 0-1



明日のペアリングはまだ出ていないようですが、ある程度は予想できています。明日もきっちり勝って、2年連続の優勝を飾りたいですね。それでは参加者の皆さん、明日もよろしくお願い致します。

Hakodate Chess Tournament 2017


2017/11/23

Cappelle la Grande 2018 Invitation


私が最後に参加した4年前のカペル

ここ2年間、全体での招待枠が大幅に減ったカペルのトーナメントですが、今年は日本から2-3枠招待があるそうです。例年通り、宿泊は隣の港町ダンケルクで、そこからバスでカペル村の試合会場に向かいます。日程やタイムコントロールは以下の通りです。

日程: 2018/3/3~3/10
形式: スイス式9R
場所: Cappelle la Grande, France
タイムコントロール: 40手90分+30分+初手から1手30秒

招待選手には、ダンケルクのIbis Hotel 3/3~10 の8泊+朝食がつきます。そのため、大会参加にかかる費用は、基本的に現地までの移動費と食費だけでOKです。かつてはGM が数十名参加し、世界でもっともレベルの高いオープントーナメントと言われたカペルでしたが、スポンサー離れにより昨年は規模が縮小され、GM は2人しか参加しませんでした。今年のレベルはまだ予想ができませんが、それでも参加してみたいというかたは、2017年11月中に私まで連絡をください。私へのメールは、左のContents欄、Contact から送れます。

なお、希望者が招待枠の数を超えた場合、FIDE レイティングの高いプレーヤーを優先とさせていただきますので、その点もご了承ください。なお、過去の大会と違う点はあると思いますが、カペルのトーナメントについてもっと詳しく知りたい方は、私までお気軽にお問い合わせください。それではよろしくお願い致します。

2017/11/14

Qualified Players for Batumi Olympiad from Japan


今夜はオリンピアード代表権に関する重要なお知らせです。先日、ジャパンオープン3日目の記事で、この大会でのオリンピアード代表権獲得は松尾さんのみと書きました。しかし、記事を公開した後で指摘があり、チェス協会に問い合わせたところ、これが誤りであると確認できました。今年のジャパンオープンは5/6 で5人が並んだため、同時優勝という扱いで、3位以下にも代表権が繰り下がります。

そうなると優先順位は全日本入賞者の4人、ジャパンオープン同時優勝の5人、そして全日本の5位以下という順になります。優先順位の高い上位のメンバーは以下の通りです。

Noguchi, K (JPN, 2090)
Kojima, S (IM, JPN, 2402)
Yamada, K (FM, JPN, 2164)
Aoshima, M (JPN, 2265)
Matsuo, T (CM, JPN, 2242)
Nanjo, R (IM, JPN, 2323)
Otawa, Y (JPN, 1895)


私と山田くんは両大会で被っているため、ジャパンオープンの5位までで、この7人となります。上位から全員が参加の意思を示せば、松尾さんまでの5人で決まり、特に今回の変更は関係がなくなります。しかし、1人辞退で南條くんに、もう1人辞退で大多和くんに、そしてさらにもう1人辞退で全日本の5位、中村くんに権利が繰り下がることになります。こうして見ると、ジャパンオープンの最終ラウンド、1-4B で全て決着がついたことは、大きな意味があったと考えられますね。

いずれにせよ先日の記事で書いた通り、誰が代表になり、誰が辞退するかは年明け以降まで分かりません。また確定するころに情報をお届けしたいと思います。先日の記事で代表権について誤った情報をお伝えしたこと、お詫びして訂正いたします。

2017/11/10

Hakodate Chess Tournament 2017 Tournament Information


雪の五稜郭

今月も残り2か月を切り、年内最後のトーナメントを何にするか悩んでいるプレーヤーもいるでしょう。昨年、私たちはラスベガスのトーナメントに参加しましたが、今年はそれに代わる海外大会の案も出ています。そちらはもう少し年末が近くなってから紹介しましょう。

私たちがこの時期楽しみにしているのは、函館のチェス大会です。私は2年連続5回目の参加となります。大会前日には、函館チェスサークルの教室にもお邪魔させていただき、同時対局をやる予定になっています。教室の子供たちが1年でどれほど成長しているか、楽しみにしています。

日程: 2017/11/25(土)、26(日)
会場: 函館市亀田福祉センター
形式: 40分+1手30秒 5Rスイス式
参加費: 1000円 (学生500円)
申し込み締め切り: 2017/11/23(木)

大会は再来週末ですので、関東や他の地方からプレーヤーを募るのであれば、もう少し早めに告知すべきでしたね。北海道近隣から参加を検討しているプレーヤーの皆さんは、是非今からでもエントリーしてみてください。プレーヤーのエントリー状況は、以下のリンクから確認できます。それでは函館の皆さん、今年もよろしくお願い致します。試合だけでなく、観光や食事も楽しみにしています。

函館チェス大会 2017 エントリーリスト
函館チェス大会 2017 大会要項

2017/11/08

Saturday Lecture on 18th November 2017


Mamedov, R (GM, AZE, 2678) - Dubov, D (GM, RUS, 2677)
European Team Championship 2017 (8)
White to move

【日時】 2017年11月18日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Draw or Fighting?
【テーマ詳細】

チェスの試合をやっていると、ドローで満足すべきか、それとも勝ちを求めて続けるべきか、迷うような局面に出くわすことがあります。ドローの状況は3回同一であったり、相手からのオファーであったり、自分からオファーするかであったりと様々ですが、そこではポジションの評価だけでなく、心理的な駆け引きが求められます。今回は、そんなドローにするか続けるか選ぶ状況で、どういったことを考えてプレーするかにスポットを当て、レクチャーを行いたいと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2017/11/07

Simultaneous Event in Nagoya Event Information


昨年の函館での同時対局の様子

名古屋オープン後、情報解禁となりましたので、こちらのイベントについてお知らせします。来年は東海地方にチェス組織が誕生して50周年となり、その記念イベントの第一弾を任されることになりました。名古屋チェスクラブ主催のもと、私と妻の2人で同時対局を行います。年明け早々のイベントではありますが、ぜひ足をお運びください。

日程: 2018/1/7(日) 13時スタート
会場: 東桜会館(最寄り駅、新栄町)
イベント形式: 同時対局
参加費: 3000円 (WCM 同時対局1500円)
申し込み締め切り: 2018/1/6(土)

詳しいスケジュールや申し込み先などは、以下のリンクからご確認ください。私たちにとって初となる名古屋での同時対局、とても楽しみにしております。それでは、よろしくお願い致します。

チェスマスター同時対局イベント

2017/11/06

Japan Open 2017 Day3 Tournament Report


松尾さんと南條くんは欠席で、左から大多和くん、山田くん、私です。

1日遅れましたが、ジャパンオープン最終日のレポートです。5R 終了時点で山田くんが唯一5連勝、そして彼を7人の4P が追う展開となりました。そして最終戦、4P グループで最年少、高校生の大多和くんが山田くんに黒で勝ち! 私が中村くんに、南條くんが東野さんに、松尾さんが松本くんに勝ちで、すべての入賞者が出そろいました。5P で5人が並ぶ最終結果というのは、近年でも稀だと思います。皆さん、お疲れ様でした!

1st Place Yamada, K 5/6 (0 Otawa)
2nd Place Matsuo, T 5/6 (0 Yamada)
3rd Place Nanjo, R 5/6 (0 Matsuo)
4th Place Otawa, Y 5/6 (1/2 Takahashi, Yamada, S)
5th Place Kojima, S 5/6 (0 Katsuta)


タイブレークはこのような順でした。5連勝でずっとトップに立っていた山田くんが1位であるのは順当でしょう。私は2R で負け、やや下のボードでプレーしたことが影響し、タイブレークは5位でした。こればかりは仕方がないですね。追いつくために後半4戦、しっかり勝てたことを収穫にしたいと思います。6位以下の順位やそのほかの結果は、以下のリンクからご確認ください。

Japan Open Final Standings

そしてこの順位はとても重要です。なぜならば、上位2名は来年のオリンピアード代表権を得られるためです。全日本選手権と違い、この代表権は繰り下がりません。そのため、今大会での代表権は山田くんと松尾さんが得るので確定ですが、山田くんはすでに全日本の順位で代表権を持っています。そのため、ジャパンオープンでの代表権獲得者は松尾さん唯一人です。松尾さんがオリンピアードに参加するとなれば、2000年のイスタンブールオリンピアード以来となります。

名古屋オープンに引き続き、力強いプレーを見せてくれた松尾さんがチームメイトに加わってくれるのであれば、とても嬉しいことです。一方で全日本選手権に参加しなかった南條くんは、今大会のタイブレークが3位であるために代表権を得られませんでした。バクー同様、IM 2人が率いるチームにならないことは残念ではありますが、いずれにせよ代表権を持つプレーヤーの誰が参加を表明し、誰が辞退するかはまだ分かりません。オリンピアード代表メンバーがどうなるかは、来年春頃までの楽しみとなりますね。

さて、話が長くなりましたが、最終戦、中村くんとの試合解説に移ろうと思います。中村くんとは今年4回目の対戦で、公式戦での対戦が多い1年になっています。

Kojima, S - Nakamura, N
Japan Open 2017 (6)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e6 6. Bg5!?



前回の中部快速オープンでは、6. g3 を指しましたが、私はオープニングによっては同じ相手に同じラインを2回続けて指さないため、ここで手を変えます。この手を選んだのはなんとなくなのですが、試合後に調べてみるとメインのレパートリーに入れても良い手だと思うようになりました。

6... d5


中村くんはしばらく考えた末、この手を選びました。ありえなくはないですが、彼のレパートリーではIQP を持つものはあまりないため、指し慣れないポジションになるのではないかと思います。6... Be7 7. e3 O-O 8. Be2 Qa5 9. Bh4 がメインラインで、こちらであればd7-d5 からのポーン交換をナイトで取り返し、IQP を避けることができます。

7. cxd5 exd5 8. e3 Be7 9. Be2



サマーオープンでは、剱持さん相手に同じポジションを持ち、9. Bb5 と指しました。試合後に指摘された1ポーンを取る変化は、私は黒が十分なのではないかと思っています。9. Bb5 Bd7 10. Bxf6!? Bxf6 11. Nxd5 Bxd4 12. exd4 Qg5 13. Bxc6 Bxc6 14. Ne3 Rd8! これで黒は勝負できます。d5 をすぐ取る気がないのであれば、ビショップの位置は大人しくe2 で十分です。本譜ではCaro-Kann Panov Botvinnik を白黒逆、なおかつ白が1手得しているイメージでゲームを進めます。

9... O-O 10. O-O Be6 11. Rc1 Rc8 12. Qa4?!


剱持さんとの試合でもこのクイーンの動きが上手くいかなかったのですが、その反省が活きていません。試合中に考えていたほかの候補手、12. Bf4, 12. a3 はどちらもOK です。クイーンがa4 に早く動きすぎる問題点は、Nc3-Na4 の牽制ができなくなるため、Qd8-Qb6 が指しやすくなることです。

12... a6 13. Nxc6 Rxc6 14. Rfd1 h6 15. Bf4 Qc8



私が想定していたマスとは違う場所にクイーンが動きましたが、これはなるほどと思いました。黒はcファイルにヘビーピースを重ねて力を強め、c3 のナイトをピンにします。これに対しては、直前にf4 に退いたビショップをBf4-Be5 と切り替え、c3 をサポートするプランを考えます。

16. a3 Ne4 17. Be5 Rd8


17... Nc5! 18. Qf4 Nb3 19. Rb1 f6 20. Bd4 Bd6!=/+ 試合後、中村くんにはすぐにナイトを退く変化を指摘しました。f7-f6 はキング前を弱めるので多少の抵抗がありますが、白には具体的に弱まった白マスを活用する方法がありません。

18. Na2!?


ビショップでサポートしたとはいえ、c3 のナイトはいずれなんとかしなければいけません。私は早々にa2 のマスにナイトを退き、黒が持つcファイルからのプレッシャーに対抗しようとします。

18... Nc5 19. Qf4 Bg5 20. Qg3 Ne4



試合後、私は中村くんにすぐにdポーンを進めるのはどうかと指摘しました。a2 の浮いたナイトは、黒のビショップのターゲットになりうるものです。20... d4!? 21. f4! お互いに検討では見落としていた変化で、以下のラインをメインでチェックしました。(21. Bf3?! dxe3! 22. Bxc6 exf2+ 23. Kxf2 Rxd1 24. Rxd1 Qxc6 25. Nc3 f6!-/+ 黒はエクスチェンジを捨てていますが、それを十分に補う攻撃のチャンスを持ちます。) 21... Ne4 22. Qe1 Bxa2 23. Rxc6 Qxc6 24. fxg5 Nxg5 25. Bxd4= 白はダブルビショップを持ちますが、ポーンストラクチャーが少し乱れ、形勢は互角と判断できそうです。

21. Qf3 Nd2?


この手は少し考えましたが、ピースを捌くことは黒にとって得になりません。21... Rxc1 22. Rxc1 Qxc1+! (中村くんは検討でこの手を見つけました。) 23. Nxc1 Nd2 24. Qg3 Ne4 25. Qf3 Nd2= 黒は勝負に行っても良いポジションですが、こうしたドローでの決着も面白かったでしょう。

22. Rxd2 Rxc1+ 23. Nxc1 Qxc1+ 24. Rd1+/=



ナイトを捌いてしまえば、単に白がポーンストラクチャーとピースの働きが良いポジションになります。彼が見落としていたのは、e5 のビショップがb2 を守っていたことです。

24... Qc6 25. Qg3! Bf5 26. Bf3! Bf6 27. h3


ここは急がずに、まずはバックランクメイトを外しておきます。27. e4 Bxe4 28. Bxe4 Bxe5 29. Qxe5 Re8! の返し技があるため、白はすぐには駒得になりません。

27... Qe6 28. Bxf6 Qxf6 29. Qf4



ここは早めにポーンを取っておくべきでした。29. Rxd5! Rxd5 30. Bxd5 Qxb2 31. Qb8+ Kh7 32. Bxf7+- これであれば、白はb2 を取らせても勝勢です。私の見落としは、30手目でh3 を取られても、f7 での総交換から 白勝ちのポーンエンディングに持ち込めることです。

29... Qg6 30. Bxd5 Rd7 31. Kh2 Be6 32. e4


ここも安直に指しすぎました。せっかく直前でキングを2段目に逃がしているので、32. Be4! f5 33. Rxd7 Bxd7 34. Bxb7+- と2つ目のポーンを取っておくほうが簡単です。

32... Qh5 33. Qb8+ Kh7 34. Bxe6 Rxd1?


34... Qxd1 35. Bxd7 Qxd7 36. Qe5+/- ならば、おそらく白が勝てるでしょうが、まだ多少先の長いクイーンエンディングでした。本譜はすぐに終わりです。

35. Bg4 1-0



これでd1 のルークを回収し、白の勝ちとなりました。最後は上手く指せましたが、もう少しIQP のミドルゲームでどう指すべきか、勉強をしてみようと思います。

今回のジャパンオープンでは、初めて函館の山田さんが運営に3日間携わってくださり、スムーズにゲームが進行されたと思います。今後もSwiss Manger とChess Results を用いたペアリング、結果発表が続くと良いですね。山田さんに今回お世話になった恩は、月末の函館チェス大会でお返ししようと思います。参加者と運営の皆さん、3日間お疲れ様でした。また次の大会でもよろしくお願い致します。


昨日の妻と東芝さんの3人で、反省会を兼ねての夕飯。適当に決めた店ゆえ期待していませんでしたが、カレーはとても美味しかった!

2017/11/05

Japan Open 2017 Day2 Tournament Report


ジャパンオープンは2日目を迎えました。初日で1敗を喫した私は、上位勢に絡むためにもう0.5P も落とせません。北村くんに3R で勝った後は、麻布の後輩、横山くんとの対戦になりました。横山くんは今年、レイティングを2000に乗せ、今大会でも青嶋くんとドロー、塩見さんに勝ちと好調を維持しています。

Kojima, S - Yokoyama, Y
Japan Open 2017 (4)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 a6!?



以前、青嶋くんにトレーニングで指された手で、私も黒で使ってみても良いと思っていました。前回は6. Bg5 のメインラインを試しましたが、今回はビショップの位置を少し変えてみます。

5. cxd5 exd5 6. Bf4 Bd6 7. Bg3 O-O 8. e3 c6 9. Qc2 Nh5 10. Bd3 g6 11. O-O-O


11. Bxd6 Qxd6 12. h3 Re8 13. O-O+/= このようにおとなしく進めても良かったでしょう。青嶋くんとの試合同様、クイーンサイドのキャスリングをして攻めあうことにしますが、逆サイドからの攻め合いはもちろん多少のリスクがあります。

11... Be6 12. Kb1 a5 13. Ne5 Na6 14. a3 Qe7 15. f4 f5?!



ここはf4-f5 を嫌う気持ちは理解できますが、e5 のマスを弱めてしまうのは好ましくありません。15... Bxe5 16. dxe5 Nc5 で勝負すべきでした。

16. Na4 c5!? 17. Bxa6 Rxa6 18. Nxc5


c5 を取りに行くならナイトの1手です。18. dxc5? Bxe5 19. fxe5 f4!-/+ ならば、次にBe6-Bf5 があります。

18... Rc8 19. Qd2 Bxc5 20. dxc5 Rxc5 21. Rc1 Rb5!?



私はd4 のアウトポストとd5 の孤立ポーン、e5 の強力なナイトで白は十分だと思いました。これに対して横山くんは、cファイルの支配を明け渡してでも、ルークを残してタクティカルなチャンスを求めます。

22. Ka1 Rab6 23. Rc2 d4


次にQd2-Qd4 を許し、白マスビショップを開けなければ黒は苦しいでしょう。ここはポーンを捨ててでも、ビショップのダイアゴナルを開く1手です。

24. Qxd4 Rb3 25. Nc4?!



ここはナイトを退く手がb2 切りを受ける1手だと思っていましたが、コンピュータは全く違うアイディアで白勝ちを示します。25. Rd1!! Qxa3+ (25... Rxa3+ 26. Kb1 Rab3 27. Qd8+ Qxd8 28. Rxd8+ Kg7 29. Bh4+- これでRc2-Rc7 を狙い、白勝勢です。このアイディアが次の変化でも出てきます。) 26. Kb1 Nf6 27. Bh4 Ne4 28. Qd8+ Qf8 29. Be7! Qxd8 30. Rxd8+ Kg7 31. Ka1!!


Analysis Diagram

ここでキングがaファイルに戻る手を示され、これはなんなのかと頭をひねりますが、b2 を取られた際にチェックになることを外しておくことで、Rc2-Rc7 を狙うというものででした。31... Rxe3 32. Bh4!+- これでe1 も受け、白勝勢です。読めません!

25... R6b5 26. Rhc1?!



この辺りはお互いにミスが続きます。26. e4 fxe4 27. Qxe4+/- ならば、まだ白にアドバンテージがありました。

26... b6?


26... Rd5! 27. Qa7 Nxg3 28. hxg3 Rdd3 29. Qb8+ Rd8! 30. Qe5 Rd5! このルークの往復で、クイーンの行き場がないことを見通していました。31. Qb8+ Rd8 32. Qa7 Bxc4 33. Rxc4 Rxa3+ 34. bxa3 Qxa3+ 35. Kb1 Qb3+= 白は局面を進展させることができず、ドローを受けるほかありません。

27. Nd6 1-0



最後はルーク取りと、d8 への跳び込みを見せたところで相手の時間が落ちました。黒が粘るためにはc5 でルークをぶつけ、2つ目のポーンを諦めるしかありません。

今日はなんとか連勝し、上位に引き離されないようにしています。それでも松尾さんと弘平くんの2人が4連勝で、トップを走っています。明日の5R は2人の直接対決があり、入賞者の顔ぶれが決まってきます。ここになんとか食い込めるよう、明日も連勝といきたいですね。明日の5R のペアリングは、以下のリンクからご確認ください。

Japan Open 2017 Round 5


この日は試合後、渋谷で私たち夫婦と塩見さんの3人で、日本シリーズ第6戦を見てきました。(タオル逆でした...) 19年ぶりに日本シリーズに進んだDeNA ベイスターズは、白熱した接戦の末に敗れ、日本一は来年以降の楽しみとなりました。18年目のファンとしては、とても残念ではありますが、気を取り直してチェスを頑張りたいと思います。プロ野球のシーズンは終わっても、チェスのシーズンにオフはありませんからね! ジャパンオープン3日目も、よろしくお願いします。

2017/11/03

Japan Open 2017 Day1 Tournament Report

名古屋オープンに続き、今週末は3日間、ジャパンオープンに参加しています。朝会場に足を運んでみると、エントリーリストになかった日本の上位勢が次々と姿を現し、予想を超えるハイレベルな大会になりました。上位2名は来年のオリンピアード代表の参加権利を得られるため、上位勢の戦いはいつにもまして盛り上がりそうです。私は初戦こそ勝ったものの、2R で早々に躓いてしまいました。

Katsuta, Y - Kojima, S
Japan Open 2017 (2)

1. d4 d5 2. Bf4 c5 3. e4!?



London System にこうしたサイドラインがあるのはなんとなく記憶していましたが、実際に指されるのは初めてです。e2-e4, d2-d4 を白は早くつくため、黒の受け方次第ではギャンビットのつもりで、ポーンを捨ててピースの展開で押すのもありでしょう。私は少し考え、以下のように進めてみることにしました。

3... Nc6 4. Nc3 cxd4 5. exd5 dxc3 6. dxc6 Qa5?!


これはリスキーな選択でした。6... Qxd1+ 7. Rxd1 bxc6 8. bxc3 Nf6= こうして進めてみればなんら不満はないものの、クイーンを消しては少しつまらないと思ってしまいました。同じポーンストラクチャーが乱れるのであれば、クイーンを残したほうがプレーに幅が出ると思いましたが、先述のように白はピースの展開の早さを活かしたプレーに持ち込むことができます。

7. b4!



クイーンをa5 に置いてから、この手の可能性に気付きました。f4 のビショップが浮いているのでなんとかなると思っていましたが、白のアタックは私の予想を超えて強力です。

7... Qxb4 8. Qd5!


シンプルですが力強い1手です。白の狙いはb7 へのプレッシャー、b7 を取ってからのBf1-Bb5、ヘビーピースをdファイルに重ねてのd8 メイトなど豊富にあります。

8... Be6


ここはすでに黒に上手い手がありません。8... Qxf4 9. Rd1!+-, 8... Nf6 9. cxb7 Qxb7 10. Bb5+ Bd7 11. Bxd7++- どちらも白勝ちです。

9. Qf3 Bc8



苦渋の選択でビショップを退きます。私にとって予想外だったのは、思い切ったキャスリングができないことです。9... 0-0-0 10. cxb7+ Qxb7 11. Ba6! Qxa6 12. Qa8++- これもメイトになることに気付き、愕然とします。本譜ではビショップを退いて、3回同一局面になればラッキーぐらいに思っていましたが、勝田くんは当然勝負にきます。

10. Rd1 Nf6?!


本譜のアイディアがるため、Bf8-Be7 からd8 とすぐ守れるようにしなければいけませんでした。10... e5 11. Bxe5 Nf6 12. a3 Qe7 13. Qxc3+/-

11. Bc7!



再び白マスビショップを出すBc8-Bg4 を狙って1テンポ得られると思っていましたが、これを無視してメイトスレットを作れば勝負は決まりです。

11... Bg4


11... e6 12. Rd8+ Ke7 13. Bd6+ Qxd6 14. Rxd6 Kxd6 15. cxb7 Bxb7+- こうしてクイーンを落としても勝負なりません。

12. cxb7 Rb8


12... Bxf3 13. bxa8=Q Bxa8 14. Rd8# これが読み落としでした。白はクイーンを捨ててもメイトにできます。

13. Qc6+ Bd7 14. Bb5 Qxb5 15. Qxb5 Bxb5 16. Bxb8 Bc6 17. Bc7 1-0



清々しいまでの完敗でした。気を取り直して明日からの4戦、頑張ってプレーしようと思います。

初日、2400台は3人ポイントを落としましたが、南條くんは無傷の2連勝。2P は8人まで絞られ、明日からはさらに上位の直接対決となります。今大会は函館チェスクラブの山田さんのもとで運営が行われ、結果やペアリングはChess Results に反映されています。細かな結果や3R のペアリングは、以下のサイトを参考にしてください。それでは2日目も、よろしくお願い致します。

Japan Open 2017 Round 3


2017/11/02

Our Honeymoon in Paris


ハネムーン記事後半です。ロンドンに4泊した後は、パリに1泊してきました。パリまで行くことにし決めたきっかけは、パリに住む生徒の親からの猛烈なアプローチです。ロンドンからパリまではユーロスター(日本でいう新幹線のような高速鉄道)で2時間半ほど。ロンドンまで来ておいて、パリに来ない手はないと誘われました。ユーロスターのチケットは日本で予約し、プリントアウトしたものを持って、セントパンクラス駅に当日向かえば乗車出来ます。


パリ北駅に着くと、駅前広場ではクマの天使が迎えてくれます。ここは待ち合わせ場所としてポピュラーのようで、人がごった返していました。車で迎えに来てもらい、ここからパリ中心街へと向かいます。


カフェで一服しながら作戦タイム。パリはチェーンのカフェでも、内装が驚くほどオシャレです!


パリで最も有名な大通り、シャンゼリゼ通りを進むと見えてくるのは、かの有名な凱旋門です。パリの観光スポットとしては外せません。凱旋門周辺は多くの観光客でにぎわい、写真を撮ったり、上ってパリの風景を楽しみます。ちなみに凱旋門の交差点は、車で入ると抜けるタイミングが分かりづらい難所だそうです(笑)


凱旋門を離れ、グランドパレスやエッフェル塔を横目にパリ市内を移動していきます。そして車を停めて寄ったのは、パリのチェスショップです。ロンドンに続いてパリでもチェスショップを訪れるのは、チェスプレーヤー夫婦のハネムーンならではでしょう。


ショップ内の書籍は、英語とフランス語、どちらも揃っています。品ぞろえもしっかりしていて、最新の本も並んでいます。ロンドンで見て買うかどう迷った本を、再び検討し、購入することにしました。


木製のチェスピースはしっかりとした作りで、このまま公式戦で使用することができます。値段も手ごろでしょうか。


こちらはインテリア色の強いピース。どれがどのピースか分かりませんね(笑) 個人的には、右端のタコが気になります。


チェスショップを出た後は、向かいのビストロで昼食にします。生牛肉に厳しくなった日本では食べにくい、タルタルステーキを私は注文しました。1口食べてパリの食事のレベルの高さに愕然! さすが美食の町だけあります。初めてフランスを訪れた2006年のカペルでも、ダンケルクの町で美味しいタルタルステーキを食べたことを思い出しました。


食後はまたチェスショップに戻ったり、シャンゼリゼ通りでお土産を見たりとゆったり過ごします。シャンゼリゼ通りを凱旋門からルーブル美術館方面を向かっていくと、車で移動していた際に通り過ぎた、グランドパレスに戻ってきました。こちらは正面の写真だけ撮り、反対側のミニパレスに入館して美術品を鑑賞しました。


ミニパレスを出た後は、少し離れた駅のホテルまで行ってチェックイン。そこから車で再び拾ってもらい、夕飯はモロッコ料理を食べに行くことに。ミニチュアのかわいいタジン鍋には、塩が盛られています。


タジン鍋でスパイスとともに調理したお肉を、クスクスとあわせていただきます。私はこの日の夕食の素晴らしさを伝える方法を知らないのが残念でなりません(笑)


宿泊したのは夫婦が経営するこじんまりとしたホテルで、他に日本人のお客さんも泊まっていました。手作りの朝食も含め、贅沢ではなくても丁寧なもてなしに、また宿泊したいと思わせる良いホテルでした。ただし、路地の入口とホテル敷地の入り口にそれぞれ門があり、初めてくるお客さんはどうやって入るのかとても迷いそうです。


パリ2日目は日本でいう原宿のような場所、若者に人気のマレ地区へと足を運びました。LA CAVE 食品館でお土産を見た後は、広場のマーケットを少し覗いてみます。オリーブ屋さんで買ったばかりのオリーブを食べ歩きするのは、日本では珍しくともパリでは普通の光景のようです。


パリ観光とご飯の締めくくりは、ピタサンドを頂きました。この地区では人気のピタサンド屋さん数件が軒を連ね、毎日行列を作っているそうです。私はミートボール入りにしましたが、上にのせられたナスのインパクトがなにより驚きです!


最後は生徒と3ショット。親子で2日間、観光に付き合ってくださったこと、とても感謝しています。ロンドンではビッグベンや大英博物館、パリでもエッフェル塔やルーブル美術館に全く寄らない、いわよる観光スポットをあまり巡らないハネムーンでしたが、ゆったりと楽しく過ごすことができた数日間でした。日本に戻ってきてからは、すでに試合にも参加してそこそこ忙しい日々ですが、仕事と試合の合間には、またこうしてリフレッシュできる旅を交えて生活していきたいですね。

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