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2011/11/25

Play Like Sveshnikov - SS part12 -

Game8

- White plays 13.h4 -


Wyss, J (SUI,2181) - Kojima, S (JPN,2205)
WCh-University 2008 (9)


2008年のユニバーシアードは、私にとって試練のトーナメントでした。2RでモンゴルのFMに勝ったものの、そこからは3連敗、途中でbye にもなりました。この試合は最終戦、最下位ボードでの、互いの意地をかけた一戦です。

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. h4


すでに何回もご紹介したアイディアです。h4 のポーンはターゲットになる可能性がありますが、Game7,8 で見てきたようなBg5-Bd8 というビショップの切り替えを防ぐ狙いがあります。

13... Bh6 14. a4 bxa4 15. Ncb4 O-O 16. Qxa4 a5 17. Nxe7+!?



12...Ne7 Introduction でも見た通り、17. Bb5 Nxd5 18. Nxd5 Be6 19. Bc6 Rb8 がメインの変化です。

17... Qxe7 18. Nd5 Qb7 19. Bb5 Rb8!


19... f5?! 20. Bc6 Qxb2 21. O-O Rb8 22. exf5 Bxf5 23. Ra2 +/= ならば白にチャンスのある展開です。

20. c4 Be6 21. Qa3 Rfd8



21... Bxd5 22. exd5 Qe7= とダブルビショップを消してd5 をポーンで埋めるのも、安全な策でした。

22. Rd1 f5 23. Qxa5 fxe4 24. Qc3 Qf7 25. Ba4 Rdc8


この局面では強烈な手が隠されています。
25... e3!! 26. Nxe3 (26. fxe3 Rf8! -/+) 26... Bxe3 27. Qxe3 Rxb2 -/+

26. O-O Bg4 27. Rde1 Be6 28. Rd1 Bxd5


ここで私はしばらく考え、黒にチャンスがある(と評価した)エンドゲームに突入することを決意します。

29. Rxd5 Qxd5 30. cxd5 Rxc3 31. bxc3 =/+



イコールの異色ビショップ+ルークのエンドゲームになりました。eファイルのダブルポーンを解消すれば、eファイルにパスポーンの残る黒にややチャンスがあると判断できます。

31...e3 32. fxe3?!


白はわざわざ、自分のキングを黒のパスポーンから遠ざける理由がありません。ぶつけられたポーンは、黒から取ってくるのを待つべきです。
32. g4 exf2+ 33. Kxf2 Bd2 34. c4 Rb4

32... Bxe3+ 33. Kh2 Bd2 34. c4 e4


黒は理想的な形でパスポーンを作り、ビショップとルークも良い位置にいます。理論的にも経験的にも、黒には十分に勝つチャンスがあると言えます。しかし、白にもきちんと反撃があり、また黒の正しい筋を見つけるのも簡単ではないため、見た目ほど価値は容易ではありません。

35. Bd7 g6 36. Be6+ Kh8 37. Rf7 h5


白がBg4 からパスポーンを止めるのを妨害するための手です。

38. Kg3 Rb3+ 39. Kf2 Be3+ 40. Ke2 Bc5



白のキングがようやくパスポーンを止めにセンターにやってきましたが、黒はうまくキングの動きを制限します。

41. g4 Rb2+ 42. Kf1 hxg4?!


42...e3?! 43.Rf8+ Kg7 44.Rf7+= (44...Kh6?? 45.h5#)

私は上記のパペチュアルチェックを外すために、ポーン交換に応じなければいけないと考えましたが、ここでコンピュータは思いもよらない手で黒の勝ちを示しました。
42... g5!! -+


g6 にマスを作ることでパペチュアルチェックを外せば、あとはeポーンを突くのみです。
43. Rf8+ (43. gxh5 e3-+, 43. hxg5 e3-+ )43... Kh7 44. Rf7+ Kg6 45. gxh5+ Kxh5 46. Bf5 Rf2+ 47. Ke1 gxh4 -/+

43. Bxg4 Rb1+ 44. Ke2?!


44. Kg2!= ならば、白はhポーンを守りドローに持ち込めそうです。

44... Rh1 45. Rf4 e3 46. Bf3?



これではプロモーションを止めるため、ビショップを捨てなくてはいけません。
46. Re4 Rxh4-/+ とhポーンを諦めなければ、苦しい局面ながらまだ白は試合を続けられます。

46... Rh2+ 47. Kd3 Rd2+ 48. Ke4 e2 49. Bxe2 Rxe2+ 50. Kf3 Rf2+ 51. Kg4 Rxf4+ 52. Kxf4 Kg7 53. h5 gxh5 0-1



こちらの連載は久々の記事更新となりました。このゲームで12...Ne7 の試合解説は終わりとし、次回はこのラインのまとめに入ります。そして、その後は別のラインへと突入です。

2011/10/05

Play Like Sveshnikov - SS part11 -

Game7

- White plays 15.Rxa4 -


IM Lengyel, B (HUN,2267) - FM Kojima, S (JPN,2312)
FSIM March 2010 (5)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. Ncb4 O-O 14. a4 bxa4
15. Rxa4

Game6 と異なり、ルークでポーンを取り返す手も十分考えられます。

15...a5 16. Nxe7+


ナイトを交換して位置を入れ替えるのが、スタンダードなアイディアです。
ピンを利用してピースを展開する手に対しては、一つ面白い変化をご紹介します。

16.Bb5!? Bh3!? 

17. Nxe7+ Qxe7 18. Nd5 Qb7 19. Bc4 Bd7 20. Ra2 Kh8 21. O-O f5 22. exf5 Bxf5 23.
Ne3 Qd7 Dominguez Perez, L - Leko, P / WchT 2001 / 1/2-1/2


16...Qxe7 17. Nd5


ナイトはセンターのアウトポストがベストの位置であることは、疑いようがありません。

17. Nc6?! Qb7 18. h4 Bh6 19. Qxd6? Qxb2 20. Ne7+ Kh8 21. Ng6+ hxg6 22. Qxf8+ Kh7 23. Qd6 Qxc3+ 24. Kd1 Qc1+ 25. Ke2 Ba6+ / Arpijuntarangkoon, J (THA,2000) - Kojima, S (JPN,2225) / BCCO 2008 / 0-1

17...Qb7

Game6 同様に、黒のクイーンは白のbポーンにプレッシャーをかけます。

18. b3


bポーンを守るためには、ルークを下げる手も考えられます。
次のゲームは、私がこのラインを研究するきっかけとなった思い出深いものです。

18. Ra2 f5 19. Bc4 Kh8 20. O-O fxe4 21. Ne3 Qb6 22. Bd5 Ba6 23. Re1 Rad8 24. Bxe4 d5 25. Bf3 e4 26. Bg4 Bc4 27. Nxc4 dxc4 28. Qb1 Qxf2+ 29. Kh1 Rd2 30. Bh3 e3 31. Rxa5 e2 32. g3 Rd1 / Berg, E - Moiseenko, A / Turin ol (Men) 2006 / 0-1

18...Bd7 19. Ra2 f5 20. h4!?


part7 でも説明した通り、このようなポーン突きは攻撃的に見えますが、このポーン自体がターゲットとなります。
20.Bc4 Kh8 ならばスタンダードなポーンストラクチャーになりそうです。

20...Bd8!

ここではh6 にビショップを下げる理由はありません。d8 でa5 のポーンを守りつつ、b6 に出るチャンスを窺います。
h4 のポーンをアタックし続けている点も重要です。

21. Bd3?! Bc6?!


21...Be6! 22.h5 Bxd5 23.exd5 e4 24.Be2 Bf6 -/+
このようなd5 をポーンで埋めた異色ビショップのミドルゲームは、ビショップの働きの差とセンターの厚みで黒が優勢だと考えられます。
本譜のようにc6 からナイトを取りに行っても問題ないと思いましたが、次の手を見落としていました。

22. Bc4!

Bd3-Bc4 とビショップを連続で動かすのは奇妙に見えますが、上記のラインを避けることは白として絶対です。

22...Kh8 23. exf5 Rxf5 24. Ne3 Rf6 25. Bd5


Sveshnikov の理論では、他のマイナーピースを全て交換したうえでの、d5 のナイトvs黒マスビショップは白が有利です。
そのため、この時点で少し作戦を間違えたかと焦りましたが、少し進めてみるとそう簡単でもないことが分かりました。

25...Rb8 26. Bxc6 Qxc6 27. Nd5 Rf7

おそらくハンガリーのベテランマスターであるLengyel は、これで自分の作戦が成功したと思ったでしょう。
確かに、アウトポストのナイトは、黒のビショップを抑え込んでいます。
しかし、黒は早めにfファイルとbファイルからルークでの反撃を準備しています。
さらには白はh4 が弱点となっていてキャスリングができないため、黒としては十分に楽しんで指せるポジションだと言えるでしょう。

28. Rh3!?


白は完全にキャスリングを放棄しました。a2-a4 とh2-h4 からのルーク活用は珍しいですが、指していて非常に楽しい形です。

28...Qc5!


このようなポーンストラクチャーでは、c5 が黒クイーンのベスト位置だと言われます。
a5 のポーンを守りつつ、c3,f2 へプレッシャーをかけます。

29. Rd2 h6


何を指すか迷った際は、安全にキングが上がるマスを作り、将来的なバックランクメイトの危険を消します。

30. Qh5 Rf8 31. Qd1 Rb7!

31...Rf7 32.Qh5 Rf8= も少しだけ考えましたが、この試合は強気に攻めます。
本譜の狙いはfファイルにルークを重ねることです。

32. b4


このようにbポーンをぶつける手は評価が難しいところです。
黒からポーンを交換すれば、白にはbファイルのパスポーンができますが、きちんとブロックすればさほど怖くはありません。
むしろ、黒の弱点であるaポーンを消してしまうことで、黒を楽にさせてしまうという点もあります。

32...Qa7 33. Rf3


黒がfファイルからアタックを作る前にルークを捌こうという魂胆ですが、恥ずかしながら試合中、
ビショップでh4 を取ると何が起こるのか、全く分かりませんでした。
私はこのように自分で読めない際は、もらえるものをもらっておく主義です。

33...Rxf3 34. Qxf3 Bxh4 35. Qf8+ Kh7 36. Qxd6


なぜかd6 を取られることが全く読めておらず、36.Qf5+?! g6 =/+ ばかりを考えていました。
しかし、白はうまくセンターのポーンを崩したように見えますが、h4 のビショップはセンターに取り残されたキングに襲いかかります。

36...axb4!

aファイルは黒のアタックを通す重要なルートとなります。

37. cxb4 Qa1+ 38. Rd1 Qb2 39. g3?

ビショップを追い払おうと何気なく指したこの手が、決定的な敗着となります。
f2 を守りつつ黒の次の手を防ぐ、39.Qf8! が絶対の一手で、これならばまだ勝負は分かりません。

39...Rf7! -/+


これで勝負ありです。白にはf2 を守る満足な方法がありません。

40. Rd2 Qb1+ 41. Rd1


41.Ke2 Bxg3! -+

41...Qe4+ 42. Ne3

この局面でのドローオファーには耳を疑いました。老人なりのジョークだったのかもしれません。

42...Bxg3 -+ 43. Qd3 Qxd3 44. Rxd3 Bxf2+ 45. Ke2 Bxe3 46. Rxe3 Rb7 47. Rb3 Kg6 48. Kd3 0-1


このポジションで次の手を待たず、白はリザインしました。
このゲームは私のSveshnikov の中でも、次のGame8 と並び、最も印象深いものの一つです。

2011/10/03

Play Like Sveshnikov - SS part10 -


Game6

- White plays 15.Qxa4 -


FM Theerapappisit, W (THA,2307) - Kojima, S (JPN,2225)
BCCO 2008 (9)


タイのFM Theerapappisit (タイ人は名字も名前も長く、名前を略して呼ぶことが多いです。) とは、2006年のトリノオリンピアードでも対戦しています。その時は絶好調の彼になぜか私が土をつけてしまったのですが、試合後には仲良く焼うどんを食べに行きました。

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8.
Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. Ncb4!

d5 のナイトをサポートする正しい位置です。13.Nce3?! と違い、d5 のマスをコントロールし続けることができます。

13...O-O 14. a4 bxa4 15. Qxa4


c2 のナイトが早めに動くこのラインでは、a4 をクイーンで取り返すことができるのが特徴です。

15...Nxd5 16. Nxd5 Bd7

ここでクイーンをどこに逃がすかは、今後の展開に大きく影響します。

17. Qa5!?


白はクイーンをぶつけてきました。Sveshnikov では、黒はほとんどのラインで孤立したaポーンをa6 からa5 に進めます。
それは白のb2-b4 を防ぐと同時に、a6よりもa5のほうが狙われにくい位置であるためです。
本譜では白がクイーンをa5 に置くことで、黒のa6-a5を防ぎますが、黒にもうまい対応があります。
ちなみに他のクイーンの避け場所は以下の通り。

17. Qa2 a5 18. Bc4 Kh8 19. O-O f5 ⇆ / Iwasaki, Y - Kojima,S / Japan Open 2008 / 0-1
17. Qa3 Bc6 18. Bc4 a5 19. b3 Kh8 20. O-O f5 ⇆ / Viela, M - Kojima, S / WCh-University 2008 / 1-0
17. Qc2 a5 18. Bc4 Rc8 19. Qe2 Kh8 20. O-O f5 ⇆ / Jakovenko, D - Carlsen, M / Dortmund 2009 / 1/2-1/2


17...Qb8!

クイーン交換を避けつつ、bポーンへのカウンターを狙います。そしてさらにもう一つの狙いが重要です。

18. b4 Bd8!


d8 のマスはビショップの組み替えに利用します。Bg5-Bd8 というアイディアは、このラインでは特に重要です!

19. Qa2 a5 20. Bc4 Bc6 21. Qb1!?N


良いトライです。私のデータベースでは、黒が優勢になった以下の試合しか見つかりません。
22. Rb1?! Bxc4 23. Rxb8 Rxb8 24. Qxc4 Rb1+ 25. Ke2 Rxh1 -/+ / Berg, E - Carlsen, M / Faaborg Midtfyn Blindfold Cup 2007 /1/2-1/2

21...axb4 22. Rxa8 Bxa8 23. Qxb4 Ba5!

ルークとクイーンを連結させつつ、ビショップをアクティブに使います。
バックランクでのチェックがあるため、白はこのビショップを取ることはできません。

24. Qxb8 Rxb8 25. O-O!?


25.Kd2!? もありえますが、ここで白は安全な選択をしました。

25...Bxd5 26. Bxd5 Bxc3


黒はポーンアップになりましたが、f7 を睨む白のビショップは強力であり、ルーク交換を避けつつポジションを改善することは容易ではありません。

27. g3 Bd4 28. Rc1 Bc5 29. Ra1 1/2-1/2

Ra1-Ra8 からのルーク交換が止められないため、ドローにしました。
ナイトを早々に交換しにいくために異色ビショップになりやすく、駒得になっても勝ちにくいことは、このラインの弱点と言えるかもしれません。

2011/09/29

Play Like Sveshnikov - SS part9 -

Game5

- White plays 13.Nce3 -


Sakai, H (JPN,UR) - Kojima, S (JPN,2225)
Japan Chess Championship 2008

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. Nce3?!

d5 のナイトをサポートできるので、一見するとこの手は自然に思えます。
しかしe3 のナイトは、g5 のビショップでいつでも消すことができてしまいます。
Part8 でもあった通り、13.Ncb4 が正しいナイトの位置です。

13...O-O 14. Bd3 Bxe3 15. Nxe3 Bb7 16. O-O d5!

黒はダブルビショップを消しましたが、その代わりに弱点であったd6 のポーンとd5 のマスを解消することに成功します。

17. exd5 Nxd5 18. Qh5 g6!?

一時的にポーンを取らせますが、簡単に取り返すことができます。

19. Qxe5 Re8 20. Qd4 Nxe3 21. fxe3 Qe7


21... Bxg2 22. Kxg2 Qg5+ 23. Kf2 Rad8 24. Qf4 Qxf4+ 25. exf4 Rxd3 26. Rad1 も考えられる変化です。

22. Bc2 Rad8 23. Qf4 Qxe3+ 24. Qxe3 Rxe3 25. Bb3 Rd7

ポーンを取り返し、形成互角のポジションです。しかしもちろん、勝負はどちらに転ぶか分からないものです。

26. Rf2 Kg7 27. Raf1 f5 28. g4?


自分のキングを危険にさらす手です。b7 のビショップが睨んでいることを忘れてはいけません。

28...Re4! 29. h3 Rd3


黒はすかさずルークを侵入させ、全てのピースで白キングを攻めます。スレットである...Rxh3-Rh1# をどう防ぐか難しいところです。

30. Rf3?

30. Rd1! がうまいディフェンスで、31.Rd7+ がビショップ取りのスレットになっているため、黒はルークを交換せざるをえません。
大抵の場合、ピースを交換することはディフェンス側にとって有利です。

30... Rxf3 31. Rxf3 Rxg4+! 32. hxg4 Bxf3


これで黒のポーンアップです。あとはキングとキングサイドのパスポーンを前進させます。

33. gxf5 g5!

2コネクテッドパスポーンを残すのが正しい判断です。f5 のポーンは数手後に、簡単に取ることができます。

34. Kf2 Be4 35. Be6 Kf6 36. Bc8 a5 37. Ba6 b4 38. cxb4 axb4 39. a3 bxa3 40. bxa3 h5 41. Be2 h4 42. a4 Kxf5 43. a5 g4 44. Bf1 Ke5?!

ここまでは順当に進めてきましたが、どうしても白のパスポーンが気になってしまいました。
44... g3+ 45. Kg1 Kg4 で問題なく黒の勝ちです。

45. a6 Kd6?


一つポーンを進める手を抜かしてしまいました。45... g3+ 46. Kg1 Kd6 -+ で再び黒勝ちです。
白キングはポーンに近づくことができないため、a6 のポーンを取りに行く余裕があります。

46. a7 Kc7 47. Bd3??


47. Ke3! Bc6 48. Kf4 h3 49.Bxh3 ならばドローです。

47... g3+ -+

ようやくgポーンが3段目まで進みました。これでようやく黒勝ちです。

48. Kg1 Bb7 49. Ba6 h3 50. Kf1 Bxa6+ 0-1


お互い甘いところが目立ちますが、今年のジュニアチャンピオンである酒井くんとの思い出のゲームでした。

2011/09/26

Play Like Sveshnikov - SS part8 -

- Black plays 12...Ne7 -

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7!?

これが私が愛用していたSveshnikov の一変化です。アイディアは単純で、黒は早々にd5 のナイトを消しにいきます。白はダブルビショップを放棄してまで手に入れたアウトポストのナイトを、簡単に手放すわけにはいきません。次の白の手は、試合の流れを大きく左右します。

13. h4

白としては勝負に行く一手です。このポーンは将来的にターゲットになる可能性がありますが、一方で黒がビショップをBg5-Bd8 と使い直すチャンスを消す狙いがあります。次回から扱うラインとゲームは、以下の通りです。

a) 13. Nxe7?! Qxe7 14. Bd3 O-O 15. O-O Bb7= Hasan, M - Kojima, S / DATMO 2007 / 0-1
b) 13. Nce3?! O-O 14. Bd3 Bxe3 15. Nxe3 Bb7 16. O-O d5!= Sakai, H - Kojima, S / Japan Chess Championship 2008 / 0-1 (Game5)
c) 13. Ncb4 O-O 14. a4 bxa4 15. Qxa4 Nxd5 16. Nxd5 Bd7 17. Qa5!? / Teerapabpaisit, W - Kojima, S / BCCO 2008 / 1/2-1/2 (Game6)
d) 13. Ncb4 O-O 14. a4 bxa4 15. Rxa4 a5 16. Nxe7+ Qxe7 17. Nd5 Qb7 18. b3 Bd7!? / Lengyel, B - Kojima, S / FSIM March 2010 / 0-1 (Game7)

13...Bh6 14. a4 bxa4 15. Ncb4

e3 のマスはビショップで抑えられているため、b4 を利用してセンターのナイトをサポートするのが正しいアイディアです。

15... O-O 16. Qxa4 a5 17. Bb5 Nxd5 18. Nxd5 Be6 19. Bc6 Rb8 20. b4 axb4 21. cxb4 Bxd5 22. Bxd5

13.h4 のラインでは代表的なポジションです。ナイトと入れ替わりでd5 を抑えたビショップは強力ですが、h4 とb4 が弱点になっています。

22...Kh8!?


クイーンをd8 にキープしたままにすることで、白のキャスリングを妨害します。b4 をすぐ狙いに行く手もありえます。

22... Qb6 23. O-O Qxb4 24. Qd7 Kh8 25. Ra6 / Sano, T - Kojima, S / Nagoya Open 2008 / 0-1

23. b5 Qb6 24. Bc6 Be3! 25. Ra2


このビショップを取れば、パペチュアルチェックでのドローに落ち着きます。
25.fxe3 Qxe3+ 26.Kd1 Qd3+ 27.Ke1 Qe3+ 28.Kd1=
Analysis Diagram

25...Bd4 26. Qc2 Qd8!= Ganguly, S - Zhou W / Asian Continental 2009 / 1/2-1/2


古いデータベースを見ていたところ、このラインを研究した記録が出ていたのでご紹介しました。次回からは再びゲームの解説に戻ります。

2011/09/22

Play Like Sveshnikov - SS part7 -

- 9.Nd5 Introduction -



それではいよいよ今回から、最も中心的なラインである7.Bg5 - 9.Nd5 のラインに入っていこうと思います。

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5!


part1 のIntroduction でも書いたとおり、現在はこの手がベストだと考えられています。
白はf6 のナイトを消すことで、d5 のマスを長期的に支配します。

7...a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3

これがSveshnikov のメインラインの、基礎的なポジションになります。
ここからいくつが分岐があり、このポジションから黒がどんな2手を選択するかがポイントです。
まずは最も良く指されるメイン中のメインから、手のアイディアを見て行きましょう。

- Black plays 0-0 and Bg5 -

11... O-O 12. Nc2


白は端にいるナイトをセンターに戻すと同時に、aポーンを突いて黒が伸ばしたクイーンサイドのポーンを崩す準備をします。

12...Bg5

まずはキャスリングと...Bg5 の組み合わせからです。
黒の...Bg5 はSveshnikov では非常によく見られる手であり、黒マスビショップをアクティブにする狙いがあります。
黒はダブルビショップを保持しても良いですし、Nce3 とd5 をサポートしに来た白のナイトを取ってしまっても良いでしょう。

13. a4!

こちらは白にとって戦略的にとても大切な手です。
黒が早くに伸ばしたbポーンを崩すことにより、ビショップをc4 のマスで使えるようにします。
13.Be2?! も指されないことはないですが、13.a4 に比べれば働きが弱いことは明らかです。
また13.a4 としたことで、黒のaポーンが孤立し、弱点になる点にも注目です。

13...bxa4 14. Rxa4 a5 15. Bc4 Rb8!


基本通り、ルークは開いたオープンファイルへ回します。
このようなbポーンへのカウンターは、Sveshnikov ではよく見られる黒のアイディアです。

16. b3 Kh8!

e4 にポーンが残っている形でも、黒はf5 を突きにいきます。
e4 のポーンがなくなることでd5 のマスの支配を弱め、白マスビショップとf8 のルークをアクティブにする狙いです。

17. O-O f5 18. exf5 Bxf5


fファイルが開く典型的なSveshnikov ポジションになりました。
白黒互いに主張する点があり、バランスが取れていると言えるでしょう。

19. Nce3 Bg6 20. Re1= Anand, V - Kramnik, V / Corus A 2005 / 1/2-1/2


細かい解説は省きましたが、黒の12...Bg5 や、白の13.a4 という手のアイディアを、
ひとます理解していただければOKです。これらの手は、他のラインでもしばしば見られます。
それでは次に、黒が白の狙いを防ごうと少し捻ったアイディアのラインを見てみましょう。

- Black plays 0-0 and Rb8 -



11... O-O 12. Nc2 Rb8!?

次はキャスリングと...Rb8 の組み合わせです。bファイルが開く前にルークをbファイルに回す狙いは、白のa4 を牽制することです。
つまりは「a4と突くならば、...bxa4 から ...Rxb2 でポーンを取ってしまうぞ」ということです。
こうなると白はまた違ったアイディアを考える必要があります。13.Be2?! では面白くないのは、先述の通りです。

13. h4!

これがメインとされる白のアイディアです。
白はa4 を止められた代わりに13...Bg5 を防ぎ、黒がビショップをアクティブにすることを妨害します。

13...Be7


黒もまた、先程のラインとは違ったピースの組み方を考える必要があります。
このビショップはg5 で使えない代わりに、もう一つの理想的なマスを目指します。
ちなみに13...Bxh4?? 14.Qh5 は当然ダメです。

14. Nce3 Be6 15. Qf3 Qd7!

ビショップをf6 から退いたことと、ルークをb8 回したことが、この手を可能にします。
Nxf6+ - gxf6 はポーンストラクチャーが乱れ、a8 にルークがいたままでは、Nd5-Nb6 がナイトフォークになります。

16. Rd1 Bd8!


これがクイーンをd7 に上げた狙いです。黒マスビショップはチャンスを見てb6 に移動します。
b6 は黒のビショップにとって、白のキングに近いf2 をアタックする良いマスであり、g5 と同様にSveshnikov ではよく利用されます。
f8-e7-f6-e7-d8-b6 の大移動です。

17. Bd3 Ne7 18. Bc2 b4 ⇆ Karjakin, S - Eljanov, P / EU-ch 6th playoff 2005 /1-0


黒はd5 のナイトを消す準備をしつつ、今度はbファイルを自ら開きにいってカウンターを作ります。
ここでは白のh4 や、黒の...Bd8 といったアイディアを覚えておいてください。

- Black plays Rb8 and Bg5 -

11...Rb8 12. Nc2 Bg5!?

次はすでにご紹介したアイディアのミックスです。
a4 は牽制したいけど、ビショップはg5 で使いたいと考えたとき、このような手の組み合わせになります。
これはかなりうまくいきそうに見えますが、白は黒キングがまだセンターにいることを見て、複雑なポジションを作りにいきます。

13. a4!


11...Rb8 を指されていても、あえてaファイルをこじ開けます!

13...bxa4 14. Ncb4!

b2 を落とし、ルークが7段目に入ってくる展開は望ましくないため、ナイトでbファイルに蓋をします。

14...Nxb4 15. Nxb4


ここはあえてポーンストラクチャーを乱す、15.cxb4!? も考えられます。
ちょっと手順は違いますが、有名な以下のゲームを貼っておきます。

11... Bg5 12. Nc2 Rb8 13. a4 bxa4 14. Ncb4 Bd7 15. Bxa6 Nxb4 16. cxb4 O-O 17. O-O Bc6 18. Rxa4 Bxa4 19. Qxa4 Qe8 20. Qxe8 Rfxe8 21. b5 f5 22. b6 ∞ Anand, V - Van Wely, L / Corus A 2006 / 1-0

15...Bd7 16. Bxa6 Qa5!

d6 のポーンをわざと取らせてしまいます。狙いは...Rxb4 - Qxa6 です。

17. Qxd6 Rb6 18. Qd3 Be7 19. Nd5 Rxb2 20. O-O


20.Nxe7 Kxe7 は強力ないナイトを消し、h8 のルークを試合に参加させるチャンスを与えてしまうだけです。

20...Qc5 21. Rab1 Rxb1 22. Rxb1 O-O 23. Bb5 Be8!? 24. Bxe8 Rxe8=
Leko, P - Illescas Cordoba, M / Madrid Magistral 7th 1998 / 1/2-1/2


これら3つのSveshnikov のメインラインを抑えておけば、基本的な白黒のアイディアを理解することができるでしょう。
どの変化も黒で指して、満足に勝負ができると私は考えています。
しかし、ここまで書いておきながら、実は私は公式戦でこれらを指したことが全くありません。
私が使っていたのは、11...Bg5 12.Nc2 Ne7!? という一風変わった変化です。
2006年頃までは上記のラインに比べかなりマイナーでしたが、Shirov, Carlsen といった、
2700オーバーのトッププレーヤーが使い出したことを受け、徐々に人気が高まってきました。
このIntroduction が長くなりすぎてしまったため、12...Ne7 は次回の記事から解説を始めます。

2011/09/21

Play Like Sveshnikov - SS part6 -


- White plays 7.Be3 -

Game4


IM Szalanczy, E (HUN,2280) - FM Kojima, S (JPN,2312)
FSIM March 2010 (10)


この試合は吉祥寺チェスクラブでの、エンドゲームをテーマとしたレクチャーで扱いました。
試合全体の公開は、初めてだと思います。

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Be3!?

前回の7.a4!? に引き続き、これもまた珍しい手です。白の狙いはNc3-Nd5 からのBe3-Bb6 だと考えられます。

7...a6 8. Na3 Rb8!?


うろ覚えでしたが、The Easiest Sicilian で勧められている手です。b5を突く前に、白からのBb6を警戒しておきます。

9. Nab1!?


c3に出てd5をサポートするというアイディアは理解できますが、チェスのセオリーから考えれば驚くべき一手です。
このナイトは9手中5手動かされ、g1からb1へと移動しました。
この大会中、パソコンが盗まれる事件が発生したため、この試合のプリパレーションは十分にできませんでしたが、
後日調べてみると彼の得意なラインでした。

9...Be6 10. Nd5!? Bxd5 11. exd5 Qa5+ 12. Nc3 Ne7 13. Bc4 b5 14. Bb3 Nf5!?

10.Nd5 を指された直後は、14...b4 でd5のポーンを取ることができると考えました。
しかし、私はb3のビショップの利きが開き、f7がアタックされることを気にして、悩んだ挙句に本譜を選択しました。

15. O-O Be7 16. Bg5 O-O 17. Bxf6 Bxf6 18. Ne4 Be7 19. c3

かなりユニークな手順でしたが、Sveshnikov らしいポーンストラクチャーになってきました。
Game2,3 でも見てきた通り、黒はポーンをf5 に進めたい形です。

19...Nh4!


f5 を突く準備として、ナイトをf5から動かします。
ここでe5,f5 にポーンを並べることができれば、白の強いナイトを追い返せるうえ、
c2に退こうとしているビショップの働きを抑えることができます。

20. g3 Ng6 21. Qh5 f5 22. Ng5 Bxg5 23. Qxg5 e4=/+

試合中、この辺りで黒の優勢を確信しました。
センターに向かおうとするナイトは、白の抑え込まれたビショップに比べ、パワフルであることは明らかです。

24. f4 b4


e5 のマスを抑えるために白はf4 にポーンを進めましたが、黒はこれをアンパッサンで取るべきか悩むところです。
私はeポーンをパスポーンとして残すために取りませんでしたが、24...exf3 25.Rxf3 Ne5 でも確かに黒が良さそうです。

25. Rac1 Rbe8 26. Qh5 Kh8 27. Rfe1 Ne7 28. Qd1 Rc8

最初はeポーンをガンガン進めようとeファイルにルークを回しましたが、c3を狙うほうが有効であると気付き、ルークを使いなおします。

29. Qd4 bxc3 30. Rxc3 Rxc3 31. bxc3 Rc8 32. Re3 Qc5!

プロテクテッドパスポーンとグッドナイト、c3の弱点の3つを見て、クイーンを交換したエンドゲームで勝てると判断しました。

33. Qxc5 Rxc5 34. c4 Nc8?!


次の白の手を見落としており、この手は無駄になってしまいました。34...a5 を先に指しておくべきです。

35. g4 g6 36. gxf5 gxf5 37. Rg3 a5 38. Rg5 Ne7 39. a4

黒は次に39...a4 からaポーンとcポーンを交換すれば、うまくeポーンを進めつつ勝てるでしょう。
それを止めるための39.a4 でしたが、b3のビショップ自体が浮いてしまうため、結局ルークの侵入を許してしまいます。

39...Rc8! 40. Kf2 Rb8 41. Bd1 Rb2+ 42. Be2 Ra2

これでポーンアップとなり、さらには二つ目のパスポーンができます。後は丁寧に指していくだけです。

43. h4 h6 44. Rg1 Rxa4 45. h5 Rb4 46. Ra1 a4 47. Ra3 Nc8!


34手目で失敗した構想に再びチャレンジします。
このナイトはb6 に置いてc4 を狙うか、c5 に置いてe,aポーンのサポートをすれば、もはや怖いものなしです。

48. Rg3 Rb3 49. Rg6 a3!

白にhファイルのパスポーンを与えても危険はないため、ポーンを返す間にaポーンを進めます。

50. Rxh6+ Kg7 51. Rg6+ Kh7 52. Rg1 a2 53. Ra1 Rb2!


通常、ルークはパスポーンを後ろからサポートするのがベストとされますが、
ここでは横利きも使い、白のキングを牽制しておくほうがベターです。
あとはナイトがパスポーンのサポートに参加すれば、ゲーム終了です。

54. Ke3 Nb6 55. Bf1 Na4 56. Bh3 Rb3+ 0-1

最後はどうしようもありませんが、ビショップが落ちたため、白はリザインしました。
もちろんこのミスがなくとも、Na4-Nc5-Nb3 で終わりです。
ここまで長々とサイドラインをご紹介してきましたが、次回からメインの7.Bg5 に入ります。

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