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2016/05/13

Modern Benoni with Nf6-Nh5


Modern Benoni は、特徴的なポーンストラクチャーを持つ面白いオープニングです。黒はd6 に弱いポーンを抱え、e4-e5 のブレイクも気をつけなければいけませんが、e4 やb2 への反撃、クイーンサイドのポーンマジョリティなどでチャンスを作ります。

そんなModern Benoni の中で時々見られるピースのマヌーバリングが、Nf6-Nh5 です。狙いは白のBc1-Bf4 を防ぐことや、すでにf4 にきたビショップの追い返し、f4 のマスへのナイトの侵入、f7-f5 突きなどが挙げられます。昨年末に公開された完全なるチェックメイトでも、Fischer がSpassky に対して、Modern Benoni でNf6-Nh5 と指したゲームが、作品の大きな鍵として扱われています。

Spassky, B - Fischer, B
World Championship 28th (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 c5 4. d5 exd5 5. cxd5 d6 6. Nc3 g6 7. Nd2 Nbd7 8. e4 Bg7 9. Be2 O-O 10. O-O Re8 11. Qc2 Nh5!?



Fischer にとってすでに崖っぷちとも言えた、世界チャンピオン決定マッチの3R で出た妙手です。黒はポーンストラクチャーを乱してでも、クイーンとビショップのダイアゴナルを開き、マッチの流れを引き寄せる大きな白星を手にしたのでした。

そんなModern Benoni のNf6-Nh5 について、日本のプレーヤーが指した手がChess.com の最新記事で紹介されています。記事を書いたのは、最近日本に越してきたアメリカのIM Jeremy Silman です。

Chess Patterns Are For Everyone


Mitsuya, N - Fukuya, N
Japan Open 2015(3)

1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 e6 4. Nc3 exd5 5. cxd5 d6 6. e4 g6 7. Nge2 Bg7 8. Ng3 O-O 9. Be2 a6 10. a4 Re8 11. O-O Nbd7 12. f3 Nh5!?



詳しいゲームの流れは記事内で見てもらうことにしますが、このタイミングでのNf6-Nh5 は、黒マスビショップをd4 に置き、白が弱めてしまったg1-a7 のダイアゴナルも利用できるので、非常に上手い手になっていると思います。私もMisha に習ったことですが、一般的に弱点となることでも、相手に付け込まれる心配が無ければ問題ないという考え方があります。ここでは、黒はキング前のポーンストラクチャーを乱しても、その代わりにピースをアクティブにし、早く攻撃することで、白に攻める隙を与えなければ大丈夫なわけですね。

Jeremy Silman はこれからオリンピアードに向け、日本の女子チームをサポートしてくれるそうです。今後、彼の協力の元で、女子だけでなく日本のプレーヤー全体のレベルが上がったり、日本のプレーヤーがもっと注目されるようになると良いですね。

2012/09/06

Junta's Column

オリンピアード真っ最中ですが、少しその話題を離れます。昨日、オーストラリアのFM 池田惇多くんから、自分たちのブログで私についての記事をアップした、と連絡が入りました。少し前に記事を書かせてもらっても良いかという打診があり、是非にとお願いしていましたものです。

The first Japanese IM? FM Shinya Kojima


惇多くん、送った写真を使って、素晴らしい記事を書いてくれてありがとう。余計な写真とコメントについては、目をつぶります(笑)個人的には、私の棋譜や解説を見て、私の長所、短所を分析している点などが面白いと感じました。

2012/08/16

World University Championship 2012


今日はちょっと趣向を変え、中村君からのメッセージをお届けします。


慶應チェスクラブの中村尚広です。
このブログをお借りして、'WUC Chess 2012'の告知をさせてください。

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World University Championship(WUC)は、その名の通り大学生の世界大会です。
二年に一度開催されるユニバーシアードとは異なりチェスだけの大会で、ちょうど開催が交互になるよう、こちらも一年飛ばしで行われています。

今回の開催地はポルトガル北部のギマランイシュ(Guimaraes)、ポルトから少し離れた、城や教会などの史跡が残っている歴史深い町です。試合会場はミーニョ大学となっています。

<大会スケジュール>
AUGUST 19 Opening Ceremony
AUGUST 20 1st Round, 2nd Round
AUGUST 21 3rd Round
AUGUST 22 4th Round, 5th Round
AUGUST 23 6th Round, 7th Round
AUGUST 24 8th Round
AUGUST 25 9th Round, Closing Ceremony


日本からは、昨年度の学生選手権の成績を考慮して、次の2名が参加します。

学生チェス連盟代表・早稲田大学3年
篠田太郎 (1918)

慶應大学修士1年
中村尚広 (2053)

篠田くんとは既に4つの海外大会を共にしているので、チームワークは完璧(のはず)です。とはいえ今回は二人きりで、今までコーチをしてくださっていた先輩方がいないので、うまくフォローしあって頑張っていきます。

その先輩方には、ひょっとして私も含まれているのでしょうか(笑)確かに2人にとっては初めての、年上の日本人プレーヤーがいない海外大会ですね。今後は後輩を率いて海外大会に参加できるよう、経験を積んできてください。

他国の顔ぶれについては、未だプレーヤーリストが公開されていないので分かりません。ただ、例年の感じだとかなりの強豪たちが集まるでしょう。楽しみです。

ちなみに私が参加した2008年のWUCでは、レイティング2181 のプレーヤーが、男子セクションの最下位でした。プレーヤーのレベルは年によって様々ですが、マスターたちも多く参加すると思いますので、彼らからポイントを取ってきてくれることを期待しています。

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私と篠田くんにとっては、WUCは一つの区切りの大会です。というのも、ふたりとも今年度末には就活を控えているため、しばらく大きな大会に出れなくなる可能性があるのです。
「ここまで積み重ねてきたものが出せるよう、がんばります」(篠田)とのことですが、私もいままでの集大成のつもりで臨みます。

また、WUCの後には、チェス界のビッグイベントであるイスタンブール・オリンピアードが待っています。オリンピアードメンバーに(良い意味で)プレッシャーを掛けられるよう、良い結果を残したいと思います。

なるほど。日本代表が大学生代表よりも悪いパフォーマンスでは、日本のチェスファンに示しがつきませんね。お互いに好成績が残せるよう、頑張りましょう!

公式HP(http://chess.wuc2012.uminho.pt/)では'Live Streaming'ページもあるので、試合風景をご覧いただきつつ、応援していただければ幸いです。
よろしくお願い致します。

中村尚広

2012/04/17

Chess-playing Japanese Shogi champions


Chess-playing Japanese Shogi champions

すでにご存じの方も追いかと思いますが、日本に関係する記事がChessbase のニュースに掲載されました。昨年秋のフランスで行われた、国際将棋フェスティバルに関してです。もちろん羽生さんと森内さんが、フランスチャンピオンのVachier-Lagrave と同時対局したことにも触れられています。

この記事の中で面白いのは、オランダチャンピオンのAnish Giri や、Vachier-Lagrave が将棋に興じる様子が描かれていたり、将棋の棋譜が掲載されている点です。私は将棋はさほど詳しくないのですが、フランスのWGM Almira さんが(2枚落ちとは言え)森内さんに勝った棋譜は面白かったです。最後の詰みも何とか読めました。

今週末に迫ったCheck Mate Lounge もそうですが、チェスプレーヤーと将棋棋士の交流により、多くの人がこれらのゲームに興味を持ってくれると嬉しいですね。昨年の国際将棋フェスティバルの記事がChessbase に出たことは、日本人にとって大きなメリットになると思います。

2012/01/22

Go! Go! Dark Horse!


私が昨年、チェス界に現れたプレーヤーに、”新人賞"を与えるとすれば、上智大学の4年の馬屋原君をおいて他にありません。昨年6月の新人戦で全勝優勝、12月の学生選手権では4勝2敗で5位に食い込みました。

馬屋原君のJCA公式戦 でのここまでの戦績は、9勝3敗1ドローで、最初につくレイティングは1900近くになると、私は予想しています。ところが、大学生以外のプレーヤーは、そんな彼のことをまだ良く知らないと思います。そこで今回は、彼に突撃インタビューをしてきましたので、その内容をご紹介いたします。


Q1. チェス歴とチェスを始めたきっかけは?

A1. 大学3年の春の新勧でチェスサークルに勧誘され、そこでルールを覚えました。
そのため、チェス歴はもうすぐ2年になります。また、自分は将棋サークルの部長だったので、
将棋とチェスのサークルを掛け持ちすることになりました。


チェス歴2年に満たずに、この実力とは驚きです!

Q2. チェスはどうやって鍛えた?

A2. 最初はチェスサークルで太田さん(Sophia Chess Circle の創設者)に色々と教えてもらいました。
SCC の部室には、太田さんの置いていった本がたくさんあります。


太田君は上智卒業後の現在も、後輩の育成に力を入れているようで感心です!

Q3. チェスと将棋の違いについては、どう思う?

A.3 チェスには持ち駒がないので、その分将棋よりも選択肢が少なくて楽です。
オープニングの知識不足も、将棋で鍛えた読みで補っています。
エンドゲームは独特で面白いと思いますが、まだよく分からないところが多いです(笑)


知識不足という割に、オープニングもある程度詳しいように思います。
エンドゲームの世界にも、これからどっぷりと浸かってみよう!

Q4. 学生選手権の感想は?また、4/6、5位という戦績についてはどう思う?

A.4 まず、南條さんとは当りたくありませんでした(笑)
試合をして、彼は別格だと感じました。


(馬屋原君は学生選手権の最終ラウンド1Bで、南條君と対戦し、敗れています。)

そして60分+1手30秒のような、長い持ち時間のゲームは初めてで大変でした。
これまではラピッドのゲームが多かったので。
他大学との学生と交流できたのは面白かったですが、
目標は4.5Pだったので、それに届かなかったことは残念です。


普通に考えればURで4Pは上出来すぎるとも言えますが、目標がさらに高かったとは驚きです!
確かにもう0.5P 取れていれば、入賞ラインに届いていましたね。

Q5. これまでチェスをしていて思い出深かったり、印象が強かったゲームは?

A5. 吉祥寺チェスクラブで行われた四大学交流戦で、尚広さんに勝ったゲームです。

慶應の中村尚広君とは同じ89年生まれなので、今後とも切磋琢磨して腕を磨いてほしいと思います。

Q6. 4月から社会人ということだけど、今後の目標は?

A6. 3月の百傑戦で権利を獲得し、5月の全日本選手権に出場したいです。
4月からのスケジュールはまだ分かりませんが、土日は空きそうなので今後とも試合に出続けようと思います。


やる気十分なようで嬉しいです。馬屋原君の実力ならば、順当に百傑で権利を取れるでしょう。頑張って下さい!



馬屋原剛

1989年12月27日生まれ
現在、上智大学4年、Sophia Chess Circle 所属
趣味はチェス、将棋、詰将棋の解答&創作

2011/11/29

Breaking the Dragon's tusk

Chees.com で通信チェスを始めて、そろそろ2か月がたとうとしています。以前も少し触れましたが、このサイトで面白いのはオープニングを限定したトーナメントがあることで、私は現在、Sicilian Dragon, Caro-Kann, Caro-Kann Advanced, Nimzo-Indian の4つのオープニングのトーナメントを、同時進行中です。今日はそんな中から、Sicilian Dragon のトーナメントでの一戦をご紹介します。

Shinya_Kojima (2043) - rcbasadre (1898)
Chess.com Slay and Unslaying Dragon - Round 1

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 g6 6. Bc4!?



スウェーデンのGM Jonny Hector がこのラインで高い勝率を残しているのを見て以来、是非指してみたいと思っていました。ちなみにDragon 限定のトーナメントのため、5...g6 までの局面がすでに用意されており、6. Bc4 が第一手目扱いとなります。

6... Bg7 7. O-O O-O 8. Re1 Nc6 9. Nb3!?



Hector の得意な変化は9. Bb3 Bd7 10. Bg5!? という、Bc4 のメインに近いアイディアですが、私はここでナイトを退く珍しい変化を試してみました。b3のマスをナイトで埋めてしまうのは、ビショップが退けなくなるため変に見えるかもしれませんが、ビショップはf1に向かえば何ら問題はありません。

9... a6 10. Bg5 Be6 11. Nd5 b5 12. Bf1 Ng4?!


e5のマスを抑えに行くアイディアは理解できますが、g4はナイトの位置としてやや不安定です。このような形では、ゆっくりとe7へプレッシャーをかけ続けながら手を探します。12... Bxd5 13. exd5 Ne5=

13. c3 Rc8?



自然に見えるこの手がかなり悪く、白の優勢を確信しました。本譜の手順でクイーンサイドが崩壊します。
13... h6 14. Bh4 Re8 15. a4+/=

14. a4! bxa4 15. Rxa4 a5 16. Nxa5+-



e7にプレッシャーがかかっているため、黒はこのナイトを取ることはできません。後は押せ押せです。

18 Bxd5 17. exd5 Nce5 18. Ba6 Rc5 19. Nb7 Qb6 20. Nxc5 Qxc5 21. Rxg4 Nxg4 22. Qxg4 Qxd5 23. Bxe7 Rb8 24. Bc4 Qd2 25. Bxf7+ Kh8 26. Rd1 Qxb2 27. Bxd6 Rd8 28. Bxg6 Qxc3 29. Qh4 1-0



進行中のSicilian Dragon トーナメントの状況は以下のリンクから確認できます。このまま全勝優勝を目指します!

Slay and Unslaying Dragon - Round 1

2011/11/08

中部快速オープン Games and Comments part2

中部快速オープンレポートの後半です。まずはR4のゲーム内容から。

R4/ W/ 塩見亮 (2161)/ Draw/ Sicilian Alapin



塩見さんとは例年よりも多く試合をしています。今年5試合目の今回は、白番で久々にSicilian Alapin を使ってみました。途中怪しく1ポーン、続いてビショップをサクリファイスしてみました。黒のピースが使いづらいことを考えれば、長期的な代償があったと思います。


しかし時間切迫により、ありえないブランダーが私から飛び出て、一気に敗勢に。最後はお互い時間がなく、ドローで手を打ちましたが、丁寧に続けてれば塩見さんが勝ったと思います。どうも今年の塩見さんとのドローの試合は、内容がイマイチです。ともあれ、負けの試合を拾ったことで、互いに3.5/4 で優勝への望みをつなげます。

R5/ B/ 馬場雅裕 (2240)/ Win/ French McCutcheon



そして例年よりさらに多いのが、馬場さんとの試合です。公式戦では今年6回目の対戦で、夏以降は黒が多くなっています。
名古屋オープン同様、優勝するためには最大のライバルを黒で降すしかありません。

Baba, M (2240) - Kojima, S (2387)
Chubu Rapid (5)

1. d4 e6 2. e4 d5 3. Nc3 Nf6 4. Bg5 Bb4!?



French Defence McCutheon Variarion です。ブリッツやネット上での対戦を含め、初めて指しました。
黒で勝ちにいくには、良いチョイスだと考えます。

5. e5 h6 6. Bd2 Bxc3 7. bxc3 Ne4 8. Qg4 Kf8 9. Bd3 Nxd2 10. Kxd2 c5 11. h4 c4 12. Bf1!?



このようなポーンストラクチャーでは白マスビショップが使いづらいため、(Be2-Bh5 という使い方もあります。)
一旦戦場から退け、e2をナイトが跳ぶマスとして活用します。

12... b5 13. Rh3 Nc6 14. Ne2 a5 15. a3 Bd7 16. Rf3 16... Ne7 17. Ng3 b4!



私はここが仕掛け時だと判断しました。McCutheon に限らず、このようなポーンストラクチャーでは典型的なブレイクです。

18. Nh5


ポーンを捌く18. axb4 axb4 19. Rxa8 bxc3+ 20. Rxc3 Qxa8 =/+ ならば、
黒がクイーンサイドの突破によるアドバンテージを持ちます。

18... bxc3+ 19. Kc1?!


馬場さんはこの位置もあると試合後に言っていましたが、この後の展開を考えれば、19.Ke1 が正解でした。

19... Rg8 20. Qf4 Nf5 21. g4?



典型的な攻めですが、ここではうまくいきません。c1のキングが負担となります。
21. Rb1 Rb8 22. Rxb8 Qxb8 23. Rxc3 Qb6 -/+

21... g5! 22. hxg5 hxg5 23. Qh2 Nh4?!


ベストの手を逃がしてしましました。
23... Qb6! 24. Rxc3 Qxd4 25. Qh3 (ナイトがまだf5にいるため、本譜と違い、g3のマスにクイーンがいけないことがポイント) 25... Rh8!! -+

24. Rxc3 Qb6 25. Nf6 Qxd4 26. Qg3 Ba4 27. Rb1!?



27. Nxg8 Kxg8 =/+ とエクスチェンジを取るのも、白としては一つの選択肢です。
それでも黒はセンターポーンと、相手の白マスビショップを抑え込んでいることにより、やや優勢のまま試合を進められるでしょう。

27... Rg6


私はf6のナイトがうっとうしかったため、エクスチェンジを自分から切るつもりでしたが、ここではルークをhファイルで活用するアイディアが強力です。27... Rh8! 28. Rb7 Bc6 29. Rb1 Ng6 -+

28. Rb7 Rxf6 29. exf6 Qxf6 30. Re3 Kg7 31. Be2?


黒のポーンが厚いため、やりたくない気持ちも理解できますが、ここはクイーンを交換する一手でした。
31. Qe5 Qxe5 32. Rxe5 Kf6 =/+

31... d4! 32. Re4 d3!



32... Bc6 33. Rxf7+ Qxf7 34. Qe5+ Kh7 でも黒の勝ちです。

33. Bxd3 Bc6


33... cxd3 34. Rxa4 Rd8! -+ 試合中、この手が見えずもう一つの変化に入ります。

34. Rb6 Bxe4?


シンプルな勝ちを読み切れず、1ポーンアップのエンドゲームへと突入します。
34... Qa1+! 35. Kd2 Bxe4 36. Bxe4 Qd4+ -+

35. Bxe4 Rd8 36. Qe3 Ng6 37. Bxg6 Kxg6 38. Rb5 Qa1+ 39. Rb1 Qd4 40. Rb5 Qd1+ 41. Kb2 Qxg4 42. Rxa5 Qd4+ 43. Qxd4 Rxd4



よくやく局面がはっきりしてきました。このルークエンディングは、順当にいけば黒勝ちです。

44. Rc5 f5 45. a4 Rf4 46. a5


46. Re5 Rxf2 47. Rxe6+ Kh5 48. a5 g4 49. Re5 Kg5 -+ でも黒が勝てそうです。

46... Rxf2 47. a6 Rd2 48. a7 Rd8 49. Ra5 Ra8 50. Kc3 g4 -+



あとはキングでサポートをしつつ、コネクテッドパスポーンを進めていきます。

51. Kd4 Kg5 52. Ke3 e5 53. Ra6 e4 54. Ra5 g3 55. c3 Kg4 56. Ra6 f4+!


eポーンを取らせてしまうのが、シンプルな勝ちのアイディアです。

57. Kxe4 Re8+!



キングをパスポーンから遠ざければ、ルークを捨ててもポーンとキングだけで勝つことができます。

58. Kd5 f3 59. a8=Q Rxa8 60. Rxa8 f2 61. Rf8 Kh3 62. Ke4 Kg2 0-1



これで馬場さんには黒でCaro-Kann,Sicilian,French を使って3連勝。次の対戦では何を指すか悩みます。このラウンドで塩見-Averbukh がドローになったため、0.5Pリードで最終戦を迎えます。

R6/ W/ 藤沢寛 (1835)/ Win/ Slav Defence



最終戦の相手は昨年の中部快速に引き続き、藤沢さんです。Slav Defence Geller Gambit で、序盤白にややおかしな手が出るものの、面白い構想でした。


中盤では白にダブルビショップを与えるものの、f2へのプレッシャーで押し続け、1ポーンアップのエンドゲームに。頑張ればドローチャンスもあったと思いましたが、不必要なエクスチェンジ捨てがきたため、無事に黒勝ちとなりました。

こうして全6試合が終了し、最終戦で汐口くんをあっという間に倒した塩見さんが2位、私と塩見さんの試合以外を危なげなく勝ったAverbukh さんが3位入賞となりました。

1st 小島 5.5/6
2nd 塩見 5/6
3rd Averbukh 4.5/6

長かったようで実際は短い1日のトーナメントが、これで終了しました。名古屋まで遠征された皆さん、お疲れさまでした。中部や関西のプレーヤーの皆さんとも久々にお会いすることができ、楽しかったです。

次の私の遠征は、来月頭の函館チェス大会の予定です。冬の北海道と、函館チェスクラブの子供たちとの交流を心待ちにしています。

2011/11/07

中部快速オープン Games and Comments part1

中部快速オープンのレポートは前半、後半の2回に分けようと思います。名古屋オープンのように初日、2日目と分かれているわけではありませんが、2試合解説を書くための工夫です。それでは早速、R1からのゲーム内容です。

R1/ W/ 高田侑一良 (1776)/ Win/ Maroczy Bind



岐阜チェスクラブの高田くんとは、今年の名古屋オープン以来の対戦です。King's Indian からMaroczy Bind に移行したところで、つい先週勉強し直したセットアップを採用してみました。


ここ数年間は9.Nc2 と退くラインを指していましたが、Opening for White accoding to Kramnik では、もう一つのメインラインである9.Be3 が勧められていたため、こちらを数年ぶりに指していました。この後、Rfd1,Rac1 とスタンダードにルークをセンターに回し、センターを開いて押し切りました。

R2/ B/ 汐口達也 (2017)/ Win/ Slav Defence



麻布学園チェスクラブの同期である汐口くんとは、ブリッツや研究は最近よくしていましたが、公式戦は高校3年のジュニア選手権以来、実に5年ぶりです。試合はSlav で早々にクイーンを交換する、クイーンレスミドルゲームになりました。


汐口くんは完全にドロー狙いで指していたようですが、白にしては消極的に指しすぎました。2つ目のルークを交換しようとしてルークをぶつけた手が完全におかしく、黒は交換に応じたうえで、19...Nd3 と侵入すれば勝負ありです。b2のポーンが守れず、その後、aポーンもターゲットになります。

R3/ W/ Averbukh,A (2219)/ Win/ Albin Counter Gambit



前半3試合の山場はこのR3,Averbukh さんとの対戦です。こちらはきちんと解説を書こうと思います。

Kojima, S (2387) - Averbukh, A (2219)
Chubu Rapid (3)

1. Nf3 Nc6 2. d4 d5 3. Bf4 Bg4 4. c4 Bxf3 5. gxf3 e5!?



指された直後は何事かと目を疑いました。手順はかなり特殊ですが、Albin Counter Gambit のような形になります。

6. dxe5 d4 7. Nd2 Qe7 8. Qa4!?


黒がロングキャスリングを狙っていることは明らかなので、逃げるキングにプレッシャーをかけつつ、白もキャスリングの準備を整えます。

8... O-O-O 9. O-O-O Kb8 10. Nb3 g5 11. Bg3 Bg7



黒はf8のビショップを無事に展開し、e5のポーンを取り返せそうです。
それに対してダブルビショップを持っている白は、どのようにアドバンテージをキープすれば良いでしょうか。
次の手はこの試合の中でも、最も気にいっている一手です。

12. Bg2!


白マスビショップを黒のキングに向けて配置します。
黒がポーンををビショップで取り返してくれば、f4-Bxc6-Na5 が強力なスレットになります。

12... Nxe5 13. Nxd4 Nh6 14. f4 Qc5?



黒はここで対応を間違えたため、勝負が決まります。
正しくは、14... gxf4 15. Bxf4 Qc5 (15... Qf6 16. Qb5 Qb6 17. Bxe5 Qxb5 18. Bxc7+Kxc7 19. Nxb5+) 16. Kb1 Nhg4 17. Qb3 Qb6 18. Nf5 +/- と指すべきで、これでも白はダブルビショップにより、優勢だと言えます。

15. fxe5 Rxd4 16. Rxd4


どうすれば勝てるかを迷った時間は、とても短かったと記憶しています。
ルークを交換したうえで、もう一つのルークを攻めに参加させれば白のアタックは強力です。

16... Qxd4 17. Rd1 Qb6 18. Rd3!+-



ルークを3段目で活用することで、b7を攻めます。黒には満足なディフェンスがありません。

18... Qe6 19. Rb3 b6 20. Qxa7+ Kc8 21. Rd3 c6 22. Qa6+ Kc7 23. Rd6 Rb8 24. Rxe6 1-0


これで3試合を終え、3連勝は私と塩見さんの2人のみ。勝負の後半戦を迎えます。

2011/10/27

Rapid Strategy

「時間は17番目のピース」という言葉があります。それはもちろん、ただ早く指せば良いということではありません。盤上の16個のピースだけでなく、持ち時間をうまく使った側が勝利を得るという意味だと私は考えています。特に持ち時間の短い快速チェス(ラピッド)の場合、クラシカルとは違う時間の使い方が求められます。

ラピッドでクラシカルと同様に指そうとしても、時間が足りなくなって自滅する可能性が高いと言えます。そのため、時間を使う局面とそうでない局面を区別し、時には丁寧な読みを切り捨てる必要があります。先日の吉祥寺クロージングトーナメントでは、うまいラピッドの指し方が一つできたので、今回はそれをご紹介しようと思います。

Kojima, S - Misaka, S
Kichijoji Closing Tournament (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c6 3. d4 d5 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O Nbd7 9. Qe2 Bg6 10. e4 O-O 11. Bd3 Bh5 12. e5 Nd5 13. Nxd5 cxd5 14. Qe3 Bg6 15. Ng5 Re8 16. f4 Bxd3 17. Qxd3 f5



三阪さんがSlav のメインラインとは、意外なチョイスでした。私も4.Nc3 を初めて指しましたが、ここまでは自分の知識通りです。
このラインで最も有名なのは、2006年のTopalov-Kramnik の一戦で、私もそれが頭にありました。

18. g4!?


ここで先述の試合を外れます。快速のゲームなので、よりダイレクトなアタックを目指します。

18...g6?


三阪さんはかなり時間を使ってこの手を指しましたが、大きなミスでした。しかし私も正しい手を見落とします。
試合中に考えていたのは、18...h6 19.Nxe6 Rxe6 20.gxf5 で、2ポーンピースにする変化です。
形勢判断は難しいですが、gファイルが攻撃の起点となってプランが分かりやすいため、白を持っても良いと思います。

19. Qh3?!


将来的にBe3 とした際にクイーンがh7を攻められなくなることを気にし、早めにクイーンを動かしましたが、もっと良い手がありました。
19.gxf5 gxf5 (19...exf5 20.Qb5!+-) 20.Qg3!+-

Analysis Diagram

19...Nf8 20. Kh1 Be7 21. gxf5 Bxg5?



ここがゲームのポイントです。三阪さんはうっとうしいナイトを取り除くことを優先しましたが、これは白に危険なアタックを許してしまいます。
私はたいして時間を使わず、次の手を指しました。

22. fxg6!


ピースをあえて取り返さず、黒キング前のポーンを消し去ります。
この後の変化は正確に読み切っていたわけではなく、私の勝負勘から「これはいける!」と判断したことによる決断です。
また、この時点で私の持ち時間は18分、対する三阪さんは10分以下だったため、複雑な変化のほうが勝負にいきやすいと考えました。

22...Bh4 23. gxh7+ Nxh7 24. f5!



ビショップとルークの利きを両方開き、アタックのチャンスを増やします。

24...exf5 25. Bh6 Kh8 26. Rxf5 Re6 27. Rh5 1-0



e6,h4,h7 にいる全てのピースが負担となり、黒は試合を諦めざるをえません。
26...Re6 が怪しい手にも見えますが、他の手でもa1のルークを参加させれば白が順当に勝つでしょう。

25分+1手10秒のような早指しは、普通のチェスとはやや趣が異なります。上位のプレーヤーでもミスをしやすく、下位のプレーヤーに対してポイントを落としやすくなります。しかし私の経験から言えば、海外のマスターはクラシカルのチェスが強ければ、ラピッドの経験もしっかりと積んでおり、こちらも強いと言えます。(ただし、ラピッドになると異様に強くなるプレーヤーもいます。)また、クラシカルのチェスではなかなか試せない戦法や、新しい手が指せる点もラピッドの楽しみです。

6月の記事で書いたように、JCAの快速選手権は大きな失敗でしたが、早指し自体を日本のチェスプレーヤーが嫌っているわけではないことが、今回の吉祥寺クロージングトーナメントで分かったため、(もちろん最終日なので参加したという点も無視できませんが)もう少し日本でラピッドの大会が開催されると良いですね。吉祥寺クロージングと同様に非公式戦にすれば、上位のプレーヤーも問題なく集まるでしょう。

2011/10/21

Little Positional Mistakes

すでに公開済みのJapan Open の8試合のうち、野口さんとの試合は、負けた側のミスがどこだったのかが一番分かりにくいと思います。小さな判断ミスが結果を左右する例として、ご紹介したいと思います。

Noguchi, K (2143) - Kojima, S (2369)
Japan Open (7)

1. g3 d5 2. Nf3 c6 3. Bg2 Bg4 4. O-O Nd7 5. b3 e5 6. Bb2 Bd6 7. d3 Ngf6 8. Nbd2 O-O 9. h3 Bh5 10. e4 Re8 11. Qe1 a5 12. a3 dxe4 13. dxe4 Qc7



Re8でe5を守りつつ、f8のマスを空けてから、センターを開きます。

14. Nh4?!


試合中この手はおかしいと感じました。f5のマスをナイトで狙うのは自然なプランですが、まずはd2のナイトを気にすべきです。
白は14. Nc4 と指すべきでした。

14... b5!



c4のマスをポーンで抑えてしまうことで、d2のナイトが行く場所を奪います。

15. Nf5 Bc5 16. Kh1 Rad8 17. Nf3 Bxf3!



将来的にd4のマスをコントロールするため、白の重要なナイトを消しておきます。

18. Bxf3 Nf8 19. Bc3 Bb6 20. Bg2 g6 21. Nh6+ Kg7 22. f4?



白は念願のf2-f4を果たしましたが、このピースサクリファイスはやりすぎです。
丁寧にキングが守りきれることを読んだ後、ナイトを取りました。
22. Ng4 Nxg4 23. hxg4 Ne6=/+

22... Kxh6 23. fxe5 Ng8-+ 24. Qc1+ Kg7 25. Rxf7+ Kxf7 26. Qf4+ Ke7 27. Rf1 Kd7 28. e6+ Nxe6 29. Qh4 Kc8 0-1


白のミスはd2のナイトを動かすのが遅れたこと、そしてf4を突きにこだわり過ぎたことだと言えるでしょう。

2011/10/12

Complicated King's Indian

先日のJapan Open から解説を一つ書かせていただきます。この試合は相手が唯一2000未満ということもあり、さらっと流した人が多いかと思いますが、King's Indian の理解をするためのアイディアが詰まっています。

Kojima, S (2369) - Usuba, H (1859)
Japan Open 2011 (2)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. c4 Nf6 5. Nc3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4


King's Indian 対策は私が長く頭を悩ませてきたテーマですが、現在は一番人気のBayonet を採用しています。

9...Ne8!?



この手は最もロジカルな手ではありませんが、激しい攻め合いを望むならばありえる選択肢です。9...Nh5, 9...a5 が普通です。

10. a4!? f5 11. a5 f4?!



おそらく薄葉さんは、ほとんどKing's Indian を指した経験がなかったのではないでしょうか。やや勉強不足がうかがえる手です。
確かに黒はキングサイドのポーンを固めて攻撃することが多いですが、それは十分e4に圧力を掛けてからの話です。
以下に示してあるのが私が研究していた試合で、本譜と似た流れになりますが、白は重要な1テンポを得ています。

11... Nf6 12. Nd2 (白はe4のポーンを守るためにナイトを退きます。ここでナイトを退かせるのが、黒としては重要なアイディアです。) f4 13. c5 g5 14. g4 h5 15. h3 Ng6 16. f3 Kf7 17. Kg2 Rh8 18. Rh1 Rh6 19. Ba3 Bf8 20. Rc1 Be7 21. Nc4 Qf8 22. Nb5 Ne8 23. Qb3 Bd7 24. Nxc7 Nxc7 25. cxd6 Bxd6 26. Nxd6+ Qxd6 27. b5 1-0 Van Wely,L (2622)-Yanayt,E (2207)/Las Vegas 2009

12. c5!


白はc4-c5,Nf3-Nd2-Nc4 と組んで、d6に圧力をかけるのが普通です。
しかしここでは白はe4への圧力がすでにないため、ナイトを急いで退く理由がありません。
そこでナイトは一時的にf3に残し、黒にg6-g5 を指させないようにします。

12...h6


黒がg5を突くためにはこの一手が必要ですが、それが上記の試合に比べて1テンポロスになります。
King's Indian のこのような形ではスピードが勝負、無駄な一手が命取りになります。

13. Nd2 Nf6 14. Nc4 g5 15. g4! Ng6 16. f3 Rf7 17. Ba3 Ne8



攻め合いに持ち込むために17... h5 がベターだと考えます。

18. b5 Bf8 19. Qb3 Rh7 20. b6 a6 21. bxc7 Qxc7 22. h3!?



コンピュータは22. Rfc1 で白勝勢を示しますが、私はここで一手ディフェンスの手を入れておきました。
黒がhファイルを開いて攻撃を仕掛けてきた場合、白もルークをhファイルに回してルーク同士をぶつけるつもりです。

22... h5 23. Kg2 hxg4 24. hxg4 +/-



すでに白の優位は確実です。d6への圧力、Nc3-Na4-Nb6 など、白にはクイーンサイドからの攻撃が多数あります。
それに対し、黒のキングサイドアタックは十分ではなく、決死のピースサクリファイスも成功しません。

24...Bxg4? 25. fxg4 f3+ 26. Bxf3 Nf4+ 27. Kf2 Rh2+ 28. Ke3 Nh3 29. Rh1 Qf7 30. Ne2 Rxe2+ 31. Kxe2 Nf4+ 32. Ke3 dxc5 33. Nxe5 Ng2+ 34. Bxg2 Qf4+ 35. Ke2 Qxe5 36. d6+ 1-0


King's Indian はキングサイドのポーンをとりあえず伸ばせば良い、というような簡単なオープニングではありません。研究と実戦からの理解が求められる、複雑なオープニングです。それでも(それゆえ?)何十年もの間、多くのチェスプレーヤーを惹きつけてやまない魅力を持っており、今日も世界のどこかで激しい攻め合いが行われています。

2011/10/11

A Studying Day

今日は起きるとなぜか三阪さんが私の家におり、一緒にチェスをすることになりました。Japan Open での私の試合→三阪さんの試合→ルークエンディングのスタディという順で見ていくと、五時間程が経過していました。誰かと一緒にチェスをしていると、時間が過ぎるのもあっという間です。

R3 Sano,T - Kojima,S

18. Bc1?!


この手は特に働かないうえ、黒の狙いに気付いていないことが分かります。18. Rfe1 ぐらいで良いでしょう。

18... Bh2+ 19. Kh1 Bf4 20. Bc2 Bxc1 21. Rxc1 Qf4


このように黒マスビショップを交換してクイーンを潜り込ませれば、黒は安全にイニシアチブを得ることができます。

22. Rce1?


決定的なミスです。22. Rcd1-Kg1 としていれば、白に大きな問題はないでしょう。

22... Nd2! 23. Rg1


このポジションはBehind the Scene でも取り上げられていました。

23...Rxd4!! 24. cxd4 Nf3!


綺麗なタクティクスが決まりました。白は決定的なマテリアルを失います。

25. g3 Nxe1+ 0-1


今大会ではエクスチェンジサクリファイスを三回を行い、二回成功、一回失敗しました。失敗した塩見さんとの試合は後日の解説にまわし、もう一つの成功例はチェス通信の原稿に使います。

ルークエンディングのスタディについては、私自身の手で調べてから記事にしようと思います。

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