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2022/11/03

Japan Open 2022 Day1 Tournament Report

今日から4日間、蒲田でジャパンオープンが開催されています。54名の定員は募集からすぐ埋まり、申し込み損ねたという声も事前に聞こえていました。去年はTuさんとの熱戦を制してこの大会で優勝し、チェンナイオリンピアードの代表をいち早く決めた私としては、今年も連覇を目指してしっかりプレーしてきたいと思います。初戦の後はとんかつ激戦区の蒲田でNo.1 の呼び声も高い、檍(あおき)でロースかつを食べてから午後の2戦目に向かいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2330) - Sakai, E (JPN, 1895)
Japan Open 2022 (2)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. O-O Bg7 5. Re1!?

オリンピアードではSo Wesley の勧めである5. c3 のラインを指しましたが、もともと調べていたのはこちらの手でした。2017年にMamedov がDubov を相手に指し、注目されたラインです。

5... Nf6 6. e5 Nd5 7. Nc3 Nc7 8. Bxc6 dxc6 9. Ne4 Ne6


9... b6 10. Nf6+ Kf8 11. Ne4Mamedov のゲームで登場した分岐です。本譜でも、Ne4-Nf6 の跳びこみはポイントになります。

10. d3 h6 11. a4 a5 12. Be3 b6 13. Qd2 Nd4 14. Nxd4 cxd4 15. Bf4 g5?!

この手はキングサイドを弱める割りにメリットがないので、あまり考えていませんでした。Ne4-Nf6 の跳びこみを警戒し、15... Be6 と指しておく手はあったと思います。

16. Bg3 c5 17. f4!


17. Nf6+ Kf8 18. Nh5 Bg4 19. Nxg7 Kxg7 はさほど白が良いとは思えず、ナイトの跳びこみの前にキングサイドを崩してチャンスを拡大しておきます。

17... g4 18. Bh4!


fファイルが開かなかった代わりにe5 のポーンの守りが安定したため、ビショップのダイアゴナルを切り替え、e7 とf6 に利きを作ると同時にNe4-Nd6 を狙いにしておきます。

18... Qd5 19. Nf6+! Bxf6 20. exf6 e6 21. Re5 Qc6 22. f5 Kf8

待望のNe4-Nf6 からセンターを開きます。22... Bd7 23. fxe6 Bxe6 24. Rxe6+! fxe6 25. f7+ Kf8 26. Qf4+- はエクスチェンジの代償が十分にあり、白勝勢だと考えていました。

23. b3!? exf5 24. Re7!


1ポーンを捨てますが、黒はキングとh8 ルークの位置に不満があり、白マスビショップも同じ色のポーンにブロックされていて働きが悪いです。Bc8-Be6 の前にルークを7段目に侵入させ、さらに黒陣にプレッシャーをかけます。

24... Be6 25. Qf4! Re8 26. Re1!?

Qd2-Qf4 を指した時点では、ルークをeファイルでぶつけられた際の対応は3択で完全には決めていませんでした。26. Rc7!? として7段目のルークを残す選択はもちろんありです。すぐ駒得になるのは、26. Rxe8+ Qxe8 27. Qd6+ Kg8 28. Qxb6 Kh7 29. Qxa5 の変化ですが、2ポーンを捨ててもa8 の白マスをBe6-Bd5 で抑えれば、黒には反撃のチャンスがあると考えました。本譜はe7 でルークを交換しても、パスポーンが7段目に刺されば満足という判断です。

26... Bd7


26... Rxe7 27. fxe7+ Kg7 28. Bf6+! (恥ずかしながら、この手はゲーム中に見落としていました。) 28... Kxf6 29. Qe5+ Kxe7 30. Qxh8+-

27. Rxe8+ Bxe8 28. Qb8 b5 29. Bg3 1-0

Bg3-Bd6 から黒キングを引き離せば、ピンにしたe8 のビショップを落として勝負ありです。

上位勢に大きな崩れはなく、10名が連勝で2日目を迎えます。私は同級生の汐口くんとの試合ですが、さらに同級生の南條くんが解説に明日は入ると聞いています。また面白いゲームをお届けできるよう、2日目も頑張ってきます。

Japan Open 2022 R3 Pairings
Japan Open 2022 R3 Youtube 実況解説

2022/08/09

Chennai Olympiad R10 Qatar - Japan

会場のチェスショップには、こんなスタイリッシュなチェスセットもありました。

チェンナイオリンピアードの10試合目はオープンがカタールとの対戦になりました。カタールは私が2回目に参加した2008年のドイツ、ドレスデンのオリンピアードで対戦し、GM を下した思い出があります。トップのGM たちが出てくるかどうかで、カタールのレベルは大きく上下するのですが、今年はそこまでのレベルではありません。チームの勝ちのためには、私の白番が大切だと思って試合に向かいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Al-Sulaiti, G (FM, JPN, 2183)
Chennai Olympiad (10)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 g6 4. O-O Bg7 5. c3 Nf6 6. Re1 O-O 7. d4 d5 8. e5 Ne4 9. Bxc6 bxc6 10. Be3 cxd4 11. cxd4 f6 12. Nbd2 Bg4?!

データベースでは一番多い手ですが、結論としてはあまり良くないと思います。12... Nxd2 13. Qxd2 Bg4 14. exf6 exf6 15. Bh6 がメインの用意だったため、ここで初めて時間を使って考えます。何もしなければ、次に黒からNe4-Nxd2 とナイト交換をされて困るため、何を指してそれに備えるかがポイントです。

13. Qa4!


私が調べていた変化ではa4 にクイーンがでるものは1つも無かったのですが、ここではピンを外しつつ、c6 にプレッシャーをかけるのは良いアイディアでしょう。

13... Nxd2 14. Nxd2 fxe5 15. dxe5 Bd7 16. Bc5!

4段目が開き、ビショップが下がっていきました。これは白にとって望む展開です。そこですかさずc5 にビショップを置き、e7 にプレッシャーをかけると同時に白マスで黒ポーンを固定し、黒マスをコントロールします。白はビショップペアを失っても、c5,d4 といった黒マスをコントロールし、黒の白マスビショップの働きを封じることで優勢を築き上げます。

16... Rf5 17. Nf3 Qc7 18. Bxe7!


e7 とe5 の取り合いも白にとって望む流れだと思っていました。異色ビショップにこそなりますが、黒キング前の黒マスの弱さは致命的で、白は簡単に黒キングを攻めることができます。黒は少しパッシブになっても、e7 を守り続けるほうが良かったと思います。

18... Bxe5 19. Nxe5 Rxe5 20. Qd4!

Centralization! 白のクイーンはc5 のマスを抑えつつ、最も重要なa1-h8 のダイアゴナルの抑えます。ビショップと組み合わせ、クイーンをg7、h8 に跳びこませるメイトの形はシンプルながら強力です。

20... Rf5 21. g3 Rf7 22. Bb4 h5


h7 にキングの上がるマスを作り、h8 のマスをルークでカバーできるようにするアイディアですが、代わりにg5 のマスやg6 のポーンが弱くなります。

23. Re5!

ルークをeファイルに2つ重ねることが一番の目的ですが、h7-h5 から黒キングの前が弱くなったことも踏まえ、5段目で横に振る準備にもなります。

23... Bf5?! 24. Rae1! Be4 25. f3!?


ここでポーンを犠牲にするのは勝ちに十分なアイディアですが、別の勝ち方もありました。25. Bc3! Kh7 26. R1xe4! dxe4 27. Qxe4 Kh6 28. Bd2+ Kg7 29. Re6+- 本譜と似たエクスチェンジサクリファイスですが、弱くなったg6 の突破を狙う点が違います。

25... Rxf3 26. R1xe4!

勝ちを確実にする大切なエクスチェンジサクリファイスです。26. Re7?? Rxg3!-+ は白キングの逃げ場がなく、カウンターを食らって負けてしまいます。

26... dxe4 27. Re7! Rxg3+ 28. Kh1!


ルークは取らずにキングを逃がしておけば黒からはチェックがなく、クイーン取りとg7 のメイトスレットのダブルスレットに黒は対応できません。

28... Qxe7 29. Bxe7+-

こうしてクイーンを貰い、白の駒得を確定させました。後はバラバラの黒ポーンを回収しながら、キングを攻め立ててゲームを終わらせます。

29... Rg4 30. Qc4+ Kg7 31. Qxc6


a8 のルークに当てつつ、f6 でのチェックのチャンスを作ります。黒がRg4-Rf4 とディフェンスにルークを戻す前に勝負をつけます。

31... Rg8 32. Qf6+ Kh7 33. Bb4 g5 34. Qf7+ 1-0

最後はg8 のルークを取るか、h5 ポーンの取りからg4 のルークを取って白勝ちです。内容も良く、3R以来の勝利はとても嬉しいです!

Open R10 Qatar - Japan 1-3

Aziz Husain (IM, QAT, 2380) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 1-0
Al-Sulaiti Ghanem (IM, QAT, 2185) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 0-1
Al-Homaid Abdulla (QAT, 1358) - Averbukh, Alex (CM, JPN, 2155) 0-1
Erfan Mohamad Firdaus (QAT, 1294) - Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) 0-1

Women R10 Japan - Honduras 3.5-0.5

Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) - Godoy Yolanda (HON, 1219) 1-0
Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) - Viana Valeria (HON, 1441) 1-0
Misawa, Yuki (JPN, 1587) - Garcia Andrea Nicole (WCM, HON, 1631) 1/2-1/2
Mitsuyama, Rikka (JPN, 1157) - Maradiaga Cesia (HON, 1533) 1-0


この日はオープン、女子ともにほぼ完勝といって良いでしょう。それぞれカタール、ホンジュラスを下して最終戦を残すのみとなっています。


最終戦の相手はオープンがマダガスカル、女子が北マケドニアとなっています。最終戦だけは試合開始時間が早く、インド時間の10時、日本時間の13時半からスタートしており、NCS の放送もちょうど始まったところです。私は最終戦を外れたため、ライブで日本チームの様子を見守ろうと思います。

2022/08/02

Chennai Olympiad R4 Paraguay - Japan

オリンピアード4日目の様子をインドからお届けします。この日は昼食に日本のインドレストランでも馴染みのある、パラックパニール(写真右)が出ました。ほうれん草とインドのカッテージチーズのカレーですね。今回滞在するホテルの料理は、私が知る過去のオリンピアードの中でも最高で、肉無しでも満足度が高いメニューが多いのが嬉しいです。

この日の日本オープンチームは南米パラグアイとの対戦となりました。私の相手であるDelgado はキューバ出身で、かつてはキューバ代表も務めた実力者です。幸運なことにまたGM戦で白番を引けたので、しっかりと準備をして試合に臨みました。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Delgado, R (GM, PAR, 2614)
Chennai Olympiad (4)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 e6 4. O-O Nge7 5. Re1 Nd4!?

予想していた2... d6 3. Bb5+ のMoscow ではなく、2... Nc6 3. Bb5 のRossolimo になりました。黒の6手目は最近人気の出てきた2番手の手でしたが、私は見たことがなくここで時間を使います。メインラインは、5... a6 6. Bf1 d5 7. exd5 Nxd5 8. d4 Nf6 9. Be3 と進みます。

6. Bf1 Nec6 7. d3 Nxf3+ 8. Qxf3 Be7 9. Nd2 O-O 10. c3 b5 11. Qg3 b4 12. Nf3


少し慣れない形ではありましたが、ここまで進んで満足な局面を迎えました。d4 のマスをカバーしながらナイトをキングサイドに運び、Bc1-Bh6 を狙います。この先、互いにセンターポーンをどう動かすかで作戦が大きく変わってきそうです。

12... Kh8 13. Bf4 d5 14. exd5

試合後、Misha からは14. e5 と押し込むのはどうかと言われました。形としてe5 にポーンを指し、キングサイドへのアタックチャンスを求めるのは当然あり得る選択です。一方で私はeファイル、黒マスビショップのh2-b8 ダイアゴナルを閉じるのを嫌い、本譜を選択しました。こちらであれば、e5 のマスはピースで使うチャンスが残ります。

14... Qxd5 15. Ne5 Bb7 16. Be2


私としては、f1 に一度退いたビショップをいかに使い直すかがゲームのカギだと考えていました。f3 のマスを早めに空けたのは、Bf1-Be2-Bf3 を実現するためで、この構想自体は良いものだと思っています。しかし、コンピュータの指摘はポーンを捨ててもd3-d4 と突き、ビショップをd3 に置きなおしてキングサイドを攻めるというものです。16. d4! cxd4 17. Bd3! Nxe5 18. Rxe5 Qc6 19. Rh5 f5 (19... g6 20. Be5+ Kg8 21. Rxh7! Qxg2+ 22. Qxg2 Kxh7 23. Qh3++- これは綺麗にメイトです。) 20. Bb5!+- 変化の一例ですが、こうしてビショップを捨てても黒クイーンをg2 からそらせば、次のQg3-Qg6 に対する受けがなく、白の勝勢でした。

16... Rac8

16... Nxe5 17. Bxe5 f6 18. Bf3 Qd7 19. Bxb7 Qxb7 20. Bd6 と進んだ形は白が少し指しやすいエンドゲームかと試合中は読んでおり、相手もこれを外してきました。

17. Bf3 Qd8 18. Nc4!


ここで最も時間を使い、この手を見つけました。最初はe5 に自然に見える18. Rad1 bxc3 19. bxc3 Ba8= は黒が問題の無い局面です。

18... bxc3 19. bxc3 Qxd3 20. Nd6!?

私が18手目の時点で考えていたのがこの手で、白は捨てたポーンを取り返して十分な局面に持ち込めます。しかし、コンピュータの提案はナイトを戻す手でした。20. Ne5! Qa6 21. Rab1 Ba8 22. Be2 Qa5 23. Bd3+/= と進んだポジションは上記と似ており、白はポーンを捨ててもd3 に置いたビショップでキングサイドを攻撃し、十分な代償がありそうです。

20... Bxd6 21. Bxd6 Rfd8 22. Bxc5 Qxc3 23. Bxc6


ここは異色ビショップにせずにa7 を取る手も考えていましたが、一時的にダブルビショップをキープしても白に残ったaポーンがさほど武器になるとは思えませんでした。実際、23. Bxa7 Qa5 24. Be3 Ba8= と進んだ局面は互角です。

23... Qxg3 24. hxg3 Rxc6 25. Bxa7 Ra8 26. Be3 Rca6

異色ビショップ+2ルーク残る局面を迎えました。これは上手くバックランクメイトやポーン取りのタクティクスを使い、aポーンを助ければドローに十分です。

27. Rec1 Bd5 28. a3 h5 29. Rc7 Kg8 30. Bc5 Ra4 31. Rc1 h4 32. gxh4 Rxh4 33. f3


次のRh4-Rg4 が少し気になるので、それだけ気を付けておけば後は難しくありません。

33... Rc4 34. Rxc4 Bxc4 35. Ba7 Bb5 36. Rb7 Bc6 37. Rb8+ Rxb8 38. Bxb8 1/2-1/2

最後は2つ目のルークも交換してドローにしました。2600台からのドローは前回のオリンピアード以来4年ぶりです。

Open R4 Paraguay - Japan 3-1

Bachmann, Axel (GM, PAR, 2588) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 1-0
Delgado Ramirez, Neuris (GM, PAR, 2614) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 1/2-1/2
Cubas, Jose Fernando (GM, PAR, 2451) - Averbukh, Alex (CM, JPN, 2155) 1-0
Jodorcovsky Werjivker, Paulo - Bibby, Simon (FM, JPN, 2147) 1/2-1/2

Women R4 Chinese Taipei - Japan 2.5-1.5

Tsai, Sophie Yi-Hsuan (TPE, 1131) - Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) 0-1
Cho, Hung-Ling (WCM, TPE, 1576) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) 1/2-1/2
Weng, Yu-Hsin (TPE, UR) - Arai, Yuki (JPN, 1495) 1-0
Shih, Ching-An (WCM, TPE, 1582) - Mitsuyama, Rikka (JPN, 1157) 1-0


オープンは白番の2人がドローを取りましたが、黒番の2人は負けてしまい、マッチも3-1で敗れています。一方、女子は台湾を相手に接戦でしたが、惜しくも2.5-1.5で敗れました。オープン、女子ともに負けてもチームの雰囲気は悪くありませんので、今日はどちらも勝てることを願っております。私は今日の5Rで初めて抜け番を貰い、ホテルからライブで日本チームを見守ろうと思います。


5R はオープンがオランダ領アンティル、女子がパラオとの試合になりました。ともに格下のチーム相手ですので、ここを勝って前半戦の最後、6R を迎えたいですね。日本チームファイトです!

2022/07/31

Chennai Olympiad R2 Lithuania - Japan

こちらのゲートをくぐったのち、ホール1とホール2に分かれます。

チェンナイオリンピアード2試合目のレポートです。この日はオープンがリトアニア、女子がミャンマーとの試合でした。リトアニアは1人だけいるIMを休ませ、全員GMで日本戦に臨んできました。日本チームは初戦に続き白を引きましたので、私は98年生まれの若いGM Stremavicius との対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Stremavicius, T (GM, LTU, 2532)
Chennai Olympiad (2)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 e5 4. O-O Bd6 5. c3 a6 6. Ba4 b5 7. Bb3 c4 8. Bc2 Nf6 9. d4 cxd3 10. Qxd3 Bc7 11. Bg5 h6 12. Bxf6 Qxf6 13. Bb3

Sicilian Rossolimo のこの変化は試合前に調べていたのですが、13. b4 が準備であったのに忘れてしまいました。白はd5 のマスを握って勝負する形です。

13... Rb8 14. Nbd2 O-O 15. Rfd1 Rd8 16. Nf1 d6 17. Ne3 Ne7 18. Ne1


ここは早めに18. Nd5 と入って交換する手もありましたが、f3 のナイトもNf3-Ne1-Nc2 と組み替え、d5 に迎えるよう先に準備しておきます。

18... Bb6 19. N1c2 g6 20. Rd2 a5 21. a3 Kg7 22. Qe2 h5 23. h3 Qg5 24. Kh1 Qh4 25. Nd5!

細かく手を準備したのちにd5 への跳びこみを決行します。この先の流れは少し意外でした。

25... Be6?! 26. Nxe7! Qxe7 27. Bd5


私はd5 のマスを長く握ってピースを置き続ける作戦が好きなのですが、ここは27. Bxe6 fxe6 28. Rad1 とビショップを交換し、d6 を攻める形にするのもありでした。

27... Ba7 28. Rad1 Bd7 29. Ba2 Bc6 30. Bd5 Be8 31. Rd3 Rbc8 32. Qd2 Bd7 33. Ba2 Bb8 34. Ne3 Qh4 35. Bd5

再びe4 を攻められた際、どうするかが分からずビショップを戻しました。これは手堅くはあるのですが、せっかくe3 に置いたナイトが少し活躍の場を失います。35. Nd5! Qxe4 36. Nb6! ならばc8 のルークの逃げ場がないことを見落としていました。

35... Rf8 36. Nf1 Ba7 37. Ne3 Rcd8 38. Qe2 b4 39. axb4 axb4 40. c4?!


時間が増える40手目が正確ではありませんでした。ここは40. cxb4! Bb5 41. Bc4 Bxe3 42. Bxb5 を受け入れるべきで、これでも互角の形勢でエンドゲームに向かいそうです。本譜では白はクイーンサイドのポーンを活かしづらいうえ、d4 のマスが弱くなり、d6 を攻めるチャンスが減ってしまいます。

40... Bc5 41. Kg1 Rc8

ここはもう41... f5! から押し切れば黒の優位は揺るがなかったでしょう。ここで黒が慎重にいこうとしすぎたことで私も生き延びるチャンスが生まれました。

42. Ra1 Be6 43. Qc2 Bd4 44. Qd2 Bxd5 45. Rxd4!


e4,c4 のいずれかがただ落ちるだけでは勝負にならないため、エクスチェンジを捨てて戦います。

45... exd4 46. Qxd4+?!

試合後に対戦相手から、46. Nxd5 のほうが良いのではないかと指摘されました。クイーンでe4 を取る手にはRa1-Re1、ルークでc4 を取る手にはb2-b3 からそれぞれ追い返し、d4 はその後でも取ることができます。クイーンでd4 を取ってチェックした際、f6 のマスを早めにナイトでカバーしておくほうが良いという指摘でした。

46... Qf6 47. Qxf6+ Kxf6 48. Nxd5+ Ke5


このエクスチェンジダウンのエンドゲームは厳しいと思っていましたが、ナイトを上手く組み替えて黒の決定打を与えないようにします。

49. b3 Kxe4 50. Nxb4 Rb8 51. Re1+ Kf5 52. Nc6 Rb6 53. Nd4+ Kf6 54. Nb5 Rc8 55. Rd1 Ke6 56. Rd3 Rc5 57. Nd4+ Ke7 58. Nc2 Ra6 59. Ne3 Ra3 60. g3 Re5 61. h4

このf2-g3-h4 と階段状に伸びるポーンストラクチャーを築くことができ、少しチャンスが出てきたかもしれないと思いました。b3 を攻められないように気をつけつつ、1つの反撃を狙います。

61... Rea5 62. Kg2 Kd7 63. Nd5 Ra6? 64. Rf3!


期待していた反撃が通りました。黒はf7 を守るためにはg6 を弱めるしかありません。これを防ぐためには63... Ra7 と指すべきでした。

65... f5 65. Nf4 d5?

このポーンをただで捨てるのは、白に全くリスクがなくなってしまうので危険です。65... Rb6 から互いにポーンを取り合うとまだ勝負は分かりません。

66. Nxd5 Re6 67. Rd3 Kc6 68. Nf4 Rd6 69. Rxd6+?!


私はこのルークを交換すれば安全にドローだと考えました。しかし、実際にはルーク交換を避け、キングが上がってg6 を攻撃するなどの工夫を見せて白が勝ちを目指せるポジションでした。

69... Kxd6 70. Nxg6 Rxb3 71. Nf4 Rc3 72. Nxh5 Rxc4 73. Nf4 Ke5 74. Ng6+ 1/2-1/2

ここでお互い進展を作ることができないと判断し、ドローで試合を終わらせました。途中かなり苦しい局面でしたが、白を持って簡単に負けるわけにはいかないので、こうしてポイントを取れて胸をなでおろしています。

Open R2 Lithuania - Japan 2.5-1.5

Laurusas, Tomas (GM, LTU, 2561) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 1-0
Stremavicius, Titas (GM, LTU, 2532) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 1/2-1/2
Pultinevicius, Paulius (GM, LTU, 2539) - Averbukh, AlexC (CM, JPN, 2155) 1-0
Kazakouski, Valery (LTH, 2528) - Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) 0-1

Women R2 Myanmar - Japan 1-3

San, San (MYA, UR)- Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) 0-1
Hla, Zabu (MYA, UR) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) 0-1
Min, Amarawatti (MYA, UR) - Misawa, Yuki (JPN, 1587) 0-1
Nan, M K Khine Hlyan (WFM, MYA, 1979) - Arai, Yuki (JPN, 1495) 1-0


私のドロー以外には小林くんがGM Kazakouski を破り、今大会のGM戦初勝利を挙げました! 前回は後半のペルー戦まで対GMの勝利がなかったので、今回は早かったですね。私たちも続けるよう、次からのラウンドも頑張ります。

女子チームはミャンマーを3-1で下し、再び上位チームにチャレンジすることになりました。3日目はこの勢いで上のチームからポイントを取ることを期待したいですね。


次はオープンがサウジアラビア、女子がアイルランドとの対戦です。サウジアラビアは2000未満で構成されるチームですので、ここはしっかりポイントを取ってマッチに勝ちたいですね。一方女子の対戦するアイルランドは格上チームで、かつて日本でプレーしていたKanyamarala兄妹の妹、Trishaが1番ボードを務めます。こうした縁のあるプレーヤーとの再会もオリンピアードの楽しみですね。引き続き、日本チームの様子を見守っていただけると嬉しいです。NCS公式チャンネルでの実況中継のリンクも貼っておきます。


試合後、会場の外の大きなモニターでJudit が解説をしている様子を見ることができました。
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