2014/04/30

A Training for Japan Chess Championship


Photo by Shioguchi

昨日は全日本選手権への参加者が中心に集まり、新宿でトレーニングを行ってきました。私が少し遅れて到着した頃、6人が15分+1手30秒という一風変わった持ち時間で指しており、私は2R からの参加です。人数が奇数だったため、黒番で2面指し×3R をこなし、結果は5.5Pでした。ドローになったゲームも内容自体には満足しており、全日本前の調整としては悪くない結果でしょう。


Shioguchi, T - Kojima, S
Position After 47...Kg7

このルークエンディングは白キングを3段目でカットオフしているため、うまくキングが上がってe5 をアタックすれば勝てると踏んでいましたが、f7 へのカウンターアタックがある以上、そんなに簡単ではありませんでした。

48. Rc4! Kg6 49. Rf4?!


49. Rg4+! Kh7 (49... Kf5 50. Rg7!) 50. Rf4 がより正確な手順です。汐口くんは7段目に入って、f7 をアタックするアイディアを見落としていたようですね。

49... Ra3


ここでどうチャンスを作りにいくかは難しいですが、以下の変化も考えてみます。49... Rh5 50. Re4 Kf5 51. Ke3 Rh3+ 52. Kd4 Rh1 53. Re2 Rd1+ 54. Kc4 Rd5 55. Rf2+ Kxe5 56. Rxf7 Ke4 57. Rf1 Rd8 58. Re1+


Analysis Diagram

こうして正面からルークでチェックを続ければ、黒キングは後退するしかありません。58... Kf5 59. Rf1+ Kg6 60. Re1 Kf6 61. Rf1+ Ke7 62. Kc3 e5 63. Kc2 Ke6 64. Rd1= ルークをぶつけ、カットオフから脱出すればドローに持ち込めます。

50. Rf6+ Kg7 51. Rf4 Ra5 52. Re4 Ra3 53. Rf4 Ra5 54. Re4 Kg6



白キングの前進を許してしまいますが、黒もポジションの改善を求めるためには、こうするしかありません。これはドローになるだろうと考えていましたが、汐口くんは正確なディフェンスを見つけることができませんでした。

55. Kf3 Ra3+ 56. Kf4 Rh3 57. Kg4?!


ルーク交換を割けるアイディアとしては、57. Re1! のほうがシンプルでしょう。

57... Rh5 58. Re3?! Rf5!



f5 にルークを置き、白キングをカットオフしたまま、e5 のポーンをアタックすれば黒の勝勢です。白は58. Kf3! と指して、キングがクイーンサイドに向かうほうが、タフなディフェンスでした。

59. Re2 Kg7 0-1


黒キングがぐるりと盤を一周し、d5 に到達すればe5 のポーンが落ち、勝負は決まります。割と出てきそうなルークエンディングでしたが、実際に持つのは初めてで、とても勉強になりました。汐口くん、良い企画をありがとう。でも、ルノアールの会議室を「慎也のチェス教室」という団体名で予約するのはやめてくださいね ( ̄▽ ̄)

気づけば全日本も、明日からのスタートです。初参加のメンバーからベテラン勢まで、参加者の皆さん、6日間よろしくお願い致します! 私は、昨年のように負けて更新をサボることがないように頑張ります(笑) 目標は、もちろん4年ぶりのタイトル奪還です!

2014/04/28

Judit Polgar The Princess of Chess


タイにいた1ヶ月で届いていた郵便物の中から、この本を発掘しました。馬場さんが放出することを決め、Behind the Scene で告知していた中の1冊で、ハンガリーのGM Judit Polgar のゲーム集です。

言わずもがな、Judit Polgar は歴史上最も強い女子プレーヤーであり、ハンガリーの生んだ天才です。ハンガリー国内では、男子のトッププレーヤーである、Peter Leko を知らずとも、Judit のことは知っているという人も多いのではないかと思います。今でこそ、Hou Yifan, Koneru Humpy が2600台にレイティングを乗せていますが、他の女子プレーヤーが2500台である中、1人で2700を超え、世界中のトッププレーヤーと渡り合っていたPolgar は、やはり特別な存在なのでしょう。


同時対局中のJudit Polgar。昨年のPolgar Chess Festival にて。

そんな彼女の、1980年代後半から2000年代初期までのゲームを扱った本書は、これからゆっくり読み進めていくつもりです。本書をお持ちで、おススメのゲームがある方は、是非お知らせください!

2014/04/26

IM Junta Ikeda


2013年8月 横浜でGM Andriasian, Zaven と対戦中の惇多くん

4日前の記事に引き続き、オーストラリアからの最新ニュースです。現在、シドニーでプレー中の惇多くんは、8R を終えて4勝4ドローの好成績。今日のMoulthun, Nisipeanu とのドローにより、これまでの大会でのプラスとあわせて、ライブレイティングは2400 を超えたようです。これにより、次のFIDE Congress でノームのチェックが済めば、正式にIM タイトル獲得となります!

惇多くんと4年ぶりの再会を果たした2011年の夏には、私たちは2人とも1つのノームも持っておらず、苦戦続きでした。あれからほぼ3年、お互いにチェスを続ける中で、タイトル獲得は一足先を越されてしまいましたね。(一足で済むよう、私も頑張りますw) IM タイトルを取るということがどれだけ大変なことなのか、そして彼がどれだけそれを切望していたかは、私自身が誰よりも深く理解しているつもりなので、彼の活躍は非常に嬉しいものです。惇多くん、本当におめでとう。

シドニーでの最終戦は明日行われますが、ひょっとするとこれに勝てば、初のGM ノーム獲得でしょうか。結果が届くのを楽しみに待っていますので、リラックスして試合に臨んでください。

Sydney International Open 2014

2014/04/24

Japan Chess Championships 2014 Preview


タイから帰国したばかりですが、年に一度の全日本選手権開催まで、すでに一週間と迫っています。今日、エントリーリストがすでに公開済みであることを教えてもらい、私も先ほどチェックしてきました。以下のリンク先で、今月の国内レイティング更新結果を受けた、49名の参加者リストを確認することができます。5月のFIDE レイティング更新を踏まえた、上位5名の選手も公開しておきます。

全日本選手権 2014 参加者リスト

南條遼介 2424 (FIDE 2308)
小島慎也 2409 (FIDE 2346)
渡辺暁 2321 (FIDE 2258)
Averbukh Alexander 2283 (FIDE 2179)
山田弘平 2236 (FIDE 2113)


49人という人数もさることながら、そのうち実に39人がFIDE レイティング保持者であることにも驚きました。今年も新しく、FIDE レイティングを獲得するプレーヤーが出てくるでしょうね。エントリーリスト上位5名は前回、前々回のオリンピアード代表選手で、ここにイングランドのFM Andrew らが入って、優勝争いをすることになるでしょう。私も4年ぶり6回目の優勝を目指して、6日間精一杯プレーさせていただこうと思います。それでは参加選手の皆さん、よろしくお願い致します!

2014/04/22

The Latest IM Elect from Australia


昨晩、久々にオーストラリアの池田惇多くんから連絡がありました。それによれば、彼は参加していたオーストラリアの大会で、自身3つ目のIM ノームを達成したそうです! これで彼も必要な3つのIM ノームを揃え、私と同じ立場、つまりIM Elect になりました。あとはレイティングが2400 を超えれば、正式にIM タイトルを獲得します。

現在はChess Results のエラーでしょうか、昨晩は見ることのできた大会の結果が確認できません。私の記憶によれば、惇多くんは最終戦でルーマニアNo.1 GM Nisipeanu Liviu-Dieter に敗れたものの、オランダ代表GM Van Wely Loek (2685) からドローを取るといった活躍により、2500を超えるパフォーマンスを叩き出しました。もし、Nisipeanu との1B 最終戦 で勝っていれば、自身初のGM ノーム達成だったようです。日本での1年弱の留学生活を終え、久々に参加したFIDE 公式戦でこれだけの好成績を残すとは、私も舌を巻くばかりです。

惇多くんは明日から、シドニーで開催される大会に引き続き参加します。ここでの結果によっては、IM タイトル獲得がぐっと近づくでしょう。今月はインドネシアのSean Winshand もブダペストで3つ目のIM ノームを達成したようですし、ライバルたちの活躍には私も大きな刺激を受けます。来週から始まる全日本選手権では、彼らに負けず、しっかりとしたプレーを見せなければいけませんね。

最後に惇多くん、3つ目のIM ノーム獲得、本当におめでとう! シドニーの大会結果も、日本から見守っています。

Sydney International Open 2014

2014/04/20

Saturday Lecture on April 26th 2014


Friedland, J - Kojima, S / London Chess Classic 2012

タイでの試合の記事ばかりにかまけていて、今月のレクチャー告知が遅くなったことをお詫び申し上げます。今月の池上のレクチャーは、6日後の26日土曜日に開催し、テーマは2つのルークとします。なお、今月はレクチャーの開始がいつもの午前中ではなく、午後1時からですので、ご注意ください。

【日時】 2014年4月26日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 A Pair of Rook
【テーマ詳細】

ルークは盤上でクイーンの次に強い駒であり、2つのルークが連携が取れている場合は、クイーンよりも優れた働きをすると言われています。しかし、ルークは初期位置では盤の端にいるために展開も遅く、ナイトやビショップに比べて扱いの難しいピースです。今回はそんな2つのルークを、どうすれば最大限に働かせることができるのか、ミドルゲームからエンドゲームかけて、幅広く見ていこうと思います。

【参加費】 サタデートーナメントは開催されないため、一律1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2014/04/19

Country Roads BCCO 9th round - Fighting Against A Friend -


バンコクの最終戦、私はペアリングを見てなんとも言えない複雑な気持ちになりました。9R はタイのFM Teerapabpaisit Wisuwat に黒。彼とは三度目の対戦となります。

Wisuwat の立場は日本で言う私に近く、タイで貴重なFM タイトルを持つプレーヤーであり、もちろんタイのトッププレーヤーの1人です。8年前のトリノオリンピアードで彼と対戦し、その年のベスト3に入る好ゲームを制した私は、オリンピアード後半戦で調子を取り戻すきっかけを得ましたが、逆にGM に勝つなどして飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼は、貴重なIM ノームのチャンスを失ったのでした。

彼とはその後、良い友人となり、2008年のBCCO 最終戦ではドロー。今年は2人のIM に勝つ活躍を見せるWisuwat は、この試合がまさか久々のIM ノーム勝負掛けのラウンドかとも思われましたが、残念なことに平均レイティングが少しばかり足りていません。試合前に彼とこの話をしたところ、ノームは気にしておらず、ベストタイ賞獲得のため、1/2 ポイントが必要なのだとのことでした。

Teerapabpaisit, W (FM, THA, 2250) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Bangkok Chess Club Open 2014 (9)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4 Nxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Qd5 16. c4 Qe4 17. Qxe4 Nxe4 18. Be3 f5



ドローにしたいという彼の希望を蹴って、私は勝負する気満々でゲームをスタートさせました。この変化を実戦で指すのは久々ですが、私の研究していた望み通りの展開が続きます。

19. Nd2 Nf6 20. f3 b5 21. b3 a5


ここは21... Kf7 と迷いましたが、b2-b3 という形を見て、黒からa7-a5-a4 と伸ばしにいける好形だと判断しました。このプランを止める白の手はないと思って仕掛けたわけですが、彼は長考の末、私の予想していない手を返してきました。

22. a4!



今度は私が長考に沈む番です。30分のリードをすべて使い切った末、私は間違ったプランを選択しました。

22... bxa4?!


試合後にWisuwat が指摘したのは、22... Kf7! 23. Kc2 Rhd8 からゆっくりやれば、黒が指しやすいだろうとのこと。間違いありません。こちらのプランと比較したうえで、有効ではない本譜のa4 取りをチョイスしてしまったのは、すべて私の未熟さによるものでしょう。

23. bxa4 Rb8 24. Kc2 Rb4 25. Rb1 Rxa4 26. Rb8+ Bd8 27. Rhb1!?



私が読み落としていたのはこの手で、27. Kb3?! Rb4 28. Rxb4 axb4 29. Kxb4 Be7+ 30. Kc3 Kf7 ならば、h5 をアタックしている黒が先にクイーンサイドにルークを回し、優位に立つことができたでしょう。本譜の手が入れば、h5 を取らせても8段目にルークがいたままなので、c6 をアタックしてパスポーンを直ちに作れるチャンスが白に残ります。

そしてWisuwat はこの手でドローオファーをしてきました。私はさんざん考えましたが、27... Rb4 からルークを1枚交換しても、ポーンの代償は十分にあり、むしろ黒が難しいポジションだと考えました。対戦相手が友人であることは全く関係なく、ここでオファーされたのならば受けるべきだとの判断は、かなり迷った末に決めたのでした。

1/2-1/2



試合後は2週間ぶりとなる、モーチットのウィークエンドマーケットへ。会場ではぐれた南條くんも、私に遅れてマーケットに来ていたようです。写真は日本では珍しいであろうタイの果物、ランブータン。


ひもで吊るされているのは、タイのスポーツであり、足を使うバレーボールのような球技、セパタクローのボールです。確認はしませんでしたが、おそらくこちらはお土産用の工芸品でしょう。球技用のはもっと堅いものだと、ドーハでセパタクロー日本代表選手たちから教わりました。


マンゴーとココナッツのアイスクリームは、ココナッツの果肉も味わえるココナッツ皮が器になっています。35バーツでした。


4時前に会場に戻り、クロージングセレモニーに出席します。タイのダンスを披露してくれた女性陣は、プロのダンサーではなく、ホテルのスタッフだという話ですが、本当でしょうか(笑) にわかには信じられません。


2100未満のプレーヤーのみ参加できるチャレンジャークラスでは、先日のラピッド大会に続き、フィリピンのNouri Alekhine がベストジュニアを獲得しました。


ベストタイは当然、Wisuwat です! レイティングを25近く挙げる活躍をし、久々にタイ国内ランキングNo.1 に返り咲くでしょう。


そしてオープンクラスは、スペイン最強のGM Vallejo Pons が7.5P で優勝です。前回はGustafsson にタイブレークで敗れたので、念願の初優勝だと本人からコメントがありました。

1st Place Vallejo Pons Francisco (GM, ESP, 2693)
2nd Place Barbosa Oliver (GM, PHI, 2580)
3rd Place Gustafsson Jan (GM, GER, 2634)
4th Place Liu Qingnan (IM, CHN 2500)
5th Place Socko Bartosz (GM, POL, 2635)



入賞者だけでなく、150名のプレーヤーと運営スタッフたちの皆さん、8日間本当にお疲れ様でした! このブログの読者の皆さんにも、長くタイシリーズにお付き合いいただいたこと、とても感謝しています。ランタ島とバンコクでの一か月弱の試合を終え、私は21日の朝、日本に帰国することになります。日本の皆さんとも、久々にお会いできることを楽しみにしていますね。

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/17 14:00 R7 Sardana R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 1/2-1/2
04/18 14:00 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Rohan, A (IND, 2154) 1/2-1/2
04/19 09:00 R9 Teerapabpaisit, W (FM, THA, 2250) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 1/2-1/2

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111) 1-0
04/17 14:00 R7 Griffiths P (ENG, 2196) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/18 14:00 R8 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Sauravh, K (IND, 2196) 1-0
04/19 09:00 R9 Nolte, R (IM, PHI, 2417) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0

2014/04/18

Country Roads BCCO 8th round - Fighting Without Any Advantage -


3年ぶり5回目のバンコクも、いよいよ大詰めです。この日は乗換駅のサイアムで、南條くんとお昼ご飯を食べてから会場に向かうことに。サイアムセンターの反対に位置する手前のサイアムパラゴンには、豪華な映画館が入っています。500バーツを払えば、日本ではまだ公開されていない映画を、リクライニングシートのVIP席で見られるとのことです。


お昼ご飯は目当ての店が見つからず、平凡なヌードルにしたので割愛。その代わりに試合前、シーロムコンプレックスでパフェを食べ、涼んでから試合に臨むことにしました。真夏のバンコクは連日、35度が続いています。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Rohan, A (IND, 2154)
Bangkok Chess Club Open 2014 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 Nb6 7. O-O Nc6 8. Nc3 Nxd4!



オーストラリアのIM とタイのFM に連勝して波に乗るインドの15歳は、オープニングをよく調べてきているようでした。このd4 を取らせる変化は、昨年の夏に羽生さんと少しだけ研究しましたが、ほとんどうろ覚え状態です。King's Indian の用意がメインだった私は、予想を外されてオープニングから時間を使うことになります。

9. Nxd4 Qxd4 10. Nb5 Qc4!


10... Qc5 11. a4 Nxa4 12. Qxa4 Bd7 13. Bxb7 Bxb5 14. Be3 Bxa4 15. Bxc5 Rb8 16. Bf3 Bb3 17. Rxa7 Be5 もあり得る変化ですが、本譜のほうがよりシンプルにイコアライズするチャンスがあるでしょう。

11. Qb3!?



11. a4!? O-O 12. b3 Qg4 13. Bf4 からa1 のルークを見捨てる変化も考えましたが、負けたくないこの一戦ではリスクの低いプランをチョイスしました。しかし、c7 を取り返した後、白が優勢になるかは疑問なところです。

11... O-O 12. Qxc4 Nxc4 13. Nxc7 Rb8 14. Rb1N


試合後に調べたところ、すぐに14. Nd5 と指す手が一番多く、本譜は新手でした。d5 にいずれ下がるナイトが、多少白にチャンスをもたらすかと思っていましたが、相手の少年の指してはなかなか正確でした。

14... Rd8 15. Nd5 Be6! 16. Bf4



16. Rd1 Bxd5! 17. Rxd5 e6 18. Rd3 b5 このような形は、ダブルビショップを持っていても白であまり好まず、ドローを覚悟のうえでシンプルなポジションを目指します。

16... Be5 17. Bxe5 Nxe5 18. Rfd1 Kf8 19. Kf1 1/2-1/2


完全にポーンが対称形では、チャンスを作るのは難しいでしょう。前日に引き続き、早めのドローを決断しました。


試合後には、昨日貰い損ねた記念品を受け取りに行くことに。5回目の参加となる私に渡されたのは、赤ワインのボトルでした。以前もこうしたサービスがあったのかは分かりませんが、このような心遣いこそが、再びプレーヤーたちがタイに戻ってきたいと感じる要因になるのかもしれませんね。ワインは日本へのお土産にするか、タイで働く父にプレゼントするか、迷い中です。

南條くんはこの日、インドのFM にあまり良くないと私が感じたポジションから勝ち。3連勝で私と同ポイントの5.5/8 まで戻してきました。今日は早めの更新のため、次のペアリングはまだ分かりませんが、南條 - 小島 のペアリングとなり、最後の最後で気まずいルームメイトにならぬよう、願うばかりです(笑)

それと、今大会とは何も関係ありませんが、先週記事にしたクロノ・モノクローム一巻が日本では本日発売になりましたね。私も帰国後にチェックしてみますので、読んだ方からの感想や意見など、お待ちしています。

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/17 14:00 R7 Sardana R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 1/2-1/2
04/18 14:00 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Rohan, A (IND, 2154) 1/2-1/2
04/19 09:00 R9

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111) 1-0
04/17 14:00 R7 Griffiths P (ENG, 2196) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/18 14:00 R8 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Sauravh, K (IND, 2196) 1-0
04/19 09:00 R9

Country Roads BCCO 7th round - The Solid Caro-Kann -


今日でBCCO も7試合目、いよいよ終わりが近づいてきました。午前中に試合の準備を済ませた私たちは、トンロー駅近くのタイレストランのチェーン店、イムちゃん食堂でお昼ご飯にします。アカメの甘酢炒めと春巻きの定食は、この店のメニューの中でも高いほうですが、それでも250円程度です。


チェスの試合会場では、他の海外大会のチラシをチェックできることがあります。今回は来年のニュージーランドの他、9月から10月にかけて、香港で開催されるトーナメント情報をゲットすることができました。こうして情報を共有しながら、アジアでもたくさんのトーナメントが開催されるようになると良いですね!


そして席に着くと、このような用紙が置いてあることに気づきます。複数回参加しているプレーヤーに配られるものだそうで、今回が5回目となる私は対象でした。しかし、記念品を貰い忘れるという悲しいミス(笑)


そして試合へ。1997年生まれのオーストラリアの若武者、Sardana Rishi はここ最近、急速に実力を伸ばしているようですが、ベストの2373 からは少し落としているようですね。連日の黒ですが、再び負けられない一戦です。

Sardana, R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Bangkok Chess Club Open 2014 (7)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nh3!?



Caro-Kann Classical のサイドラインは、羽生さんとのトレーニングでも経験があります。その際は、ショートキャスリングからf2-f4 でしたが、このゲームではよりベーシックな、Nh3-Nf4 と跳ぶラインでした。

6... e6 7. Nf4 Qc7


チェコでは7... Bd6 を先に指しましたが、白がh2-h4 と伸ばしてくる変化の場合、どちらも同じ形になるでしょう。

8. h4 Bd6 9. Nxg6 hxg6 10. Ne4 Bf4



本譜は一番よく指される手で、白のダブルビショップを消してシンプルなポジションを求めます。代わりにd6 のビショップを敢えて取らせる、10... Nd7!? も面白いアイディアでしょう。

11. Bxf4 Qxf4 12. Ng5!?


こうしたナイトの跳ねはあまり考えていませんでしたが、f7 をアタックすることで黒のロングキャスリングを妨害しているので、少し対応を考える必要があります。

12... Nd7 13. g3 Qc7 14. Qd2 Ne7



この形では、14... Ngf6 よりも、フレキシブルなナイトの位置の組み合わせだと思っています。f5 はナイトが跳ぶマスとして、なかなか良さそうです。

15. Bg2 Nf6


白マスビショップを取らせても、堅いポーンストラクチャーで大きな問題を残さないのが、Caro-Kann Classical の1つの特徴です。このポジションはすでに満足だろうと考え、一度私からドローオファーします。

16. c3 Nf5 17. Qe2!? O-O-O 18. O-O Nd5 19. Rfe1 1/2-1/2



一度は蹴られたオファーですが、19手目に相手から返ってきました。今日はこれで試合を終え、南條くんや上位ボードの行方を見守ることにします。


3B のAtalik - Dzhumaev はAtalik の貫録勝ち。昨日、Vallejo Pons に負けて悔しい首位転落を喫したAtalik ですが、まだまだ上に食らいつきます。今日の7R を終え、6P が4人並ぶ状態となっています。


一通り試合をチェックした後は、Silom Complex でおやつタイム。さくらアイスは59バーツでした。


そしてサラデーンを離れ、ずっと乗換駅として利用していた、スクンビット線とシーロム線が交わるサイアム駅で初めて下車してみます。駅前のサイアムセンターは、他とは少し雰囲気の違う高級ショッピングモール。お土産を買おうか悩んでいましたが、値段を1/3 にしてくれなければ手が出せませんでした(笑)


布を使ったバラのオブジェも売り物で、56000バーツとのこと。お金があれば買いたいですが、置く場所に困りそうです。


サイアムセンターを出て駅の反対側に渡れば、そこはバンコク流行の最新地、バンコクの渋谷ことサイアムスクウェアです。そこそこの人通りはありましたが、ソンクラーンのシーロム通りに比べれば、この程度は大したことありません。この先の通りで、お土産のお菓子を何点か購入してきました。

今日の7R、南條くんは怪しい局面から、相手のブランダーで勝ち。連勝で少しずつボードを上げてきました。明日は2人ともインドの2100台ですので、白でお互いに勝って最終戦を迎えたいところです。長かったタイのトーナメントも、残すところあと2試合です!

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/17 14:00 R7 Sardana R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 1/2-1/2
04/18 14:00 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Rohan, A (IND, 2154)
04/19 09:00 R9

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111) 1-0
04/17 14:00 R7 Griffiths P (ENG, 2196) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/18 14:00 R8 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Sauravh, K (IND, 2196)
04/19 09:00 R9

2014/04/17

Country Roads BCCO 6th round - Fighting with Double Rook Ending -


トンロー駅近くで大量のマンゴーが積まれているお店は、バンコクでも有名なフルーツ屋さんだそうです。マンゴーは屋台で剥かれているものを何回か食べましたが、自分で買って冷やし、食べてみても良さそうですね。ただし、このお店は若干高めです!

さて、バンコクでの大会もいよいよ後半戦に突入です。珍しく、毎ラウンドで違う国のプレーヤーと当たる私は、この日フィリピンの2200台との対戦が組まれました。フィリピンのプレーヤーが、レイティング以上の実力を持っていることは、すでに直前のラピッド大会で確認済みです。正直嫌な相手でしたが、自分が上に行くためには、黒でも勝たなければいけません。

Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Bangkok Chess Club Open 2014 (6)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c3!?



London System を研究してきたため、この始めてみる手には驚きました。おそらく、この後にBc1-Bf4 を指すことはわかっていましたが、この手順から入られると得意のQd8-Qb6 のラインが指せません。それでも、なんとか満足な形を考えます。

3... e6 4. Bf4 c5 5. e3 Nc6 6. Nbd2 Bd6


Reversed Slav 4.e3 のような形になりましたが、黒としてはそんなに不満はないでしょう。あとはどのように白マスビショップを展開するかがポイントです。

7. Bg3 O-O 8. Bd3 Re8 9. Ne5



こうしてe5 のマスをがっちり抑えられる形は、指されてみれば嫌なものですが、丁寧に対応するしかありません。f2-f4 を突くことで、弱くなるであろうe4 のマスを1つの目標にします。

9... Qc7 10. f4 b6 11. O-O Bb7 12. Bh4 Be7 13. Qf3 a5!?


Bb7-Ba6 はStonewall Dutch でしばしば見られるアイディアで、最も攻撃に使いやすいd3 のビショップを消してしまうことを狙っています。これに対してクイーンを退くのは少し予想外でした。

14. Qe2 Ne4!=



白の黒マスビショップは通常のStonewall に比べてアクティブなポジションにいますが、これをテンポ良く交換し、e4 のマスさえ押さえてしまえば、黒に大きな問題はないでしょう。

15. Bxe7 Nxe7 16. Bb5 Red8 17. a4 Nxd2 18. Qxd2 Ba6 19. Bxa6 Rxa6 20. Rf3!?


3ピースを捌いても、なおこのようにルークを使うのかと、私にとっては驚きのプランです。e5 のナイトはいつでも追い返せるうえ、e4 には絶好のアウトポストがあるため、少し黒が指しやすいのではないかと思います。

20... f6 21. Nd3 Nf5!?



ここは指した後で、少し焦りすぎだったかと反省しました。a6 のルークをひとまず退いておく、21... Ra7=/+ は堅実な1手です。

22. Qe2! c4 23. Nf2 Nd6 24. e4 f5


e3-e4 からe3 の弱点を消されてしまいますが、まだアウトポストへのナイトの跳びこみやすさで、黒にチャンスがあると判断します!

25. exf5 exf5 26. Re3 Ne4 27. Nxe4 fxe4 28. Rf1 b5!?



これはかねてから考えていたアイディアで、6段目でルークの利きを通すとともに、将来的にb2 を狙えるようにします。

29. axb5 Rb6 30. Rh3 Qf7!


ひとまず、h5 のマスを抑えてQe2-Qh5 を止めておきます。

31. Qg4 Rdb8 32. Rh5 Rxb5 33. Rf5 Qg6 34. Rg5 Qf7 35. Rf5 Qg6 36. Rg5 Qf6 37. Rf5 Qd6 38. Rg5 Qf6 39. Rf5 Qd6 40. Rg5 Qe7 41. Re5 Qf7 42. Rf5 Qb7!?



この辺りは時間を増やすため、長い応酬を繰り返しました。実を言えば、42手目の白の手で3回同一局面が成立しているので、勝負にいきたかった私としては、相手が気付かなくてくれてラッキーでした。

43. Re5 Rxb2 44. h3!?


44. Qe6+ Qf7 45. f5 (45. Qxd5 Qxd5 46. Rxd5 a4 47. Ra5 Ra2-+ は7段目を完全にルークでコントロールして、黒の勝ちです。) 45... R2b5=/+ このように、d5 を狙いに行くプランも、うまくはいきません。

44... a4 45. Kh2 Rb6!?



ここは素直に、45... a3! 46. f5 Qd7 47. Qg3 Kh8-+ でゲームオーバーでした。f4-f5 からの攻めがどれほど脅威になるか分からず、堅実な手を選択します。

46. f5 Rf6 47. Ra1 Ra8 48. Re6 Qb8+!? 49. Kh1 Rf7 50. f6 Qc8!


これは我ながらうまい手だと思いました。クイーン交換は黒の望む展開ですので、e6 のルークを挟んでクイーンを向い合せ、ルークの動きを制限します。

51. fxg7 Rxg7 52. Qf5 Ra6! 53. Re5 Qxf5 54. Rxf5



こうして黒はクイーン交換に成功し、勝てそうなダブルルークエンディングに突入します。しかし、ここからも少し慎重になりすぎました。

54... Ra5?!


54... a3! 55. Rxd5 Rb7 56. Rg5+ Kh8 57. Rf5 a2 58. Rff1 Rb2-+ これは南條くんが指摘したラインで、d5 のポーンを捨ててしまっても、パスポーンを後ろと横からサポートしている黒は、簡単に勝つことができるでしょう。

55. Rb1 h6 56. Rf6 Ra8 57. Rxh6 a3! 58. Rf6 Rg3! 59. Kh2 a2 60. Rbf1 Rxc3 61. Rg6+ Kh7 62. Rff6 Ra7!



相手は私の思いつかないアイディアでルークを利用し、タフなディフェンスを見せます。ダブルルークはメイトスレットやパペチュアルチェックの筋を作りやすく、ディフェンス側としてはアイディアが豊富にあることを、この試合で確認することができました。しかし、相手の手に感心するばかりでなく、自分でもチャンスの作れる手を探し続けます!

63. Rh6+ Kg8 64. Rfg6+ Kf8 65. Rf6+ Ke8 66. Re6+ Kd8 67. Rd6+ Ke8 68. Rde6+ Kf8 69. Ref6+ Rf7!


同じ手の繰り返しで時間を増やしつつ、fファイルでルークをぶつけるアイディアで間違いがないことを確認します。ここからは黒のルークも7段目に入って、白キングにプレッシャーをかけます。

70. Ra6 Rc2! 71. Rhg6 Rff2


ここは71... Rg7!-+ というシンプルかつ強力なアイディアを見通していました。ルークを1枚交換できれば、黒が勝ちのルークエンディングであることは明らかです。

72. Ra7 c3 73. Rc6 Rxg2+ 74. Kh1 Rh2+ 75. Kg1 Rcg2+ 76. Kf1 Rf2+ 77. Kg1 Rhg2+ 78. Kh1 Kg8?



ここは残り数十秒まで考えた決め手のつもりでしたが、もっと簡単な勝ちがありました。それは7段目のパスポーンをプロモーション&サクリファイスすることです! 78... a1=Q+!! 79. Rxa1 Rh2+ 80. Kg1 Rfg2+ 81. Kf1 e3!


Analysis Diagram

一度ルークを7段目から遠ざければ、黒キングへのメイトスレットは消滅します。その隙に別のパスポーンを押し進めれば、黒の勝ちは間違いありませんでした。 82. Ra8+ Ke7 83. Ra7+ Kd8 84. Rd6+ Kc8 85. Rc6+ Kb8 86. Re7 Ra2 87. Kg1 Rhb2 88. Re8+ Kb7 89. Rf6 Rb1+ 90. Rf1 Rxf1+ 91. Kxf1 c2-+

79. Rxc3?



ところが、相手はチャンスを逃し、負けを決定づける悪手を指してしまいました。正しいディフェンスは、79. Rc8+! Rf8 80. Rcc7! こうしてルークを8段目に下げさせておき、7段目を2つのルークでコントロールすることでした。 80...a1=Q+ 81. Rxa1 Rd2 82. Rg1+ Kh8 83. Rxc3 Rxd4 84. Rcg3-/+ このポジションはまだ黒にチャンスがありますが、やはりダブルルークエンディングは難しいものです。

79... Rg7!


これでキングの安全性を再び確保し、最終的な勝ちの形まで一直線です!

80. Ra8+ Kh7 81. Rca3 Rf1+ 82. Kh2 Rf2+ 83. Kh1 Rb7! 84. Kg1 Rc2! 0-1



aポーンは取られても、1手早く7段目と8段目を抑えてチェックメイトになるため、黒の勝利です。こうしたスレットが消えたり現れたりするところが、ダブルルークエンディングの醍醐味であり、難しいところなのでしょう。こうして会場で最後まで残った5時間半のゲームを制し、再び3つ勝ち越しグループへと舞い戻ってきました!


今日は南條くんも無事に勝利し、お祝いとして父と3人でシーフードレストランへ。シーフードのタイ料理として日本人に絶大な人気を誇る、カニのイエローカレー炒め、プッパッポンカリーを頼んでみましたが、若干違うものが来たような(笑)

Bangkok Chess Club Open 2014 Schedule and Results

04/12 15:30 R1 Holming, P (SWE, 2002) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/13 09:00 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Peng, X (CHN, 2193) 1-0
04/13 15:30 R3 Shukin, A (RUS, 2174) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/14 14:00 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Atalik, S (GM, TUR, 2562) 0-1
04/15 14:00 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Kulkarni, B (WGM, IND, 2246) 1/2-1/2
04/16 14:00 R6 Diaz, C (PHI, 2246) - Kojima, S (FM, JPN, 2361) 0-1
04/17 14:00 R7 Sardana R (AUS, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9

04/12 15:30 R1 Vinay, K (IND, 1980) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/13 09:00 R2 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Shukin, A (RUS, 2175) 0-1
04/13 15:30 R3 Swati, M (WFM, IND, 2046) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 0-1
04/14 14:00 R4 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Peng, X (CHN, 2193) 1/2-1/2
04/15 14:00 R5 Xu X (CHN, 2101) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321) 1-0
04/16 14:00 R6 Nanjo, R (CM, JPN, 2321) - Lam D (HKG, 2111) 1-0
04/17 14:00 R7 Griffiths P (ENG, 2196) - Nanjo, R (CM, JPN, 2321)
04/18 14:00 R8
04/19 09:00 R9
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