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2025/07/18

Japan Chess Classic 2025 Day1

今日から4日間、北海道の札幌で開催されるジャパンチェスクラシックに参加しています。今回は一昨年の神戸のジャパンチェスクラシック、去年の名古屋のジャパンオープンに続き、3回目の地方でのビッグトーナメントとなります。112名のプレーヤーが集まる中、私は初戦Hehirさん、2RはYuくんに勝って連勝です。今夜は午後のゲームをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2307) - Yu, Z (CHN, 1803)
Japan Chess Classic 2025 (2)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 O-O 5. Nf3 d5 6. O-O c6 7. Qb3 dxc4 8. Qxc4 Nbd7 9. Nc3 Nb6 10. Qd3 Be6 11. Rd1!

序盤はc6-d5型のGrunfeldでした。黒からc4を取ってきた変化ではBe6-Bc4のスレットを外した後に、e2-e4から厚いセンターを主張しにいきます。

11... Qc8 12. e4 Rd8 13. Qc2 Bg4 14. Bf4 Nh5 15. Bg5 Nf6 16. a4!


黒からa7-a5と突くとb6のナイトが浮くため、黒はa2-a4-a5の狙いに対応しづらいと考えました。ナイトをb6から追い出してNb6-Nc4を消しておけば、e3がビショップの安定した位置となります。

16... h6 17. Bc1 Nh7 18. a5 Nc4 19. Ne2!

g4-d1のダイアゴナルをどうするか悩みましたが、e2に退いたナイトがピンを外しつつ、d4を上手く守っていることに気づきました。d5,e4の利きが外れることは問題ではありません。

19... Nd6 20. Ne5! Bh3 21. Bxh3 Qxh3 22. Nf4 Qc8 23. a6 bxa6 24. Nxc6


白はポーンの形を乱しつつ、ポーンを取り返して好位置にナイトを運びました。e7へのプレッシャーは単純ですが、黒がずっと気にし続けなければいけないものです。

24... Rd7 25. Be3 Ng5 26. e5 Nb5 27. e6 Nxe6 28. Nxe6 fxe6 29. Qxg6+-

e7への攻撃だけでなく、黒キング前を崩壊させて決定的なアドバンテージを得ました。後は黒キングにさらにプレッシャーをかけつつ、ポーンを回収していきます。

29... Nd6 30. Bxh6 Nf5 31. Qxe6+ Kh8 32. Qxf5 Bxh6 33. Ne5 Rc7 34. Qh5 Qe6 35. d5 Qf6 36. Ng4


少し悩みましたが、単純なナイトフォークでさらなる駒得を決めます。

36... Qxb2 37. Rxa6 Rac8 38. Qxh6+ Kg8 39. Rg6+ Kf7 40. Qh7+ Ke8 41. Qg8+ Kd7 42. Qe6+ Kd8 43. Rg8# 1-0

最後は黒キングをメイトに追い込みました。初戦に続き内容は良かったので、2日目もこの調子で頑張ります。初日の連勝者は19人で、2日目にはさらに半数以下になります。

Japan Chess Classic 2025 R3 Pairings

今夜はカツにデミグラスソースをかけた根室名物、エスカロップをいただきました。

2025/05/04

Japan Chess Championship 2025 Day3

全日本チェス選手権3日目となる今日は、午前中の試合前に年間表彰が行われました。日本のプレーヤーで最も活躍した者に贈られるベストプレーヤー賞は、ブダペストオリンピアードの1Bで獅子奮迅の活躍を見せたTuさんが受賞しました。日本籍のプレーヤーとして18年ぶりのGMノーム、そしてIMタイトル確定ということで、文句なしの戦績だったでしょう。その他の最多対局賞、ベストアービタ―賞を受賞された横田さん、阿部くんもおめでとうございます!

今日は午前中の試合が初対戦となる森谷くんで、序盤でちょっとした勘違いでポーンダウンになったゲームを、なんとか粘ってドローに持ち込みました。続く6Rは昨年も対戦した長瀧くんです。同じ白番で少し違うGrunfeldの変化になりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2315) - Nagataki, K (JPN, 2042)
Japan Chess Championship 2025 (6)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 c6 6. O-O d5 7. Qb3 Qb6 8. Nc3 Rd8 9. Na4

オンラインでは経験がありますが、クラシカル公式戦では初めて試す変化です。クイーンを交換し、c5へのナイトの侵入を目指します。

9... Qxb3 10. axb3 Na6 11. Bf4 Be6 12. Rfc1 Ne8 13. h3!?


オンラインでのゲームは単にeポーンを突いてd4を守りましたが、その後、f4のビショップの行き場に困りました。試合後、長瀧くんからは13. e3 f6 14. h4 h6 15. cxd5 Bxd5 (15... cxd5 16. Bf1) 16. g4 Bxb3 17. Bf1はポーンの代償があることを教えてもらいました。本譜のd4を捨ててダブルビショップを得る展開も実戦があるようです。

13... dxc4 14. bxc4 Bxd4 15. Nxd4 Rxd4 16. b3 Rdd8 17. Be3 Ng7 18. Nc5

ここは18. g4!?としてf5のマスを抑えるか、本譜のポーンをすぐ取り返すかどちらか迷いました。ポーンを取り返すのは安全策ではありますが、黒のa6のナイトとa8のルークを捌かせる手助けをしているとも見ることができます。

18... Nxc5 19. Bxc5 Rd2 20. e3


20. Bxe7 Rxe2 21. Bf6でも黒マスのコントロールで、ポーンの代償が十分あるというコンピュータの形勢評価は、試合中正確にできませんでした。

20... Nf5 21. Bxa7 Nd6 22. Bd4 Raa2 23. Rxa2 Rxa2 24. Rd1 Bf5?

しかし自然に見えたこの手があまり良くありませんでした。24... Ra3 25. Ra1 Rxa1+ 26. Bxa1= ならばドロー模様ですが、白はルークを残し、ダブルビショップを活かす展開が見えてこないので仕方がありません。

25. c5?


25. e4! Be6 (25... Bxe4 26. c5! Bc2 27. cxd6 Bxd1 28. d7 Ra8 29. Bb6 Bxb3 30. d8=Q+ Rxd8 31. Bxd8 Kf8 32. f4+- この変化は難しいですが、3ポーンよりも白のビショップが勝りそうです。25... Nxe4 26. g4!+- こちらはピースの代償がはっきりありません。) 26. e5 Nc8 27. g4+/= こうしてe5までポーンをすぐ押し込めるのであれば、これを選ぶべきでした。

25... Nb5 26. b4 f6 27. e4?!

a1でルークをぶつけるのが安全策だと分かりながら、勝負にいくことにしました。しかし感覚通り、白マスビショップの利きを遮るこのポーンはいまいちです。27. g4 Be6 28. Ra1=

27... Nxd4?!


27... Be6 28. Be3 Ra8=/+ これは試合中考えていましたが、白のダブルビショップはともに味方のポーンに止められていて、黒のほうが少し有利であるというコンピュータの評価です。ただしルークを退かせたので、実戦的にはまだまだ分からないと思います。

28. Rxd4


どちらを取るかとても悩みましたが、ビショップvs.ナイトにしても形勢は互角です。28. exf5 Ne2+ 29. Kh2 Nc3 30. Rd7 Rxf2 31. Rxb7=

28... Ra1+ 29. Kh2 Be6 30. Rd8+ Kf7 31. Rb8 Ra2!

b7のポーンをターゲットにできれば有利だと信じていましたが、f2への反撃を軽視していました。b7とf2の取り合いでは白にアドバンテージはなく、ドローを受け入れることにします。

32. Kg1 Ra1+ 33. Kh2 Ra2 34. Kg1 Ra1+ 35. Kh2 1/2-1/2


今日は2ドローでやはりぴりっとしませんが、最後まで粘り強く指し続けたいと思います。今年の全日本選手権も、残り3試合です。

Japan Chess Championship 2025 R7 Pairings

長期間に渡るチェス界の功績を称える日本チェス殿堂には、ピノーさんが選ばれました。羽生さんからのお祝いのメッセージとともに、本人からのスピーチがありました。

2024/10/19

2nd Matsumoto Open Day1

この週末、松本では4か月ぶりに松本オープンが開催されています。私はこの大会に参加するため、少し早めに木曜日から松本を訪れています。紅葉のシーズンに入りつつある10月後半は宿泊先が埋まりやすく、参加を断念したプレーヤーもいたとのことですが、それでも12名のプレーヤーが集まり、この土日の試合に臨んでいます。

私は前大会と同様に初戦は森安くんに黒で勝ち。続く2Rでは神田さんに白を引きました。今夜はこちらのゲームをご紹介します。

Kojima, S - Kanda, D
2nd Matsumoto Open (2)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Bg2 O-O 7. O-O c5 8. e4 Nb6?!

Grunfeldのこちらの変化では8... Nf6 9. e5 Nd5 10. dxc5 Na6のように指し、d5にナイトを戻した後にもう1つのナイトでc5を取り返しにいくのがポピュラーです。本譜はc5を取り返すのにナイトで手数をかけすぎており、クイーンサイドの展開の遅れが気になります。

9. dxc5 N6d7 10. Nc3 Bxc3?!


アウトポストになるc5のナイトに期待しますが、黒マスビショップを手放すリスクのほうが大きいでしょう。10... Nxc5 11. Be3で白が有利だと思いますが、ピースの展開の早さをしっかり活かすプランを考えなければいけません。

11. bxc3 Nxc5 12. Bh6 Qxd1 13. Rfxd1 Re8 14. Nd4 Bd7 15. Rab1 Nba6 16. e5 Rab8 17. e6!?

すぐにポーン交換せずにゆっくり進めても良かったのですが、ポーンを取り合い早めにg2の白マスビショップが活きやすい展開を目指します。

17... Bxe6?!


白マスビショップを手放し、白にダブルビショップを与える理由がありません。17... Nxe6 18. Rxb7 Rxb7 19. Bxb7 Nac5 20. Bf3+/=で白が指しやすいと考えていましたが、もちろん勝負はまだこれからです。

18. Nxe6 Nxe6 19. Bxb7 Nac5 20. Bd5 Rb6 21. Be3 Reb8 22. Rxb6 axb6 23. Rb1 Na4 24. Rb3 Nec5 25. Ra3 b5 26. Bc6 b4? 27. cxb4

本譜のように単にポーンを捌いてもダブルビショップの強さが光りますが、2ピースを取っても良かったです。27. Rxa4! Nxa4 28. Bxa4 bxc3 29. Bb3 Rc8 30. Bc2 Rb8 31. Bc1!+- このb2を受ける手を見落としました。

27... Rxb4 28. Kg2 Rc4?! 29. Bh6!


再びh6にビショップを戻す手が強く、黒はキングを使うことができません。1手早くKg8-Kg7と上がっておくべきでした。

29... e6 30. Be8 e5 31. h4 e4 32. Kf1

白はゆっくりやっても勝てそうですが、このタイミングと1手前にRa3-Rb3!がありました。黒がナイトでルークを取ると、ポーンで取り返してフォークとなります。

32... Rb4 33. Bc6 Rd4 34. Be3 Rc4 35. Bd5 Rb4 36. Bh6 Rd4 37. Bc6 Rc4 38. Kg2 Rb4 39. g4!


キングとビショップが右往左往しましたが、ようやく勝つための明確なアイディアを見つけました。h5までポーンを進め、Ra3-Rh3のように活用すれば、a3のルークが働けるようになって白勝勢です。

39... f6 40. Bd5+ Kh8 41. h5 e3 42. Rxe3 1-0

バックランクメイトがあるため、g4を取ることはできず、e4-e3は不発に終わります。初日連勝は私だけですが、油断せず2日目もしっかり指し続けたいですね。2日目もよろしくお願いいたします。

2nd Matsumoto Open R3 Pairings

試合前日の金曜日は上高地に連れていっていただきました。休憩も入れてゆっくり6時間近く、素晴らしい山と水辺の景観を楽しませていただきました。新宿から直通バスも出ていますので、紅葉が終わらぬうちにぜひいらしてください。

2024/09/15

Budapest Chess Olympiad R4 Hungary B - Japan

元ハンガリー代表のGM Balogh CsabaはChess Evolutionのブースにいます。

ブダペストオリンピアード4日目、オープンチームは主催国、ハンガリーのBチームと対戦です。これまで私が参加してきたオリンピアードでは、2008年のドレスデンでドイツCチーム、2016年のバクーでアゼルバイジャンCチームと主催国チームと当たり、いずれも4-0で敗れています。主催国代表は気合の入り方も違いますので、私たちも全員GMのハンガリーBチームに全力でぶつかります。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Antal, G (GM, HUN, 2554)
Budapest Chess Olympiad (4)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 c6 5. Bg2 d5 6. cxd5 cxd5 7. Nc3 O-O 8. Ne5 Nc6 9. O-O Bf5!?

Grunfeldは予想通りでしたが、ここは9... e6を準備していました。とは言え、違う手順でBc8-Bf5も調べていたので、それに沿って指すようにします。

10. Nxc6 bxc6 11. Bf4 Nh5!?


11... Nd7 12. Na4のような進行を予想していたので、このナイト端跳びは意外でした。f7-f5がないため、e3にビショップを退きます。

12. Be3 c5 13. Bxd5!?

ここは様々な手があるようですが、13. Nxd5 e6 14. Nf4 Nxf4 15. Bxf4 cxd4 16. Bxa8 Qxa8という進行は黒に十分なエクスチェンジの代償があると考えて避けました。13. h3のような手でまずはg3-g4を見せるのもあったようです。

13... cxd4 14. Bxd4 Bxd4 15. Qxd4 e6 16. g4


ピースの取り合いになり、かなりさっぱりした局面まで進みます。キング前のポーンが無くなってもさほど問題無いとこの時点では考えていました。

16... Bxg4 17. Qxg4 Nf6 18. Qd4 Nxd5 19. Nxd5 exd5 20. Rfd1?!

ここでどちらのルークを使うか悩みました。a1のルークはc1に回して黒のルークに対抗するか、あわよくばRa1-Rc1-Rc5のようなことを考えていたのですが、ここはf2の守りのためにf1のルークはこの位置に残すほうが良かったです。20. Rad1 Qg5+ 21. Kh1 Rfe8 22. Qxd5 Qxd5+ 23. Rxd5 Rxe2 24. Rb5= と進めばエンドゲームはドローです。

20... Qg5+ 21. Kf1 Qh5 22. Qxd5 Qxh2 23. e3 Rae8!


この手は読んでおらず、指されてみるとRe8-Re5からキングサイドを攻める絶妙なアイディアであると分かります。

24. Ke2?

h1にクイーンやルークをまわして黒の攻撃力を下げようとした判断が間違いで、キングはf1に留まるべきでした。代わりに24. Qf3 Re5 25. Rd5として粘るべきです。

24... Re5 25. Qh1 Qf4 26. Rac1 Qa4


この手は考えていたつもりでしたが、b5の位置でのチェックからb2取りもあることに指されてから気づき、自分の失敗を悟りました。ポーンが落ちてからはこちらから攻めるポイントがなく、じりじりと差を広げられるのみです。

27. Rd2 Qxa2 28. Qb7 Qe6 29. Rc7 a5 30. Rdd7 Rf5 31. Re7 Qf6 32. f3 Rh5 33. b3 Qb2+ 34. Kd3 Qb1+ 35. Kc3 Qc1+ 36. Kd3 Qd1+ 37. Kc3 Rh2 38. Rxf7 Rc2# 0-1

最後はどうしようもなくメイトになりました。1Bはかなり互角に近い形勢でしたが、時間の無い中ビショップサクリファイスをしかけたTuさんが、その勢いのままGM Kozak Adamのキングを仕留め、チームで唯一のポイントをあげました! このオリンピアードで初めての格上、そしてGMからの勝利です。チームは3-1で敗れたものの、この金星はチームにとって大きいものです。

Open R4 Hungary B - Japan 3-1
Women R4 Japan - Aruba 4-0


女子チームは西インド諸島のアルバをストレートで下し、オープン、女子ともに2勝2敗で4つのマッチを終えています。休憩日に入る前の前半残り2戦、しっかりポイントを取って後半を迎えたいですね。本日のR5はオープンがグアテマラ、女子がベネズエラとともにアメリカ大陸の国との対戦です。
この日はたまたまブダペストを観光中だった知り合いが、会場まで差し入れを届けてくれました。Gerbeaudは150年以上続くブダペストの老舗カフェで、持ち帰りのチョコレートが人気です。私も昨年、初めて足を運びました。

2024/05/04

Japan Chess Championship 2024 Day3 Tournament Report

全日本選手権は折り返しの3日目を迎えました。4連勝のTuさんとの差を詰めたい私は、午前中の試合で麻布の後輩、長瀧くんとの対戦です。昨年の全日本選手権では黒で勝っていますが、別の大会では2敗しており、海外大会の経験も積んできて油断のできない相手です。Grunfeldは予想通りでしたが、早い段階で知らない変化に突入しました。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Nagataki, K (JPN, 2024)
Japan Chess Championship 2024 (5)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d5 6. cxd5 Nxd5 7. O-O Nc6 8. Nc3 e5!?

8... Nb6を中心に多くの変化をチェックしてきたつもりでしたが、これは記憶にありませんでした。いきなりピース交換が進みそうですが、その中で白が良くなりそうな変化を探します。

9. Nxe5 Nxc3 10. Nxc6 Nxd1 11. Nxd8 Nxf2


f2を取る変化はナイトの行き場が難しく、おかしな手ではないかと読んでいましたが、進めてみると難しかったです。11... Rxd8 12. Rxd1 Rxd4とポーンを取り返す手順もありえるでしょう。

12. Nxb7 Nh3+ 13. Kh1 Bxd4 14. Na5 Bg4

次のNa5-Nc6を食らわないためには、a8のルークを諦めざるをえませんが、これで黒は十分に戦えます。白マスビショップが抜けた後、白はキング周りの弱さを気を付けなければいけません。

15. Bxa8 Rxa8 16. Nb3!?


これは長瀧くんにとって意外だったようですが、私はeポーンを無理に守るよりも返してしまい、ナイトは早くゲームに戻すほうが良いと考えました。

16... Bxe2 17. Nxd4 Bxf1 18. Bh6 Nf2+ 19. Kg1 Ng4

しかし、私もこのナイトの動きがぴったりビショップに当たるため、f1のビショップを無視できることを見落としていました。黒がビショップを逃がすことを優先し、h6にビショップが残るようであれば、バックランクの弱さとナイトの逃げ場のなさでポーンが無くとも有利に戦えると考えていました。

20. Bf4 c5?!


ここでビショップを逃がさないのは小さなミスで、単にc7を返して良かったと思います。私はRa1-Rc1から様子を見てポーンを取り返し、クイーンサイドのポーンマジョリティに期待するつもりでしたが、それで勝ちに繋げられるようなアドバンテージがあるかは疑問です。

21. Rxf1 cxd4 22. Rd1 Rd8 23. h3 Nf6 24. Be5 Ne4 25. Rxd4 Rxd4 26. Bxd4 Nxg3?

d4でポーンを取り返し、ルークも交換してビショップvs.ナイトのエンドゲームになったところで、黒から再び大きなミスが出ました。ここでg3とa7の取り合いにすると、白がクイーンサイドに2コネクテッドパスポーンを持つ、とても勝ちやすいエンドゲームに入ります。ここは26... a6とポーンをかわすべきだと思いますが、それでもクイーンサイドにポーンマジョリティを持ち、キングサイド、クイーンサイド両方に広く利くビショップを持つ白が指しやすいでしょう。

27. Bxa7 Kf8 28. a4 Ke8 29. Kf2 Nf5 30. b4 Kd7 31. b5


ビショップを持つエンドゲームでは、ポーンはビショップの色を逆に置き、白マス黒マス両方を抑えるのが基本です。

31... Kc7 32. Bc5 Nd6 33. Ke3 Nb7 34. Bd4 Nd6 35. Be5! Kd7 36. Bxd6!

このポーンエンディングが1手差で白勝ちだと分かると、このエンドゲームはとても楽に指せるでしょう。

36... Kxd6 37. Kd4 f5 38. a5 f4 39. a6 Kc7


39... f3 40. Ke3ならばポーンを取って勝ちです。

40. Kc5 f3 41. b6+ Kd7

41... Kb8 42. Kc6 f2 43. a7+ Ka8 44. Kc7 f1=Q 45. b7+ Kxa7 46. b8=Q+ Ka6 47. Qb6# があり、黒に先にプロモーションを許しても白が勝つ教科書的なエンドゲームです。

42. a7 f2 43. a8=Q f1=Q


互いにクイーンを作り合いましたが、白の残ったパスポーンとキングの位置が良すぎるため、これは問題なく白勝ちです。

44. Qd5+ Ke7 45. Qe5+ Kd7 46. Qd6+ Ke8 47. b7 Qf2+ 48. Kc6 Qc2+ 49. Qc5 Qe4+ 50. Kb6 Qe6+ 51. Qc6+ 1-0

何度も辛酸をなめたクイーンエンディングでしたが、今回はスタートの局面が良かったため特に事件も起こらず助かりました。クイーンのチェックするマス、正しいキングの逃げかた等、大会後に確認しておこうと思います。

Japan Chess Championship 2024 R7 Pairings


続く午後のラウンドは初戦以来の中継ボードに戻りました。松尾さんを破って上がってきた前嶋くんをここは退け、5連勝でトップグループに追いついています。この日はTuさんが2ドローで連勝が止まったため、5/6が7人並ぶという大混戦です。明日誰かが抜け出すか、目の離せない4日目をこれから迎えます。
中継ボードに戻れたため、スポンサーから配布されている水をようやく受け取れました。明日は1Bで頑張ります!

2024/03/05

Tokyo Chess Championship 2024 Day2 Tournament Report

週末の東京チェス選手権は日曜日に無事に閉幕しました。最終戦でTuさんを下し、逆転で単独トップにたった弘平くんが優勝です。今年は2000未満のプレーヤーが上位勢を削る試合が多く、入賞争いは大混戦でしたね。入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Yamada, Kohei (FM, JPN, 2294) 5.5/6
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2575) 5/6
3rd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2471) 5/6
4th Place Furuya Masahiro (JPN, 2004) 5/6
5th Place Togawa Kentaro (JPN, 1455) 5/6

Tokyo Chess Championship 2024 Final Standings


私は全体の調子自体は悪くなかったものの、最終戦で負けて去年同様に4P止まりです。最終戦のBhatiaさんとの試合をご紹介します。

Kojima, S - Bhatia, P
Tokyo Chess Championship 2024 (6)

1. Nf3 Nf6 2. g3 g6 3. Bg2 c5 4. O-O Bg7 5. d4 d5 6. c3

この大会では白番で1回、黒番で1回Grunfeldになり、この最終戦は白番でReversed Grunfeldになりました。4Rの東野さんとの試合では相手のcポーンを取った後でセンターを抑えられ、予想より良い展開にならなかったので、この試合では少しcポーンを取るのを慎重にします。

6... Nc6 7. dxc5!


しかし、ナイトがc6に出たのを見て取ります。Nb8-Na6-Nxc5や、Qd8-Qc7-Qxc5のアイディアが無くなると、黒はポーンを取り返すのが少し大変です。

7... a5 8. a4 O-O 9. Na3 Ne4 10. Be3

ここは4R同様のポーンの守り方をしたのですが、より良い手がありました。10. Ng5! Nf6 (10... Nxc5 11. Bxd5 e6 12. Bg2 Qxd1 13. Rxd1 Nxa4 14. Nc4! (ゲーム中、d5のポーンが消えたことでこの手が可能であることを見落とし、検討戦で指摘されて驚きました。) 14... Nc5 15. Nb6 Ra6 16. Be3 Nb3 17. Ra3 a4 18. Nxa4+-) 11. e4! d4 12. e5 Nxe5 13. cxd4 Nc6 14. Be3+/- g5にナイトを跳ぶアイディアは知っていたのですが、a4が弱点となるので本譜ではあまり働かないと勘違いしてしまいました。

10... e5 11. Nb5 Be6 12. Qc1!?


12. Nd2 Nf6 13. Bg5 h6 14. Bxf6 Bxf6 15. c4 d4 16. Ne4+/- こちらも1つの流れで、ポーンアップをキープしたままナイトをアクティブに使って白優勢です。

12... Qe7 13. Ng5! Nxg5 14. Bxg5 Qxc5 15. Nc7 Rac8 16. Nxe6 fxe6 17. h4?!

ポーンを返しても相手のポーンストラクチャーを崩し、ダブルビショップを持てば有利だと考え、16手目まで上手く進めてきました。ところがこの手が緩手で、黒に十分なプレーを許してしまいます。ここは17. e4! d4 18. Bh3 Rfe8 19. Ra3+/- が良いアイディアでした。e4に先にポーンを刺してしまえば、黒のe5-e4からナイト、黒マスビショップをアクティブにするアイディアを防ぐことができ、はっきりと白が有利でした。通常、g2のフィアンケットビショップの前にポーンを差し出す手は、ビショップの利きを止めてしまって良くないのですが、どうせBg2-Bh3からダイアゴナルを切り替えるつもりだったので、e4にポーンが残ることを気にする必要はありませんでした。

17... e4! 18. Qd1 Ne5 19. Bh3 Rce8 20. Qb3 Qc7 21. Qb5 h6?!


これはビショップをf4に切り替えるチャンスを与えるだけに思えます。21... Nc4 22. Bf4を想定していました。

22. Bf4 Qe7 23. Rad1 Rxf4!?

e8のルークをクイーンで当て、十分に警戒しているつもりだったエクスチェンジサクリファイスを実行してきました。白キングを多少危なくするため、実戦的な判断だと思います。

24. gxf4 Nc6?!


ルークをカバーし、クイーンがh4を取りにいく準備にはなりますが、b7が落ちた際にナイトもターゲットになるのが難点です。ルークはクイーンに当てられたままでも、24... Nc4! 25. e3 Nd6 26. Qe2 Qxh4 27. Kg2 で白が良さそうですがまだまだ分からない局面でした。

25. e3 Qxh4 26. Kg2?

ビショップはe6に当てたままにしておき、Rf1-Rh1のチャンスを作るのが良いと考えたのですが、ビショップの退き場所がなくなるのが予想よりも痛手でした。26. Bg2! Re7 27. f3! exf3 28. Rxf3+- くらいで白は満足でした。hファイルにルークをまわすアイディアは考えていても、fファイルから出てくる手は全く考えていなかったので、今振り返るとかなり視野が狭くなっていたことが分かります。

26... g5! 27. Qe2 h5 28. fxg5?!


ここはg5-g4を受ける手がこれしかないと思い、黒からのパペチュアルチェックを覚悟しました。しかし白から勝負にいく手として、28. Bxe6+! Rxe6 29. Rh1 Qg4+ 30. Qxg4 hxg4 31. Rxd5 gxf4 32. exf4+/- とする手があったようです。ビショップを思い切って捨てる手はどこかであると思いましたが、2ピースvs.ルークの局面が評価できず、なかなか思い切れませんでした。

28... Qxg5+ 29. Kh1 Qh4 30. Kg2 Ne5!?

まさかQg5-Qh4からのパペチュアルチェックを蹴り、勝負にくるとは思いもしませんでした。Nc6-Ne5-Nf3のアイディアは少し考えていましたが、キングが逃げ出す時間が生まれるので、きちんと指せれば白にチャンスがあると感じます。

31. Rh1 Qg5+ 32. Kf1 Nf3?!


ナイトが白キングに急接近して危ないようにも見えますが、f3に入る駒はクイーンかナイトか、保留しておくほうが白も判断が難しかったと思います。32... Re7 33. Qb5 Qf6! だとe6を守りつつ、Qf6-Qf3を見せて形勢不明です。

33. Qb5! Re7 34. Qxa5?!

a5のポーンにさほど価値は無いと思いながらも、とりあえずいただけるものはいただき、Qa5-Qd8+をメインの狙いにしようと思いました。しかしここで代わりに34. c4!が5段目の横利きを利用した厳しい1手で、黒のセンターポーンを崩し、dファイルも突破して一気に白勝勢となります。

34... Qe5 35. Qd8+ Kf7 36. Qc8 Bh6 37. Bg2


f3に刺さるポーンも嫌ですが、ナイトをいつでも消せるように準備しておきます。hファイルも開いたことでh5のポーンもターゲットになります。

37... Qf5 38. Qh8 Qg6 39. Ke2??

残り数秒で指した手が、なかなか出ないレベルのひどいブランダーでした。クイーンは攻め入るだけ攻め入って、帰れなくなることを全く想定していません。しかし代わりにどうすれば良いかは少し難しいです。f3のナイトを消しておくのは考えましたが、f3に残るポーンは厄介で、Qg6-Qg2とQg6-Qc2の狙いが同時に生まれます。正解は39. Rh3! Ng5 (39... Re8 40. Bxf3! Rxh8 41. Bxh5+-) 40. Rh2 としてナイトを追い返してしまうことでした。

39... Re8!


クイーンがトラップされ、ゲームは終わりました。がっくり。

40. Qxe8+ Kxe8 41. Bh3 h4 42. a5 Qh5 0-1

クイーンを落とすブランダーだけでなく、再三あった細かなチャンスを逃した甘さは反省します。またそれだけでなく、エクスチェンジを捨てる、明らかなパペチュアルチェック蹴って勝負するといった相手の姿勢も見習いたいですね。最近、安全に指そうとする傾向が強すぎて良くないように感じます。全日本に向けて、もう少し自分のチェスを見直そうと思います。

最後になりますが、今年最初のビッグトーナメントの運営、お疲れ様でした。これからの時期、各地の地方予選の様子を見るのも楽しみにしながら全日本選手権を迎えようと思います。また次の大会でもよろしくお願いいたします。

2024/01/10

Tokai Open 2024 Day2 Tournament Report

遅くなってしまいましたが、東海オープン2日目のレポートです。名古屋チェスクラブ主催で1/7-8に開催された東海オープンは、2日目に私と篠田くんが互いに1勝1ドローとなり、4.5/5で並んだ結果、わずかなタイブレーク差で私の優勝が決まりました。各セクションの入賞者の皆さん、おめでとうございます。

1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2298) 4.5/5
2nd Place Shinoda Taro (JPN, 1959) 4.5/5
3rd Place Kinoshita Akira (USA, 1811) 4/5

Tokai Open 2024 Final Standings


4Rの篠田くんとの試合はは、かなりまずい展開で負ける寸前でしたが、これをなんとか持ちこたえてドローにし、4連勝の木下さんを止めにいきます。今夜はこちらの最終戦のゲームをご紹介します。

Kinoshita A (USA, 1811) - Kojima, S (IM, JPN, 2298)
Tokai Open 2024 (5)

1. Nf3 d5 2. g3 g6 3. Bg2 Bg7 4. d4 c6 5. O-O Nf6 6. c3!?

黒のGrunfeldセットアップに対し、c2-c4と仕掛けず、c3で待つ手は私も注目しており、実は白番で指そうとオンラインで何度か試しているところでした。そのおかげで白のアイディアや、黒にどうされると少し嫌かもわかっていたのはラッキーです。

6... O-O 7. Bg5 Ne4 8. Bf4 Nd7 9. Nbd2 Nd6!?


d2でナイトを捌けば白のピースの展開を助けてしまうため、Nf6-Ne4-Nd6のマヌーバリングでナイトは盤上に残すことにします。d6のマスは再度e4への侵入を睨みつつ、f5,c4といったマスを睨む、典型的なナイトの好位置となります。

10. Re1 a5 11. a4 Re8 12. Qc2?!

このクイーンの位置取りは、すぐにBc8-Bf5のターゲットになるのでさほど良くないでしょう。ここではe2-e4からポーンストラクチャーを大きく変え、ピースのアクティビティーで勝負するのが良いと思います。もちろん黒としてもe4とd5を交換する形はCaro-Kann Defenceのポーンストラクチャーになるため、さほど不満はありません。

12... Nf6 13. Be5 Bf5 14. Qb3 Qd7 15. Rac1 Bh6! 16. Bxf6?!


Bf4-Be5と侵入してきたビショップに対し、Bg7-Bh6(or Bg7-Bf8) とビショップの利きを変え、ビショップ交換を避けながらNf6-Ng4などを狙う手はよくあるアイディアです。これに対してすぐにf6で交換をしかけるのはイマイチで、黒はダブルポーンでもeファイルを開いたことでe4のマスを抑えやすくなり、センターの支配とダブルビショップで優位に立つことができます。

16... exf6 17. e3 Bf8! 18. Nh4 Be6 19. Bf3 g5 20. Ng2 f5

白マスビショップの利きは一時的に弱めてしまいますが、f5-f4のブレイクを意識させたり、Nd6-Ne4と再度ナイトが跳びこむ手を見せられるのが良いかと思い、早めにfポーンを突くことにします。ここまでは良かったのですが、ここからの構想が冴えませんでした。

21. Be2 Re7?!


ダブルルークがeファイルにくる形は悪くないように思えたのですが、f8に退いたビショップが行き場を失い、駒の連携が取れなくなってしまいます。正しい作戦はNd6-Ne4,Bf8-Bd6と組み替えてからダブルルークをeファイルにそろえることで、これからば黒は白のキングサイドに強力なプレッシャーをかけることができました。

22. Bd3 f6 23. Qd1 Bf7 24. h4 Rae8 25. Kh2 h6 26. Rh1 Rd8

ここで自分の作戦ミスを認め、Bf8-Bd6の実現へと方向転換をします。一方で白もhファイルを開き、hファイルからの攻撃を画策しますが、2つのルークの連携が取れなくなるという弱点があり、リスクを取っているように思えます。

27. Kg1 Ree8 28. Qf3 Ne4! 29. Rd1


29. Bxe4 fxe4 30. Qxf6?? Bg7-+はクイーンがトラップになって黒勝勢です。これを見越してe4にナイトが入れたため、f8ビショップの活用も見えてきて黒がかなり指しやすくなったと感じました。

29... Kg7! 30. Ne1 Bd6 31. Ng2 Bg6 32. Nf1 Rh8 33. Qe2 Rde8 34. Qf3 Qf7!?

これは不要だったかもしれませんが、Bg6-Bh5を見せておくことで白からのh4-h5を誘い、白がhファイルを開く作戦を消しておきます。

35. h5 Bh7 36. Qe2 Re7 37. Qc2 Rhe8 38. Re1 Kh8 39. Re2 f4!?


互いに時間切迫の中、仕掛けるならばここだと思いましたが、39... Rg8のようにもう少し待っても良かったようです。しかし、白としてもこうして仕掛けられると対処に悩むでしょう。

40. gxf4 gxf4 41. f3? fxe3!

ここは41. exf4!と取るべきだったでしょう。もちろん、41... Rg8から難しいディフェンスを求められますが、すぐにどうしようもなく崩れるということはありません。逆に本譜は黒がe4のナイトを無視して局面を開き、ダブルビショップの強さを主張できるようになります。

42. Rxe3 f5!


再度ナイト取りを無視するのがポイントで、黒はナイトを取られてもe,fファイルのパスポーンを押していくことで駒損を解消することができます。

43. fxe4 dxe4 44. Bxe4 fxe4 45. Ng3 Rg8 46. Rh3 Qe6 47. Ne2 Reg7 0-1

最後はルークもダブルビショップも強力な利きを取り戻し、勝負を決めることができました。昨年に続き0.5P落としたものの、なんとか東海オープンで優勝できて良かったです。参加者、運営の皆様、ありがとうございました。また今年も名古屋に複数回遠征に期待と思っています。次の大会でも、よろしくお願いいたします。
入賞の賞品としては、欲しかったTiviakovの新刊をいただきました。4年前の対戦を思い出しながら中身をチェックします。
名古屋での試合後は京都に足を運んでいます。こちらは昨年末の紅白歌合戦でも登場した東本願寺です。
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