試合前の会場
全日本3日目の今日は、野口さん、中村くんとIVL メンバーとの連戦です。野口さんとの試合は相手のミスを突いて駒得になりましたが、40手目付近で見落としがあり、ドロー模様のエンドゲームに。しかし、最後に野口さんにブランダーが出たため、辛くも勝利を収めました。続く中村くんとの試合は、激しいゲームになります。
Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Nakamura, N (JPN, 2060)
Japan Chess Championship 2017 (6)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. b3 Bg7 4. Bb2 O-O 5. g3 d6 6. d4 Nbd7 7. Bg2 c6 8. O-O Re8 9. Nc3 e5 10. e4 exd4 11. Nxd4 Nc5 12. Qc2 a5 13. h3 Qb6 14. Rfd1
少し変わったムーブオーダーでしたが、オーソドックスなKing's Indian Fianchetto になりました。クイーンサイドもフィアンケットにするのは私としては珍しいので、ビショップがe3 にいるときとどう違うのかを考えて手を進めます。普段であれば
Rf1-Re1, Ra1-Rd1 と指しますが、ここでは
a5-a4 を気にして、
Ra1-Rb1 と回る可能性を残しておくことにします。
14... Be6 15. Rab1 Rad8 16. Kh2 Bc8 17. Rd2 Nfd7 18. Rbd1 a4
a5-a4 をけん制するために
Ra1-Rb1 を一度挟みましたが、ルークをdファイルに回しなおしたところで黒から仕掛けてきます。d4 のナイト取りから、d6 とb3 の交換は白が良いため、あまり気にせずに形を整えることを優先します。
19. f4 axb3 20. axb3 Nb8
しかし、ここでb4 とc5 にナイトを2つ置く形があったことを思い出し、それにどう対応するか考え始めます。もちろん、白はナイトがb4 に来て初めて
Qc2-Qb1 と下がるくらいでも良いのですが、それでは少し面白くないと思い、違う構想を練ります。
21. Ba3?!
コンピュータの指摘は驚くもので、
21. Ndb5!!(もちろん狙ってはいませしたが、ここで成立するのを読むのは大変です。)
21... cxb5 22. Nd5 Qa5 23. Bxg7 Kxg7 24. b4 Qa3 25. bxc5 bxc4 26. Qxc4 Qxc5 27. Qa2+- 最初はまだ白がポーンダウンじゃないかと思いましたが、クイーンを
a1-h8 のダイアゴナルに切り替えてからの
Nd5-Nf6+ の狙いが厳しく、黒は大きな駒損を避けられません。以前、南條くんとの試合でも適切なタイミングでの
Nd4-Nb5 を逃してしまいましたが、これはなかなか難しいですね。
21... Nba6 22. b4!? Nxb4 23. Qb1 Nca6 24. Na2 c5 25. Nb5 d5!
私がa3 にビショップを置いていた時点での構想が、
b3-b4 とポーンを突き捨てるアイディアです。これに対して黒が
c6-c5 を突けば、d5 のマスとd6 のバックワードポーンが弱く、白はポーンの代償が十分あると考えました。しかし、中村くんは驚きのポーンの突き返しで張り合ってきます。
25... Nxa2 26. Qxa2 Bf8 27. Bb2 Nc7 28. Bf6 Rd7 29. Qa7! Qxa7 30. Nxa7+/-
26. exd5 Re3 27. Nxb4
相手にもパスポーンを作るのはできれば避けたいですが、
Bc8-Bf5 からd3 やc2 のマスを抑えられてはひとたまりもないので、ナイトを交換することを決めます。
27... cxb4 28. Bb2 Bf5 29. Qa1 Bxb2 30. Qxb2 b3 31. d6
とても難しい応酬だと思います。私は
d5-d6 を押し込んだことでd5 にマスを作り、ナイトをこのマスまで運んでナイトフォークとf6 のチェックを狙うことにしました。これで白が少し指しやすいと思っていましたが、黒もタフに抵抗します。
31... Nb4 32. Qf6!
f6 はナイトのために空けておくべきかとも思いましたが、このようにクイーンが侵入してきても黒は対応に困ります。白はf6 にナイトを切り込む準備ができたら、おとなしくクイーンをどこかに退けばよいでしょう。
32... Rd7 33. Nc7! Bd3?
時間切迫でこうしたミスが出るのは仕方ありません。正解は
33... h5 のようなキングのスペースを作る手ですが、それでも白がやや指しやすそうです。本譜のようにdファイルをブロックしたい気持ちは分かりますが、白はバックランクを狙い、タクティクスを決めます。
34. Ra1!?
時間を多少使っても読めなかったのはエクスチェンジを捨てるアイディアですが、
34. Rxd3 Nxd3 (34... Rxd3 35. Rxd3 Nxd3 36. Ne8+-) 35. Ra1+- と意外と簡単でした。
34... Na2 35. Rxd3!
ここでエクスチェンジを捨て、オープンファイルを取れば白の勝ちとなります。
35. Raxa2 bxa2 36. Rxa2+- でもOK でした。
35... Rxd3 36. Re1! Qxd6
36... Re3 37. Ne8!+- があるのがポイントです。本譜のように黒がクイーンを捨てても、白はすぐにメイトにできます。
37. Re8+ Qf8 38. Rxf8+
38. Ne6 Qxe8 39. Qg7# もありましたが、別の手筋でメイトが見えたため、そちらに跳びつきます。
38... Kxf8 39. Qh8+ Ke7 40. Qe8+ 1-0
キングがどちらに上がろうとも、
41. Qe5# となります。これで連勝を4まで伸ばし、ようやく今大会初の単独トップに立ちました! 残り5試合でさらに星を伸ばし、逃げ切りを図りたいと思います。
Yamada(5) - Kojima(5.5)
Nakamura(4.5) - Noguchi (5)
Shinoda(4) - Sano(4)
Higashino(4) - Shiomi(4)
次のラウンドは山田くんに黒です。ここを振り切れば優勝も現実味を帯びてきますので、しっかりとプレーしてきたいですね。それでは4日目もよろしくお願い致します。明日からの2日間は、会場が大田区産業プラザから大田区民センターになりますので、参加と見学の皆さんはご注意を!
Japan Chess Championship 2017