ラベル Budapest Chess Olympiad の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Budapest Chess Olympiad の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/10/11

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第35回予告

10月のチェス講座告知です。9月はオリンピアードのためにお休みさせていただいたため、2か月ぶりの講座となります。今月のYouTubeでの講座は今週末、10/13(日) 20時からスタートです。

10月のYouTubeの講座テーマは『ブダペストオリンピアード』です。ハンガリーの首都、ブダペストで開催されたオリンピアードが閉幕し、3週間ほど経ちました。チェス連盟の応援配信では日本チームのゲームをたくさんご覧いただき、多くの応援のメッセージもありがとうございました。今回の講座では日本チーム以外の各国のトップのゲームの中で面白かったものをピックアップし、タクティクスやエンドゲームまで幅広くご紹介できればと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第35回『ブダペストオリンピアード』|2024.10.13

2024/09/23

Budapest Chess Olympiad R11 Colombia - Japan

夜の王宮

ブダペストオリンピアードは昨日最終戦を迎え、全ての試合が終了しました。日本のオープンチームはコロンビアとの対戦です。コロンビアは10年以上前にGM Zapataと試合をしましたが、彼以降どのようなGMが育っているかはほとんど知りませんでした。前日にアイスランドを破った勢いで、格上との最終戦に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Valderrama Quiceno, E (IM, COL, 2418)
Budapest Chess Olympiad (11)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c5 7. dxc5 Bxc5 8. a3 Nc6 9. Qc2 Qa5 10. Rd1 Be7 11. Be2 Ne4!?

今年の全日本選手権でもTuさんがこの変化を採用してきました。そこではしっかりとチャンスをつかめなかったので、こちらから少し手を変えることにします。

12. cxd5 Nxc3 13. Qxc3!?


13. bxc3 exd5 14. O-Oとするのが最近は多いですが、クイーン交換を入れる変化も選べます。昔調べた知識を堀りだして指し進めます。

13... Qxc3+ 14. bxc3 exd5 15. Rxd5 Bxa3 16. Nd4 Nxd4 17. exd4 b6 18. Rb5!?

18. Kd2 a6という流れが多いようですが、知りませんでした。ルークはなるべくa,bファイルに集め、黒のポーンを抑えつつ狙えるようにします。

18... Re8 19. Kd2 Ba6 20. Re5 Bxe2 21. Rxe2 Rxe2+ 22. Kxe2 b5?!


ポーンを伸ばすよりもキングを早くセンターに運ぶことを優先すべきです。

23. Rb1 a6 24. Kd3 f6 25. c4 bxc4+ 26. Kxc4 Rc8+ 27. Kd3 a5?

このポーンの伸ばしはうかつで、単にターゲットになってしまいます。このポーンをありがたくいただき、1ポーンアップのルークエンディングに突入します。

28. Bd2! Bb4 29. Bxb4 Rb8 30. Rb2 axb4 31. Kc4 Rc8+ 32. Kxb4 Kf7 33. Re2!


eファイルでカットオフし、黒キングがこれ以上ポーンに寄れないようにします。

33... Rd8 34. Kc5 Rc8+ 35. Kb6 Rd8 36. Kc5 Rc8+ 37. Kb4 Rd8 38. Kc4 Rc8+ 39. Kd3 Rd8 40. g4!

一度キングを上げていきましたが、d4のポーンへの反撃に戻られた際に局面を進展させる方法がありません。白ルークはRe2-Re4でd4ポーンを横から守りたいですが、f6-f5が厄介なアイディアです。そこで先にgポーンを突いておき、f5のマスを確保してf6-f5をできないようにします。

40... g6 41. f4 f5 42. gxf5 gxf5 43. Re5


白からg4-g5を突いてe4,e5のマスを確保するつもりでしたが、黒からfポーンを突いてくれたため、e5のマスを確保できました。これでd4-d5とポーンを押し込むことができます。

43... Kf6 44. d5 Rd6 45. Kc4 Rd8 46. Kd4 Ra8 47. d6 Ra2 48. h4 Ra4+ 49. Kd5 Ra5+ 50. Kc6 Ra6+ 51. Kc7 Ra7+ 52. Kb6 Ra4 53. d7 Rd4 54. Kc6 1-0

c6までキングが到達すれば、Re5-Rd5があってプロモーションが受かりません。個人3連勝でこのオリンピアードを締めくくりました。チームは残念ながら1-3でコロンビアに敗れ、過去最高戦績には到達しませんでしたが、TuさんのGMノーム獲得、GMのみのアイスランドに勝つなど、チームの成長も感じられるオリンピアードでした。

Open R11 Colombia - Japan 3-1
Women R11 Indonesia - Japan 3.5-0.5


これで1か月に渡る私のハンガリー生活も終わり、これから日本に帰国します。オリンピアード本番前からたくさんの応援、ありがとうございました。また帰国後にお世話になった皆さんにご挨拶させていただきます。クラウドファンディングのリターンもお楽しみに! また日本でお会いしましょう。

2024/09/21

Budapest Chess Olympiad R9 Japan - Jordan

GMノームをかけた大一番に臨むTuさんです。

ブダペストオリンピアードR9はヨルダンとの対戦です。アジア大会ではヨルダンの代表と顔を合わせることはあれど、私自身ヨルダン代表と試合をした記憶があまりありません。私の相手は15歳で、9月の更新で大きく数字を伸ばして2000近くまできたジュニアです。このラウンドは私個人の試合だけでなく、トップボードでTuさんがGMノームをかけた試合をしていることもあり、不思議な緊張感がありました。

Rakan, D (JOR, 1976) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Budapest Chess Olympiad (9)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. Bc4!?

Caro-Kann Classicalではビショップをd3でぶつけて交換するアイディアが一般的ですが、c4に展開することもあります。しかし、hポーンの伸ばしをしないか、N1e2-Nf4との組み合わせで使うのが多いでしょう。このタイミングでのBf1-Bc4は初めて見ました。

8... e6 9. Bf4 Ngf6 10. c3 Be7 11. Ne5 Nxe5 12. Bxe5


12. dxe5 Nd5 13. Bxd5 Qxd5 14. Qxd5 exd5=/+ と進み、ダブルビショップを持つ黒がやや指しやすいでしょう。

12... O-O 13. h5 Bh7 14. Bxf6?!

ここでナイトとビショップを交換するメリットはあまりないでしょう。Ng3-Ne4と戻すつもりなのでしょうが、黒マスのコントロールが弱まれば、黒からのe6-e5、c6-c5のどちらも警戒しなければいけません。14. Bd3と単にぶつけて交換するほうが良かったと思います。

14... Bxf6 15. O-O Qb6!


クイーンをどこに置くか悩みましたが、b2を当てつつd8にルークを回す、c6-c5を突く準備を進めます。

16. Bd3 Bxd3 17. Qxd3 Rfd8! 18. Qe2 Rd5! 19. Ne4 Be7 20. Rad1 Rad8 21. b4 Qc7!

b2-b4と突かせたことでc6-c5はできなくなりましたが、代わりにc3ポーンが弱くなりました。黒クイーンはb6での仕事を終え、c7の位置からe6-e5を狙います。

22. g3 e5! 23. dxe5 Qxe5


d4のポーンが崩れてe5のマスを奪えば、c3、h5のポーン、e4のナイト、e2のクイーンどれもが負担となります。

24. Rde1 Qxh5 0-1

少し早い気もしますが、h5のポーンが落ちた時点で白はリザインしました。相手は試合中、机に伏せるようなシーンもあり、アービタ―に「大丈夫か?」と声をかけられていたので、もしかすると体調があまり良くなかったのかもしれません。なにはともあれ、苦しんでいるこのオリンピアード、ようやく3勝目です!

Open R9 Japan - Jordan 3.5-0.5
Women R9 Japan - Scotland 2.5-1.5


私のすぐ後に青嶋くんが勝ち、Tuさんも勝ってマッチの勝ちが決まりました。Tuさんは今日の結果を受け、日本のチェスプレーヤーとして2人目となるGMノームを獲得しています。(1人目は羽生さん) Tuさん、おめでとうございます! 女子チームもスコットランドに2.5-1.5で勝ち、2回目のオープン、女子揃っての勝利です。
帰りのバス待ちの時間にインドのトップボード、Gukeshと記念撮影。11月の世界選手権ではチェスの歴史を変えてほしいですね。
この日はアマチュアトーナメント会場で、ブリッツ大会も開催されました。私もあと20分試合が早く終われば跳びこみ参加ができましたが、焦って指してミスが出ては仕方がないですからね。ここではオリンピアード前の遠征で対戦したプレーヤーたちに挨拶することができました。

さてR10はアイスランドとの対戦です。アイスランドは世界で最もGM人口率の高い国! ハンガリーと並ぶ温泉大国でもあるため、いつか大会で行って温泉にも浸かってみたいですね。最終順位アップのため、あとひと踏ん張りしてこようと思います。

2024/09/20

Budapest Chess Olympiad R8 Slovakia - Japan

エキスポエリアでは大きなモニターで中継を見ることができます。

ブダペストオリンピアードR8の相手はハンガリーのお隣、スロバキアです。スロバキアのキャプテン、GM MovsesianとはR1の前にR2で当たるのではないかと話をしました。結局それは私がスロベニアとスロバキアを見間違えただけだったのですが、後半のここで当たるとはなんとも面白い偶然です。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Kostolansky, S (IM, SVK, 2405)
Budapest Chess Olympiad (8)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Nbd7 5. cxd5 exd5 6. Bf4 Bb4 7. Rc1 Ne4 8. Nd2 Nxd2 9. Qxd2 Nf6 10. f3

2回目のNf6-Ne4を防ぐためにこの手を入れますが、すぐに10. a3でも良かったようです。ナイトの跳びこみにはQd2-Qe3とかわす手があります。

10... O-O 11. a3 Be7 12. e3 c6 13. Bd3 Nh5


hファイルを開けるのはありがたいと思っていましたが、相手は構わずビショップを取りにきました。これをいれなければBf4-Bg3-Bf2のようにビショップを逃がし、白はe3-e4を狙って優位に試合を進められるでしょう。

14. Bg3 Nxg3 15. hxg3 h6 16. Kf2 Re8 17. Ne2

ナイトをキングサイドにまわすのは自然な流れかと思いましたが、本譜のように黒が白マスビショップを捌けるのであれば、17. g4!?を先に入れておく手もあったでしょう。f,gポーンをどう伸ばすか、柔軟性を保つことにこだわりすぎたのは少し失敗でした。

17... Bd6 18. Bb1 Qg5! 19. Nf4 g6 20. Rh4 Bf8 21. Nd3 Bf5 22. Ne5


22. f4 Qe7 23. Ne5 Bxb1 24. Rxb1 f6! 25. Nd3と進んでナイトが追い返されてしまうようでは、f3-f4を突く意味が無いと考え、f3-f4は保留でナイトを跳びこみます。

22... Bxb1 23. Rxb1 c5 24. Qd3?

f3-f4の際に黒クイーンにf5に逃げられることを嫌い、この手を指しました。しかしこれが決定的なミスで、黒からのタクティクスを許してしまいます。24. Rd1 cxd4 25. exd4 Rac8=/+として耐えるべきでした。

24... cxd4 25. exd4 Rxe5!


気を付けていたつもりでしたが、クイーンが3段目にずれたことでf2でのメイトスレットが発生することを見落としていました。

26. dxe5 Bc5+ 27. Kf1

27. Ke2 Qxe5+ 28. Kd1 Re8 29. Rh1 Qxg3-+ キングはどちらに逃げようと苦しい状況に変わりありません。

27... Qxg3 28. Rd4 Bxd4 29. Qxd4 Rc8


すぐに取らなくても良いd4のるーきを即取り、ルークをc8に回す手を相手は即決しました。e5も負担になってクイーンが動きづらい白は、2段目への黒ルーク跳びこみに対応できません。

30. e6 Rc2 31. exf7+ Kf8 32. Qh8+ Kxf7 33. Qh7+ Kf6 34. Qh8+ Kg5 35. Qd8+ Kh5 36. Qxd5+ g5 37. Qf7+ Kh4 0-1

チェックが途切れた時点でリザインしました。ここまで白を多く貰いながら結果を出せておらず、チームに貢献できていないのは悔しいです。このマッチはTuさんが勝ち、青嶋くんが良いところまでいきつつドローで、1.5-2.5で残念ながら敗れています。これまでの格上とのマッチでは一番ポイントを取れているので、沈み気味の私と南條くんがなんとか復調して、残り3試合で結果を出したいところです。

Open R8 Slovakia - Japan 2.5-1.5
Women R8 Japan - Fiji 0-4


今日はオープンがヨルダン、女子がスコットランドとの対戦です。勝ちがなかなか拾えない私も、気落ちせず最後まで戦っていこうと思います。

2024/09/19

Budapest Chess Olympiad R7 Sudan - Japan


ブダペストオリンピアードは昨日から後半戦に突入しました。R7はオープンがスーダンとの対戦になり、私は抜け番です。Tuさんが早々に2ポーンアップになり、手堅く勝ち。南條くんもイコールのポーンエンディングでしたが、上手く相手のミスにつけこんで勝ちをもぎ取りました。かなりレイティングの近い組み合わせもありましたが、終わってみればスーダンをストレートで破っています。

Open R7 Sudan - Japan 0-4
Women R7 Pakistan - Japan 1-2


女子は4Bで禁止されている30手以内のドローをし、両者負け扱いとなりましたが、残りのボードが2勝1敗でパキスタンを破っています。オープン、女子ともに勝ったのはこのラウンドが初めてですね。

昨日は弘平くんと初めてバスではなく、メトロ、トラムを乗り継いで会場へ。会場にあるJudit Polgarのこちらの写真はよく見ると...
細かい写真の集合であることに気づきました。上手く作るものですね~。
試合のない私は日本からのゲストに会場内、街中を案内し、最後は一緒にヨーカイ通りの人気ハンガリー料理店、Menzaへ。ここは私が12年前、初めてハンガリーに1人で来た際にアンダンテのお客さんに案内していただいた思い出の店です。

さて今日のR8はオープンがスロバキア、女子がフィジーとの対戦です。スロバキアはかつてNo.1だったGM Movsesianがアルメニアに移籍しましたが、今回彼はアルメニア代表ではなく、スロバキアのキャプテンを務めています。彼が率いるスロバキアの若手マスター集団と、どんなマッチになるか楽しみに会場へ向かおうと思います!

2024/09/18

Budapest Chess Olympiad Rest Day

オリンピアードのような大型の大会にほぼあるのが、試合のない休憩日です。16日に6試合目を終え後半戦を迎えるブダペストオリンピアードですが、17日は試合がなく、各国の選手は様々な休日を過ごしました。私たち日本チームも普段はホテルと会場の往復ばかりでしたので、気分転換のために外に出ます。西駅はハンガリー国内の各所とブダペストを繋ぐ駅で、私もかつてはここから南のケチケメートへと足を運んでいました。
ホテルからメトロ、トラム、またメトロと乗り継ぎ、広大な市民公園へとやってきました。ここには温泉チェスで有名なセーチェニ温泉だけでなく、動物園や植物園もあり、ブダペスト市民の憩いの場となっています。こちらの写真には右手にヴァイダフニャディ城が見えています。
セーチェニ温泉には45分間ビール飲み放題風呂がありました。温泉チェスより惹かれる人もいるのでは笑
この日は温泉には誰も入らず、市民公園を後にしてデアーク広場で遅めの昼食。その後はメンバーが一部で王宮のナショナルギャラリーに足を運びます。王宮にはこれまで徒歩で向かうことが多かったですが、デアーク広場から直通のバスが出ているのは知りませんでした。
オリンピアードの試合がないこの日も、チェスファンはチェスイベントを求めて集まります。ナショナルギャラリーではハンガリーで有名なPolgar3姉妹が主催する、Global Chess Festivalが開催されていました。私たちが到着したのはイベント終了の1時間前でしたが、ちょうど三女Juditの同時対局が佳境を迎えるところでした。クロックも使った8面指しで、各席にはストリーマーもついて指すと同時に配信も行っていたようです。
今回はルービックキューブとのコラボもあり、開発者の建築学者ルビクさんも来てサイン会を行ったようです。ルービックキューブも基本は6面、チェスも6種類のピースであるため、2つのゲームは相性が良いかもしれません。各面に各ピースが描かれたルービックキューブもオリンピアードの記念品としていただいています。
書籍を始めとするグッズも多く販売されています。オリンピアードの会場でも同じものが購入できますが、3姉妹が確実にいてサインをもらいやすいこのイベントで購入する人も多いようです。
会場ではIM、GMの姿も多く見かけています。Messiのユニフォームを着ていたのは、アルゼンチン代表のGM Flores Diegoです。彼はこのオリンピアードではアメリカとのマッチで、GM Dominguez Perezを下す金星を挙げています。
王宮からは対岸の国会議事堂がよく見えます。ここはブダペストでも有数の夜景スポットですので、また日が沈んだ時間帯にも足を運びたいですね。

さぁ休憩日明けの今日から後半戦のスタートです。オープンはスーダン、女子はパキスタンとの対戦です。これを今書いている私は抜け番ですので、ライブを見ながら応援をしていきたいと思います。頑張れ、日本チーム!

2024/09/17

Budapest Chess Olympiad R6 Japan - Cuba

今大会は試合をする机やこちらのルークなど、各所で段ボールが使われています。

前半戦の最終試合、R6でオープンチームはキューバとの対戦になりました。キューバは12年前のイスタンブールオリンピアードの初戦で対戦し、0-4で敗れています。その時に比べてDominguez Perez、Bruzonといったスター選手が抜け、パワーダウンしているとはいえ全員GMの強豪国です。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Berdayes Ason, D (GM, CUB, 2474)
Budapest Chess Olympiad (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. cxd5 exd5 6. Qa4+ Nc6 7. Bg5 h6 8. Bxf6 Qxf6 9. e3 O-O 10. Be2 Be6 11. a3 Bxc3+ 12. bxc3 Ne7 13. c4 c5 14. O-O Rfc8

ここで相手が準備を外してきました。単にc4とd4を捌く手を考えていましたが、本譜ではルーク交換がさらに入ります。

15. Rac1 dxc4 16. Bxc4 Bxc4 17. Rxc4 cxd4 18. Nxd4


試合後にMishaから、18. Rxc8+ Rxc8 19. Qxa7 dxe3 20. Qxe3とa7を取り、局面をさらに単純化するアイディアを提案されました。本譜でも悪くないですが、こちらの変化を欠片も考えなかったのは反省です。

18... a6 19. Rfc1 Rxc4 20. Qxc4 Rc8 21. Qf1 Rxc1 22. Qxc1 Qd6 23. h4 g6 24. Qc3 b5 25. Qa5!?

悪くなる手ではないですが、c3とセンターに近い位置に残しておくほうが自然だったかもしれません。a6を早めに当て、黒のクイーンを動けなくしようと考えました。

25... h5 26. g3 Nd5 27. Nc2 Qb6 28. Qxb6 Nxb6


ここはクイーン交換に応じます。黒はクイーンサイドにポーンマジョリティがあって有利に見えますが、白キングがセンターに寄るのが早く、問題無いと考えました。

29. Kf1 Kg7 30. Ke2 Kf6 31. Kd3 Kf5 32. f3 Nc4 33. e4+ Ke5 34. f4+

e,fポーンを伸ばしても構わないと思いましたが、g3-g4のチャンスは無くなってしまいます。33. Kd4 Nd2 34. e4+ Ke6 35. Ke3とする手もありました。

34... Kd6 35. Kd4 Nd2 36. Ne3


ここでe5までポーンを進めるかどうかを悩み、時間を使いすぎてしまいました。結論はどちらでも大丈夫なのですが、36. e5+ Ke6 37. Ne3 (37. Kc5!?) 37... Nc4 38. Nxc4 bxc4 39. Kxc4 Kf5 40. Kc5 Kg4 41. Kd6 (41. Kb6?と寄る手しか考えておらず、e4-e5を挟むのはだめだと勘違いました。) 41... Kxg3 42. Ke7 Kxf4 43. Kxf7 Kxe5 44. Kxg6 Kf4 45. Kxh5 Kf5= このポーンエンディングはドローです。

36... Nf3+ 37. Kc3 Kc5 0-1

ここでナイトの位置をd5とc2で迷い、d5を選んで指したつもりでしたが、無情にも時間が落ちました。冷静に見れば余裕のある局面で慎重になりすぎ、要所で時間を使いすぎたことを反省します。最後もナイトはどちらでも戦えたので、もったいないゲームでした。

Open R6 Japan - Cuba 0.5-3.5
Women R6 Lebanon - Japan 1-3


オープンはTuさんがドローを取ったのみで、残り3人は敗れました。女子もリスト下位のレバノンが数字以上に強かったようで、1-3で敗れています。レストデイの今日、リフレッシュしてまた後半で全力を尽くせるように頑張ります!

2024/09/16

Budapest Chess Olympiad R5 Japan - Guatemala

試合会場になっているBOK Sports Centerです。

雨が続くブダペストは、ここ数日で一気に寒く感じるようになってきました。ブダペストオリンピアード5日目のこの日は、オープンチームがグアテマラとの対戦です。グアテマラは過去の対戦では誰も勝てず、1.5-2.5で敗れて悔しい思いをしています。今回はその雪辱を晴らすべく、上位4人で試合に臨みます。

Aragon Trujillo, R (CM, GUA, 2057) - Kojima, S (IM, JPN, 2299)
Budapest Chess Olympiad (5)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6 5. Nxf6+ exf6 6. d4 Bd6 7. Be2 O-O 8. O-O Re8 9. Re1 Nd7 10. c4 Nf8 11. h3 Be6 12. Be3 Qd7

Caro-Kann Two Knightsに今回は4... Nf6変化を用意しています。f6のダブルポーンは形は悪く見えますが、e5の重要なマスを抑える働きがあります。白のセットアップはやや消極的で、黒はチャンスがあればh3へのサクリファイスを見せておきます。

13. Rc1 Ng6 14. Bf1 a5 15. a4 Re7


ここはd4-d5の押し込みからBf1-Bb5を避けるためにルークを上げておきます。

16. b3 Rd8 17. Bd2 Bc7 18. b4 axb4 19. Bxb4 Bd6 20. Bxd6 Qxd6 21. Rb1 Qb8 22. Qb3 Qa7

駒交換が進み、局面の特徴が変わりました。白はbファイルを開いてb7をターゲットにしますが、代わりにc4とa4を弱めています。d4も守りづらいために黒はナイトを上手くd4へのアタックに切り替えたいところです。

23. Ra1 Qa5 24. Reb1 Bf5 25. Qb6 Ra8 26. Qxa5 Rxa5 27. Rb2 h6 28. Nd2!


このナイトの切り替えはhポーンを動かした後に気づきました。Nd2-Nb3-Nc5はb7を狙ってくる、黒にとって嫌な動きです。早めにNg6-Nf4と跳びこんでおくべきだと少し後悔しました。

28... Ra7 29. Rb4 Nf4 30. a5 Ne2+ 31. Bxe2 Rxe2 32. Nf1 Be6 33. Ne3 Rd2 34. c5 f5 35. Nf1 Rc2 36. Ne3 Rd2 37. Nf1 Re2

しかし黒もe2へのナイト跳びこみからビショップナイトを交換し、ルークが2段目に潜り込む形になりました。繰り返しの手順を蹴って40手到達を目指します。

38. Ne3 f4 39. Kf1 Ra2!?


ここはアクティブなルークを残す39... Rd2が自然ではありますが、どう続けるか分からずにルーク交換に踏み切りました。aポーンとbポーンを交換し、再びアクティブなルークを得る作戦です。

40. Rxa2 Bxa2 41. Nf5 Be6 42. Nd6 Rxa5 43. Nxb7 Ra1+ 44. Ke2 Ra2+ 45. Kf1 f3

ビショップはd5の好位置を確保し、白のキングサイドも崩せそうなので満足ですが、まだ勝ちのアドバンテージには少し足りません。それでも白からf2-f3とされては何もないため、ここは仕掛ける1手だと思います。

46. gxf3 Bxh3+ 47. Kg1 Be6 48. Nd6?


48. Nd8 Bd5 49. Rb6 Ra4 50. Nxc6 Bxc6 51. Rxc6 Rxd4= ならばとことんやるつもりでしたが、hポーンがパスポーンでもこのルークエンディングは勝てないでしょう。ここですぐにc6をアタックに来ないのはラッキーでした。

48... Bd5 49. Rb6 Bxf3?

しかし、私もここは対応を間違えました。ルークが離れたのでd4を取りにいくのが素直だと最初は思いましたが、f3を守られた後のNd6-Nf5からの切り替えにどう対応するかが分かりませんでした。49... Ra4! 50. Nf5 (50. Kg2 Rxd4 51. Nf5 Rg4+! このチェックを見落としました) 50... Bxf3 51. Ne7+ Kh7 52. Nxc6 Bxc6 53. Rxc6 Rxd4-+ f3を落としたうえでのd4,c6交換であれば、黒は大いに勝つチャンスのあるルークエンディングです。

50. Rb8+ Kh7 51. Nxf7 Bd5 52. Ne5 h5 53. Rf8 h4


f7が取られるのを見落とし、また難しい状況になりますが、h4までポーンを進めればRa2-Ra1-Rh1がメイトスレットになります。これを絡めて仕掛けるのがラストチャンスだと思いました。

54. f3 Rd2 55. Rf4 g5 56. Rg4?

私もg4だと試合中に読んでいましたが、これはルークの行き場が無くて困っています。56. Rf5! Kh6 57. Rf6+ Kh5 58. Rf8= ならば白もh8でのメイトスレットを作り、キングが逃げて繰り返しのドローでした。

56... Kh6 57. Rg2 Rxd4


白はルークがどうしようもなく、d4を諦めてきましたが、これで黒はこの試合初めての駒得で安心して残りを進められます。もし白のルークが離れなくとも、Kh6-Kh5からf3を取るつもりでした。

58. Kh2 Rf4 59. Rf2 Kh5 60. Rb2 Bxf3 61. Rb6 g4 62. Nxf3 Rxf3 63. Rxc6 Rf2+ 64. Kg1 Rc2 65. Rc8 h3 0-1

白には指す手が無く、f3も落として黒の勝ちとなりました。途中、勝てないことも覚悟しましたが、エンドゲームのちょっとしたチャンスの作り方、ミスの出方は経験の差が出るものだとあらためて感じるゲームでした。他のメンバーも全員勝ち、決して弱いチームではないグアテマラを4-0で下しています。

Open R5 Japan - Guatemala 4-0
Women R5 Japan - Venezuela 0.5-3.5


女子チームはベネズエラに0.5-3.5で敗れています。ここまでどちらのチームも、格上にマッチで勝つのはできていません。どこかでリスト上にも勝ちたいですね。今日はオープンが全員GMのキューバ、女子がレバノンとの対戦です。明日は休憩日なので、力を出し切ってこようと思います!

2024/09/15

Budapest Chess Olympiad R4 Hungary B - Japan

元ハンガリー代表のGM Balogh CsabaはChess Evolutionのブースにいます。

ブダペストオリンピアード4日目、オープンチームは主催国、ハンガリーのBチームと対戦です。これまで私が参加してきたオリンピアードでは、2008年のドレスデンでドイツCチーム、2016年のバクーでアゼルバイジャンCチームと主催国チームと当たり、いずれも4-0で敗れています。主催国代表は気合の入り方も違いますので、私たちも全員GMのハンガリーBチームに全力でぶつかります。

Kojima, S (IM, JPN, 2299) - Antal, G (GM, HUN, 2554)
Budapest Chess Olympiad (4)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nf3 Bg7 4. g3 c6 5. Bg2 d5 6. cxd5 cxd5 7. Nc3 O-O 8. Ne5 Nc6 9. O-O Bf5!?

Grunfeldは予想通りでしたが、ここは9... e6を準備していました。とは言え、違う手順でBc8-Bf5も調べていたので、それに沿って指すようにします。

10. Nxc6 bxc6 11. Bf4 Nh5!?


11... Nd7 12. Na4のような進行を予想していたので、このナイト端跳びは意外でした。f7-f5がないため、e3にビショップを退きます。

12. Be3 c5 13. Bxd5!?

ここは様々な手があるようですが、13. Nxd5 e6 14. Nf4 Nxf4 15. Bxf4 cxd4 16. Bxa8 Qxa8という進行は黒に十分なエクスチェンジの代償があると考えて避けました。13. h3のような手でまずはg3-g4を見せるのもあったようです。

13... cxd4 14. Bxd4 Bxd4 15. Qxd4 e6 16. g4


ピースの取り合いになり、かなりさっぱりした局面まで進みます。キング前のポーンが無くなってもさほど問題無いとこの時点では考えていました。

16... Bxg4 17. Qxg4 Nf6 18. Qd4 Nxd5 19. Nxd5 exd5 20. Rfd1?!

ここでどちらのルークを使うか悩みました。a1のルークはc1に回して黒のルークに対抗するか、あわよくばRa1-Rc1-Rc5のようなことを考えていたのですが、ここはf2の守りのためにf1のルークはこの位置に残すほうが良かったです。20. Rad1 Qg5+ 21. Kh1 Rfe8 22. Qxd5 Qxd5+ 23. Rxd5 Rxe2 24. Rb5= と進めばエンドゲームはドローです。

20... Qg5+ 21. Kf1 Qh5 22. Qxd5 Qxh2 23. e3 Rae8!


この手は読んでおらず、指されてみるとRe8-Re5からキングサイドを攻める絶妙なアイディアであると分かります。

24. Ke2?

h1にクイーンやルークをまわして黒の攻撃力を下げようとした判断が間違いで、キングはf1に留まるべきでした。代わりに24. Qf3 Re5 25. Rd5として粘るべきです。

24... Re5 25. Qh1 Qf4 26. Rac1 Qa4


この手は考えていたつもりでしたが、b5の位置でのチェックからb2取りもあることに指されてから気づき、自分の失敗を悟りました。ポーンが落ちてからはこちらから攻めるポイントがなく、じりじりと差を広げられるのみです。

27. Rd2 Qxa2 28. Qb7 Qe6 29. Rc7 a5 30. Rdd7 Rf5 31. Re7 Qf6 32. f3 Rh5 33. b3 Qb2+ 34. Kd3 Qb1+ 35. Kc3 Qc1+ 36. Kd3 Qd1+ 37. Kc3 Rh2 38. Rxf7 Rc2# 0-1

最後はどうしようもなくメイトになりました。1Bはかなり互角に近い形勢でしたが、時間の無い中ビショップサクリファイスをしかけたTuさんが、その勢いのままGM Kozak Adamのキングを仕留め、チームで唯一のポイントをあげました! このオリンピアードで初めての格上、そしてGMからの勝利です。チームは3-1で敗れたものの、この金星はチームにとって大きいものです。

Open R4 Hungary B - Japan 3-1
Women R4 Japan - Aruba 4-0


女子チームは西インド諸島のアルバをストレートで下し、オープン、女子ともに2勝2敗で4つのマッチを終えています。休憩日に入る前の前半残り2戦、しっかりポイントを取って後半を迎えたいですね。本日のR5はオープンがグアテマラ、女子がベネズエラとともにアメリカ大陸の国との対戦です。
この日はたまたまブダペストを観光中だった知り合いが、会場まで差し入れを届けてくれました。Gerbeaudは150年以上続くブダペストの老舗カフェで、持ち帰りのチョコレートが人気です。私も昨年、初めて足を運びました。
Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.