報告が遅くなりましたが、先月末に母校、麻布学園のチェス部春合宿にコーチとして参加してきました。2020年からの新型コロナ流行により、春合宿の開催は4年ぶりのこと。当然ながら私の参加も4年ぶりとなります。懐かしい気持ちで、2018年の夏合宿と同じ、山梨県の河口湖駅に降り立ちました。帰りはバスですが、行きは京王線、JR、富士急行線などを乗り継いで昼前に到着しました。
合宿所で前日から来ていたチェス部の現役部員たちと合流し、昼食後からチェスを始めます。初めて合宿に参加するメンバーもいる中で、久々の合宿メニューをどうするか悩みましたが、最初は「チェスは○○ゲーム」 というテーマで、○○に入るものを自由に考えてもらいました。(相手キングを追い詰める、だけは一番出やすそうなので無しにします) チェスがどんなゲームかまずは皆でイメージし、様々なアイディアを出しあうことで、その後の講座を進めやすくする狙いでしたが、「チェスは戦略立てるゲーム」 「チェスは違う特性の駒を使うゲーム」 「チェスは駒の連携が大事なゲーム」など様々な意見を出してくれて、私自身このミニゲームを楽しめました。
その後、Nimzowitsch の試合を解説し、途中途中でどう指すか質問しながら、チェスの局面の考え方、手の作り方などを説明していきました。時間が少し余ったときには、有名なスタディを2人1組で解いてもらいます。先輩、後輩が力を合わせながら、ああでもない、こうでもないとアイディアを出し合うのは、過去の合宿でもOBたちが繰り返してきたことです。夕飯前には私の講座を中断し、12人の部員同士で試合をする時間設けます。私は全6試合を見回りましたが、ちょっとした面白いポジションが現れました。
Position after 7. Bg5
白が
f2-f3 と突いたのがすでに変ですが、それと
Bc1-Bg5 の悪さを咎めるアイディアが分かるでしょうか?
7... Nxe4! 8. Bxd8??
8. fxe4 Qxg5 9. Nf3 Qd8-+ と進めてもポーンを失った白は敗勢ですが、粘るならばメイトされる本譜ではなく、こちらを選ばなくてはいけません。
8... Bf2+ 0-1
以下、
9. Ke2 Nd4# がぴったりチェックメイトになっています。色が逆ですが、
Legal's Mate と呼ばれる200年以上前からあるメイトの1つです。実戦で目の当たりにするとは思いませんでした。黒もよく見逃しませんでしたね。
初日の夜はもう1つNimzowitsch の試合を見てからメニューは終了。2日目を迎えます。いつもはのんびり起きて朝食から合流していましたが、この日は集合時間を確認しておらず、早めに外に出て部員たちを探すと、ちょうどチェス部合宿伝統のゲーム、灯台守をやっているところでした。このゲームを簡単に説明すると、鬼を中心において円形で行う、だるまさんがころんだです。鬼は動いた人の名前を呼ばなければいけないため、部員同士、先輩後輩同士が顔と名前を一致させるのにもってこいのゲームとして、私が現役当初からありました。
また到着初日は曇り空で気づきませんでしたが、合宿所のすぐ裏には富士山が顔を覗かせていました。凄い迫力!
その後、2日目の午前中は恒例の同時対局を行いました。私にとってもかなり久々の対面での多面指しでしたが、なんとか12面全てを勝ち切って、コーチといての面目を保ちました。今回はそこまで部員数が多くなかったことも要因だと思います。過去の合宿では、歴代部長に結構ポイントを落としており、この合宿での同時対局は私にとってハードなメニューです。2日間で教えた内容をすぐに実戦に活かすのは難しいですが、「説明されたのはこういうことだったのか」 と腑に落ちるようなゲームがあったならば幸いです。
次はまたスケジュールが合えば、8月の夏合宿にお邪魔させていただきたいと思います。新年度を迎え、新入部員を増やして賑やかなチェス部になっていくことを願っています。また大会でも後輩たちが活躍するのを楽しみにしています!