1st Place Yamada, Kohei (FM, JPN, 2294) 5.5/6
2nd Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2575) 5/6
3rd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2471) 5/6
4th Place Furuya Masahiro (JPN, 2004) 5/6
5th Place Togawa Kentaro (JPN, 1455) 5/6
Tokyo Chess Championship 2024 Final Standings
私は全体の調子自体は悪くなかったものの、最終戦で負けて去年同様に4P止まりです。最終戦のBhatiaさんとの試合をご紹介します。
Kojima, S - Bhatia, P
Tokyo Chess Championship 2024 (6)
1. Nf3 Nf6 2. g3 g6 3. Bg2 c5 4. O-O Bg7 5. d4 d5 6. c3
この大会では白番で1回、黒番で1回Grunfeldになり、この最終戦は白番でReversed Grunfeldになりました。4Rの東野さんとの試合では相手のcポーンを取った後でセンターを抑えられ、予想より良い展開にならなかったので、この試合では少しcポーンを取るのを慎重にします。
6... Nc6 7. dxc5!
しかし、ナイトがc6に出たのを見て取ります。Nb8-Na6-Nxc5や、Qd8-Qc7-Qxc5のアイディアが無くなると、黒はポーンを取り返すのが少し大変です。
7... a5 8. a4 O-O 9. Na3 Ne4 10. Be3
ここは4R同様のポーンの守り方をしたのですが、より良い手がありました。
10. Ng5! Nf6 (10... Nxc5 11. Bxd5 e6 12. Bg2 Qxd1 13. Rxd1 Nxa4 14. Nc4! (ゲーム中、d5のポーンが消えたことでこの手が可能であることを見落とし、検討戦で指摘されて驚きました。)
14... Nc5 15. Nb6 Ra6 16. Be3 Nb3 17. Ra3 a4 18. Nxa4+-) 11. e4! d4 12. e5 Nxe5 13. cxd4 Nc6 14. Be3+/- g5にナイトを跳ぶアイディアは知っていたのですが、a4が弱点となるので本譜ではあまり働かないと勘違いしてしまいました。
10... e5 11. Nb5 Be6 12. Qc1!?
12. Nd2 Nf6 13. Bg5 h6 14. Bxf6 Bxf6 15. c4 d4 16. Ne4+/- こちらも1つの流れで、ポーンアップをキープしたままナイトをアクティブに使って白優勢です。
12... Qe7 13. Ng5! Nxg5 14. Bxg5 Qxc5 15. Nc7 Rac8 16. Nxe6 fxe6 17. h4?!
ポーンを返しても相手のポーンストラクチャーを崩し、ダブルビショップを持てば有利だと考え、16手目まで上手く進めてきました。ところがこの手が緩手で、黒に十分なプレーを許してしまいます。ここは
17. e4! d4 18. Bh3 Rfe8 19. Ra3+/- が良いアイディアでした。e4に先にポーンを刺してしまえば、黒のe5-e4からナイト、黒マスビショップをアクティブにするアイディアを防ぐことができ、はっきりと白が有利でした。通常、g2のフィアンケットビショップの前にポーンを差し出す手は、ビショップの利きを止めてしまって良くないのですが、どうせBg2-Bh3からダイアゴナルを切り替えるつもりだったので、e4にポーンが残ることを気にする必要はありませんでした。
17... e4! 18. Qd1 Ne5 19. Bh3 Rce8 20. Qb3 Qc7 21. Qb5 h6?!
これはビショップをf4に切り替えるチャンスを与えるだけに思えます。
21... Nc4 22. Bf4を想定していました。
22. Bf4 Qe7 23. Rad1 Rxf4!?
e8のルークをクイーンで当て、十分に警戒しているつもりだったエクスチェンジサクリファイスを実行してきました。白キングを多少危なくするため、実戦的な判断だと思います。
24. gxf4 Nc6?!
ルークをカバーし、クイーンがh4を取りにいく準備にはなりますが、b7が落ちた際にナイトもターゲットになるのが難点です。ルークはクイーンに当てられたままでも、
24... Nc4! 25. e3 Nd6 26. Qe2 Qxh4 27. Kg2 で白が良さそうですがまだまだ分からない局面でした。
25. e3 Qxh4 26. Kg2?
ビショップはe6に当てたままにしておき、Rf1-Rh1のチャンスを作るのが良いと考えたのですが、ビショップの退き場所がなくなるのが予想よりも痛手でした。
26. Bg2! Re7 27. f3! exf3 28. Rxf3+- くらいで白は満足でした。hファイルにルークをまわすアイディアは考えていても、fファイルから出てくる手は全く考えていなかったので、今振り返るとかなり視野が狭くなっていたことが分かります。
26... g5! 27. Qe2 h5 28. fxg5?!
ここはg5-g4を受ける手がこれしかないと思い、黒からのパペチュアルチェックを覚悟しました。しかし白から勝負にいく手として、
28. Bxe6+! Rxe6 29. Rh1 Qg4+ 30. Qxg4 hxg4 31. Rxd5 gxf4 32. exf4+/- とする手があったようです。ビショップを思い切って捨てる手はどこかであると思いましたが、2ピースvs.ルークの局面が評価できず、なかなか思い切れませんでした。
28... Qxg5+ 29. Kh1 Qh4 30. Kg2 Ne5!?
まさかQg5-Qh4からのパペチュアルチェックを蹴り、勝負にくるとは思いもしませんでした。Nc6-Ne5-Nf3のアイディアは少し考えていましたが、キングが逃げ出す時間が生まれるので、きちんと指せれば白にチャンスがあると感じます。
31. Rh1 Qg5+ 32. Kf1 Nf3?!
ナイトが白キングに急接近して危ないようにも見えますが、f3に入る駒はクイーンかナイトか、保留しておくほうが白も判断が難しかったと思います。
32... Re7 33. Qb5 Qf6! だとe6を守りつつ、Qf6-Qf3を見せて形勢不明です。
33. Qb5! Re7 34. Qxa5?!
a5のポーンにさほど価値は無いと思いながらも、とりあえずいただけるものはいただき、Qa5-Qd8+をメインの狙いにしようと思いました。しかしここで代わりに
34. c4!が5段目の横利きを利用した厳しい1手で、黒のセンターポーンを崩し、dファイルも突破して一気に白勝勢となります。
34... Qe5 35. Qd8+ Kf7 36. Qc8 Bh6 37. Bg2
f3に刺さるポーンも嫌ですが、ナイトをいつでも消せるように準備しておきます。hファイルも開いたことでh5のポーンもターゲットになります。
37... Qf5 38. Qh8 Qg6 39. Ke2??
残り数秒で指した手が、なかなか出ないレベルのひどいブランダーでした。クイーンは攻め入るだけ攻め入って、帰れなくなることを全く想定していません。しかし代わりにどうすれば良いかは少し難しいです。f3のナイトを消しておくのは考えましたが、f3に残るポーンは厄介で、Qg6-Qg2とQg6-Qc2の狙いが同時に生まれます。正解は
39. Rh3! Ng5 (39... Re8 40. Bxf3! Rxh8 41. Bxh5+-) 40. Rh2 としてナイトを追い返してしまうことでした。
39... Re8!
クイーンがトラップされ、ゲームは終わりました。がっくり。
40. Qxe8+ Kxe8 41. Bh3 h4 42. a5 Qh5 0-1
クイーンを落とすブランダーだけでなく、再三あった細かなチャンスを逃した甘さは反省します。またそれだけでなく、エクスチェンジを捨てる、明らかなパペチュアルチェック蹴って勝負するといった相手の姿勢も見習いたいですね。最近、安全に指そうとする傾向が強すぎて良くないように感じます。全日本に向けて、もう少し自分のチェスを見直そうと思います。
最後になりますが、今年最初のビッグトーナメントの運営、お疲れ様でした。これからの時期、各地の地方予選の様子を見るのも楽しみにしながら全日本選手権を迎えようと思います。また次の大会でもよろしくお願いいたします。