昨日4/28は、下北沢でシモキタ名人戦が開催されました。シモキタ名人戦は将棋、囲碁を始め、多くのボードゲームが出展する屋外イベントで、今年で13回目を迎えます。チェスも2年前から出展し、シモキタ名人戦でチェスが楽しめることも段々と周知されていているように思えます。今年は天気にも恵まれ、多くのお客さんに足を運んでいただきました。 シモキタ Street Chess 2024と称した今年のチェスブースの内容は、一般のお客さんの自由対局コーナー、チェス連盟スタッフによるルール説明、巨大チェス駒のあるフォトスポット設置などです。さらに私は今年、このイベントの中で午後の早い回と夕方、同時対局を2回行いました。2回とも定員を超える多くのお客さんに参加希望をいただいたこと、とても嬉しく思います。
同時対局前半は6面指しで、お客さんの白黒は自由に選択していただきました。後半は9面に増やしたため、こちらが全て白をいただきました。全15ゲームの中から、面白かった局面をピックアップしてご紹介します。
久々に指したSveshnikov Sicilianでこのポジションを迎えました。白のクイーンサイドのポーンマジョリティは脅威になりますが、黒もセンターに居座るビショップが強力で、白キングに攻撃を仕掛けるチャンスを持ちます。
25... Bxh2! 26. Nxd7 Rxd7 27. Kxh2?
ここでビショップを取る手は素直すぎる反応で、黒がそのままポーンアップのエンドゲームになります。ここは一工夫必要で、白はまだ互角に戦えました。27. Bd1! Rde7! 28. Kxh2 Re1 29. Ba4 Rxb1 30. Bxe8 Qe5+ 31. Qf4 Qa1! 32. Kg3 Rh1 33. Bd7 Qe1+ 34. Rf2 Qc3+ 35. Rf3 Qe1+= こうしてパペチュアルチェックのドローです。
27... Qe5+ 28. Kg1 Qxe2 29. Qxe2 Rxe2-+
ビショップを取り返したうえ、ルークが好位置に入ったエンドゲームでこのまま勝ち切りました。
次はこちらです。QGDからこの局面を迎えました。白はa,cポーンがバラバラですが、b7にプレッシャーをかけて白マスビショップの展開を妨害し、孤立したd5も上手く攻撃できそうです。
17. Rfd1 Bf6 18. Qb3!?
ここは18. Nd4でも良かったのですが、d4でのナイト交換の際に可能であればcポーンで取り返し、バックワードポーンのないポーンストラクチャーにしたかったです。そこでc3、d5の取り合いならば少し白が良いと考え、Nf3-Nd4を遅らせることにします。
18... Rd8 19. Nd4! Bd7 20. Bf3
Bc8-Bd7はなるほどと思ったのですが、ここで実はポーンを取ることができました。20. Qxb7! Qxc3 21. Nb3! これでナイト交換を避けると、c3のクイーンが行き場に困っています。ナイトを退く手の代わりに21. Rdc1? Nxd4! 22. Rxc3 Nxe2+ 23. Kh1 Nxc3-+ だとクイーンを取っても駒損であることを読み、先にビショップを避けてNd4-Nxe2+を避けることにしました。
20... Be8?
これでは先述のタクティクスが成立せず、b7を取られてしまうことになります。代わりに20... Na5! と指すべきで、ビショップがa4にあたるため、白はd5を取っても得にはなりませんでした。21. Qxb7 Qxc3 22. Rdc1 Na5
22... Nxd4 23. Rxc3 Nxf3+ 24. gxf3 Bxc3 ならばまだ戦えそうですが、いずれにせよ白の駒得です。
23. Rxc3 Nxb7 24. Rxb7+-
以下ピースアップを勝ち切りました。
15面の同時対局では昨年、今年のカデッツ選手権で好成績を収めた小学生たちとも指しましたが、皆さん強いですね。普段指すことのないメンバーともチェスができ、私自身とても楽しむことができました。また来年以降もこのイベントが続いていくことを願っています。