今夜はこちらのルークエンディングをご紹介します。アタック側のキングがすでにパスポーンの前に潜り込んでいる形は、ルセナポジションと呼ばれ、通常アタック側が勝てるものですが、ポーンの位置がa, hファイルだと難しくなります。それでも、相手キングをポーンから4ファイル離してカットオフしておけば、勝つことができます。(3ファイル以下だとドロー)
1. Rf1 Kd7 2. Rf8 Ke6
白はルークをg8 に持ってきて、黒ルークによるカットオフから、キングの脱出するマスを作ろうとします。それに対して黒は、キングを寄せるぐらいしかありません。2... Ke7 3. Rg8! Rh2 4. Kg7! Rg2+ 5. Kh6 Rh2+ 6. Kg6 Rg2+ 7. Kf5+- でも、白キングは黒ルークの縦のチェックを振り切り、白勝ちとなります。
3. Rg8 Rh2 4. Kg7 Rg2+ 5. Kf8!
5. Kh6 Rh2+ 6. Kg6 Rg2+ と進めば、白キングは引き返すしかありません。f5 のマスを抑えるのが、2... Ke6 のアイディアです。そのため白キングは、8段目を這うように黒キングのチェックを振り切ろうとします。
5... Rf2+ 6. Ke8 Ra2!
黒が粘るためには、ルークのチェックを縦から横に切り替え、メイトを狙うのがベストです。
7. Rg6+ Kf5 8. Rf6+!
白が勝つために重要な1手です。8. Rh6? Ra8+ 9. Kd7 Ra7+ 10. Kc8 Ra8+ 11. Kb7 Rh8= ならば、黒はドローに持ち込めます。
8... Kg5
8... Kxf6 9. h8=Q++- は、クイーンを作った際にチェックになるのがポイントです。こうして黒キングの位置をずらした白は、メイトの危機を逃れました。この後は、9. Rf8 Ra8+ 10. Kf7 Ra7+ 11. Kg8+- といった流れで白勝ちになります。昨晩、Endgame Manual を見直し、この手筋しか乗っていないことを確認しました。ところが他にも、思いもよらない手で勝ちになることを発見しました。
9. Kf8!?
この手は一緒にこのエンドゲームを考えていた、私の恋人に指摘されました。9. Rf8 が当然の1手で、他に白が勝つ方法は無いと思っていた私にとって、この手の存在はかなり驚きでした。黒は、f6 のルークを取れば、依然としてプロモーションがチェックになるため、他の手を探さなければいけません。しかし、何を指しても負けを回避することはできません。
9... Rh2
9... Ra7 10. Rf7 Ra8+ 11. Kg7+- でも白勝ちです。
10. Rf7 Kg6 11. Kg8+-
これで白の勝ちとなります。ちなみに9. Kf8!? のアイディアは、GM のMisha からも美しい! との言葉を貰っています。9. Rf8 で白勝ちになることが分かる以上、他の手を検討する必要が無いと言えばそれまでです。しかし、広く知られたアイディアにこだわらず、他に何か無いかと手を探す姿勢が、これまでの常識を覆し、新たセオリーを生むことに繋がるかもしれませんね。
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