2016/11/05

Chubu Rapid Open 2016 Tournament Report


祝日の11/3 は、名古屋で開催された中部快速オープンに、今年も参加してきました。今大会は試合前日にも複数のエントリーがあり、予想を超える人数が集まって盛況でした。そんな中、私は名古屋オープンで敗れた北神さん、最大のライバルだったAlex を下し、無事に優勝を果たすことができました! なつみもAクラスで同時優勝となり、久々に揃っての表彰です。

今回は最近読んでいるPositional Play の本を参考に、いつも以上に丁寧に指すことを心がけました。個人的にはタクティクスは、丁寧なポジショナルプレーができた成果として、自然に現れるものだと思っています。どのゲームも面白かったですが、今夜は最終戦の棋譜をお届けします。

Yanagihara, K - Kojima, S
Chubu Rapid Open 2016 (6)

1. c4 e5 2. Nc3 Nf6 3. Nf3 Nc6 4. d3 Bb4



中部快速オープンの最終戦、私は名古屋オープンでも対戦した、ブラジルのYanagihara さんとのペアリングになりました。直前の5R でAlex を破り、単独5連勝で優勝を決めていた私ですが、この最終戦で敗れれば何名かの同時優勝もありえます。昨年は5連勝後に北神さんと最終戦で手堅くドローになりましたが、この試合ではどうするか、手を進めて様子を見ながら考えます。

5. Bd2 O-O 6. g3 Re8 7. Bg2 h6 8. O-O a5


e5 English ではよくあることですが、b4 に展開したビショップをどうするか悩むところです。最初はReversed Sicilian Moscow のつもりで指していたため、a2-a3 を見てe8 に退くつもりでしたが、なかなか白はそれを実行しません。そこでc5 に退くことにしますが、その前にa7-a5 を突いておき、白にa2-a3、b2-b4 と調子良くポーンを進めさせないようにします。

9. Qc2 d6 10. h3



白はクイーンの位置をc2 で決めてしまった以上、黒のBc8-Bg4-Bxf3、Nc6-Nd4 は嫌なコンビネーションとなります。そこでg4 のマスを早めに抑えますが、それならば黒は、一度ビショップをg4 に出す手間を省き、ビショップを展開するだけです。

10... Bf5 11. e4!?


ビショップをは追い返しますが、d4 のマスを長期的に弱めるため、個人的には好きではないアイディアです。しかし、黒も将来的なf2-f4 からのキングサイドの攻撃は、侮るべきではないでしょう。

11... Be6 12. Rac1 Bc5! 13. a3(=) Nd7!?



相手のドローオファーを蹴って、勝負することにします。自然にも見える13... Qd7 14. Kh2 は、ピンを外させたことで白のf2-f4 を助けているだけのような気がし、違ったプランを考えます。ナイトはd7 からc5 に行ければそれで良し、もしくは時間がかかってもe6 経由でd4 のアウトポストを目指せればなお良しです。

14. Nd5 Nd4 15. Nxd4 Bxd4 16. b4 axb4 17. axb4 c6 18. Ne3?!


これは素直過ぎて、黒のプレーを楽にさせてしまうでしょう。e6 のビショップが逃げる場所がないことを利用し、18. Be3!? と指すのはありだったと思います。

18... Qb6! 19. Rb1 Ra3 20. b5 Qa7!?



c6-c5 と固める手はNd7-Nc5 のチャンスがなくなってしまうため、ここは落ち着いてクイーンを退き、白のb4-b5 に対抗します。黒はaファイル支配と、d4、c5 のマスを抑えることで完全に流れをつかんでいます。

21. Kh2 Ra8 22. Rfe1 Nc5 23. Bf1 Ra2


ここまで準備してから仕掛けるのがベストだと判断いましたが、私が読み落としていた筋で、23... cxb5! 24. Rxb5 Bd7!-+ というものがありました。Bd7-Ba4 のチャンスも作れば、黒は早めに駒得できるでしょう。

24. Qc1 Qa3!



ここはクイーンを交換し、aファイルと7段目のコントロール、さらにはd3 へのプレッシャーで黒は十分に勝ちだと読みました。実際、白には満足なディフェンスがありません。

25. Qxa3 R8xa3 26. Bb4


f2 は落ちますが、これ以外ならばd3 を取って黒勝勢です。

26... Rxf2+ 27. Ng2 Raa2 28. bxc6 bxc6 29. Bxc5 Bxc5 30. g4 h5! 31. Kg3 hxg4 32. hxg4 Rxg2+!



このタクティクスで2ポーンアップに駒得を広げ、勝ちを確信しました。このルークエンディングでは、白に望みはないでしょう。

33. Bxg2 Bf2+ 34. Kf3 Bxe1 35. Rxe1 Bxg4+! 36. Kxg4 Rxg2+-+


後は手数こそ長いものの、丁寧に指してプロモーションを確定させるだけです。

37. Kf3 Rd2 38. Re3 g6 39. Kg4 Kg7 40. Rf3 Rg2+ 41. Kh3 Rg5 42. Rf2 f5 43. exf5 gxf5 44. Kh4 Kf6 45. Rf3 f4 46. d4 Kf5 47. dxe5 dxe5 48. Ra3 Rg8 49. Kh3 Rg3+ 50. Rxg3 fxg3 51. Kxg3 Ke4 52. Kg4 Kd3 53. Kf5 e4 54. c5 e3 55. Ke5 Kc4 56. Ke4 e2 0-1



1ポーンを返しても、ルーク強制交換から黒勝ちのポーンエンディングに持ち込んで終わりです。無茶な手はひとつもなく、良い指しまわしができたと思います。この白星で6戦全勝となり、ようやく今年初の国内大会優勝です! 今月はジャパンオープンと函館チェス大会にも参加するつもりですので、この調子で頑張りたいですね。

今年も名古屋チェスクラブには、大変お世話になりました。名古屋のメンバーの皆さん、いつもありがとうございます。また来年も、機会があれば名古屋まで足を延ばそうと思います。


そして試合明けの4日は、朝から京都に向かいました。私にとっては、麻布チェス部の同期たちと中学の修学旅行で来てから、実に13年ぶりの京都です! 仕事で京都を訪れていた三村くんと合流し、お昼はゆば専門店でゆば膳をいただきました。


清水寺も当然13年ぶりです。紅葉のピークはもう少し先で、ジャパンオープンの開催される週末頃には、もう少し景色も紅く色づいているのではないかと思います。しかし、紅葉の見ごろを少し外したにもかかわらず、清水寺の本堂は訪れた観光客であぶれんばかりでした。

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