2019/02/19

第11回七盤初心者のためのチェスレッスン


White to move

【日時】 2019年3月2日(土) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 世界チャンピオンの1手1手 Vol.1
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

3月のいっぷくでのチェスレッスンは、3/2(土) の開催です。今回は久々にゲームをいくつか、序盤から終盤まで全体を通して解説をしようと思います。世界チャンピオンの実戦から私がゲームを厳選し、皆さんのためになるアイディアをご紹介します。

2019/02/17

Chess in Paris Olympic?


数日前、2024年のパリオリンピックで、チェスを種目にしようという動きがあるというニュースが流れました。私は最初、2020年のハンティマンシスク、2022年のミンスクに続いて、2024年のチェスオリンピアードの開催地として、パリが候補に挙がったのだと勘違いしました。そうではなく、来年の東京に続いて開催が決まっているパリの夏季オリンピックにおいて、チェスが種目になるかもしれないという話ですね。

以前からチェスがオリンピックの種目になるのではないかという噂のようなものは時々耳にしましたが、今回は少し本腰を入れた動きのように感じます。私はフランスのチェスニュースで最初に見かけましたが、Chessgames、Chessbase News、さらには日本のニュースサイトでも取り上げられています。ヨーロッパは全体的にチェスが盛んですが、フランスはその中でも特にチェス人口も多く、プレーヤーの層も厚い国です。そんな開催国の背景も、種目に採用されるかどうかの要素になるでしょう。

The Olympic Dream
五輪=チェス連盟、24年大会での競技採用に向けて活動

私も2006年のドーハアジア大会の際に経験しましたが、チェスがオリンピックのようなスポーツ大会の種目になる、もしくはなるかもしれないという話題が出ると、「チェスはスポーツなのか?」「実はチェスは~」「チェスはオリンピアードがあるので、オリンピックの種目にしなくても良いのでは?」 など色々な意見が出ます。私としては、チェスの普及のためには(当たり前ですが)、現在チェスをしていない層に対して、どのようにチェスをアピールするかというのがポイントになってくると思っています。チェスオリンピアードも素晴らしいイベントだと確信していますが、やはりチェス単体のイベントではチェスファン以外に情報や魅力が届きにくいという難点があります。他のスポーツと一緒の大会、しかもオリンピックという世界最大のスポーツイベントでチェスが種目になることは、これからの日本でのチェス普及において、大きな追い風になるでしょう。ただし、2006年のアジア大会の際は期待されていたほどの影響は無かったので、そこは日本の新しいチェス団体であるNCS が、2024年に向けて日本でチェスをもっとプレーできる、楽しめる環境づくりをどのようにできるかということにかかってくると思います。もちろん、私もできることを少しずつしていきたいですね。もちろん、まだパリオリンピックで種目になることが決まったわけではないので、気が早い話ですが(笑)

気が早いついでに書いてしまいますと、もしパリオリンピックの種目になるのであれば、私は参加したいです。ただそれと同時に、5年以上も先の話であれば、もっと若い世代を育てていなければいけないという意識もあります。色々な期待を持ちながら、このパリオリンピックでのチェスの話題は、今後の動向を見守ろうと思います。


2019/02/06

Chess Events in February and March


今月、来月は都内で気になるイベントがいくつかあります。それぞれ分かる範囲でご紹介させていただきます。

2/23 NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Kids



Tokyo International Chess Club の存在は、年明け前から耳に入ってきていました。今月になってこのクラブが大会を開催すると連絡がありましたので、共有させていただきます。今月23日(土) の大会は18歳以下の子供向け大会で、U18とU10の2セクション分け、会場は江戸川区の葛西にある東葛西コミュニティ会館です。画像には出ていませんが、主催者に確認したところ、持ち時間は20分+1手5秒で6R だそうです。ジュニア選手、その保護者のかたは、エントリー要項などを画像を拡大からご確認ください。エントリー先のリンクを張っておきます。

NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Kids

3/2 第11回七盤初心者のためのチェスレッスン


私が清澄白河のどうぶつしょうぎCafe いっぷくで開催しているチェスレッスンは、遠征から戻った今月から再開しています。今月も常連のかたから初めてのかたまで、多くのボードゲームファンの皆さんにお越しいただき、ありがとうございました。来月は2日(土) 18時半からの開催です。また2週間前にはテーマや詳細を発表しますので、こちらもよろしくお願い致します。

3/2 NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Adults


上記のTokyo International Chess Club が主催する大人向けの大会は、いっぷくのレッスン日と同じ、月が替わった3/2(土) 開催予定です。先程まで3/3(日) と間違って記載していました。申し訳ありません。こちらは年齢区分のないオープン大会で、会場はジュニア大会と同じ、東葛西コミュニティ会館です。こちらも持ち時間、ラウンド数はジュニア大会と同じですので、上記の画像拡大からその他詳細をご確認のうえ、興味のあるかたはエントリーしてみてください。私も参加を検討中です。

NIRVANAM'S TOKYO CHESS OPEN for Adults

3/10 Setagaya Chess League - Session 1


こちらはTokyo Chess Meet up が主催するイベントです。このクラブはこれまで外国人向けのチェスイベント情報を発信し、下北沢や渋谷で活動を続けてきており、私も数回参加したことがあります。そんなTokyo Chess Meet up の新イベントは、FIDE公式戦です。オーガナイザーのRafaelさんは、昨年のアービターセミナーで試験をパスしており、きちんとFIDE公式戦を行う資格を持っています。試合形式は60分+1手30秒を2試合、1日で行うとのこと。大会要項は英語と日本語で2つ用意されています。

Tokyo Chess Meet up
Setagaya Chess League - Session 1 (English Version)
世田谷チェスリーグ - 第1セッション 大会要項(日本語版)

日本のチェス団体が新しくなり、FIDE公式戦を増やす方針であることは先日のブログの記事でも触れましたが、こちらのイベントは団体主催の大会に先駆けてFIDE公式戦を行うということですので、どうなるかとても楽しみです。私は先日の記事の中で60分+1手30秒でもFIDE公式戦にできることを指摘しましたが、Rafaelさんはそんなことはとっくにご存知で、こうした企画を進めていたのですね(笑) レイティング2200を超える私は試合には参加できませんが、なるべく顔を出すようにしたいと思います。会場は玉川大区民センターで、最寄り駅は用賀駅です。

3/23-24 Tokyo Chess Championship 2019


日本の新チェス団体、National Chess Society of Japan(NCS) の主催する最初の大会です。昨年までのJCA主催の百傑戦同様、ゴールデンウィークに開催される全日本選手権の予選を兼ねており、東京予選とも呼ぶべき大会です。すでに先週末から地方予選はスタートしており、これから各地で誰が全日本の参加権利を獲得するか楽しみに、情報が届くのを待っています。こちらの大会の詳細はエントリー手続きも含め、以下のリンクから確認できます。

Tokyo Chess Championship 2019 大会要項

こちらはお馴染み、池上会館での開催ですね。この大会は私も参加予定で、私にとっては年内最初の国内大会となる可能性が高いです。また皆さんにお会いできることを楽しみにしています!

2019/02/04

How should be held FIDE tournaments in Japan


2月に入り、日本の新しいチェス組織は正式に活動スタートということになりましたが、昨日、団体名が日本チェス連盟 (JCF) から、National Chess Society of Japan (NSC)に変更されるというニュースが流れました。この経緯については確かな情報が届いておらず、今日私が話題にしたいことからもずれているので、今回は置いておきます。私が注目したいのは、今年から新団体が主催するFIDE公式大会についてです。

昨晩、友人のブログにこうした記事がアップされました。

発進、JCF改めNCS~それぞれの思いと私の思い


この中に、FIDE公式戦になる影響で昨年までの大会の日程や試合数が変更され、参加しづらくなるとの記述があります。これこそまさに私が気にしていたことでした。実際にゴールデンオープンがFIDE大会になった影響で、試合数が減ったことに不満の声があるとも、私の耳に届いています。

まず最初に説明しておきますと、私の基本スタンスとしては、FIDE公式戦が増えることには歓迎です。これまでは、日本のFIDE公式戦は年に2回、GWの全日本選手権と、お盆の時期のジャパンリーグのみでした。そのため、日本に住んでいてFIDEレイティングを獲得したいプレーヤーは、この2大会に参加するか海外大会に足を伸ばさなくてはいけません。もちろん海外大会に足を運ぶ理由はFIDEレイティング獲得だけではないですが、日本でもっとFIDE公式戦の機会が増えれば、手間とお金のかかる遠征の必要もなくなる(減る)でしょう。他にもFIDE公式戦を増やすメリットは以下のように考えています。

・試合への真剣度合が増し、個人、国としてもレベルが向上する
・FIDEレイティングを獲得するプレーヤーが増えると、海外の大会に興味を持ち、遠征にいく人が増える
(チェスの楽しみ方のバリエーションが増える)
・海外から日本の大会に興味をも持ち、参加するアマチュア、マスターが増える
・大会の規模が大きくなり、レベルも上がれば、結果として日本でのチェス普及につながる


これらはあくまで私の個人的な見解で、もちろん希望的観測も入っています。新団体の意見を代弁しているわけではなので、その点はご理解ください。2つ目は上記のこと(遠征の必要がなくなる、減る)と相反しているようにも見えますが、どちらの面もあると思っています。はっきりしておきたいのは、私のような海外のトーナメントを飛び交うようなプレーヤーたちだけにメリットのあることではない、と考えていることです。

逆にこれでまでの大会をFIDE公式戦にすることによるデメリットはどこにあるか、考えてみましょう。FIDE大会が増えると敷居が高くなるというコメントを見かけました。これまでの日本のFIDE大会は、参加費が高い全日本とジャパンリーグのみでした。そこまで高い参加費を払ってまで、FIDEレイティングを欲しいとは思わない、という人は多かったのは理解できます。だから、FIDE大会=敷居の高いもの、というイメージがついてるのかもしれませんが、そこから考えると参加費の安い他の大会もFIDE大会になるということは、逆にFIDE公式戦自体の敷居は低くなるはずです。FIDE のレイティングをプラスすることで、それが無かった時よりも参加者の真剣度合が増し、カジュアルにチェスを楽しみたい層が参加しづらくなるということであれば、なるほどと思います。これに対してのアイディアは、また後述します。

FIDE大会にするデメリットの一番は、上のブログでも触れられている通り、試合数が減ることや、試合数を減らさないようにしたために、大会日程が延びることでしょう。FIDE公式戦は90分+1手30秒以上の持ち時間がスタンダードで、これでは1日2試合のスケジュールが限界です。日本の大会は全日本やジャパンリーグのように長い持ち時間、長い日程の大会もありますが、他は50分+1手30秒、60分+1手30秒などの持ち時間で、1日3試合詰め込むこむものもあります。これらをFIDE公式戦にすると、1日2試合が限界ですので、昨年同様の日程にすると試合数を減らさざるをえなくなり、同じ試合数にすると日程を長くせざるえなくなります。それで大会に満足度が下がる、もしくは大会に参加しづらくなるのであれば、FIDE公式戦にされるほうが困る、迷惑であるという意見が出るのはもっともです。(ただ一方で、日本の持ち時間は海外に比べて短く、ゆっくり考えられないのが嫌だ。長い日程でも、持ち時間を長くして、1日の試合数を減らしてくれたほうが助かるという私の知り合いもいます。)

私が頭を悩ませたのもまさにそこで、FIDE大会は増えてほしい、でも試合数の減少や日程の延長は抑えたい。これらを上手くまとめる方法はないのかと、昨晩から考えていました。そこでFIDE のHandbook を読み直し、以下の項目を発見しました。

FIDE Rating Regulations effective from 1 July 2017


1.Rate of Play

1.1 For a game to be rated each player must have the following minimum periods in which to complete all the moves, assuming the game lasts 60 moves.
Where at least one of the players in the game has a rating 2200 or higher, each player must have a minimum of 120 minutes.
Where at least one of the players in the game has a rating 1600 or higher, each player must have a minimum of 90 minutes.
Where both of the players in the game are rated below 1600, each player must have a minimum of 60 minutes.

日本語で簡潔にまとめると、FIDE公式戦の持ち時間は60手で試合が終わると想定して、レイティング2200以上で1人120分(例えば、90分+1手30秒)、1600以上2200未満は1人90分(例えば、60分+1手30秒)、1600未満は1人60分(例えば、30分+1手30秒)、最低でも必要である、ということです。私がこれまで知識として持っていた、FIDE公式戦には90分+1手30秒以上の持ち時間が必要というのは誤りで、2200未満しかいない大会であれば、60分+1手30秒でOKです。これならば上手くスケジュールを作れば、ぎりぎり1日3試合できる可能性があります。


確認のために、FIDE 2200未満の大会をチェックしましたが、確かに90分の持ち時間が無くとも、Standard の公式戦として認められているものがありました。FIDE が推奨しているStandard の持ち時間は、40手90分+30分+初手から1手30秒で、多くの海外大会はこの持ち時間を採用しています。しかし、もっと短い60分+1手30秒や、30分+1手30秒でも、Standard の公式戦として認められるのであれば、日本のFIDE大会増加ももっとスムーズにいけるのではないかと思います。

もちろん、単に持ち時間を短くするだけでは、FIDE 2200以上の私たちが大会に参加できませんが、そこはクラスを2つに分けるという方法があります。つまり、誰でも参加できるオープンクラスは、例えば90分+1手30秒以上の持ち時間で、1日2試合を3日間で計6R。一方のFIDE 2200未満のプレーヤーのみが参加できるU2200クラスは、例えば60分+1手30秒の持ち時間で、1日目3試合、2日目2試合で計5R。この2つのクラスを同時並行で行えば、全てFIDE公式戦にできます。実際にレイティングでクラスを分け、持ち時間も変えて複数クラスを同時並行で進める海外大会はたくさんあります。これであれば、FIDE公式戦を増やしたいという希望と、試合数の減少や日程の延長を抑えたいという両方の希望が叶えられるのではないか、というのが私の意見です。Handbook の他の項を見ても、1日3試合は禁止されていませんし、1日の上限である1人12時間までに、60分+1手30秒の3試合は収まっています。

海外では90分+1手30秒以上の長い持ち時間がスタンダードですが、日本の社会人の休みの取りにくさは重々承知しているので、海外の形式をそのまま持ってくるよりも、より日本で受け入れられやすい形式はなんなのか、検討する必要があるでしょう。さらに言えば、日本のアクティブプレーヤーでFIDEレイティング2200を超えているのは、私、南條くん、馬場さん、青嶋くんのたった4人のみです。海外のスタンダートというだけでなく、私たちに合わせて持ち時間を長く、試合数を少なくしてそれに付き合ってもらうよりも、多くのプレーヤーに持ち時間とスケジュールの選択の余地があるほうが、柔軟で受け入れられやすいのではないかと思います。参加者のレベルに応じてクラスを選択できるのであれば、カジュアルに指したい層にとっても、敷居の高さは緩和されるのではないでしょうか。もちろんすぐこれを採用してほしいということではなく、すでに大会形式や日程が発表されているものもありますので、将来的にこうした案も検討してほしい、くらいに捉えていただければと思います。

新しい団体の発足が発表されて以降、私の耳にも様々な立場の人からの意見が届いていますが、このFIDE大会増加については、これまでの希望が通って嬉しいという賛成意見から、地方のプレーヤーが軽視されている、結局首都圏のプレーヤーや、FIDE戦を積極的にこなすトーナメントプレーヤーが優先されている、という反発まで色々とあるようです。全ての人に対して公平に物事を進めることは難しいと思いますが、新しいことを始めることで意見が飛び交っている状況なのであれば、上手くそれらを拾い上げて、なるべく多くの人にメリットがあり、納得できるプランを進めていけると良いですね。

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