Lichess 2021.02.17
Position after 28... f5
昨晩のブリッツのゲームで判断の難しいエンドゲームが現れました。
29. Ne5!? Nxe5 30. Qe2
白はさほどチャンスがないため、ここではナイトを交換して無難に進めることにします。
30... Qc4 31. Qxe5 Qc1+ 32. Kh2 Qf4+??
32... Qxa3 33. Qc5+ Ka8 36. Qc5+ からパペチュアルチェックでドローになると思っていたので、このチェックは意外でした。当然、クイーン交換をしたポーンエンディングがどうなるのかを読みます。33. Kg1?
結論から言えば、f4 でのクイーン交換は黒にとって大失敗。白勝ちのポーンエンディングになります。33. Qxf4! gxf4 34. g4! fxg3+ (34... fxg4 35. hxg4 Kb6 36. Kh3 Kb5 37. Kh4 Ka4 38. Kh5 Kxa3 39. Kxh6 Kxb4 40. g5 a5 41. g6 a4 42. g7 a3 43. g8=Q+-) 35. Kxg3 Kb6 36. Kf4 Kb5 37. Kxf5 Ka4 38. Ke6 Kxa3 39. f4 Kxb4 40. f5 a5 41. f6 a4 42. f7 a3 43. f8=Q++-
上記のfポーン、hポーンどちらをプロモーションする変化も白が早くプロモーションします。考え方としては、35手目の黒からカウントし、黒は10手でプロモーション(Kb6, Kb5, Ka4, Kxa3, Kxb4, a5, a4, a3, a2, a1=Q)するのに対し、白は8手でプロモーション(Kh3, Kh4, Kh5, Kxh6, g5, g6, g7, g8=Q, もしくは、Kf4, Kxf5, Ke6, f4, f5, f6, f7, f8=Q)であるため、黒からスタートでも白だけクイーンができます。g2-g4 は当然考えたアイディアでしたが、残り時間がほとんどなく、2つの変化の正確なテンポ計算ができませんでした。
33... Qe4!?
33... Qc1+ 34. Kh2 Qxc1 ならば上記と同じドローです。
34. Qxe4 fxe4
試合中は分かっていませんでしたが、1つ決定的なチャンスを逃してこのポーンエンディングを迎えました。自分としてはこれは白が勝つのではないかと読んでe4 でのクイーン交換を実行しましたが、この読みには1つ間違いがありました。35. Kf1 Kb6 36. Ke2 Kb5??
これ以降は読み通りに白勝ちになりますが、この手がブランダーであることは解析するまで全く気づいていませんでした。36... a5! 37. Ke3 axb4 38. axb4 Kb5 39. Kxe4 Kxb4 40. g3 Kc4 41. f4 b5 42. f5 b4 43. f6 b3 44. f7 b2 45. f8=Q b1=Q= こうすると本譜と違って黒キングがb4 から1マスずれているため、白クイーンのプロモーションがチェックにならず、白黒互いにクイーンができてドローです。
黒がa6-a5 を入れることでドローにできるというのは、完全に予想外でした。余計なポーン付きを1手入れる分、黒のプロモーションは遅くなると直感的に思いそうですが、b4 でポーン交換をすることで、黒は本譜のようにa3 までポーンを取りに行く手間が省け、テンポアップできるという理屈です。クラシカルで時間が豊富に残っていれば、a6-a5 を入れる手もきちんとテンポを計算しますが、残り時間が少なければこの手には意味が無いと切り捨て、本譜のキングが上がっていく手を中心に考えてしまうでしょう。
37. Ke3 Ka4 38. Kxe4 Kxa3 39. g3 Kxb4 40. f4 c5
f8 で先にできるクイーンが、ぴったりb4 のキングにチェックをかけることに気づいても後の祭りです!