昨日、lichess のブリッツレイティングが初めて2650を超えました。3日前の更新ではレイティング2560くらいでしたので、数日で100近く伸びていることになります。9月は2500を切るところまで落ちることもありましたが、最近になってようやく研究と実戦の結果が繋がりつつあり、手ごたえを感じています。
imsk (2646) - Ahmed3A99 (2577)
lichess
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4
QGD Ragozin は2012年頃には私も黒番で愛用していたレパートリーで、黒は手堅く指すことができる優秀な1. d4 対策です。現在でもアマチュアからトップまで幅広いレベルで人気があります。白番での対策も色々と試してきましたが、今夜はその最新版をご紹介します。
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5. cxd5 exd5 6. Bg5 h6 7. Bh4 O-O 8. e3 Bf5!?
これは私が黒で指しても良いかもしれないと注目していた手です。黒のピースは一見するとどれも活動的に思えますが、b7 の弱さをつくのが白のアイディアとなります。
9. Be2 Nbd7 10. Qb3 Bxc3+ 11. Qxc3 c5?!
これは少しやりすぎではないかというのが私の見解です。研究していた手は11... c6 12. Nd2 Ne4 13. Bxd8 Nxc3 14. bxc3 Rfxd8 から、Nd2-Nf1-Ng3 とマヌーバリングするもので、Grischuk の実戦を見ていました。本譜では黒はポーンを取り返すのが難しいうえ、ポーンストラクチャーも悪くなってしまいます。12. dxc5 Ne4 13. Bxd8 Nxc3 14. Be7!
上記の変化と違いc5 でポーンを貰っている白は、d6 ポーンを生かすべくビショップを退きます。e2 でのビショップナイト交換は白にとって問題ではなく、Ke1-Ke2, Nf3-Nd4, Rh1-Rc1 というセットアップがスムーズにできれば、ポーンアップとd4 のマスのコントロールで大きなアドバンテージがあるでしょう。
14... Rfe8 15. Bd6 Ne4 16. Nd4! Bg6 17. Bb5! Red8 18. Be7 Re8 19. Bxd7 Rxe7 20. c6!+-
ビショップナイトの交換をしてしまっても、こうしてcポーンを押し込んで交換し、ポーンアップを維持できれば白のアドバンテージは明らかなものとなります。あとは丁寧にクイーンサイドのポーンマジョリティを活かすのみです。20... bxc6 21. Bxc6 Rb8 22. b3 Nf6 23. O-O Rc7 24. Rfc1 Rbc8 25. f3!
こうした黒のd5 ポーンが孤立しているストラクチャーでは典型的な手です。e4 のマスを抑えることでNf6-Ne4 のような反撃のチャンスを与えないようにしつつ、キングがf2 のマスに上がってセンターに戻る準備となります。ここまでピースが捌けていれば、e3 のポーンが攻撃されることも気になりません。
25... Bd3 26. Rc3 Ba6 27. Rac1 Kf8 28. b4 Bc4 29. Bb5
一瞬、c4 のマスを空けてしまったのは失敗だったかと思いましたが、跳び込んできた相手のビショップは逆にピンにされたターゲットになっています。29... g6 30. a4 Nd7 31. e4!
1手前でもできましたが、この手を指せて勝ちを確信しました。白の駒得はさらに大きくなり、黒は反撃の糸口もつかめません。