2021/09/01

Semi-Slav Anti-Meran Variation


先週末、仕事が忙しくてパズルの更新ができなかったため、ゲーム解説の更新を余裕のある平日夜にしていこうと思います。先日、Lichess でまた面白いゲームを指すことができました。

Basilius11 (2468) - imsk (2589)
lichess

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 c6

久々にSemi-Slav をレパートリーに加えることにしました。これまで様々なSlav の変化を試してきましたが、Semi-Slav は中学3年生で初めて研究し、レパートリーに取り入れたSlav系オープニングの第一弾です。

5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. b3


この変化は2009年にベトナムで開催されたゾーン選手権に参加した際、フィリピンチームが揃って研究してきて好成績を収めたことをよく覚えています。その時優勝したのはGM Laylo Darwin、そして準優勝はアメリカ移籍前のSo Wesley でした。手堅く現在でも人気のあるAnti-Meran ですが、10年以上かけて黒側も様々なアイディアを発掘してきました。

7... O-O 8. Be2 Qe7 9. Bb2 b6 10. O-O Bb7 11.Rfe1 Rad8 12. Rad1 Rfe8 13. Bf1

白も黒もe3-e4e6-e5 のブレイクを急がず、じっと耐えながら相手の様子を見る展開が続きます。白のビショップ退きはルークの前を開けてe3-e4 のブレイクを見せつつ、g2-g3, Bf1-Bg2(or Bh3) のような組み換えを準備するアイディアです。

13... e5! 14. cxd5


白がビショップを退いたところで黒から仕掛けるのが近年の研究のポイントです。14. dxe5 Nxe5 15. Nxe5 Bxe5 ならば白のキングサイドを手薄にし、黒は満足でしょう。

14... e4! 15. dxc6 exf3 16. cxb7 Bxh2+!

よくありそうなグリークギフトですが、決め手まで読むのは簡単ではありません。私の持っている強力なエンジンでも、最初はイコール評価を出してしまいます。

17. Kxh2 Qd6+!


ビショップを捨てた後はナイト+クイーンの跳び込みでh2 のメイトを狙うのがグリークギフトの基本形ですが、ここではクイーンからのチェックが正解です。17... Ng4+? 18. Kg3! だと白キングはf3 ポーンを回収した後、Kf3-Ke2 とセンターに逃亡します。

18. Kh3 Qe6+ 19. Kh2 Qd6+ 20. Kh3 Re5!!

このルークサクリファイスは、フィリピンのGM Julio Sadorra によって2015年に実戦投入された手です。これがなければクイーンの往復でのパペチュアルチェックでドローにするのが関の山でしょう。黒のアタックを成功させるポイントは、いかに無駄なくクイーンをhファイルに移動させるかです。

21. dxe5 Qe6+! 22. Kh2 Qxe5+!


こうしてチェックしながらe5ポーンを回収することで、クイーンがhファイルに移動する準備が整いました。あとはメイトまで一本道です。

23. Kg1 Ng4 24. g3 Qh5 25. Bh3 Qxh3 0-1

最近は2600を超えたり割ったりの繰り返しですが、こうした面白いゲームを少しずつでも指していければと思います。

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