2025/11/03

Japan Team Chess Championship 2025 Day2

優勝したThe Vibrantsのメンバーたち

60近いチームが参加し、過去最大級の規模で開催されたチーム選手権は、無事に2日間に日程を終えました。優勝したのは平均10代のチーム、The Vibrantsです。最終戦で5連勝していたHongo Chess no Kaiを下し、逆転での優勝を決めました。私たちOsaka Tigersは、5RでHongo Chess no Kaiにストレート負けを喫して優勝の目はなくなりましたが、最後はしっかりKeio OBを破って3位に滑り込んでいます。Aクラスも含め、入賞チームメンバーの皆さん、おめでとうございます!

1st Place The Vibrants 11/12
2nd Place Hongo Chess no Kai 10/12
3rd Place Osaka Tigers 10/12
4th Place Azabu OB 9/12
5th Place Tokyo Check Mates Kuro 9/12

Japan Team Chess Championship 2025 Final Standings


私は2日目、弘平くん、南條くんと同級生たちに敗れ意気消沈でしたが、最後までなんとかチームのために自分のプレーをしなければいけません。最後は優勝した2年前同様、Keio OBチームを相手に引き、後輩たちを中心としたチームと相対することになります。2年前の私の相手は古谷くんでしたが、今年はボード順を入れ替えてきたため、勝田くんとの試合になりました。

Katsuta, Y - Kojima, S
Japan Team Chess Championship 2025 (6)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. Bf4 c5 4. e3 Nc6 5. c3 Bg4 6. Nbd2 e6 7. Qa4!?

2RのNguyenさんとの試合では7. Qb3 Qc8 8. Nh4!? と進行しました。7. Qa4も指された経験はありましたが、その際とは違う手をやってみました。

7... cxd4?


7... Bxf3! 8. Nxf3 cxd4 9. exd4 Bd6= このポーンストラクチャーでは白マスビショップを諦めても黒はさほど悪くないと知っていましたが、残しておいてもさほど悪影響はないと思って本譜を試します。以前の試合では7... Nd7とナイトを退き、ピンを外すことで白のクイーンに対抗しました。こちらも悪くない選択です。

8. Nxd4 Qd7 9. Bb5 Rc8 10. Nxc6 bxc6 11. Ba6 Rd8 12. Nb3! Bd6 13. Bg5?

試合でも検討でもしっかり理解してなかったのですが、13. Bxd6! Qxd6 14. Na5! とすれば次にb7でのフォークとc6取りの両方の狙いがあり、白は安全に駒得できそうです。本譜はクイーンの横利きを開いてg4のビショップをターゲットにする手ですが、黒は落ち着いて対応することで悪くない局面を迎えます。

13... Bh5! 14. Na5? Rb8!


冷静になればこのオンリームーブに気づけるはずですが、Nd2-Nb3-Na5の構想が見えた段階では分かっていなかったので、実際にa5にナイトが到達した時点で落ち着いて考えられたのは良かったです。c6は受けられないため、取らせてもb2に反撃を作ることで逆に黒にとって有利なポーン交換になります。そしてc6を取れないとなると、a5に跳んだナイトが目的を失うことになります。

15. Qh4 Bg6 16. Bxf6 gxf6 17. Qxf6 Rg8!

h5にビショップを退いた時点で、f6での交換でポーンが落ちることは分かっていましたが、あえてそれに乗ります。黒はポーンを失っても黒マスビショップを自分だけ持っているので、黒マスでの強烈な反撃に期待できます。17手目も最初はキャスリングのつもりでしたが、黒キングは初期位置のままでさほど危険ではないので、Bg6-Be4を見据えてgファイルにルークを置くことにします。

18. b4 Qc7! 19. f4? Qb6!


黒マスで揺さぶりをかけ、白の悪手を誘って黒はポーンを取り返すチャンスを得ました。これが駒損を解消するだけでなく、白キングに対する決定的なアタックが決まるのはありがたかったです。

20. Be2 Qxe3 21. Kf1 Bd3! 22. Re1 Bc5! 23. Qh4

白マス、黒マス両ビショップを跳びこみ、メイトチャンスが生まれるのを見つけられたのは、今大会の自分の試合で一番満足している点です。23. bxc5 Bxe2+ 24. Rxe2 Rb1+ 25. Re1 Rxe1# がメイトなため、白はクイーンでf2を受けるしかないように見えますが...

23... Rg4! 0-1


e2のビショップはピン、h4のクイーンはf2のディフェンスから離れられないため、これで綺麗に決まっています。黒は全てのピースがメイトに不可欠で、協力し合っている状況が作れました。国内大会で負け越し、3連敗はかなり珍しい苦戦でしたが、最後にこうしたゲームができたことがせめてもの救いでした。
私たちOsaka Tigersはお揃いのOSAKAパーカーと、阪神タイガースのキャップでした。
一夜明けた今日は馬車道チェスの日でした。チェスを始めてやるお客さんも多く足を運んでくれたようで、嬉しい限りです。

2025/11/01

Japan Team Chess Championship 2025 Day1

今日から2日間、東京の大井町でJapan Team Chess Championship 2025が開催されています。日本一のチームを決めるこの大会は、私が中学生の頃から存在していますが、今年はオープンとAの2セクションで59チーム、250人を超えるプレーヤーが参加し、過去最大級となっています。私は一昨年優勝した大阪のメンバーに誘われ、Osaka Tigersの1Bとして今年はプレーしています。初日は1勝1敗1ドローと振るいませんでしたが、チームメイトの活躍でチームは3連勝。1Rの試合を簡単に振り返りましょう。

Kojima, S - Yokota, Y
Japan Team Chess Championship 2025 (1)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 c5 4. e3 Nc6

Semi-Tarraschですが、早めにc6の位置にナイトを決めてくれたため、1手早いNimzo-Indianになりました。4... Nf6 5. Nc3 a6!? はBf1-Bb5を警戒する知られた手順です。

5. cxd5 exd5 6. Bb5 Nf6 7. O-O Be7 8. dxc5 O-O 9. b3 Bxc5 10. Bb2 Bg4 11. Bxc6 bxc6 12. Nbd2


白はナイトをd2,c3のどちらに出すか保留していましたが、ここでd2に決めます。白マスビショップを手放しても、残ったマイナーピースのコーディネーションが良く、c6にバックワードポーンの弱点を持たせていれば黒は満足です。

12... Qe7?!

のちの流れを考えると不正確でした。12... Bd6! と早めにターゲットになるビショップを退き、e5のマスも受けておくのが正解です。

13. Qc2! Rac8 14. Ng5! g6


シンプルながら今日ろくなh7のメイトの狙いに、すでに黒は困っています。14... Rfe8 15. Bxf6 Qxf6 16. Qxh7+ Kf8 17. Qh4 でもh7を掠めとった黒は勝勢でしょう。

15. Bxf6 Qxf6 16. Nxh7! Qe7!?

16... Kxh7 17. Qxc5+-のほうが自然に見えますが、黒マスを奪い返す算段が無ければ白勝ちに変わりはありません。あえてエクスチェンジを捨てて勝負は、実戦的な判断だと思います。

17. Nxf8 Rxf8 18. Rac1 Bb4 19. Nb1 Rc8 20. Nc3 Bf5 21. Qd2 Rd8 22. Rfd1 Qg5 23. e4!


クイーンを交換して黒の反撃チャンスを消せば、ゲームの終わりが見えてきます。

23... Qxd2 24. Rxd2 Be6 25. Rdd1 Ba3 26. Rc2 d4 27. Na4 Rd6 28. Nc5 Bc8 29. h3 f5 30. e5 Rd5 31. Nd3 c5 32. b4 Bd7 33. Rxc5 Be6 34. Nf4 Rxc5 35. bxc5 Bxa2 36. Ra1 1-0

駒得した後、反撃を許さずの丁寧に指せたと思います。ここで良いスタートを切れたものの、午後の試合は個人でポイントを落としてしっくりきません。明日気を取り直して頑張りたいと思います。

Japan Team Chess Championship 2025 R4 Pairings
【日本代表応援】FIDE World Cup 2025 Round 1 Day 1

またチーム選手権の裏では、インドのゴアでWorld Cupが始まっています。今夜は南條くん、明日は私が解説予定ですので、こちらもお楽しみに!
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