2020/03/10

Cappelle la Grande 2020 Day7


優勝したGM Moussard (中央背の高い男性) とその他セクションの入賞者たち

カペルから帰国し、1週間以上たち、ようやくブログを更新できました。自分の戦績とゲーム中心で、トップ争いがどうなっているか全く触れていませんでしたが、今年のカペルはフランスのGM Moussard が、8/9 という素晴らしい戦績での単独優勝でした。一昨年の優勝者であるBauer が5R 後に1回bye を取り、7R でMoussard との直接対決がありましたが、それをMoussard が黒番ながら勝利を収め、優勝を大きく引き寄せました。その他セクション入賞者の皆さんも、おめでとうございます! 篠田くんは最後3連勝で、U2000 の優勝まであと一歩でしたね。

帰国後、すぐに記事が更新できなかったのは新しい仕事のこともありましたが、大半は最後の試合が振り返るのも苦しいようなひどい負け方だったことが原因です。一昨年はハンガリーやモンテネグロでもひどい負けがありましたが、この大事な最終戦で再び大きなミスが出てしまいました。最後の2試合は反省ばかりです。

Meurs, T (NED, 2249) - Kojima, S (IM, JPN, 2397)
Cappelle la Grande 2020 (9)

1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. Nf3 Nf6 4. e5 Ne4 5. Ne2 Qb6 6. d4 e6 7. Ng3 c5 8. Bd3 Nxg3 9. fxg3!?



この試合、ボードの前に座ってからも初手1... e5 にするか、1... c6 にするか悩んでいました。Caro-Kann のTwo Knights の中で最も自信が無かったのがこの変化で、昨年からトップのGM たちにも注目されています。従来は9. hxg3 からhファイルを開き、d4 を捨てる代償を求めますが、こちらの新しいラインでは白はキングサイドキャスリングし、fファイルからのアタックでポーンの代償を求めます。

9... Nc6 10. O-O cxd4 11. a3 g6!?


私が調べていたゲームの多くでは、11. Qe2 h6 (e5 を早くに守ることで、Nf3-Ng5 をスレットにし、黒はそれを守る。) 12. a3 Bd7 13. b4 と指しており、ここでa7-a6 を指すかどうかが私の研究のメインでした。本譜では白がe5 を守るのを遅らせてきたため、この手が成立すると考えました。

12. b4 a6 13. Qe2 Bg7 14. Bg5



g7-g6 の際に最も気にしていたのはこのアイディアで、Bg5-Bf6 からの黒マスビショップ交換が黒のキングサイドをどれほど弱体化させるか、この点に自信がありませんでした。しかし、この時点ではクイーンサイドキャスリングのチャンスも残っており、黒としては大きく崩れているわけではありません。

14... Bd7 15. Qf2 O-O??


この手でゲームは終わったと断言しても過言ではありません。上記の通り、黒マスビショップ交換は白のメインの狙いですが、その後のキングサイドアタックの強力さを過小評価してしまったことは、まだまだ自分の実力が不足している証だと思います。15... h6 16. Bf6 Bxf6 17. exf6 0-0-0 と進んだ場合、b4-b5 に深く注意しなければいけないものの、まだ黒が本譜よりもしっかり戦えたことは間違いありません。

16. Bf6! Rae8 17. g4! Nd8 18. Ng5!



キングサイドキャスリングが予想より危険だったとはいえ、相手の攻めを作る手筋は全く無駄が無く、舌を巻くレベルだったと思います。私はQf2-Qh4 が最も警戒すべきスレットだと思っていましたが、そうではありませんでした。

18... Bb5 19. Bxg7 Kxg7 20. Qf6+ Kg8 21. Nxh7!


ビショップを交換されるまで、この手は見えていませんでした。Rf1-Rf3-Rh3 のためのg3-g4 だったわけです。

21... Bxd3 22. cxd3 Nc6 23. Rf3 Qc7 24. Nxf8 Rxf8 25. Rh3 Qxe5 26. Rh8# 1-0



R1 Nilssen, E (WFM, DEN, 2065) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1/2-1/2
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Cappon, J (FRA, 2087) 1-0
R3 Primel, D (FRA, 1893) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Dimtrov, R (GM, BUL, 2519) 1/2-1/2
R5 Mallevaey, A (FRA, 1714) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 0-1
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Sadikhov, U (GM, AZE, 2496) 1-0
R7 Martinez Alcantara, J (GM, AZE, 2617) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1-0
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Terryn, E (BEL, 2100) 1/2-1/2
R9 Meurs, T (NED, 2249) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1-0

6R が終了した時点では5位につけていましたが、最後の3試合で0.5P しか取れず、40位台のレイティングもマイナスでトーナメントを終えました。なかなかトーナメント全体を通して好調を続けるのは難しいですね。また気を取り直して次のトーナメントも頑張ります、と言いたいところですが、コロナの影響で東京チェス選手権が中止になり、次の試合がどこになるか、まだ見通しが立っていません。5月に入ってからの開催となる全日本選手権は、無事に開催されることを願っています。


最近フランスで流行りだという巨大マカロン。フランボアーズ味のはずが、敗戦の後だと心無しかほろ苦いです。


翌日朝にはダンケルクからパリ北駅へ。北駅にいるくまさんとの再会は、3年前の新婚旅行以来となります。


フランスには何度も足を運びながら、パリのチェスクラブは初訪問でした。カペルには不参加だった生徒の試合を見守ります。

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