2020/09/30

Weekly Chess Puzzle Vol.49

Nagataki, K - Kojima, S
Tokai Open 2020 (1)
Black to to move

Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Scott, T (JPN, 1900)
Japan Chess Classic (2) Analysis
White to move

あまりに多いスパムに嫌気がさし、しばらくコメントを禁止し、それに伴って出題も控えてきました。最近はコメントOK に戻しても大丈夫そうですので、久々に問題を出してみることにします。答えのわかったかたは、お気軽にコメント欄へどうぞ。

2020/09/27

Chubu Rapid Open 2020 Tournament Previwe


8月末に開催された東海オープンに引き続き、中部快速オープンが11月末に名古屋で開催されます。私は今日申し込みを行い、無事にエントリーできました。東海オープン同様、新型コロナの影響で参加人数に制限があり、すでに半数以上が埋まっていますので、参加を希望される方は早めにエントリー手続きをすることをお勧めします。

【日時】 2020年11月29日(日)
【会場】 ウィンクあいち (最寄り名古屋駅)
【形式】 スイス式5R, 25分+1手10秒増加
【参加費】 8000円 (18歳未満6000円、早期振り込み割引あり)
【主催】 名古屋チェスクラブ

細かなスケジュールや申し込み先などは、名古屋チェスクラブの大会ページでご確認ください。会場となるウィンクあいちは、先日の東海オープンと同じ場所で、名古屋駅から徒歩ですぐの綺麗な施設でした。これまで試合で使うことの多かった栄地区の会場も良かったですが、遠征組にとっては名古屋駅周辺がやはり便利に感じます。年内最後の名古屋での大会で、また中部地区のプレーヤーたちと交流できることを楽しみにしています。

2020/09/12

Magnus Wins With White Book Review

先日の名古屋の大会でいただいた本のレビューです。Magnus Wins With White はタイトルの通り、世界チャンピオンのMagnus Carlsen が白番で勝ったゲームを集めた本で、2004年から2020年までの厳選された32局が解説されています。著者はパラグアイのGM Zenon Franco です。このGM については詳しくありませんでしたが、60代ながら2018年の最新バツミ大会も含め、11のオリンピアードのパラグアイ代表として出場しているようです。近年はMove by Move シリーズなどでの著作業にも力を入れています。

この2週間で2/3 ほど読み進めましたが、英語はさほど難しくなく、解説もくどすぎないのでさくさくと読み進められます。序文を書いているデンマークのGM Peter Heine Nielsen を始め、多くのGM の解説コメントや、対局直後のCarlsen のコメントなども散りばめられているのも面白いです。各ゲームの最後には、この試合から学べるポイントなども箇条書きでまとめられており、例えばCalsen がJones に10数手でピースを落としながらも逆転勝ちしたゲームでは、以下のように述べられています。

2) Be like Lasker: "Maximum resistance!" "Keep fighting!" Even if you are in a very bad position, you should make your opponent's task as difficult as possible. (Magnus Wins With White 184p より)

これができるプレーヤーを相手にするのはなかなか嫌ですね。こちらのゲームは先日のBehind the Scene の記事でも紹介されていますので、ご覧になったことがないかたはそちらも参考にどうぞ。他にも「こんなゲームあったなぁ」 と懐かしく思えるゲームが散りばめられています。最後に私のお気に入りである、今年のTata Steel のVitugov 戦を紹介して終わりにします。

Carlsen, M (GM, NOR, 2872) - Vitugov, N (GM, RUS, 2747)
Tata Steel Masters 2020 (8)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. d3 b5 7. Bb3 d6 8. Bd2!?
8... O-O 9. h3 h6 10. Re1 Re8 11. a3 Bf8 12. Nc3 Rb8 13. Ba2 Ne7 14. Nh4 g5 15. Nf3 Ng6 16. Nh2 c6 17. Ne2 d5 18. Ng3 dxe4 19. dxe4 Rb7 20. Qf3 Nf4 21. Rad1 Rd7 22. Be3 Rxd1 23. Rxd1 Qe7 24. Ng4 Nxg4 25. hxg4 Rd8 26. Re1 c5 27. Nf5 Qc7 28. g3 Ne6 29. Qh1 f6 30. Bd5 1-0


このゲームは最後に紹介されていますので、こちらも含め残り1/3程も楽しんで読ませてもらおうと思います。皆さんも是非今年の1冊として、本書をチェックしてみてください。

2020/09/02

第24回七盤初心者のためのチェスレッスン

Kojima, S - Lyell, M
First Saturday IM February 2013 (2)
White to move

9月のいっぷくでのチェスレッスンは、26日(土) 開催に決まりました。店舗とオンラインのどちらの形式でも、ご参加をお待ちしております。

【日時】 2020年9月26日(土) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 孤立ポーンとダブルポーン
【参加費】 2500円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

一般的には弱点とされる孤立ポーンやダブルポーンですが、状況によっては武器にもなりえます。それぞれの性質の確認から、その使い方までを実戦を通して学んでみましょう。

2020/09/01

Tokai Open 2020 Tournament Report


先週末は、名古屋で開催された東海オープンに参加してきました。今年は新型コロナの影響で参加者も例年ほど集まらず、9名での開催です。昨年は最終戦でドローを取られ、3.5P 止まりの私でしたが、今年はなんとか4試合を勝ち切り、全勝での優勝となりました。参加者の皆さん、運営された名古屋チェスクラブのメンバーの皆さん、ありがとうございました。最終結果は以下のリンクから確認ができます。

Tokai Open 2020 Final Standings

3R のScottさんとの試合では、数年ぶりとなるSicilian Defence を黒番で指し、なんとか勝利を収めました。2位と1P差で迎えた最終戦は、先日のJapan Chess Classic で敗れた大多和くんとの試合で、今回初めて白を持っての対戦となります。

Kojima, S - Otawa, Y
Tokai Open 2020 (4)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 Nf6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c6 7. Qc2 Nbd7 8. h3 a6 9. Rd1! 


この変化は白の勝率も良く、通常のビショップがg5 にあるRubinstein Variation よりもe5 を白が強くコントロールし、指しやすいと思います。一昨年のBatumi Olympiad のIBCA 戦でもこの形を持ち、白で勝っています。

9... Qa5 10. Nd2! b5 11. c5!?

 

Anthony Miles の実戦で、11. cxd5 cxd5 12. Bd3 Bb7 13. 0-0 と進み、白が勝つゲームもありました。試合中、このようにcファイルを開いても、白マスビショップの働きの差で白が有利だとも考えましたが、本譜でもe6-e5 のブレイクができなければ黒は苦しい状況です。

11... Nh5 12. Bh2 g6

 

黒のアイディアはNh5-Ng7, e6-e5, Ng7-Ne6 のマヌーバリングだと思います。c4-c5 の押し込みには、eファイルからの反撃が理想で、e6 のマスはナイトにとってd4 を狙う絶好のマスになります。しかし、黒はe5 にもう1つ駒の利きを足すのが簡単ではありません。

13. Be2 Ng7 14. O-O Qd8 15. b4!


これは大多和くんが軽視していた手かもしれません。スタンダードにクイーンサイドを固めるだけでなく、Nd2-Nb3-Na5 というルートでc6 を狙うアイディアが生まれます。f3 に戻ってe5 を抑える役割に戻るか悩むナイトでしたが、こうしてクイーンサイドに絶好のマスが生まれれば、白の方針はシンプルになります。

15... Bf6 16. Nb3 Bb7 17. e4!

 

a6 Slav などでも、白がc4-c5 と固めたうえで一般的なセンターブレイクです。黒は本来であれば、c6 を弱めてもこのポーンを取り、d4 をバックワードポーン、d5 をアウトポストにして戦いたいところですが、すでにナイトがf6 から離れているため、そのプランも上手くいきません。

17... Be7 18. Bf3 f5 19. exd5 exd5 20. Na5 Qc8 21. Nxd5!

 

白は抑え込んだままでも優勢ですが、このブレイクで局面を開くのも優位が分かりやすくなるアイディアです。しかし、少し読み抜けがあり、ベストの変化を逃してしまいました。

21... cxd5 22. c6?!

 

22. Rfe1! Bd8 23. Nxb7 Qxb7 24. c6 Qc8 25. Bxd5+ Kh8 26. c7! Ra7 27. cxd8=Q+- こうしてルークをセンターに回す手を入れておけば、白ははっきり駒得で有利でした。b7 を交換してからc5-c6 と押し込んでも大丈夫なこと、c6-c7 のさらなる押し込みがa8 のルークに当たることを見落としていました。

22... Nf6 23. Rc1 Bxc6 24. Nxc6+/-

 

ベストのチャンスは逃したものの、盤面全体を白が支配し、駒数はイコールでも白が有利です。次はd5 のポーンを落としにいきます。

24... Qe6 25. Qb3 Bd6 26. Rfe1 Bxh2+ 27. Kxh2 Qd6+ 28. Kg1 Rae8 29. Re5!

 

この手をどのタイミングで行うか少し迷いましたが、キングがg1 に戻り、ルークをぶつけられてからでOK だったでしょう。

29... Kh8 30. Bxd5 1-0


30... Rxe5? 31. dxe5 Qxd5 32. exf6 Qxb3 33. fxg7+ はチェックでピースが取れるため、白がピースアップになります。30... Nxd5 とd5 のマスでピース交換をするほかありませんが、実際にはここで黒の時間が落ち、白の勝ちとなりました。

表彰式で堀江さんに指摘されるまで気付きませんでしたが、東海オープンは2017年から4連覇のようです。それだけ毎年、名古屋への遠征は楽しみになっています。今年は新型コロナの影響で名古屋オープンは中止ですが、11月に中部快速オープンは開催予定です。その頃には、また東京からの遠征者も増えてくると良いですね。
今年も優勝の副賞として、素敵な本のセットをいただきました。もう少し読み勧めてからレビューも書くかもしれません。
試合前夜は今池で30年以上営業しているカフェ、マッシモ・マリアーニへ。ショートケーキの概念が破壊されました。
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