2020/09/12

Magnus Wins With White Book Review

先日の名古屋の大会でいただいた本のレビューです。Magnus Wins With White はタイトルの通り、世界チャンピオンのMagnus Carlsen が白番で勝ったゲームを集めた本で、2004年から2020年までの厳選された32局が解説されています。著者はパラグアイのGM Zenon Franco です。このGM については詳しくありませんでしたが、60代ながら2018年の最新バツミ大会も含め、11のオリンピアードのパラグアイ代表として出場しているようです。近年はMove by Move シリーズなどでの著作業にも力を入れています。

この2週間で2/3 ほど読み進めましたが、英語はさほど難しくなく、解説もくどすぎないのでさくさくと読み進められます。序文を書いているデンマークのGM Peter Heine Nielsen を始め、多くのGM の解説コメントや、対局直後のCarlsen のコメントなども散りばめられているのも面白いです。各ゲームの最後には、この試合から学べるポイントなども箇条書きでまとめられており、例えばCalsen がJones に10数手でピースを落としながらも逆転勝ちしたゲームでは、以下のように述べられています。

2) Be like Lasker: "Maximum resistance!" "Keep fighting!" Even if you are in a very bad position, you should make your opponent's task as difficult as possible. (Magnus Wins With White 184p より)

これができるプレーヤーを相手にするのはなかなか嫌ですね。こちらのゲームは先日のBehind the Scene の記事でも紹介されていますので、ご覧になったことがないかたはそちらも参考にどうぞ。他にも「こんなゲームあったなぁ」 と懐かしく思えるゲームが散りばめられています。最後に私のお気に入りである、今年のTata Steel のVitugov 戦を紹介して終わりにします。

Carlsen, M (GM, NOR, 2872) - Vitugov, N (GM, RUS, 2747)
Tata Steel Masters 2020 (8)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. d3 b5 7. Bb3 d6 8. Bd2!?
8... O-O 9. h3 h6 10. Re1 Re8 11. a3 Bf8 12. Nc3 Rb8 13. Ba2 Ne7 14. Nh4 g5 15. Nf3 Ng6 16. Nh2 c6 17. Ne2 d5 18. Ng3 dxe4 19. dxe4 Rb7 20. Qf3 Nf4 21. Rad1 Rd7 22. Be3 Rxd1 23. Rxd1 Qe7 24. Ng4 Nxg4 25. hxg4 Rd8 26. Re1 c5 27. Nf5 Qc7 28. g3 Ne6 29. Qh1 f6 30. Bd5 1-0


このゲームは最後に紹介されていますので、こちらも含め残り1/3程も楽しんで読ませてもらおうと思います。皆さんも是非今年の1冊として、本書をチェックしてみてください。

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