昨日はお伝えしていた通り、西東京選手権に参加してきました。この大会は私もこれまで頻繁にお世話になってきた、立川チェスクラブによる初めての全日本選手権予選です。コロナ禍と直前のキャンセルもありながら28名の参加者が集まり、盛況であったことを一参加者として嬉しく思います。私は3連勝後、Tuさんとの直接対決でドロー。タイブレークにより僅差の準優勝でした。Aクラスを含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!
またこの大会の結果によって、GWに開催される全日本選手権の参加資格を獲得された6名にもお祝いの言葉を送りたいと思います。今大会を皮切りに、各地方チェスクラブ主催の地方予選が始まりますので、そちらの結果も楽しみにしています。
Chess Results では北海道、大阪、広島などのエントリー状況が確認できますので、これらに参加される予定の皆さんは、これらもチェックしてみることをお勧めします。
試合解説はTuさんとの最終戦でも良かったのですが、複雑な場面が多く、自分でももう少し見直したいため、今夜は3R のゲームをお届けします。試合後にインドネシア出身だと伺ったTonyさんとは、今回が初対戦です。
Tony, W - Kojima, S
Western Tokyo Chess Championship 2022 (3)
1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Nf6 4. d3 Bc5 5. c3 O-O 6. O-O d5!?
先日のブログでも取り上げた、Italian に対して早めに
d7-d5 を仕掛けるラインです。センターに運んだナイトでアグレッシブなリンク先でもアイディアを紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。
7. exd5 Nxd5 8. Re1 Bg4 9. Nbd2 Bb6 10. h3 Bh5 11. Ne4 f6 12. a4
1700台に勝って上がってきたこともですが、こういった手をしっかり指してくることからも強さを感じることができました。白はクイーンサイドでスペースを確保し、黒のセンターに対抗します。ただ
a4-a5 がビショップトラップのスレットにならないうちは、黒も割と自由に手を選ぶことができます。
12... Kh8 13. Ng3 Bf7 14. Nh4
この辺りで何を指すかは人によって好みが分かれそうですが、Tonyさんは強気にキングサイドのアタックを見せてきます。
14. Bd2 は私が1つ考えていたアイディアで、黒マスビショップ自身の働きはおとなしいですが、
Ra1-Rd1 とルークを活用して弱点のd3 をカバーしたり、c3 を守ることで
b2-b4 とさらなるクイーンサイドのアクションに繋げたりできる柔軟性のある手です。
14... Qd7 15. Nhf5 Rad8 16. Qf3 Be6!?
f5 にナイトが侵入してきても黒キングにさほど恐れるスレットはありませんが、念のためにf5 のマスをカバーしておくのは安全だと考えました。ナイトを退いてf5 に利かせる手もありますが、本譜ではビショップを選び、クイーンの横利きも開いてg7 をカバーしておきます。
17. b4?
これは思い切りましたが、ポーンを捨てる代償が十分であるようには見えません。bポーンを伸ばすのであれば、先述の通り
Bc1-Bd2 が必要だったと思います。もちろんこのビショップはパッシブなので指すのに抵抗があるのも理解できますが、これ以外に満足なビショップの位置が無いため、まずはここで我慢だと受け入れるべきです。
17... Nxc3! 18. Bxe6 Qxe6 19. a5 Bd4!
19... Nd4?! 20. Qg4! g6 ならば、ピースの取り合いから黒の優勢はさほどはっきりしないと感じました。本譜のようにビショップを諦めてしまっても、d4 のマスの支配を主張するほうが黒は指しやすいでしょう。c3 のポーンを捨てることは駒損になる以上に、d4 のマスを黒に使われてしまうことが痛手となります。
20. Bd2 Nb5 21. Rac1 a6-/+
ここまできて、白がポーンを捨てたのはやりすぎだったと確信しました。白の
a5-a6 を防いでおき、a7 をビショップが下がるマスとして確保してしまえば、d4 の支配も相まって黒のアドバンテージはゆるぎないものとなります。ただし、キングへの一発攻撃にだけは気を緩めずに対処します。
22. Rc4 Rf7!? 23. Qg4 Rfd7 24. Ne4 Ba7! 25. Be3 g6!
どこかでgポーンを伸ばす手は、f5 にナイトを入られた時点から考えていましたが、h6 のマスや
a1-h8 ダイアゴナルを弱めるというリスクもあるので、なるべく慎重に機会を見定めようと思っていました。ここまで準備すれば白のアタックもさほど怖くなく、駒を捌いてさらなる駒得を目指せます。
26.Bxa7 gxf5 27. Nc5 fxg4 28. Nxe6 Nbxa7 29. Nc5
Tonyさんは試合後に
29. Nxd8 Rxd8-+ のほうが2ピースvs. ルークでマシだったと言っていましたが、いずれにせよ黒の駒得は大きく、白から警戒すべき反撃もないので黒勝勢です。あとはじっくり取れるポーンを取り、白の最後の反撃に対処するのみです。
29... Rd4 30. Nxb7 Rxc4 31. Nxd8 Rxb4 32. Nxc6 Nxc6 33. Rc1 Nd4 34. Rxc7 gxh3 35. Ra7 Ne2+ 36. Kh2 hxg2
ここはもう少しうまくポーンの捌きが無いか考えていましたが、本譜のように指してOKでした。
37. Kxg2 Nf4+ 38. Kf3 Nxd3 39. Rxa6 Kg7 40. Ke3 Nc5 41. Rc6 Rb3+ 42. Ke2 Ne4 43. Rc4 Nc3+ 44. Kd3 Nb5+ 45. Kd2 Ra3 0-1
aポーンも反撃に使えないことがはっきりした時点でリザインしてきました。最終戦を勝って私以外から3勝を挙げたTonyさんは、2回目だという日本の公式戦で全日本の参加権利を獲得しました。もし全日本にも参加することになれば、他のプレーヤー相手にどんなプレーをするのか楽しみにしています。
今のところ予定はないですが、3月の東京チェス選手権以外にもどこかの予選に足を運ぶことがあれば、きちんとご報告しようと思います。その際は昨年の神戸のように、地方のチェスプレーヤーと交流ができることを楽しみにしています。
朝食は立川駅の改札内で食べられるワンタン麺でした。この一杯が思ったより量が多く、昼食は近くのカフェで簡単なモーニングメニューにしました。完全に朝食と昼食が逆転しています(笑) 今回はほとんど掲載できるような会場の写真が無くてすみません!