2023/02/07

QGD Exchange Variation


二夜連続のゲーム解説記事の更新です。ここ二回は連続でFrench, Sicilain と白番でのゲームをご紹介してきたため、今夜は黒番でついさきほど指した試合を振り返ろうと思います。

xyz1981 (2610) - imsk (2531)
Lichess Blitz

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 e6 5. Bg5 Nbd7

Semi-Slav をメインの戻してから、5. Bg5 に何を指すかは悩み続けています。一昨年はCambridge Springs をメインに据えていましたが、去年からはシャープな5... dxc4 のBotvinnik Variation なども少し試しています。

6. e3 h6!?


Cambridge Springs は黒マスビショップの位置を決めずにNb8-Nd7 で待っておき、6... Qa5 とすれば基本形が完成します。6... h6 の変化は昨年の名古屋の大会で、7. Bh4 g5!? 8. Bg3 Nh5 としてナイトビショップ交換を仕掛け、局面の均衡を崩す難しい変化を試してみました。この試合ではもう少し手堅く、分かりやすい変化を求めて初めての手を指してみます。

7. Bh4 Be7 8. Qc2 O-O 9. cxd5!?

大人しくキャスリングした黒に対して、白がExchange Variation にしてきたのは少し意外でした。d5 でポーンを交換せずにQd1-Qc2 と上がる変化は、偉大なるポーランドのプレーヤーの名前を取り、Rubinstein Variation と呼ばれ、9. Rd1 と指して黒のdxc4 を待つのが一般的なアイディアです。一方で本譜のように白がExchange Variation にしてきたのは、黒がh7-h6 を指したのを見ての判断でしょう。私がチェスを始めた頃は、Exchange Variation においてh7-h6 のポーン突きはg6 のマスを弱めるために良くないという意見が強かったですが、近年の試合では一概にそうとは言えないと評価が変わっています。

9... exd5 10. O-O-O?!


クイーンサイドキャスリングが効果を発揮しやすいのは、早めにh2-h3 を入れてビショップをf4 に退き、白からg2-g4 と仕掛けられる時です。本譜ではシンプルにピースを捌き、黒のアタックチャンスを限定します。

10... Ne4 11. Bg3 Ndf6 12. Bd3 Bf5!

一時的でもe4 にナイトが残せると、最も厄介な白マスビショップまで捌くことができます。これで黒の序盤の問題はほぼ解決できたので、あとはクイーンサイドをいかに攻撃するかを考えます。

13. Kb1 Nxc3+ 14. Qxc3 Bxd3+ 15. Qxd3 Ne4 16. Nd2 Nxd2+ 17. Rxd2 Bd6 18. a3 Re8 19. Ka2 a5!


QGD Exchange ではb2-b4 からのマイノリティアタックへの備えとしてa7-a5 とすることが多いですが、ここでは白がa2-a3 とポーンを伸ばしたのを見て、a4 までポーンを刺し、ルークをaファイルから出陣させるアイディアです。

20. Qf5 a4 21. Rc2 Ra5 22. Bxd6 Qxd6 23. g4 Rb5 24. g5 g6 25. Qf3 h5

こうしてキングサイドを固めてしまえば、白からの有効なアタックは封じることができます。クイーンサイドの突破は簡単ではないものの、これで自分の攻撃に集中でき、だいぶ楽になったと感じました。

26. h4 Re4 27. Qh3 Qe6 28. Qg3 Qc8 29. Rc3 Qd8 30. f3 Re6 31. Rd1 Qb6 32. Rd2?


b2 を守る自然な1手に見えますが、f2-f3 と突いてe3 のポーンを弱めてしまったことが痛手となります。32... Qf2 がb2 とe3 をカバーする唯一の手でした。

32... Rb3!

e3 とb3 を守る最重要ピースを消してしまえば、黒は駒得と白キングへのアタックを容易に実現します。

33. Rdc2 Rxe3 34. Rxe3 Rxe3 35. Kb1 Qb3!


d4 のポーンを落とすことよりも、a2 のマスを抑えて白キングを逃がさないようにし、f3 とb2 へのプレッシャーを残すようにします。

36. Qb8+ Kg7 37. Qf4 Re1+ 38. Rc1 Re2 0-1

白はb2 を守ることができず、39. Qf6+ Kg8 40. Qd8+ Kh7 でチェックも続きません。派手さはありませんが、丁寧に指せた好ゲームだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.