遅くなってしまいましたが、東海オープン2日目のレポートです。名古屋チェスクラブ主催で1/7-8に開催された東海オープンは、2日目に私と篠田くんが互いに1勝1ドローとなり、4.5/5で並んだ結果、わずかなタイブレーク差で私の優勝が決まりました。各セクションの入賞者の皆さん、おめでとうございます。
4Rの篠田くんとの試合はは、かなりまずい展開で負ける寸前でしたが、これをなんとか持ちこたえてドローにし、4連勝の木下さんを止めにいきます。今夜はこちらの最終戦のゲームをご紹介します。
黒のGrunfeldセットアップに対し、c2-c4と仕掛けず、c3で待つ手は私も注目しており、実は白番で指そうとオンラインで何度か試しているところでした。そのおかげで白のアイディアや、黒にどうされると少し嫌かもわかっていたのはラッキーです。
d2でナイトを捌けば白のピースの展開を助けてしまうため、Nf6-Ne4-Nd6のマヌーバリングでナイトは盤上に残すことにします。d6のマスは再度e4への侵入を睨みつつ、f5,c4といったマスを睨む、典型的なナイトの好位置となります。
Bf4-Be5と侵入してきたビショップに対し、Bg7-Bh6(or Bg7-Bf8) とビショップの利きを変え、ビショップ交換を避けながらNf6-Ng4などを狙う手はよくあるアイディアです。これに対してすぐにf6で交換をしかけるのはイマイチで、黒はダブルポーンでもeファイルを開いたことでe4のマスを抑えやすくなり、センターの支配とダブルビショップで優位に立つことができます。
ダブルルークがeファイルにくる形は悪くないように思えたのですが、f8に退いたビショップが行き場を失い、駒の連携が取れなくなってしまいます。正しい作戦はNd6-Ne4,Bf8-Bd6と組み替えてからダブルルークをeファイルにそろえることで、これからば黒は白のキングサイドに強力なプレッシャーをかけることができました。
29. Bxe4 fxe4 30. Qxf6?? Bg7-+はクイーンがトラップになって黒勝勢です。これを見越してe4にナイトが入れたため、f8ビショップの活用も見えてきて黒がかなり指しやすくなったと感じました。
互いに時間切迫の中、仕掛けるならばここだと思いましたが、39... Rg8のようにもう少し待っても良かったようです。しかし、白としてもこうして仕掛けられると対処に悩むでしょう。
再度ナイト取りを無視するのがポイントで、黒はナイトを取られてもe,fファイルのパスポーンを押していくことで駒損を解消することができます。
1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2298) 4.5/5
2nd Place Shinoda Taro (JPN, 1959) 4.5/5
3rd Place Kinoshita Akira (USA, 1811) 4/5
Tokai Open 2024 Final Standings
2nd Place Shinoda Taro (JPN, 1959) 4.5/5
3rd Place Kinoshita Akira (USA, 1811) 4/5
Tokai Open 2024 Final Standings
4Rの篠田くんとの試合はは、かなりまずい展開で負ける寸前でしたが、これをなんとか持ちこたえてドローにし、4連勝の木下さんを止めにいきます。今夜はこちらの最終戦のゲームをご紹介します。
Kinoshita A (USA, 1811) - Kojima, S (IM, JPN, 2298)
Tokai Open 2024 (5)
1. Nf3 d5 2. g3 g6 3. Bg2 Bg7 4. d4 c6 5. O-O Nf6 6. c3!?
黒のGrunfeldセットアップに対し、c2-c4と仕掛けず、c3で待つ手は私も注目しており、実は白番で指そうとオンラインで何度か試しているところでした。そのおかげで白のアイディアや、黒にどうされると少し嫌かもわかっていたのはラッキーです。 Tokai Open 2024 (5)
6... O-O 7. Bg5 Ne4 8. Bf4 Nd7 9. Nbd2 Nd6!?
d2でナイトを捌けば白のピースの展開を助けてしまうため、Nf6-Ne4-Nd6のマヌーバリングでナイトは盤上に残すことにします。d6のマスは再度e4への侵入を睨みつつ、f5,c4といったマスを睨む、典型的なナイトの好位置となります。
10. Re1 a5 11. a4 Re8 12. Qc2?!
このクイーンの位置取りは、すぐにBc8-Bf5のターゲットになるのでさほど良くないでしょう。ここではe2-e4からポーンストラクチャーを大きく変え、ピースのアクティビティーで勝負するのが良いと思います。もちろん黒としてもe4とd5を交換する形はCaro-Kann Defenceのポーンストラクチャーになるため、さほど不満はありません。12... Nf6 13. Be5 Bf5 14. Qb3 Qd7 15. Rac1 Bh6! 16. Bxf6?!
Bf4-Be5と侵入してきたビショップに対し、Bg7-Bh6(or Bg7-Bf8) とビショップの利きを変え、ビショップ交換を避けながらNf6-Ng4などを狙う手はよくあるアイディアです。これに対してすぐにf6で交換をしかけるのはイマイチで、黒はダブルポーンでもeファイルを開いたことでe4のマスを抑えやすくなり、センターの支配とダブルビショップで優位に立つことができます。
16... exf6 17. e3 Bf8! 18. Nh4 Be6 19. Bf3 g5 20. Ng2 f5
白マスビショップの利きは一時的に弱めてしまいますが、f5-f4のブレイクを意識させたり、Nd6-Ne4と再度ナイトが跳びこむ手を見せられるのが良いかと思い、早めにfポーンを突くことにします。ここまでは良かったのですが、ここからの構想が冴えませんでした。21. Be2 Re7?!
ダブルルークがeファイルにくる形は悪くないように思えたのですが、f8に退いたビショップが行き場を失い、駒の連携が取れなくなってしまいます。正しい作戦はNd6-Ne4,Bf8-Bd6と組み替えてからダブルルークをeファイルにそろえることで、これからば黒は白のキングサイドに強力なプレッシャーをかけることができました。
22. Bd3 f6 23. Qd1 Bf7 24. h4 Rae8 25. Kh2 h6 26. Rh1 Rd8
ここで自分の作戦ミスを認め、Bf8-Bd6の実現へと方向転換をします。一方で白もhファイルを開き、hファイルからの攻撃を画策しますが、2つのルークの連携が取れなくなるという弱点があり、リスクを取っているように思えます。27. Kg1 Ree8 28. Qf3 Ne4! 29. Rd1
29. Bxe4 fxe4 30. Qxf6?? Bg7-+はクイーンがトラップになって黒勝勢です。これを見越してe4にナイトが入れたため、f8ビショップの活用も見えてきて黒がかなり指しやすくなったと感じました。
29... Kg7! 30. Ne1 Bd6 31. Ng2 Bg6 32. Nf1 Rh8 33. Qe2 Rde8 34. Qf3 Qf7!?
これは不要だったかもしれませんが、Bg6-Bh5を見せておくことで白からのh4-h5を誘い、白がhファイルを開く作戦を消しておきます。35. h5 Bh7 36. Qe2 Re7 37. Qc2 Rhe8 38. Re1 Kh8 39. Re2 f4!?
互いに時間切迫の中、仕掛けるならばここだと思いましたが、39... Rg8のようにもう少し待っても良かったようです。しかし、白としてもこうして仕掛けられると対処に悩むでしょう。
40. gxf4 gxf4 41. f3? fxe3!
ここは41. exf4!と取るべきだったでしょう。もちろん、41... Rg8から難しいディフェンスを求められますが、すぐにどうしようもなく崩れるということはありません。逆に本譜は黒がe4のナイトを無視して局面を開き、ダブルビショップの強さを主張できるようになります。42. Rxe3 f5!
再度ナイト取りを無視するのがポイントで、黒はナイトを取られてもe,fファイルのパスポーンを押していくことで駒損を解消することができます。
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