2016/10/07

Chess.com Isle of Man International R6

マン島の6R はタフなゲームで、40手以降は勝ちもあるかと思いましたが、技術が足りずにドローになってしまいました。


Shyam, S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International (6)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nc3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nf3 Nxc3 7. bxc3 Qc7 8. d4 Nd7 9. Qb3 e6 10. Bd3 Bd6 11. O-O O-O 12. Qc2 h6 13. Qe2 b6! 14. c4
Bb7 15. Bb2 Rfe8 16. Rfe1 Bxf3 17. Qxf3 Bxh2+ 18. Kh1 Bf4 19. Re4 Bg5 20. Rae1 Nf6 21. Re5 Nd7 22. Rxg5?! hxg5 23. Qh5 f5 24. Qxg5 Nf6! 25. f3 Kf7! 26. Kg1 Rh8 27. Re5 Rh5 28. Qf4 g5?! 29. Qe3 f4 30. Qe2 Re8 31. Qc2 Rg8 32. c5 Nd5 33. Bc4 Rd8 34. Rxe6 Kxe6 35. Qg6+ Kd7 36. Bxd5 Rdh8 37. Ba3 Kc8! 38. Bg8? Qe7! 39. Qc6+ Kb8 40. Be6 Rh1+ 41. Kf2 g4!



この試合は後半の40手を見ていこうと思います。ダブルエクスチェンジサクリファイスからの相手のアタックを何とかしのぎ、時間も増えて反撃のチャンスがやってきました。41... g4!Qe7-Qh4 をスレットにし、とうとうGM戦の勝ちが来たかと思いましたが、ここから決め手を逃してゲームは長くなります。

42. Bb4


Shyam はe1 を守ってきました。42. cxb6 Qh4+ 43. Ke2 Qe1+ 44. Kd3 Qd1+ 45. Ke4 Qe2+ 46. Kf5 Qd3+ 47. Qe4 R1h5+ 48. Kxf4 Qxa3-+ ならば決定的な駒損になり、黒の勝ちですが、どこでクイーンのチェックを入れるかを正確に読むのは難しいでしょう。

42... g3+ 43. Ke2 R1h6 44. d5 Rxe6+!?



私は自分のキングの守りもかなり気にしており、エクスチェンジを返しても、クイーンを交換して安全なエンドゲームを戦おうとg4-g3 の時点で考えていました。ただし、冷静にポジションを見れば44... Qc7 とクイーンをディフェンスに使えば、白のアタックはなさそうだと分かります。

45. Qxe6 Qxe6+ 46. dxe6 Re8 47. cxb6 Rxe6+ 48. Kd3 Rxb6?!


黒は純粋にエクスチェンジアップですが、f4, g3 のポーンが黒マスで固定されているため、これらをビショップで取られてしまえば勝つのが難しくなってしまいます。勝ちを確実にするためには、ここは慎重に手を選ばなければいけません。48... Re3+! 49. Kd2 axb6 50. Bd6+ Kb7 51. Bxf4 Ra3! 52. Bxg3 Rxa2+ 53. Kd3 Rxg2-+ と進め、ルーク+bポーンvs. ビショップ+fポーンのエンドゲームに持ち込めば勝ちでした。Re6-Re3+ は読んでいたはずでしたが、Bb4-Bd6+ からのテンポでf4 が落ちるのはダメだと、なぜか勘違いをしていました。

49. a3 Rh6?



私はf4 を守ることはできないため、g2 をすぐに取りにいくしかないと思っていました。しかし、実際には4段目でのディフェンスがあり、その間にキングの位置を改善して黒の勝ちになります。49... Ra6! 50. Ke4 Ra4 51. Kd5 Kb7 52. Kc5 a6 53. Kd5 a5 54. Bd6 Kb6 55. Ke5 Kc6 56. Be7 Kb5 57. Kf5 Kb6 58. Bd6 Kc6 59. Bxf4 Rxa3 60. Bxg3 Kd5-+

50. Ke4!


私はShyam がなぜこの手を指したのか理解できませんでしたが、私が考えていたビショップでポーンを取りにいく手は上手くいきません。50. Bd2? Rd6+! 51. Kc2 (51. Ke2 Rd4!) 51... Rf6 52. Kd3 Kb7 53. Ke4 Re6+ 54. Kxf4 Re2 55. Bb4 Rxg2 このポジションは本譜に似ていますが、黒はキングを1マス早く上げています。56. Kg4 Rg1 57. Kh3 Kc6 58. Bd2 a6 59. Ba5 Kb5 60. Bc3 a5 61. f4 g2 62. Be5 Ra1 63. Kxg2 Rxa3-+ このようにaポーンさえ取れれば、黒の勝ちです。

50... Rh2 51. Kxf4 Rxg2 52. Kg4! Kb7 53. Kh3 Rg1 54. Bc5 Rc1 55. Bb4 Rg1 56. Bc5 Rc1 57. Bb4 Kc6 58. Kxg3



このようにaポーンを残したままで、黒のgポーンを取ってしまえば、白はドローに持ち込めるでしょう。依然としてコンピュータは黒勝勢評価ですが、黒が勝つ方法はないと思います。それでも負ける理由がない黒は、ゲームを続けます。

58... Kd5 59. Kf4 Rf1 60. Ke3 a6 61. Ke2 Rh1 62. Ke3 Rh4 63. Kd3 Rc4 64. Ke3 Ke5 65. Kd3 Rc6 66. Ke3 Kf5 67. Bd2 Rb6 68. Kd4 Rb3 69. Kc5 Rxa3 70. Kb6 Rxf3 71. Kxa6


fポーンを捨てても、aポーンを回収することに成功した白は、キングをright corner に向けてドローです。

71... Rb3 72. Ka7 Ke6 73. Bf4 Kd7 74. Be5 Kc6 75. Bf4 Rb7+ 76. Ka8 Kb6 77. Be3+ Ka6 78. Bf4 Rf7 79. Be5 Rf8+ 80. Bb8 Kb6 1/2-1/2



ビショップvs. ルークの場合、ビショップを持つ側のキングは、ビショップと色の違う角に逃げるのが鉄則で、逆の角に逃げてしまうと最後のようなステールメイトが発生せず、ビショップが落ちて負けとなります。私としても勉強はしていても、自分のゲームで現れたのは初めてでした。私が白を持っていれば、各所で負けていたでしょう。このエンドゲームも、大変勉強させてもらいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman R (IRL, 1923) 1-0
Shyam S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Schroeder, J (GM, GER, 2514)

7R はドイツのGM Schroeder との対戦です。今回5人目のGM で、またしても18歳です。1998年生まれのGM は多いのでしょうか? 初戦勝ちのあとで5連続ドローですが、そのドローの中にはLeko、Adams が含まれています。残り3試合も無駄にせぬよう、学ぶことの多いゲームをしてきたいですね。


2016/10/06

Chess.com Isle of Man International R5


5R のあったこの日は、お昼ご飯に新しいお店を開拓してみることにします。会場の先の通りにあるTea Junction というカフェレストランは、少し前に見つけて気になっており、実際に入ってみると、小さなシャンデリアや俳優の肖像画のあるオシャレな内装で、ゆったりとお茶を楽しめる専門店でした。


紅茶はこのように葉のサンプルを渡され、香りを確かめながら好みのものを注文することができます。フォートナム&メイソンのアフタヌーンティーも良かったですが、私はこちらのお店ほうが好きなお茶を選ぶことができて気に入りました。お茶とパニーニで、久々にゆっくりととした昼食の時間を過ごし、この日の試合に向かいます。

5R の相手はアイルランドから来ている18歳の少年です。レイティングは1900 ですが、直前のラウンドには2200 に勝っていますし、初戦も隣のボードでIM 相手にしっかりと指しているのを見ていました。絶対に勝ちたいラウンドですので、油断せずに試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman, R (IRL, 1923)
Chess.com Isle of Man International (5)

1. Nf3 e6 2. c4 Nf6 3. d4 c5 4. Nc3 cxd4 5. Nxd4 Bb4 6. g3 O-O 7. Bg2 d5 8. O-O!?



手順こそ一般的なものではないですが、Nimzo-Indian の一変化です。2012年にハンガリー留学を始めた当初、Nimzo-Indian を積極的に受けていたので、その頃の研究を思い出しながら指していきます。この変化では8. cxd5 と取るほうが多いですが、私はCatalan スタイルでc4 を一時的に取らせるラインを勉強していました。

8... dxc4 9. Qa4 Qa5!?


メインの手はどれだか思い出せませんでしたが、Qd1-Qa4 の直後でクイーンをぶつけられたらどうしようかと考え始めました。クイーンの交換後はピースの展開の早さと、黒のピースの働きの悪さを上手くつかなければ、ポーンの代償を得ることができないため、良い選択だと思います。

10. Qxa5 Bxa5 11. Ndb5 Rd8!



相手はこの手を指すのに、驚くべきことに50分近くも費やしてきました! 11... Nc6 12. Rd1 a6 13. Nd6 Bxc3 14. bxc3 Nd5 15. Nxc4!? このようにc3 を取らせ、黒マスの弱さで代償を取りにいくのは、今大会も参加しているベテランGM Romanishin のアイディアです。このラインに比べ、先にdファイルを取りにいくのは自然だと思います。

12. Bf4N


私としては、d6 を抑えなければb5 にナイトを跳んだ意味がないため、この手だろうと思って指しました。実戦では12. Rd1 Rxd1+ 13. Nxd1 というゲームが残っており、こちらのほうがe6-e5 でテンポを取られない点で良かったかもしれません。

12... Nc6 13. Rfd1 e5 14. Bg5 Be6 15. Bxf6?!



過去にa6 Slav を羽生さんと研究した際にも、似たポジションでこの交換を試して良くなかったことを、試合後の振り返りで思い出しました。私としては、ポーンストラクチャーを乱し、d5 とe4 のマスを使いやすくするプラスが大きいかと思いましたが、ダブルビショップを失うマイナスをもう少し考えるべきでした。15. Rxd8+ Rxd8 16. Bxc6 bxc6 17. Nxa7= ならば、イコールでゲームは続くでしょう。

15... Rxd1+?!


15... gxf6! 16. Ne4 Rab8! (16... f5 17. Nc5 e4 18. g4!) 17. Nxf6+ Kg7 18. Nd5 a6 19. Nbc3 Rd7=/+ 私が用意していたのは、Nc3-Ne4-Nc5 というアイディアでしたが、冷静に考えれば黒はf6 のポーンを返し、ダブルビショップで優位に試合を進めることができます。b7 にもう少しかけられると思っていたプレッシャーは、簡単にかわされてしまいます。

16. Rxd1 Bxc3 17. bxc3 gxf6


こうなってみて、ここからどうするか改めて作戦を立てます。Nb5-Nd6 はdファイルでピンにされてしまうため、もはや有効ではありません。Rd1-Rd6 とルークが侵入する手も、d8 でルークをぶつけられてしまい、ポーンを取りかえすことができません。すると勝てるかどうかわかりませんが、ピースを交換してルークエンディングに持ち込むくらいしか、白には手立てがないことがわかります。

18. Bxc6 bxc6 19. Nc7 Rb8 20. Nxe6 fxe6 21. Rd6



この時点で相手は10分を切っているのに対し、私は1時間10分ほど残っていました。経験の浅いプレーヤーであれば、このルークエンディングは十分に間違える可能性があると思いながらも、黒のベストディフェンスは私もよく分かっていませんでした。

21... Rb1+


21... Rb6 22. Rd8+ Kg7 23. Rd7+ Kg6 24. Rxa7 Rb1+ 25. Kg2 Rc1 26. Ra6 Rxc3 27. Rxc6 Ra3 28. Rxc4 Rxa2= このように進め、ダブルポーンは持ちながらもキングサイドで4対4 のポーンを持つ形に持ち込むのが、黒としては最も簡単にドローに持ち込む方法です。しかし、ルークを敵陣に飛び込みたくなる気持ちはよく理解でき、私もb1 かb2 のどちらかばかり読んでいました。

22. Kg2 Rc1?


これで白がはっきり有利になったと感じました。1ポーン足りていない白ですが、あっという間にポーンの数が逆転します。22... Kf7 23. Rxc6 Rb2 24. a4 Rxe2 25. Rxc4 Kg6 26. Rc7 a5 27. Rc5 e4 28. Kf1 Rc2 29. Rxa5 Rxc3 これならば白はもちろんゲームを続けますが、黒がきちんと指せばドローになるでしょう。

23. Rxe6 Rxc3 24. Rxf6 Ra3 25. Rxc6 Rxa2 26. Rxc4 Rxe2 27. Ra4 e4 28. Kf1! Rb2 29. Rxe4-+



aファイルのパスポーンはきちんとルークで止めにいけば怖くないため、消しにいくべきはe4 のポーンです。白が間違えて29. Rxa7? e3! と進めば、黒はドローに持ち込めるでしょう。

29... Rb6 30. Re7 Ra6 31. h4 Ra5 32. Kg2 h5 33. Kf3 Kf8 34. Rb7 Kg8 35. Kf4 Kf8 36. f3 Kg8 37. Re7 a6 38. Re5 Ra4+ 39. Kg5 Rb4 40. Ra5!


黒は最後にトラップを用意しています。40. Kxh5?? Rb5!-+ となれば、大逆転で黒の勝ちです。

40... Rb5+ 41. Rxb5 axb5 42. Kf5 1-0



上記のh5 を取ってしまった変化は、白キングがスクウェアに間に合いませんが、g5 からならばぴったり間に合っています。1900 相手にかなり怪しい試合をしてしまったことを反省しつつ、これで再び浮上できたことに胸をなでおろしています。そしてこの日は、マイナーセクションでプレーしていたなつみも、非常に内容の良いチェスでリスト1 のプレーヤーを下し、優勝争いにしっかりと残っています。

Fukuya, N (WCM, JPN, 1647) - Smith P (ENG, 1743)
Chess.com Isle of Man International (3)

1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qa5 4. d4 c6 5. Bd2 Qc7 6. Nf3 Nf6 7. Bc4 e6 8. Qe2 Be7 9. O-O-O Nbd7 10. g4 Nb6 11. Bd3 Bd7 12. Ne5 h6 13. h4 Rf8 14. g5 hxg5 15. hxg5 Ng8



16. Nxf7! Rxf7


ここはエクスチェンジを切る手が大正解で、逃げ遅れていた黒キングは大変な目にあいます。16... Kxf7?? 17. Qh5+ g6 18. Qxg6# ならば、即勝負ありです。

17. Bg6 Kf8 18. Bxf7 Kxf7 19. Qf3+ Ke8 20. Rh8 Kd8 21. Rxg8+ Be8 22. Ne4 Nc4 23. Nc5 Bxc5 24. dxc5 1-0



一番大事なポジションで決定的な手を見つけることができ、一気に勝ちを手繰り寄せました。残りは4試合ありますが、このまま私はU2400 での優勝を、彼女はマイナーセクションでの優勝を果たせればと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman R (IRL, 1923) 1-0
Shyam S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)

マン島のトーナメントも半分を消化し、今日からは後半戦に突入します。R6 は再びインドのGM で、Shyam との対戦です。彼は初戦で2200 に負け、その後も格下としか試合をしておらず、そこでもポイントを落としています。今大会絶不調な彼との対戦で、私もポイントを取らせてもらいたいところです。今日は再び中継のボードに戻りますので、日本時間の21時半からゲームをチェックしてみてください!

Chess.com Isle of Man International R6 Live Games

2016/10/05

Chess.com Isle of Man International R4

4R はインドの18歳、Suniduth Lyna との対戦です。2R ではトップボードでCaruana に敗れこそしたものの、非常に力強いプレーを見せています。私は2R と少しラインを変えるつもりで準備をしていましたが、序盤の研究ははずれ、難しいエンドゲームに突入することになります。

Suniduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International(4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 g6 5. Nf3 Bg7 6. Bd3 O-O 7. O-O Bg4 8. h3 Bxf3 9. Qxf3 dxc4 10. Bxc4 Nbd7 11. Rd1 e5 12. d5 e4 13. Nxe4 Nxe4 14. Qxe4 Nb6 15. Bb3 cxd5 16. Qf3 Qf6 17. Qxf6 Bxf6 18. Rb1 Rfd8 19. Bd2 Nc4 20. Bc3 Kg7 21. Bxf6+ Kxf6 22. Rd4 b5 23. Bd1 Rac8 24. b3 Na3 25. Rb2 Rc1 26. Kh2 Ke7 27. Bf3 Rc2 28. Rxc2 Nxc2 29. Rd2 Na3 30. Kg3 Ke6 31. Kf4 f6 32. h4 Rd6 33. Bg4+ Ke7 34. Rd1 b4 35. Be2 Kd7 36. h5 gxh5 37. Bd3 d4 38. Bf5+ Kd8 39. Rxd4 Rxd4+ 40. exd4 Nb5 41. Ke3?!



このゲームは、時間の増えたこのポジションから見ていこうと思います。私はルークを交換し、ビショップvs. ナイトのやや分が悪いエンドゲームに持ち込みました。黒の狙いは言うまでもなく、Nb5-Nc3-Nxa2 で、これに対して白がどうするかは悩むところだと思います。コンピュータの判断はd4 を捨て、h7 を取るというもので、41. Bxh7! Nxd4 42. Bd3 Ke7 43. g3+/- としておけば、h5 のポーンを白マスで固定でき、白が優勢です。それでは、本譜ではどうなるでしょうか。

41... Nc3


私の判断は、h7 のポーンを取らせてでも、a2 を急いで取りにいくというものでしたが(Ke3-Kd3 まで寄られてからでは、Nb5-Nc3 に対して、a2-a3 があります。)、a2 を取るのを諦めてでも、h7 を残す判断もあるようです。41... h6! 42. Kd3 Nd6 43. Bg6 h4+/=

42. Bxh7 Nxa2 43. Kd3 h4 44. Kc4 Kc7 45. Kc5 a5 46. d5 Nc3 47. Bf5 Ne2 48. Bd3 Nc3?



ここはこのゲーム最大のチャンスでしたが、それを活かすことができませんでした。48... Nf4!! 49. d6+ (49. Bf1 f5!=) (49. Be4 f5 50. d6+ Kd8 51. Bc6 Nd3+ 52. Kb5 Ne5 53. Bb7 Kd7 54. Kxa5 Kxd6 55. Kxb4 f4 56. Kc3 f3 57. gxf3 h3 58. Be4 Ng6 59. f4 Nxf4 60. b4 Nd5+ 61. Kc4 Nf6 62. Bh1 h2 63. Kd4 Ng4 64. f4 Nf2 65. Bg2 h1=Q 66. Bxh1 Nxh1 67. f5 Ng3 68. f6 Nf5+ 69. Kc4 Kc6=) 49... Kd8 50. Bf1 a4 51. bxa4 b3 52. Bc4 b2 53. Ba2 Kd7 54. a5 Nd3+ 55. Kb6 Kxd6 56. a6 Nb4 57. Bb1 Nd5+ 58. Kb7 Kc5 59. a7 Nb6 60. Bd3 Kd4 61. Bh7 Kc5 62. Be4 (62. a8=Q?? Nxa8 63. Kxa8 Kd4 64. Kb7 Ke5! 65. Bc2 f5 66. Kc6 f4 67. f3 Kd4 68. Kb5 Ke3 69. Kb4 Kf2-+) 62... Kb5 63. f4 Kc5 64. Bc2 Kb5 65. Bb1 Kc5 66. Ka6 Kc6 67. Be4+ Kc5 68. Kb7=


Analysis Diagram

こうなれば白には勝つ方法がなく、ドローにするしかないでしょう。Ne2-Nf4 は考えていたのですが、b5 にキングを侵入されないことを優先し、反撃のチャンスを逃してしまいました。

49. Bc2 Ne2 50. d6+ Kd8 51. Bf5 Nc3 52. Kc4 Ke8 53. Kc5 Kd8 54. g3


白は黒を完全に抑え込んでいましたが、そのうえでSuniduth Lyna は冷静で焦りません。g4 までポーンを進めてしまえば、白は狙われるポーンがなく、黒の反撃を全く恐れる必要がなくなります。

54... hxg3 55. fxg3 Ne2 56. g4 Nc1 57. Be6 Ne2 58. Bc4 Nc3 59. Bd3 Kd7 60. Bf5+ Kd8 61. Kb6+-



ここまで状況を整えてから、ようやくaポーンを取りにいくという周到ぶりに舌を巻きました。この時点で負けは分かっていましたが、最後まで続けることにします。

61... a4 62. bxa4 Nxa4+ 63. Kb5 Nc3+ 64. Kxb4 Nd5+ 65. Kc5 Nf4 66. Kc6 Ke8 67. Kc7 Nd5+ 68. Kc8 Nb6+ 69. Kb7 Nd5 70. Be4 Kd7 71. Bxd5 Kxd6 72. Be4 1-0


後で振り返れば、何か所か付け入るポイントはあったようですが、それでもとても強い相手でした。こうした少し悪いエンドゲームの中で、いかにドローのチャンスを逃さないようにするかは、今後も課題になると思います。このラウンドは若いマスターから、勉強させてもらいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman R (IRL, 1923)

今日は2200台くらいかと思っていましたが、予想外の1900台でした。リストがちょうど半分くらいなので、これは仕方ないですね。ここをしっかり勝って、またGM に挑戦したいと思います。

2016/10/04

Chess.com Isle of Man International R3


イギリスでは食事のことを多少なり心配していましたが、ここまでは特に問題なく過ごせています。会場近くには昼前からオープンしているカフェがあり、この3日間はそこで昼食を取り、13時半からの試合に向かうという流れが続いています。近くで昼から食事をできるところはさほど多くないため、ほかのマスターともよく顔を合わせます。この店のハンバーガーは美味しいのですが、ポテトとあわせるとかなり量が多く、試合前の食事としては大変です(笑)

Donchenko とドローになった翌日は、インドのLalith Babu との対戦です。私はCaro-Kann を研究している際に彼の名前を見つけ、たくさんのゲームを参考にしてきました。そんな彼が、2006年のAsia Junior で対戦したプレーヤーだと気付いたのは、実はつい最近のことです。10年も前の大会で対戦したプレーヤーが、現在でもチェスを続けており、互いに実力を伸ばして再戦できるということは、とても嬉しいことです。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith, B (GM, IND, 2586)
Chess.com Isle of Man International (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 c5 4. Bg2 Bb7 5. Nc3 g6 6. O-O Bg7 7. d4 cxd4 8. Qxd4 d6 9. Rd1 Nbd7 10. Be3 Rc8 11. Rac1 O-O 12. Qh4 a6 13. b3 Re8!?



過去にこのポジションを持った際、黒は13... Rc7 と指してきました。Lalith が選んだ13... Re8 のアイディアは、先にe7 のポーンを守っておくと同時に、c8 のルークは動かさないでおくことで、Rc8-Rc5 をテンポロスすることなく指すことだろうと考えました。そこでe3 のビショップを動かすのは遅らせることにします。

14. Bh3 Ba8 15. Bh6 Bxf3!?


このラインではときどき見かける手ですが、ビショップを下げた直後に、もう一度動いて取ってきてのは予想外でした。白はポーンストラクチャーを乱しますが、その代わりにeファイルを開くことで、e7 にプレッシャーをかけやすくなります。

16. exf3 Rc5 17. Bxg7 Kxg7 18. Qd4 Kg8 19. f4 Qb8 20. a4



この時点では多少白が良いだろうという自覚はありましたが、どのように進めていくかは迷うところです。ビショップを返してでもd7 を取り、Nc3-Nd5 と入るプランや、eファイルにルークを回してe7 をアタックするプランも考えましたが、まずはb6-b5 を止め、黒のクイーンサイドのアクションを抑え込むことにします。

20... Qc7 21. Re1 Rh5 22. Bxd7


a2-a4 を突く際に危惧していたのは、c5 に跳ばれたナイトにb3 をアタックされることです。それを気にしてナイトを消しに行ったのですが、コンピュータは実に面白い変化を示します。22. Bg2 Nc5?! 23. Qxf6!! gxf6 24. Rxe8+ Kg7 25. Nd5 Qd7 26. Rg8+! Kh6 27. Nxf6+/- クイーンを捨てる変化は多少考えましたが、Nc3-Nd5 からエクスチェンジを取りかえせるところまでは読めず、断念しました。

22... Qxd7 23. Ne4 Nxe4 24. Qxe4 Rc5



マイナーピースをすべて消し、ポジションを単純化しました。ここから白はe7 にプレッシャーをかけつつ、あわよくばf4-f5 を仕掛けるのに対し、黒はb6-b5 のブレイクのタイミングを伺うという展開になります。クイーンを交換したうえでのRh5-Rc5 は少し自信がありませんでしたが、問題はなさそうです。24... Qh3 25. Qg2 Qxg2+ 26. Kxg2 Rc5 27. Rcd1 Kf8 28. g4! b5 29. cxb5 axb5 30. Rc1 Ra8 31. Rxc5 dxc5 32. axb5 Rb8 33. f5 gxf5 34. Re5 Rxb5 35. Rxf5=

25. Rcd1 Qc7 26. Rd5 e6 27. Rd3 b5!?


黒は念願のb6-b5 を仕掛けますが、この時点であれば白はaファイルにできるパスポーンを武器に、黒が少し嫌がるような展開にできるのではないかと考えました。ポーンを単純にさばいてしまい、黒にdファイルのパスポーン、白にb3 の弱点となる孤立ポーンになってしまっては、もちろん白はダメです。

28. cxb5 axb5 29. a5! d5 30. Qb4!



a5 を守りつつ、b5 をアタックできるマスにクイーンを置きます。c4 を弱めるため、b3-b4 はなるべく突かないようにしようと思ったため、b4 のマスを埋めてしまうことは問題ではありません。

30... Ra8 31. Ra1 h5


31... Rc1+ 32. Rxc1 Qxc1+ 33. Kg2 Qc7 34. Rc3 Qd8 (34... Qxa5?? 35. Rc8+! Kg7 36. Qf8++-) 35. Qxb5 d4 36. Rd3 Rxa5 37. Qc6 Rd5= これはおそらくドローにするチャンスが十分あるでしょう。Lalith はピースを残し、難しいポジションを保ちます。

32. Rdd1 Rc2 33. h4 Qc6 34. Qd4 Ra6 35. f5!?



時間が増えるまであと5手、残り時間は2分という状況で、この手を仕掛けることを決断しました。黒キングの前が開けば、パペチュアルチェックのチャンスが生まれますし、h5 も取ることができそうです。

35... gxf5 36. Qf6 Qc3 37. Qg5+ Qg7 38. Qxh5 f4 39. Rac1!


h5 を取る前から、このようにルークを交換することは頭にありました。バックランクの弱い黒は、オープンファイルをルークにとられるわけにはいきません。

39... Rac6 40. Rxc2 Rxc2 41. g4 b4



白からのb3-b4 を防いだ手をなるほどと見ながら、ここからどうするか考えます。g4-g5 からクイーンを退くプランは、42. g5 Qe5 と進み、g5 でクイーンのチェックができなくなることを嫌いました。もう一つ、思いついて指したのは、aファイルのパスポーンを餌にして、cファイルのオープンファイルを取りにいくプランですが、これは黒が上手く対処すればすぐドローになることが分かりました。時間の増えた直後で余裕があり、しばらく考えて白で勝ちにいくアイディアをひねり出そうとしましたが、結局は思いつかず、ドローの変化を選ぶことにしました。

42. a6 Ra2 43. Rc1 Ra1 1/2-1/2


相手から早々にドローオファーがきたのは意外でしたが、ルーク交換後は互いにパペチュアルチェックの狙いを持ち、それを外しにいくこともできなさそうなので、ドローを受けることにしました。昨日の記事で、2600近くから久々のドローと書きましたが、この日もそれが続きました。ここまでは上手く指せていますので、残りの2/3 のラウンドもこの調子で続けていきたいですね。


Nakamura - Van Foreest はドローとなり、アメリカのトップ3人衆は全員0.5P 落としています。

今日は昨日に続き、インドのGM との対戦です。Sunilduth Lyna はまだ18歳になったばかりの少年で、この数年はWorld Junior での活躍を続けています。この大会には彼のような若者も含め、インドからマスターが大挙して押し寄せています。若い才能に負けないよう、このラウンドもしっかり指してこようと思います!

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)

2016/10/03

Chess.com Isle of Man International R2


プレーヤーの数は少ないですが、会場の雰囲気はカペルを思わせます。

マン島の2試合目はドイツの18歳のGM Donchenko との対戦です。昨年GM のタイトルを獲得してから、2600近くまでレイティングを上げ、現在は強豪ドイツの14位につけているプレーヤーです。オープニングのレパートリーも広く、完全には準備しきれませんでしたが、経験のある形に持ち込めたのはラッキーでした。

Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. a4 a5 9. cxd5!?



このタイミングでポーンを交換する手は、羽生さんにトレーニングで指されたことがあります。Donchenko によれば、9. Qb3 e6 ならば黒は堅く、白がアドバンテージを活かすのが難しいとことでしたが、早いポーン交換ならば、c6 にナイトを展開できるので、それそれで黒としてはありがたいでしょう。

9... cxd5 10. Qb3 Nc6 11. Bd2 Qd6!


この手はKamsky のゲームを見ていて発見したものです。f8 のルークをセンターとクイーンサイドに回せるように準備しておきます。12. Nb5 Qb8 となっても、b7 とd5 へのアタックが消えるので、黒にとって好都合です。

12. Rfc1 Bg4!?



色々と考えた末、ナイトとの交換を視野に入れ、ビショップを展開するマスをg4 にしました。12... Bd7 と指すのも良い手で、Rf8-Rc8 からクイーンサイドで対抗できるようにします。

13. Qxb7!?


すぐにポーンを取ってくる手は、十分にイコアライズできると読んでいたので意外でした。13. h3 Bxf3 (13... Bd7!?) 14. Bxf3 Rfd8 ならば、黒はビショップペアを失いますが、Bg7-Bf8, e7-e6 と進めて十分戦えると思います。

13... Rfb8 14. Nb5 Rxb7 15. Nxd6 Rxb2 16. Rxc6 Bxf3!



ここは一つ気付きづらいトラップが隠されています。16... exd6? 17. Bc1! Rxe2? 18. Kf1! Bd7 19. Rc7 Ne8 20. Rc3+/= これで白はe2 のルークを取り、駒得となります。

17. Bxf3 Rxd2=


ここまでくれば、異色ビショップのうえ十分にピースを捌けているので、黒は全く問題ないでしょう。

18. Nb5 e6 19. Rac1 Ra2 20. Nc3 Rb2 21. Be2



互いに異色ビショップで、b5,b4 のマスを奪いにいきます。私は黒でどうすれば安全にドローになるか考えていましたが、最も単純な方法はルークを2つとも交換してしまうことでしょう。

21... Bf8 22. Rb1 Rab8 23. Bb5 Rxb1+


23... Rc2! としていれば、ほぼイコールではありながら、7段目をコントロールし続けることで黒が多少のイニシアチヴを握り続けられたかもしれません。ここまで安全に指すことを心がけてきましたが、ここは欲を出して勝負にいっても良かったですね。

24. Nxb1 Ne4 25. Nc3 Nd6 26. f3 Rc8



2つ目のルークも交換してしまえば、局面は完全にドロー模様です。

27. Rxc8 Nxc8 28. Kf2 Bb4 29. Na2 Ba3 30. Ke2 Kf8 31. Kd3 Ke7 32. Nc3 1/2-1/2


2600近いGM からのポイントは、ずいぶん久しぶりで嬉しかったです。そして、次の3R の相手はインドのGM Lalith Babu です。彼とは10年前、インドで開催されたAsia Junior で対戦し、敗れています。10年ぶりに同じプレーヤーと対戦するという経験は、日本でもほとんどないことです。お互いに10年前から実力が比べ物にならないほど上がっているので、とても楽しみなラウンドですね。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586)


昨日はよく晴れており、試合後に海沿いの大通りを散歩することができました。


昨晩は初めてホテルでディナー。少し奮発して、ステーキを食べました。

2016/10/02

Chess.com Isle of Man International R1


対戦相手はチェス国籍がイングランドですが、ネームプレートにはマン島の旗が描かれています。

昨日からマン島でのトーナメントがスタートしました。リストがちょうど真ん中付近だった私は、地元の1900台のプレーヤーとの対戦です。以前の試合を見る限りは数字通りの実力だったので、勝たなければいけない相手です。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921)
Chess.com Isle of Man International (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. d4 Nxc3 6. bxc3 g6 7. e4 Bg7 8. Be3



マン島の初戦はGrunfeld のメインラインになりました。この手順から入った場合、5. g35. e3 も試し、どう指すべきか悩んでいましたが、初めてメインラインをチョイスします。日本では8. Rb1 が人気があるように思いますが、私はKramnik が愛用した8. Be3 で勝負します。

8... O-O 9. Qd2 Qa5 10. Rc1 Bg4!?


10... cxd4 11. cxd4 Qxd2+ 12. Nxd2 はかつて生徒の一人から教えてもらった変化で、こうなることを予想していました。10... Bg4 はGrischuk がKramnik を破った嫌な変化ではありますが、この日はエンドゲームを避けてタクティカルに指してみたい気分だったので、その点からはクイーン交換を避けられるのはラッキーでした。

11. d5 f5!?



この手は直感的にリスクがあると感じました。a2-g8 のダイアゴナルとe6 のマスを弱めているためです。11... Nd7 12. c4 Qa3 13. Be2 Bxf3 14. Bxf3 Bd4! はGrischuk のチョイスで、Grunfeld プレーヤーはきちんと調べてみると良いでしょう。

12. d6!N


この手は盤上で思いついたものですが、過去に誰も指したことがありませんでした。私としてはf7-f5 をとがめるために、a2-g8 のダイアゴナルをすぐに開くのは自然に見えます。

12... exd6


本譜に飛び込むのは黒は勇気が必要だと思いますが、12... Bxf3 13. dxe7 Re8 14. gxf3 Rxe7 (14... Nc6 15. Qd5+ Kh8 16. Qxc5 Qxa2 17. Bc4+/=) 15. Qd5+ Kh8 16. Qxc5 Qxc5 17. Bxc5 Rc7 18. Be3+/= と進んでも、白がやや優勢でしょう。

13. Bc4+ Kh8 14. Ng5! fxe4 15. h3!



私が思い描いたポジションになりました。白は一時的でも2ポーンを捨て、ピースを展開して黒キングにプレッシャーをかけます。駒を取り返す方法はf7 のチェック、e4 とd6 へのアタックがあり、黒はどのように対処するのか難しいでしょう。

15... Bf5 16. g4 Nc6!?


ビショップを捨てるのは完全に予想外でした。16... Bc8 17. Qd5 Qc7 18. Bf4 Be5 19. Nf7+ Rxf7 20. Bxe5+ dxe5 21. Qxf7 Qxf7 22. Bxf7+/-, 16... Bd7 17. Qxd6 Bxc3+ 18. Kf1 Bg7 19. Qxc5 Qxc5 20. Bxc5+/- このどちらも黒がはっきり悪いのであれば、ビショップを捨てるのは面白い判断です。

17. gxf5 Ne5 18. Be2 gxf5?!



これは負けをほぼ決定づける判断ミスでした。18... Rxf5! 19. Nxe4 Qa4 20. Ng3+/= ならば2ポーンピースではありますが、キングが不安定である以上、そこまで簡単なポジションではないでしょう。本譜は3ポーンピースですが、白のビショップペアに対抗する方法を黒は見つけることができません。

19. Ne6 Rf6 20. Nxg7 Kxg7 21. Rg1+ Kh8 22. Qd5 Re8


22... Qc7 23. Bf4+/- b7 を守るようであれば、ナイトを消しにいって白の勝勢は揺るがないでしょう。

23. Qxb7 Rf7 24. Qd5 f4 25. Bd4 Rfe7 26. Bc4 Qd8 27. Bxe5+ dxe5 28. Qxe4 Rd7 29. Bb5 Rd4 30. Qf5 1-0



キャスリングをせずに勝ったゲームは私にとってかなり珍しいですが、こういったプレーもできるという確認ができて良かったです。勝たなければいけない相手にしっかり勝ち、マン島でのトーナメントは順調な滑り出しです!

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0

そして2日目の今日は、ドイツの若きGM Donchenko との対戦です。手ごわい相手ですが、なんとかポイントを取れるように頑張ってきます! このラウンドでは私も中継される上位ボードでのプレーになりますので、よろしければライブをご覧ください。試合開始は、日本時間の21時半です。

Chess.com Isle of Man International R2 Live Games



会場内には大きな大会の広告が掲げられています。


試合会場はホテルから300m ほど離れた劇場です。

2016/10/01

Chess.com Isle of Man International Arrival Day


9月最終日、1年8か月ぶりとなるイギリスに向かい、新たなトーナメントに臨みます。30日早朝に羽田を出た私たちは、12時間かけてロンドンヒースロー空港に到着しました。ここからはシティ空港へと移動し、マン島へのフライトです。ロンドンの西にあるヒースロー空港から東にあるシティ空港に移動するのであれば、ロンドンの中心地を通ることになるので、時間もある私たちは乗り継ぎの合間に市内観光を挟むことに。ヒースローからはまず、エクスプレスでパディントンを目指します。


パディントンから地下鉄を乗り継ぎ、ロンドンの中心部ともいえるピカデリーサーカスに到着です。ピカデリーサーカス駅前のエロスの像は、待ち合わせスポットして有名です。日本でいう渋谷のハチ公前のようなものですかね。


ピカデリーサーカスに来た目的はこちら、日本でも有名なフォートナム&メイソンの本店へと足を運ぶことです。フォートナム&メイソンは紅茶が有名ですが、他にもチョコレートやジャムなどの食品、他の階ではジュエリーや香水なども販売している、老舗の百貨店です。帰りはロンドンでゆっくり買い物をする時間がないため、ここで少しお土産を調達します。


さらにフォートナム&メイソンの5階で、目当てだったアフタヌーンティーをいただきます。予約していなかったにもかかわらず、15分待ちで入れたのはラッキーでした。本場のアフターヌーンティーは、上からケーキ、スコーン、サンドイッチの段と3段にになっています。クリームチーズとジャムも2種類つき、さらには離れた場所にあるケーキも含まれている、大変ボリュームのあるセットです。一つの段を片付けると店員が「お代わりお持ちしましょうか?」 と聞いてくるため、時間をかけてたくさん食べることもできます。


お茶の種類は数十種類あり、正直どれを頼んで良いのかわかりません(笑) 無難なところで、ロイヤルブレンドを頼みました。


時間ぎりぎりまでフォートナム&メイソンにいた私たちは、夕方に急いでシティ空港へと移動を始めます。ピカデリーサーカスからオックスフォードサーカス、バンクと地下鉄を2か所で乗り継ぎ、空港までは1時間ほど。シティからはマン島までは、さらに1時間のフライトです。このマン島にはNASAの学校(養成所?)があるとのことで、空港にはスペースシャトルの模型がありました。


空港にはオーガナイザーが用意してくれた迎えのタクシーが来ており、すぐにホテルへと送り届けてくれました。タクシーは同じ便でロンドンから来た、スウェーデンのNo.1 GM, Grandelius と一緒です。彼と話をしながら、ダグラスのホテルへ。このMannin Hotel に10泊し、今大会を戦います。

そして先ほど、1R のペアリングが発表されました。私の対戦相手は地元、マン島のプレーヤー、Dahl Baard に白を持ちます。1900台のプレーヤーですので、ここはきっちりと勝ってマン島のトーナメントをスタートさせたいですね。それでは、もう少ししたら初戦に行ってきます!

Chess.com Isle of Man International Live Games
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