2012/12/20

CAISSA GM December 6th round - Fighting with A NID -


モールで見つけたクリスマス飾り。一つ欲しいです。

後半戦のスタートは、前半で唯一敗れたGM Groszpeter との再戦です。Grunfeld のスペシャリストということで、1R に使ったラインを改良して準備していましたが...

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2468)
Caissa GM December (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. d4 Bxc3+!?



Grunfeld ではなく、まさかのNimzo-Indian に。この手はGroszpeter いわく、すごく良くはないが指せる一手だとのことです。この4手目には、4... c5, 4... 0-0, 4... b6 などを用意していましたが、この変化は初めて考えます。

5. bxc3 b6 6. Bg5 Bb7 7. Nd2!?


7. e3 h6 8. Bh4 g5 9. Bg3 Ne4 10. Qc2 d6 は私は昔黒で研究したラインで、どうしても白が良いとは思えません。そこでナイトを組み直してセンターを主張する戦い方もあるだろうと考え、そちらを選択します。

7... h6 8. Bh4 d6 9. f3 Nbd7 10. e4 Nf8!?



ぱっと見て、なるほどと思いましたが、本譜のc4-c5 のアイディアが早々に使えるのは、白にとってありがたいような気がします。Groszpeter には、10... e5 11. Bd3 Nf8 12. Bf2 c5 13. d5 Ng6 14. g3 Nd7 15. Nf1! というナイトとのマヌーバリングがあることを試合後に教わり、これがg7-g5 を付きたくない理由だと言われました。これは試合中、あまり考えていなかったアイディアです。(もう少し考えていれば思い付いていたでしょうが)

11. c5!


彼が見落としていたアイディアで、ダブルビショップを持つ白はポジションを開いたほうが有利です。

11... Ng6


11... dxc5 12. e5 Ng6 13. exf6 Nxh4 14. fxg7 Rg8 は形勢不明ですが、彼は黒でこれを持ちたくないとコメントしていました。

12. Bxf6 Qxf6 13. Qa4+ Kf8 14. cxd6 cxd6 15. g3!



最初はすぐにQa4-Qd7 と飛び込む手を考えていましたが、クイーンを退かれて交換になっては、白に対したアドバンテージがありません。そこで冷静になり、もう少しゆっくり駒を組むことを決めました。まずは、Ng6-Nf4 を止めておき、キングサイドのプレッシャーを緩和しておきます。

15... Kg8 16. Bd3 e5 17. Qd7?!


しかし、これがだめでした。相手が望むならばドローでも良いと弱気になり、アドバンテージを放棄してしまいます。17. O-O! Kh7 18. f4! exf4 19. Rxf4! Qe7 20. Rf5+/= ならば、白にアドバンテージがあることは明らかです。f4 をルークで取り返せることが読めていれば、間違いなくこう指していたのですが...

17... Rb8!



17... Bc8 18. Qc6 Rb8 19. Qc7 Ra8 20. Qc6 Rb8 21. Qc7= は早々にドロー。 17... Qe7 18. Qxe7 Nxe7 19. Nc4 Rd8 20. d5= は私と彼は白良し評価でしたが、コンピュータはイコールを示します。 私は本譜の17... Rb8 をなぜか過小評価しており、指された後で白に何も有効な狙いがないことに気づき、愕然としました。

18. d5 Kh7 19. Ke2 1/2-1/2


白はこの後、クイーンをQd7-Qa4 と退かねばならず(検討では、場合によってQd7-Qf5 と退くのもありえるという話になりました)、少なくとも白が持っていたアドバンテージが消えたことは明らかです。私からドローオファーをして、試合を終わらせました。

ここまでGM と4戦をして、1敗3ドローと悪くない数字です。そして今日は最後のGM、セルビアのIlincic との対戦が待っています。ハンガリーのゲームを見ていて彼の名前を無視することはできないほど、数多くの試合をこなすGM で、当然実力も相当高いです。来月会う予定のMisha への土産話としても、しっかりポイントを取ってきたいところですね。


昨日はHou Qinag が帰国するということで、持って帰れないチャイニーズフードを大量にいただきました。彼は今回の滞在で3つ目のIM ノームを達成、レイティングも2400近くまで伸びそうです。10月には握手問題などもありましたが、最終的には彼とは良い関係を築くことができました。次回はどこか、アジアのトーナメントで会いましょう!


もらったインスタントヌードルがこちら。まともな食器がないのが、この会場のダメなところです。


スーパーでは、この時期限定と思われるハムが!(買いませんでしたが)

2012/12/19

CAISSA GM December 5th round - Open File Domination -


7月のCAISSA GM では、2300後半相手に勝利を収めたGupta

Gupta 少年は、5月に私がハンガリーに渡ってきた際に、最初のFS で対戦したプレーヤーです。昨年から、母親と共にたびたびハンガリーを訪れ、ブダペストとケチケメートを往復してIM,GM トーナメントに参加しているようで、約2年でレイティングは1800台から2200台まで伸びています。(ちなみに名前をも顔立ちも間違いなくインド人ですが、チェス国籍はアメリカだったようです。)実際、私も7か月前の対戦では、彼がまだ2000台だったことを記憶しています。そんな彼との7か月ぶりの対戦は、私が得意とするCaro-Kann Classical のメインラインになりました。

Gupta, B (USA, 2227) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa GM December (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6!?



去年から私のブログをチェックしている人には、懐かしの一手でしょう。私はこのすばやくb2を攻撃しつつ、d8 をルークのために空ける、クイーンのマヌーバリングが大のお気に入りです。

14. Ne4 Rd8!


14... Nxe4 15. Qxe4 Nf6 16. Qe2 Qb5!? と指すのも一興ですが、ここは早めにd4 にプレッシャーをかけ、白のクイーンをdファイルから外させます。

15. Nxf6+ Nxf6 16. c4 O-O 17. Bc3 c5!?



17... Bb4!? とビショップをぶつけ、ピースを交換してしまうのも黒としては安全なチョイスです。(このビショップ交換が可能になるのも、Qd8-Qb6 のポイント)

18. Ne5!?


黒がすでにdファイルにルークを回している以上、白は早めにクイーンをe2に退きたがるものだと思っていましたが、Gupta は非常にアグレッシヴに指してきます。ここでどう指そうか悩んだ挙句、少し怪しいながらもdファイルにルークを重ねるプランを決断します。

18... Rd6 19. dxc5 Qxc5 20. Bd4!?



彼はどこまでもd3 のクイーンにこだわるようです!20. Qe2 Rfd8 21. Rxd6 Bxd6 ぐらいでイコールだろうと、検討では話をしました。

20... Qc7 21. f3?


ここは彼が試合後に悔やんだ一手。g2-g4 をサポートし、黒のナイトがNf6-Ne4 と入ってこないようにするための一手ですが、黒は別のルートでナイトを使い直すことで、満足なポジションを築くことができます。21. f4 Rfd8 22. Qe3 Nd7 23. Rd2= ならば、白は大きな問題がありませんでした。

21... Rfd8 22. Qc3 Nd7! 23. Nd3 Bf6 24. Bxf6 Nxf6 25. g4 b5!?=/+



dファイルを支配した黒は、さらにアドバンテージを獲得するために、クイーンサイドでアクションを起こします。私はパスポーンの評価が苦手ですが、ここでは白のcファイルのパスポーンは脅威ではなく(むしろ、黒に取ってターゲットになります)、d5 のマスを活用できるようになることのほうが、黒のメリットは大きいと判断できます。

26. c5 Rd4 27. Qb3 Qc6!


b5 のポーンを守ると同時に、f3 をアタックすることでテンポを稼ぎます。白はどこかでNd3-Nf2 と指してルークを交換したいところですが、そのためにはc5 のポーンを諦めなくてはならないため、それも苦しい展開です。

28. Rhf1 a5 29. a3 R8d5!



d5 はナイトにとってベストのマスに見えますが、ここではルークの利きを分断してしまうことになるので、dファイルの支配を強めるほうが有力です。狙いは次にクイーンをd7に置き、dファイルにメジャーピースを3つ重ねることです!

30. Qc3 Qd7 31. c6 Qc7


一時的にポーンを進めさせ、クイーンをcファイルに戻しますが、これでいよいよcポーンは助からなくなりました。

32. b3 Rd6 33. Kb2 b4!-+



白にポーンを突かせてからルークを下げたことで、再びd5 のマスが空きました。そこでいよいよNf6-Nd5-Nc3 の出番です!白はポーンが落ちるうえに、このナイトのマヌーバリングを防ぐことができず、勝負ありました。

34. axb4 axb4 35. Qc2 Nd5! 36. Rfe1 Nc3 37. Rd2 Rxc6 38. Rc1 Rcd6 39. Ra1 Qd8 0-1



最後は再びメジャーピースを全てdファイルに戻し、白のナイトが落ちることが確定した時点で、Gupta はリザインしました。c6-c5 からdファイルを開き、そこを支配することで白に何もさせない、Caro-Kann Classical のお手本のようなゲームができました!10月から対1.e4 のメインウエポンに戻しているCaro-Kann ですが、メインのClassical は、ハンガリーとロンドンで5勝3ドローと絶好調です。オリンピアードまで使っていたFrench は、一体なんだったのか...

今回こそハンガリーで、初の勝ちなしもありえるとビクビクしていたので(以前も似たようなことを書いた記憶がありますが...)、なんとか5試合目で勝利を掴み、一安心です。今日は前半戦で敗れたGM Groszpeter との再戦で、白を持つからには負けるわけにはいきません。IM ノームに必要な残りの2勝をどこで掴めるか、初のGM トーナメントの後半戦も頑張ります!


昨晩は再びクリスマスマーケットへ。こちらはなんと、飴細工のようです。


このクッキーは、あなたのハートも頂きますということでしょうか(笑)


教会も綺麗にライトアップされていました~。

2012/12/18

CAISSA GM December 4th round - Accurate Threefold -


この会場に初めて足を運んだのは、もう半年以上も前のことです!

昨日はGM Sax と色を変えての対戦です。同じプレーヤーに連敗すると大変落ち込みますが、そうでなければダブルラウンドロビンは、なかなか楽しいシステムです。

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Sax, G (GM, HUN, 2463)
Caissa GM December (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 Nc6 4. g3 e5!?



このポジションではありえる手ですが、個人的にはd5 のマスを早々にアウトポストにするため、あまり好みではありません。

5. Bg2 d6 6. d3 g6 7. Bg5!?


私はダブルビショップよりも、アウトポストを抑え込むナイトを重要視します。そこでd5 をカバーする、黒の重要なピースを消しにいきます。

7... h6 8. Bxf6 Qxf6 9. O-O Qd8 10. Ne1 Bg7 11. Nc2 O-O 12. Ne3 Be6 13. Rb1 Qd7 14. a3 Bh3 15. b4!?



白がクイーンサイドからアクションを起こすのは当然ですが、その前に自らビショップを取るかどうか、非常に迷いました。白キングはg2 にいるのが堅く見えますが、先月のMassoni 戦では、黒のキングサイドアタックを軽視したためにひどい目にあったので...ここでは、15. Bxh3 Qxh3 16. Ned5 f5 17. f4+/= と進めることで、黒の飛び込んできたクイーンを、逆に他の黒ピースから分断できたようです。

15... Bxg2 16. Kxg2 f5 17. Ned5 Nd4 18. bxc5 dxc5 19. e3 Ne6 20. Qa4!?


黒のNe6-Ng5f5-f4 を警戒して、黒クイーンをd7 から外すことを決めました。代わりのプランとして、20. a4! Ng5 21. h4 Ne6 22. a5+/= と進めて黒のb7 のポーンを固定し、そこをじっくり狙っても白良しでした。

20... Qf7 21. Nb5!?



この手は17... Nd4 を見た際に頭に浮かんだ構想でです。次のシンプルなNb5-Nd6(黒クイーンの行き場がない!)を防ぐために、黒はルークがfファイルから離れざるをえません。すると黒のf5-f4 が弱まるため、その隙にクイーンサイドで何かチャンスをつかめないかと考えました。

21... Rfd8 22. Nbc3 Rf8 23. Nb5 Rfd8 24. Nbc3 1/2-1/2


どこかで手を変えてくるかと思いましたが、Sax もfファイルのルークにこだわったために、3回同一局面のドロー。ちなみに彼はきちんと、手を指す前に3回だと指摘をしてきました(笑)

最後は白がNc3-Nb5 にこだわらなければ、やや白良しでしょう。しかし、アウトポストのナイトだけでは十分なアドバンテージにならないため、白はなんとか黒にb7-b6 を突かせ、a3-a4-a5 から手を作れなければ、ポジションを進展させることはできなさそうです。黒のキングサイドからのカウンタープレーを警戒したうえで、このプランを実行するのは簡単ではないと思い、ドローに落ち着かせましたが、私の残り時間は十分にあったため、もう少しアイディアを出しても良かったと反省しています。


New ハム登場。色々試しています。


クロワッサンは最高にうまいパンだと信じています。どこかにチョコなしはないものか...

2012/12/17

CAISSA GM December 3rd round - Prison -

CAISSA で2人目のGM として私の前に現れたのは、Sax同様、ハンガリーのベテランGM Groszpeter です。現在はSicilian がメインのようですが、かつてはCaro-Kann を得意としており、私はオープニングのレクチャーも兼ねるつもりで試合に臨みました。

Groszpeter, A (GM, HUN, 2468) - Kojima, S (FM, JPN, 2340) -
CAISSA GM December (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. dxc5 Nc6 5. Nf3 Bg4 6. c3 e6 7. Be3 a6!?



この手は前夜の研究で見つけた手で、深くは調べていないものの、アイディアが分かりやすかったため早速使ってみることにしました。黒はBf1-Bb5+ を防ぐことで、次にeポーンを取り返そうとします。

8. Nbd2 Nxe5 9. Be2 Nxf3+ 10. gxf3!?


自ら2つ目のダブルポーンを作るとは驚きです。白は展開勝負ですが、私はさほど問題ないと思っていました。

10... Bf5 11. Qa4+ Qd7 12. Qxd7+ Kxd7 13. b4 Ne7 14. O-O-O g6 15. Nc4!



この手を読み落としていたことで多少の動揺はありましたが、パニックにならず冷静に対処しようと努めます。

15... Nc8 16. Na5


検討では、別の手でポーンアップになるのではないかという意見が出ましたが、16. Bd4 Rg8 17. Na5 Ne7 18. Nxb7 Nc6 19. Be3 Kc7 20. Nd6 Bxd6 21. cxd6+ Kxd6= という手順で黒はポーンを取り返すことができます。

16... Bg7 17. c4 Ne7 18. cxd5 exd5



18... Nxd5 19. Bc4 Kc8 20. Rxd5!(これは私たちが見落としていた力強いエクスチェンジサクリファイス!) 20... exd5 21. Bxd5 Rb8 22. Nc4+/= は白が満足に指せそうです。a8 のルークを閉じ込める手が気に入らず、本譜ではポーンでd5 を取り返すことにします。

19. Nc4 Ke6!?


Groszpeter には、19... Kc6! 20. Nd6 Be6 21. b5+ Kd7= ぐらいで、黒は問題ないのではないかと指摘されました。キングがc6 に逃げる手は私も最初に考えましたが、なぜか21... axb5? ばかりを読んでおり、ダメな変化だと結論付けてしまいました。

20. Rhe1!?



黒のキングがセンターに上がったのを見て、白はそれを追い詰めるようにピースを配置します。これでも問題ないような手を思い付いていましたが、時間を使って考えた末に、怪しい方向へ舵を取ってしまいました。

20... Nc6?!


この試合最初の疑問手らしい疑問手。20... Bc3 21. Bd2 Bxd2+ 22. Rxd2 Kf6 23. Nd6 Be6= が安全な変化であることは分かっていましたが、ここにきて勝負にいこうと気合が空回りしてしまいました。

21. Bg5!? f6



私にとって計算外だったのは、21... Bc3? 22. Bd3+! Bxe1 23. Rxe1+ Kd7 24. Nb6+ Kc7 25. Bf4+ が白勝ちになることです。なぜそこにビショップがいるのか...

22. Bf1+ Ne5 23. f4! dxc4?!


残り数秒で正確に指してくるGroszpeter の技術には感服です。(最近、持ち時間の少ない中で正確に指してくる、対戦相手の技術に驚いてばかりです。)私はこれで黒がエクスチェンジアップになり、勝てる可能性があると読んでいましたが、彼の計算は私のはるか上を行くものでした。23... fxg5 24. Nxe5 Bxe5 25. Rxe5+ Kf6 26. Rexd5 gxf4 27. Rd6+ Kg5 28. Bg2!+/= もう一つ悩んだこちらの変化は、最後の手が見えておらず、イコールぐらいだと思っていました。

24. Rxe5+ Kf7 25. Bxc4+ Kf8 26. Rxf5! gxf5 27. Rd7+/-



エクスチェンジアップはしたものの、白ルークが7段目に突入し、キングが捕らわれの身となりました。ここにきてようやく自分の間違いに気が付き、なんとかならないものかと工夫を凝らします。

27... fxg5 28. Rf7+ Ke8 29. Rxg7 a5 30. b5!


Houdini も一瞬首をかしげますが、進めていくとパスポーンの強さが明らかになってきます。

30... Rc8 31. c6 bxc6 32. b6 Rb8 33. b7 gxf4?



33... h6! 34. Kc2 Kd8 35. Be6 Rf8 36. Kd3 Rf6 37. Bc8 Rd6+ 38. Kc4 Rd5 39. fxg5 hxg5 40. Rxg5 Rd2 41. Rxf5 Rxa2 42. h4 a4 43. h5 Rc2+ 44. Kb4 Rb2+ 45. Kxa4 R8xb7 46. Bxb7 Rxb7+/= ならば、もしかするとドローチャンスのあるルークエンディングかもしれません。しかし、時間切迫の中でキングサイドのポーンの形を正確に決めるのは、大変困難でした。

34. Kc2 Kd8 35. Be6! Rf8 36. Rd7+ Ke8 37. Rxh7 Rf6 38. Rh8+ Rf8 39. Rh7 Rf6 40. Rh8+ Rf8 41. Rxf8+!



3回同一局面かと思われた矢先、相手が手を変えて負けのエンドゲームへ。ここがちょうど時間の増える40手目でなければ、相手のミスもありえたかもしれません。

41... Kxf8 42. Bc8!+-


今度はルークがb8 から一歩も動くことができなくなり、ゲームオーバー。なぜ、白にはhポーンが残っているのか、ぐぬぬ。

42... Ke7 43. Kc3 Kd6 44. Kc4 f3 45. h4 1-0



3年ぶりのGM からの白星とはなりませんでしたが、良いファイティングゲームだったと思います。しかし結果を出さねばダメですね。白番では、もう少し相手を苦しめられるようプレーしたいと思います。


ハンガリーではよく見かけるトカイワイン。趣向を凝らした様々な形の瓶があります。


GM に勝ったら食べに来ます。

2012/12/16

CAISSA 2012 December 2nd round - Hungarian Legend -


濃霧のケチケメート

12月のCAISSA 2戦目は、ハンガリーのベテランGM Sax Gyula とのゲームです。私が生まれる10年以上前からGM としてプレーしており、60歳を過ぎても現役を続けるというのは、大変なことだと思います。


若き日のGM Sax Gyula, wikipedia より

Sax, G (GM, HUN, 2463) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa December GM (2)

1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. d4 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Nc5!?



Caro-Kann Defence を指し始めて約3年。この変化には一回も遭遇したことがなかったため、もはや文献の中にしか存在しない手なのではないかと疑い始めていました。検討で聞いたところ、彼も指すのは初めてだそうです。

5... e5 6. Nxb7 Qb6 7. Nc5 exd4 8. Nb3 Bb4+ 9. Bd2 Nf6 10. Bd3!? Bxd3 11. cxd3 O-O 12. Ne2 c5


5. Nc5 に対して、まともに研究したことがあるのは、Schandorff の勧めるこのラインだけです。黒はピースの展開は満足ですが、c5 のポーンがターゲットになる可能性と、c4 のアウトポストには十分に気を付ける必要があります。

13. O-O Bxd2 14. Qxd2 a5!



ナイトがc4 まで到達した際に、このポーンが次なるターゲットになるため、このa7-a5 突きが黒にとって本当に良いのか半信半疑でしたが、Sax には良い手だと指摘されました。黒はa5-a4 を見せてbファイルから反撃することで、パッシブすぎる展開を避けます。

15. Qc2 Nbd7 16. Rfc1?! Rfe8!


白の直前の手をとがめる好手です。この手によりc5 のポーン取りがスレットにならず、黒の負担は少ないままで済みます。

17. Ng3 Rab8! 18. Qc4 1/2-1/2



このポジションでSax からドローオファー。いくつかプランを考えましたが、黒がアドバンテージを保って指す変化が思い付かなかったために、これを受けることにしました。彼にとって計算外だったのは、黒がc5 のポーンを無視してbファイルからの反撃に出られたことでしょう。18. Nxc5?? Nxc5 19. Qxc5 Re1+! は典型的なタクティクスで黒の勝ちです。

ところで、最後のポジションをコンピュータにかけると、私も彼も検討で思いつかなかった手で黒は優位に試合を進めることができました。18. Qc4 Ng4! (これは私がすっかり見落としていたアイディアで、直前までd5 にナイトを置くつもりだったので、Nf6-Ng4-Nge5 というマヌーバリングを見落としていました。)19. Qa4 Nge5 20. Rd1 Qb4! 21. Qxb4 Rxb4 22. Rd2 a4 23. Nc1 g6=/+ これならば、黒はc5 へのプレッシャーっをほぼ消したうえで、じっくりとd3、b2 を苛めることができます。うーむ、全く思いつきませんでした。

内容はともかく、とりあえず今年の公式戦でGM から初ドローです。IM トーナメントに参加し続けていたために、GM との試合はオリンピアードと、ロンドンの1試合だけと、今年は例年より少なめ。今日はGM Gorszpeter に黒で、おそらく再びCaro-Kann になりそうです。


会場にあったチェスコップ。私も一つ欲しいです。


サンドウィッチは自作するほうが安いととうとう気が付きました。こういうハムが好みです。

2012/12/15

CAISSA 2012 December 1st round - Against Grunfeld -


ハンガリーの車窓から

私にとって今年最後のトーナメントが、ハンガリーのケチケメートで始まりました。すでに以前の記事で書いたとおり、今月は初のGMクラスにエントリーしており、GM と6戦をこなすダブルラウンドロビンのトーナメントです。初戦は10月のCAISSA で対戦したハンガリーのユースプレーヤー、FM Csonka に白です。苦手のGrunfeld に、新しい対策を準備したうえでの勝負となりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Csonka, B (FM, HUN, 2320)
Caissa December GM (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. Qb3!?



Battey、Massoni とGrunfeld への連敗が続いていたため、別のサイドラインを使います。このラインは2009年ごろに研究したことがあり、実戦でも馬場さん相手に勝ちを収めています。

5... Nb6 6. d4 Bg7 7. Bf4 Be6 8. Qa3 Nc6 9. e3 O-O 10. Rd1!?


ここは10. Be2 と指すのが普通のようで、私が気にしていた 10... Nc4 11. Qc5+/= は、問題なく白やや優勢のようです。

10... Nd5 11. Nxd5 Bxd5 12. Be2 a5 13. Rc1!?



13. O-O Nb4 14. Rc1 c6= では黒に何の不満もないと考え、キャスリングを遅らせてでもNc6-Nb4 を止めておきます。

13... Bxf3!?


相手は30分以上の長考の末、この手を指してきましたが、私はこれは白にとってありがたいと考えました。13... e5! 14. dxe5 Bxf3 15. Bxf3 Nxe5 16. Be2 c6= がおそらく黒にとって最も安全で、ダブルビショップを放棄する代わりにスペースの問題を解消できます。

14. Bxf3 e5 15. Bxc6 exf4 16. Bxb7 Rb8 17. Bc6 fxe3 18. fxe3 f5!?



驚くべきことにCsonka はここでも30分以上を消費し、残り時間は2分を切っていました。18... Qh4+ 19. g3 Qh3 20. Rc2 Rb6 21. Qc3 Qe6! が私のメインの読み筋で、これでも黒は1ポーンの代償ありで戦えそうです。本譜の狙いはf5-f4 からe3 のポーンを崩し、d4 を取りにいくことであり、白は優勢を保つためには、正しいディフェンスが必要になります

19. Qxa5


19. g3 f4! 20. gxf4 Qh4+! 21. Ke2 g5 でも怪しい形です。私は駒得よりもキングの安全性を重視するので、この変化は避けたいところでした。私の本譜のアイディアは、d5 のチェックからクイーンを交換することで、黒の余計なカウンタープレーを封じることです。

19... f4 20. Qd5+ Qxd5 21. Bxd5+ Kh8 22. Rf1!



唯一の使えていないピースを交換して、白にチャンスのありそうなエンドゲームを模索します。

22... fxe3 23. Rxf8+ Rxf8 24. Rxc7 Bxd4 25. Bf3


ここは1ポーンを返しても、黒のルークが7段目に侵入することを防ぐことにしました。25. a4 Rf2! 26. a5 Rxb2 27. a6 Rb1+! 28. Ke2 Rb2+ 29. Kf3 Rf2+ 30. Kg4 e2 31. Re7 h5+ 32. Kh3 g5 33. Bc4 g4+ 34. Kh4 Bf6+ 35. Kg3 Rf5 36. Rxe2 Be5+ 37. Kh4 Bf6+ 38. Kg3 Be5+= でドローという変化はコンピュータで見つけたものですが、相手の残り時間が少ないことを考えれば、こういった難しいラインをチョイスしておくべきだったかもしれません。しかし、黒のパスポーンも6段目に突き刺さっている以上、白も一歩間違えれば負ける可能性があり、私としてはリスクのあるプレーは、極力避けたいところでした。

25... Bxb2 26. a4 Rb8 27. a5



パスポーンが少しでも進んでいるほうが黒にとってプレッシャーが大きいかと思いましたが、残り時間のほとんどない中、Csonka の指し方は実に正確でした。27. Bb7 Bd4 28. a5 Be5 29. Rc5 Rxb7 30. Rxe5 Rb2 31. Rxe3 Ra2= でも、おそらくドローでしょう。

27... Be5 28. Rc5 Bxh2 29. a6 Rb1+ 30. Ke2 Rb2+ 31. Kd3 Rd2+ 32. Kxe3 Bg1+ 33. Kxd2 Bxc5 1/2-1/2


最後はビショップでaポーンを切る間に、黒はキングサイドのポーンを解消すればドローです。手数はさほど長くありませんが、難解なゲームでした。2300台は2200台と違い、なかなか簡単に勝たせてくれませんね。

そして2日目の今日は、いよいよGM の登場します。2R はハンガリーのベテランGM Sax.G との対戦です。60を過ぎながら、今年も2700台との試合をこなすパワフルなプレーヤーで、これまでの試合経験は私と比較になりません。今日はしっかりと勉強させてもらおうと思います!


ケチケメートの自由広場にも、小規模ながらクリスマスマーケットが!


ブダペスト同様、チェスセットが露店にずらり。


こちらはゴーカート。親子で楽しんでいるお客さんがいました。


昨夜はサンドウィッチを。全体の数の割に、食べ物の店は少ないです。




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