2016/10/03

Chess.com Isle of Man International R2


プレーヤーの数は少ないですが、会場の雰囲気はカペルを思わせます。

マン島の2試合目はドイツの18歳のGM Donchenko との対戦です。昨年GM のタイトルを獲得してから、2600近くまでレイティングを上げ、現在は強豪ドイツの14位につけているプレーヤーです。オープニングのレパートリーも広く、完全には準備しきれませんでしたが、経験のある形に持ち込めたのはラッキーでした。

Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O a6 8. a4 a5 9. cxd5!?



このタイミングでポーンを交換する手は、羽生さんにトレーニングで指されたことがあります。Donchenko によれば、9. Qb3 e6 ならば黒は堅く、白がアドバンテージを活かすのが難しいとことでしたが、早いポーン交換ならば、c6 にナイトを展開できるので、それそれで黒としてはありがたいでしょう。

9... cxd5 10. Qb3 Nc6 11. Bd2 Qd6!


この手はKamsky のゲームを見ていて発見したものです。f8 のルークをセンターとクイーンサイドに回せるように準備しておきます。12. Nb5 Qb8 となっても、b7 とd5 へのアタックが消えるので、黒にとって好都合です。

12. Rfc1 Bg4!?



色々と考えた末、ナイトとの交換を視野に入れ、ビショップを展開するマスをg4 にしました。12... Bd7 と指すのも良い手で、Rf8-Rc8 からクイーンサイドで対抗できるようにします。

13. Qxb7!?


すぐにポーンを取ってくる手は、十分にイコアライズできると読んでいたので意外でした。13. h3 Bxf3 (13... Bd7!?) 14. Bxf3 Rfd8 ならば、黒はビショップペアを失いますが、Bg7-Bf8, e7-e6 と進めて十分戦えると思います。

13... Rfb8 14. Nb5 Rxb7 15. Nxd6 Rxb2 16. Rxc6 Bxf3!



ここは一つ気付きづらいトラップが隠されています。16... exd6? 17. Bc1! Rxe2? 18. Kf1! Bd7 19. Rc7 Ne8 20. Rc3+/= これで白はe2 のルークを取り、駒得となります。

17. Bxf3 Rxd2=


ここまでくれば、異色ビショップのうえ十分にピースを捌けているので、黒は全く問題ないでしょう。

18. Nb5 e6 19. Rac1 Ra2 20. Nc3 Rb2 21. Be2



互いに異色ビショップで、b5,b4 のマスを奪いにいきます。私は黒でどうすれば安全にドローになるか考えていましたが、最も単純な方法はルークを2つとも交換してしまうことでしょう。

21... Bf8 22. Rb1 Rab8 23. Bb5 Rxb1+


23... Rc2! としていれば、ほぼイコールではありながら、7段目をコントロールし続けることで黒が多少のイニシアチヴを握り続けられたかもしれません。ここまで安全に指すことを心がけてきましたが、ここは欲を出して勝負にいっても良かったですね。

24. Nxb1 Ne4 25. Nc3 Nd6 26. f3 Rc8



2つ目のルークも交換してしまえば、局面は完全にドロー模様です。

27. Rxc8 Nxc8 28. Kf2 Bb4 29. Na2 Ba3 30. Ke2 Kf8 31. Kd3 Ke7 32. Nc3 1/2-1/2


2600近いGM からのポイントは、ずいぶん久しぶりで嬉しかったです。そして、次の3R の相手はインドのGM Lalith Babu です。彼とは10年前、インドで開催されたAsia Junior で対戦し、敗れています。10年ぶりに同じプレーヤーと対戦するという経験は、日本でもほとんどないことです。お互いに10年前から実力が比べ物にならないほど上がっているので、とても楽しみなラウンドですね。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586)


昨日はよく晴れており、試合後に海沿いの大通りを散歩することができました。


昨晩は初めてホテルでディナー。少し奮発して、ステーキを食べました。

2016/10/02

Chess.com Isle of Man International R1


対戦相手はチェス国籍がイングランドですが、ネームプレートにはマン島の旗が描かれています。

昨日からマン島でのトーナメントがスタートしました。リストがちょうど真ん中付近だった私は、地元の1900台のプレーヤーとの対戦です。以前の試合を見る限りは数字通りの実力だったので、勝たなければいけない相手です。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921)
Chess.com Isle of Man International (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. d4 Nxc3 6. bxc3 g6 7. e4 Bg7 8. Be3



マン島の初戦はGrunfeld のメインラインになりました。この手順から入った場合、5. g35. e3 も試し、どう指すべきか悩んでいましたが、初めてメインラインをチョイスします。日本では8. Rb1 が人気があるように思いますが、私はKramnik が愛用した8. Be3 で勝負します。

8... O-O 9. Qd2 Qa5 10. Rc1 Bg4!?


10... cxd4 11. cxd4 Qxd2+ 12. Nxd2 はかつて生徒の一人から教えてもらった変化で、こうなることを予想していました。10... Bg4 はGrischuk がKramnik を破った嫌な変化ではありますが、この日はエンドゲームを避けてタクティカルに指してみたい気分だったので、その点からはクイーン交換を避けられるのはラッキーでした。

11. d5 f5!?



この手は直感的にリスクがあると感じました。a2-g8 のダイアゴナルとe6 のマスを弱めているためです。11... Nd7 12. c4 Qa3 13. Be2 Bxf3 14. Bxf3 Bd4! はGrischuk のチョイスで、Grunfeld プレーヤーはきちんと調べてみると良いでしょう。

12. d6!N


この手は盤上で思いついたものですが、過去に誰も指したことがありませんでした。私としてはf7-f5 をとがめるために、a2-g8 のダイアゴナルをすぐに開くのは自然に見えます。

12... exd6


本譜に飛び込むのは黒は勇気が必要だと思いますが、12... Bxf3 13. dxe7 Re8 14. gxf3 Rxe7 (14... Nc6 15. Qd5+ Kh8 16. Qxc5 Qxa2 17. Bc4+/=) 15. Qd5+ Kh8 16. Qxc5 Qxc5 17. Bxc5 Rc7 18. Be3+/= と進んでも、白がやや優勢でしょう。

13. Bc4+ Kh8 14. Ng5! fxe4 15. h3!



私が思い描いたポジションになりました。白は一時的でも2ポーンを捨て、ピースを展開して黒キングにプレッシャーをかけます。駒を取り返す方法はf7 のチェック、e4 とd6 へのアタックがあり、黒はどのように対処するのか難しいでしょう。

15... Bf5 16. g4 Nc6!?


ビショップを捨てるのは完全に予想外でした。16... Bc8 17. Qd5 Qc7 18. Bf4 Be5 19. Nf7+ Rxf7 20. Bxe5+ dxe5 21. Qxf7 Qxf7 22. Bxf7+/-, 16... Bd7 17. Qxd6 Bxc3+ 18. Kf1 Bg7 19. Qxc5 Qxc5 20. Bxc5+/- このどちらも黒がはっきり悪いのであれば、ビショップを捨てるのは面白い判断です。

17. gxf5 Ne5 18. Be2 gxf5?!



これは負けをほぼ決定づける判断ミスでした。18... Rxf5! 19. Nxe4 Qa4 20. Ng3+/= ならば2ポーンピースではありますが、キングが不安定である以上、そこまで簡単なポジションではないでしょう。本譜は3ポーンピースですが、白のビショップペアに対抗する方法を黒は見つけることができません。

19. Ne6 Rf6 20. Nxg7 Kxg7 21. Rg1+ Kh8 22. Qd5 Re8


22... Qc7 23. Bf4+/- b7 を守るようであれば、ナイトを消しにいって白の勝勢は揺るがないでしょう。

23. Qxb7 Rf7 24. Qd5 f4 25. Bd4 Rfe7 26. Bc4 Qd8 27. Bxe5+ dxe5 28. Qxe4 Rd7 29. Bb5 Rd4 30. Qf5 1-0



キャスリングをせずに勝ったゲームは私にとってかなり珍しいですが、こういったプレーもできるという確認ができて良かったです。勝たなければいけない相手にしっかり勝ち、マン島でのトーナメントは順調な滑り出しです!

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0

そして2日目の今日は、ドイツの若きGM Donchenko との対戦です。手ごわい相手ですが、なんとかポイントを取れるように頑張ってきます! このラウンドでは私も中継される上位ボードでのプレーになりますので、よろしければライブをご覧ください。試合開始は、日本時間の21時半です。

Chess.com Isle of Man International R2 Live Games



会場内には大きな大会の広告が掲げられています。


試合会場はホテルから300m ほど離れた劇場です。

2016/10/01

Chess.com Isle of Man International Arrival Day


9月最終日、1年8か月ぶりとなるイギリスに向かい、新たなトーナメントに臨みます。30日早朝に羽田を出た私たちは、12時間かけてロンドンヒースロー空港に到着しました。ここからはシティ空港へと移動し、マン島へのフライトです。ロンドンの西にあるヒースロー空港から東にあるシティ空港に移動するのであれば、ロンドンの中心地を通ることになるので、時間もある私たちは乗り継ぎの合間に市内観光を挟むことに。ヒースローからはまず、エクスプレスでパディントンを目指します。


パディントンから地下鉄を乗り継ぎ、ロンドンの中心部ともいえるピカデリーサーカスに到着です。ピカデリーサーカス駅前のエロスの像は、待ち合わせスポットして有名です。日本でいう渋谷のハチ公前のようなものですかね。


ピカデリーサーカスに来た目的はこちら、日本でも有名なフォートナム&メイソンの本店へと足を運ぶことです。フォートナム&メイソンは紅茶が有名ですが、他にもチョコレートやジャムなどの食品、他の階ではジュエリーや香水なども販売している、老舗の百貨店です。帰りはロンドンでゆっくり買い物をする時間がないため、ここで少しお土産を調達します。


さらにフォートナム&メイソンの5階で、目当てだったアフタヌーンティーをいただきます。予約していなかったにもかかわらず、15分待ちで入れたのはラッキーでした。本場のアフターヌーンティーは、上からケーキ、スコーン、サンドイッチの段と3段にになっています。クリームチーズとジャムも2種類つき、さらには離れた場所にあるケーキも含まれている、大変ボリュームのあるセットです。一つの段を片付けると店員が「お代わりお持ちしましょうか?」 と聞いてくるため、時間をかけてたくさん食べることもできます。


お茶の種類は数十種類あり、正直どれを頼んで良いのかわかりません(笑) 無難なところで、ロイヤルブレンドを頼みました。


時間ぎりぎりまでフォートナム&メイソンにいた私たちは、夕方に急いでシティ空港へと移動を始めます。ピカデリーサーカスからオックスフォードサーカス、バンクと地下鉄を2か所で乗り継ぎ、空港までは1時間ほど。シティからはマン島までは、さらに1時間のフライトです。このマン島にはNASAの学校(養成所?)があるとのことで、空港にはスペースシャトルの模型がありました。


空港にはオーガナイザーが用意してくれた迎えのタクシーが来ており、すぐにホテルへと送り届けてくれました。タクシーは同じ便でロンドンから来た、スウェーデンのNo.1 GM, Grandelius と一緒です。彼と話をしながら、ダグラスのホテルへ。このMannin Hotel に10泊し、今大会を戦います。

そして先ほど、1R のペアリングが発表されました。私の対戦相手は地元、マン島のプレーヤー、Dahl Baard に白を持ちます。1900台のプレーヤーですので、ここはきっちりと勝ってマン島のトーナメントをスタートさせたいですね。それでは、もう少ししたら初戦に行ってきます!

Chess.com Isle of Man International Live Games
Chess.com Isle of Man International Pairings

2016/09/27

Chess.com Isle of Man International Tournament Information


オリンピアードとクラブ選手権が終わり、一息ついている頃ですが、私は今週末から再び、海外大会へと足を運びます。今度の試合は、イングランドとアイルランドの間に浮かぶ島、マン島が舞台です。マン島で大きなトーナメントが開催されると話を聞いたのは全日本終了直後で、オーガナイザーとのやり取りをする中で、その条件の良さから参加を決めました。

この大会はレベルに応じて、Master、Major、Minor の3クラスに分かれています。Master の招待選手は少し変化があったものの、現在はオリンピアードで優勝したばかりのアメリカトップ3、Caruana、Nakamura、So の名前が挙げられています。他にも世界の名だたるGM たちが名前を連ねており、盛り上がることは間違いないでしょう。オーガナイザーは、ヨーロッパでもっともレベルの高いトーナメントを目指すことを、スローガンに掲げています。

Data: 10/1-10/9
Place: Douglas, Isle of Man
Style: Swiss System 9 Rounds
Time Control: 40 moves 100 minutes + 20 moves 50 minutes + 15 minutes + 30 seconds/move

詳しい大会の様子や、いつもの棋譜解説は、また現地からお届けできればと思います。この大会には日本から、Open に私、Minor になつみが2人で参加します。オリンピアードに続き、応援をよろしくお願い致します!

2016/09/25

Weekly Chess Puzzle Vol.29


Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday 2014 December GM(9)
Black to move


Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057)
Japan Chess Championship 2014(2)
White to move

オリンピアード最終戦をSlav で勝ったことで、また少し自分の中でSlav熱が上がってきました。過去に自分で指したSlav のゲームを最近は振り返っていますが、その中で面白いメイティングアタックが出てきた例を、今夜はご紹介します。ここまで駒が減っていても、意外とメイティングアタックはあるものですね。答えが分かった方は、いつも通りコメント欄にどうぞ。

2016/09/22

Club Championship 2016 Day2 Tournament Report


大盛況だったクラブ選手権 Photo by Hasegawa

21日に行われた、クラブ選手権2日目のレポートです。初日を1勝1敗1ドローだった私たち、東京バイリンガルチェスクラブB は、4R で大学生を中心としたSophia A と2勝2敗のドロー、5R で中学生を中心とした麻布学園チェスクラブB を3勝1ドローで下し、最終戦で上位テーブルに戻ってきました。最後は東京大学OB とのマッチで、私は久々に石原くんとの対戦になります。

Kojima, S - Ishihara, T
Club Championship 2016 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 e6 4. Bg2 Bb7 5. O-O Be7 6. d4 d5?!



オーソドックスなQueen's Indian になるかと思いましたが、石原くんはここでd7-d5 を突いてきました。かつて小林くんとも指したことがありますが、このタイミングでポーンを進めるのは良くないと私は考えています。6... 0-0 7. Re1 d5!? であれば、黒はe4 をがっちりと抑えることで、Rf1-Re1 を無効化できるため、悪くないタイミングでしょう。しかし本譜であれば、白は理想的なRf1-Rd1 をテンポロスすることなく指すことができます。

7. cxd5 exd5 8. Nc3 O-O 9. Bf4 c6 10. Qc2 Na6 11. Rac1 Rc8?!


これも白にとってはラッキーです。Bg2-Bh3 はどこかで指しておきたい1手です。

12. Bh3! Ra8 13. Rfd1 Re8 14. Ne5 Bd6 15. a3 Nh5 16. Qf5



ここは私はチャンスだと思い、f5 にクイーンを進め、f7 を狙いました。別のアイディアでは、16. e3!? Nxf4 17. exf4+/= と指して、e5 のナイトをしっかりとサポートするのも面白いでしょう。

17... Bxe5!


私はこのアイディアを軽視していました。黒はここで黒マスビショップを諦めても、いずれf7-f6 から取りかえすことができます。

17. Bxe5 g6 18. Qd7 Bc8?!



これは予想していましたが、黒にとってベストではありません。18... Re7! 19. Qxd8 Rxd8 20. g4 f6! 21. gxh5 fxe5=

19. Qxd8 Rxd8 20. g4!?


ここは悩みながらも、20. Bxc8 Raxc8 21. g4 f6 (21... Ng7 22. e4!) 22. gxh5 fxe5 23. hxg6 exd4 24. gxh7+ Kxh7 25. Rxd4+/= ではなく、本譜をチョイスしました。異色ビショップでも、a1-h8 のダイアゴナルを抑えられるのであれば、十分に勝つアドバンテージがあると考えたのです。

20... f6 21. gxh5 Bxh3 22. Bxf6 Rf8 23. Be5 gxh5 24. e4 Kf7!?



この手は私にとって予想外で、少し困ってしまいました。黒からはRf8-Rg8+ というわかりやすいスレットがあり、h5 のポーンも絶妙に働けるようになってしまいます。ここでのピースサクリファイスを正確に読めず、白はここからアドバンテージを手放すことになります。

25. exd5 Rg8+ 26. Bg3 cxd5 27. Nxd5!?


27. Rd3! h4 28. Rf3+ Ke8 29. Nxd5 hxg3 30. Nf6+ Ke7 31. Nxg8+ Rxg8 32. Rxg3+/= サマーオープンでの山田くんとの試合でもそうでしたが、私は2ピース vs. ルークの形勢判断が少し苦手です。2ポーンを取り、a6 のナイトがプレーに戻ってくるのを遅らせば、ルークを持つ白が有利であると判断できませんでした。ただし、もちろん本譜も悪くありません。

27... h4 28. Nc7 hxg3 29. Nxa6?!



ここも恐れず、2ピースvs. ルークにするべきでした。29. Nxa8 gxf2+ 30. Kxf2 Rxa8 31. b4!+/= このポジションの形勢判断もまだまだ難しいですが、本譜は少し黒にチャンスを与えすぎです。

29... gxf2+ 30. Kxf2 Rg2+ 31. Kf3 Rxb2


マテリアルはイコールですが、黒の一番困っていたa6 のナイトを捌かせてしまい、ビショップvs. ナイトの構図にしてしまいました。この時点でチームの負けはほぼ決まっていましたが、個人賞のためにはこれを勝ちにいかなければいけません。

32. Rc7+ Kf6 33. Rdc1 Rb3+ 34. Kf4 Bg2 35. R1c3 Rxc3 36. Rxc3 Rd8 37. Ke3 Rd7 38. Rc7



ルークを残してプレーするのはリスクが高いと判断し、ビショップvs. ナイトのエンドゲームにします。キングサイドのポーンマジョリティーは抑えられるので、問題はdファイルのパスポーンが働くかどうかです。

38... Ke7 39. Kf4 Bf1 40. Rxd7+ Kxd7 41. Nb4 Kd6 42. Ke4


ナイトを安定した状態で、相手キングを制限するためには、e3 まで持ってくることのがベストだと判断しました。しかし、すぐにNb4-Nc2-Ne3 とすれば、キングがf4 から動けず、クイーンサイドのポーンマジョリティーを止めに行けません。そこで私はキングをd3 まで運べるようにしたうえで、ナイトをe3 に切り替えることにします。

42... a5 43. Nc2 Bg2+ 44. Kd3 b5 45. Ne3



これでクイーンサイドのポーンは抑えつつ、黒キングが近づくことを防げているので、負けはなくなったと思いました。ここから勝つチャンスを作り出すアイディアをひねり出そうとします。

45... Bh3 46. Ke4 Bc8


このポジションで勝ちにいくならば、d4-d5 を突くしかないと思いました。しかしこのタイミングでd4-d5 を実行した場合、Kd6-Kc5 の後でクイーンサイドのポーンとdポーンの勝負がどうなるか、残り少ない持ち時間で読み切ることができませんでした。そこでもう少しキングを動かしながら、機を伺うことにします。

47. Kd3 Be6 48. Kc3 Bh3 49. Kd3 Be6 50. Kc3 Bh3 51. Kd2 Bd7 52. Kc2 Be6 53. Kd3 Bc8 54. Ke4 Bb7+ 55. d5!?



私はここで負けも覚悟しながら、d4-d5 を実行します。先ほどと違うのは、黒がビショップをc8 から動かしているため、d7 を抑えるためにはもう一度、Bb7-Bc8 と手を使わなければいけない点です。これならば白にチャンスはあると考えました。

54... Bc8!?


結論から言えば、この手でもドローですが、私は54... Kc5 を警戒していました。55... Kc5 56. Ke5 b4 57. axb4+ axb4 58. d6 Bc8 59. Nd1 b3 60. Nb2 Bd7 61. Nd1 Kc6 62. Nb2 こうなればお互いにパスポーンをブロックしあい、進展がなくドローになるでしょう。

56. Kd4 Bh3 57. Nd1 Bd7



黒にとって最もシンプルなのは、57... Bg2 58. Ne3 Bh3= と指すことでしょう。後ろからd5 のポーンを狙えば、白はc3 にナイトを回す暇をえられず、すぐにドローです。

58. Nc3 b4 59. axb4 axb4 60. Ne4+ Ke7 61. Kc4 Bf5 62. Ng3 Bb1!


この手以外、黒はドローに持ち込むことはできません。d5 までポーンを進め、d4 にキングを置き、チェックで黒キングを遠ざけるという理想的な条件まで作っておきながら、ドローになってしまうことに気付いて少し落ち込みましたが、それでもここまでやってみて良かったと思います。とても勉強になりました。

63. Kxb4 Kd6 64. Kc4 Ba2+ 65. Kd4 Bxd5 66. Nf5+ Ke6 67. Ng7+ Kf7 68. Kxd5 Kxg7 1/2-1/2



私と2B がドローで、東京大学OB には3-1 での負けです。私自身、個人賞を逃したのは残念ですが、チームメイトの子供たちは、全員が2P 以上を獲得してレイティングを稼いでいます。みんな、頑張りましたね!


今回のチームメイトたちです。中学生、大学生、そして社会人チームを相手によく健闘しました。これまで麻布や慶應のメンバーでチームを組むことが多かった私にとって、今回のクラブ選手権は新鮮で、とても楽しいものになりました。


上位入賞はトップシードに近いチームが埋めました。桑田くんが率いる慶應OB-C が今年こそ優勝かと思いましたが、最終戦でそのチームを破った大阪が5P。そして4勝2ドローと安定した強さを見せた麻布OB-A、慶應OB-C に負けた以外、全勝の麻布OB-B が5P で並びました。タイブレークの順は、麻布OB-B、大阪、麻布OB-A となっています。みなさん、おめでとうございます!

今年のクラブ選手権は、31チームがエントリーし、130名を超えるプレーヤーが会場に集うこととなりました。日本最大のトーナメントとなったクラブ選手権は、来年も今年以上に盛り上がることが期待されます。私もチーム編成はどうなるかわかりませんが、また来年もどこかのチームで参加したいと思います。それではまた、次のトーナメントでお会いしましょう!

2016/09/18

Club Championship 2016 Day1 Tournament Report


今日から2日間は、蒲田で開催されているクラブ選手権に参加しています。日本で唯一のチーム戦であるこのイベントは、終了したばかりのオリンピアードと形式は似ています。最大6人で1チームを組み、毎ラウンド4人ずつを出して試合をします。私は今回初めて、東京バイリンガルチェスクラブから、子供たちと組んで出場することにしました。初戦はトップテーブルで、優勝候補チームとの対戦です。

Baba, M - Kojima, S
Club Championship 2016 (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nh3!?



ナイトがNg1-Nh3-Nf4 と飛ぶ変化は、3年前のチーム戦で塩見さんに指されています。e6 へのサクリファイスを気にしつつも、しっかりと指せば黒に問題のない変化です。

7... e6 8. Nf4 Bh7 9. Bc4 Nf6 10. c3 Nbd7 11. Qe2 Bd6


ここは少し時間をかけ、11... Nb6 と迷いつつも本譜の手を選びました。e6 を守る11... Qe7 も指されているようですが、黒は面白くないでしょう。

12. Ngh5



12. Bxe6 fxe6 13. Nxe6 Qe7 14. Nxg7+ Kf7 15. Qxe7+ Bxe7 16. N7f5 Bxf5 17. Nxf5 Rae8-/+ と進む変化は、黒大丈夫です。3ポーンピースですが、白のポーンが脅威になる気配は感じません。

12... O-O 13. O-O?!


ここは13. Nxf6+ Nxf6 14. Bd2 と指し、クイーンサイドのキャスリングも視野に入れたほうが良かったと思います。

13... Nxh5!?


過去の実践例とコンピュータの評価を見ると、13... e5! 14. dxe5 Nxe5 15. Nxf6+ (15. Bb3 Nfg4! 16. g3 Re8-+) 15... Qxf6 16. g3 Rfe8-/+ と指したほうが、白にとって厳しかったようです。確かにこうしてみれば、白は展開が遅く、e2 の位置にいるクイーンが不安定で、黒にはっきりとしたアドバンテージがあることがわかります。

14. Qxh5 Nf6 15. Qf3 Nd5 16. Bxd5?



Caro-Kann Classical の面白いところなのですが、黒はビショップのペアを失っても、固いポーンストラクチャーで満足に戦うことができます。しかし、白は片方のビショップ(特に白マスビショップ)を失ってしまうと、途端に白マスの弱さが浮き彫りとなります。私と馬場さんにとって予想外だったことは、16. g3! Qf6 17. Be2! Nxf4 18. Bxf4 Bxf4 19. Qxf4 Qxf4 20. gxf4= と進めた形が、白大丈夫であることです。確かに、白のポーンストラクチャーは乱れていますが、黒はそれをアタックしたいピースをほぼ捌いてしまっています。ポーンストラクチャーを乱すか、白マスビショップを手放すかで、馬場さんは間違えたチョイスをしてしまいました。

16... cxd5 17. Qh3 Qf6 18. Nh5 Qg6 19. Bf4 Be7!


ビショップのペアをもらった直後、簡単に駒得のチャンスが訪れました。これでh4 のポーンは守れません。

20. Ng3 Qf6 21. Ne2 Qxh4-+



ビショップのペアを持ち、ポーンアップにもなった黒は、ゆっくりとクイーンサイドで手を作っていけば問題なく勝てると判断できます。

22.Qe3 Rfc8 23. Rfe1 b5 24. a3 a5 25. Rec1 Qg4!?


マイノリティーアタックをいきなり仕掛けるのではなく、b5-b4 を見せておきながら、クイーンを白マスで使えるようにしておきます。

26. f3 Qg6 27. Qe5 Rc6 28. Qe3 Rac8 29. Re1 Qc2 30. b4 axb4 31. axb4 Bf6 32. Ra7 Bd3!



これでc3 のポーンを落とせば、黒の勝ちは決まりです。

33. Be5 Bxe5 34. Qxe5 Bxe2 35. Rxe2 Qxc3 36. Re3 Qxb4 37. Qf4 Qb1+ 38. Kh2 Qg6 39. Rb7 Rc2 0-1


チームは敗れましたが、昨年この大会で敗れた馬場さんにきっちりお返しができました。今日は3試合をして私は3連勝、チームは1勝1敗1ドローとなっています。私は個人賞を狙って、2日目の明日も頑張ります!

2016/09/17

Baku Chess Olympiad Closing Ceremony and Departure


オープンチームは、1位アメリカ、2位ウクライナ、3位ロシアでした。

バクーでのオリンピアードを終え、帰国して2日が経ちました。今夜の記事を最後として、オリンピアードについては終わりにしようと思います。

メキシコ戦を勝利で飾った私たちは、その日のうちに行われたクロージングセレモニーへと出席します。このブログでは日本チームの戦績ばかりで、トップ争いについては触れてきませんでしたので、上位がどうなったか、知らなかった人もいるかもしれません。オープンチームはアメリカとウクライナが最後まで競り、ぎりぎりでアメリカの優勝となりました。Caruana、Nakamura、So とスーパースター軍団の揃ったアメリカでしたが、30年ぶりとなるオリンピアード優勝です! Nakamura Hikaru が世に知られるようになってから10年以上経ち、Caruana とSo の加入で、アメリカも今度こそという思いがあったでしょう。Ivanchuk 抜きのウクライナも、5B のVolokitin の活躍もあり、よくここまで食い下がったと思います。

私たち日本チームは、メキシコ戦に勝った影響で大きく順位を上げ、スタートは97位ながら、全体で68位、Cクラスで5位という好成績でのフィニッシュとなりました。60位台のフィニッシュは、参加国が100か国を超えるようになったこの20年では初めてで、過去最高の順位と考えて良いでしょう! 格上からは白星が奪えず、やきもきすることもありましたが、最終戦で自分の仕事ができ、チームの順位のアップに貢献できたことは、とても嬉しく思います。

Baku Chess Olympiad Open Final Ranking


女子は中国、ポーランド、ウクライナの順位となっています。最終戦で中国 - ロシアという見ごたえのあるマッチとなり、2.5-1.5 でロシアを振り切った中国が優勝を決めました。Hou Yifan はラトビア戦で2200台に敗れる波乱がありましたが、その後は持ち直して星を重ねました。4,5B でも個人金メダルとなれば、中国の優勝は当然でしょう。

日本の女子チームは後半戦、3連勝後の連敗で、最終順位はスタートと同じ96位となりました。個人の課題は色々と見えたと思いますが、それでもタイトル保持者を2人出したのは、私の知る限り今回が初めてで、喜ぶべきことでしょう。次のオリンピアードは、どういったメンバーになるかまだわかりませんが、またそちらも期待したいですね。

Baku Chess Olympiad Women Final Ranking


一夜が明け、バクーを出る最終日は、朝から一部のメンバーでフレームタワー内のフェルモントホテルへと足を運んできました。日本チームは今回のオリンピアードで、山田くんがFM、星野さんがWFM、なつみがWCM のタイトルを新たに獲得しており、その証明書を取得できると聞いたためです。しかし、実際にはIM, GM などのノーム獲得者の証明書を発行していたようで、私たちには用のない場所でした。しかし、せっかく足を運んだので、19階からバクーの街並みを見ていくことにします。カスピ海沿いに広がる美しいバクーは、これまでオリンピアード訪れた都市の中でも、また来たいと思う気持ちの強い場所になっています。


午後は休憩日にパスをした、カーペットミュージアムへと行ってみることにします。バクーの観光名所の一つであるカーペットミュージアムには、古いものから新しいものまで、バクーの名物である絨毯が展示されており、実際に織る様子も見学することができます。


私にとって6回目となるオリンピアードでしたが、今は無事に終えることができて一安心です。個人的にはオリンピアードでの初めての勝ち越し、わずか1ではありますが、レイティングもプラスで終えることができたことを、上記のチームの最終順位とあわせて嬉しく思っています。その反面で、オリンピアードに臨む前の準備が、チームとして十分だったか疑問もあるため、また次のオリンピアードの日本チームをより良くするために、色々と考えていきたいと思います。次回、2018年のオリンピアードは、ジョージアのバツミでの開催となります。またそれに向けてこつこつと力をつけていきたいですね。

明日から始まるクラブ選手権では、多くのプレーヤーと会うことになると思いますので、そこでもオリンピアードの土産話ができればと思います。それではこれで、オリンピアードの記事をすべて終わりにしようと思います。2週間以上、日本チームを見守っていただき、本当にありがとうございました!

2016/09/16

Saturday Lecture on 24th September 2016


【日時】 2016年9月24日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Instructive Games in Baku Chess Olympiads
【テーマ詳細】

つい先日、世界トップクラスのGM たちが集まるチェスオリンピアードが、アゼルバイジャンのバクーで開催されました、アメリカが30年ぶりに劇的な優勝を果たしましたが、その陰には様々な名勝負とドラマがあります。そこで2か月ぶりの池上でのレクチャーは、終わったばかりのバクーでのチェスオリンピアードから、厳選したゲームをご紹介しようと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

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