2日遅れの更新です。今年の東京オープンは、2日目に私、3日目に南條くんを破り、圧巻の6連勝を果たしたTuさんの優勝に終わりました。彼は自身の優勝について、2人のIM はまだ私のスタイルに対応できていないだけと謙遜していましたが、例えそうだとしてもここまで連勝が伸びるのは驚きです。Tuさんは来年の夏まで日本に滞在される予定だそうなので、今後も日本の大会で対戦できることをとても楽しみにしています。優勝したTuさんを含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!
1st Place Tran Thanh Tu 6/6 (CM, VIE, FIDE 2290)
2nd Place Aoshima Mirai 5/6 (JPN, 2398)
3rd Place Nanjo Ryosuke 4.5/6 (IM, JPN, 2441)
4th Place Kojima Shinya 4.5/6 (IM, JPN, 2465)
5th Place Ishii Ichiro 4.5/6 (JPN, 1944)
2位に入ったのは、2R で木下さんに負け以外、5勝の青嶋くん。前回大会のJapan League では、私やZao Xue からドローを取りながら、惜しくも入賞を逃し、クラブ選手権は病欠でしたので、久々の入賞です。南條くんと私は最終戦でドロー。タイブレークで南條くんが上の順位となりました。そちらの試合をご紹介しておきます。
Kojima, S (IM, JPN, 2465) - Nanjo, R (IM, JPN, 2441)
Tokyo Open 2015 (6)
1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. d4 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nbd7 7. Nc3 e5 8. e4 c6 9. h3 Qb6 10. Re1!?
前回のJapan League での対戦では、
10. c5!? のギャンビットで勝負にいきましたが、今回はもう少し大人しいラインをチョイスします。
10... Re8 11. Re2 Qb4 12. Rc2!?
白はこうしたユニークなアイディアで、c4 のポーンを守ります。最近、このラインは黒が勝つゲームがでてきており、私の研究でも白に明確なアドバンテージがあるのか自信がなくなってきましたが、色々と考えすぎる前に指してみることにします。
12... exd4 13. Nxd4 Nc5 14. a3?!
私はここで手を忘れてしまい、何を指すか熟考しますが、この手はイマイチだったと思っています。
a2-a3 はb3 にマスができ、黒からの
a7-a5-a4 に対処しづらくなるのですが、どうしても
Bc1-Bd2 を決断できませんでした。
14. Bd2! Qb6 (14... Qxc4? 15. Ncb5! 恥ずかしながら、d4 の浮いたナイトを守りながらディスカバードアタックをかけるこの手が見えておらず、
14. Bd2 を諦めたのでした。)
15. Be3 Qc7 16. f3 a5 このポジションは形勢不明ですが、うまく形を整えていけば、長期的には白にチャンスが出てくるのかもしれません。
14... Qb6 15. Be3 a5 16. Nde2 Qc7 17. Bxc5 dxc5 18. f4
f2-f3 を指してe4 を守るアイディアは、g3 のポーンが弱くなることを気にしました。(まさに直前のラウンドは、同様の形で、そこをついて黒で勝っています。) そこでビショップとナイトを交換しても、
e4-e5 からの、黒の黒マスビショップ抑え込みを狙います。
18... Be6 19. e5 Red8
これはなるほどと思いました。
e4-e5 を伸ばしている白は、次に
Nc3-Ne4 と指してくることが明らかです。そこで
Ne4-Nd6 とされても大丈夫なように、aファイルのルークではなく、eファイルのルークを回しておくというわけです。
20. Qe1 Ne8 21. Ne4 b6?
しかし、試合中は分からなかったものの、これが南條くんの緩手でした。黒としては、
21... f6! 22. Nxc5 Bf5-/+ と指し、c5 を見捨てても、e5 を崩して黒マスビショップをアクティブするほうがベターです。本譜の
b7-b6 には、c6 のポーンを弱めてしまうという弱点もあります。
22. g4!
この手には、とても時間と神経を使いました。黒が閉じ込められたビショップと、退いてしまったナイトをゲームに復帰させるためには、
f7-f6 が必要になります。私はそれを止める方法を模索しましたが、
Qe1-Qc3 も、
Ne4-Ng5 も上手くいかないため、
f7-f6 はあえて突かせ、
Qe1-Qh4 から黒キングにプレッシャーをかける作戦を思いつきました。
22... f6 23. Qh4 Qf7 24. Re1!?
ここも色々と考えましたが、センターポーンが崩れた際、ルークが働きやすいのはeファイルだと判断しました。
24... h6!
これはポーンが落ちるのではないかと一瞬目を疑いましたが、丁寧に読んでみれば、黒のアイディアも理解することができました。ここは無理をせず、誘いに乗ることにします。
25. exf6 Nxf6 26. Nxf6+ Bxf6 27. Qxh6 Bg7 28. Qg5 Bf6 29. Qh6 Bg7 30. Qg5 Bf6 1/2-1/2
ここで3回同一局面を指摘し、ドローで決着がつきました。白が勝負するためには、
30. Qh4 と退かなければいけませんが、g6 のポーンにプレッシャーをかけられなくなれば、c4 を取られた後で、b2 のポーンも取られてしまい、黒が優勢になるでしょう。それは白で受け入れられないため、ここでドローを選択しました。
大会後はまだ見ぬ店を探して蒲田駅西口を練り歩きました。東口のエベレストは、今年になってよく利用するインド、ネパールレストランですが、西口にもシャングリラという美味しいお店を発見です。
次は私は今週末に、名古屋で開催される
中部快速オープンに参加します。エントリーリストを見ると、少しずつ参加者は増えてきているようですね。さらに飛び込みのエントリーがあり、盛り上がることを期待しています。今回の東京オープンは、優勝まで1歩足りませんでしたので、今週末は頑張って、今期2回目の名古屋優勝を狙ってこようと思います!