2018/07/17

Summer Open 2018 Day2 Tournament Report


今年のサマーオープン入賞者たち

サマーオープン2日目も無事に昨日終わりました。オープンクラスの入賞者は蓋を開けてみればリスト上位4名で、私が少しリスト順位から落ちたのみでした。入賞だけでなく、参加者の皆さん、2日間に試合お疲れ様でした。

1st Place Tran Thanh Tu 6/6
2nd Place Baba Masahiro 5/6
3rd Place Aoshima Mirai 5/6
4th Place Kojima Shinya 5/6


Tuさんは2日目も全勝で乗り切り、2位以下に1P差をつけての優勝となりました。馬場さん、青嶋くんはTuさんに負けのみで残り5試合を勝ち、私は2ドローで上位3名とは当たらずに5Pです。私の2日目の試合は全てエンドゲームに入り、タフなゲームが続きました。


Kojima, S (IM, JPN, 2497) - Nakamura, N (JPN, 2215)
Summer Open 2018 (4)
Position after 32... Re7

33. Bh6! Bg7 34. Bxg7+ Kxg7 35. Rf7+ Rxf7 36. Rxf7+ Kg8 37. Rc7?!


ここで何を指すか悩みましたが、時間のない中で不正確な手を選んでしまいました。37. e7 Ne5 38. Rf6 Ng6 39. Rxg6+ (この手はなぜか検討戦で見落としていました。) 39... hxg6 40. Bxg6 b5 41. e8=Q+ Rxe8 42. Bxe8 bxa4 43. Bxc6 a3 44. Bd5+ Kg7 45. Kg2 Kf6 46. Kf3 Ke5 47. Bb3 Kd4 48. Ke2 c4 49. Ba2 c3 50. Kd1 Ke4= この変化は白にチャンスがありそうに見えましたが、黒はキングを上手く使ってドローに持ち込むことができます。 他には37. Rb7!? Ne5 38. e7 Ng6 39. Bxg6 hxg6 40. Rxb6 Kf7 41. Rxc6 Rh8+! 42. Kg2 Rh5! 43. Rxg6 Kxe7= この変化もドローです。ただしどちらも黒が気を付けて指さねばならず、実際には決着がつく可能性もあるでしょう。

37... Ne5 38. e7 Ng6 39. Bxg6 hxg6 40. Rxc6 Kf7 41. Rxb6 Rc8!



当然の1手です。aポーンを取る時間が無いのは誤算で、これは負けを覚悟しました。

42. e8=Q+ Kxe8 43. Rxg6 c4 44. Re6+ Kf7?


黒キングはcポーンのサポートとaポーンへのアタックのため、クイーンサイドに向かうのが正確です。このミスによって黒は勝ちのチャンスを失ってしまいました。

45. Re1 c3 46. Kg2 c2 47. Rc1 Rc3 48. Kf2 Ke6 49. Ke2 Ra3 50. Rxc2 Rxa4 1/2-1/2



eファイルのパスポーンの力がどれくらいなのか、判断の難しいゲームでした。続く松本くんとのゲームも序中盤で上手く指せず、ドロー模様のエンドゲームになったはずでしたが...


Matsumoto, Y (JPN, 2036) - Kojima, S (IM, JPN, 2497)
Summer Open 2018 (5)
Position after 20.Ng3

20... Re8!? 21. Nxf5 gxf5


ここはポーンストラクチャーを崩しても勝負することにします。fファイルのダブルポーンは悪い形に見えますが、e4 にナイトが跳んでこないように抑えることで、最大の弱点であるd6 をカバーする役割を果たします。

22. f3 Ne3 23. Rd2 Re5 24. Rde2 Rae8 25. Nf4 b6?



私はe3 に潜り込んだナイトを強い、松本くんは帰る場所がないために弱いと判断してこの局面になりました。白のナイトは当然f4 に跳んでg2 とd5 を守るものだと思っていましたが、私は次のNf3-Nd3-Nxc5 を気にしすぎました。白の狙いはもっとシンプルに、b2-b3 の後でキングを上げてe3 のナイト狙うことです。25... Kf8! 26. b3? (26. Nd3 R5e7 27. Nxc5 dxc5 28. d6 Re6 29. d7 Rd8 30. Rxe3 Ke7!= この1手は少し見つけづらいです。) 26... Nxg2! 27. Rxe5 Nxe1!-/+ この変化のようにRxg2 がチェックにならないようにキングをf8 に避ける手は考えてはいたものの、e1 のルークを取るアイディアを見落としていて、g2 取りが成立するのはf4 のナイトがどいた後のみだと勘違いしていました。これならばe3 のナイトはトラップになることはありません。

26. b3 c4 27. Kd2?!


ここは焦りすぎです。27. c3! b5! 28. Kd2 b4! 29. cxb4 c3+ 30. Kd3 Nxd5 31. Nxd5 Rxd5+ 32. Kxc3+/- ならば本譜と似ていますが、白がポーンアップしていて明確に白優勢です。

27... c3+! 28. Kd3 Nxd5 29. Nxd5 Rxd5+ 30. Kxc3 Rc8+ 31. Kb2 Kg7 32. c4?!



なんとかナイトを落とさずに捌きましたが、まだポーンストラクチャーの悪い黒が気を付けて指さなければいけません。c2-c4 はd4,d3 のマスを弱め、黒の孤立したdポーンを捌くチャンスを与えてしまいます。

32... Rd4 33. g3 Rd3 34. Rf2 d5 35. cxd5 Rxd5 36. Re3 Kf6 37. f4 Rd1 38. Rg2 Rcd8 39. Kc3 R8d4 40. Rg1 R1d2


黒は主な問題を解消しましたが、それでも勝つのは難しい状況です。しかし決定的なミスが白に出ます。

41. a4 b5 42. axb5 axb5 43. b4 Rd5 44. Ra1 R2d4 45. Ra6+ Kg7 46. Rb6 Rc4+ 47. Kb3 Re4 48. Rc3 h5 49. Rb7 Re2 50. Rdd2 51. Rc2??



ルークを交換する際は、ポーンエンディングの結果がどうなるかまで計算しなければいけません。

51... Rxc2 52. Rxc2 Rxc2 53. Kxc2 Kf6 54. Kc3 Ke6 55. Kd4


55. Kd2 Kd5 56. Kd3 f6!-+ があってツークツワンクです。

55... Kd6 56. Kd3 Kd5 57. Kc3 Ke4 58. Kb3 Kd4 0-1



最後はAsaka Samuel くんとのゲームです。昨年、海外から強い中学生が移籍してきたと聞いて彼のプレーは見続けていましたが、対戦は今回が初めてです。彼にとっても国内のレイティングを2100に乗せて初めての大会でした。


Asaka, S (JPN, 2153) - Kojima, S (IM, JPN, 2497)
Summer Open 2018 (6)
Position after 30.Ra2

30... Nb8! 31. Rc2 Rxc2 32. Qxc2 Nc6!


cファイルでルークとクイーンを交換してドロー一直線とはせず、勝負にいくならクイーンは残してナイトを組み変えます。白はa3-a4 を突いてしまったせいでb4 のマスが弱く、黒はそれを利用してチャンスを作りにいきます。

33. Nc1 Qd8 34. Na2 h5 35. Be1? f4!



b4 を守りにビショップが退く手は予想しており、ここがチャンスだと思いました。根元のe3 を崩すことでd4 を弱め、一気にポーンをバラバラにします。

36. Bd2 Qb6 37. Nc1 Bf6 38. Bg6 fxe3 39. Bxe3 Bxd4 40. Bxe8 Bxe3 41. Qg6?


互いに時間切迫の中で白に痛いミスが出ます。黒がすでに有利なのは仕方がありませんが、ここはじっと耐えるしかありません。黒にはぴったりのディフェンスがあるため、クイーンの飛び込みは役に立たないのです。

41... Ne5 42. Qc2 Qd4+



試合後の検討で42... Bh6! 43. Ne2 Qf2!-+ を見つけて、わかりやすく黒が勝ちであると気付きました。本譜でもそうですが、g1 をナイトで守られても攻撃できる手筋を黒は見つけなければいけません。

43. Ke2 Bf4 44. Kf1 Bxh2


44... Qe3! 45. Ne2 Nd3!-+ は見つけるべきでした。h2 を取るよりも、c1-h6 のダイアゴナルに利かせておくほうがビショップは仕事をします。

45. Ne2 Qe3 46. Bg6 Nc6 0-1



最後はSamuel くんがh5 のポーンを取ったものの、時計を推し損ねて時間が切れて負け。黒はビショップを組み直して大きく優勢ですが、まだ決定的な勝ちではないためもったいない負けでした。

なんとかこの最終戦を勝って5Pグループに滑り込みました。昨年は初戦でフランスのプレーヤーに負けたものの、最後に南條くんと当たる1B まで上がりましたが、今回はそれもなく、やや消化不良です。なかなか思うような指しまわしができない中で結果を拾えたのは収穫だと思いつつ、次の大会ではもう少し内容もついてくるように修正したいと思います。


試合後はフランスからの一時帰国組と、京急蒲田近くの海鮮料理のお店へ。私が頼んだこぼれ寿司はこのボリュームで何が何やら(笑)


そして意外なイベントとして、マジシャンが席まで足を運んでくれて目の前でマジックを披露してくれました。自分のサインを入れたトランプが、束の中から一番上へ、かと思えばポケットの中へ。そして極めつけは、未開封のペットボトルの中から現れました! 心くんも円造くんも、フランス帰国直前に良いお土産ができたようです。

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