カペル3日目は1日2試合のハードスケジュールです。私は午前中の試合、1800のプレーヤーに勝ち、2.5/3 でようやく中継ボードに上がってきました。一昨年は同じ2.5/3 で、まだ下のプレーヤーとの対戦だったため、今年は上位勢との対戦が早く叶っています。6番ボードで対戦するのはブルガリアのGM Dimtrov です。試合前に調べる時間はあまり取れませんでしたが、King's Indian を中心に様々なFianchetto のオープニングを使うことは把握していました。
Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Dimtrov, R (GM, BUL, 2519)
Cappelle la Grande 2020 (4)
1. Nf3 g6 2. d4 Nf6 3. c4 Bg7 4. g3 d6 5. Bg2 Bf5!?
Cappelle la Grande 2020 (4)
c7-c6 やNb8-Nc6 との組み合わせでは経験がありましたが、このタイミングでのビショップの展開は初めて見ます。Nf6-Ne4 の跳び込みから、ナイト交換を許すかどうかが最初のポイントです。
6. Nc3 Ne4 7. Nxe4
7. Nd5!? とかわし、Nd5-Ne3 からビショップを攻撃するアイディアもありました。e4 でのナイト交換は悪くありませんが、黒はc7-c6 を保留していたために、c7-c5 を一気につくことができます。
7... Bxe4 8. O-O O-O 9. Be3 c5 10. Qd2 Qb6 11. Rad1 Nc6
d4 への攻防を中心にお互いピースの位置を決めていきます。ポーンを交換して開く展開は、黒ルークがdファイルに回ることになり、d4 のマスを抑えられる危険があるため、なるべくやりたくありません。ここは閉じてセンターを勝負です。
12. d5 Nb4 13. a3 Nc2 14. Bh6?!
b2 がすでに問題になっていることは覚悟していましたが、ビショップ交換から黒キング周りを薄くすればチャンスは有ると思っていました。実際には、14. Bg5!? としてe7 をすぐに攻撃するほうが良かったようです。
14... Qxb2?
しかし、相手にもミスが出てゲームは面白くなってきます。b2 取りにはRd1-Rb1 からb7 への反撃で勝負するつもりでしたが、さらに白には良い変化があります。14... Bxh6! 15. Qxh6 Bxf3! 次のNf3-Ng5 を止めるためには必要な手ですが、これで白から反撃のチャンスが減り、黒はポーンアップ+グッドナイトで十分に良いでしょう。
15. Rb1 Qxa3
15... Bxh6 16. Rxb2! Bxd2 17. Nxd2 Bxg2 18. Kxg2+/- これは白が良くなると読んでいました。d2 に退いたナイトがぴったりとc4 を守っているため、Nc2-Nxa3 も怖くなく、黒のナイトはd4-f5 と逃げていくほかありません。その間に白はb7 を取りかえせば優勢でしょう。
16. Bxg7 Kxg7 17. Rxb7?!
ここはポーンを取りかえしたうえ、7段目の利きで勝負するのが自然だと思いました。しかし、ここで大きなチャンスを逃しています。17. Ne1! なんとc2 のナイトを取った際にa3 のクイーンに当たるため、これが有効なディスカバードアタックになっています。 17... Ne3 18. Bxe4 Nxf1 19. Kxf1+/= 黒はせめて2ピースvs.ルークにするしかありませんが、これは2ポーン無くとも白が指しやすいでしょう。
17... Nb4!?
単にe7 をどちらかのルークで守ってくると思っていたので、少し予定外の手が来ました。いずれにせよ、私の作戦は変わりません。
18. Nh4!? Bxg2 19. Kxg2 Rae8?!
e7 を取るよりも、ビショップナイト交換を避けてナイトをh4 に跳ばすのが私の頭にあったアイディアで、Nh4-Nf5 と併せてじっくりとe7 を狙いにいきます。しかし、本譜とは逆のルークで守られた際は意外と難しく、19... Rfe8 20. Qg5 Kf8! という予想外の手がありました。h6 のマスにクイーンが入ってチェックすると、Nh4-Nf5 が狙いにならず、思うように黒マスを攻められません。
20. Rxe7!
20. Qg5 もありますが、難解な変化にするよりもここはパペチュアルチェックで十分と判断し、すぐにポーンを取ります。
20... h6!?
相手がドローを拒否するならばこの手だろうと思っていました。20... Rxe7 21. Nf5+ gxf5 (21... Kf6 22. h4!) 22. Qg5+ Kh8 23. Qf6+ Kg8 24. Qg5+ ならばパペチュアルチェックでゲームは終わります。
21. Rd7 Rd8 22. Rb7 Rb8 23. Rd7 Rfd8 24. Rc7
24. Rxf7+ Kxf7 25. Qf4+ もせいぜいパペチュアルチェックしかないため、ルークを捨てるリスクを冒す必要はありません。また黒としても、白のルークを7段目に残すと次のQd2-Qf4 が危険なため、ルーク交換を持ち掛け続けるしかありません。
24... Rbc8 25. Rb7
白から勝負にいくとすればルーク交換で、そのタイミングはこのcファイルでぶつかったときでしょう。ただ、25. Rxc8 Rxc8 26. Qf4 Rd8 と進んでも白が有利だとは思えず、ここはドローで満足することにします。
25... Rb8 26. Rc7 Rbc8 27. Rb7 1/2-1/2
序盤、少し失敗したと思っていたので、この展開であれば満足です。今日はずいぶん下との対戦になったので、しっかり勝って3つ勝ち越し状態でまた上との対戦を迎えたいところです。もちろん油断は禁物です!
R1 Nilssen, E (WFM, DEN, 2065) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1/2-1/2
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Cappon, J (FRA, 2087) 1-0
R3 Primel, D (FRA, 1893) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Dimtrov, R (GM, BUL, 2519) 1/2-1/2
R5 Mallevaey, A (FRA, 1714) - Kojima, S (IM, JPN, 2397)
Cappelle la Grande 2020 R5 Pairings
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