2020/02/27

Cappelle la Grande 2020 Day5


カペル5日目は初のGM連戦でした。午前9時からのゲームは、アゼルバイジャンの若いGM Sadikhov が相手です。4R 同様、King's Indian系になることを予想して試合に臨みました。

Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Sadikhov, U (GM, AZE, 2496)
Cappelle la Grande 2020 (6)

1. Nf3 g6 2. d4 Bg7 3. c4 d6 4. g3 Nd7 5. Bg2 e5 6. O-O Ne7 7. Nc3 O-O 8. e4 exd4 9. Nxd4 Nc6 10. Nde2 a5 11. Rb1



オープニングはModern Defence の一変化で、何回か指した経験があります。ポーンストラクチャーはKing's Indian なのですが、黒のナイトの位置が違うため、早いf7-f5 を気を付けておく必要があります。

11... Nc5 12. Be3 Ne5 13. b3 f5?!


このタイミングは少し早すぎると感じました。単純にf5 を取る手はb1 のルークがターゲットになってしまいますが、白には上手い切り替えしがあります。

14. Bxc5!



一般的にc5 でのビショップナイト交換は、将来的な黒マス、特にd4 のマスを弱めてしまうためにリスクがあります。しかし、ここではそうした黒マスを利用される前に白が展開の早さを活かし、主導権を握れると考えました。

14... dxc5 15. Qxd8 Rxd8 16. Rbd1 Bd7


16... Rf8 と避けてくると思っていたので、この手は少し意外でした。いずれにせよ、白はa8-h1 のダイアゴナルを開いて駒得を狙います。

17. exf5 Bxf5 18. Bxb7 Rxd1 19. Nxd1!?



19. Rxd1 とルークで取りかえすほうが自然にも思えますが、c3 のナイトが黒マスビショップの脅威にさらされ続け、e2 のナイトが動けないことを気にしました。

19... Re8 20. Bd5+ Kh8 21. Ne3 Nd3


21... Bd3 22. Re1 という展開を予想していましたが、これでも白の優位は揺るがないでしょう。本譜では、Nd3-Nb4 の狙いにどう対処するかがポイントです。

22. Bc6!



これがシンプルながら良い手です。黒ルークがeファイルから外れればe2 のナイトが安全になり、8段目から外れればバックランクが弱くなるため、Rf1-Rd1 が指しやすくなります。

22... Rb8 23. Nxf5 gxf5 24. Rd1 Ne5


ナイトは当初の予定通りにb4 にいく手もありそうです。24... Nb4 25. Ba4! Nxa2 26. Rd5+/- それであれば、a2 は見捨てながらもb3 をきっちり守り、別のポーンを取り返すつもりでした。

25. Ba4!?



白マスビショップの位置は難しいところですが、黒の白マスビショップを消すことに成功したため、黒のNe5-Nf3+ はさほど怖くないだろうと判断しました。a4 に退くポイントは、黒からのa5-a4 をストップし、e8 のマスを抑えて続けて黒ルークがeファイルに戻れないようにすることです。

25... Bf6 26. Nf4 Nf3+ 27. Kg2 Nd4 28. Re1!


dファイルをふさがれても、eファイルにルークを切り替えれば白はさらなる駒得を目指せます。

28... Kg7 29. Nd3!



d5 も良さそうなマスですが、c5 のポーンという具体的なターゲットがあるマスはこちらです。この時にBf6-Be7 ができないことも、Rd1-Re1 のポイントです。

29... Nc2 30. Re6 Rd8 31. Nf4!


c5 のポーンを取る手が魅力的に見えますが、黒のRd8-Rd2 からの抵抗を抑え込むには、ポーンを取るよりキングを直接攻めるほうが有効です。Nf4-Nh5 がビショップ取りの狙いになるため、黒はルーク侵入の前に1手入れなければいけません。

31... Kf7 32. Rc6 Rd2 33. Rxc7+ Kf8



7段目でチェックをした際に、8段目にキングを押し込めるのが、31手目からの構想のポイントです。この後どう決めるか少し悩むかと思いましたが、答えはすんなり見つかりました。

34. Ne6+ Kg8 35. Be8!


こうして白マスビショップも攻撃に参加するとメイトのチャンスです。

35... h5 36. Bg6! 1-0



ナイトが黒マス、ビショップが白マスを抑える理想的なフォーメーションでメイトを狙い、白の勝ちです。久々のGM戦勝利でした! そして続く7R は、ペルー代表のGM Martinez Alcantara との対戦になりました。長くなりそうなので、ゲーム終盤のみ解説をします。


Martinez Alcantara, J (GM, AZE, 2617) - Kojima, S (IM, JPN, 2397)
Cappelle la Grande 2020 (7)
Position After 33... Bxh4

一昨年のバツミオリンピアードでペルーと日本は対戦し、その際は松尾さんが彼に勝っています。このゲームも私が黒で満足がポジションまで持っていきましたが、25手付近で時間を使いすぎ、残り時間がかなりぎりぎりの状態が長く続いていました。

34. Rc5 Qd3 35. b5 f3?!


b4-b5 の仕掛けはもちろん予想していましたが、一番正確な受けが分かりませんでした。単純に35... axb5! と取って黒は大丈夫でしたが、読み切れずに怪しい仕掛けをしてしまいます。

36. bxa6 Qxa6 37. Bxf3



37. Bf1 Rg8+ 38. Kh1 Rh8!= これでf2 取りがメイトスレットになるため、すぐにビショップでクイーンを狙う手は黒が大丈夫です。

37... Rg8+ 38. Kh2 38... Bd8??


キングがhファイルに逃げた際、この手でいけるのではないかと時間ぎりぎりまで考えて決めました。しかし、これが負けを決定づける手になってしまいます。38... Qd3! 39. Qb6+ Kb8 40. a6 Bg3+! 41. fxg3 Qd2+= こうしてパペチュアルチェックでドローにするのが正確でした。Qa6-Qd3 と潜り込む手は考えていながらも、ビショップを捨ててパペチュアルチェックになることを読み切る時間が無かったことと、本譜の狙いも十分に通用すると思ったのがミスでした。

39. Be2 f5 40. R1c3!+-



私のRd7-Rh7 のメイトスレットを、彼は時間の増える40手目に冷静に受け、ゲームは終わりました。黒の反撃は無く、ただクイーンが落ちるのみです。

40... Bxa5 41. Bxa6 Bxc3 42. Rxc3 1-0


GM から連続ポイントにならなかったのは残念ですが、2600台にも手ごたえを感じられるゲームができて良かったです。いよいよカペルも残り2試合となりましたので、少しでもポイントが取れるよう頑張ります!

R1 Nilssen, E (WFM, DEN, 2065) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1/2-1/2
R2 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Cappon, J (FRA, 2087) 1-0
R3 Primel, D (FRA, 1893) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 0-1
R4 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Dimtrov, R (GM, BUL, 2519) 1/2-1/2
R5 Mallevaey, A (FRA, 1714) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 0-1
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Sadikhov, U (GM, AZE, 2496) 1-0
R7 Martinez Alcantara, J (GM, AZE, 2617) - Kojima, S (IM, JPN, 2397) 1-0
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2397) - Terryn, E (BEL, 2100)

Cappelle la Grande 2020 R8 Pairings



この日は1ユーロ払って参加するくじ引きで、阿部くんが見事に豪華賞品を引き当てました!

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