2020/10/19

The Right Moment to Capture A Pawn


試合もしばらくなく、10月は全然ブログを更新できていなかったため、リハビリがてら試合の解説を1つ書こうと思います。8月に参加した名古屋の東海オープン初戦、長瀧くんとのゲームです。

Nagataki, K - Kojima, S
Tokai Open 2020 (1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nf3 d5 6. Be2 c5 7. O-O cxd4 8. exd4 dxc4 9. Bxc4 b6 10. Qb3!?


麻布の後輩である長瀧くんとは、合宿での同時対局でこそ何回も指していますが、公式戦はこれが初めてでした。この白の10手目は深く知りませんでしたが、d5 を抑えながらビショップナイトの交換を強制するため、理にかなっていると思います。ビショップが下がる手には、d4-d5 の押し込みが強力です。

10... Bxc3 11. bxc3 Nc6!?


11... Bb7 と迷いましたが、まずはNc6-Na5 の狙いに何で対応するか様子を見ることにします。しかし、ここで白の応手がまずく、ゲームの流れは一気に黒に傾くことになります。

12. Bb5?! Bd7 13. Bg5? Na5!


この13手目が、先日のパズルの出題で出したポジションの正解手です。黒はまずは白マスビショップを交換してしまい、白のダブルビショップのアドバンテージを消すとともに、c4 のマスを弱めます。

14. Qa4 Bxb5 15. Qxb5 Qd5!


この手がさらにクイーン交換を迫り、c4 のマスとc3 の弱点を際立たせます。さらにはこうしてクイーンが避けられるということは、Bc1-Bg5 のピンは役に立たず、逆にg5 のビショップはNf6-Ne4 からターゲットにされて白が困ってしまいます。

16. a4 Ne4


クイーンを黒から交換してしまうことも考えましたが、d5 でのクイーン交換でポーンがeファイルからdファイルに移動する形は、e4 とc4 を抑えられるようになるため、孤立ポーンでも黒は悪くないでしょう。16. Qxd5 Nxd5 でも黒は満足ですが、e4 にナイト、d5 にポーンでも良さそうだと判断し、クイーンは白から取ってくるのを待つことにします。

17. Rac1 Rfc8 18. Qxd5 exd5 19. Bd2 Rc4-+


すでに黒はcファイルをコントロールしてc3 とa4 を狙っているため、白のポーンは落ちることが確定しています。このゲームではここから、黒がいつ、どのポーンを取るかをテーマに見ていただければと思います。

20. Ra1 Rac8!


黒はこの局面でポーンを取れますが、確実に落ちるポーンを慌てて取る必要はありません。なるべく全てのピースを働ける状態にし、相手の反撃に極力備えてからポーンを取るのが正しい判断だと思いました。働きの悪いd2 のビショップを簡単に捌かせたくないという点も重要です。

21. Rfe1 f6 22. h3 Kf7!


こうしてキングがf7 に上がっておけば、e4 のナイトが消えてもeファイルからの白ルークの侵入を防ぎ、白に反撃のチャンスを与えません。 e5, g5 のマスに白ナイトが跳ぶチャンスもきちんと消しています。

23. Ra2 Nb3 24. Rb2 Nbxd2 25. Nxd2 Nxd2 26. Rxd2 Rxa4


ここまで準備できてから、ようやく黒はポーンを取りにいきます。c3 から取っても黒が勝つでしょうが、a4-a5 と押し込まれることを気にしなくて良いほうが簡単だと思い、aポーンを取ることにします。

27. f4 Rxc3 28. f5 Rac4 29. Rde2 Rc7


2ポーンを取った後は、きちんと7段目にルークを戻し、白ルークの侵入を防いでおきます。

30. Kh2 Rd3 31. Re8 Rxd4 32. Ra8 Re4 33. Rxe4 dxe4 0-1


ルークも1つ交換し、白から手を作るチャンスもなくなったため、ここで白はリザインとなりました。相手の緩手をついて駒得を決めてから、焦らず丁寧に指せたのが良かったと思います。

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