今日はNCS 主催のオンライン大会に参加してきました。南條くんも滑り込みエントリーでトップシードはIM 2人となり、海外からもマスターが参加して40名近くが集まりました。私は3連勝の後、南條くんとの直接対決に敗れて4/5 止まり。誰も彼にストップをかけることはできず、南條くんが全勝でトーナメントは幕を閉じました。2位グループは4/5 で3人並びましたが、タイブレークで私だけ入賞を逃がすちょっぴり苦い結果でした。
それでも最終戦の塩見さんとの試合は上手く指せたので、今夜はそちらをご紹介しようと思います。
Kojima, S - Shiomi, R
NCS Online Autumn Chess (5)
1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 c5 4. cxd5 exd5 5. g3 Nc6 6. Bg2 Nf6 7. O-O Be7 8. dxc5 Bxc5 9. a3!? Ne4
私にとって塩見さんとの対戦の記録は、QGD Tarrasch Variation の研究の記録でもあります。現在はChessable のShankland 1. d4 コースでの勧めである
9. a3 を試すことにしています。過去に塩見さんとは
9. Nc3 0-0 10. a3 を指したことがありましたが、これに対してはd5 ポーンを捨てる
10... Ne4!? が面白い手だと考えられています。それでは
Nb1-Nc3 がまだ指されていない段階でのナイトの跳び込みにはどう対応するか、少し時間を使って記憶を探りました。
10. Nfd2! f5 11. Nc3 Be6
11... Nxc3 12. bxc3 は白のポーンストラクチャーが悪く見えますが、黒もf7-f5 と余計なポーンを進めているため、白としては問題ありません。d5 の孤立ポーンや
a2-g8 のダイアゴナルの弱さをつけば、白にアドバンテージがあると考えられます。
12. Nb3 Bb6 13. Na4!
試合後にShankland のコースを見直し、ここまでがセオリーとして載っていることを確認しました。白はb6 のビショップを取っても退かせても、e3 ビショップを置いて黒マスをコントロールできるようになれば満足な展開です。
13... O-O 14. Nxb6 Qxb6 15. Be3 Qb5 16. Nd4 Nxd4 17. Bxd4 f4
2R のQGD Ragozin でも似たような展開になり、黒マスのコントロールでチャンスを使ったはずでしたが、その試合では不必要に局面を難しくしてしまいました。この試合はg7 に利いているビショップが特に強いため、あまり無理をせずに丁寧に指すことを心がけます。
18. Rc1 Rac8 19. Qd3!?
クイーンを交換してエンドゲームに持ち込んでも、白に十分なチャンスがあることは少し手前から意識していました。コンピュータは
19. Rxc8 Rxc8 (19... Bxc8 20. gxf4 Rxf4 21. Qc2 Be6 22. Qc7 Rf7 23. Qb8+ Rf8 24. Qe5 Qd7 25. Rc1+-) 20. gxf4+- とポーンを取るくらいで白勝勢を示しますが、本譜でも白は面白い展開です。
19... Qxd3 20. exd3 Nd2?!
この手はうっかりしていたかと少しだけ思いましたが、本譜のように進めて問題ありません。
20... f3 21. dxe4 (21. Bh1 Nd2 22. Rxc8 Bxc8 23. Bc5 Nxf1 24. Bxf8 Kxf8 25. Kxf1 Bh3+ 26. Kg1 Bg4 27. h3 Bxh3 28. Bxf3 Be6=) 21... fxg2 22. Kxg2 dxe4 23. Bxa7+/= として1ポーンダウンでも異色ビショップにして粘るほうが黒にドローチャンスがあったでしょう。
21. Rxc8 Rxc8 22. Re1 f3 23. Bc3!+-
試合後に弘平くんによるYoutube での解説を見てみましたが、この手は意外だったようです。d2 に入ってきたナイトを当てつつバックランクへの黒ルークの跳び込みを消しておき、e6 のビショップ取りもスレットにする一石三鳥の手で白は勝勢です。
23... fxg2
23... Kf7 24. Bh1 Nb3 25. Bxf3+- でも白は進んできたf3 ポーンを回収し、ビショップペアと駒得で勝勢です。本譜は互いに白マスビショップが消えますが、白は問題無く駒得を拡大していけます。
24. Rxe6 Kf7 25. Rd6! Nf3+ 26. Kxg2 d4 27. Bb4!
27. Bxd4 Ke7 28. Rd5 Ke6 29. Rc5+- でピース取りを避けられることは読みぬけていましたが、そうでってもビショップが逃げておき、ルークを残すほうが白にとっては楽な展開です。
27... Ne5 28. Rxd4
d4 ポーンも回収して2ポーンアップになると、白は
Bb4-Bc3 とビショップを安定したマスに戻すこともでき、黒の反撃を抑え込んで盤石となります。
28... Nc6 29. Rd7+ Kg6 30. Bc3 Re8 31. Rxg7+ Kh6 32. Rxb7 Rd8 33. d4 Rd5 34. Rc7 1-0
オンラインではありましたが、久々の大会を楽しませていただきました。運営と参加者の皆さん、ありがとうございました。大会の棋譜はlichess の大会ページから、結果はNCS から確認できますので、そちらをご覧ください。また次の大会でお会いしましょう。
NCS Online Autumn Chess
NCSオンラインオータムチェスの結果